スリランカの日本語教育機関における ネイティブ・...

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日本言語文化研究会論集 2011 年第 7 号 【特定課題研究報告】 スリランカの日本語教育機関における ネイティブ・ノンネイティブ日本語教師の協働 コランバゲ、シラーニ ナヤナカーンティ 要旨 本研究の目的は、スリランカの日本語教育機関の日本人教師とスリランカ人教師が協働活 動に関してどのような考えを持ち、実際にどのような協働活動をしているかを把握すること である。そのために、大学 2 校、日本語学校 2 校、高等学校33 校に勤務した、あるいは現在 勤務している日本人の日本語教師と、スリランカ人の日本語教師に対して質問紙調査を行っ た。その結果、スリランカ人教師は日本人教師から日本語教育に関する知識を得られること、 日本人教師はスリランカ人教師に相談ができ、励まし合える職場環境であることなどを望ん でおり、双方が対等なパートナーシップが重要だとしている傾向が示された。さらに、教室 内と教室外の協働活動の実態を分析したところ、コース運営面などの教室外を中心に協働活 動が行われていることがわかった。日本人教師とスリランカ人教師が共に学び合う意味での 協働を実現するためには、教室内活動においてはティーム・ティーチングが有効であること が示唆された。 〔キーワード〕スリランカの日本語教育、協働、ネイティブ、ノンネイティブ、ティーム・ ティーチング 1. 研究の背景 本研究では、スリランカの日本語教育における日本人の日本語教師(以下、JNとする)・ スリランカ人の日本語教師(以下、SL とする)の協働について、質問紙を中心にスリランカ の大学・日本語学校・高校で日本語を教える教師に対する調査を行った。まず、研究の背景 となるスリランカの日本語教育について概観し、そこでの課題を述べる。さらに、本研究で 取り上げるネイティブ日本語教師(以下、NTとする)・ノンネイティブ日本語教師(以下、 NNT とする)の協働についての先行研究をまとめ、本研究の趣旨を述べる。 スリランカの日本語教育は約 40 年の歴史がある。大学では 1978 年に課外コース、高校で 1979 年に General Certificate of Education (Advanced Level) Examination という入学 検定試験、つまり高校卒業兼大学入学試験の選択科目に日本語が採用された 。どの教育機 関でも SL 中心に教えられ始めたが、山本(2001)によると、1980 年より国際交流基金より 日本語教育専門家が派遣されたという。現在、日本語を教えている大学数は 6 校まで増加し たが、正規の日本語の学位コースを持つのは 2 校である。

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Page 1: スリランカの日本語教育機関における ネイティブ・ …jlc/jlc/ronshu/2011/Shirani.pdf日本言語文化研究会論集 2011年第7号 【特定課題研究報告】

日本言語文化研究会論集 2011 年第 7号 【特定課題研究報告】

スリランカの日本語教育機関における

ネイティブ・ノンネイティブ日本語教師の協働

コランバゲ、シラーニ ナヤナカーンティ

要旨

本研究の目的は、スリランカの日本語教育機関の日本人教師とスリランカ人教師が協働活

動に関してどのような考えを持ち、実際にどのような協働活動をしているかを把握すること

である。そのために、大学 2校、日本語学校 2校、高等学校 33校に勤務した、あるいは現在

勤務している日本人の日本語教師と、スリランカ人の日本語教師に対して質問紙調査を行っ

た。その結果、スリランカ人教師は日本人教師から日本語教育に関する知識を得られること、

日本人教師はスリランカ人教師に相談ができ、励まし合える職場環境であることなどを望ん

でおり、双方が対等なパートナーシップが重要だとしている傾向が示された。さらに、教室

内と教室外の協働活動の実態を分析したところ、コース運営面などの教室外を中心に協働活

動が行われていることがわかった。日本人教師とスリランカ人教師が共に学び合う意味での

協働を実現するためには、教室内活動においてはティーム・ティーチングが有効であること

が示唆された。

〔キーワード〕スリランカの日本語教育、協働、ネイティブ、ノンネイティブ、ティーム・

ティーチング

1. 研究の背景

本研究では、スリランカの日本語教育における日本人の日本語教師(以下、JNとする)・

スリランカ人の日本語教師(以下、SLとする)の協働について、質問紙を中心にスリランカ

の大学・日本語学校・高校で日本語を教える教師に対する調査を行った。まず、研究の背景

となるスリランカの日本語教育について概観し、そこでの課題を述べる。さらに、本研究で

取り上げるネイティブ日本語教師(以下、NTとする)・ノンネイティブ日本語教師(以下、

NNTとする)の協働についての先行研究をまとめ、本研究の趣旨を述べる。

スリランカの日本語教育は約 40年の歴史がある。大学では 1978年に課外コース、高校で

は 1979年に General Certificate of Education (Advanced Level) Examinationという入学

検定試験、つまり高校卒業兼大学入学試験の選択科目に日本語が採用された1。どの教育機

関でも SL中心に教えられ始めたが、山本(2001)によると、1980年より国際交流基金より

日本語教育専門家が派遣されたという。現在、日本語を教えている大学数は 6校まで増加し

たが、正規の日本語の学位コースを持つのは 2校である。

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1990年代に学習者数が急増し、1990年代の後半からは大学で日本語学習を経験した SLも

採用され始めた。SLは日本語能力試験の 2級受験、日本語の学士号取得、国際交流基金主催

の教師研修の受講などを通して、日本語能力の向上を図るために努力してきた。2005年に日

本語教師になるための国の中等教育教師の認定資格基準ができ、日本語教師の資格制度が大

きく変更された2。基準ができた理由は日本語教育が盛んになり、学習者も増え、SLが多く

なったからである。

また、JNは 1980年から国際交流基金、青年海外協力隊、日本シルバーボランティアとい

った公的・民間双方のプログラムを通じて 2、3人ずつ大学・日本語学校に派遣され、SLと

共に日本語教育に携わっている。そのため、現在では、JNと SLが同じコースで一緒に教え

る機関が増えてきた。国際交流基金の 2009年海外日本語教育機関調査によると、スリランカ

の日本語教師数 157人のうち JNは 23人(14.6%)、SLは 134人(85.4%)となっている。

現在、大学では 2校で SLと JNが一緒に教えている。日本語学校では SLと JNが日本語教育

に携わっているが、中学校・高等学校の大半では JNはあまり関与していない。

SLは、教師になるまでに、教師教育を受けた経験がない者が大半で、教授法についての知

識も豊富ではない。スリランカ国立教育研究所において、教授法や教室活動を紹介した長期

(8ヶ月間)の日本語教師養成講座は 1996年に 1度開かれたが、その後は行われていない。そ

のため、現在、スリランカの日本語教育を支えている SLには日本語教育を実施する上での問

題があると考えている。和田(2007)はスリランカの大学の学習者の言語学習ビリーフから

日本語教育の改善を考え、学習者からの信頼を得るために必要とされる日本語能力を持った

SLの育成が不可欠であると述べている。また、井上(1999)は、SLは日本語の知識、運用能

力、教授技術、日本文化・社会に関する知識が不足していると述べている。これらの見解は、

筆者自身の経験を振り返っても、あるいは周りのSLを見ていて筆者が感じていることと類似

している点がある。

一方、JNが日本語を教える際の問題点として、JNはスリランカの言語や文化理解が不足し

ているため、学習者のことを十分に理解できないと JN自身が言っているのを筆者は聞いたこ

とがある。また、学習者とのコミュニケーションが難しく、学習者の学習上の問題点を把握

しにくいことがあるため、自身が期待するような授業ができないという声も聞いた。

これらの問題点は、個人ではなかなか解決することができない。筆者は、現在の職場で JN

と協働する機会があり、その大切さを身にしみて感じたことがあるため、筆者は、JNと SL

それぞれが相互補完し協働していくことで、上記の問題が解決できるのではないかと考えた。

JNと SLが共に働くことを協働と捉え、教育現場における両者の協働の実態を明らかにした

いと思った。実態を見た上で、協働の必要性とさらなる協働の可能性を探ることを本研究で

は目指したい。特に、JNと SLが一緒にする教室内外の活動を中心に協働のあり方を見てい

くことにする。教室内とは授業を JNと SLが一緒に行うティーム・ティーチング(以下、TT

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とする)等の授業活動を指し、教室外とはコース運営、試験作成、日本文化体験、学習者と

の活動への参加、教師の付き合いを含めた広い意味での活動を指している。

2. 先行研究

海外の日本語教育における NT・NNTの協働に関する研究には、まず授業活動に関するもの

がある。澤邉・金(2005)は韓国の中等教育の日本語の授業活動に NTも含めたネイティブを

参加させ、授業観察と学習者対象の調査を踏まえて、NTと NNTそれぞれが教師の専門性や異

文化理解の面から TTの効果を感じていると述べている。また、百瀬(1996)はインドネシア

のガジャマダ大学での NTと NNTの TTを通してシステマティックな NNTの教師養成が可能で

あると述べている。これらは教室内の協働活動である TTを取り上げている。

一方、教室内外の協働に着目した研究には、ストリャロヴァ(2004)がある。ウズベキス

タンの高等教育機関の日本語教育における NTとNNTが共に教える教育現場での教室内外の

(例えば授業準備)の役割分担について質問紙調査を行い、その結果から、現地の日本語講

座に存在する教師の問題についての対策を提案している。

スリランカの協働に関する研究としては、ロクガマゲ(2007)がある。SL(1名)のケー

ススタディーを通して協働の中で、JNの SLに対する捉え方に基づく発言が、SLの教師とし

てのアイデンティティに及ぼす負の影響が指摘されている。これは研究対象者が 1名である

ため、スリランカの日本語教育における JNと SLの協働の実態や考えを知るためには、幅広

く調査した研究が必要である。

3. 研究目的と研究課題

本研究では、スリランカの JNと SLが協働で行う教室内外での活動(以下、協働活動とす

る)や役割分担について、調査を通して、JNと SLの視点から明らかにする。以上の目的に

基づき、次の課題を設定した。

課題1.スリランカの日本語教育において、JNと SLは自らの協働に関してどのように考え

ているか。

課題 2. スリランカの日本語教育において、JNと SLはどのような協働活動をしているか。

4. 調査の概要

4.1 質問紙の作成

はじめに、日本在住の NNT6名に、NTと NNTの協働に関する意見を自由に記述してもらっ

た。そして、そこで抽出された項目からスリランカの日本語教育の現状を考慮しながら、ス

トリャロヴァ(2004)を参考に予備調査の質問項目を作成した。また、予備調査として、2011

年 4月の帰国実習の前に、4.1で作成した質問紙を用いて、NT 4名、NNT 7名を対象に調査

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を行った。その結果、分かりにくかった質問、質問意図に合う答えが出なかった質問を修正

し本調査の質問項目とした。質問紙を添付資料1に示す。本調査の質問では、<A.コース内

>、<B.コース外>、<C.JNと SLの協働に関する意見>の 3つの部分に分け、ABC合わせ

て 15の項目を設定した。まず、<A.コース内>では「科目担当」「コース運営」、「試験関係」

に関する質問項目(1~9)、<B.コース外>では「日本文化体験」、「学習者との活動への参

加」、「教師の付き合い」の観点から成る質問項目を設けた。<C.JNと SLの協働に関する意

見>の質問 13・14では、「日本語教育」、「関係性」、「職場環境」に関して 22の項目を作成し

た3。それらに「強く賛成」「賛成」「どちらともいえない」「あまり賛成しない」「全く賛成

しない」のいずれかを選ぶ形で、JNと SLに 5段階評価をしてもらった。質問 15は日本人教

師・スリランカ人教師の協働について意見を自由に回答してもらった。<B.コース外>の質

問 9・12、<C.JNと SLの協働に関する意見>は、課題 1に関する調査であり、<A.コース

内>と<B.コース外>質問 9・12以外の質問は課題 2に関する調査である。また、教室内の

協働に関する質問は<A.コース内>「科目担当」の質問 1・3・4・5で、<A.コース内><

B.コース外>のその他の質問は教室外の協働に関する質問である。質問紙は「JN用」(日本

語版)と「SL用」(シンハラ語版)を作成した。

4.2 本調査

本調査は 2011年 3月 30日から 4月 26日にかけて、スリランカで行った。本調査実施に際

しては、スリランカにある大学 2校、日本語学校 2校、中等教育機関 33校で教師をしている

JNと SLに調査協力を依頼した。

4.2.1 対象者

通常のスリランカの日本語教育機関では、JN1~2名、SL 2~4名が複数のコースを担当し

ている。JNに関しては、直接手渡しの形(5名)とメール(15名)で質問紙を配布し、20

名中 18名から回答を得た。この中には、調査時にスリランカで教えている JNの人数が尐な

いため、1998年~2010年まで大学 2校と日本語学校 1校で教師をしていた 10名も含んでい

る。なお、SLに関しては直接手渡しの形(10名)、郵便(48名)、メール(2名)で質問紙を

配布し、60名中 48名から回答を得た。80名中 66名から回答を得た。全体での回収率は 83%

である。高校については 33校から回答を得たが、その内、JNと SLが一緒に教えているのは

1校のみであった。調査対象者の所属内訳を表 1に示す。

〔表1〕調査対象者 (名)

教育機関 SL(48) JN(18) 大学 2校 A大学 2 B大学 5 A大学 6(4)* B大学 7(5) 日本語学校 2校 A学校 3 B学校 4 A学校 2 B学校 2(1) 高等学校 1校 A高校 1 ― A高校 1 ― 高等学校 (SLのみ)33校 33** ―

*過去に教えていたJNの数を( )で示す。

**SLのみで教えている33校については、本稿では分析対象にしていない。

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国立 A大学は 1993年に日本語コースが開講され、現在課外コースと学位コースを行ってい

る。コロンボから離れた、バスで 5時間かかる山間部にあり、コロンボ地区以外の日本語教

育の中心である。1993年より協力隊員が派遣されている。国立 B大学はコロンボ近郊にあり、

「1978年に課外コース、1980年に学位コースが開講された」(山本 2001: 3)大学であり、2

コースが開設されている。

A日本語学校は地方に位置し、日本の日本語学校付属の学校である。コロンボ地域に位置

している B日本語学校は 2コースを開いている。B日本語学校は 6ヶ月コースが年 2回行わ

れ、4年間で中級レベルの日本語を学ぶことができる。どちらも大学進学や日本への留学希

望等を持つ学習者を対象にして日本語コースを実施している。

高校では前述の通り JNと SLが一緒に教えている学校は1校のみである。2年間で大学入

学試験を目指すコースを実施しており、学習者も熱心であるため、教師も学習者に受験勉強

をさせることが日本語学習の主な目的になっている。

なお、質問紙の回答データはエクセルに入力し、集計を行い、JNと SLが一緒に教えてい

る機関のみを分析した。

4.3 その他の調査

4.3.1 インタビュー調査

質問紙調査からは、それぞれの教師が教室内外で行われている活動を誰と行っているかを

把握することができたが、それらをどのように行うか、またそれぞれの活動の役割分担に満

足しているか、いないか、さらにその理由を把握するために、質問 5・9・12・15に関しては

フォローアップ・インタビューを行った(添付資料 2)。インタビューの対象者を表 2に示す。

〔表 2〕インタビュー調査の対象者 (名)

教育機関 大学 日本語学校 高等学校

JN 5 2 1

SL 2 3 5

インタビューの内容はメモや録音で記録し文字化した。JNに対しては日本語で行った。SL

に対してシンハラ語でインタビューしたものについては、文字化した上で日本語に翻訳した。

所要時間は 15分~50分であった。

4.3.2 観察、授業ビデオ録画

質問紙やインタビュー調査を補足するために、A日本語学校で、休憩時間も含めて約 6時

間観察し、JNと SLのやりとり、学習者のやりとり、行動をメモし、そのメモを日本語に翻

訳した。さらに、日本語学校 1校、大学 1校、高等学校 1校で 50分~90分の授業をビデオ

録画した。

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5. 結果と考察

以下、課題 1、課題 2ごとに結果をまとめる。

5.1 JNと SLは自らの協働に関してどのように考えているか(課題1)

5.1.1 JNと SLの協働についての考え

JNと SLが一緒に仕事をしている職場の教師を対象に、職場状況に関し 22項目について 5

段階評価(「強く賛成」~「全く賛成しない」)をしてもらった。そして、大学(2校)、日本

語学校(2校)、高等学校(1校)の JNと SLの回答を、「日本語教育」①~④、「関係性」⑤

~⑫、「職場環境」⑬~○22の 3つの観点で整理した(添付資料③参照)。また、「強く賛成」「賛

成」の合計を「肯定的な回答」とし、「あまり賛成しない」「全く賛成しない」の合計を「否

定的な回答」としたものを表 3に示した。

〔表 3〕日本語教育機関におけるJNと SLの協働についての考え(アンケート Cの 13) (名)

活動 *1

JN(18名)*2 SL(15名)

肯定的な

回答

どちら

ともい

えない

否定的

な回答

肯定的な

回答

どちら

ともい

えない

否定的な

回答

日本語の教育

①文法や語彙の説明をしてもらえる/できる 14(78%) 1(6%) 1(6%) 14(94%) 1(7%)

②教授法の説明をしてもらえる/できる 11(61%) 3(17%) 1(6%) 13(87%) 1(7%) 1(7%)

③日本文化を教えてもらえる/できる 11(61%) 2(11%) 3(17%) 11(74%) 4(27%)

④自分の言語知識を教える/増やすことができ

14(78%) 2(11%) 1(6%) 15(100%)

関係性

⑤スリランカ人がアシスタントになる 3(17%) 10(56%) 4(22%) 6(40%) 4(27%) 5(34%)

⑥日本人がアシスタントになる 5(28%) 9(50%) 1(6%) 6(40%) 4(27%) 5(33%)

⑦スリランカ人がアシスタントになる 6(33%) 8(44%) 3(17%) 4(27%) 7(47%) 4(27%)

⑧日本人がリーダーになる 3(17%) 11(61%) 3(17%) 3(20%) 6(40%) 6(40%)

⑨対等なパートナーシップになる 11(61%) 6(33%) 11(73%) 4(27%)

⑩お互いに助け合うこと 16(89%) 1(6%) 15(100%)

⑪お互いに励まし合うこと 15(84%) 2(11%) 11(73%) 4(27%)

⑫意見交換ができて教師力が伸びる 15(84%) 2(11%) 15(100%)

職場環境

⑬スリランカの文化について説明してもらえる

/できる

16(89%) 9(60%) 4(27%) 2(14%)

⑭不安なことについて相談できる 15(84%) 2(11%) 14(93%) 1(7%)

⑮自分にない発想が得られる 17(94%) 15(100%)

⑯楽しく仕事ができる 14(78%) 3(17%) 11(73%) 4(27%)

⑰仕事を分担すると分担は減る 11(61%) 5(28%) 1(6%) 14(93%) 1(7%)

⑱日本人/スリランカ人とネットワークを作る

ことができる

12(67%) 4(22%) 1(6%) 14(93%) 1(7%)

⑲自分の役割がはっきりしている 10(55%) 5(28%) 2(11%) 9(60%) 2(13%) 4(27%)

⑳多くの質問をするのは相手にとって迷惑では

ない

12(66%) 4(22%) 1(6%) 9(60%) 4(27%) 2(14%)

他の教師と一緒より自分1人で仕事を進めた

方がいい

2(11%) 11(61%) 4(22%) 15(100%)

相談する時間がとりやすい 7(39%) 8(44%) 2(11%) 10(67%) 1(7%) 4(27%)

(%は尐数以下を四捨五入した)

* 1 JNに対しては①・②・③・④の項目をJN がSLに教える/説明すると考えて回答してもらった。また、⑬

○21

○22

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について、SLがJNにスリランカの文化について説明することとして回答してもらった。

* 2 無回答:④・⑤・⑦~⑫、⑭~㉒で1名、①・②・③・⑬で2名、⑥で3名。

回答は全体的に見ると、ほとんどの項目で肯定的な回答が多く、5段階評価の内、JNが「賛

成する」を選び、SLが「強く賛成する」を選ぶ傾向があった4。1)日本語教育、2)関係性、

3)職場環境ごとに以下に述べる。

1)日本語教育 ①~④

①文法・語彙の説明、②教授法の説明、③日本文化の伝授、④言語知識の補強に関する 4

項目は、JNが日本語の知識、日本文化、教授法を SLに教えることを前提としている。表 3

に示す通り、①~④の項目すべて、JN・SLいずれも肯定的な回答が過半数を超えている(61%

以上)。特に、①と④は JNが順に 78%・78%、SLは 94%・100%と高い数値であった。このこと

より、SLが JNから言語、文化も含む日本語教育に関する知識を得ることができると考えて

いることがわかる。

2)関係性 ⑤~⑫

⑤~⑫は両者の関係性を尋ねたものである。⑤~⑧はリーダーやアシスタントについて、

⑨~⑫は対等性について聞いている。これらはいうまでもなく、JNと SL 間の関わり合いや

影響力に関連した項目である。⑤~⑧は、「強く賛成」から「全く賛成しない」まで回答に

ばらつきがあり、JN と SLに関わらず、個人によって認識が異なっている。これは JNと SL

の役割が固定化しているのではなく、仕事により、リーダー(役職に限らずその仕事で主導

的な役割)、アシスタント(リーダーの立場の者を補佐する役割)の立場が変わると認識さ

れている可能性がある。回答者がどのような場面を想定したかについてはこの質問のみから

は判断できないが、JN も SLも、両者の関係性は固定的ではなく、仕事により流動的である

と考えていることが示唆される。

⑨~⑫は、JN・SLのいずれも肯定的な回答が過半数を超えている(61%以上)。このことよ

り、両者は協働を通じて、助け合いや教師力の育成が可能だと考えていることがわかる。但

し、パートナーシップに関しては、SL 4名は、⑨対等なパートナーシップと、⑪お互いに励

まし合うことに否定的であった。

3)職場環境⑬~○22

⑬~○22の項目は職場環境に関する項目である。その内、⑬スリランカの文化説明、⑭相談

による不安の解消、⑮新たな発想、⑯仕事の楽しさ、⑳質問のしやすさ、○22相談時間のとり

やすさについてである。JN も SLも、相談、仕事の楽しさに関する項目には肯定的に回答し

ている。その内、特に、⑬・⑭・⑮・⑯は JNが 89%・84%・94%・78%、SLが 60%・93%・100%・

73%と高い数値である。すなわち、SLも JNもお互いに職場環境の不安について相談できると

考えているのがわかる。

○22は相談時間に関する項目であるが、JNの肯定的な回答の比率が若干低い(39%)。一方、

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SLは比較的高い(67%)。このことから SLより JNの方が仕事の負担が多く、相談する時間

が取りにくいということが考えられる。⑰・⑲・○21は役割分担に関する項目である。⑰・⑲

は協働が仕事分担の負担の軽減や、自身の役割の明確化につながるとする項目であるが、両

方とも JNより SLの方が肯定的な回答が多かった。さらに、○21は「一人で仕事を進めたほう

がいい」という、他の項目と賛成・反対の方向が逆になっている逆転項目であるため否定的

な回答が多かったが、2名の JNは「賛成」と答え、11名の JNは「どちらともいえない」で

あった。この回答では、SLは 1人で仕事をすることに対して否定的であり、JNとの協働を肯

定的に考えている。JNは「どちらともいえない」が最も多い。SLは日本語教育の知識が得ら

れる点を重視し、JNは1人で仕事を行うことでの効率性を重視しているという傾向が窺える。

⑱は JNと SLがお互いにネットワークを作ることを問う項目である。JN・SLいずれも肯定

的な回答となっているが SLの方が概ね賛成している。JNが 67%、SLが 93%と比較的高い数値

となっていることから、SLも JNも自身の問題を解決する上でお互いをネットワークとして

利用していることが考えられる。

5.1.2 仕事分担に関する満足度

JNと SLが一緒に仕事をしている職場の教師を対象に、その職場で JNと SLが一緒に働い

ている状況に関し、日本語コースに関する「科目担当」、「コース運営」、「試験関係」を「コ

ース内」とし、「日本文化体験」、「学習者との活動への参加」、「教師の付き合い」を「コース

外」としてそれぞれについて満足しているかどうかを聞いた。ここでは大学 2校、日本語学

校 2校、高等学校 1校に対し、「コース内」「コース外」の仕事分担について、「満足している」

「どちらともいえない」「満足していない」の 3段階で評価を求めた。結果を表 4に示した。

〔表 4〕JNと SLの仕事分担に関する満足度(アンケート Aの 9とアンケート Bの 12)

(名)

コース

内・外 JN/SL

満足して

いる

どちらとも

いえない

満足して

いない 無回答

コース内 JN(18人) 3(17%) 10(55%) 4(22%) 1(7%)

SL(15人) 11(73%) 1(7%) 2(13%) 1(7%)

コース外 JN(18人) 4(22%) 7(39%) 1(7%) 6(33%)

SL(15人) 13(87%) 2(13%)

回答は全体的に見ると JN が「どちらともいえない」とする傾向があり、SLは「満足して

いる」とする傾向があった。数は SLより尐ないが「満足している」とする JNの回答もあっ

た。以上の結果と「コース内」「コース外」のそれぞれに対する大学・日本語学校の JNと SL

の自由記述欄の回答と合わせてまとめる。

1)コース内:「科目担当」「コース運営」「試験関係」

コース内の仕事分担に対する満足度に関し、JN の回答では、「どちらともいえない」(10

名、55%)が最も多くその他の回答にはばらつきがあった。SLは「満足している」という回

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答が多い(11名、73%)。また、満足度について「どちらともいえない」と記入した JN 10名

(55%)の自由記述の回答の中で、SLの仕事分担への不満に言及していたものに次のような

ものがある。

①論文指導は JNにしかできないと SLは考えている。JN595

②JNが作成したシラバスを SLがチェックしてくれない。JN55

③試験作成、レポートのチェックなど頼りすぎる面が見られる。JN56

一方、「満足している」と記入した JN(3名、17%)全員が、以下のように SLから教師と

しての学び等が得られると回答した。

①ベテランの SLに様々なことを学ぶことができる。JN54

②経験のない自分には SLは教師としてどのように学習者との関係を保つか勉強になった。JN58

③スリランカ文化や学生の特徴等、スリランカ人講師から学ぶことは数多くあり、それらの知識によ

り授業を円滑に進めることができた。JN57

大学においても、日本語学校においても「満足している」と記入した SL 全員が、JNにい

つでもどんなことでも聞くことができるという安心感があると回答している。下記は SLの回

答例である。

①試験評価では SLが第 1評価をし、第 2評価は JNがすると誤りが尐なくなる。SL39

②何でもいつでも日本語教育に関することを聞くことができる。SL62

③自分が期待した通りに教室活動が行われているので、満足している。SL47

2)コース外:「日本文化体験」、「学習者との活動への参加」、「教師の付き合い」

コース外の協働に関して、大学においても、日本語学校においても、無回答の JNがかなり

いた(6名、33%)。それぞれの JNはコース外の活動をあまり行わなかったため、無回答で

あったことが自由記述から分かった。また、「どちらともいえない」は 39%であった。SL

は無回答を除くと残り全員が「満足している」(87%)と答え、コース内満足度が高かった。

「どちらともいえない」と記入した JN7名中 5名は、SLに仕事を分担してほしいと考えて

いることがわかった。下記は JNの記した例である。

①文化祭のための日本の歌やドラマを行うとき、学習者の練習の指導は SL もできるはずなのに、手

伝わなかった。JN49

②教師会への参加をもっとしてほしかった。ただ家庭の事情や様々な業務があり、必ず参加すること

は難しいことは理解していた。JN55

「満足している」と記入した SL全員が自由記述において日本文化に関して悩んでいること、

それらの知識を JNから得られるという安心感があると回答した。下記は SLの記した例であ

る。

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①日本料理を作る時 JNに頼む。SL16

②茶道デモンストレーションのような日本事情は SLにできないため JNがしてくれるのは安心であ

る。SL39

5.1.3 課題 1の結果とまとめ

SLは JNと一緒に仕事をすることによって、日本語の知識を得ることなど様々なことを JN

に期待していることがわかる。そして、JN も SL も不安な点について相談でき、お互いに励

まし合い、意見交換ができる等の関係が望ましいと考えている。

仕事分担に関する満足度は SL は非常に高いが、JN はコース内外でどちらともいえないと

いう回答が多く見られた。この背景には自由記述に見られた論文指導、試験作成、シラバス

作成、文化関係等に関し、SLも分担を増やしてほしいと考えていることが関連している可能

性がある。

さらに、基本的には JNも SLも対等なパートナーシップを好んでいるが、JNの中にはどち

らとも言えないとする意見も尐なからずあった(33%)。また、上記のように、JN の仕事分

担が SLより多いと感じ、不満に思っているが、SL は仕事分担に満足している。おそらくこ

のような認識の違いは両者共に意識していない可能性がある。

SLは日本語知識や文化の面で JNに頼っていることもわかった。JNと SLともにそれを認め

ている。但し、5.1.2で述べたように JNも SLから学ぶことがあるとわかった。

5.2 SLと JNはどのような協働活動をしているか(課題 2)

5.2.1 大学、日本語学校、高等学校の協働の特徴

課題 1の調査の中で、シラバス作成などの具体的な協働活動が協働に対する考えと関わっ

ていることがわかった。そこで、ここでは JNとSLがどのような協働活動をしているか(課

題 2)を見ていく。質問紙の<A.コース内><B.コース外>では、JNと SLが一緒に仕事を

している大学 2校、日本語学校 2校、高等学校 1校の教師を対象に、その職場で JNと SLが

一緒に行っている協働活動について聞いている。以下、教室内と教室外という観点で分析す

る。教室内については、<A.コース内>「科目担当」についてまとめ、教室外については、

<A.コース内>「コース運営」、「試験関係」、<B.コース外>「日本文化体験」、「学習者と

の活動への参加」、「教師の付き合い」「行事を行う場合の対応」についてまとめる。以下では、

大学・日本語学校の結果をまとめる6。

1)教室内(アンケート<A.コース内>「科目担当」質問 1・3・4・5)

「科目担当」

科目担当では「文法」、「会話」、「読解」、「表記」、「聴解」、「文化」、「文学」、「論文/レポー

ト」、「言語学」、「教授法」、「その他」の科目を誰とどのように担当しているかを尋ねた。前

述の科目は、表 5 に示してある通り、大学においても日本語学校においても基本的には「1

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人で」担当する科目が多く、JN・SL が一緒に授業に入る TTはあまり行われていないようで

ある。

〔表 5〕科目担当(アンケート Aの 1と 3) (名)

科目

大学 *1 日本語学校 JN(12名) SL(6名) JN(4名) SL(7名) 1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

文法 5 3 1 2 2 7 会話 5 2 1 1 2 1 5 3 1 読解 6 3 2 1 1 4 1 表記 6 3 1 1 2 2 2 5 2 1 聴解 4 4 1 1 1 6 1 文化 2 1 4 1 2 2 4 5 文学 2 2 1 4 論文/レポート 2 1 1 言語学 1 教授法 1 その他(道徳) 1 1 1

*1無回答:JN1名、SL1名

表 5を見ると「科目担当」で JNと SLが協働している科目は尐ないが、フォローアップ・

インタビューでどのような形で科目担当を行っているかを尋ねたところ、次の 5つのパター

ンがあった。

〔表 6〕協働の科目担当 (アンケート Aの 4) (複数回答可) (名)

活動 大学 日本語学校 JN(4) SL(2) JN(2) SL(7)

① NNTと一緒に教室に入って 1つの授業を行う(TT) 1 1 2 ② 同じ科目を時期によって交換で教える 1 1 1 3 ③ 同じ科目を曜日などによって分担して教える 3 1 2 ④ 必要な活動の場合にだけ授業の分担をする 1 1 7 ⑤ 同じ科目を曜日などによって独立して分担して教えている 1 1

この 5つのパターンの内、大学では、「③同じ科目を曜日などによって分担して教える」(3

名)が多く、日本語学校においては、「④必要な活動の場合にだけ授業の分担をする」(7名)

が一番多かった。この 5つのパターンで実際にどのような協働活動が行われているか、自由

記述、インタビューでの回答例を表 7に示す。

〔表 7〕協働の科目担当の内容(アンケート Aの 5)

協働のパター

ン/科目名

教育

機関

インタビュー/自由記述欄の内容

①「会話」

大学

・「日本人の先生と一緒に教室に入って、私は最初に授業の流れをシンハラ語で説

明する。それから日本人の先生とグループ活動を一緒に担当する。」SL53

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「表記」 日本語

学校

・「日本人の先生がカタカナの書き方は日本語で説明した。私はシンハラ語に訳し

た。」SL7

②「文学」

大学

・「私は前期に文学の授業の導入をシンハラ語で説明する。後期には私が導入した

文学の内容を日本人の先生が日本語で教える。」SL53

③「文化」

「文法」

大学

日本語

学校

・「同じ科目を曜日などによって分担して教える。」JN49

・「日本人は教科書、スリランカ人は文型練習帳を担当する。スリランカ人は新出

単語対訳法をメインに直接法で授業をする。日本人はその復習を文型練習帳を

使い、直接法をメインに僅かの対訳法も使って教える。」JN8

④「文法」

大学

・「時々必要があると、NNTに来てもらって学習者にロールプレイをさせたとき学

習者の相手になってもらった。」JN58

⑤「論文/レポ

ート」

大学 ・「授業の最初の日には学習者を分ける。私はだいたい 20人の内 3/4を担当し、

スリランカ人の先生は 1/4を担当する。それから別々に授業を行う。時々スリ

ランカ人の先生の学生も私に語彙の説明を求める。」JN59

次に、TTがあまり行われていない理由に関する自由記述、インタビューの回答をまとめる。

JNのあげた理由は次の通りである。

①仕事の負担が多かった。5名

②授業は分業制だったため SLと一緒に授業の準備などをする時間がなかった。4名

③所属機関のあり方を変えようと思わなかった。3名

④すべてのコースは、1人の教師のみが 1クラスを担当する制度になっている。2名

他方、SLのあげた理由は次の通りである。

①仕事が多くて TTをする時間がない。5名

②自分の学習スタイルになっていなかったので、あまり TTについてわからない。5名

③すべてのコースは、教師 1名のみが 1クラスを担当する制度になっている。4名

以上から、スリランカの日本語教育機関では、科目を1人で担当をする分業制が基本とな

っており、負担が多く、時間がなく、あまり TTに関する知識もないため、TTを行っていな

いことがわかった。

2)教室外(アンケート<A.コース内>「コース運営」、「試験関係」および<B.コース外>

「日本文化体験」、「学習者との活動への参加」、「教師の付き合い」「行事を行う場合の対応」)

ア.「コース運営」①~⑨

コース運営では、①シラバス作成、②教案の作成、③教材作成、④情報交換、⑤文法の説

明、⑥授業の見学、⑦教材のコピー作成、⑧本の管理、⑨成績整理の活動について質問した。

結果は表 8の通りである。全体的に①・②・③・④・⑤・⑥・⑧の項目においては JNと SL

の協働が行われている。その中でも特に数値が高かった①・④・⑤・⑥を見てみる。JNの回

答と比較すると、SLはより多くの項目で協働を行っていた。「①シラバス作成」の「b.コー

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スで使用する主教材を決める」「c.シラバスを作る」では、SL の JN とするという回答は、

大学でも日本語学校でも 5~7名と多い。しかし、日本語学校の JNの回答では、SLとの協働

活動を示す回答がないことから、JN は共同とは意識していないようである。SL が主導して

JNに、教材を決めたり、シラバスを作ったりする作業を依頼している可能性もある。⑤文法

説明の「b.他の教師から授業のわからない所を教えてもらう」「c.文法項目の説明の仕方を

話し合う」は大学の SLの回答で目立っている。JNの回答では「④情報交換」の「a.他の教

師に学習者の情報を知らせる」、「⑤文法説明」の「a.他の教師に授業のわからない所を教え

る」が多い。「⑥授業見学」は主に大学で行われている。

〔表8〕 コース運営 (アンケートAの2と8) (複数回答可) (名)

コースと授業の準備活動

大学 *1 日本語学校 JN(13名) SL(7名) JN(4名) SL(7名)

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

①シラバス作成 a.学習者のニーズ調査をする 5 2 3 3 1 2 b.コースで使用する主教材を決める 5 4 1 6 4 1 1 7 4

c.シラバスを作る 6 1 1 5 3 2 6 4 d.でき上がったシラバスを直す 3 2 1 3 2 1 1 5 3 e.誰がどの科目を担当するか決める 2 5 1 4 4 3 1 ②教案の作成 a.授業の流れを書く 9 4 1 1 4 6 3 1 b.教案をチェックする 7 2 4 1 2 4 4 1 c.例文を作る 9 1 5 2 1 2 5 6 4 ③教材作成 a.教具を作る 8 2 5 3 4 7 1 b.宿題の問題シートを作る 9 4 2 3 4 4 3 c.授業で使用する実物を用意する 8 1 4 1 1 3 6 4 1 ④情報交換

a.他の教師に学習者の情報を知らせる 1 6 8 2 5 5 1 2 3 4 b.他の教師に教育機関スケジュール等を伝える 4 5 1 5 5 1 1 1 3 6 c.スリランカの情報を伝える 3 3 1 6 5 1 1 3 5 3 d.その他 2 1 1 ⑤文法の説明 a.他の教師に授業のわからない所を教える 4 2 7 1 3 4 1 3 1 2 5 b.他の教師から授業のわからない所を教えてもら う

1 2 4 7 3 2 3 5 4

c.文法項目の説明の仕方を話し合う 3 2 4 7 3 1 1 4 4 ⑥授業の見学 a.自分の授業を他の教師に見学してもらう 6 1 5 4 1 1 1 b.他の教師の授業を見学する 4 1 6 1 5 4 1 1 ⑦教材のコピー作成 a.使用する教材のコピーをする 4 1 5 3 4 1 ⑧本の管理 a.日本語の本を管理する 1 2 2 4 1 1 4 5 4 b.図書館の本を管理する 1 4 2 4 4 c.図書館の本のリストを作る 2 1 1 2 d.ファイルを整理する 3 2 2 1 4 3 2 3 ⑨成績整理

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a.コースのA、B、C等の成績を作る 1 4 1 1 3 1 1 3 4 5 b.学習者の進学書類に記入する 1 2 2 3 2 2 2 2 4 c.その他(学習者の就職先、進学先について情報

を得る 1 1

選択された項目数 24 9 24 20 23 23 9 11 10 19 23 22

*1無回答:大学すべての項目JN 1名

イ.「試験関係」

試験関係では、「①学期末試験を作る」、「②小テストを作る」、「③口頭試験を作る」、「④試

験の前に試験を最終的にチェックする」、「⑤試験の採点をする」、「⑥マークシートに点数を

付けて担当部署に送る」という活動についての回答を表 9にまとめた。インタビューにより、

試験関係の項目の中で①・③・⑤は多くの JNとSLが共同で行っていることがわかった。特

に①では、大学でも日本語学校でも「SL が JN に問題文の正確さ、問題形式などを教える」

ということであった。

また、⑤の結果から、大学・日本語学校とも、JN と SL が一緒に試験の採点を行い、試験

の評価法を JNが SLに教えているようである。また、スリランカの大学、高校などでは、政

府が求める評価法について SLが JNに教えることもある。「③口頭試験を作る」は、日本語学

校では、SL が JN と協働しているとしている。口頭試験では SLが主導するが、学習者に JN

との生の会話をさせたいため JNに試験担当を依頼しているとも考えられる。

〔表 9〕試験関係の担当 (アンケート Aの 6と 7) (複数回答可) (名)

活動

大学 日本語学校 JN(13名) SL(7名) JN(4名) SL(7名) 1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

①学期末試験を作る 7 3 2 5 3 3 1 1 3 5 3 ②小テストを作る 9 1 6 2 4 4 2 ③口頭試験を作る 3 2 4 3 1 2 2 5 3 ④試験の前に試験を最終チェックする 3 5 3 4 2 3 3 3 ⑤試験の採点をする 4 7 4 6 3 2 1 3 4 6 5 ⑥マークシートに点数を付けて担当部署に送る

2 1 5 3 4 3 1

選択された項目数 6 1 6 6 5 4 6 2 2 5 5 5

ウ.「日本文化体験」

日本文化体験では、「①「文化祭」「日本語の日」での歌やドラマを考える」、「②(それら

のために)学習者に練習させる」、「③招待状の作り方を教える」、「④挨拶の仕方を教える」

「⑤ドラマのセリフを教える」、「⑥発音の仕方を教える」、「⑦スピーチコンテストに出る学

習者にスピーチを練習させる」、「⑧書道のデモンストレーションをする」、「⑨折り紙のデモ

ンストレーションをする」、「⑩茶道のデモンストレーションをする」、「⑪ゆかたの着付けの

デモンストレーションをする」、「⑫日本料理をする」、「⑬その他」について質問した。日本

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文化体験の結果をまとめた表 10をみると、全般的に SLの協働しているとする回答が多く、

JNの回答が尐ない。また、SLはより多くの項目で協働を行っていると回答している。インタ

ビューでは、SL は自分の所属機関にいる JN にその行事に関する専門知識がない場合は、他

の機関の日本人に前述の行事のデモンストレーション等を頼むということがわかり、SLは機

関内の JNに限らず、他の日本人に依頼をし、日本文化体験の催しを行っている様子がわかっ

た。

〔表 10〕日本文化体験 (アンケート Bの 10) (複数回答可) (名)

コースと授業の準備活動

大学 日本語学校 JN(13名) SL(7名) JN(4名) SL(7名)

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

①「文化祭」「日本語の日」等にどのような歌やドラマがいいか考える

1 2 4 5 5 1 7 5

②「文化祭」「日本語の日」等のために学習者に練習させる

1 2 3 1 4 6 3 7 5

③「文化祭」「日本語の日」等の招待状の作り方を教える

1 1 4 4 1 1 2

④「文化祭」「日本語の日」等の挨拶の仕方を教える

3 1 5 3 2 5 3

⑤「文化祭」「日本語の日」等のドラマのセリフを教える

1 3 1 5 4 4 4 1

⑥「文化祭」「日本語の日」等のために発音の仕方を教える

1 1 3 1 4 2 3 5 1

⑦スピーチコンテストに出る学習者のスピーチを練習させる

1 2 2 1 4 3 4 6 2

⑧書道のデモンストレーションをする 3 1 5 2 1 1 6 ⑨折り紙のデモンストレーションをする 2 1 1 4 2 2 1 2 3 1 ⑩茶道のデモンストレーションをする 1 2 1 5 1 4 ⑪ゆかたの着付けのデモンストレーションをする 1 2 1 5 4 5 1 ⑫日本料理をする 1 1 3 4 4 2 1 3 ⑬その他(映画、ドラマを見せたり、歌を聞かせたりする)

1 1

選択された項目数 10 10 9 9 12 12 4 3 8 12 9

エ.「学習者との活動への参加」

学習者との活動への参加では、「①学習者と一緒に日本料理を食べる」「②学習者と一緒に

フィールドトリップへ行く」についての回答を表 11に示す。このような活動に教師が参加す

ることはスリランカの他の外国語ではあまり見られない。①も②も JNと SLが一緒に参加し

ているようである。このことは大学でも、日本語学校でも同様である。但し、JN と SLが一

緒に「学習者との活動への参加」をすることによって、学習者の背景や考え方を JNと SLが

共有することができるだけでなく、スリランカ人の文化をあまり知らない JNに対して大きな

助けとなることが考えられるが、SLの回答と比べて協働で行うという JNの回答は尐なかっ

た。

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〔表 11〕学習者との活動への参加 (アンケートBの 10) (複数回答可) (名)

活動

大学 日本語学校 JN(13名) SL(7名) JN(4名) SL(7名) 1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

①学習者と一緒に日本料理を食べる 3 3 4 1 5 5 3 1 7 4 ②学習者とフィールドトリップへ行く 2 4 1 5 5 1 2 2 1 5 5 選択された項目数 1 2 2 2 2 2 2 1 1 2 2 2

オ.「教師の付き合い」

教師の付き合いでは「①教師会や研究会に参加する」「②職場で他の日本語の教師と食事を

する」「③その他」について聞いた(表 12)。①・②は、日本語学校の JNの参加が尐ないが、

大学の JN・SL、日本語学校の SLは多くが参加するとしている。インタビューからは、JNと

SLが交流する場として、SLが JNに授業に関する課題、文法の説明、語彙の説明、相談する

ことをあげ、一方、JNも授業で起こったことや、教授法のことを話しているとしていた。こ

れは 5.1.1で JNと SLが相談できることを重視していたことと呼応する。

〔表 12〕教師の付き合い (アンケート Bの 10) (複数回答可) (名)

活動

大学 日本語学校 JN(13名) SL(7名) JN(4名) SL(7名) 1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

1人で

JNと

SLと

①教師会や研究会に参加する 1 6 9 2 5 5 1 1 2 5 5 ②職場で他の日本語の教師と食事をする 4 8 2 6 6 2 4 5 3 ③その他 1 選択された項目数 1 3 2 2 2 2 1 2 2 2 2

カ.「行事を行う場合の対応」

この項目では、日本文化に関する知識や技術が足りない場合、どのような対応をするかに

ついて聞いている(表 13)。JNは「①他の教育機関にいる日本人教師に頼む」ことが多く、

SLは「③自分の教育機関にいる日本人教師に紹介してもらう」という対応が多かった。これ

は大学でも日本語学校でも同様であった。JN と SL 共にネットワークを持って、自機関で解

決できない場合、他の学校の教師の助けを借りていることがわかった。

〔表 13〕行事を行う場合の対応 (アンケート Bの 11) (複数回答可) (名)

活動 大学 *1 日本語学校 *2 JN(7名) SL(7名) JN(4名) SL(7名)

①他の教育機関にいる日本人教師に頼む 4 2 2 ②スリランカに住んでいる一般の日本人に頼む 3 1 1 2 ③自分の教育機関にいる日本人教師に紹介してもらう 3 6 5 ④教師会などで、それに関する知識を得て自分でする 1 2 1 ⑤日本にいる知り合いの日本人の専門家に頼む 1 2 ⑥その他 1 2 1 選択された項目数 5 5 3 6

*1無回答:5名 *2無回答:1名

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5.2.2 課題 2の結果とまとめ

以上の結果から、スリランカの日本語教育機関では、科目担当について、JN と SLが対等

に1人で担当をする分業制が基本となっており、あまり TTを行わないことがわかった。それ

は、時間がなく、負担が重く、さらにその意味が意識されていないことが理由として考えら

れた。スリランカの大学や日本語学校では、同じ時間帯に JNと SLが並行して授業を行って

いるため、物理的に TTを行うことができにくく、さらに、特に、大学では業務以外にも、教

師会活動、教育省から委託される高校の日本語の Aレベル試験の作成・実施などによる多忙

が背景にある。

教室外の活動を見ると「ア.コース運営」に関して、大学では全般的に協働活動が多いが、

日本語学校では SLの回答数の方が多い項目が多く、SL の方が中心となってコース運営を行

っているようである。「イ.試験作成」に関しては、日本語学校より大学において JNと SL

の協働活動が見られた。「ウ.文化体験」は、大学においても日本語学校においても JN と

SLが JNと行っていると回答しており、協働で行うという JNの回答は、特に日本語学校で尐

なかった。「エ.学習者との活動への参加」、「オ.教師の付き合い」では、大学と日本語学

校ともに、JN と SL が共に参加している様子が見られた。教室外において、日本文化関連行

事を行う場合の対応は、JNは他の教育機関の JNに頼むことが多いが、SLは所属機関にいる

JNに頼む傾向がある。

6. 考察と今後の課題

以上の調査の結果、スリランカの日本語教育機関では、JNと SLの協働活動は科目を共同

で担当する形ではなく、教室外の活動が中心となっていることがわかった。このような協働

活動の中でJNとSL双方が不安な点について相談でき、励まし合い、助け合いを望んでいる。

特に、SLは日本語教育に関する知識を JNから教えてもらうことを重視していた。協働によ

り、両者のそれぞれの期待がある程度満たされていることから SLも JNも協働に関して一定

の満足度がある。但し、5.1.2で見たように、コース内外の仕事分担に対して満足度の違い

があることから、SLが JNに期待することと JNが SLに期待することにはずれがあることが

わかった。SLは JNの「SLにもっと分担を増やしてほしい」という期待をあまり理解してい

ないことが窺える。このずれを解決するためには、お互いの問題を意識し、より深くコミュ

ニケーションを取っていく必要があろう。また、SLは JNに頼るだけでなく、本調査でわか

った、例えば、論文指導等を JNだけに任せず、SLも分担していく方法を考えていくべきで

ある。

また、5.1.1に関するインタビューから、SLがリーダーシップを取っている機関もあるこ

とがわかった。この機関では、SLがリーダーの役割ではあるが、JNもリソースパーソンとし

て様々な場面で指導的な役割を果たしているということのようである。このように機関ごと

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に、どのような関係性で協働を行っているかについて教師会で意見交換をすることなどが、

自分の機関の協働を客観的に見直すことにつながるのではないか。そして、それぞれの機関

の特徴を考慮しつつ、協働のあり方を探る必要があるだろう。

また、SL は JN との間に対等なパートナーシップがあると考える傾向があるが、コース運

営の中で、例えば日本語の文法の説明、シラバス作成、試験作成、日本文化体験の際には JN

に依存している様子が見られた。このような依存型の協働の中で SLは教師の専門性を高めて

いると考える。

一方、JNが SLから学ぶこともあり、JNと SLが共に助け合う、学び合う意味での協働もあ

ると言えよう。池田・舘岡(2003)では「教育に対して同じ目的を持ち、お互いに補う技術

を持つ者同士が、一人では到達できないこと、意見交換して共に行動すること」という協働

のあり方をあげている。このようにお互いの学びにつながる協働をスリランカの教育現場に

もたらすことが必要である。そのために有効な方法の一例として TTがある。

しかしながら、前述したように、実際には仕事の負担が多く TTの実施が難しいこと、また、

特に SLは TTについてあまり知識がないこともわかった。そこでまず、基本的な TTに関する

理解を図るため、TTの成功事例を作り、それを教師会で模擬授業を行うことなどで広めて行

くことを提案したい。百瀬(1996)も TTの効果は NTにも NNTにもあると述べているが、TT

を JNと SLが一緒に行う場合、そのためのコース運営を行う中で、SLも JNも共に授業の計

画・実施、評価について考えていくことが必要となる。それを通して、本調査でも見られた、

SLが弱点と感じている日本語・文化の知識や教授技術などの、教師としての専門性の向上を

図ることができ、JN は SLに問題を相談することができる。このようにお互いの力や抱える

問題を理解し合うことが、JN と SL間により対等なパートナーシップをもたらし、それが、

学習者の日本語能力の向上にもつながっていくのではないだろうか。

本研究では、スリランカの日本語教育における JNと SLの協働に対する考えと、実際に行

っている協働活動を把握することを試みた。今後は、今回の調査の結果を踏まえて、様々な

協働のあり方を具体的に探りたい。特に、具体的な TTのモデルについて見ていくため、本研

究で使用しなかった授業録画データや職場観察データを利用するだけでなく教室活動の調査

を行いたいと考える。

1 この試験は旧日本語能力試験 3級程度である。1979年は 1校のみであったが、2006年に

なると 59校まで日本語を教える学校が増加している。コロンボ中心であった日本語教育

はコロンボ郊外にも広まった。2001年には、General Certificate of Education (Ordinary

Level) Examination、つまり中学卒業試験兼高校入学試験の選択科目にも日本語が導入

されている。2009年海外日本語教育機関調査結果によると、受験者数は中等教育機関で

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は 5397名、高等教育機関では 237名となっている。国際交流基金「海外における日本語

教育 日本語教育国別情報 2010年度」

<http://www.jpf.go.jp/j/Japanese/survey/country/2010/srilanka.html>参照。

2 基準に基づいた筆記試験(一般常識と数学のテスト)を受験する。筆記試験に合格する

と、面接試験を受ける。

3 ○21「他の教師と一緒より自分 1 人で仕事を進めた方がいい」は肯定・否定の意味合いが

他とは逆転している項目である。

4 調査では、同じ 22項目で「各機関における協働の現状認識」についても質問している(ア

ンケート C14)が、細かい違いはあったものの全体的に同様の結果であった。1)日本語

教育に関しては、両質問への全体的な回答の傾向にはあまり差がなかったが、「協働の考

え」を聞いた C13 の方が若干肯定的な回答が多かった。SLの回答の傾向には、2)関係性、

3)職場環境に関して、両質問での JNと SLの回答にほとんど差がなかった。このことか

ら JNと SLの「協働に関する考え」も「各機関における協働の現状認識」もほぼ同様と考

えられる。

5 調査協力者の個人番号である。

6 高校の中で唯一 JNと SLが一緒に教えている A 高等学校では科目分担は同じ科目を曜日

などによって分担して教えている。自由記述とインタビューから、SL は JN に、会話、

論文・レポートの指導の担当を期待していることがわかった。一方、文法の授業での説

明、文学でのスリランカの言語での説明について、JN が SL が担当することを期待して

いる。「ア.コース運営」では、「文法の説明」「授業の見学」で協働活動を取り入れてい

る。SLの回答には、「イ.試験関係」では「学期末試験を作る」、「小テストを作る」「試

験の採点をする」は積極的に協力して一緒に行っているとあったが、JNは無回答であっ

た。また、「ウ.日本文化体験」に関する協働を見てみると、SL の回答では JN と SLが

協働で行う項目は非常に多いが、JNの回答では、項目数が尐なかった。インタビューで

の SLの回答では「日本にいる知り合いの日本人の専門家に頼む」「急用があった場合は、

JNにその日の科目担当を頼むことができて安心している」などがわかった。

参考文献

(1) 阿部洋子・横山紀子(1991)「外国人日本語教師の利点を生かした教授法を求めて」

『国際交流基金日本語国際センター紀要』第 1号、53-74、205-206.

(2) 池田玲子・舘岡洋子(2007)『ピア・ラーニング入門 創造的な学びのデザインのた

めに』ひつじ書房

(3) 井上亜子(1999)「スリランカにおける日本語教育の現状と課題」『世界の日本語教育

日本語教育事情報告編』5、137-155.

Page 20: スリランカの日本語教育機関における ネイティブ・ …jlc/jlc/ronshu/2011/Shirani.pdf日本言語文化研究会論集 2011年第7号 【特定課題研究報告】

(4) 岡本和恵(2010)「「ネイティブ」教師・「ノンネイティブ」教師の意識とその実践―

ティーム・ティーチングを通して見えてきたもの―」『阪大日本語研究』22、205-235.

(5) 澤邉裕子・金姫謙(2005)「韓国の中等教育段階における日本語母語話者参加の実際

とその意義」『国際交流基金日本語教育紀要』第1号、国際交流基金、115-127.

(6) 百瀬侑子(1996)「海外における若手 Non-native 教師養成のための日本語 Team

Teaching」『国際交流基金日本語国際センター紀要』6、33-49.

(7) 山本和子(2001)「スリランカの日本語教育への協力―中等教育機関のスリランカ人

教師支援―」『小出記念日本語教育研究会論文集』9、89-103.

(8) 和田衣世(2007)「スリランカの大学生の言語学習ビリーフから日本語教育の改善を

考える」『国際交流基金日本語教育紀要』第 3号、国際交流基金、13-23.

(9) ストリャロヴァ,ユーリヤ(2004)「ウズベキスタンの高等教育機関の日本語講座に

おける現地人教師と日本人教師の役割に関する一考察」『日本語教育指導者養成プロ

グラム論集』第 3号、291-320.

(10) ロクガマゲ,サマンティカ(2007)「目標言語を第 2言語とする教師とその実践―ス

リランカの日本語教師のケーススタディー―」『阪大日本語研究』19、193-221.

(11) ロクガマゲ,サマンティカ(2008)「初級クラスにおける媒介語の使用とやり取りの

構造―日本語第 2言語とするスリランカの日本語教師の考え方と授業実践―」『阪大

日本語研究』20、167-195.

(12) Braine, G. (1999) Non-Native Educators in English Language Teaching. Mahwah,

NJ: Erlbaum.

(13) Enric, L. (2005) Non-Native Language Teachers Perceptions, Challenges and

Contributions to the Profession. New York: Springer.

(14) Holliday, A. (2005) The Struggle to Teach English as an International Language.

Oxford: Oxford University Press.

(15) Jorden, E. (1987) The target–native and the base–native: making the team.

Journal of the Association of teachers of Japanese 21:1.

(16) Knezevic, A. & Scholl, M. (1996) Learning to teach together: Teaching to learn

together. In D. Freeman &J. C. Richards (Eds.) Teacher Learning in Language

Teaching. New York: Cambridge University Press, 79-96.

(17) Kramsch, C. (1997) The privilege of the nonnative speaker. PMLA, 112: 359-369.

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添付資料① アンケート番号_______

アンケート回答のお願い

ネイティブ・ノンネイティブ日本語教師の役割-協働の意義の考察-

このアンケートはスリランカの日本語教育における日本人日本語教師(日本人教師)・スリランカ

人日本語教師(スリランカ人教師)の役割や協働の意義について調べるものです。このアンケートに

書かれた個人情報は調査の目的以外には一切使用しませんので、ご協力お願い申し上げます。

コランバゲ、シラーニ

政策研究大学院大学

国際交流基金日本語国際センター

連絡先:24shirani@gmail.com

アンケート用紙の回答についてさらに具体的に伺いたい場合は、後ほどでフォローアップインタビ

ューをさせていただきますので、教育機関名、お名前、ご連絡先を差支えなければお書きください。

1. 教育機関名:___________________________

2. お名前:_____________________________

3. ご連絡先:

ご住所:_____________________________

お電話番号:___________________________

メールアドレス:_________________________

スカイプアドレス:________________________

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□には✓を入れてください。

4. 性別: ☐男 ☐女

5. 国籍: ☐スリランカ人 ☐日本人 □その他( )

6. 年齢: ☐20代 ☐30代 ☐40代 ☐50代 ☐60代以上

7. 教えている学習者の学習レベル:☐初級 ☐中級 ☐上級

8. 日本語教師としての経験_____年間

9. あなたの現在の所属教育機関に日本人教師とスリランカ人教師は何名いますか(ご自身も含めて)。

日本人教師( )名 スリランカ人教師( )名

質問 10は日本人教師のみ回答してください。

10. 日本語教師としてスリランカの職場でノンネイティブ教師と働いたことがありますか。

□はい それは何年間ですか。 ___年間

どこでですか。______________

□いいえ

質問 11、12、13、14、15はスリランカ人教師のみ回答してください。

11. 日本語学習歴: 期間 年 ヶ月

学習機関名:

12. 日本語教師として日本人教師と働いたことがありますか。

□はい それは何年間ですか。 ___年間

□いいえ

13. 日本滞在歴渡日経験: ☐ある (☐1年未満 ☐1年以上2年未満

□2年以上5年未満 □5年以上10年未満 □10年以上)

☐ない

14. 日本語能力試験に合格しましたか。

☐はい 何級ですか。○で囲んでください。

1級 2級 3級 4級 、 N1 N2 N3 N4 N5

☐いいえ

15. 今まで日本語教師養成/教師研修プログラムを受けたことがありますか。

□はい そのプログラムの名前をお書きください。

_____________________

_____________________

_____________________

□いいえ

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次の質問に答えてください。質問はA.コース内(科目、コース・授業の準備、授業活動、試験、その他、

全体)、B.コース外、C.日本人教師・スリランカ人教師の協働、という順番で伺います。またそれぞれの役

割分担、協働活動についてのご意見も伺います。当てはまるものがあれば☐や表に✓を入れてください。

自由記述欄にはできるだけ詳しくお書きください。

A.コース内

<科目>

1)現在、あなたは以下の科目の中でどのような科目を担当していますか。

まず担当している科目の□に✓をしてください。

また、その科目はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人教師と」、「スリランカ人教師と」の

3つから選んでください。

科目 1人で 日本人教

師と

スリラン

カ人教師

例.☑①文法 ✓

☐ ①文法

☐ ②会話

☐ ③読解

☐ ④表記(ひらがな・カタカナ・漢字)

☐ ⑤聴解

☐ ⑥文化

☐ ⑦文学

☐ ⑧論文/レポート

☐ ⑨その他( )

<コース・授業の準備>

2)現在、あなたは以下のコースや授業の準備のためにどんなことをしていますか。

まず、している活動の□に✓してください。

また、その活動はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人教師と」、「スリランカ人教師と」の3

つから選んでください。

コースや授業の準備活動 1人で 日本人教

師と

スリラン

カ人教師

例.☑a学習者のニーズ調査をする ✓

①� 日本語コースのシラバス作成

□a学習者のニーズ調査をする

□bコースで使用する主教材(教科書)を決める

□c シラバスを作る

□dでき上がったシラバスを直す

□e誰がどの科目を担当するか決める

□fその他( )

コースや授業の準備活動 1人で 日本人教

師と

スリラン

カ人教師

② 教案の作成

□a授業の流れを書く

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☐b教案をチェックする

□c例文を作る

□dその他( )

③ 教材作成

□a教具(絵カードや文字カード)を作る

□b宿題の問題シートを作る

□c授業で使用する実物を用意する

□dその他( )

④ 情報交換

□a他の教師に学習者の情報を知らせる

□b他の教師に教育機関スケジュールなどを伝える

□cスリランカの情報を伝える

□dその他( )

⑤ 文法の説明

□a他の教師に授業の分からない所を教える

□b他の教師から授業の分からない所を教えてもらう

□c文法項目の説明の仕方を話し合う

□dその他( )

⑥ 授業の見学

□a自分の授業を他の教師に見学してもらう

□b他の教師の授業を見学する

□cその他( )

⑦ 教材のコピー作成

□a使用する教材のコピーをする

□bその他( )

<授業活動>

質問 3、4、5は、質問 1)で「スリランカ人教師と教えている科目がある」と答えた方のみ答えてくださ

い。

3)1)で「スリランカ人教師と教えている科目がある」と答えた方にお聞きします。その科目名をすべて

下の にお書きください。

科目名:

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その科目で、している活動の□に✓を入れてください。

また、その活動はどなたがしていますか。「日本人教師」、「スリランカ人教師」、「日本人教師とスリラ

ンカ人教師」の3つから選んでください。

授業活動

日 本 人

教師

スリラン

カ人教師

日本人教

師とスリ

ランカ人

教師

☐ ①学習者の会話の相手になる

☐ ②日本語の文法や語彙をシンハラ語で説明する

☐ ③日本語の文法や語彙を日本語で説明する

☐ ④ドリル練習のキューを出す

☐ ⑤学習者の質問にシンハラ語で答える

☐ ⑥学習者の質問に日本語で答える

☐ ⑦発音のモデルになる

☐ ⑧論文やレポートの指導をする

☐ ⑨作文の添削

☐ ⑩その他( )

☐ ⑪その他( )

4)上でお書きになった科目ではスリランカ人教師とどのように分担していますか。

□に✓をしてください。

□ ①スリランカ人教師と一緒に教室に入って1つの授業を行う

□ ②同じ科目を時期によって交替で教える

□ ③同じ科目を曜日などによって分担して教える

□ ④必要な活動(例:会話のモデル、日本事情のデモンストレーションなど)の場合にだけ授業の分担

をする

□ ⑤その他( )

5)3)であげた科目の中であなたがよく担当している授業について思い出してください。特に①スリラン

カ人教師と一緒に教室に入って1つの授業を行ったり、④必要な活動の場合にだけ授業の分担をしたり

している科目があれば、その科目について伺います。最近行なった一回の授業をできるだけ具体的にお

書きください。できれば教案のコピーをいただければありがたいです。(チームティーチングの場合には

分担もお書きください。)

<試験>

6)現在、あなたはどんな試験作成をしていますか。

まず、している試験作成の□に✓してください。

また、試験作成はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人教師と」、「スリランカ人教師と」の3

つから選んでください。

試験作成

1人で 日本人

教師と

スリラン

カ人教師

例.☑①学期末試験を作る ✓

☐ ①学期末試験を作る

☐ ②小テストを作る

☐ ③口頭試験を作る

☐ ④その他 ( )

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7)現在、あなたは他のどんな試験業務をしていますか。

まず、している試験業務の□に✓してください。

また、試験業務はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人教師と」、「スリランカ人教師と」の3

つから選んでください。

<その他>

8)現在、あなたは他のどんな仕事をしていますか。

まず、している仕事の□に✓してください。

また、その仕事はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人と」、「スリランカ人と」の3つから

選んでください。

その他の仕事

1人で 日本人教

師と

スリラ

ンカ人

教師と

例.☑①日本語の本を管理する ✓

☐ ①日本語の本を管理する

☐ ②図書館の本を整理する

☐ ③図書館の本のリストを作る

☐ ④コースのA,B,Cなどの成績を付ける

☐ ⑤ファイルを整理する

☐ ⑥学習者の進学書類に記入する

☐ ⑦その他( )

<全体>

9)あなたは今のコース内での仕事分担に満足していますか。

☐満足している □どちらともいえない ☐満足していない

それはどうしてですか。

その意見と関係がある具体的な例やエピソードをお書きください。

その他の試験業務

1人で 日本人教

師と

スリラン

カ人教師

例.☑①試験の前に試験を最終的にチェックする ✓

☐ ①試験の前に試験を最終的にチェックする

☐ ②試験の採点をする

☐ ③マークシートに点数を付けて担当部署に送る

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B.コース外

10)現在、あなたはどんなコース外の活動をしていますか。

まず、しているコース外活動の□に✓してください。

また、コース外の活動はどなたと担当していますか。「1人で」、「日本人教師と」、「スリランカ人教師

と」の3つから選んでください。

活動 1人で 日本人教

師と

スリラン

カ人教師

例.☑a「文化祭」、「日本語の日」などに、どのような歌や、ドラ

マがいいか考える

① 文化祭」、「日本語の日」などの行事を行う

□a「文化祭」、「日本語の日」などに、どのような歌や、ドラマが

いいか考える

□b「文化祭」、「日本語の日」などのために、学習者に練習させる

□c「文化祭」、「日本語の日」などの招待状の作り方を教える

□d「文化祭」、「日本語の日」などの挨拶の仕方を教える

□e「文化祭」、「日本語の日」などのドラマのセリフを教える

□f「文化祭」、「日本語の日」などのために発音の仕方を教える

□g スピーチコンテストに出る学習者のスピーチを練習させる

②日本事情を紹介する

□a 書道をデモンストレーションする

□b 折り紙のデモンストレーションをする

□c 茶道のデモンストレーションをする

□dゆかたの着付けのデモンストレーションをする

□e日本料理を作る

□fその他( )

☐③学習者と一緒に日本料理を食べる

☐④学習者と一緒にフィールドトリップへ行く

☐⑤教師会や研究会に参加する

☐⑥職場で他の日本語の教師と食事をする

☐⑦その他( )

11)「文化祭」、「日本語の日」などの行事を行う際、または日本事情を紹介する際、あなたや同僚の教師に

日本文化に関する知識や技術が足りない場合、どのような対応をしますか。以下の中でしていることの□

に✓してください。

□①他の教育機関にいる日本人教師に頼む

□②スリランカに住んでいる一般の日本人に頼む

□③自分の教育機関にいる日本人教師に紹介してもらう

□④教師会などで、それに関する知識を得て、自分でする

□⑤日本にいる知り合いの日本人の専門家に頼む

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□⑥その他( )

12)10)と 11)でチェックしたコース外の仕事分担に満足していますか。

☐満足している □どちらともいえない ☐満足していない

それはどうしてですか。その意見と関係がある具体的な例やエピソードをお書きください。

C. 日本人教師・スリランカ人教師の協働

13)日本人教師・スリランカ人教師の協働に関するあなたのご意見をお聞かせください。当てはまる番号

を○で囲んでください。

強く賛成 賛成 どちらとも あまり賛成 まったく

言えない しない 賛成しない

5 4 3 2 1

① お互いに助け合うことができる 5 4 3 2 1

② お互いに励まし合うことができる 5 4 3 2 1

③ 意見交換ができて教師力が伸びる 5 4 3 2 1

④ 楽しく仕事ができる 5 4 3 2 1

⑤ 文法や語彙の説明をしてもらえる 5 4 3 2 1

⑥ 教授法の説明をしてもらえる 5 4 3 2 1

⑦ 日本文化を教えてもらえる 5 4 3 2 1

⑧ スリランカの文化や学習者について説明してもらえる 5 4 3 2 1

⑨ 仕事を分担すると負担は減る 5 4 3 2 1

⑩ 自分にない発想がえられる 5 4 3 2 1

⑪ スリランカ人がアシスタントになる 5 4 3 2 1

⑫ 日本人がアシスタントになる 5 4 3 2 1

⑬ スリランカ人がリーダーになる 5 4 3 2 1

⑭ 日本人がリーダーになる 5 4 3 2 1

⑮ 大使館や日本人コミュニティーなどとネットワークを作ることがで

きる

5 4 3 2 1

⑯ 自分の言語知識をふやすことができる 5 4 3 2 1

⑰ 対等なパートナシップにはなる 5 4 3 2 1

⑱ 自分の役割がはっきりしている 5 4 3 2 1

⑲ 多くの質問をするのは相手にとって迷惑なことではない 5 4 3 2 1

⑳ 他の教師と一緒より自分一人で仕事を進めた方がいい 5 4 3 2 1

○21 相談する時間が取りやすい 5 4 3 2 1

○22 不安なことについて相談できる 5 4 3 2 1

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14番は現在日本人教師・スリランカ人教師の両方がいる職場で教えている方のみ回答してください。

14)現在の状況を教えてください。当てはまる番号を○で囲んでください。

よく だいたい どちらとも あまり まったく

当てはまる 当てはなる 言えない 当てはまらない 当てはまらない

5 4 3 2 1

① お互いに助け合うことができる 5 4 3 2 1

② お互いに励まし合うことができる 5 4 3 2 1

③ 意見交換ができて教師力が伸びる 5 4 3 2 1

④ 楽しく仕事ができる 5 4 3 2 1

⑤ 文法や語彙の説明をしてもらえる 5 4 3 2 1

⑥ 教授法の説明をしてもらえる 5 4 3 2 1

⑦ 日本文化を教えてもらえる 5 4 3 2 1

⑧ スリランカ文化や学習者について説明してもらえる 5 4 3 2 1

⑨ 仕事を分担すると負担は減る 5 4 3 2 1

⑩ 自分にない発想がえられる 5 4 3 2 1

⑪ スリランカ人がアシスタントになる 5 4 3 2 1

⑫ 日本人がアシスタントになる 5 4 3 2 1

⑬ スリランカ人がリーダーになる 5 4 3 2 1

⑭ 日本人がリーダーになる 5 4 3 2 1

⑮ 大使館や日本人コミュニティーなどとネットワークを作ることがで

きる

5 4 3 2 1

⑯ 自分の言語知識をふやすことができる 5 4 3 2 1

⑰ 対等なパートナシップにはなる 5 4 3 2 1

⑱ 自分の役割がはっきりしている 5 4 3 2 1

⑲ 多くの質問をするのは相手にとって迷惑なことではない 5 4 3 2 1

⑳ 他の教師と一緒より自分一人で仕事を進めた方がいい 5 4 3 2 1

○21 相談する時間が取りやすい 5 4 3 2 1

○22 不安なことについて相談できる 5 4 3 2 1

全員の方が答えてください。

15)日本人教師・スリランカ人教師の協働について御意見をお書きください。できれば、その意見と関係

がある具体的な例やエピソードをお書きください。

これで質問は終わりです。御協力どうもありがとうございました。

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添付資料②

フォローアップ・インタビューの質問内容

質問 5 「科目担当」

①コースの期間

②コース目的

③学習者の人数

④学習者のレベル

⑤教師の特徴

⑥授業の時間数

⑦週当たりの授業回数

⑨授業の内容・方法

⑩JNとSLの分担

質問9「コース内の仕事分担」

①仕事分担を誰が決めるか

②①についての意見

③相手(JN/SL)に対する希望

④役割分担のコースにおける意味

⑤JN/SLが一緒に教える利点

⑥JN/SLが一緒に教える問題点

質問 12「コース外の仕事分担」

①コース外の活動の困難点

②JN・SLの仕事分担

③仕事分担の利点

④仕事分担の問題点

⑥仕事分担の現状

⑦具体的な問題

質問 15「JN・SLの協働一般」

①「㉑他の教師と一緒より自分1人で仕事を進めた方がいい」の回答の理由

②課題の解決方法

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添付資料③

JNとSLの協働についての考え(アンケートCの13)

* 1 JN (18名) * 2 SL(15名)

強く賛成 賛成どちらともいえない

あまり賛成しない

全く賛成しない

強く賛成 賛成どちらともい えない

あまり賛成しない

全く賛成しない

①文法や語彙の説明をしてもらえる/できる 5(28%) 9(50%) 1(6%) 1(6%) 7(47%) 7(47%) 1(7%)日本語の ②教授法の説明をしてもらえる/できる 2(11%) 9(50%) 3(17%) 1(6%) 6(40%) 7(47%) 1(7%) 1(7%)教育 ③日本文化を教えてもらえる/できる 5(28%) 6(33%) 2(11%) 3(17%) 10(67%) 1(7%) 4(27%)

④自分の言語知識を増やすことができる 5(28%) 9(50%) 2(11%) 1(6%) 8(53%) 7(47%)⑤スリランカ人がアシスタントになる 3(17%) 10(56%) 2(11%) 2(11%) 2(13%) 4(27%) 4(27%) 1(7%) 4(27%)⑥日本人がアシスタントになる 1(6%) 4(22%) 9(50%) 1(6%) 2(13%) 4(27%) 4(27%) 2(13%) 3(20%)

関係性 ⑦スリランカ人がリーダーになる 2(11%) 4(22%) 8(44%) 3(17%) 1(7%) 3(20%) 7(47%) 1(7%) 3(20%)⑧日本人がリーダーになる 3(17%) 11(61%) 2(11%) 1(6%) 1(7%) 2(13%) 6(40%) 3(20%) 3(20%)⑨対等なパートナーシップになる 6(33%) 5(28%) 6(33%) 6(40%) 5(33%) 4(27%)⑩お互いに助け合うこと 11(61%) 5(28%) 1(6%) 10(67%) 5(33%)⑪お互いに励まし合うこと 10(56%) 5(28%) 2(11%) 8(53%) 3(20%) 4(27%)⑫意見交換ができて教師力が伸びる 10(56%) 5(28%) 2(11%) 10(67%) 5(33%)⑬スリランカの文化について説明してもらえる/できる 11(61%) 5(28%) 6(40%) 3(20%) 4(27%) 1(7%) 1(7%)⑭不安なことについて相談できる 5(28%) 10(56%) 2(11%) 9(60%) 5(33%) 1(7%)⑮自分にない発想が得られる 11(61%) 6(33%) 9(60%) 6(40%)⑯楽しく仕事ができる 9(50%) 5(28%) 3(17%) 8(53%) 3(20%) 4(27%)

職場 ⑰仕事を分担すると分担は減る 4(22%) 7(39%) 5(28%) 1(6%) 8(53%) 6(40%) 1(7%)環境 ⑱日本人とネットワークを作ることができる 5(28%) 7(39%) 4(22%) 1(6%) 8(53%) 6(40%) 1(7%)

⑲自分の役割がはっきりしている 2(11%) 8(44%) 5(28%) 2(11%) 6(40%) 3(20%) 2(13%) 4(27%)⑳多くの質問をするのは相手にとって迷惑ではない 4(22%) 8(44%) 4(22%) 1(6%) 7(47%) 2(13%) 4(27%) 1(7%) 1(7%)㉑他の教師と一緒より自分一人で仕事を進めたほうがいい 2(11%) 11(61%) 2(11%) 2(11%) 4(27%) 11(73%)㉒相談する時間がとりやすい 2(11%) 5(28%) 8(44%) 2(11%) 4(27%) 6(40%) 1(7%) 4(27%)

(%は尐数以下を四捨五入した)

* 1JNに対しては①・②・③・④の項目をJN がSLに教える/説明すると考えて回答してもらった。また、⑬について、SLにスリランカの文化について説明す

ることとして回答してもらった。

* 2無回答:④・⑤・⑦~⑫、⑭~㉒で1名、①・②・③・⑬で2名、⑥で3名。