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エクアドル共和国 タバクンド地区農業・農村総合開発計画 ラタクンガーサルセドーアムバト 地区 港概用水汚染対策事業計画 ホンジュラス共和国 オロボリ地区濯親閲発計画 プロジェクト ファインディング調査報告書 平成 5年11月 社団法人 海外農業開発コンサルタンツ協会

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  • エクアドル共和国

    タバクンド地区農業・農村総合開発計画

    ラタクンガーサルセドーアムバト 地区港概用水汚染対策事業計画

    ホンジュラス共和国

    オロボリ地区濯親閲発計画

    プロジェクト ファインディング調査報告書

    平成 5年11月

    社団法人 海外農業開発コンサルタンツ協会

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    図-3 計画概要図 オロボリ地区藩漉開発計画

  • まえがき

    本報告書は平成5年10月16日から11月6日迄の22日間にエクアドル共和国及

    びホンジュラス共和国で実施した下記プロジェクトに係るプロジェクト ファインディ

    ング調査の結果を纏めたものである.

    1)エクアドル共和国 タバクンド地区農業・農村掩合開発計画

    ラタタンガーサルセド-アムバト地区

    港漬用水汚染対策事業

    2)ホンジュラス共和国: オロボリ地区溝渡開発計画

    調査は社団法人海外農業頗発コンサルタンツ協会(ADCA)から派遣された下記の

    調査B]により実施された.

    調査団 : 天野 斯文 内外エンジニアリング株式会社

    今次調査にあたりエクアドル水資源庁(INERHI)、在エクアドル国日本大使館、

    エクアドル水資源庁派遣J I CA専門家。及び

    ホンジュラス天然資源省水資源局、在ホンジュラス国日本大使館、在ホンジュラス国J

    I CA事務所、水資源局推遭J I CA専門家など多くの方々から多大な協力と助言を噴

    いた。これらの方々に対し深甚なる謝意を表する次第である。

    平成5年11月

  • エクアドル共和国

    タバクンド地区農業・農村総合開発計画

    ラタクンガーサルセドーアムバト 地区

    潅漑用水汚染対策事業計画

    ホンジュラス共和国

    オロボリ地区潅漑開発計画

    プロジェクト ファインディング調査報告書

    目 次

    エクアドル 計画位置図

    計画概要図‥タバクンド地区農業・農村総合開発計画

    計画概要図‥ラタクンガーサルセドーアムバト地区潅漑用水汚染対策事業計画

    ホンジュラス 計画位置図

    計画概要図‥オロボリ地区漕漑開発計画

    まえがき

    1.エクアドル共和国の概要

    1.1自然概況

    1.2社会一経済概況

    1.3農業の現況

    1.4濯漑の現状

    1.5国家開発計画(農牧部門)

    1.6農牧部門開発機関の機構改革

    2・タバクンド地区農業・農村総合開発計画

    2.1計画の背景及び経緯

    l

     

    1

     

    2

     

    3

     

    4

     

    5

     

    7

  • 2.2計画地区の概要

    2.3計画の目的及び目標

    2.4計画の概要

    2.5総合所見

    3.ラタクンガーサルセドーアムバト地区潅漑用水汚染対策事業計画

    3.1計画の背景及び経緯

    3.2計画地区の概要

    3.3潅漑用水水質汚染の実態

    3.4水質保全についての現行法体制

    3.5水質汚染対策への取組み

    3.6総合所見

    4.ホンジュラス共和国の概要

    4.1自然概況

    4.2主要指標

    4.3農業の現況

    4.4潅漑農業の歩み

    4.5国営漕漑開発業務の合理化

    5.オロボリ地区漕漑開発計画

    5.1計画の背景及び経緯

    5.2計画地区の概要

    5.3既存事業改修及び拡大計画

    5.4総合所見

    5.5 その他の計画

    付属資料:

    1.タバクンド地区開発調査T/R (水資源庁)

    2.オロボリ地区開発調査T/R (水資源局)

    3.調査日程

    4.面会者リスト

    5.収集資料リスト

    6.現地写真

    0 3 .d. 7

    1  1  1  1

    9  0  1  2  2  3

    1  2  2  2  2  2

    4  4  5  5  7

    2  2  2  2  2

    8  9  0  2  3

    2  2  3  3  3

    付属資料1

    付属資料2

    付属資料3

    付属資料4

    付属資料5

    付属資料6

  • エクアドル共和国

  • 1.エクアドル共和国の概要

    1.1 自然概況

    エクアドル共和国は南米大陸北西部の赤道下に位置し、北緯1o 30′.-南緯4o 30′

    西経75o -81o の問に拡がっている。北はコロンビア、南及び東をペルーと接し、西は

    太平洋に面している.国土面積は270,670 km2であり、内陸部262,660km2、ガラバゴ

    不語島8,010knコに区分される.

    エクアドル内陸は南北に縦走するアンデス山系によって次の3地域に分けられる。

    a)太平洋沿岸部地域(コスタ)

    b)アンデス山系内高原部地域(シエラ)

    c)アマゾン東部地域(オリエンテ)

    69,370kn=

    72, 920′.

    120, 370′′

    262 660knl

    コスタは太平洋沿岸平坦地と、これに続くアンデス山系西部の傾斜地で形成される地域

    で永年の洪水堆積による肥沃な土壌をもつ。北上するフンボルト海流(寒流)と、南下

    する赤道暖流(エル・ニーニョ) )が当国沖合いで会し、気候上の重要因子を形成する。

    これにより南部はペルー沿岸砂漠限界に続く半砂漠地帯、北部コロンビア寄りは熱帯湿

    潤地帯を形成しているが、赤道暖流の勢力の消長がこの地域の洪水、早魅に大きく影響

    する.降水量は南部ペルー寄りの80mmから北部コロンビア寄り4,000mm と地域差が大き

    い。平均気温は24℃、 12月から 5月が雨期である。コスタは一部の沿岸乾燥地域を除き、

    概ね気候、水、地形土壌に恵まれた地域と言える。

    2つに分渡したアンデス山系と、その横断的な二次的屈曲構造によって枠組みされるシ

    エラ地域は、多くの盆地、高原地帯を形成している。

    北部、中部の土壌は概して火山性であり、南部では続出堆積によって形成されたものも

    ある。域内諸河川が東西へ流出する有効な排水経路として機能するため洪水問題は少な

    いが、傾斜地のエロージョンが深刻な問題となっている。

    一般にアマゾンからの湿った空気は東側アンデス山脈によって遮られ、その裏側に位置

    する盆地、高原地帯の降水量は少ないが、東側山脈が低く吹き抜けとなる部位では豊富

    な雨量に恵まれており、地形によって多様な気候条件を有する。平均気温は10℃-18℃

    であるが、地形または高度によってはより低いケースがある。雨期は10月から5月、年

    間降水量は300皿m-3,000mm と局所変化が激しい。気象上の顕著な多様性と、土壌、水

    の制限要素があるが、殆どの土地が農業牧畜に利用されている。

    - 1 -

  • アマゾン地域は赤道地帯降雨パターンとして3,000 ⅢⅢ-6,000 m皿と多量の降水量をもち、

    平均気温は23℃-26℃を示している。

    アンデス山脈の東方山裾およびアマゾン川上流の段丘では部分的な氾濫源、堆積による

    テラス部を除いて生産性の低い粘土地帯である。

    一般に環境的に脆弱であり、低部地域の常習的浸水という問題を抱えるこの地域はさし

    迫った農業開発の対象たり得ないと考えられる。

    ガラパゴス諸島の主要項目は環境保全であって、農業及び牧畜からの視点からは土壌の

    劣悪さ、用水供給の困難さから重要性が認められない。

    エクアドルの土地利用は、僅かに2 3%が農業に利用されているが浅部は樹林地及び熱

    帯森林並びに高山地帯の草生を形成する高原や草地である。土地利用現況を下に示す

    種別 面積(1000Ha)

    耕地 1, 730

    植林地 25

    牧草地 4, 433

    農用地計 6, 188

    自然林、草地、その他 20,878

    1.2 社会一経済概況

    ・人口構成

    1992年の推定人口は1140万人、

    滅の傾向にあり1990年代に入って2.

    1

    2

    7

    分比

    6.4

    0.1

    6.5

    3.0

    7.0

    農業面積比

    28.0

    0.4

    71.6

    100.0

    人口増加率は1970年代の2. 7%から漸

    3%を示している。全人口の約40%が先住

    民族のインディオであり、主にシエラに集中している。残りの40%がスペイン系白人

    とインディオとの(混血)、 10%が白人, 10%が黒人、アジア系の構成となってい

    る。近年農村部から都市部-の涜入が増加しており、 1974年の41. 3%から19

    87年では52%と、都市人口の増加が顕著である。

    ・経済概況

    1990年の国内総生産(GDP)はUS$19, 452×10t,である.内訳は、

    農林水産業(13.2%)、石油鉱業(12.3%)、製造業(22.4%)、建設業(4.1%)、サービス

    莱(42.9%)となっている。

    国内総生産の年平均成長率は次ぎのとおりである:

    - 2 -

  • 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992

    全平均成長率

    農林、漁業

    石油、鉱業

    工業

    建設業

    1.2-2.8

    4.2

    2.0 -13.9 10.6

    -2.928.1 10.0

    1,5-1.4 -1.9

    0.6-7.6 -2.2

    4.3 3.1 6.0 10.5 0.3 3.0

    9,9 10.2 2.5 7.7 2.8 6.1

    9.1 2∴卜54.7 115.8-9.7

    0.9

    0.2-1.6

    1.7 2.0-5.0

    0.7

    2.4 1.5 2.5-14,1

    4.0-14.9

    4.9 3.5

    6.0 4.7

    8.6 4.9

    2.5 4.5

    -0.50.7

    ・貿易及び国際収支

    1992年の輸出及び輸入総額は3, 008×10b及び2, 027×106である。

    主な輸出産品は石油(41.6%)、バナナ(21.5%)、エビ(17.5%)、コーヒー(2.0%)、カ

    カオ(1.2%)で、これら一次産品輸出額は全輸出額の8 8%を占めている。輸入産品は

    原料一次産品(40.6%)、資本財(36.6%)、消費財(18.7%),油脂製品(4.0%)である.

    1986年-1992年の国際収支はつぎのとおりである。 (単位 百万US 令)

    BALANZA I)E PAGOS 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992

    SALDO EN CUENTA CORRIENTE1541

    BALANZA COXEECIAL

    EXPORTAC IONES

    I封PORTACIONES

    BALANZA DE SEIWICIOS

    TRANSFEliENCIAS

    CUENTA I)ECAPITALES

    543

    2,186

    1,643

    -1,173

    -1,124

    -536 -514 -166

    -33 619 661 1, 003

    2,021 2,202 2,354 2,714

    2,054 1,583 1,693 1,711

    -1,223 -1,252 -1,272 -1,276

    45 132 97 97 107

    351 1, 036 517 896

    RESERVAS INTEENACIONALES 234 88 19-382

    56■8

    -402

    -467 -6

    644 981

    2,851 3, 008

    2, 207 2, 027

    -1,221 -I.107

    110 120

    630

    -163

    27

    -21

    1.3 農業の現況

    エクアドル国の農業生産は主としてコスタ、シエラの両地域で行われているが、両者

    は明確に異なった性格を持っている。

    コスタは平坦な地形と肥沃な土壌に恵まれ、プランテーション型の大規模経営が多く,

    伝統的輸出農産物とされるバナナ、カカオ、コーヒーの他、米が生産されている.

    シエラでは国内自給用農産物として麦類、トウモロコシ、馬鈴薯、豆類、野菜、果実等

    が生産されるが、地形的制約もあり概して一戸当たり耕作面積は小さく零細型営農が多

    くなっている。また乳牛、肉牛飼育,牧草栽培は両地域で広く行われている。

    - 3 -

  • エクアドルはラ米諸国の中でも大土地所有が著しい国であった。近代に至って歴代政権

    は農地改革を目指し、 1 9 64年には「農地改革及び植民法+を公布、農地改革及び植

    民庁が設立され、 1 9 73年には第二農地改革法が布告されたが、目まぐるしい政権交

    替、財政難、大土地所有者の反対等から農地改革についてはさして実効が挙っていない。

    又、土地の再配分よりもむしろ速効性を重視して未利用の公共用地への入植を先行した

    ため、現在に至っても大土地所有制が色濃く残っている.一方で零細農家の分家相続に

    よる土地の細分化が進行しているが、この問題は傾斜地で痩せた土地、水利に恵まれず

    生産性の低いシェラでより深刻な問題であり、農村から都市への人口移動の大きな原因

    となっている。

    1.4 漕概の現状

    1460年から1 534年にかけてアンデス地帯を支配していたインカ民族は評価す

    べき濯就組織を確立していたといわれるo近代に至り、国は1936年に最初の水法律

    を制定し、 1944年には濯概事業団を発足させ国営事業の実施に当たらせた。 196

    6年に、それまで建設企業的色彩の濃かったこの事業団に代わって水資療庁を創設し、

    技術的、法律的に亘る水資源管理機能、水資源政策策定機能を付与し、又、漕概国家計

    画策定を義務付けた。

    漕概開発事業に関しては、主管官庁である農牧省がコントロールせず、水資顔庁の他コ

    スタのグアヤス州、マナビ州を始めとする各地域に別に設立された地域機関が、国家開

    発審議会との直接協議を行って実施に当たることとしている。

    水資源庁が調製した国家水資源計画時の検討によればエクアドルでは約3 1 0万ぬの漕

    概可能地があるとされている。この中5 5万Iaが現在濯概されており、その中4 3万Ia

    が民間によって実施された。農用地、濯概の実態を下に示す。

    農用地

    農業

    牧畜

    面積

    7,323,760

    2,449,860

    4,873,900

    濯概可能地 3, 136, 000

    濯概実施 555, 000

    国営 123,000

    民間 432, 000

    - 4 -

    比率

    100%

    33. 4%

    66.6%

    loo‰

    17.7%

    比率

    100%

    22. 2%

    77.8%

  • 国で実施し、現在管理中の濯概事業面積は次ぎのとおりである。

    水資療庁

    グアヤス川流域開発調査委員会

    マナビ州再開発センター

    アスアイ経済復興センター

    各州委員会

    38地区 78, 800Ⅲa

    18, 000Ila

    6, 370Ha

    4, 230Ⅲa

    12, 600Ⅲa

    2 0 0 0年に向けた漕概計画展望

    2 0 0 0年における人口増加を考慮して試算された食糧需要では、国営民間の漕概、

    無港概地域について、漕概6 5万Ia、無濯概1 0 0万IIaの増加が必要とされ、

    けて港概を推進すべき地域、面積は次のように考えられている

    水資源庁

    グアヤス州流域開発調査委員会

    エクアドル南部開発計画

    マナビ州再開発センター

    アスアイ経済復興センター

    民間

    水資源庁実施計画:アムバト、

    300,000Ⅱa下記プロジェクトの実施

    160, 000

    80, 000

    24, 000

    6,000

    ダウレペリパ、クアヤス川流域

    プヤンゴートゥンベス地域

    カリサルーチョネ地域ほか

    種々プロジェクト

    これに向

    80,000

    ビジャロ,タバクンド、フボーネス、テンゲル各地区、

    小規模濯概組織改修、既設プロジェクト改良、その他プロジェクト

    1.5 国家開発計画(農牧部門)

    1 967年に東部で石油が発見され、 1972年に太平洋岸積出し港までのパイプラ

    インが完成してから、エクアドルは農業国から石油輸出国へと一変した。

    しかしながら、その後の1 9 8 5年の国際価格急落はそれまで過度に石油に依存した経

    済構造を直撃し、深刻な経済危機を招来した。

    その石油資源も遠からず枯渇するとの予測されており、エクアドル政府は今までの石油

    に過度に依存してきた産業経済構造を是正し、農業部門振興へ大きく再転換を迫られる

    こととなった。現在、過度の石油依存から脱却し、輸出産品の多様化、生産の増大を図

    ることを主眼とする経済構造調整がIMFの指導により進められている。

    1 9 9 2年8月から発足した新政権による新規計画は未だ公表されず、現在は前計画

    を継続した形となっている。以下に国家開発計画1 9 89-92農牧部門を抜粋する。

    -5 -

  • F・現状の分析

    1 9 74年から農村から菰市への人口の移動が認められる。経国内人口に占める農村

    人口比率は1974年の58. 7%から1987年には48. 0%に減少した。これは

    農牧分野の低い収益率、土地財産の集中、就業桟会報酬の欠如等が原因して多くの農業

    放棄が行われたことを示している.この結果農業活動の欠乏により多くの国内用食糧生

    産が減少してしまった。

    農牧分野活動の欠陥は下記のように分析される。

    イ.農牧生産に必要な技術の創出移転が限られ、不適切な技術が適用されている。

    ロ.流通システムの欠如。

    ハ.公共部門、民間部門への生産振興に必要な各種予算割当てについての政策の不備。

    ニ.各関係機関の協調不足。

    ホ.生産者組織機関の不足、研修訓練の欠如。

    へ.濯概、排水、農道、連絡道路等農業基盤施設の不足。

    卜.零細農民に対する厳しすぎる農業融資制限。

    チ.土地所有の不合理性。

    ・全体目的及び戦略

    前記の現状分析から次のように目的及び戦略を定める。

    ・全体目的

    輸出の経済効率の改善、国内自給用基幹作物の供給及び輸出農産物増産のための農牧

    部門振興奨励を図る。

    ・戦略

    一天然資源の合理的利用。

    一農産加工、農村工芸、新労働市場形成等を含む小規模単位による産業化活動の強化。

    一役場、農協等組織を通じての零細農民に対する流通機構の完全化。

    一機能の重複、冗費を避けるため行政機関を適正に組織化すること。

    一現況流通機構の中間搾取を滅小する改善。

    -伝統輸出農産物の国際市場維持確保,拡大、輸出量の増大、新規栽培地域の発掘(国

    内用基幹食糧生産地域に影響を及ぼさない)

    一国際競争を避け、国際市場多様化のための輸出農産物生産技術レベル、生産性の向上。

    -農地改革、入植、農村開発等の実施について各機関協業体制の強化。』

    - 6 -

  • 1.6 農牧部門開発機閑の機構改革

    国営漕概排水事業実施は現在水資源庁のはか多くの地域機関によって計画実施されて

    いるが、機能の重複、競合を生じており、国家開発計画でも改善課題とされている。 1

    9 9 0年1月、エクアドル政J符の要請を受け、世銀及び米州開銀合同調査団が釆国し、

    濯概部門国家開発計画に係る問題点について基本調査を行った。

    エクアドル政府と世銀はこの調査結果に基づき1993年10月現在、技術協力計画

    (PAT)の実施に取り組んでいる。以下は同計画の骨子である。

    『エクアドル水資源庁(INERHI)は港概分野において、多くの地域、地方組織と

    競合してきており、その予算は多くの場合政治的圧力によって配分されてきた。

    明確な政策の欠如がI NERH Iを弱体化し甚だしい無秩序を生んだ。政治的圧力によ

    って現存事業の拡大や、多くの場合近視眼的関心によった新規事業調査が増大した。

    このことが事業完了の長期遅延、事業設計費の高騰、建設工事費の恒常的な増加を引起

    し、他面、政治的圧力は、多くの農民たちが大きな経済的活力、利益を挙げ得る小規模

    港概組織開発や、民間港概支援業務をなおざりにして、大規模事業建設を志向してきた。

    濯概部門に悪影響を及ぼしている因子は次のように表わすことできる0

    イ.潅概計画、開発、管理に携わる諸機関は政治圧力によって縛られている。

    ロ.農業技術指導改良普及、農民の訓練が不十分で、手法人材実行予算が欠乏しいる。

    -.一般に公共濯概組織への利用者参加が少なく、全くないケースすらある。

    ニ.濯概計画における流域管理計画、水質管理、環境管理計画が弱体、欠如している。

    ホ.徴収する水利料金が不十分、投資分は勿論、維持管理費分回収すらできていない。

    へ.水資源の適正な計画管理のための基本的統計資料が不備である。

    これらの改善には以下についての技術協力が必要である。

    イ.各担当機関の機構組織改善のための法的処置表明とその実行。

    ロ.政治圧力に左右されない技術的基準に基く事業優先順位付与手法の開発。

    ハ.以下を保証する法的文書及び権能の確保。

    1.維持管理経費、投下資本の回収(できれば全観、地域の社会経済条件を考慮しつつ)

    2.漣概事業設計、建設、維持管理についての受益者の積極的参加。

    3.濯概担当機関専門技術者の訓練。

    4.感慨農業の生産性に関連する諸問題を検証するスタディの実現。

    - 7 -

  • これらの実施には先ずこの部門開発に当たる国家水資源審議会(CNRH)と言うべき

    新しい国家機関の創設が必要である。 CNRHは原則として、農業大臣、大蔵大臣、経

    済企画庁長官、農民代表によって構成され、地域団体代表者で構成される調整委員会を

    持つ:この委員会は国家濯概計画を検討し、その達成を監督する。

    CNRHの技術的業務実施は少数の熟練専門家(水利技師、天然資源関係経済専門家、

    農業経済専門家、農業技師、金融専門家)によって組織される技術集団によるものとし、

    要員は水資源庁その他地域機関中の優秀な技術者から集められる。

    諸地域機関に提供される総ての国際技術協力はCNRHによって整頓調整される。

    現在の諸地域機関即ちCREA、 CEDEGE、 CRM、 PREDE SUR、 INER

    H I (シュラ北部、同南部)は限定された大支配流域についてのみ特定の地域的権限を

    持つこととなる。

    公共事業計画への総ての投資は以下について考慮する必要がある。

    イ. 12%の経済的収益性。

    ロ.環境についての特別示方。

    -.費用の回収同意を含む5 0%の利用者の同意取付け。

    ニ.利用者団体の改善計画。

    ホ.維持管理責任移管についての同意。 (政府がある程度の補助を行うことも考慮)

    政府は既存計画に基く改修、建設に優先して、小規模港概の改修及び建設、末端事業の

    完成に必要な民間投資の増進誘致計画を考慮すべきである。これには末端水路施設の建

    設改修,井戸の建設、スプリンクラー、点滴濯概機材が含まれる。 』

    因みに、 1 9 6 6年制定の水資源庁創設法で定められた水資源庁の職務、権能は次の

    3項目である。

    イ.国内全水資源の管理、

    ロ.国権による漕概排水に関する諸政策、計画及び実施の策定、指導、調整、

    -.濯概排水システム及び洪水制御についての調査、事業実施。

    この内、イ.ロ.については水資源庁は他の地域機関に抜きんでて管理調整を行う立場

    にあるが、ハ.については" 1.4 濯概の現状廿 前段で述べたように各機関が独自に実

    施することとなっているため、水資源庁は一段降りて他の地域機関と横並びで競合する

    形になっている。世銀調査団の指摘はこの点をとらえたものである。

    - 8 -

  • 加えて最近は各州委員会が政治力を利して独自に事業実施を目論む傾向が出てきている。

    他の地域機関(国の)

    C E D E G E

    C RM

    P R E D E S UR

    C R E A

    の主なものは次の4機関である。

    グアヤス川流域開発調査委員会

    マナビ州再開発センター

    エクアドル南部地域開発計画

    カニヤール、アスアイ、モローナ、

    サンティアゴ州経済復興センター

    ・ 今後の展望

    PATによる機構改革は,強力な権限を持たせた国家水資源審議会(水資源庁が中核

    となろう)を新設することにより、政治力を排し、無駄な競合重複関係を解消して効率

    的事業実施を図ろうとするものである。しかしながら現在の濯概開発に係る機構組織は

    永い時間をかけて定着したものであり、政治的産物でもあるため、この解体再編には新

    規法令の整備をはじめ、現在職員の減員、配置転換等解決すべき問題が多く、又、業務

    内容も事業実施の地元同意取付け,事業費の償還、施設維持管理の地元移管への取組み

    等は初体験であることから、新規体制への移行、円滑な機能発揮までには相当の時日を

    要すると思われる。

    - 9 -

  • 2.タバクンド地区農業・農村総合開発計画

    2.1計画の背景及び経緯

    本計画地域は、首都キトー市北東方約8 0K皿に位置し、トウモロコシ、小麦等の基幹

    作物、野菜、花井の栽培、及び乳牛飼育を主とする牧畜が行われている農業地帯で、 6

    町村に跨がり、地区全体面積は22, 500Ⅱa、漕概計画面積は12, 923Eaである。

    本地域は首都至近という地理的条件から、国内消費食糧の生産基地として期待される地

    域でありながら、北部高原乾燥域に属し降水量が極端に少ないことから、現在まで零細

    農民による非効率な伝続的農業が営まれ、低い生産性,収益性に甘んじてきている。

    国家港親閲発の計画、実施を責務とするエクアドル水資源庁は本地域の重要性に着目し、

    港概導入を柱とする開発計画を目論み1 9 7 8年に開発調査を実施した。

    本計画は、当国の開発基準では大規模計画にランクされ、実施については全面的に外資

    借款に依存せざるを得ない。このため水資源庁は開発調査に引続き、事業実施に向け借

    款要請書類を作成し、国際金融機関、諸先進国への資金援助要請を行ってきているが、

    現在まで実現の目途は立っていない。

    水資源庁は当初調査について、 1982、 1986、 1989年に時日の経過に対する

    内容更新、見直し、補足調査を実施してきている。

    2.2 計画地区の概要

    1)位置・地形

    本計画地区はシュラ地域ピチンチャ州北東端に位置し、深く広い侵蝕河谷を形成する

    ビスケ川の右岸に広がる緩傾斜山建台地である。

    北方は標高3060mから2980m (幹線用水路予定標高)が山裾斜面をよぎる線、

    南はビスケ川、東はチムバーグラノープレ川、西はグァジャルパンバ川で区切られる。

    計画地区には西からトウビガチ、タバクンド、ラ・エスペランサ,トカチ、マルチンギ

    の5教区(集落)が含まれる。計画地域は北方から南方ビスケ川へ向かって樹枝状に侵

    蝕細流が刻まれており、複雑な地形となっている。

    - 10 -

  • 2)気象

    西部アマゾン地帯からの湿った空気は西側アンデス山系に遮られ、中央高地盆地は降

    水量が少ない乾燥地帯となっている。計画地区は概ね標高2, 000m-3, 000m

    に分布するため、赤道直下に位置しながら温帯性気温を示している。但し、気温の日較

    差は比較的大きく平均気温の月間差は小さい。 1 0月-4月の雨期、 5月-9月の乾期

    の2期に分かれる。

    気象概要を整理したものは下表のとおりである。 (タバクンド観測所1963 - 1976)

    月別

    1

    2

    3

    4

    5

    6

    7

    8

    9

    10

    ll

    12

    平均気温(℃)

    最高 最低 平均

    19.3 6.7 12.7

    19.0 7.0 12.6

    19.1 7.3 12.7

    19.2 7.3 12.8

    19.1 7.4 13.0

    18.9 7.0 12.5

    19.0 6.4 12.5

    19.0 6.4 12.6

    20.0 6.5 12.9

    19.7 6.4 12.9

    19.4 6.2 12.6

    19.5 6.8 13.0

    年平均 19,3 6.8

    3)水源地域の水文

    関係湿度

    (%)

    80

    83

    81

    82

    78

    77

    72

    71

    72

    77

    81

    80

    12. 7 78

    平均降水量

    (zDm)

    80.6

    103. 8

    102. 3

    106.7

    68.9

    45.7

    14.8

    15.7

    47,8

    122.1

    108. 1

    82.6

    平均ETp(m皿)

    (ペンマン)

    92.0

    78.7

    87.7

    82.8

    89.6

    67.2

    87.7

    87.4

    91.8

    87.1

    80.1

    84.3

    899.1 1,016.4

    風速 雲量

    (皿/s)

    5.1 5

    4.7 5

    4.1 5

    5.3 5

    5.6 4

    6.6 4

    8.9 4

    7.9 4

    7.9 4

    5.6 5

    4.6 5

    5.5 5

    6.1

    本計画地域への漕概用水供給は地区西端に位置しビスケ川に注ぐチムバ川、

    上涜域に位置するサン・マルコス湖(標高3, 42.Om)を取水療とするが、

    周辺4/ト河川の流量を導入し、賦存量の増加を図る。

    及び同川

    同湖には

    これら諸河川の月別平均流量は下記のとおりである。 (m∋ /s)

    観測地点 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

    ラ・チムバ1.41 1.761.66 1.882.363.504.292.38 1.27 1.391.08 1.07

    ①アスエラ 0.560.720.880.97 1.061.521.86 1.35 0.830.660.540.55

    - ll -

    平均

    2. 00

    0.96

  • 観測地点

    ②サンぺドロ

    ③ポケロン

    ④アルトゥロ

    ⑤ダントクウ

    チョ

    1 2 3 4

    0.68 0.86 0.88 0.95

    0.22 0.30 0.32 0.37

    0.23 0.30 0.33 0.36

    0.24 0.29 0.32 0.36

    5 6 7 8

    1.07 1.22 1.29 1.00

    0.42 0.58 0.55 0.37

    0.39 0.48 0.51 0.39

    0.39 0.52 0.55 0.39

    9 10 11 12

    0.80 0.76 0.73 0.72

    0.29 0.25 0.22 0.23

    0.30 0.26 0,23 0.24

    0.30 0.26 0.22 0.25

    平均

    1.01

    0.34

    0.34

    0.35

    計 5.00

    地下水賦存量 1. 00

    注. ①サン・マルコス湖からの流出河川(平均流量0.96m〕 /sは同湖既存量となる)

    ②-⑤は同湖周辺4小河川、 ①-⑤は総てアマゾン側へ流出している

    4)域内人口及び農業構造

    ・人口

    域内総人口は1992年現在20, 773人で、年齢構成は19才以下が卓越してお

    り、若い構成となっている。家族構成は平均4. 9人、 4, 244家族が生活している。

    12才以上を経済活動可能人口とした場合,全人口の89. 1%14, 011人が相当

    し、この内7, 106人が現在活動人口、 6, 507人が非活動、 398人が不明とな

    っている。

    ・農業構造

    計画地域内の農業経営規模は次のとおりである。

    経営規模(Ea) 綻営農場数

    農場数 %

    4.99 以下 1,677 75.5

    5.01

    9.9 285 12.8

    10.0.- 19.9 160 7.2

    20,0 - 49.9 59 2.7

    50.0-

    99.9 23 1.1

    100.0 以上 16 0.7

    計 2,220 100.0

    経営面積

    全面積 % 実面積

    3,552 23.4 3,019

    2,109 13.9 1,793

    2,579 17.0 2,192

    2,119 13.9

    1,715 11.3

    3,130 20.5

    15,204 100.0

    %

    23.4

    13.9

    17.0

    1,801 13.9

    1,458 11.3

    2,660 20. 5

    12,923 100.0

    平均経営面積Ja

    全面積 実面積

    2.1 1.8

    7.4 6.3

    16.1 13.7

    35.9 30.5

    74.6 63.4

    195.6 166.3

    6.8 5.8

    土地所有形態には、私有地、賃貸借地、耕作権地、それらの複合型の4種がある。

    ・農民組織

    計画地域には共同組合、協同組合、その他団体の3種、計2 3の組織がある。

    - 12 -

  • 共同組合: 1937年制定の法令を改正した1973年の共同組合法に基づいて設

    立され農牧省が統括する。又、同法は州、地方、国等の連合体との結合

    を認めているo現在組合数1 1

    協同組合: 社会福祉省の承認を受け、協同組合法に基き組織される。現在組合数7

    その他団体:用水、道路、下水等の維持管理につき公共支援の獲得を目的とする利水

    団体、共同組合準備会等である。現在団体数5

    ・現況営農状況

    作物別営農面積は次のとおりである。

    作物名 耕作面積(Ea)

    トウモロコシ 2,841

    小麦 965

    大麦 892

    えんどう豆

    馬鈴薯

    はうちわ豆

    牧草(一年生)

    牧草(多年生)

    自然牧草

    休耕

    その他

    合計

    398

    363

    219

    557

    1,794

    8,029

    1,490

    2, 424

    980

    4,894

    12,923

    2.3 計画の目的及び目標

    本計画の目的及び目標として以下が掲げられている。

    ・本計画の目的

    一地域の農業生産性、生産水準の向上

    一現在荒地化している土地の生産農地への活用

    -土壌型、等級に応じた土地利用の改善

    一土地の侵蝕流亡及び土壌・環境汚染の防止、

    比率

    22.0

    7.5

    6.9

    3.1

    2.8

    1.7

    4.3

    13.8

    62.1

    ll.5

    18.8

    7.6

    37.9

    100,0

    抑制対策を配慮し、地域の諸条件に即

    応した技術を適用することによる労働者雇用水準の向上

    -末端圃場農民レベルにおける収入水準の引上げ

    - 13 -

  • ・本計画の目標

    -漕概を導入した農牧活動により最大12,923Eaを開発する

    一農牧活動に依存する2,22 0人の農民及び家族に直接稗益すると共に、建設工事、

    流通、輸送、その他業務等、派生的諸活動に従事する不特定多数の就労に寄与する

    一事業完了年には9, 361人の恒常的就労を可能とする(5,709人は現況と同

    じ営農、 3, 652人は花井栽培に従事)

    一農家収入水準を次のように改善する

    1.8Ia規模 1, 196%

    9. 0 802

    30. 5 411

    101.4 456

    2.4 計画の概要

    1)区域別席概計画面積

    区域名

    トゥビガチ

    〝 (地下水港概)

    タバクンド

    〝 (地下水港概)

    ラ・エスペランサ

    漕概計画面積(Ⅱa)

    3,853

    1,060

    3,090

    540

    600

    トカチ 540

    コテャスキ 840

    マルチンギ 2,400

    計 12, 923

    地表 港概 11,323

    地下水港灘 1, 600

    2)用水供給計画の概要

    地表濯僻地域11,3231laへの用水供給は、地域西北方に隣接するビスケ川の支流ラ・チ

    ムバ川から取水するが、同川の既存量を増加させるため、同川の上流部* に位置するサ

    ン・マルコス湖を水面ダムとしてこれに至近の4′ト河川の流量を導入し、トンネルによ

    ってラ・チムバ川に導水する。

    *ラ・チムバ川上流とサン・マルコス湖の間に西方太平洋側、東方アマゾン側に分つ分

    水嶺があり、降雨は夫々の側へ続出する。年間降雨量に大きな差異があるため、年間降

    ー14-

  • 水量の極端に少ない西側本地域の漕概計画にはアマゾン側からの転流(流域変更)が必

    要である。

    建設される主要施設概要は次のとおりである。 (添付図参照)

    ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

    港概地域一調整池一取水エー導水路一導水トンネルー水源ダムー4河川からの集水

    ①港概地域: 前記の6区域 A=11,323丑aに対し北側高標高部に幹線用水路L= 65Em

    分水工55 ケ所を設置し、各区域内に2次、 3次水路を建設する

    ②調整池:

    ③取水工:

    ④導水路:

    ラ・チムバ川取水工③地点に設置する。導水組織が複雑で延長が長い

    こと、又、同川の水源となるカヤンベ山融雪による流出量の昼夜変化

    等に対応し用水の有効利用を図る 貯水量 40,000m3

    清新地域西北方に接するラ・チムバ川に設置する 取水量8.0皿3 /s

    ⑤導水トンネル吐口から約12E皿のラ・チムバ川自然流路を利用する.

    ⑤導水トンネル:サン・マルコス湖からL=7,000nの導水トンネルによりラ・チムバ川に

    導水する。前記*説明参照

    ⑥水源ダム: 同湖の貯水量増加を図り、 E= 20m, L= 780mの堰堤を設置する.有効

    貯水量 22且m∋

    ⑦4河川の集水:同湖の賦存量増加のため,至近に位置しアマゾン側に流出する4河川

    から集水し同湖へ導水する。

    なお,地下水港概は現在まで、一部実施されているが十分に機能していない。本計画に

    よって見直し強化される。

    3)事業費

    上記を骨子とする事業費は次のとおりである(1992年11月見直し)

    工種\工事費

    工事用道路

    4河川取水工

    4河川集水路、トンネル

    スークレ(106)

    790.1

    488.6

    4,785.2

    - 15 -

    VSS換算(106 )

    0.42

    0.26

    2.53

  • 工種\工事費

    サン・マルコス湖堰堤

    トンネル工(潮-ラ・チムバ川)

    ラ・チムバ川導水路・護岸工

    調整池

    幹線用水路・トンネル

    幹線用水路・コンクリート水路

    排水施設

    2次水路組織

    3次水路組織

    別井・ 2次水路組織

    3次水路組織

    物価予備費

    小計

    生産支援経費

    農民組織・訓練

    農業センター、支所

    農業改良普及■

    農業機械化

    維持管理経費

    小計

    合計

    4)事業効果

    スークレ(10ti )

    ll,419.3

    12,667.3

    1,512.5

    1,847.9

    ll,784.4

    1,429.2

    1,993.3

    16,124.7

    4,002.4

    549.3

    629.4

    5,656.4

    75,680.0

    25.3

    303.5

    303. 6

    594.5

    2,554.2

    3,784.1

    79,464.1

    USS換算(10'')

    6.03

    6.69

    0.80

    0.98

    6.23

    0.76

    1.05

    8.52

    2.12

    0.29

    0.33

    2.99

    40.00

    0.01

    0.16

    0.16

    0.32

    1.35

    2.00

    42. 00

    前記事業費と、事業実施による収益増加から算定された内部収益率は次のとおりである。

    財務的内部収益率

    経済的内部収益率

    ll. 01%

    13. 78%

    なお、本計画地域の一部先進的経営者は点滴港概を導入した花井の-ウス栽培(バラ、

    カスミ草等、 USAへ輸出、国内市場)により高い収益を上げている。

    計画面積の1_%の1 3 0Eaに花井栽培を取り入れたとして試算された内部収益率は財務

    的内部収益率 23. 16%、経済的内部収益率 27. 86% と倍増する。

    但し、花井栽培は多くの地区住民に就労機会を提供しインパクトは大きいが、反面高額

    の設備投資が必要であり、内外市場見通しも現段階では明確でない。

    ー16-

  • 2.5 総合所見

    本計画の重要性は、水資源庁が独白でF/S調査を実施し、その後も内容の更新、栴

    足調査を実施して事業実現への努力を継続していること、開発を統括する国家開発者議

    会によって高い優先順位を与えられていることからも明らかである。

    1 9 9 1年1月、わが国に技術的強化及び段階的開発策定を主目的とする再F/S調査

    実施について正式要請がなされ、 1 992年にも継続要請があげられている。

    協力に当っては以下に留意する必要がある。

    1)水源施設(転流関連)について

    イ.全計画面積(地表漕概) 1 1, 323Iaの漕掛こは前記4河川の転流による用水蹴

    存量の増加を必要とするが、荒廃した現況河状から、安定した取水を行うには取水

    量に比し割高なエロージョン、埋没損壊の防止対策が必要と考えられる。

    ロ.サン・マルコス湖に造成する堰堤は堤高が低いが堤長が長く、又,地震の多い当国

    ではフィル型が良いと考えられるが、良質多量のコア材料の入手、基礎地盤の透水

    性等について慎重に検討することが必要である。

    ハ.水源地帯は多雨地帯であり、港概地域からは遠いため、洪水量、取水量等の調節に

    ついて十分な管理施設、体制を整える必要がある。

    ニ.転流関連工事費は現F/S調査で全工事費の4 3%を占めるが、前3項の詳細検討

    を行った結果、更に増蔦することが考えられる。

    ホ.上記の検討結果によっては水顔計画の縮小-計画地域の縮小を考慮する必要があるo

    2)段階開発について

    本計画は水資薗庁所管の濯概開発計画にあって大規模計画に属する。事業実施には、

    港概施設造成に平行して農民組織の再編、施設の維持管理体制、港親営農指導訓練,事

    業費の償還、生産物涜通等々、確立改善すべき問題が多い。

    これらを考慮し、事業実施を水利及び区域条件に応じた段階的開発画とすることが望ま

    しいと考えられる。水源計画の技術的経済的合理性、これに基づく事業全体の経済的妥

    当性が確認された場合、段階開発の基本型として次の案が考えられる。

    ー17-

  • イ・第一段階:転流を加味せぬラ・チムバ川既存量(2.Om3 /s)による地表港概+地下

    水港概、区域;トゥビガチ+タバクンドの一部A-4,530+1,600-6,130tla

    ロ.第二段階:導水トンネル、水源ダム及びサン・ペドロ川のみの転流工事実施による

    増加量(0.96 † 1.01 - 1.97m∋ /s)に見合う地表港概、漕概区域;タバ

    クンドの挽部+ラ・エスペランサ、トカチ、コチャスキ A=4,393Ⅱa

    ハ.第三段階:3河)ll (ボケロン、アルトゥロ、ダントクーチョ)転流(1.03m3/s)

    を考慮した地表漕概,港就区域;マルチンギ A=2,400Ea

    3)調整池の設置について

    本計画の濯概用水既存量は小さく、無効放流を避けた効率的な水利用が要求される。

    又、幹線水路延長も6 5E皿と長く、用水量、水位の変動応答が複雑となり、中下流地域

    の用水不足が懸念される。

    これらに対処し、又、将来の栽培作物の多様化にも対応するため、積極的に受益地区内

    調整池の設置を考慮すべきであるo地形が複雑であることは、逆に適地の選定を容易に

    するものと考えられる。

    4)圧力港概の導入について

    現在一部の先進農家による花井栽培では点滴港概が取り入れられているが、将来は花井

    栽培に止まらず、圧力港概(スプリンクラ-、点滴)の導入による野菜、果樹等栽培の

    集約型農業への移行が想定される。山沿いを走る幹線用水路から分岐する2次水路は末

    端までに大きな水頭差を持っので,任意の中間点で容易に必要なエネルギーが得られる

    ものと考えられる。前項調整池と連動させ計画に取り込むべきである。これは乏しい用

    水量の節減有効利用に繋がる。 (地区中央部の幹線水路標高3, 000m、 2次水路末

    端標高2, 600m、延長6、 000m)

    5) 農業センター、パイロット事業の早期実施

    本計画は広域にわたり多くの集落が包含されていること、農民の大多数が漕概の経験を

    持たないこと、濯概様式が地表、揚水に二分されること等、一体の事業地区として機能

    するための問題点が多々あると考えられる。

    これらを解決し円滑な事業運営を図るため、第一段階において港概農業啓蒙普及訓練、

    優良種苗栽培頒布を軸とする農業(農民)センターを設立すること、及び今後の望まし

    漕概営農について実証し、展示するパイロット事業を実施することが必要である。

    - 18 -

  • 3.ラタクンガーサルセドーアムバト地区港概用水汚染対策事業

    3.1計画の背景及び経緯

    本地区は、シエラ中央やや北部に形成される細長い盆地に位置し、ラタクンガ市から

    サン・ミゲル・デ・サルセド町を経てアムバト市に至る計画全面積8, 400‡aの港概

    事業地区である。

    従来この地域では乏しい降雨による天水依存型農業が営まれてきたが、 1Ea以下が過半

    を占める土地所有実唐と相侯って、地域農民は低い農業所得、生活水準に甘んじてきた。

    この地域に港概を導入し農業生産性,所得を向上させることによる地域農民の定着と、

    周辺都市部の食糧の安定供給を図って、 1 9 4 8年にエクアドル水資源庁の前身であっ

    た国家漕概事業団(C a j a Na cio n al d e Rie g o)によって調査が

    行われ、 1 9 5 9年同事業団が建設に着手したが、予算手当てが続かず中断に至った。

    その後1965-1967年に水資源庁により新たに本地区のF/S調査が実施され、

    1 97 7年に束州開銀の借款を得て事業建設が始められ1 983年に竣功した。現在水

    資濠庁の施設管理の下に、ラタクンガ市他都市部への食糧供給基地として機能している。

    本地区への濯概用水はクトゥチ川とその支流プマクンチ)lIから取水しているが、 198

    3年に水資源庁水質試験室が実施した水質調査によって、プマクンチ川の水質は火山地

    帯から溶出した瑚素を多く含んでいることが判明し、農作物、土壌に与える影響が懸念

    されたため、その対策検討が行われてきた。

    一方、本川のクトウチ川は盆地を縦走する主要国道と平行しているか、立地条件が良い

    ところから近年川沿いに各種の工場建設が増加し、その操業に伴う排水が未処理又は処

    理不十分のまま放流されている。

    又、同川はラタクンガ市(人口89, 000人)中央を流下しているおり、都市下水が

    未処理のまま排出されているため、同市を通過した地点に設置された取水工からこれら

    の汚染水がそのまま雇概用水として取り入れられている。

    これらの水質汚染度は上流部国道沿線の開発進行、都市部の人口増加に伴って深刻化し

    てきており、作物土壌の汚染蓄積による農作物被害に止まらず、汚染農産物の摂取によ

    る人体への影響が懸念されるに至って、地域農民の不安も高まってきているため、水資

    源庁は速やかな水質汚染の進行阻止、水質改善の対策を講じる必要に迫られている。

    - 19 -

  • 3.2 地区の概要

    1)所在地

    州名

    県名

    教区(部落)

    2)地理的条件

    経度:

    緯定:

    標高:

    取水水系:

    取水河川:

    3)気象条件

    平均気温:

    湿度

    年間雨量:

    月間雨量:

    月間蒸発量:

    日蒸発量:

    4)地域面積

    計画地域面積:

    漕概実面積 :

    コトバクシ、トゥングラウア

    ラタクンガ、サルセド、

    :バンサレオ他5部落

    アムバト

    78o 32′ - 78o 38′ v

    Olo OO′-

    01o 11′ s

    2578.50 - 2733.20皿

    クトゥチ川

    クトゥチ川、プマクンチ川

    13.2o C

    76 %

    484. 5mm

    40 皿m

    131.血皿

    4. 4ⅡⅠ皿

    8,400 耳a

    6,528 Ⅱa (自然港概6,228Ha,スプリンクラー漕概300Ea)

    5)土地所有形態、営農人口

    柑a未済

    1 - 5

    5 ′-10

    10 -20

    20 以上

    14,061家族

    709

    59

    46

    37

    14, 912

    合計面積2,910. 76ⅠIa

    l,291.60

    408.39

    608. 03

    1,309.22

    6,528.00

    - 20 -

    4

    1

    2

    10

    4. 6%

    9.8

    6.3

    9.3

    0.0

    0.0

  • 6)造成施設

    取水工: 2

    沈砂池: 1

    幹線用水路:

    支線用水路:

    三次用水路:

    排水路

    ク卜ウチ川(取水量3.5m3 /s)、プマクンチ川(取水量1.Om3

    /s)

    舗装水路

    舗装水路

    L-37.1Em (トンネル18,サイホン1,分水工40)

    L=97.6Ka[ (管路20.OEn[,サイホン28.4Ezn分水工210)

    L=100.6Em (開水路60.3K皿,管路40.3Em)

    L= 17.6Em

    7)主要栽培作物

    トウモロコシ、馬鈴薯、豆類,大麦、野菜類、果実、牧草

    3.3 港概用水水質汚染の実態

    本地区港概用水の汚染は次の3要因によるものである。

    イ.クトゥチ川上流域の工場郡からの未処理、不完全処理廃液の流入。

    ロ.クトゥチ川ラタクンガ市街地の生活雑排水の流入。

    ハ.プマクンチ川流量に含まれる欄素(火山性)の流入。

    イ.ロ.について水資源庁水資源・流域管理部水質,汚染防止試験室は1986年、

    1 991年に代表的地点の資料を採取し水質試験を行っている。このうち10地点につ

    いて今次調査団は現時点の水質について検査を依頼し、結果を得たのでクチゥチ川、プ

    マクンチ川各頭首工地点の水質を以下に対比した. (U S A衛生研究所GREENE-YILCOX

    方式による)

    資料採取地点 試験期日

    水質指数Ⅰ 汚染の

    度合い 級

    COD

    (ppm)IO IL IB IF 平均

    クトゥチ川 1991,1 91 7

    7

    8 6 高度

    C

    41.0

    62.00

    頭首工

    プマクンチ川

    1993,1

    1991,1

    4

    88

    6

    76

    8

    87

    4

    64

    強度

    高圧

    頭首工 1993,12 76 64 5 59 51 高度 C

    IO:酸化指数IL‥有機物指数IB‥細菌指数IF‥無機物指数COD‥化学的酸素要求量

    各指数は100を正常値とする。

    - 21 -

  • 汚染の度合い、級区分判定は次の基準による。

    汚染の度合い

    軽度-中度の汚染

    高度の汚染

    強度の汚染

    指数Ⅰ

    Ⅰ > 75

    75>Ⅰ > 50

    Ⅰ < 50

    A

    B

    C

    D

    E

    指数Ⅰ

    Ⅰ> 90

    90> Ⅰ> 75

    75> Ⅰ> 50

    50> Ⅰ> 20

    Ⅰ< 20

    この対比により両川の水質汚染が著しく進行していることが確認された。

    河川の持つ自浄機能により取水工地点では幾分浄化され上記の値を示しているものの、

    上流部工場廃液、市街地雑排水排出地点での水質汚染は甚だしく、 1 9 9 1年の検査値

    で各指数平均値Ⅰは上流部14- 33

    、市街地21-

    37を示し、分類は強度の汚染、

    級はD,Eとなっている。なお、水質汚染度は取水河川自流量の変化に直接比例し、豊水

    期には好転,渇水期には悪化する。

    ハ.プマクンチ川の珊素は1 983年にが行った水質試験で発見され、爾来その作物、

    土壌への影響が検討されてきた。 1 9 8 6年に水資源庁作物土壌研究室で纏めた報告書

    では:イ.抵抗性のある作目の選定、ロ.豊水期に限定した水利用(プマクンチ川は副

    水源として0. 5 mうノsを取水している)ハ.多量の港軟水による土壌の洗浄等を対策

    案として挙げている。

    3.4 水質保全についての現行法体制

    水質規制については従来1 9 7 6年制定の環境汚染防止法で各種廃水処理を規定して

    いたが1 9 8 9年に公共保健省によって新たに都市用水、農業用水、沿岸部水産関係用

    水について水質基準値が定められ、衛生事業庁、水資薗庁、防衛省沿岸局が監督に当る

    こととし、各関係機関、地方自治体等はこれに協力することが義務付けられた。

    なお、水資顔庁にはこれとは別に1 9 72年に公布された水法及び細則により、水資源

    管理及び水質汚染の抑止についての職務権能が定められているので、これとの整合を図

    って業務を行うことが求められている。

    これらの法令細則には利用者が順守すべき条項、違反に対する罰則が定められているが,

    現在まで厳格な指導監督がなされてきていないのが実態である。

    3.5 水質汚染対策への取組み

    現時点では水資源庁はこの水質汚染についての有効適切な対策案を持っていない。

    水質汚染の抜本的な対策は、イ.上流域工場郡の廃液末端処理の整備強化、ロ.市衝地

    生活雑排水の静化及び下水管路整備、に尽きるが、汚染の原因者は他行政官庁の監督下

    - 22 -

  • にあり、水資源庁が直接規制指導し難いことが最大のネックとなっていると考えられる。

    従って水質規制、浄化の完全実施には、まず前項の環境汚染防止法、水法の適用につい

    て、関係各省庁、桟閑の連携を強化し、又、規制罰則の強化等見直しを行い,国の補助

    を考慮した強力な行政指導監督体制を確立することが必要と考えられる。

    しかしながら従来は産業開発優先、民生(見せ掛けの)優先で走ってきており、各種蔑

    制がなおざりにされてきた実態からの認識の転換には相当の時間が掛かるものと考えざ

    るを得ない。

    3.6 総合所見

    社会開発の歪みが農業に敏寄せされている現状は、速やかに是正されなければならな

    い。エ国側の行政取組みに協力して本件に協力することは今後増加が想定される同種問

    題解決のテストケースとして大きな意味を持っと考えられる.

    しかしながら、協力を実施する場合は農業サイド単独でなく、エ国側が行う社開事業と

    の共同作業となるので、実施に先だって綿密な実態調査と将来予測、相互確認に基く計

    画策定が必要である。現段階では次のような対策(莱)が考えられる。

    ・ 水質汚染対策事業計画(案)

    原因イ.は発生源の特定が容易で対策が立てやすく、ロ.に比べて早期に解決可能と

    思われるので、市街地上流に取水工を設置し、右岸側導水路(暗渠)により現在の幹線

    水路に連絡することで市街地の雑排水を避ける。

    萌在のクトウチ川取水工は構造的に問題はなく、市街地流下の水質が浄化されれば従前

    どおり供用できるので、上流取水工は暫定施設と考えることができる。導水路について

    は将来市街地の右岸側下水暗渠として転用が可能である。

    但し市街部の対策実施の過渡期において、渇水期に上流取水工で全量取水した場合は維

    持用水不足による市街地水質の悪化が懸念されるので、渇水期では予め漕概用水水質の

    汚染許容値を設定して、上下取水工の取水比を定め取水する必要がある。 (汚染の希釈)

    又、同様に渇水期に市街地対策工事によって推排水が下水管路でクトゥチ川現取水工下

    滝に放涜された場合の下流部水質の悪化(濃縮)が懸念されるので下流域の水利用現況、

    将来見通しについて調査検討する必要がある。

    ハ・プマクンチ川棚素対策は現在の水資源庁検討案が現実的であり妥当と考えられる。

    - 23 -

  • ホンジュラス共和国

  • 4.ホンジュラス共和国の概要

    4.1 自然概況

    ホンジュラス共和国は中米の中央部北緯13o -16o 、西経83o -89oに位置

    し、北はカリブ海、南は太平洋、西はグアテマラ(太平洋寄りはエル・サルパドル) 、

    東はニカラグアに国境を接している.国土面積は112, 088E山2 で、中米第2の面

    積を持つ。

    国の7 5%以上を山地が占める山地国であるが北米から南米へ連なる火山帯は、当国で

    は太平洋を抜けるため地震はない。

    地勢的には、中央高原盆地、カリブ海低地、太平洋低地の3地域に区分される。

    気候は熱帯性降雨型であるが地形の影響を受けやや複雑である。 5月-1 0月の雨期、

    1 1月-4月の乾期の二期があるが、地域によってずれがある。太平洋側では7, 8月

    にカニクラと呼ばれる小乾期がある。年間降雨量は、 400-2, 000Ⅱlmで地域差が

    著しい。首都テグシガルパでは1, 000m皿である。台風は毎年のように襲来し、特に

    カリブ海沿岸地域において河川の氾荘、農作物の冠水流失、風害等を及ぼす。

    4.2 主要指標

    ・政体:

    ・主要政党:

    ・元首:

    ・国会:

    ・人口:

    ・人口増加率:

    ・人種構成:

    ・宗教:

    ・公用語:

    ・通貨:・ G D P :

    ・一人当GDP:

    ・実質成長率:

    ・財政規模

    歳入:

    歳出:

    ・貿易額

    立憲共和制

    国民党、自由党

    大統領制、任期4年、再選禁止

    一院制

    525. 9万人 (1991年度)

    3. 3% (1980-1991年平均)

    混血(スペイン系白人・原住民) 91% 原住民 6% 黒人2%

    白人1%

    自由、殆どがカトリック

    スペイン語

    レンピーラ (自由相場制、

    3, 010百万U Sドル

    570U Sドル

    2. 6%

    3, 265.

    4, 966.

    93年10月1ドル-7レンピーラ)

    (1991年)

    (1991年)

    (1980-1991年)

    (1992年)

    1百万レンピーラ

    3百万レンピーラ

    - 24-

    (1992年)

  • 輸出(FOI】):

    輸入(CIF):

    ・主要輸出品:

    ・対外公的債務:

    ・インフレ率

    1991年:

    1992年

    986. 1百万U Sドル

    1, 258. 5百万USドル

    バナナ、コーヒー、エビ、

    31億USドル

    34. 0%

    8. 8%

    果実、鉛亜鉛、食肉、木材、砂糖

    (1991年推定値)

    (中央銀行資料)

    (推定値)

    4.3 農業の概況

    ホンジュラスは典型的な農業国であって、農牧分野活動は国内総生産の2 7%、輸出

    額の7 5%、経済活動人口の5 5%を占めており国家経済の原動力となっている。

    当国の農牧利用可能地は4 0 0万丑a、可耕地は2 8 0万Eaといわれ、その内4 0万Iaが

    港概適地とされている。太平洋地域、カリブ海地域,高原盆地地域は夫々の地形、気候

    条件によって営農、農作物も変化がある。

    カリブ海沿岸地域は高温多湿で肥沃な土壌に恵まれており、早くからUSAによるバナ

    ナ、オイルパーム、柑橘類等のプランテ-ションが営まれてきたo

    高原盆地地域では主としてトウモロコシ、フリホール豆、野菜等自家消費、国内消費用

    作物が栽培され、コーヒーは標高1, 300m程度の傾斜地に多く生産される。

    太平洋地域では高温乾燥の条件からメロン、スイカ,棉が多く栽培される。サトウキビ

    は主に両沿岸地域の大規模農地で生産されるが、広く山間盆地でも栽培されている。牧

    畜は大土地所有者の経営が多く、やはり両沿岸地域が主生産地となっている。

    4.4 港概開発の歩み

    ホンジュラス農業は4 0 0年以上の歴史を持つが、専ら降雨に左右される天水依存型

    農業で、農業用地の多くが不順な降雨分布によって有効な土地利用を妨げられてきた。

    おおよそ国土面積の10% (百万Ea)が流域盆地に位置し、その40% (40万石a)が

    濯概適地とされている。

    港概は色々な形と時期に導入されてきている.北部カl)ブ海沿岸地域では6 0年前から

    バナナプランテーションを中心に行われ、中央部コマヤグア盆地のフローレス地区、セ

    ルグアバ地区では5 0年の実績を有するが、永い間ホンジュラスには濯概拡大、水資源

    開発に必要な長期展望、計画が欠けていた。

    - 25 -

  • 1 9 5 5-64年においては当時の港概局は有効に機能しておらず、又この時期は水文

    気象観測体制が弱体であったため、信頼すべき資料を欠いている。

    1 9 7 0年代前半には人口の増加圧力が農地の不法占拠を引き起し、これに対処するた

    めの農地の緊急配分が行われたが、杜撰な計画によって多くの配分済み土地の放棄が生

    じ、農業への民間投資に悪影響を及ぼした。

    1 9 7 7-8 3年において藩政開発は農業部門公共投資計画中高い優先順位を占め、 1

    978年までに水資顔局は10地区1, 551Ⅱaの小規模雇概事業を実施した。又この

    時期に新規プロジェクト(キミスタン、チョルテカ約31, 000Ea)のプレF/Sが

    実施された。

    1 9 84年から1 989年にかけて農地改革入植地約5 0 0Ⅱaの港概を含む小規模農民

    のための水資薗計画が実施された。

    1987年-1993年、小規模農地への港概導入支援を目的とするU. S. AIDの

    技術協力資金援助(PRORIEGO)が開始され、 1992年までに46地区144

    0Ⅱaが建設された。この活動は国営事業の民営化に連動し、水資源局地万事務所と協力

    して、設計、建設、技術研修等幅広い協力を展開している。

    これまで港概導入は民間が先行し国の取組みは立ち遅れているo 1 9 9 2年までに港概

    適地400, 000hの18%72, 548Eaに濯概施設が設置されたが,その79%

    56, 857打aが民間によるものであり、国によるものは21%15, 074Eaである.

    以下は1 9 5 7年-9 1年実施の全港概事業の漕概方式、取水形式を整理したものであ

    る。

    港概方式

    畝間

    スプリンクラー *

    スプリンクラー+畝問

    スプリンクラー+点滴

    水盤

    点滴

    水盤+畝間

    掛け流し

    その他

    注. 辛,**

    % 取水形式

    43.7 揚水機**

    36. 1 取水堰

    5.3 取水工(堰ナシ)

    4.6 自然流入

    4.2 自然流入+揚水機

    1.8 取水堰 +揚水機

    %

    54.5

    13.0

    9.4

    9.0

    7.6

    6.5

    1.6

    1.6

    2.1

    主としてカリブ海沿岸地域におけるバナナ、サトウキビ等の大規模栽培

    で使用されている。

    - 26 -

  • 4.5 国営漕概開発業務の合理化

    1990年1月に発足した新政権は、 1990-1994年総合開発戦略を策定し、財

    政赤字削減、対外債務の解消を目指して経済構造調整に取組み、経済の活性化、農工分

    野の振興、衛生、教育、雇用の優先政策、公共支出削減、徴税強化による国家財政の改

    善を骨子とする経済構造調整令を公布し、農業分野においても、公共部門の縮小人員整

    理、民営化を推進しつつある。

    漕概分野では1990年10月から国営事業の民間移管が図られ、 30年以上の間、政

    府が直轄管理してきたコマヤグア盆地の港概地区の施設維持管理が地元に移管された。

    1 9 9 1年7月から事業計画の測量、設計、軽済分析が民営化され、水資源局はコンサ

    ルタントの技術能力水準を保証する形で関与することとなった。

    1 9 9 2年4月から農業部門近代化法が施行され、国の漕概開発担当機関が次ぎのよう

    に明確に示された。

    A天然資療省は水資源局を通じ、農業適地の集約的利用によって国内自給及び輸出用

    食糧、原料の効率的な生産を確保するため、農業生産者の参加による虐政排水計画、事

    業の実施を提供、振興、推進する'

    従来は水資源局のはか農地改革庁(I NA)が漕概開発(入植農地に対し)に携わって

    きた.濯概部門へのI NAの参入は諸指針基準の不統一、この部門の責任体制の不明確

    等好ましくない状態を招来していたが、これによって一元化したことになる。

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  • 5.オロボリ地区潅概開発計画

    5.1計画の背景及び経緯

    本地区はホンジュラス中東部、ニカラグアに接するエル・パライソ県のチョルテカ川

    支流流域オロボリ盆地で零細農業を営む地元自作農民及び農地改革による入植農民を支

    援する目的で1 9 7 8年に水資源局によって実施された国営小規模濯概事業地区である。

    この地域はもともと年間降水量が少ない上に、 1 1月-5月の乾期には殆ど降雨に恵ま

    れず、雨期にあっても、中間に発生する不整な小乾期の存在によって降雨を見込んで播

    種し、成育過程にある作物の枯死が多発し、農民の努力が徒労に終わることがしばしば

    である。平坦な地形、肥沃な土壌を持ちながらこの様な恵まれぬ営農が行われていたこ

    の地域への漕概の導入は、天水依存型農業から脱皮して生産性を高め、農業の近代化、

    農民の生活向上を図るための不可欠条件であり、国の支援が強く望まれてきた。

    しかしながら1 9 7 0年代に国営漕概事業の計画実施を担当していた濯概局(水資顔局

    の前身)は技術力、人員、実施予算等総ての面で極めて弱体であったため、これらの事

    業実施の殆どは、その時々の予算範囲内でF/S調査等必要な基本的調査検討を省いて、

    現況に着目した(近視眼的な)工事設計を中心とした形で施行された。

    結果として、現在これらの地区は取水設備については土砂の堆積、河沫の低下、再筋の

    移動等による取水能力の低下、取水不能、水路施設についても漏水、損壊等の機能障害

    が生じており、又営農計画、支援体制の不備欠如もあって、漕概事業地区として所期の

    目的を果たしていないものが多い。

    本オロボリ地区もこの例に漏れず、河味の低下による渇水期の取水不安定、水路施設か

    らの多量の漏水に加えて末端施設計画の不備、農民たちの漕概についての経験不足を補

    う営農支援体制の欠如等によって港概実面積は当初計画4 0 0召aに対し現況は1 3 0Ia

    に止まっている。

    水資源局では本地区を全面的に見直し、造成済み施設の改修を行うに止まらず、上流部

    に貯水池を造成することによって漕概受益面積を2, 0 0 0Faに拡大することを意図し

    て、 1992年に、必要とされる国際技術協力による開発調査実施のためのT/Rを作

    成し、現在要請先を模索しつつある。

    - 28 -

  • 5.2 計画地区の概要

    1)位置・地形

    国の中東部エル・パライソ県のチョルテカ川支涜サン・ホセ川流域に展開するオロボ

    リ盆地に位置する.ニカラグア国境まで直線距離約1 0EJDと近い.

    地勢は0-3%の緩やかな勾配をもち、概ね壌土、埴壌土の肥沃な土壌に恵まれている。

    2)水文・気象

    ・降雨量

    雨期5月中旬-10月、乾期1 1月-5月上旬の乾雨二期がある。

    オロボリにおける1972-1991年の降雨量観測データ- (月平均値mm)を示す:

    (月) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 年平均

    雨量 2.9 5.6 18.2 24.9 137.6 145.8 97.7 114.4 177.8 108.5 56.2 8.3 849.1

    ・気温

    概ね20℃-28℃の間で推移する。

    ・河川涜量

    水文資料は入手できなかったが、取水河川であるサン・ホセ川の流量は安定しており、

    渇水期においても計画面積(400Ⅱa)の80%の漕概が可能としている。

    3)受益者・組織

    現地での聴取りによれば、現在、地区内の独立農家は26人、 30Ea、サン・アント

    ニオ農業組合35人、 20旺a、サン・ホセ農業組合50人、 80Ⅱa 計 受益者数11

    1人、漕概面積130Ⅱaである。当初計画では609人としている0

    4)主要作目

    現在、主要作物としてトウモロコシ、フリホール豆,玉葱、マンゴー、アボガド,サ

    トウキビ等が栽培されており、自家消費のはか、近隣の部落に供給されている。

    - 29 -

  • 5)既設主要構造物

    ・サン・ホセ川:

    取水工

    ・幹線用水路:

    ・支線用水路:

    ・水路橋:

    ・落差工:

    ・急流工:

    ・暗渠工:

    鉄筋コンクリート箱型暗渠,取水量 0.6m3/s 断面,延長

    2.Om x2.3m x6.0皿,前面にスルースゲート1門

    鉄網入りコンクリート

    鉄網入りコンクリート

    鉄筋コンクリート, 3

    鉄筋コンクリート,10

    鉄筋コンクリート, 1

    鉄筋コンクリート管,

    t=0.05m, Q=0.6m3 /s-, L=5.OEm

    t= 0.05Ⅲ, L=20.OEm

    ケ所, L= 34恥30m,30m

    ケ所

    ケ所, L=84m,

    径 36',24' ∑ L=138皿

    5.3 既存事業改修及び拡大開発計画

    水資源局では地区の拡大を意図して開発調査T/Rを作成したが、予備調査は行なっ

    ていない。今次調査は、基礎となる実施済事業の基本資料が不備であるに加え、工事関

    係資料についても保管状態が悪く散逸しており殆ど入手できなかったので、専ら現地踏

    査による現状把握と判断によるものとなった。

    1)既存事業の改修について

    地区拡大が可能の場合、既存の地区は全体地区の一部となるから改修検討に先だって

    地区拡大検討を優先しなければならない。地区拡大を伴わぬ場合でも、欠如している基

    本調査を実施し既存港教組織の合目的性を確認してから改嵯検討に着手する必要がある.

    現地調査の結果、構造物はほぼ全面的な改修が必要と思われた。特に現取水工は堰上げ

    機能を持たず、河床低下による取水障害、堆積土砂による取水量の減少を生じているの

    で固定堰、排砂門、沈砂池等を完備した頭首工に改造することが必要である。

    2)拡大開発計画

    ・計画面積

    水資源局で検討している地区拡大案は、現在のオロボリ地区を含み周辺の濯概適地を

    取り込んだ2, 000Haとしているが、地形図に示された計画地域を現地調査した結果、

    地形的不適地、その他用途地を除く濯概可能面積は1, 5 0 0Ea程度と判断された.

    ・水源計画

    現地調査の結果、サン・ホセ川既設取水工の上流約5 00mの分岐点(サン・ホセ川、

    ボティハ支涜)直下涜部地点(標高54 0m)に堰上げダムを建設し貯水することが検

    討された。流域面積は約1 1 0血2であり,全般に良好な森林植生に覆われている。

    I 30 -

  • この地点は左右岸とも直高約3 0mの切り立った岩が露出している。川幅は右岸側の現

    状河床部分3 0m、左岸側の現状高水敷部分3 0m全幅6 0mである。

    この地形条件からダムの堤高は最大2 5m程度と考察された。この規模での利水容量は

    概ね2×106 -2. 5×106 m3 と推定される.

    左右の岩は表面に発達した柱状節理が観察された。風化、浸透が懸念されるので地質調

    査では基礎部分と共に十分な調査検討を必要とする。

    ダムタイプは、至近に良質なコア用土が見当たらず、地形が洪水吐設置に不向きである

    と観察された反面、骨材、岩石材の入手が容易であり、且つダム体積が比較的小さいこ

    とから,フィル型よりもオーバーフロータイプ巨石コンクリート重力式とすることが合

    理的であると判断された。

    ・取水設備計画

    計画取水量は受益面積及び作付計画確定により定まるが概ね1. 5-2. Om∋ /s

    となろう。ダムから一旦サン・ホセ川に放流し、現在の取水工地点に新設する頭首工か

    ら取水する案と、ダムから直接導水する案が考えられる。後者は現況では左岸側の地形

    が厳しく導水路のトンネル,暗渠施工が必要となるが、工事用進入路、俣回し水路トン

    ネル計画如何によっては前者より有利となることも考えられる。

    ・港概計画

    イ.港概計画

    貯水量は面積拡大ポテンシャルに比して少ないので拡大計画全面積の通年濯概は困難

    である。先ず雨期中の小乾期の全面的な克服、次いで作目選定と作付面積の組合わせに

    よって(乾期における)雨期に連続した作付期間の延長を図ることを基本とする合理的

    な栽培水利用計画を樹てることが必要である。この検討とダム利水容量によって定まる

    漕i既可能面積は、概ね1, 200-1, 500haと考えられる。

    ロ.濯概施設計画

    夜間の無効放流を避け、末端地域の水不足を解消し、且つ水路等構造物の施設容量の

    軽減を図るため、極力調整池の設置を考慮すべきであり、幹線水路路線は調整池適地の

    選定を念頭に置いて計画することが必要である。

    又、施設維持管理、用水管理の地元農民組織への移管を念頭に置いた諸設備、特に定量

    分水設備の開発設置が望まれる。

    - 31 -

  • 5.4 総合所見

    小規模港概システムに関する先進諸国、国際機関等の支援として、 1 980-8 1年

    FAOによる小規模漕概改修計画、 1987-93年U. S. AIDによる漕概開発計

    画があるが、いずれも末端圃場レベルの水管理、営農指導を重点目標としており(19

    92年実績45地区1 440Ⅱa-32Ⅲa平均)国営漕概事業の改修とは性格を異にして

    いる。一方、中大規模プロジェクトについては徐々に先進諸国の技術協力、資金協力が

    導入され、予定されつつあるが、オロボリ地区に代表される小規模港概事業の改修は、

    その狭間にあって現在まで協力援助の手が差し延べられていない。

    下表に示す要改修地区は、大半が本地区と同様、基本調査の欠如及び計画設計技術の未

    熟による取水設備の不良が原因している。本地区をこれら地区改修事業のモデルケース

    としてわが国が協力し技術的支援を行うことは、爾後のホ国側自助努力による改修事業

    に必要な指針の確立に繋がり、促進の大きな原動力となるものと考えられるo

    要改修国営港概事業地区(1 0 0Ⅱa以上)

    地区名

    ラス・サビラス

    フローレス*

    セルグアバ**

    実施機関 実施年次

    サン・セバスチャン

    フマニ

    サンタ・イサベル

    サン・マヌエル

    ウニオンイフェルサ

    エル・プロベニール

    プリメ一口デマーヨ

    サンタ・アナ

    ラ・エラドゥラ

    ラ・ブスンカ

    オロボリ

    サン・ファン・デ

    フローレス***

    計15 地区

    荏. 1.実施機関中

    D.ILK. 76177

    D.R.H. 54156

    D.R.E. 54156

    I).E.H. 78-79

    D.E.II. 77-78

    I.N.A.

    RR. NN.

    I.N.A.

    I.N.A.

    D.R.II. 77-78

    I).R.Ⅲ. 7■卜78

    D.R.E. 77178

    D.R.E. 77-80

    D.R.E. 77-78

    I).R.E. 58-

    1985年調査

    所在地 面積(計画一実) 問題点

    CⅡOLtJTECA 250- O

    COXAYAG口A 18771719

    COXAYAGDA 2463-753

    COXAYAG口A

    COIAYAGロA

    CORTES

    CORTES

    CORTES

    CORTES

    ATLANTII)A

    ATLANTIDA

    OLANCEO

    OLANC且O

    ELPARAIZO

    FCO. XORAZAN

    150-126

    100- 49

    SIS- 0

    3500- 0

    259- 0

    133- 0

    100- 0

    103- 0

    120- 0

    160- 0

    400-130

    1200-600

    揚水機不良、 78から放棄

    要全面改修

    要全面改修

    取水不良

    建設中断

    機能せず

    機能せず

    放棄

    取水不良

    (老朽化)

    (老朽化)

    79から放棄

    77から放棄

    放棄(要均平)

    放棄

    幹線水路盛土崩壊 放棄

    取水工流失 放棄

    取水不能(河味低下)放棄

    取水不良 水路漏水

    サイホン、揚水機 不良

    港概計画面穫9,130 港概実面積2,377 率 26.0%

    D.R.”.:水資源局、 RILNN.:天然資源省、 Ⅰ.N.A.:農地改革庁

    2. *印は現在国際協力協議中 *、 **クエート政府資金援助 ***台湾政府

    - 32 -

  • 5.5 その他の案件

    国営小規模港概事業改修予備調査

    水資源庁はオロボリ地区に引き続いて他の既存小規模漕概事業地区の改修を意図して

    おり、今次調査に当って4地区が提起されたので、そのうちオランチョ県グァヤペ盆地

    に位置するラ・ブスンカ地区、ラ・エラドゥラ地区(前掲の要改修国営濯概事業地区参

    輿)について現地調査を行った。

    ブスンカ地区は河床の低下により、エラドゥラ地区は河状変化、洗掘による取水工の流

    失によっていずれも取水不能に陥り、水路施設には雑草が繁茂して港概地区としては完

    全に放棄された状態にある。両地区はともに肥沃な土壌に恵まれ、漕概用水賦存量によ

    っては地区拡大の可能性が大であると考察されたが、検討に資すべき基本資料、工事関

    係図書の不備、散逸はオロボリ地区同様である。

    今後の港概開発は、ホ政府が現在実施しつつある構造調整との整合性、両隣国の政情安

    定回復による当国への�