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キーボードの音で火が消える?!
山田 旅生 1 目的
音で火を消す実験は、音の面白さや不思議さを実感することができ、さらに共鳴についての理解
を深めることもできる効果的な教材である。しかし、共鳴を利用して火を消す実験の実践例は少な
い。そこで、誰にでも簡単に実践することができる方法を紹介する。
2 教材の内容
(1) 準備物
・アンプ内蔵スピーカー ・線香 ・マッチ
・集気瓶(底があるもの)2つ 高さ 13cm 口径 4.5cm 瓶の内径 6cm
高さ 12cm 口径 4.5cm 瓶の内径 5.5cm
・キーボードアプリを入れたスマートフォン(実際のキーボードでも可)
(2)作成手順
① スマートフォンに無料キーボードアプリ(今回使用したアプリは「iGrand Piano」)をインスト
ールする(図 1)。
② スマートフォンをアンプ内蔵スピーカー(今回使用したのは SANWA「MM-SPL5BK」)(以降スピー
カーとする)に接続する。
③ スピーカーを図 2 のように集気瓶の両側に向かい合わせで置き、集気瓶とスピーカーの距離を
できるだけ近付けて(当たらない程度に)置く。
④ 線香にマッチで火をつけ、線香を手に持ったまま火元を集気瓶の口元の位置に固定する(図 3)。
⑤ キーボードを一音ずつ鳴らし、ある特定の音を出した時、線香の火は消える。
図 1 アプリ「iGrand Piano」の画面 図 2 実験装置の位置関係
(3)実験のコツ・工夫
今回の実験のコツは、スマートフォンとスピーカーの音量をそれぞれ最大にし、集気瓶との
距離もできるだけ近づけることである。また、線香の火元を入れる位置は、集気瓶の口元の位
置(図 3)にすると、火が消えやすかった。
また、様々な形の集気瓶やコップ、ワイングラス、
ビーカーで試したが、底がない集気瓶や他の様々な
形のコップやワイングラス、ビーカーに比べて、底
がある集気瓶を使ったときに最も火が消えやすか
った。また、ロウソクの火でも試したが、火は激し
く振動するものの、火が消える最適な位置(図 3)
から火元の位置が少しでもずれると火が消えにく
いため、火が消えやすい線香の火の方が今回の実験
には適している。
3 教材の原理と活用例
この実験で線香の火が消える理由は、キーボードの音で共鳴が起こっているからである。キーボ
ードが出す音の振動数が集気瓶の固有振動数と一致すると、集気瓶が共鳴して集気瓶の中に定常波
が起きる。そして、定常波の腹の部分となる集気瓶の口元付近に線香の火を近づけることで、線香
の火が消える。
シ(B4)→493.9Hz
ド(C5)→523.3Hz 「音階の周波数」の HPより
音速:340m/s
波長×周波数=音速 だから
シ(B4)波長=340/493.9≒0.69(m)
波長×1/4=0.17(m)
ド(C5)波長=340/523.3=0.65(m)
波長×1/4=0.16(m)
それぞれ瓶の高さに 4cm のずれがあったが、集気瓶の形が複雑なのでこのようなずれがあると考察
される。
今回は底がある集気瓶 5 つを使用したが、そのうち火が消えた音は、シ(B4)が 3 つ、ド(C5)
が 2 つだった。火が消える音を事前に把握しておき、その音の近くをド、レ、ミ、…と子どもに出
させることで、ある決まった音を出すと火が消えるようにしておくとよい。
図 3 火元の最適な位置
4 まとめ
今回の実験は、子どもがキーボードから音を出し、自分が出した音で線香の火が消えるのを面白
がったり不思議に思わせることが目的である。大学生 10 人にも同じ実験を見せたが、多くの学生が
「どうして?」「本当に?」「次は自分がやってみたい!」と興味関心を強く示した。キーボードの
音で火が消えるという現象から音の面白さや不思議さを実感させ、音についてさらに学ぶきっかけ
となる教材になる。
5 参考動画
・https://youtu.be/u12L7ubn2CI「電子キーボードの音で、ロウソクの火を消す!!」