コープみえの「コープまなびのわ」は、職員が自分の言葉で、 組...

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コープみえの「コープまなびのわ」は、職員が自分の言葉で、 組合員のみなさんに、食の安全にかかわる情報をお伝えし、組合 員さんどうしで学び合い、考えあい、交流しあう機会としていま す。 1

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コープみえの「コープまなびのわ」は、職員が自分の言葉で、組合員のみなさんに、食の安全にかかわる情報をお伝えし、組合員さんどうしで学び合い、考えあい、交流しあう機会としています。

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今回は、食の安全について、4つの項目でお伝えさせていただきます。 組合員のみなさんが普段のくらしの中で、疑問に思っていることや、食に関する不安などを、みんなで話し合えたらいいですね。

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リスクいう言葉を聞かれたことがあると思います。リスクとは、危険という意味ではなく、行動したときに危険にあう可能性のことです。 例えば、車に乗ると、事故にあう危険性がありますね。天候が不安定な時に、屋外へ出かけると雷に合う危険性もあります。活断層が多い日本では、地震による災害の危険性もあります。 私たちは、普段からいろんなリスクの中でくらしていますが、安全運転でリスクを最小限にしたり、家の耐震性を高めたりして、リスクを許容できる範囲に減らして暮らしています。 では、食べ物にもリスクはあると思いますか?

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ふだんの食べものは、長い歴史の中でリスクの低いものが選ばれてきた結果ですが、現在の食べ物でも、リスクが全くないわけではありません。食品の中には、たくさんの化学物質や微生物が含まれており、それぞれを食べる量によって体への影響の大きさは異なります。 食品に含まれる微生物や天然毒、放射性物質、重金属、化学物質、残留農薬、食品添加物などは、摂取量によってリスクとなりますが、摂取量が少なければリスクは低くなります。 普段から食べている食塩や脂肪、糖質、ビタミン類も過剰に取りすぎると、様々な病気のリスクが高まります。 今回は、組合員さんの関心が高い食品添加物について、少しお伝えさせていただきます。

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食品添加物は何のために使われているのでしょうか。お豆腐は、にがり(凝固剤)が無ければ作れなかったり、こんにゃくも炭酸ナトリウムなどの凝固剤がないと作れません。強化剤は、ビタミンや鉄分、カルシウムなど栄養素を補うための物です。粉ミルクやベビーフードなどは、アミノ酸やビタミン類、ミネラル強化剤が含まれており、赤ちゃんにとって大切な栄養素を加えられています。保存料や酸化防止剤は、食品の変質を防ぎます。④と⑤は、なめらかな食感やおいしさ、見た目の楽しさなどに必要な要素として使われています。増粘剤はご高齢の方が、飲み込みやすくするための加工にも使われています。日本で使用してもよいと定められている食品添加物は約1500品目あります。 *指定添加物454品目は、科学的知見などで安全性を評価した上で、厚生労働大臣が指定したものです。 *既存添加物の365品目は、長い食経験があるもので、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたものです。 *天然香料の約600品目は、動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるものです。 *一般食品添加物約100品目は、果汁を添加物として使うなど一般に飲食に使われているもので添加物として使用されるものです。 (2013年現在)

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では、食品添加物のリスク評価はどのようにされているかみてみましょう。 リスク評価の一つに、ADIの設定がなされています。 ADIとは、ある物質を人が生涯、毎日摂取し続けたとしても、安全性に問題のない量として定めるものです。 ADIの決定には、まず、ラットやマウスの動物を用いた毒性試験など様々な試験結果の中から、最も低濃度で影響の見られる試験結果を選び、その試験で影響のみられなかった投与量=無毒性量を求めます。 この値は、動物試験による結果なので、人のADIは、動物の無毒性量の1/100を基準に設定します。 国が指定する指定添加物454品目は、これら多くの安全性試験を経て認定され、ADIが定められています。 食のリスクは、ハザード×摂取量、どんなものをどのくらい食べるかで決まってきます。「なにを、どれだけの量食べるのか」が重要です。 生協では、日本の食品添加物の基準から、更に独自の使用基準を設けています。

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生協はこれまで、組合員のみなさんの安全・安心の願いを基に、社会の動きの中で、声をあげ行動してきました。 1999年の食品衛生法の抜本改正を求める運動は、全国の生協組合員が中心となって1373万筆の署名を集めて国会請願を行い、2003年に食品衛生法の改正・食品安全基本法の制定などに結びつきました。現在の食品添加物や残留農薬の安全性評価のしくみは、全国の生協の組合員さんたちの運動から生まれたものだといえます。 2010年から日本生協連では、CO・OP商品における化学物質の管理のあり方を見直してきました。基準は科学の進歩で常に見直されます。ある時点で定めた基準も、安全性を証明するデータが集まったり、逆に新たな問題が発見され変更されることがあります。しかし、生協として食品添加物に対する考え方は変わりません。 積極的に食品添加物を使用するわけではなく、食品添加物を使用することで組合員さんにとってより価値がある食品ができる場合については、安全性を確認した食品添加物を使用するという考えで、不必要な添加物は使用しません。

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生協では、食品添加物の使用基準を設定しています。 不使用添加物は、すべての商品において使用しません。 また、使用制限添加物は、一般商品(コープ商品以外の商品)については制限対象外です。しかし、使用制限添加物が使用されている商品の扱いは差し控えることをめざしています。 不要なものは使わないというのが生協のスタンスです。

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それでは、生協の不使用添加物について見てみましょう。 不使用添加物とは、 ①遺伝毒性発がん性物質と考えられるものです。 ②ADI(一日の許容摂取量)が信頼できる機関で設定されておらず、日本生協連としてそれを補う科学データが入手できなかったものです。 ③安全性に関する科学的なデータが入手できず、成分規格等に懸念される情報があるものです。 安全性の評価が十分でなかったり、まだ評価が終わっていないので不使用添加物としています。 これらの不使用添加物は、添加物として特定の食品に使用を認められていますが、使用実績がないものもあり、現在ではほとんど食品に使われていることがありません。日本生協連では、使用を認めておらず、不使用添加物としています。

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使用制限添加物は43品目あります。 不使用添加物における3つの条件には該当しませんが懸念される問題点の指摘があるもので、懸念される問題点とは、 ①添加物を製造する時や、使用した場合に発生する不純物などに安全上の問題があるもの ②製品として添加物の純度など成分規格に不十分な点があるもの ③国が評価していない新しいリスク要因が懸念されるもの この不使用添加物と使用制限添加物の55品目は、国がリスク評価の上で認可した食品添加物であり、基本的には安全性が確保されています。 よくあるお問い合わせに、一般小売で売られている商品がなぜ生協でも取り扱われているのとか、生協も一般小売も変わらないのではといったご意見をいただく時があります。 それは、世の中全体で食の安全のレベルが上がってきたからであり、この要因は全国の生協組合員さんたちがリードしてきたからです。 また、実際一般小売で販売されている食品を生協でも注文できますが、生協の使用基準を満たしているものを取り扱っています。

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コープみえ広報誌「ひだまり」のコラムへご寄稿をいただきました松永和紀さんが、ご自身の考える食のリスクランキングを紹介してみえますので見てみましょう。食べることで健康を損なうリスクの一番は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病ですね。そして2番目に食中毒です。お餅などで窒息による死亡もあとを絶ちません。健康食品も要注意です。インターネットなどで売られる製品の中には、非常にリスクの高いものがあります。また、農作物に付くカビの中には、アフラトキシンのような強いカビ毒を作るものもあります。アクリルアミドは、遺伝毒性を有する発がん物質だとわかっていますが、食事をバランスよく食べていれば、栄養成分も多くとれ、摂取量はほどほどに抑えられます。食品添加物や残留農薬のリスクは専門家として見た場合、現在では気にする範囲にはなっていないということですね。社会においては、アレルギー患者が自身のアレルゲンを避けられる食品表示やメニュー作りも、重要な課題となっています。 また、みなさんに注意してほしいのが食塩の摂取量です。食塩の摂りすぎは、血圧を上げる大きな原因になり、がんや脳梗塞、腎臓病のリスクも高めます。 厚生労働省が示している1日当たりの食塩摂取量の目標値は、男性8g未満、女性は7g未満です。外食では、どうしても食塩を摂りすぎてしまいがちですので、食塩摂取量を調節することが大切です。生協の商品案内でも食塩相当量の表示がされるようになりました。 11

実際に、食べものが原因で健康を損なうことが多いのは食中毒です。先ほどのリスクランキングでも2位でした。 細菌やウイルスによる食中毒を一部ご紹介します。みなさんが良く耳にするO157という食中毒があります。 食中毒を防ぐ対策として、生で食べてはいけないものは、ちゃんと加熱してたべることが大切です。外食での鶏の生食にも気をつけたいですね。また、畜産品以外の野菜や水産物でも注意が必要です。野菜は土壌の中の微生物が付いていることが少なくなく、サラダや浅漬けも食中毒の原因となるので、野菜も加熱せずに食べるときには、しっかりと水洗いする必要があります。ノロウイルスの対策には十分な手洗いが重要です。

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平成28年に発生した食中毒は、全国で1139件でした。 ここに出ている死者のうち4名は、家庭での誤食による食中毒の事故です。行者にんにくと間違ってイヌサフランを食べたてしまったり、ニラと間違えてスイセン、ニリンソウと間違えてトリカブトを食べたことが原因です。また、他の10名は、ウイルスによる食中毒の事故で、老人ホームでの給食や、きゅうりのゆかり和えが原因でした。 最近では、生後半年子どもにはちみつを食べさせて亡くなったという事故や、BBQをしているときに毒キノコを食べてしまったという事故もありました。 ここで知っておいていただきたいのは、天然で採れた混ぜ物のない食べ物にも、もともとリスクがあるということを認識しておきたいですね。

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それでは、生協での取り組みについて、ご紹介させていただきます。 私たちが利用している商品は、東海コープ事業連合で管理しています。商品には、一つひとつ規格と仕様が決まっています。 商品部は、取引先の選定やメーカー・工場への点検を実施しています。また、品質保証部は、その仕様が組合員みなさんとの約束にかなっているものか、法的に問題のない表示がされているか、事故が起こる可能性はないか、お申出があった場合の原因究明と対策の評価をおこなっています。商品検査センターでは、商品が仕様通りに製造されているか実際に検査する施設です。組合員の皆さんに代わって、実際に配達されている商品の品質、特に細菌数をチェックしています。 組合員のみなさんが安心して、ご利用していただけるように、しっかりと検査をおこなっています。

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コープみえは、組合員一人ひとりが「食」について意識を高め、「食」に関する情報に対して、適切な判断力を身につけ、心身の健康の増進と健全な食生活の実践をめざしています。 今は、子どもたちを対象とした取り組みが中心ですが、生活習慣病にならないための食育活動をすすめていくことが大切だと考えています。 毎年、JAさんとご一緒に、お米づくり体験を企画しています。田植えから稲刈りまでを目で見て体験し、子どもたちがお米をつくることや、食べることの「楽しさ」「大切さ」への気づきと、自ら育っていく力を伸ばしていけるように取り組んでいます。 たべる*たいせつキッズは、子どもたちが一人で料理をする場として取り組んでいます。最初は1人で不安がる子もいますが、何かを一人で成し遂げることで自信になり、料理をする楽しさと、食への関心を高めていただいています。

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最後になりますが、組合員の皆さんが、安心して商品をご利用いただけるよう、組合員の皆さんの声を聴き、必要な情報をお届けできるように努めていきたいと思います。 そして、組合員のみなさんが、食の安全について、正確な情報を知り、考えて、安全で安心な食とくらしを、求めていきたいと思います。 ありがとうございました。

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