カルボシステインドライシロップによる 一包化調剤の品質劣化...経 緯...
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カルボシステインドライシロップによる一包化調剤の品質劣化
公益社団法人東京都薬剤師会 衛生試験所
○梅沢 綾子 向永 和頼 楜沢 格子 安田 一郎
安部 好弘 西澤 啓子 小野 稔 藤田 義人
経 緯
本会試験所契約薬局より、一包化剤の着色について相談を受けた。
【 1包中の薬剤 】
A:デパケン細粒40% 0.63g
B:ムコダインDS 50% 0.54g
C:マイスタン細粒1% 0.65g
D:イーケプラDS 50% 0.25g
E:ムコサールDS 1.5% 0.44g
2.51g
基本処方
保管前 保管後(4週間)
基本処方 40±2℃/75±5%RH/暗所
着色追究 Step1
基本処方から1剤を抜いた一包化品の色調
基本処方
保管前
基本処方
デパケン
抜き
ムコダイン
抜き
マイスタン
抜き
イーケプラ
抜き
ムコサール
抜き
40±2℃/75±5%RH/暗所
参考 参考
着色追究 Step2
ムコダイン
アミノ酸
マイスタン
還元糖
デパケン
水分
で着色
基本処方から3剤ずつを組み合わせた色調
アミノカルボニル反応
着色解明
<アミノカルボニル反応>
メラノイジン (褐変物質)
極大吸収
280nm
UV及びVISの吸収スペクトル
600nm 200 350
グリシン+ブドウ糖
基本処方 3剤
着色以外の品質劣化 ① 水分含量:16%増加 L‐カルボシステイン(L-C):わずかに減少
100
83 89
81 79
0
50
100
0 1 2 3 4
HPLCによるL-Cの経時変化 (%)
(週間)
0週間 1週間 2週間 3週間 4週間
着色以外の品質劣化 ②
100
80
22
0.8 0
0
20
40
60
80
100
0 1 2 3 4
HPLCによるASPの経時変化 (%)
(週間)
呈味:甘味から苦味へ アスパルテーム(ASP):減少
保管前
保管後
ASP
TLC試験
結 論
・ L‐カルボシステインによる褐変化は アミノカルボニル反応に起因する ・呈味の変化は、アスパルテームの消失 による ・基本処方の一包化は、品質劣化を生じ 不適当である
薬学的知見
・他剤との一包化情報は、インタビューフォーム あるいは製薬会社からの回答では限界がある
・L-カルボシステインのような他剤との一包化 で品質劣化をおこす薬剤があるので注意する 【対策】 ・色味と同様、呈味の変化にも注意する
・吸湿性のある薬剤には乾燥剤を入れる
・長期ではなく短期調剤に変更する
湿気防止
(シリカゲル入り気密容器)
湿気防止無
40±2℃/75±5%RH/暗所 1週間保管