finance boot camp #1

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Finance Boot Camp #1 木村 義弘 ァイ講座 Copyright KIMURA, Yoshihiro All Rights Reserved. [email protected]

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Sorry, Japanese only. 日本語で失礼。 創業当時の財務の役割について。メインは資本政策の作り方。 演習シート(エクセル)

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Page 1: Finance Boot Camp #1

Finance Boot Camp

#1

木村 義弘

ファイナンス講座

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[email protected]

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全体イントロダクション

【本ファイナンス講座の3つの目的】

①財務の実務・役割を知る、②資金繰りを知る、③資金調達を知る。

1st起業と財務(演習付)

◎ - -

2nd事業拡大と財務①

(演習付)○ ◎ -

3rd 事業拡大と財務② ○ - ◎

4th事業計画策定

(演習付)○ - ◎

5th企業価値(演習付)

- - ◎

6th 上場と財務 ◎ - -

財務の役割 資金繰り 資金調達内容

Page 3: Finance Boot Camp #1

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本日のテーマ

• 本講では、「起業」から1つの通過点である「株式上場」までの企業の成長を財務・資金という視点から俯瞰する。

• 特に、企業として資金とどう付き合っていくかのロードマップとなりうる「資本政策」を演習を通して学ぶ。

• 資本政策策定は、経営の自由度や、創業メンバー・従業員のインセンティブを設計するために必要な実務であり、企業として公共性の高い「パブリック・カンパニー(上場会社)」を目指すのであれば、重要な業務である。

• 一方で、資本政策を創業当時から立案しているベンチャー企業は多くはない。特に金融機関・投資家と付き合うに当たっては、この周辺を熟知していなければ、「いつの間にか会社ががんじがらめ」ということもありうる。

• そのような状態を避けるべく、資本政策を意識して経営を執行することが肝要である。

起業と財務

Page 4: Finance Boot Camp #1

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本日の流れ

座学

演習①

演習①の解説

内容

設立時の財務の役割について

資本政策について

実際に資本政策を作っていただきます。

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本日の目的と目標

【目的】

財務担当の仕事・役割の本質を理解すること。株主構成の重要さを理解すること。

【目標】

起業するときの資金周りの設計をある程度自分でできるようになること。「資本政策」を自ら設計することができるようになること。

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Memo

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

その男、業を興す。

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唐突ですが、会社を立ち上げることにしました。

• 彼は木村義弘。妻子持ち28歳。大学は理系でしたが、何を思ったか投資会社に入社し、3年目。投資会社といっても、世に言う「ベンチャーキャピタル」という業種で、日経新聞の金融面をにぎわすような所謂「バイアウトファンド」のような大きな案件ではなく、「まだまだこれからのベンチャー企業」への投資と投資後の経営支援に携わってきました。

• 数々の投資案件や経営支援に携わったものの、募るのは「事業に主体的に関わりたい」という想い。我侭な話かもしれませんが、投資先の経営支援を行うも、あくまで「支援」。また数々の投資案件があるも、「投資案件としていいか否か」よりも、「自分ならどうするか?」を考えてしまう今日この頃です。

• そんな自分に、年上の友人であった福田博之氏から連絡が。「きむきむさ、一緒に会社やらない?」 ビジネススキームとしては、今流行りの「web広告ビジネスモデル」でしたが、福田氏の人柄から、「まぁ何とかなるかなー」と甘い算段で、二つ返事でOKを出してしまった。。。男28歳。妻子持ち。勝負するなら今か?そんな想いが胸によぎりました。

• さて、福田氏はしっかりした人物なのですが、「財務?お前、金融出身なんだからできるだろ?」という軽いノリで任されてしまいました。大丈夫か?

• このFinance Boot Campはそんな木村くんの、創業から上場までを描く、聞くも涙、語るも涙の「ファイナンス奮闘記」でもあるのです。

『オトコ、木村。そろそろ勝負の時かと存じます。』

0. Introduction

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

まず木村が直面したのは、こんな基本的な問題。

会社を立ち上げるんだけど、・資本金はどうすればいい?・創業時にいくらオカネかかるんだ?

Page 10: Finance Boot Camp #1

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1円起業もできるけど:資本金の実際

視点①常識的には300万円以上(実務的に)

2006年5月1日より、新しい「会社法」が施行されました。今選択しうる会社形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、LLPで、一般的には株式会社を選ぶこととなります。新しい会社法では、資本金1円でも会社を設立できます。しかし、現実的には、30-40万円の設立登記費用が必要となります。また開業資金等も考慮すると、改正前の会社法で定められていた、株式会社1,000万円、有限会社300万円(新会社法では、有限会社は新規設立不可)であることを考慮し、最低300万円程度の資本金を用意するのが妥当でしょう。

また、創業資金や当面の運転資金を資本金から支出することから考えると、1円企業でいきなり「マイナススタート」、つまり「債務超過企業」でスタートすることとなり、これは好ましくありません。

視点②最初の資本金は1,000万円未満(税務的に)

年間の売上が1,000万円を超えると消費税を納税しなければなりません(利益の額にかかわらない)。一方で、資本金による納税義務区分があります。新設法人の資本金が10百万円以上になると、設立第1年目と消費税の納税義務が発生します。逆に10百万円未満だと、1年目、2年目は消費税は免税されます。

(某社F COOが、「この免税、本当に助かったよ~」と実感を込めて言ってました。)

多ければいいというわけでもない。少なくてもいいというわけでもない。スタート時の資金は【300万円以上1000万円未満】で!

創業時の資本金はいくらにすべきか?

1. 会社を立ち上げよう!

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創業時に必要なお金

先立つものはオカネ。創業時の資金は【創業資金】と【運転資金】が必要です。

創業資金 運転資金

事業を開始するまでの支払にあてるための資金。立ち上げ時に一度払うのみ。

事業を継続していく中で、日々必要となる資金。仕入のみならず人件費や家賃もこれに該当。ある程度、余分に見積もって確保しておきます。

【主な費目】設立登記費用(30-40万円)

土地・建物(取得の場合)事務所・店舗・工場の保証金(敷金・礼金・権利金)及び手数料店舗改装費・事務所費(オフィス家具など)PC他周辺設備

在庫商品代その他

【主な費目】家賃原材料・商品仕入代人件費(自分・社員・パート代)通勤費・運賃通信費水道光熱費その他営業活動費

1. 会社を立ち上げよう!

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創業のオカネ

自己資金で始めるか、第三者にすがるかあなたはどっち??

<常識的には50%以上自己資金が目安>

【借入】■親族• 創業資金は親族から出してもらうケースが多く、統計上14%は親族からの借入で賄っています。

(国民生活金融公庫2007年調べ)。• 但し年間1.1百万円を超えて受け取ると贈与税が発生するため、借入として明確に処理するのが望ましいです。

(借用証を取り交わす。)■第三者• その他、民間金融機関や国民生活金融公庫から資金を借りる場合、創業計画書の提出が求められます。(雛

形は国民生活金融公庫のHPに。)• このほか、創業支援の借入制度が多数ある。国民生活金融公庫や、各銀行の融資サービスなど一通りチェック

するか、地域の融資制度・助成金の活用も検討すべきです。【出資】• 友人・知人:株主(エンジェル)になってもらうか、借り入れるか。• ベンチャーキャピタル、ファンドから出資を募るか。

創業資金(当初の運転資金も含む)

自分で賄う(自己資金)借りる出資を受ける(エンジェル)

1. 会社を立ち上げよう!

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

資本金600万円、全て自己資金で

スタートした新会社、株式会社リカフォル。社名も決めて、いざBusiness!

さて、元VCの木村くんは、ノリで「CFO」になってしまいました。

ところでCFOってどんな仕事?VC時代は行き当たりばったりで、

投資先の支援を行っていましたが、一度「財務」という仕事を俯瞰する必要がありますね。

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会社の一生

会社は様々な障害・困難に打ち勝ち、成長していきます。

企業価値の成長

時間

設立

成長&資金調達(増資 or 借入)

株式上場

更なる資金調達

東証2部・1部へ

指定替え

Going

Concern?Private Company

(非公開企業)

Public Company

(公開企業)

2. 財務のオシゴト

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会社の一生と財務

企業価値の成長

時間

設立

成長&資金調達(増資 or 借入)

株式上場

更なる資金調達

東証2部・1部へ

指定替え

Going

Concern?Private Company

(非公開企業)

Public Company

(公開企業)

会社には成長するに伴い、各ステージ毎の経営戦略・財務戦略があります。

VC/銀行との付き合い

監査法人・証券会社対応

資金調達の多様化M&A

配当政策自社株買いetc

IR

2. 財務のオシゴト

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財務屋さんのお仕事①

財務屋さんのお仕事は大きく『オカネを回すこと』と『オカネを引っ張ってくること』

ただし創業当時は「社長の仕事」です!

オカネをまわすこと=資金繰り

オカネを引っ張ってくること=資金調達

資金繰りは社長と財務担当者の業務。日々「いくらはいるか」と「いくら出るか」を監視し続けなければなりません。朝9時の時点でオカネはいくら口座に残っていますか?15時の時点でオカネはいくら口座に残っていますか?常に気を配るために、「資金繰り表(第2回)」を作成します。

いよいよ資金が回らなくなってきた、もしくは、新しくデカいビジネスをやりたい。そんなとき、「オカネを引っ張ってくる」つまり、「資金調達」は財務担当者の仕事です。

いくら必要なのか?:資金繰り、資金計画どういう調達をするのか?(借入?株式?社債?):事業計画、資本政策誰から調達するべきか?(銀行?VC?事業会社?個人?):事業計画、資本政策誰が調達に動くべきか?(いつ社長が出るか?)

・・・上場後は、IR活動という業務も増えるのですが。。。

2. 財務のオシゴト

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財務屋さんのお仕事②

財務担当の仕事は、資金繰りと資金調達ですが、創業当時の多くの企業は「管理部」として、実際には財務だけでなく、

経理機能も持つこととなります。

定例業務(年間) ※3月末決算の場合

期首4/1

1Q

6末2Q

9末3Q

12末期末3末

前期決算税務申告書作成

1Q決算 中間決算 3Q決算 前期決算税務申告書作成

日常業務(年間)

※月次決算も実行。

情報収集: 会計制度・税制の改正等キャッチアップ。資金繰り: 日々・日常の資金の出入りを管理し、常に資金の不足がないようモニタリング。債権・債務管理:

売上債権の回収及び仕入債務の支払の管理。節税対策: 常識的な範囲での節税対策の検討。

日常業務(年間)投資計画: 新規事業・設備補強など事業展開上必要な投資に関する投資計画の策定。経営計画: 経営陣が策定する中長期経営計画の数字部分のフォロー。

2. 財務のオシゴト

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Memo

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

株式会社リカフォルを立ち上げて、3年。

創業メンバーである、福田氏と木村くんはいよいよ1つのゴールを

思い浮かべはじめました。「俺たちの会社も、上場できるかな。」

そうなると、「公(おおやけ)の企業」としての自覚が必要。

上場を目指すには、それ相応の「覚悟」が必要です。

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You, どっちすんの?

• 禅問答のようですが、単純に「①公共のものとしたいか=株式を公開するか」、「②私的なもののままでいいか=株式を公開しないか」ということです。

• 「株式を公開するか否か」によって、戦略上取りうるオプションがガラッと変わります。また、企業の目的や自分のビジョンを照らし合わせてどこかのタイミングで決断をする必要があります。

• 特に自分のビジョンと資金需要を照らし合わせて、「確かに多額の資金調達が必要」という絵がある場合、上場も視野に入れて考えていくこととなります。

• 今後の事業展開について、「営業キャッシュフローで賄える」(つまり実際の事業活動の利益で蓄積できる資金で、事業展開に必要な資金を賄える、ということ)と判断できる場合は、思い切って未公開としてもいいでしょう。実は超有名な企業である「サントリー」も未公開企業です。

• または、「創業者利潤の獲得」も立派な動機のひとつです。

会社を①公共のものとしたいか、②私的なもののままでいいか

決断が迫られます。

3. 迫られる決断

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プライベートで行こう!

プライベートカンパニー、つまり私的な会社なら。。。やりたい放題です!

未公開企業のメリット・デメリットメリット

–経営の自由度が高い。ドラスティックな内容でも迅速な意思決定が可能。–IRに必要なコストが最小限でよい。

–目先の利益ではなく、中長期的な視野に立った経営施策を立てやすい。–第三者からの「乗っ取り」を受けにくい。

デメリット–大型の資金調達が難しい。–経営のディスクロージャーが進まない。

戦略の方向性キャッシュをいかに残すか。

–極端な話、「赤字」でもよい。–節税が重要となる。(社用車?交遊費?)–赤字の場合、赤字分(税務上「欠損金」と呼ばれる)が7年間繰り越される!

3. 迫られる決断

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パブリックで行こう!

でっかい事業をやりたい、社会に価値を出したい・貢献したいそう思ったら視野に入れる「パブリックカンパニー」

公開会社のメリット・デメリット

戦略の方向性

メリット–大型の資金調達が可能–知名度・信用度の向上–キャピタルゲインの実現

デメリット–会社情報の開示義務による一連のコスト–第三者による経営権の掌握の可能性–一般株主への配慮

上場のシナリオを描く。–「戦略オプション」としての上場の必要性を認識すること–上場を目指す企業の「厳しさ」を理解すること。–経営権安定のための株主構成をデザインすること。

きっちりと事業収益を挙げていく。–赤字企業が上場に耐えうるわけがない。–収益のコアが安定しており、着実に利益を出し成長していけること。

3. 迫られる決断

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

株式会社リカフォルを立ち上げて、3年。

創業メンバーである、福田氏と木村くんはいよいよ1つのゴールを

思い浮かべはじめました。「俺たちの会社も、上場できるかな。」

そうなると、「公(おおやけ)の企業」としての自覚が必要。

上場を目指すには、それ相応の「覚悟」が必要です。

Page 24: Finance Boot Camp #1

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「会社は株主のもの」と言われても。。。

• これから株式公開を考えている会社の場合、未公開時には株式の譲渡制限がかけられています。取締役会の承認を得ないと株主は保有する株式を他者に譲渡できません。株式の保有割合(『持株比率』とか『シェア』という)は、当該企業に対する発言権の強さを示します。

• 上場後も、経営権に一定の自由度を持たせるには、この株主構成を意識して、今後の資金調達を検討していく必要があります。何故なら、資金の出し手である出資者の多くが、株式公開時の「キャピタルゲイン」を目的に投資をするため、株式公開後に市場で売却します。これらの出資者の持株比率が大きいと、上場後そのまま「一般株主の持分」となり、場合によっては、敵対的買収のターゲットになるなど、せっかく育てた会社が、「マネーゲームの餌食」になることもあります。

• パブリックを目指すとは言え、一定の経営権も確保し、安定した経営を実現するため、株主構成は上場前からしっかり練る必要があります。

• この株主構成に関する戦略を、「資本政策」と呼び、株式公開を目指す企業はこの資本政策の策定に取り組みます。

公開後の自社の経営権確保を視野に入れるなら、相当意識すべきは「株主構成」。

4. 株主は誰がいい?

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経営権と持株比率4. 株主は誰がいい?

持株比率と経営権は密接に連動しているため、株主構成は常に意識しなければなりません。

75%

非公開会社が、以下の権利に関する事項について、株主ごとに異なる取り扱いを行う旨定款で定める場合の定款変更。・剰余金の配当を受ける権利・残余財産の分配を受ける権利・株主総会における議決権

66.7%

株主総会で特別決議が可能。(減資、合併、事業譲渡、株式交換、株式移転、有利発行による第三者割当増資、定款変更等)

50%

株主総会で普通決議が可能。(取締役の選任・解任、計算書類の承認等)

33.3%

株主総会で特別決議を否決可能(拒否権)。

3%

株主総会召集請求権(6ヶ月以上保有)

帳簿閲覧請求権

1% / 300個以上の議決権を6ヶ月前より保有。

総会決議提案権。

※15-20%で持分法適用※10%会社解散請求権

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資本政策って何ぞや?

株式公開を目指す会社が「いつ」「誰に」「いくら」の株式(等)を持たせるかの計画。

資本政策の定義資本政策とは、株式公開時の株主構成や、発行済み株式総数、公開前およびこう開示の資金調達額などの目標達成に向けて、どのタイミングで、どのような手法で、誰から資金を手配するかを計画した財務計画です。

資本政策の目的株式公開準備における資本政策の目的は、下記のようなものが挙げられます。① 創業者の経営権確保と安定株主対策② 公開前および公開時の資金調達③ 創業者の事業承継対策④ 従業員のインセンティブ・プラン⑤ 創業者のキャピタルゲインの実現⑥ 公開市場ごとに要求される形式基準の充足

4. 株主は誰がいい?

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資本政策策定プロセス

資本政策には、増資や株式分割などのイベントの実績・予定を克明に記していきます。

実施後の状況把握

個別手法の決定と実施

資本政策の検討

前提条件の設定

上場目的及び

資本政策の目的明確化

現状確認

• 現状の株主構成• 過去の株式移動・増資の内容

• 資金需要• 事業承継ニーズ• 優先順位決定

など

• 上場目的の再確認

• 資本政策の目的の明確化- 形式基準充足- 資金調達- 株主構成調整

など

• 上場市場の検討• 上場時期の検討• 上場時株主構成• 目標調達額• 創業者利潤実現

など

• 資本政策実施の目的や前提条件を決定するための個別手法をいつ実施するかなどの計画

• 従業員等へのインセンティブプラン

など

• 株式移動• 株主割当増資• 第三者割当増資• 株式分割• 株式併合• 新株予約権

など

• 株式市況変動による想定株価見直し

• 想定資金調達額の見直し

• 上場審査基準充足状況の確認

など

4. 株主は誰がいい?

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Memo

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Finance Boot Camp #1

0. Introduction

1. 会社を立ち上げよう!

2. 財務のオシゴト

3. 迫られる決断

4. 株主は誰がいい?

5. 演習

さて、かくして木村くんは株式会社リカフォルの資本政策を策定することとなりました。

皆さんは木村くんになったつもりで、資本政策を策定してみましょう!

Page 30: Finance Boot Camp #1

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演習:資本政策策定

実際に資本政策をつくってみましょう!・・・とその前に。

• まず最初に資本政策の様式など確認します。

• 事前にお配りした、「演習資本政策.xls」をお開きください。

5. 演習

YOU CAN DO IT !

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資本政策の実際:盛り込む情報

第1期(2006年)第1期(2006年)第1期(2006年)第1期(2006年)2006.42006.42006.42006.4設立設立設立設立

発行株式数 (株) 120発行済株式数 (株) 120株価 (円) 50,000潜在株割当 (円) 0調達総額 (百万円) 6.0資本金 (百万円) 6.0資本準備金 (百万円) 0.0時価総額 (百万円) 6.0時価総額(潜在株込) (百万円) 6.0株主

株数 持分 付与数 持分 株数 持分創業・ボードメンバー 120120120120 100.0%100.0%100.0%100.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 120120120120 100.0%100.0%100.0%100.0%

福田 博之 代表取締役 70 58.3% 0 0.0% 70 58.3%木村 義弘 取締役CFO 50 41.7% 0 0.0% 50 41.7%A 取締役 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%B 取締役 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%C 取締役 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%D 取締役 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

事業パートナー 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0%パートナー1 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%パートナー2 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

ベンチャー・キャピタル 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0%VC1 代表名 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%VC2 代表名 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%VC3 代表名 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%VC4 代表名 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%VC5 代表名 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

従業員・個人 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0%従業員(持株会) 続柄 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

続柄 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%続柄 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

一般株主 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0%公募増資 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%売出 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

合計 120120120120 100.0%100.0%100.0%100.0% 0000 0.0%0.0%0.0%0.0% 120120120120 100.0%100.0%100.0%100.0%

業況・指標(別途事業計画立案のため流動的)売上高 (百万円) 0営業利益 (百万円) 0税引後当期利益 (百万円) 0EPS (円) 0PER(顕在のみ) (倍) 0.00PER(潜在含む) (倍) 0.00

株式 潜在株式 合計

①資本移動の変遷このパートには、財務上のイベントが実施された(実施予定)期及び年月と、そのイベントで生じた資本移動を記していきます。増資の場合、いつ、1株いくらで総額でいくら調

達したのかを示します。

②株主と持株数・持株比率このパートには、各株主と持株数及びその持株比率の推移を記していきます。株主は分類して記載するのが一般的であり、創業メンバー・役員陣、事業パートナー、VC、従

業員・個人、(上場を見越す場合)一般株主の欄を設けます。

③各期の業績指標株価を求めるベースとなるので、各期の業績及び今後の事業計画を記します。特に上場時の利益見込みは、想定株価の算出に必要であるため、重要です。

5. 演習

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①現状確認

現状確認で、まず今日現在までの資本政策(資本実績)を作成する。

確認すべき項目設立時期各株式の

•割当時期(譲渡時期)•発行数(譲渡数)•発行価額•割当先(譲渡先)•直近の取引株価

その他ストックオプションも発行していれば、その情報を盛り込みます。

演習資本政策.xlsにおいて、

今回は直近までの資本実績は完成しております。

内容説明は口頭で行います。

5. 演習

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②前提条件の確認・設定

資本政策策定における優先順位、上場時期、事業計画を確認・設定します。

確認すべき項目

資本政策策定時のスタンスと重視する項目

資本政策策定時のスタンス(次項参照)上場(希望)時期上場市場:東証マザーズが一般的ターゲット市場。(東証一部への道、取引数の多さなど)事業計画(第4講で詳述。)

•上場時の株価を設定することが目的で、上場時の売上高・税引後利益が試算されていることが必要。

スタンス 重視 デメリット

企業の成長スピードをあげたい! 必要資金調達額の全額確保。 株価や持株比率への拘りを捨てざるをえない。

上場はしたいが、一方で会社の乗っ取りを出来る限り防止したい!

安定株主だけで、議決権の3分の2以上確保。

安定株主だけで、必要資金を賄えない場合、会社の成長速度を落としてしまう。

新興市場への上の市場への上場も視野に入れたい!

新興市場で創業者のシェアをなるべく落とさないようにする。

同上に、創業者だけでは、必要資金をまかなえず、成長速度を落としてしまう。

新興市場において、創業者利益を十分に確保したい!

創業者のシェア低下防止を重視する。また、IPO時の売り出しを実施する。

-

5. 演習

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③ゴールの設定

上場時の資本政策の仕上がり、つまり資本政策のゴールを設定します。

設定すべき項目上場時の時価総額上場時の株価公募株数と売出株数上場までの資金調達計画安定株主の持分:66.7%以上が一般的

5. 演習

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④ゴール設定で必要な計算

目標とする株価、株式数、時価総額の目安を設定します。

目標とする株価など、以下のように求めます。

整合性チェック

株価の算出上場時

発行済株式総数の設定

公募株式数/

売出株式数の設定

時価総額の計算

PERの仮定

PERは一般的に15倍で仮定。

時価総額=当期利益

×PER

ターゲット市場の形式要件に沿う公募株式数、および売出株式数であること。

公募株式数、売出株式数の設定を実現し、かつ安定株主の保有割合がバランスした発行済株式総数を設定する。

時価総額を発行済株式総数で割り、株価(仮定)を算出する。

資本政策策定の目的・重点項目との整合性がとれているかチェックする。

5. 演習

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ゴール実現のためのファイナンス手法

○×○デット・エクィティ・スワップ

○○権利行使前:×

権利行使後:○

新株予約権付社債

/新株予約権

××○株式譲渡

○××株式無償割当

×(減少)××株式併合

○××株式分割

○○○第三者割当増資

○△×株主割当増資

発行済株式数の増加資金調達持株比率の変動ファイナンス手法

ゴール実現に向けて、資金調達と最適な株主構成を両立するために、以下のようなファイナンス手法を駆使する。

5. 演習

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各ファイナンス手法の目的と特徴

株主割当増資

第三者割当増資

株式分割

株式併合

株式譲渡

新株予約権付社債

新株予約権

デットエクイティスワップ

手法

株式数の増加資金調達

株主構成の変更株式数の増加資金調達

株式数の増加

株式数の減少

株主構成の変更

株主構成の変更株式数の増加資金調達

株主構成の変更株式数の増加資金調達インセンティブプラン

株主構成の変更

実施目的

既存株主に対して、持株比率に応じ平等に株式を割り当てる増資。既存株主に資金余力があり、外部株主を入れたくない場合に活用する。増資払い込みに応じない株主がいる場合(失権)には、株主構成が変更となるリスクがある。

特定の第三者に対して株式を割り当てる増資。証券取引所の規則により、制限期間及び継続所有期間が設定されている。特定の持株比率をアップさせるとともに、資金調達が可能。

株式を分割し、株主に無償で株式を交付する手法。既存株主の株式数のみを増加させたい場合に有効。(無償割当と近い。)価額は理論的には、発行済株式総数が増加した分だけ低下する。

株式を併合し、株数を減少させる手法。想定している発行済株式総数より、実際の発行済株式総数が多い場合において、株式数を減少させたい場合に有効。

既存株主の所有する株式を移動させることで、株主構成および特殊比率を変更する方法。新株式の発行はないため、発行済株式総数に変更はない。特定の株主の持株比率をアップさせる場合に最適。

新株予約権が付された社債。引受人が新株予約権を行使するまで経営権を維持することが可能。権利行使後、社債の弁済の必要がないが、発行済株式数が増加し、一株当たりの価値が希薄化する。

予め定められた価格で株式を購入することができる権利を付与する制度。役職員に対するインセンティブの付与を行う場合に有効。(「税制適格ストックオプション」参照)権利行使後、資金調達と株式数の増加があるが、発行済み株式総数増加で、株価が希薄化する。

金銭債権を「現物出資」という形で資本化する方法。借入金などの債務を資本金とすることで、自己資本比率の改善が行われる。債権者が経営者の場合、経営者の持株比率の増加手段にもなりうる。

実施目的

5. 演習

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注意:ファイナンス規制期間

ファイナンスには株主の利益確保のため、規制が敷かれています。

上場申請直前々期 上場申請直前期 上場申請期

第三者割当増資

新株予約権(付社債)

フリー期間

フリー期間

承認日前日 上場日前日 上場日

制限期間

制限期間

継続所有期間

継続所有期間

割当可能期間

割当可能期間

上場申請時に「継続所有の確約書」

を提出

5. 演習

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では!

• 演習資本政策.xlsで資本政策を作っていきましょう!

• 今回は、持株数・持株比率のところを編集に時間を使います。

5. 演習

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演習上の前提条件

資本政策のスタンス

リカフォルのスタンスは、「新興市場の先」も見据えて、安定した経営体制を確保したい思いがある。「資金は比較的余裕がある」状況であり、いざとなれば借入で賄うことも可能である。

上場時期

リカフォルの考えとしては、2012年中の上場を視野に入れている。従って、2012年3月期を直前期とし、2012年4月期中の上場を目指す。

上場直前期純利益

リカフォルの現在の事業計画では、2012年3月期で、売上高2,400百万円、税引後純利益で400百万円を見込んでいる。

資金計画

事業計画上の試算により、今期(2009年3月期)の年度末及び、2010年第1四半期で、各100~200百万円の資金調達が必要である。

項目 内容

その他の前提条件

役員及び従業員のインセンティブを盛り込みたい。つまり、「ストックオプション」の検討をしている(経営陣には、保有株式数に応じて付与。従業員は実際は個別に付与数を明確にしていく必要があるが、今回は便宜的に「従業員への付与総数」で検討)。尚、ファイナンス規制期間で言う、フリー期間に付与し上場前に行使。この部分を「売出株式」として、インセンティブとしたい。

5. 演習

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ゴール設定のための計算シート

PER 倍

株式数 公募 売出 ※ターゲット市場の形式要件確認

上場時総株式数

安定株主の持株数(現在)

= (上場時)66.7%となるような上場時の総株式数 =

※安定株主=経営陣・従業員・事業パートナー

株価 時価総額 ÷ 上場時総株式数

=

時価総額 税引後当期利益

× PER =

調達総額 株価 × 公募数 =

VC上場時

持株数許容できる持株比率

× 上場時総株式数

=

1st Round調達額 × 割当

株数発行株価

=

2nd Round 調達額 × 割当株数

発行株価

=

5. 演習

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演習中。

ヒント①形式要件を満たすのに、意外なネックが発行株式数。株式を細かくしとく?

ヒント②VCに入れるよりも、ある程度拡大までこぎつけている

ならば、株主として魅力的なのは事業パートナー。

5. 演習

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マザーズ形式基準

有価証券上場規程(マザーズ形式要件)

以下の項目に適合することを要する。(1)株主数(上場時) 300人以上

(上場時までに500単位以上の公募を行うこと)a.流通株式数 2,000単位(注2)以上b.流通株式時価総額 5億円以上(原則として上場に係る公募等の見込み価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)c.流通株式数 上場株券等の25%以上

(3)時価総額(上場時見込み) 10億円以上(4)事業継続年数 新規上場申請日から起算して、1年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしているこ

と(5)純資産の額(申請直前期末)

-

a. 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」b. 「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間)及び中間監査報告書において、「無限定適正」c. 上記監査報告書又は中間監査報告書に係る財務諸表等又は中間財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に「虚偽記載」なしd. 新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと。

(a)最近1年間に終了する事業年度に係る内部統制報告書において、「評価結果を表明できない」旨が記載されていること。(b)最近1年間に終了する事業年度に係る内部統制報告書に添付される内部統制監査報告書において、「意見の表明をしない」旨が記載されていること。

(8)株式事務代行機関の設置 東証の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること

(9)株券の様式 東証の定める様式に適合しているか、又はその旨が取締役会において決議済みであること(10)株式の譲渡制限 上場申請に係る株式の譲渡につき、原則として制限がないこと(11)指定保管振替機関における取扱いに係る同意

指定保管振替機関(株式会社証券保管振替機構)における株券等の取扱いに同意又は同意する見込みがあること

項目

(6)利益の額又は時価総額 (利益の額については、連結経常利益金額又は連結税金等調整前当期純利益金額のいずれか低い額)(7)虚偽記載又は不適正意見等

-

(2)流通株式(上場時見込み)

5. 演習

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資本政策チェックリスト

上場時の潜在比率は高すぎないか。(目安は10-15%程度。どれだけ多くても20%)

上場時のVC比率は高すぎないか。

<株価関連>

有価証券届出書、有価証券通知書が必要となる増資かどうか。

<金融商品取引法関連>:専門家と相談すべし!

増資手続や自己株式取得が会社法に反するものではないか。

<会社法関連>:専門家と相談すべし!

新株主が反社会勢力でないか。

継続所有の規制に該当するかどうか。

上場時の株主構成や公募価格、株価総額等が目標とする証券取引所の上場基準を満たしているか。

<取引所・審査関連>:1つでもNoなら上場できない!

株主の議決権が変動した場合、資本政策策定に際しての重点から考えて問題ないか。

<議決権関連>

NoYes

5. 演習

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資本政策策定のポイント(裏話)

• 創業者利潤の目安は、「東京近郊で一軒家をキャッシュで購入できる程度。それくらいは報われないと、経営者はしんどいです。

• 「株主選び」は慎重に。付き合いなんかで、やたらと「個人株主」を増やしてしまう会社があります。が、株主総会の手配で既に一苦労。(最初はいいけど、上場を見越すと。。。)場合によっては、経営者のポケットマネーで「買戻し」しなくてはならない状況にもなりえます。株主選びは慎重に!

• 上記と関連で、「反社会勢力」の人が間違って株をもっちゃうと、マジで上場できません!!!

• 役員・従業員への株式発行、ストックオプション付与の目的は「経営参画意欲の向上」と「インセンティブ設計」である。退職・解雇時の取り扱いは予め決めておく必要がある。

大きな声では言えないけれど、資本政策を作るときの裏話。。。

5. 演習

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Memo

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まだまだ木村の戦いは続く。。。

かくして木村くんは、CFOとしてのキャリアをスタート

させたわけです。

次回は、「事業拡大と財務①」というテーマで、「資金繰り」について勉強します。

まだまだ木村くんの戦いは始まったばかりであります。。。

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参考資料①種類株式

現在の会社法では、内容の異なる多様な種類株式の発行が可能であり、議決権制限株式や取得請求権付株式などが資本政策へ活用される。

種類株式と主な内容種類株式とは、剰余金の分配や株主総会における議決権等において、内容の異なる株式のことを言います。主に、株主が会社に対し取得を請求することができる取得請求権付株式、会社が一定の事由の発生を条件として取得することができる取得条項付株式など多様にあります。尚、株式公開時に普通株式へ転換できる「強制転換条項」を定めることが一般的であり、ベンチャーキャピタル等は公開後に市場で売却が可能となります。

資本政策上の活用方法ベンチャー企業においては、公開前の成長期において資金需要があるが、増資を実施すると経営陣の持株比率が低下し、経営権の確保が難しいというジレンマがあります。一方ベンチャーキャピタル等の資金の出し手にとっても、ベンチャー企業への投資目的が最終的には経営権の掌握でなくキャピタルゲインの実現にあるにしろ、公開までの経営陣の暴走(?)を抑えるため一定の権利を確保したいというニーズがあります。お互いのニーズの調整を種類株式を活用することによって折衷していく方策も見込まれる。

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参考資料②ストック・オプション

<経営陣・従業員のインセンティブはストック・オプションで!>ストック・オプション(新株予約権)とは、将来、株式を購入できる権利です。

行使価格:1万円でSO付与

1万円

成長!

10万円

実際の株式の取引は10万円だけど、

SO付与者は1万円で買える!

差額9万円が個人の利益!

ストック・オプション(SO)はベンチャー企業でよく実施される、インセンティブプランです。「仕事が楽しい」、「成長できる」とは言え、やっぱり金銭的な見返りも欲しいのが人情。

ただ、若い従業員は「会社の株を買うお金」はないわけで、そういった従業員のインセンティブの設計も可能です。

万が一、付与された行使価格より株価が下がれば、「行使しなければよい」ということで、儲かります。

インセンティブのほか、株主構成の調整目的で発行されるときもあるが、乱発すると、証券会社や他の株主から「何とかしろ!」と怒られることも。。。

※新会社法では、一度発行したSOを消す、「消却」が容易になりました。(会社法276条)

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宿題

1. 資本政策の作成。

2. ファイナンス手法を色々紹介しました。さて、各手法を採用する場合、公式な「会議」で決議しなければなりません。それは「株主総会」でしょうか、「取締役会」でしょうか。調べてみてください。

実務で攻めます。

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今日はお疲れ様でした。

Victory !

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参考文献

• 中央青山監査法人(現あらた監査法人等)『上手な資本政策の考え方と実行の手順』(中経出版)

• 石割由紀人『株式公開を成功に導く資本政策立案マニュアル』(中央経済社)

• 保田隆明『実況LIVE企業ファイナンス入門講座』(ダイヤモンド社)

• 水永政志『入門ベンチャーファイナンス 会社設立・公開・売却の実践知識』(ダイヤモンド社)

• 池永章他『今さら人に聞けないはじめての経営』(明日香出版社)

• 株式会社上場ドットコム『担当者別株式上場マニュアル』(同友館)

• 太田達也『新会社法の完全解説』(税務研究会出版局)

• 新光証券株式会社『株式上場マニュアル』