ボイラモデル - 長崎大学...- 1 - 1. はじめに...

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Fuzzy Control Wen Yu Departamento de Control AutomÆtico CINVESTAV-IPN A.P. 14-740, Av.IPN 2508, MØxico D.F., 07360, MØxico (CINVESTAV-IPN) Fuzzy Control March 9, 2020 1 / 43

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Page 1: ボイラモデル - 長崎大学...- 1 - 1. はじめに 電力プラントは,ボイラ,エンジンおよびタービン,電動機および発電機などの主要な原 動機で構成される。その中でも蒸気発生器としてのボイラはプラント全体に影響を及ぼす要

ボイラモデル

長崎大学大学院生産科学研究科

松井信正

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目 次

1. はじめに ................................................................................................................................................. 1

2. プラント機器のモデル化 ..................................................................................................................... 2

2.1 配管モデル ....................................................................................................................................... 2

2.2 ボイラモデル ................................................................................................................................... 4

2.2.1 過剰酸素による輻射係数の補正 ........................................................................................... 6

2.2.2 バーナ角度による輻射係数の補正 ....................................................................................... 7

2.2.3 バーナ位置による輻射係数の補正 ....................................................................................... 7

2.2.4 燃料による輻射係数の補正 ................................................................................................... 7

2.3 伝熱面モデル ................................................................................................................................... 9

3. まとめ ................................................................................................................................................... 10

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数式記号

P ····· 圧力 kg/m2

S ····· エントロピ kca/kgK

H ····· エンタルピ kca/kg

T ····· 温度 ℃

W ····· 重量流量 kg/s

ν ····· 比容積 m3/kg

ΔZ ··· 高さ差 m

ξ ····· 圧損係数 -

t ····· 時間 s

u ····· 流体の速度 m/s

x ····· 長さ m

q ····· 熱量 kcal/s

a ····· 音速 m/s

κ ····· 比熱比 -

V ····· 容積 m3

γ ····· 流体の比重 kg/m3

λ ····· 抵抗係数 -

ΔP ···· 差圧 kg/m2

D ····· 配管の内径 m

g ····· 重力の加速度 m/s2

F ····· 配管の断面積 m2

FG ···· 配管の外面積 m2

FD ···· 配管の内面積 m2

S0 ···· 管長方向の入口エンタルピ kca/kgK

SL ···· 管長方向の出口エンタルピ kca/kgK

He ···· 入口エンタルピ kca/kg

Ha ···· 出口エンタルピ kca/kg

A ····· 仕事の熱当量=1/426.935 kca/kgf-m

η ····· 効率 -

Pe ···· 入口圧力 kg/m2

Pa ···· 出口圧力 kg/m2 Te ···· 入口温度 K

Ta ···· 出口温度 K

M ····· 容器内の物質の重量 kg

MA ···· 容器内の空気の重量 kg

MS ···· 容器内の蒸気の重量 kg

MW ···· 容器内の水の重量 kg

MT ···· 代表圧力計算時の系内の総重量 kg

VA ···· 容器内の空気の体積 m3

VS ···· 容器内の蒸気の体積 m3

VW ···· 容器内の水の体積 m3

RA ···· 空気のガス定数=29.27 kgf-m/kgK

X ····· 乾き度 -

L ····· 自由水面の水位 m

VF ···· 火炉容積 m3

FW ···· 火炉水冷壁の伝熱面積 m2

TF ···· 火炉の代表炉内温度 ℃

TM ···· 火炉水冷壁の鋼材の温度 ℃

T0 ···· ℃→Kの換算=273.15 ℃

Wα ··· 火炉下部水冷壁輻射係数率 kcal/s-K4

Oα ··· 残留酸素による輻射係数補正 -

BTα ·· バーナ角度による輻射係数補正 -

ELα ··· バーナ点火段による輻射係数補正-

FUα ·· 燃料による輻射係数補正 -

Nα ··· 希釈空気による輻射係数 -

QK ···· 伝熱量 kcal/s

RT ···· 熱貫流係数 kcal/msK

FS ···· 伝熱面積 m

ΔTm ·· 対数平均温度差 ℃

QG ···· ガスからの放出熱量 kcal/s

CPG··· ガスの定圧比熱 kcal/kgK

TG1··· 入口ガス温度 ℃

TG2··· 出口ガス温度 ℃

WG ···· ガスの重量流量 kg/s

QS ···· 水や蒸気などの流体の吸収熱量 kcal/s

CPS··· 水や蒸気などの定圧比熱 kcal/kgK

TS1··· 水や蒸気などの入口温度 ℃

TS2··· 水や蒸気などの出口温度 ℃

WS ···· 水や蒸気などの重量流量 kg/s

αS ···· 鋼材から蒸気への熱伝達係数 kcal/m2sK

αM ···· ガスから鋼材への熱伝達係数 kcal/m2sK

HGe··· 入口ガス温度 ℃

HGa··· 出口ガス温度 ℃

CM ···· 鋼材の比熱 kcal/kgK

MM ···· 鋼材の重量 kg

TM ···· 鋼材の温度 ℃

QH ·· 水や蒸気などの流体が持去る熱量 kcal/s

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1. はじめに

電力プラントは,ボイラ,エンジンおよびタービン,電動機および発電機などの主要な原

動機で構成される。その中でも蒸気発生器としてのボイラはプラント全体に影響を及ぼす要

素であり,その特性を把握することは非常に重要である。さらに,これらに付随するポンプ

や通風機などの電動機および弁やダンパなどの計装機器といった様々な機器を組合せてボイ

ラ全体をモデル化することは,広い範囲での検討が可能となる。

本稿では,先ず,ボイラを構成する配管のモデル化について述べ,次に,ボイラの中心要

素である火炉のモデル化について述べる。最後に,ボイラ伝熱面のモデル化に述べる。提案

するボイラのモデルは,非線形モデルであるため,広い領域の圧力や温度の運転範囲が検討

可能である。

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2. プラント機器のモデル化

2.1 配管モデル

図 2-1 に配管モデルの入出力の関係を示す。配管の動的モデルは,偏微分方程式で与え,

式(2.1)から(2.4)の物質収支,運動方程式,熱収支および管材熱収支を基礎式とし,これらを

実用的仮定で変形する。

配管の動的モデルにおける物質収支は,次式で得られる。

( ) ( ) 0=∂∂

+∂∂ Fu

xF

tγγ (2.1)

運動方程式は,次式より得られる。

02

=⋅+∂∂

+

∂∂

+∂∂ uu

Dgxp

xuu

tu

gζγγ

(2.2)

熱収支は,次式より得られる。

( ) 02

2 =⋅+−∂∂

=

∂∂

+∂∂

⋅ uuDg

ATTx

Fxsu

tsT SM

SS

ζα (2.3)

管材熱収支,次式より得られる。

( ) ( )SMS

SMGG

GM

MM TT

xFTT

xF

tTC

xM

−∂∂

−−∂∂

=∂∂

∂∂ αα (2.4)

まず,式(2.3)の右辺第二項は,摩擦による発熱項であり,この項は無視すると式(2.5)を得る。

qxsu

tsT =

∂∂

+∂∂

(2.5)

図 2-1 配管モデル

S F

D

SF

Gα GF

Dα MT

GT

x∆

ST u γ

P

M C

H

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式(2.5)にdtdS

xS

dtdx

tS

=∂∂

+∂∂

を代入し, 0=− udtdx

とすると,式(2.6)を得る。

qsdtdT = (2.6)

配管内の圧力の伝播速度は,音速S

PggPvrgTa

∂∂

===γ

κκ であり,伝熱面の圧力

変化が一様に変化するとし, 重量流量 FuW γ= を式(2.1),(2.2)および(2.5)のそれぞれに代

入する。

OUTIN WWVdtd

−=γ (2.7)

γξγλ WW

uugD

P⋅

≅⋅⋅=∆2

(2.8)

qxsTW

tsTF =

∂∂

+∂∂γ (2.9)

式(2.8)は,ダルシー・ワイズバッハの式であり,λを管摩擦係数という。式(2.9)は,圧力伝

播速度を考慮すると,配管長 L に対する管長方向のエントロピを考慮し式(2.10)を得る。

( )

+−⋅⋅

=L

qssTWTF

sdtd L01

γ (2.10)

式(2.10)を集中常数系で表すと,式(2.11)を得る。

( ){ }qWHHTV

sdtd

ae +⋅−=γ1

(2.11)

圧力 P は,式(2.11)で求めた比重量 γとエントロピ s から状態式で求まるので,式(2.11)に,

dPvAT

dHT

ds 11−= を代入し, 0=dP とすると,次式を得る。ただし,

γν 1= とする。

( ){ }qWHHV

Hdtd

ae +−⋅

1 (2.12)

エントロピ s とエンタルピ H の関係は,流体が水および蒸気である場合は,蒸気表より得

る。

式(2.4)を管長方向に積分すると式(2.13)を得る。

( ) ( ){ }SMSSMGGGMM

M TTFTTFCMdt

dT−−−= αα1

(2.13)

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式(2.12)に HH a = および )( SMSS TTFq −= α を代入すると次式を得る。

−+= H

WTTF

HVWH

dtd SMSS

e)(α

γ (2.14)

式(2.14)より管長方向の熱の遅れはWVTLγ

= で決まり,伝熱の遅れはSS

MM

FCM

αで決まる。

2.2 ボイラモデル

図 2-2 に,ドラム型ボイラ全体の概要を示す。図において,予熱循環系統および蒸気系統

を含めた圧力はドラム圧力を代表圧力として計算する。予熱循環および蒸気系統内の全重量

の収支は式(2.15)で与えられる。

SHFWT WWMdtd

−= (2.15)

系統内を構成する伝熱面や配管内の保有する水や蒸気の重量は式(2.16)より導き,比容積ν

は水や蒸気の状態量を表し,圧力およびエンタルピから蒸気表を用いて得られる。

j

jj

VM

ν= (2.16)

式(2.15)の系内全重量 MT から系内機器の保有重量を差引くとドラム内の保有重量は式

(2.17)より得られる。

SHWWDCECOTD MMMMMM −−−−= (2.17)

蒸気ドラムは,自由水面を持ち,水と蒸気の汽水分離を行う。蒸気ドラム内は,蒸気部を

飽和蒸気,水部を飽和水として取り扱い,混合された内部エンタルピは,次式より得られる。

))'("(1WWWWSHFWFW

DD WHHWHWH

MH

dtd

−+−= (2.18)

水位の計算は,次式より求める。

( )F

MML D '0 ν−= (2.19)

ここで, 'ν は飽和水の比容積および M0 は基準重量を示す。

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図 2-2 ボイラモデルの系統

ドラム内の圧力は,保有する水と蒸気の重量 MDと内部エンタルピ HDを用いた収束計算に

て決定する。上述の重量収支とエネルギー収支によるドラム圧力の計算と 4 章の圧力と流量

分布の計算手法を用いて,水・蒸気系統をモデル化する。

図 2-2 中の空気および燃焼ガス系統の圧力は,ボイラの燃焼器である火炉の状態で実質的

に決まり,式(2.20)および式(2.21)を基礎方程式としてモデル化する。

aeF WWVdtd

−=γ (2.20)

WaaeeF QWHWHEVdtd

−−=γ (2.21)

蒸気 ドラム

2 次過熱器

3 次過熱器

1 次過熱器

空気予熱器

蒸気式空気

予熱器

電気集塵器

Economizer

脱硫装置

押込み通風機

脱硫通風機

煙突

火炉

From 給水系統

From 給水系統

To 蒸気タービン

バーナ& 風箱ダンパ

燃料流量制御弁

L

火炉水冷壁

主蒸気管

蒸気温度制御弁

降水管

蒸気ドラム 水位制御弁

:制御器

P

F

O2

f

T

:制御弁

:制御ダンパ :圧力計測器 :流量計測器 :温度計測器 :燃焼ガス O2計測器 :回転数計測器 :水位計測器

シンボル一覧;

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火炉内の圧力は,保有するガスの重量 VFγ と内部エネルギーE より気体の状態方程式にて

決定する。

火炉輻射係数は,輝炎輻射係数ともいい,火炎の放射率と吸収率および,火炉側壁の放射

率および吸収率で決まり,単位面積当たりの吸収熱量は,火炎の絶対温度の 4 乗と火炉側壁

の絶対温度の 4 乗の差で成立つものとする。なお,輻射補正係数については,2.5.1 から 2.5.4

節で述べる。

∑=

+−+=n

iWFWiWiW TTTTFQ

1

40

40 })(){(α (2.22)

( ) NFUELBTOW αααααα ××++= (2.23)

ここで,

Wα :火炉下部水冷壁輻射係数率

Oα :残留酸素(空気過剰率)による輻射係数補正

BTα :バーナ角度による輻射係数補正

ELα :バーナ点火段による輻射係数補正

FUα :燃料による輻射係数補正

Nα :希釈空気による輻射係数

2.2.1 過剰酸素による輻射係数の補正

図 2-3 に,残留酸素(空気過剰率)による輻射係数補正を示す。図における残留酸素を横軸と

した各領域は以下に示す。

a 領域:過剰酸素が 0.0 から LO2 の間で補正値を 1.0。

b 領域:過剰酸素が LO2 から HO2 の間で,燃え方が向上し,輻射係数が改善。

c 領域:過剰酸素が HO2 以上で,空気で火炎温度が希釈さて,輻射係数が悪化。

ここで, 0.212 =O %は,空気内の酸素の容積比を示す。

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2.2.2 バーナ角度による輻射係数の補正

図 2-4 に,バーナ角度による輻射係数補正を示す。バーナ角度が上を向くと,火炎はガスの流

れに乗り,輻射係数が低下する。逆に,下を向くと火炉内での対流時間が長く炎も大きくなり,

輻射係数が向上する。

2.2.3 バーナ位置による輻射係数の補正

図 2-5 に,バーナ点火段による輻射係数補正を示す。バーナ位置は,点火しているバーナの段

よって,火炎の中心位置が上下に移動するものとする。火炎の中心が高い場合輻射係数が減少し,

低い場合は輻射係数が増加する。

2.2.4 燃料による輻射係数の補正

燃料の違いを火炉輻射係数にも取り入れ下表を基準値とする。火炉水冷壁と過熱器の熱分配を

燃料で補正する方法として,燃料成分中の揮発分を固定炭素分で除した値を燃料比として取り扱

い,揮発分が最も低い天然ガスの燃料比を基準として,石炭,軽油および重油の輻射係数の初期

値を定めたものである。

図 2-3 残留酸素(空気過剰率)による輻射係数補正

21.0 HO2

LO2

1.0

燃焼ガス中の O2

a

b c

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図 2-4 バーナ角度による輻射係数補正

図 2-5 バーナ点火段による輻射係数補正

β1

-30°

下限

0

バーナ角度

β2

水平

30°

上限

γ1

バーナ段

γ2

1

最下段 最上段

2 3 4 5 6 7 8 9

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2.3 伝熱面モデル

図 2-6 に示す対流伝熱には,ガスが放出した熱量 QG,水や蒸気が吸収した熱量 QS,ガスか

ら水や蒸気への伝熱量 QKが等しいとし,伝熱量 QKは次式で求める。

mTK TFsRQ ∆××= (2.24)

ここで,

)ln(2

1

21

TT

TTTm

∆∆∆−∆

=∆ (2.25)

211 SG TTT −=∆ , 122 SG TTT −=∆ (2.26)

ただし,伝熱面の熱貫流係数 TR は,ガス成分,ガス温度およびガス流量の関数として与える。

さらに,負荷特性は伝熱面 Fs を計算した伝熱面積に伝熱効率を考慮したものと考え,ガス温

度,ガス流量および伝熱効率の特性を与える。

ガスの放出熱量は式(2..27)で与える。

GGGPGG WTTCQ )( 21 −= (2.27)

水や蒸気の流体の吸収熱量は式(2.28)とする。

SSSPSS WTTCQ )( 12 −= (2.28)

なお,式(2.27)および式(2.28)のガス流量 WGおよび WSは,4 章の圧力と流量分布の計算手

法を用いてモデル化する。

図 2-6 対流伝熱面

WG

WS

TG1

TG2

TS2

TS1

ΔT1

ΔT2

CPG

CPS

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3. まとめ

本稿では,電力プラントのボイラのシミュレーションを行うためのモデル化を提案した。

提案のプラントモデルは,非線形モデルであるため,広い領域の圧力や温度の運転範囲が検

討可能である。以下に,本章のまとめを示す。

本稿では,先ず,ボイラを構成する配管のモデル化について述べ,次に,ボイラの中心要素

である火炉のモデル化について述べる。最後に,ボイラ伝熱面のモデル化に述べる。提案す

るボイラのモデルは,非線形モデルであるため,広い領域の圧力や温度の運転範囲が検討可

能である。

(1) ボイラを構成する配管のモデル化を図った。

(2) ボイラの中心要素である火炉のモデル化および燃焼に及ぼす影響を示した。

(3) ボイラ伝熱面のモデル化を示した。