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FRM(S)導入に当たっての注意事項 2017年9月
日乗連 テクニカルアドバイザー 奥平 隆
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FRMSは労働組合の参加 あってこそ機能する
� システムは「SMS(安全管理制度)」の上に成り立っている。 →国・会社・労働者の3者の連携
� ICAOの指針に基づき批准国の実態に合わせて導入。
� 動かす肝は「良好なコミュニケーション」
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SMSもFRMSも科学的考え方 に基づく制度 � 「事故調査に基づく再発防止」→「事故発生予防」への手法
� IFALPA+各国ALPAの努力が背景に
� 2009年、コルガン航空事故の遺族の運動がFRMS導入へと
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航空法に反映=導入は義務
� 2017年4月に「運航規程審査要領細則」を改定
� 同日[FRM]を導入するための 「安全管理システムの構築に係る一般指針」を発表 →ともに、ICAOのFRMS導入ガイドにそって作られている。
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「指針」に述べられている大切な事 =その1=� 3.3.1 情報の伝達及び共有に関する事項 『・・・・・・安全に関する情報(以下「安全情報」という。)を非懲罰環境下で収集し、経営の責任者や安全統括管理者を含め必要な階層・部門に伝達するための社内体制やシステムを構築すること・・・・・・・ さらに、運航規程及び整備規程に規定されている安全情報の伝達に係る体制やシステムと連携して、 ・・・これらを適切に運用すること・・・収集すべき安全情報には、・・・・航空機乗組員の疲労に関する情報も含むこととする。・・・・・』
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「指針」に述べられている大切な事 =その2=� 3.3.1 情報の伝達及び共有に関する事項�
� 『…6:原則として社内的な懲罰措置が適用されない環境のこと。また、非懲罰環境下であっても、社内的な懲罰措置の対象となる行為を明らかにすること。
� 7:・・・・また、安全推進会議等を通じて、安全情報を関連する他部門との間で共有することや、また、航空会社同士で共有すべき情報については航空会社間の連携を図り共有すること(情報の水平展開)が有効である。
� 8:疲労(fatigue)とは、航空機の安全運航に係る業務を遂行するにあたり航空機乗組員の注意力や能力の低下を招く、睡眠不足、長時間の覚醒、サーカディアン周期(生体リズム)又はワークロード(精神的又は肉体的な活動)に起因して、精神的又は身体的なパフォーマンスが低下した生理学的状態をいう。
� 9:疲労に関する情報の報告には、事態の発生時間、事態発生前の睡眠時間の履歴及び影響したと考えられる要素(乗務状況等)も含まれる。』
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日本の職場に合った導入とは? (例えば…)� 「労務が優先でものが言いにくい」 →仕組みの中に「組合」が組み入れられる事で「信頼・安心」が生まれ良好なコミュニケーション確立へ
� 「小さい子供がいる家庭では昼間の仮眠は難しい」 →乗務便の選択制度の導入が検討されるべき
� 「高齢乗員に対する疲労管理」 →日本では60歳以上の乗員比率が高いが「ビットシステム」などが整備されてなく、加齢に関係する疲労管理が行われていない。
2017/09/06 8
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SMS/FRMSがうまく導入されている事例は?
� オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、米国、台湾、スイス、などなど →うまく行っている背景は?
� 労働組合の関与が、対等の立場で行われている・・・と見られる。 →(人権、労働者の権利など)日本の常識が世界の非常識・・が違いの背景に
2017/09/06 9
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日本の航空会社が陥りがちな傾向
� 目的が「事故予防」にあるに関わらず経営者は「稼働効率上げる事に利用出来ないかと考える」→コントロールナッピングで交代乗員削減。など
� 「3者」が負うべき責任を個人責任に落とし込む→睡眠に関わる全ての管理は個人責任
2017/09/06 10
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日本特有の「働き方」も 問われてくる
� もともと日本の航空会社には「セニオリティ制度も」「ビッド(BID)制度」も無い →年齢による配慮はほとんどされていない。
� 人間として十分な余暇を楽しむ慣習が確立していない。過労死が社会問題化する。 →飛行の安全だけが優先され、個人の生活や自由度が低位に置かれる危険性。(全てのOFFが仕事の調整時間と化していく)
2017/09/06 11
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疲労を管理するという事は「働き方を管理するという事」 こんな人生にさせないように・・・
仕事
寝る
食べる
食べる
仕事
寝る
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人間として、こんな人生の方が良いのでは?・・・
仕事
寝る
食べる
食べる
遊ぶ(アクティブレスト)
寝る
ILOの提唱する「ディーセントワーク」とは
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労働組合として考えるべきILOの提唱するディーセントワークを考えてみよう� 現在のILO 憲章前文には、 →ILO 結成にいたる経過から「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」と述べられています。
� ILO は、国際的な労働運動の高まりと平和を望む国際世論のなかで、戦争の反省と平和への願いを込めて結成されているのです。
� ディーセントワーク(DECENT WORK)とは、ILOの定義で、 『人間としての尊厳、自由、均等、安全の条件で、男女が生産的な好ましい仕事を得る社会を推進すること』 となっています。 ★今、皆さんの日々の「労働」はこれに値するでしょうか?
2017/09/06 14
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(更にILOの文書から)
� ILO は「ディーセントワーキングタイム」(人間らしい労働時間)を提唱しています。
� 1 労働者の健康によい労働時間 2 家族に友好的な労働時間 3 男女平等を進める労働時間 4 それらのことを通じて、生産的な労働時間 5 労働者の選択と決定が認められる労働時間
2017/09/06 15
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組合の重要な役割り
� 「3者」にはそれぞれの立場や都合があって労働組合が「職場の信頼と安心感」をつかんでいないと、必要な報告すら上げられなくなる。=機能麻痺に
� 「非懲罰」や「労働者の人権や生活」の砦として機能しなければ・・・
2017/09/06 16
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世界の常識を 導入しやすい環境の航空� 「航空機運航」は世界標準で行われなければならない事。
� 航空法で規定される事項である事。 SMS FRMS の導入は会社の中にある「悪い文化」を改善する機会に・・・・・・ほかの産業に先んじて改善の可能性が横たわっているのではないでしょうか。 以上。
2017/09/06 17