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平成28年度化学物質安全対策 東アジア・アセアンにおけるサプライチェーン構造の 現状と課題把握に関する調査 経済産業省 御中 最終報告書

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平成28年度化学物質安全対策

東アジア・アセアンにおけるサプライチェーン構造の

現状と課題把握に関する調査

経済産業省御中

最終報告書

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2Copyright © Arthur D. Little 2017 . All rights reserved.

東アジア・アセアンにおけるサプライチェーン構造の現状と課題把握を実施する。

背景及び目的

背景

• 我が国の化学メーカーは、東アジア・アセアンにおける販路やシェア拡大の潜在力を有していながらも、アジア

でのプレゼンスを発揮し切れていない。

目的

• 素材産業の基礎的なグローバル・サプライチェーン構造の把握、各国独自の化学物質規制やラベル等の規

格、通関手続の違い等の様々な非関税障壁について、

正確な情報の集約及び今後の予見可能性を高める観

点から、我が国素材メーカーの東アジア・アセアン戦略

をより充実させるべく、サプライチェーン構造の全体像

の把握、課題の抽出、円滑化、今後の東アジア・アセア

ンマーケットの可能性、各国化学物質規制当局への将

来的な働きかけを主眼に置きつつ、既存情報の整理、

文献の収集及び整理、有識者へのヒアリング等により、

素材産業政策の企画立案に資する調査を行うことを目

的とする。

調査対象国及び調査品目

• 調査対象国はアセアン10ヶ国のうちブルネイを除いた9ヶ国及び中国とする

• 調査対象品目は化学品全般とし、石化や肥料、基礎原料や中間原料といった汎用化学品、エンプラやエレクト

ロニクス用素材といった機能性化学品も含む

調査内容

• 日本とアセアン9ヶ国におけるサプライチェーン概略と企業戦略及び有望市場

• 中国におけるサプライチェーン戦略と市場の可能性• 各国の化学品における関税・非関税障壁の把握• 現地ヒアリングを含めた調査分析を実施

背景および目的 調査対象

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多面的な情報/分析を駆使して、今後の素材産業に関する政策示唆を導出する。調査全体としてのフレームワーク

日本とアセアン9ヶ国におけるサプライチェーン概略と企業戦略及び有望市場• サプライチェーン分析(現状分析、及び今後の変化ドライバとその影響)• 川下側の産業動向/政策動向分析• 日系企業における戦略決定のメカニズム整理• 日系企業における課題意識や政府への期待の把握

中国におけるサプライチェーン戦略と市場の可能性

• 前提としての市場および産業の概況の基礎理解• 日系企業のサプライチェーン構造における中国の位置づけの確認• 今後の中国の産業政策変化の可能性把握• 日系企業における課題意識や政府への期待の把握

各国の化学品における関税・非関税障壁の把握

• 調査分析対象としてのサプライチェーンの定義(電材もしくは車を想定)• 各国の関税・非関税障壁の現状把握• 背景にある各国の産業政策の把握• 日系企業における課題意識や政府への期待の把握

政策示唆の抽出

• 日本素材産業としての方向性仮説の整理

• あるべきサプライチェーンの定義

• 政府が担うべき役割の整理• 全体としての政策示唆の導出

TASK1

TASK2

TASK3

TASK4

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下記の製品群を対象にサプライチェーン構造を調査した。また、平成27年度製造基盤技術実態等調査で有望と定義された機能性化学品を中心に有望市場を調査した。

出所:平成27年度製造基盤技術実態等調査(機能性素材市場動向調査)報告書より抜粋、ADL作成

調査全体としてのフレームワーク 製品

サプライチェーン調査対象製品群

類型 サプライチェーン調査対象製品群

合成

基礎化学品(石油化学品・中間体等)

樹脂・顔料

合成ゴム

配合

インキ・塗料

コンパウンド

部材

包装用フィルム・不織布

ディスプレイ用フィルム

消費財

日用品

食品素材(香料含む)

建築用化学品

産業用洗浄剤

香料

食品添加剤

機能性食品素材

化粧用化学品

平成27年度製造基盤技術実態等調査で有望と定義された機能性化学品市場6分野

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1 政策・産業動向

2 企業戦略

3 関税・非関税障壁

4 課題・政策示唆

5 参考資料

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1各国政策動向マレーシア インドネシアタイシンガポール フィリピン

• GDP全体の50%をサービス業が占め、製造業24%が次ぐ。• 製造業GDPのうち、エレクトロニクス(20%)、石油製品(20%)、化学(10%)の割合が大きい。

• GDP全体の中で製造業が占める割合は22%、農業は14%。• 製造業GDPのうち大半を占めるのは食品(30%)、化学(13%)、輸送機器(9%)。

• 裾野産業としての電子部品産業も含め、電気・電子産業の一大集積拠点

に成長。• 東海岸部、東マレーシアで開発が遅れており、地域格差是正のため地域

の特色を生かした投資誘致に注力。

• 製造業はジャワ島、資源・プランテーション産業はジャワ島以外の外島に

主に集積している。• 製造業では自動車・二輪車が中心でジャカルタ東部の工業団地での集積

が加速。

• 石油・ガス、パーム油、電機・電子産業等、12の重点分野を奨励業種に指定。• サラワクでは豊富な水力を利用した水力発電所の建設に伴い、アルミ精

錬などの電力多消費型工業が開発

政策によって盛んになりつつある。

• 基礎金属、石油ガス・基礎化学、機械、再生エネルギー、通信・情報、農

林水産物加工、海洋輸送業、インフ

ラ産業の8つを特定投資対象分野に指定し、奨励。

産業

育成

方針

産業

構成

産業

集積

• 製造業が全体の3分の1を占めており過去10年の成長を牽引。次いで、卸・小売・修理、農林漁業・狩猟業が

続く。• 製造業GDPのうち、大半を占めるのは食品(20%)、輸送機器(14%)、エレクトロニクス(12%)、ゴム(9%)。

• バンコク周辺地域において、自動車・エレクトロニクスを中心に発達してい

る。今後バンコク周辺地域への進出

も増えると思われる。• 一方、北部や東北部といった首都圏外については、交通の便の都合上こ

れまで発展してこなかったが、政府

は投資奨励策によって発展を促進。

• 産業:2000年代までは外資参入全般に優遇措置を付与していたが、2007年からは自動車産業育成の制度を、2010年には「省エネ・環境配慮・高度技術」に関わる事業に対する投資奨

励を実施。

• サービス業がGDP全体の70%以上を占めている。次いで製造業が約20%を占める。• 製造業GDPの中ではエレクトロニクス(32%)、化学(24%)、機械(12%)の寄与が大きい。

• 政府主導で製造業の高付加価値化が推進され、石油化学、半導体、医

薬品など付加価値の高い製品の産

業の集積が進む。• 特に医薬品・医療機器の研究開発や製造の拠点としての存在感が高まっ

ている。

• 経済開発庁EDBは20分野を奨励産業分野として指定。• 国家研究財団NRFはバイオ・メディカルサイエンス、双方向デジタルメディ

ア、フィジカル・サイエンス&エンジニ

アリングを重点研究分野に指定。

• GDP全体の中でサービス業が6割を占め、次いで製造業が21%、農業が11%を占める。• 製造業GDPのうち大半を占めるがエレクトロニクス(40%)、食品(27%)。

• 中国・タイ・ベトナムでの賃金上昇、労働力確保の難化が進み、エレクト

ロニクスを中心に輸出志向型の企業

の進出が進む。• 工業団地の大半はルソン地域のマニラ首都圏およびその南部(ラグナ州、カヴィテ州、バタンガス州)に集中している。

• 投資優先計画において投資奨励事業として次の8つが指定されている。自動車・自動車部品、造船、航空宇

宙部品、化学、紙パルプ、銅線・銅線

材、鉄鋼、金型。

人口

GDP

101百万人

2,925億ドル

6百万人 30百万人 68百万人 258百万人

2,927億ドル 2,963億ドル 3,953億ドル 8,590億ドル成長

11.7%3.8% 11.7% 4.3% 8.4%1人当たりGDP 2,904ドル52,889ドル 9,768ドル 5,815ドル 3,346ドル

注: 人口、GDP、1人当たりGDPは2015年。成長率は2016-2021年。IMF, World BankデータよりADL作成。

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1 各国政策動向中国ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー

産業

育成

方針

産業

構成

産業

集積

• GDP全体の中で農業が48%、製造業が約36%を占める。• 製造業GDPのうち、金属(14%)、食品(12%)、化学(11%)、エレクトロニクス(10%)の割合が高い。

• ①環渤海経済圏、②長江デルタ、③珠海デルタが三大産業集積。• 自動車、電機・電子などの産業が集積する。• 沿海部での労働需給がタイトになり、人件費が高騰、内陸部でも産業の集

積が進む。

• 外商投資産業指導目録(2015年版)で、現代農業、先進的な製造、省エ

ネ環境保護、新エネルギー等の領域

に投資し、ハイエンド産業への移行

の担い手となることを奨励。

• 製造業と農林漁業がそれぞれ約20%を占める。次いで卸・小売り(13%)、鉱業(12%)が続く。石化製品に関連する産業(製造業・建設業)

の割合は25%程度。• 製造業GDPのうち食品が24%と多く、繊維、ゴム、エレキ、金属が10%程度で続く。輸送機器は7%。

• 農業が全体の3分の1を占めており、カンボジア経済を牽引。次いで、製造

業、卸・小売・修理が続く。また、石油

化学製品に関連すると思われる製造

業・建設業の割合は25%程度。• 製造業GDPのうち、64%と大半を占めるのは繊維・衣服・履物。

• 農業が全体の3割を占めており、ラオス経済を牽引。次いで、卸・小売・修

理、製造業・鉱業が続く。また、石油

化学製品に関連すると思われる製造

業・建設業の割合は20%程度。• 繊維産業が製造業GDPのうち多くを占めると思われる。

• 農業が全体の3割を占めており、ミャンマー経済を牽引。次いで、製造業、

卸・小売・修理が続く。また、石油化

学製品に関連すると思われる製造

業・建設業の割合は25%程度。• 食品・飲料、繊維産業が製造業GDPのうち多くを占めると思われる。

• 工業生産高の約70%をハノイと南部が占める。南部の中でも、ホーチンミ

ンを中心とする近郊都市がうち50%を占めており、ベトナムの工業は南

部4都市とハノイに集中している。• エレクトロニクスと繊維産業が発達。

• 工業地帯は南部に位置している。タイとの国境付近のコッコンやバンコク

と幹線道路で繋がっているプノンペン

を中心に自動車産業が比較的発達し

ている。

• 工業地域はタイとの国境付近のサワン・セノ経済特区とビタ・パーク経済

特区のみであり、自動車・光学機器

産業が発達。タイ・ミャンマー・中国国

境付近の2か所で新規開発中。

• 工業地域は首都のヤンゴンと国土の中央のマンダレーに位置する。沿岸

部で新たな工業地帯が開発中で、ダ

ウェー工業地帯はタイに近いため自

動車産業進出が期待される。

• 産業:90年代は、外国投資全般に優遇措置を付与していたが、2000年代を契機に優遇方針を変更。2006年以降はハイテク産業・自国産業育成

に貢献する産業を対象に優遇措置を

実施している。

• 産業:奨励分野として、先端産業、ハイテク産業、観光産業、農産業、加工

産業、インフラ建設産業を設定し、2005年には経済特区設置の関する政令が公布された。

• 産業:2002年に経済特区開発令が公布後、2005年に農林業・製造業・インフラ建設業・観光業を奨励し優遇

税制を実施。

• 産業:経済特区ではハイテク産業、サービス業、インフラ建設業を奨励し

ている。経済特区法公布、外国投資

法改正はいずれも2011年以降に行われ、メコン諸国に比べて法整備の

遅れが目立つ。

人口

GDP

1,376百万人

111,816億ドル

93百万人 16百万人 7百万人 54百万人

1,915億ドル 178億ドル 126億ドル 629億ドル成長

9.6%8.3% 8.5% 7.6% 10.7%1人当たりGDP 8,028ドル2,111ドル 1,159ドル 1,818ドル 1,161ドル

注: 人口、GDP、1人当たりGDPは2015年。成長率は2016-2021年。IMF, World Bankデータ等よりADL作成。

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自動車はタイ、インドネシア、電子機器類はフィリピン、シンガポール、マレーシア、化

学はシンガポール、インドネシア、石油はマレーシア、食品は各国でGDPに高寄与。産業構造比較製造業GDP構成比

1 各国産業構造比較製造業GDP構成比

出所: UNIDOデータよりADL作成。産業分類はISIC Rev.3に基づく。

13%30% 27% 23%

12%

9%

5%32%

12%

40%

12%10%

6%13%

11%5%

14%5%8%

19% 14% 20% 25%13%

34%24%

5%20%

4%

4%14%20%

6% 4%9%6%

10%24%

5%

6%

2%

5% 5%

5%

4%4% 4%

5%1% 4% 5%4%12%

1%

4%

20%2%

39,99426,838

2%

3%

0%

1%

1%

49,132

Singapore(2014)

Malaysia(2012)

3%3%

66,121

2%

140,792

0%

3%

Thailand(2011)

Indonesia(2013)

3%

2%

その他

ゴム・プラスチック

2%

金属加工製品

石炭・石油

一般機械

3%

電子部品

電子機器

China(2007)

化学

輸送機器

3%

Viet Nam(2013)

1,295,210

一次金属

0%

Philippines(2012)

67,597

2%

3%

2%2%

食品

製造業の名目GDP→(mUSD)

食品

食品

食品

食品

食品

輸送機器

輸送機器

電子機器

電子機器

電子機器

電子機器

化学

化学

一般機械

石炭・石油

電子機器

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1 各国産業動向 まとめ

シンガポール マレーシア タイ インドネシア フィリピン ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー 中国

自動車

電機・

電子

建設

食品

日用品

環境負荷低減に

向けてITS導入拡大へ。

デザインやハイ

エンド品の製造

など、先端電子

産業が発展。

政府はサービス

・交通ハブとして

国をさらに改善

しようとしており

更なるインフラプ

ロジェクトが見込

まれる。

今後もプレミア

ム食品販売、オ

ンライン販売の

増加などが寄与

する見込みだが

市場は成熟。

主要メーカーは

シンガポールで

テストマーケティ

ングを行い、成

功すると他国に

展開する。

外資攻勢でProton/Peroduaの市場シェアは

低下が予想され

ている。

電子産業は主要

産業。

所得向上、低失

業率、経済伸長

により市場として

も期待大。

EconomicTransformationProgramを発表インフラなどキー

セクターへの投

資誘致に注力。

増大する中産階

級、プレミアム化、

都市化などが引

き続き成長に寄

与する見込み。

発達した裾野産

業が下支えとな

り依然として製

造中心地となる。

HDDなどでは、最大需要地であ

る中国に近いベ

トナム北部の方

が魅力的なため

、大きな成長は

見込みにくい。

都市一極集中構

造解消のため、

地方部での基礎

インフラの投資

が見込まれる。

経済成長に伴い

高機能食品包装

需要が高まる。

世界への紙おむ

つ輸出拠点とし

て生産が継続さ

れる(例:ユニ

チャーム)。

タイに次ぐ輸出

拠点化が進むと

予想される。

人口増と経済成

長で生産拡大。

電子機器浸透率

がまだ低いが、

所得向上、巨大

な人口などのた

め、市場として

の期待は大きい

都市人口増大、政

府の意欲的なイン

フラ投資計画等に

より、建設産業は

住宅建設・非住宅

建設ともに成長を

続ける見通し。

外資を引き付け

るにつれ、幅広

い部門で国内生

産キャパシティ

は拡大しており

流通網も徐々に

改善している。

日系メーカーは

タイ、インドネシ

ア製を輸入する

モデルに切り替

える可能性もあ

る。

電子機器製造拠

点としての基盤

があり、グロー

バル企業を引き

付けている。電

機・電子産業は

輸出の6割。2022年までUSD144bn規模のインフラ投資

計画等があり、

建設産業は引き

続きプラス。

San Miguel Corporationが独占、業界はダ

イナミズムにか

ける。

2018年、自動車の輸入関税撤廃

で競争力のある

完成車が流入す

ればベトナムに

おける四輪車産

業の存続が危機。

既に進出企業が

多数存在し、

AFTAを契機として有力輸出産業

として育つ。

都市一極集中構

造解消のため、

地方部での基礎

インフラ。

経済成長に伴う

高機能食品包装

需要の高まり。

日用品製造に関する大きな動きは現

状みられない

タイ国境付近で、一部の部品製造が

行われる。

ミネベアなどの

投資がみられ、

超労働集約型部

品(小型モー

ターなど)につい

てのみ生産投資

が進む。

現状インフラ不足が喫緊の課題となっており、道路・送配電

網の投資が進む。

経済水準が低く、高機能食品包装フィ

ルム需要の増加は限定的な可能性あ

り。

タイプラスワンの一

環として、ニコンや

三菱マテリアルな

ど一部の製造移管

の動きがあり、若

干の成長が見込ま

れる。

自動車/エレクトニクス製品の製

造に関する大き

な動きは現状み

られない。

食品・飲料生産

の工場投資が加

速する可能性あ

り。

国内需要増加を

見通した投資が

進む(例:ユニ

チャーム)

ASEAN中国間の貿易自由化が

進めば、中国勢

の完成車が低関

税でASEANに流入する可能性

がある。

グローバル企業

を含む強い国内

製造拠点があ.る。

政府は第13次5か年計画の中で交通

インフラ、エネルギ

ーインフラ等、イン

フラへの投資を重

要視。

都市部の若い中

産層の消費者が

プレミアムブラン

ドや健康的な食

事を求めるトレ

ンドを牽引する。

ASEANではタイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアは素材企業にとって特に重要な顧客産業が発展している。中国は大消費地として重要である。

産業成長が期待される国

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10Copyright © Arthur D. Little 2017 . All rights reserved.

自動車生産はタイ、インドネシアが牽引。2018年のASEAN域内での自動車関税撤廃により国外品が流入し、競争力のない国には厳しい環境になる。需要は伸長見込み。

自動車産業の動向

1 産業動向自動車産業

出所:各種二次情報よりADL作成 注: タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンにおいては2010年に完成車輸入関税がゼロとなっている。ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーにおいても、2018年を最終期限として輸入関税はゼロとなる。

カンボジア

中国

タイ

インドネシア

• 発達した裾野産業が下支えとなり依然として製造中心地となる。

• Eco Car計画第二弾 を軸に生産拡大。輸出市場の拡大が成長を牽引。• タイに次ぐ輸出拠点化が進むと予想される。

• 人口増と経済成長で生産拡大。

シンガポール • 環境負荷低減に向けてITS導入拡大へ。マレーシア • 外資攻勢でProton/Peroduaの市場シェアは低下が予想されている。

ベトナム

• エンジン、部品企業が育成されておらず、素材、機械、電気等が未成熟のため、原材料・部品を輸入し、安価な労働力を利用した組立工場にならざるを得ない。

• 2018年、自動車の輸入関税撤廃で内外価格差が縮小し、 例えば、タイ製を輸入する方が安くなる。競争力のある完成車が流入すればベトナムにおける生産は厳しい環境になり、四輪車産業の存続が危機。ASEAN域内での分業、協業態勢による棲み分け、再編を検討する展開もあり得る。日系メーカーはベトナムの工場閉鎖も検討。

フィリピン

• 関税無税化以来、タイ、インドネシア両国からの自動車輸入が増加。国内販売台数に占める国内生産台数の割合は、10年(47.2%)から14年(33.0%)にかけて低下。今後は、ASEAN・韓国自由貿易協定 (AKFTA)により、生産拠点を持たず輸入販売するシェア3位の現代自動車などの韓国勢との競争にさらされる。日系メーカーもタイ、インドネシア製を輸入するモデルに切り替える可能性もある。

• 消費が拡大しているとはいえ、内需だけでは規模の経済性が獲得できず、自動車産業が競争力を備えるには至っていない。

• 自動車生産に必要な産業基盤は脆弱。セットメーカーを頂点としたサプライチェーンはほとんど形成されていない。

• 新車市場発展の先行きは不透明。

• ワイヤーハーネス等の分業拠点化が進行中。

ミャンマー

• 民政化で中古輸入車が大量流入。

• 将来の需要を見据え、新車ショールームが相次ぎ開設。

ラオス

• メコン圏の陸送網の整備が進めば、分業生産拠点・物流ハブに発展する可能性。

• 2030年EV先進国の青写真を提示。

• TPP、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)等で、ASEAN中国間の貿易の自由度が高まることで、中国勢の完成車が低関税でASEANに流入する可能性がある。

自動車産業の成長が期待される国

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電機・電子産業はシンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナムでは主要産業。

人口増加、所得増加を受けて需要増の期待が大きい。

電機・電子産業の動向

1 産業動向電機・電子産業

出所:各種二次情報よりADL作成

タイ

インドネシア

• 多数のグローバル企業が製造・組立拠点を持つ。電子産業はタイの主要輸出産業。HDDやプリント回路基板には特に強みを持つ。政府も電子産業への投資を税制・補助金で優遇。特にコンピュータ部品など。

• ただし、HDDなどコストダウン要求の強い製品製造では、最大需要地である中国に近いベトナム北部の方が魅力的なため、大きな成長は見込みにくい。• 中産階級の増大による需要増に期待。

• 電子機器浸透率がまだ低いが、所得向上、巨大な人口などのため、市場としての期待は大きい。平均所得は低いが、ジャカルタや主要都市には十分な大きさのハイエンド市場が存

在。データ通信インフラはまだ不十分だが、通信事業者は政府ガイダンスの下、ワイヤレスデータ通信ネットワークインフラの更新・拡張に投資している。

• “Made in Indonesia” policyでコストが50%上がってしまうため、ベンダー進出にはマイナス。

シンガポール

マレーシア

• 高所得のためハイエンド機器の需要があり、高収益市場だが、成熟しており、買換え需要が主。VRやウェアラブル機器など最新機器への関心は高い。• デザインやハイエンド品の製造など、先端電子産業が発展。iN2015 master plan, Standard Operating Environment projectsなどもドライバー。

• 電子(electronics industry)はコモディティと並び主要産業の一つ。• 所得向上、低失業率、経済伸長により市場としても期待大。ただし、所得二極化で2つの異なる市場がある。Klang Valleyエリア外は低所得で需要に制限がある。

ベトナム

• Samsung Electronics, Intel, Apple, Nokia, LG Electronics等グローバル企業による生産拠点としての投資が進んでいる。外資は8割方輸出加工型。日本製家電製品の評価は高く、年長者が世帯主の世帯では日本製が強い。一方、韓国製は日本製と同等機能を持ちながら価格が安いとの評価が若者を中心として固まりつつある模様。

• 所得の増加と消費の増大が進むにつれて、地方、郊外含め、家電製品、電子機器の普及率が高まることが想定される。

フィリピン

• 電子機器製造拠点としての基盤があり、グローバル企業を引き付けている。電機・電子産業は輸出の6割を占め、大手日系企業の多数進出。半導体が大半。• 生産品はグローバル市場への輸出が多く、部材面では日本国内調達品と同品質が求められるが、現地調達比率は低いまま。島嶼国のためロジスティクス上の課題も大きい。

• 生産年齢人口の増大が見込まれる。電子機器(PC、スマホ、タブレット、液晶テレビ等)の浸透率がまだ低く、所得向上に伴って市場拡大が期待される。デジタルテレビへの移行はフラットパネルTVを後押し。

カンボジア

ラオス

ミャンマー

• 電気・電子産業は大きくは発展していない。

中国

• 所得増大に伴う中産階級増大、可処分所得増大による、ハイエンド市場の拡大に期待。また、浸透率の低い郊外への市場拡大機会あり。

• Lenovo, Huawei, ZTE, Founder Technology, TCL, Xiaomi等、グローバル企業を含む強い国内製造拠点がある。• 政府主導の「ナショナリズム」アプローチ(国産モバイルOS、3G規格、デジタルTV規格等)は外資には不利。

電気・電子産業の成長が期待される国

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各国ともインフラ整備が計画され、引き続き大きな需要が見込まれる。ハードインフラ

の供給は追いついておらず、渋滞、港湾の容量不足、電力不足などが見られる。

建設産業の動向

1 産業動向建設産業

出所:各種二次情報よりADL作成

中国

タイ

インドネシア

• 経済成長後押しのためもあり、政府はインフラ投資を重視。法規制環境は良好。再生可能エネルギー開発を支援する政策あり。

• 近隣国に比べて汚職も少ない。

• 近隣諸国(ラオス、ベトナム、ミャンマー)との間の道路・鉄道網整備はモノ・サービスの移動を改善する。• 都市人口増大、政府の意欲的なインフラ投資計画等により、建設産業は住宅建設・非住宅建設ともに成長を続ける見通し。

シンガポール

マレーシア

• インフラ市場は成熟し、他のASEAN諸国ほどには成長は見込めないが、政府はサービス・交通ハブとして国をさらに改善しようとしており、また、地域のグリーンエネルギーハブになる意図も示しており、更なるインフラプロジェクトが見込まれる。地下鉄拡張計画などもあり。

• 外資プレーヤーにとって継続性のある政策、安定性のある投資フレームワークなどがプラス。

• 2010年9月、10年間、USD44bnのEconomic Transformation Programを発表、インフラなどキーセクターへの投資誘致に注力。

ベトナム

• ロジスティクス改善、電力不足改善に向け、交通インフラ、エネルギーインフラの強力なプロジェクトがある。

• 規制改革を進め、国営企業を民営化し、インフラ関連事業への民間参入を促進。

フィリピン

• 2022年までPHP7trn(USD144bn)規模のインフラ投資計画、PPP(public-private partnership)プロジェクトの加速、地方の開発など、建設産業は引き続きプラス。民間による建設投資についても、住宅開発や地場不動産開発大手が商業施設の大型開発計画を発表するなど、今後も堅調に推移すると見られる。

カンボジア

• 政府は経済成長に必要な外資を誘致するため優遇政策を実施。道路・鉄道システムの改善も進める意図。中国の鉄道インフラ拡張の恩恵を受ける可能性あり。

• 外国とパートナーシップを組み、水力発電に投資し、電力供給を改善する取組みをしているが、依然、電力インフラは未整備。

• 製造業誘致、観光業促進は建設分野にもプラス。

ミャンマー

• インフラ未整備が多く、市場機会として期待されている。政府は道路網拡張を目指している。電力供給も未整備。Asian Development Bank(ADB)はUSD1.75bnを貸出。• 観光客増加、都市化はインフラ需要を高めている。

ラオス

• インフラ未整備が多く、多くの開発機会がある。特に水力発電、交通に投資機会がある。政府は”battery of South East Asia”になると掲げる。• ただし、汚職、透明性の欠如、法的枠組みの不備、官僚制等、事業環境は厳しい。

• ラオスのビエンチャンと中国の昆明を結ぶ高速鉄道プロジェクトあり。

• 交通インフラ、エネルギーインフラ等、インフラへの投資は政府も第13次5ヵ年計画の中で重要視。一帯一路政策なども交通インフラ建設部門にはプラス。投資も続いており、この分野は明るい見通し。

• 住宅建設は過熱する住宅市場の需給バランスを再調整する過程で、足元は成長しているが、長期的には大きな成長は見込めない模様。

建設産業の成長が期待される国

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所得増加に伴い、食品への出費、高付加価値品への需要増など、今後も市場拡大が

見込まれる。タイ、インドネシア、ベトナム、中国などに加工食品メーカーが多い。

食品産業の動向

1 産業動向食品

出所:各種二次情報よりADL作成

中国

タイ

• 中産階級の増大、女性の労働市場への流入により、convenience foodの需要が増えるなど、現代的な消費パターンが生まれ、MGR(mass grocery retail)部門などの成長が期待される。

• 経済成長に伴い高機能食品包装需要が高まる。

シンガポール

マレーシア

• MGR(mass grocery retail)の成長や高い消費支出レベルに支えられ、微成長。今後もプレミアム食品販売、オンライン販売の増加などが寄与する見込みだが、市場は成熟。

• 2015年4月、6%のGoods and Services Tax (GST)導入により、食品・飲料セクターの成長はスローダウン。増大する中産階級、プレミアム化、都市化などが引き続き成長に寄与する見込みだが、かつてほどの成長は見込みにくい。

インドネシア

• 外資を引き付けるにつれ、幅広い部門で国内生産キャパシティは拡大しており、流通網も徐々に改善している。所得増加、消費支出の増大に加え

現代的な小売の形態を求めるニーズにより、特に食料品小売部門の成長が期待される。

ベトナム

• 食料品小売の急速な拡大、食品製造業の拡大、所得増加など、業界成長にとって良好な環境。

• 消費者の所得がさらに向上し、都市化され、ブランド品をより受け入れるようになると、高付加価値品市場の拡大も期待される。

フィリピン

• 若く十分な規模の消費者基盤があり、引き続き消費の成長が見込まれる。

• San Miguel Corporationの独占と、事業上のチャレンジのため、外国による投資を抑制させ、業界はダイナミズムにかける。

カンボジア

ラオス

ミャンマー

• 所得増加、若年層が多い人口動態、急速な都市化などにより市場拡大が見込まれる。特にミャンマーはカンボジア、ラオスと比べ、人口が大きく、

期待が大きい。2013年以来、Nestle, Unilever, Coca-Cola, Carlsbergなどが市場参入している。• 所得格差が大きく、消費パターンは所得に応じて多様。

• 弱い流通網、煩雑な行政手続き、貧弱なインフラなど、CLMでの事業コストはまだ非常に高い。ベトナム等の安くて品質の良い製品はCLMの競争力にとっては脅威。

• 都市部の若い中産層の消費者がプレミアムブランドや健康的な食事を求めるトレンドを牽引する。経済が消費・サービスにシフトする中で、これら

の層が引き続き重要なターゲット層になる。

食品産業の成長が期待される国

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経済発展段階が進むにつれ、消費は高度化し、製品需要も変化する。1人当たりGDP1,000ドルで必要最低限の消費から脱却し、3,000ドルで先進国化する。

経済発展段階と消費財需要

1 産業動向経済発展段階と消費財需要

出所: World Bank、JETROデータ等よりADL作成。

80

260

20

1,360

120

1,380

6040

53,00032,0000

17,00010,0009,000

100

4,0001,000 2,0000 3,000 8,0005,000 7,0006,000Laos

1人当たりGDP(USドル)

Myanmar

Indonesia

Cambodia

Thailand

Singapore

Philippines

Malaysia

人口

(百万人)

China

Vietnam

Japan

Shanghai

紙おむつ

プラスチック包装

柔軟剤

ハンドソープ

自動車

石鹸 歯ブラシ・ハミガキ

洗剤 ボディソープ

食品添加物

必要最低限の

消費から脱却

消費の質が

先進国化する

貧富の差があるため、単

純に平均値を見ている

だけでは市場は見えてこ

ない。

所得中間層が

伸びていくかも

重要。

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1 政策・産業動向

2 企業戦略

3 関税・非関税障壁

4 課題・政策示唆

5 参考資料

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2 サプライチェーン分析合成は川上製品で大量に生産し各国へ供給される。配合・部材・消費財は現地顧客・

消費者に合わせた製品・サービスを提供する体制が構築されている。

研究開発 調達 生産 販売 需要・市場

基礎化学品

樹脂・顔料

合成ゴム

インキ・塗料

コンパウンド

包装用フィルム・

不織布

ディスプレイ用

フィルム

日用品

食品素材

(香料含む)

日本に研究開発機能を残しつつ、実

証プラントは日本国外に移す場合も

ある。

研究開発は日本が中心。

研究開発は日本が中心。

原料調達に有利な立地が重要(パイプライン供給、大型タンカーでの輸

入が可能な港湾等)。

原料を安く調達できる立地は重要。

パイプライン調達が主。パイプライン

からの供給に問題があることもある

ため、外部からも購入できるようにし

ている。

川下とのケミカルチェーン構築やコ

ストダウンの努力により競争力を維

持。市況悪化による撤退もある。

一括で大量に合成する。

一括で大量に合成する。

多用な用途があり、需要は伸長する

見込み。石油化学品はASEANではブロック経済化してきている。

コンパウンド、インキ・塗料等の原料

となる。

タイヤ、ベルト等、自動車部品用途

が多い。

顧客がR&Dを海外に出した際には対応が必要。地域大手顧客向けの

製品開発を行っている。

コンパウンド生産拠点で現地顧客ニ

ーズに合わせて開発をしている。

樹脂、顔料、溶剤は外部調達可能。

添加剤は特殊で日本や大手からの

調達が多い。

原料レジンは自社グループ内外か

ら調達可能。

インキは印刷、加工食品等の包装

が主用途。塗料は自動車、建築、建

材が主用途。

主要用途は自動車部品、エレクトロ

ニクス、など。

初期的な研究などは日本で、地域

ニーズに応えた開発は現地で行う。

現地調達が主。

フィルムは加工食品用包装材向け

が主。不織布は紙おむつ、自動車

向けカーペット、建築向けなど。

研究開発は日本で行う。

現地ではテクニカルサービスを

提供。

基礎研究は日本で行う。

応用開発は海外でも行う。文化・消

費者に合わせた製品開発が必要。

日本で製造したフィルムを調達。

自社グループ内外から調達。

ディスプレイ向け。

中国が主要市場。

流通を押さえることができるかが重

要。

研究開発の中心は日本。

顧客に近いところに開発機能も有す

る。

各種原料は自社グループ、現地か

ら調達。

フォーミュレーションを秘匿するもの

は日本から調達。

フォーミュレーションは国ごと、顧客

ごとに異なる。菓子や飲料の需要が

伸びており注目。

顧客ごとにカスタマイズしている。

需要地に立地して生産している。

マスの量を取り、安定的・効率的に

生産。

顧客指定の大きさにフィルムをカッ

ティングしている。

現地消費者の嗜好・ニーズ・文化に

合った製品を生産。

現地顧客向けにカスタマイズして生

産している。

現地での販売、輸出ともにある。石

油化学品はパイプラインでの供給も

ある。

自社グループ内外に供給される。

自社グループ内外に供給される。

現地顧客への販売が主。

生産拠点国内の顧客に販売

日系メーカーが主要顧客。

近年は日系以外にも拡販。

地域への販売が主。

ディスプレイ部品メーカーが主要顧

客。

生産国内向け販売が主。

一部、輸出もある。

主要顧客は加工食品メーカー

製品群

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市場規模・市場理解、リソース負担能力、技術秘匿性を見極め、現地生産が選択され

る。

企業の戦略的判断

2 日系企業における戦略決定のメカニズム

ビジネスモデルの選択肢と判断視点 現地生産の詳細検討における視点

現地生産をする目的は何か

どの工程を海外に出すか

原料立地か顧客立地(※)か消費立地か

拠点立地条件はどうか

組成が重要な製品は情報漏えいを避けるため日本で行う。

顧客近くでカスタマイズするため、一部の工程を海外に出す。

合成は原料立地。

配合、部材は顧客立地。

消費財は消費立地。

投資規模が大きく、優遇税制は重要な条件である。

優遇策だけを重視して進出することはない。

進出に際しインフラは重視する。

原料メーカーの豊富さ、労務費も重要な条件。

土地代、労働者の質、水の質とコストも重要。

海外展開

現地生産する場合、減価償却費の分、高くなるので、可能な限り

近隣からの輸出で対応する。

現地に十分な需要がなければ、多少、関税・輸送コストがかかっ

たとしても輸出で対応する。

輸出

技術供与

委託生産

顧客の海外進出に合わせて現地生産に進出する。

需要規模が大きくなると現地生産に移管する。

委託生産は初期投資を抑えられる。

委託生産は技術供与や現地生産と比較し、多くは見られない。

現地生産

投資規模が大きい場合にリスク回避のために技術供与をする場

合がある。

日本から遠く市場の理解が乏しい地域では技術供与を行う場合

がある。

市場

特性

自社事業

特性

業界構造

特性

判断要素

※顧客とはB2Bビジネスにおける直接の顧客を指す。

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輸出、技術供与、委託生産、現地生産の選定は、市場特性、自社事業特性、業界構

造特性を踏まえて検討される。

ビジネスモデル選定の判断視点

2 日系企業における戦略決定のメカニズム

視点 判断

市場特性

業界構造特性

自社事業特性

需要規模

技術秘匿必要度合い

必要投資規模

製品特性

リソース負担能力

市場理解度合い

顧客との関係

サプライヤーとの関係

需要規模が十分でない間は輸出で賄う。 需要規模が十分な場合は、現地生産、委託生産、技術供与も検討する。

技術秘匿が重要な場合には、委託生産や技術供与はない。

投資額が大きい場合には負担を軽減できる委託生産や技術供与も検討する。

合成・部材など装置導入によって技術移転が比較的容易な場合には技術供与も検討可能。 配合・消費財など顧客・消費者に合わせて配合を変える必要がある製品は技術供与しにくい。 資金・リスク負担能力が低い場合には、現地生産のハードルは高く、技術供与・委託生産も検討される。 資金・リスク負担能力が高い場合には、現地生産も選択肢に入る。 市場理解が乏しい場合に、技術供与し、生産・販売は技術供与先に任せる選択があり得る。 市場理解が十分な場合には、自社でマーケティングをし、輸出、委託生産、現地生産が選択肢になる。

顧客に密着し製品開発が必要な場合、現地生産が検討される。

サプライヤーとの関係が直接サプライチェーン戦略に影響することは少ない。

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詳細調査項目

2 日系企業における戦略決定のメカニズム

輸出か現地生産か

技術供与・委託生産

現地生産をする目的/どの工程を海外に出すか原料立地か顧客立地か消費立地か

生産拠点立地条件

パートナー

撤退可能性の検討

研究開発

商社の活用

サービスプロバイダーの活用

123456789

10

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現地に一定の需要規模が見込まれる場合に現地生産が検討される。輸出拠点として

の海外生産拠点は原料が安い、自社グループで安定需要があるなど特殊な場合。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 輸出か現地生産か

類型 輸出か現地生産か

合成

配合

部材

消費財

規模の経済が働く製品が多く、地域で十分な需要規模が見込めることが必須。• 需要規模が大きくなると現地生産に移管する。(樹脂)

投資規模が大きくリスクが大きい。• 合成は投資規模が数百億円と大きく、海外進出しにくい。(合成ゴム)

当該生産拠点から第三国への輸出では特殊要因(原料が極端に安い、自社グループで需要が十分あり、安定稼働が見込める、など)がないと成功は少ない。

• 第三国への輸出をあてにした現地生産はほとんど成功しておらず、可能な事業は条件が限られる。(基礎化学品)

顧客ニーズに合わせたカスタマイズ・技術サービスが必要なため、一定の需要規模が見込めれば、現地生産を行う。• 進出は段階を追って、投資額の小さい販売拠点を設け、輸入販売から始め、市場が見えてきたら生産も検討する。(塗料・インキ)• 初めは輸出で対応するが、需要規模が大きくなると現地生産に移管する。(コンパウンド)

汎用的で販売数量が多い製品は、経済合理性があれば海外現地生産を行う。• 現地生産か輸出かは、経済合理性とスペックでのすみわけを検討する。海外工場ではマスの量を取り安定的・効率的に生産して勝負、日

本ではさらに付加価値を付けている。(包装用フィルム・不織布)• まず需要があるか、次に関税も含めてコストが許容できるかを検討する。(包装用フィルム・不織布)

現地消費者の嗜好・ニーズに合った製品を生産・販売するため、一定の人口規模、所得が見込める地域に進出する。• 一地域で一括生産した方が効率はよいが、その国の文化・消費者に合わせて製品を開発する必要がある。(日用品)• 現地生産するにあたり、経済規模、市場規模は重視している。市場性が確実にわかることも必要。(食品素材)

現地生産が選択されやすい類型

1

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初期投資の規模が大きい汎用品は投資リスクを軽減するために技術供与する場合が

ある。競争力の源泉となる技術の供与は想定されない。

類型 技術供与・委託生産

合成

配合

部材

消費財

初期投資が大きく、リスクが大きいため、技術供与でリスクを抑えることもあり得る。

• ポリマーは投資規模が大きく、リスク回避のために技術供与もあり得るが、実際は行っていない。(樹脂) 市場理解が乏しい遠い地域では技術供与もあり得る。

• 技術供与は主戦場から遠い地域では行っている。主戦場であるアジアではストレートライセンスよりは自社でマジョリティを持ったジョイントベ

ンチャーを選ぶ。(基礎化学品)

ノウハウが必要で、同じ品質の製品ができるとも限らず、技術供与はしない。

• 技術供与は過去に取り組んだことがあるが、同じ品質のものを作れず、うまくいかなかった経験があり、自前で生産する方針。(コンパウンド) 投資規模が小さい製品は自前の生産拠点に投資しやすい。

• コンパウンドは投資規模が小さく、技術供与ではなく自前で行う。(コンパウンド)

初期投資を抑え、リスクを軽減できるため、経済合理性があれば技術供与もあり得る。

• 経済合理性があれば、ライセンシングもある。初期投資を抑えられ、リスクを下げられるほか、市場情報を持つパートナーと組むメリットがある(包装用フィルム・不織布)

委託生産は限定的。

• 委託生産はMOQ(最低発注数量)がよほど小さければあり得るが、ごく一部。(日用品) 成分を開示しておらず、配合が競争力の源泉であり、技術供与はあり得ない。

• フォーミュレーションは重要なノウハウであり、秘密は外に出したくない。 (食品素材・香料)

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 技術供与・委託生産

技術供与・委託生産が選択されやすい類型

2

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合成では汎用製品の大規模生産によるコスト抑制、配合・部材・消費財では、現地

ニーズに合わせたカスタマイズとデリバリー対応のため、一部の工程を海外に出す。

類型 現地生産をする目的

合成

配合

部材

消費財

原料を安く調達・確保するため、現地生産をする。• 原料を安く調達できるところに立地する。(樹脂)• 原料を確保する狙いから現地で製造。(基礎化学品)

顧客近くでニーズに合う製品をカスタマイズし、可能な限り早く提供するため、一部の工程を現地に出す。• 生産の現地化が必要なのは顧客に合わせた個別対応、カスタマイズが必要なため。(インキ・塗料)

顧客ニーズに合わせて迅速に出荷するため、一部の工程を現地に出す。• 加工度を上げた製品で、市場に合ったものを提供する必要がある。(包装用フィルム・不織布)• 顧客が製造する製品も変動し、それに応じて必要なサイズ等が異なるなど、ニーズに合ったものを提供する必要がある。(包装用フィルム・不織布)

現地消費者のニーズや嗜好・文化に合わせてカスタマイズするため、一部の工程を現地に出す。• 一地域で一括生産した方が効率はよいが、その国の文化・消費者に合わせて製品を開発する必要がある。(日用品)

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 現地生産をする目的3

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生産拠点立地の決定において、合成は原料供給地を、配合・部材は顧客立地を、消

費財は消費立地を重視する。

主要製造プロセスと立地

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 原料立地か顧客立地か消費立地か

合成 配合 部材 消費財

原料立地 顧客立地 消費立地

基礎化学品

樹脂

コンパウンド

インキ

日用品

食品素材

包装用フィルム

香料

顔料

合成ゴム

塗料

不織布

ディスプレイ用

フィルム

化粧品

4

原料を安く調達・確保する

顧客近くでニーズに合う製品を

カスタマイズし、可能な限り早く

デリバリーする

現地消費者のニーズや嗜好

・文化に合わせてカスタマイ

ズする

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素材系企業の生産拠点の立地選定において、ヒト・モノ・カネの基本条件が検討され

る。

生産拠点立地の基本条件

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 生産拠点立地条件

インフラ

土地

顧客・市場

原材料調達

インフラ整備は十分か。コストは問題ないか。安定的に調達できるか。(電気、水、輸送等) 工業用地は確保できるか。 所有権か使用権のみか。 顧客の立地はどこか。 新市場獲得の見込みはあるか。 原材料供給は十分か。現地サプライヤーはいるか。 関税・輸送費等込みで調達コストはいくらか

労働市場

労働法制

労働組合

ワーカー、エンジニア、管理職は獲得できるか。 賃金およびその上昇は許容範囲か。

現地労働法制はどのようなものか。 採用、解雇における制約は何か。 労働組合・労働争議の問題はないか。

外資規制

優遇・恩典

税制・関税・送金

資金調達

回収

外資規制・営業規制はあるか。 どのような優遇があるか。優遇適用条件は何か。 どのような税制か。関税率や法人税率、源泉徴収税率はいくらか。 現地で借入可能か。親子ローン規制はあるか。 売上等の回収に問題があるか。

特に重視される生産拠点条件

5

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インフラ・ユーティリティ、原燃料調達は立地選定のベース。投資額の大きい合成・部

材では恩典も重視される。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 生産拠点立地条件5

類型 重視する生産拠点立地条件

合成

配合

部材

消費財

競争力のある原燃料 バルク品の調達に利便性のある港湾 良質な工業用水と排水処理 安定的な電気供給 優遇税制 環境規制の厳しさ

製造の許認可 インフラ 環境規制

原料調達 人材の質、モチベーション、コスト ユーティリティの整備とコスト 税制優遇

原料メーカーの豊富さ、調達 水の質とコスト 労働者の質、コスト、土地代 ハラル対応

水 電気

土地

原燃

料調

港湾 人材

人件

許認

環境

規制

重視すると特に言及された条件

恩典

特に重視される生産拠点条件(3つ以上の類型で言及されている)重視される生産拠点条件(2つの類型で言及されている)

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単独出資するか現地企業をパートナーとするかは、各企業で方針が異なる。現地企業

の資産を活用できるメリットや規制に対応する必要から共同出資をする企業もある。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム パートナー

類型

合成

配合

部材

消費財

パートナー

共同出資会社による原料供給や自家消費による稼働安定のメリットがある。• パートナーが製品を自家消費するため稼働が安定する。(基礎化学品)• こちらは技術を提供し、原料をもらう。(石油化学) 投資規模が大きく、共同出資により資金負担を減らすことができる。• コモディティであり、工場規模が大きい。独資では資金がかかることもあり、現地パートナーと組んでいる。(基礎化学品)

独資か共同出資かは企業の方針による。• 海外展開は昔から単独出資が多いが、特に独資にこだわってはいない。(インキ・塗料)• 技術供与においては、将来出資のチャンスがある企業かどうかを見る。規模が大きすぎて手が届かないような現地企業への技術供与は考え

にくい。(インキ・塗料)

共同出資会社による原料供給や市場ナレッジ活用のメリットがある。• どのようなパートナーと組むかも重要視している。単独出資の場合も、まずは現地パートナーと組んで現地を理解した上で100%出資にする。

(包装用フィルム・不織布)• 既に出資したプロジェクトについて共同出資者から供給される原料のアドバンテージもほしかった。(包装用フィルム・不織布)

独資か共同出資かは企業の方針による。• 100%出資が基本。(日用品)• パートナーの市場知識や販売チャネル等を活用するのが基本方針。(日用品)

共同出資の選択が比較的多くみられる類型

6

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事業環境変化の早い部材では、進出段階で撤退の可能性も検討する。合成、配合、

消費財では撤退の可能性までは検討しない企業も多い。

類型 撤退可能性の検討

合成

配合

部材

消費財

進出時に、撤退可能性まで検討する企業は少ない。• 事業価値がなくなっても、サイトに売却価値があるかも含め、進出時に立地を検討することが重要である。(基礎化学品)• 進出の段階で撤退の可能性はあまり検討しない。(樹脂)• FS段階で撤退までは考えられていない。(合成ゴム)• 工場進出時点でのリスクは検討するが、撤退可能性は明示的には検討しない。(基礎化学品)

進出時に、撤退可能性まで検討する企業は少ない。• 進出時に撤退のことも含めて検討はしない。(インキ・塗料)• FS段階で撤退までは考えられていない。(コンパウンド)• 進出の段階で撤退の可能性はあまり検討しない。(コンパウンド)• 撤退してもいいように、土地や建物を購入するのか、賃借するのかは検討している。(インキ・塗料)

進出時に、撤退可能性まで検討する。• 進出段階で行政と撤退の条件まで含めて約定を結んでおく方がよい。(包装用フィルム・不織布)• 進出の際に撤退のシナリオも描いておく。(ディスプレイ用フィルム)

進出時に、撤退可能性まで検討する企業は少ない。• 進出時点で将来の事業再編や撤退などは予想ができず、あまり深く検討することはない。(食品素材・香料)• 工場進出時点でのリスクは検討するが、撤退可能性は明示的には検討しない。(日用品)• 進出段階で感度分析はするが、Exitルールを設けるところまではやっていない。(日用品)

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 撤退可能性の検討

進出時に撤退可能性の検討までなされる類型

7

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基礎研究は日本で行われている。海外では現地ニーズに合わせた開発やテクニカル

サービスの提供が行われる。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 研究開発

類型 研究開発

合成

配合

部材

消費財

基礎研究は日本で行う。• 今のところ基礎研究を海外でやる方針はない。(日用品)• 成功可能性が高く、価値の高い、絞られたテーマを日本で行う。(基礎化学品)

現地で顧客ニーズに合わせた開発を行う。• 生産拠点自体が開発拠点と言える。現地顧客ニーズに合わせてコンパウンドを開発している。(コンパウンド)

研究開発は日本で行い、現地ではテクニカルサポートを提供する。• 現地ではテクニカルサービスを提供している。(ディスプレイ用フィルム)• 日本で研究開発する方針。海外で展開するのは技術サポート。(包装用フィルム・不織布)

研究開発の中心は日本。海外では現地ニーズに合わせた応用開発を行う。• 基礎研究は日本で行い、海外では応用開発を行っている。海外ではその地域の消費者に合った製品の開発を行っている。(日用品)

8

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商社は合成・配合・部材・消費財すべての類型で調達・販売ともに広く活用されている。

期待される機能は情報、与信・回収、物流・貿易事務、営業・調達の効率化、通訳など。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 商社の活用

類型 商社の活用

合成

配合

部材

消費財

調達・販売ともに商社は多く活用されている

商社の活用が見られる類型

調

期待役割

情報 与信 物流・貿易事務 調達活動の効率化 通訳

情報 与信・回収 物流・貿易事務 営業・販売活動の効率化 顧客とのチャネル 通訳

9

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現地事情への精通、交渉、専門知識を期待して現地コンサルタントを活用する企業は

多い。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム サービスプロバイダの活用

類型 サービスプロバイダの活用

合成

配合

部材

消費財

現地事情への精通、交渉、専門知識を期待して、現地コンサルタントを活用する企業は多い。• 現地コンサルタントは使うことがある。現地事情に詳しく、交渉に慣れている。(日用品)• 現地の折衝は言語の問題もあり、現地のコンサルでないと難しい。(食品素材)• 製品表示に関する規制は専門知識が必要で、コンサルタントに頼んでいる。(日用品) 知見の蓄積のある、古くからの進出企業や現地パートナーの知見を活用できる企業は現地コンサルタントは不要。• 拠点として歴史が長いところが多いため、現地で対処できることが多く、現地コンサルタントはあまり使っていない。(コンパウンド)• 現地事情を知っている現地パートナーがいるため、現地コンサルタントはあまり使っていない。(日用品)

現地サービスプロバイダの活用が見られる類型

10

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素材系企業の生産拠点としてはタイ、インドネシア、マレーシアの魅力が大きい。シン

ガポールは研究開発や貿易拠点として魅力。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 拠点としての各国の魅力と課題

国 魅力 課題

シンガポール

マレーシア

タイ

インドネシア

フィリピン

ベトナム

CLM

中国

世界的な企業のR&D機能が集約している。 英語の話せる高度人材。 物流のハブで港湾荷役の効率が良い。FTA締結国が多い。 政府・制度の透明性が非常に高い。

人口規模が大きく市場として魅力的。 都市部以外は労働供給はひっ迫していない。 ハラル対応の拠点になり得る。 英語が通じる。 貿易業務などルーティンの外部委託先として可能性がある。 大消費地である中国に近い。 タイからベトナムへの陸路はつながってきている。 人件費に競争力がある。

ミャンマーは人口規模が大きく消費地として期待。

大消費地である。

拠点維持コストが高い。 建設費、人件費が高騰している。 需要量は小さい。

英語が通じる。 ハラル対応の拠点になり得る。

シンガポールに隣接するジョホールでは人材コストが高い。 国内取引は現地通貨で行わされる。 輸入代金の75%を現地通貨に換えるよう強制されナチュラルヘッジできない。

ASEANの産業・市場の中核で、産業集積も進む。 物流は整備されている。 完全雇用の状態で人材の取り合いになっている。

インフラはまだ不十分。特に交通事情は悪い。

ユーティリティコストは上がっていく見込み。

様々な手続きが非効率

英語が通じない、教育レベルが十分でない。 電気代が高く、治安が悪い。 原料も市場も製造業の産業集積も乏しい。 汚職が多く、中立を保つべき機関が中立を保っていない。 島が多くSCを構築が難しい。 共産主義国であり、政府見解が理解できないことが多く、事業進出・運営の難易度が高い。

※次ページ参照。

一旦中国に入れた資金を持ち出すのが難しい。

労働者の扱い、恩典の返し、税金(見なし課税)、用地の扱いなど撤退に困難が多い。

人件費は高騰している。

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チャイナ・プラス・ワン、タイ・プラス・ワンの動きを軸に、 ASEAN・中国一体となったサプライチェーン再構築の動きが見られる。大メコン圏開発はドライバーになり得る。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム ASEANと中国のつながり

中国

大消費地としては引き続き重要 生産拠点としては条件悪化

• 競争の激化• 人件費の高騰• 環境規制の強化• 政変リスクチャイナ・プラス・ワンの動き

中国の投資リスクを回避するため、隣接

するCLMやフィリピンに生産拠点を移転する動き

タイ・プラス・ワンの動き

タイは引き続き資本集約的な生産拠

点として残しつつ、労働集約的な工

程を周辺国に出し、サプライチェーン

の最適化を図る動き

フィリピン

産業集積に乏しく、島嶼国でSC構築も難しい。

タイ

ASEANの産業の中心• 完全雇用の状態で人材確保難• 人件費高騰

CLMV インフラ整備等に課題は多いが、将来的な発展が期待される。

ベトナム北部など期待は高い。

大メコン圏の開発

4大回廊を軸に、中国、タイ、CLMVを結ぶ大メコン圏(GMS; Greater Mekong Subregion)の開発が進展

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素材系企業の生産拠点としてはタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールの魅力

が大きい。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム ASEAN各国進出理由(生産拠点として)

基礎化学品

合成

● ● ● ● ●

樹脂・顔料● ● ● ●

合成ゴム ● ●

部材

消費財

インキ・塗料

コンパウンド

● ●

包装用フィルム・不織布● ●

ディスプレイ用

フィルム

日用品

食品素材(香料含む) ●

● ●

シンガポール マレーシア タイ インドネシア フィリピン ベトナム

製品類型

生産拠点進出国

配合

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CLMは経済発展が不十分で化学・素材系企業の直接の顧客は少ない。消費財市場としては重要で、多くの消費財企業は他のASEAN諸国から製品を輸出している。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム CLMの現状と課題

類型 CLMの現状と課題

合成

配合

部材

消費財

直接の顧客の進出はない。• 直接の顧客がいない。(合成ゴム)

インキ・塗料ではミャンマー、カンボジアに市場はあるが、法制度や規制に問題があり、まだ進出は難しい。• ミャンマーへの輸出を検討する話もあるが、米国輸出規制(EAR)でミャンマーは規制されており、違反すると米国企業と取引ができなくなるリスクがあるため、非常に慎重である。(インキ・塗料)

• ミャンマーでは提携を検討したこともあるが、ロイヤリティは認められておらず、法も未整備である。合弁を組むにも、自社の立場がどれだけ法

的に守られるか検討する必要がある。 (インキ・塗料)• カンボジアはこれからの事業展開の課題である。(インキ・塗料) コンパウンドの市場が生まれるのはまだ先。• CLMは市場として見るのはまだ先だろう。(コンパウンド)

インフラが未整備で直接の顧客の進出はない。• CLMはインフラが未整備で市場も小さい。インフラが整備され、市場も大きくなれば可能性は出てくるが、今はまだ選択肢には入らない。(包装用フィルム・不織布)

• CLMには直接の顧客は進出していない。大メコン圏(GMS)の国際陸送網が整備され、それに伴って経済が発展し、所得が向上して需要が増えれば可能性がある。(包装用フィルム・不織布)

CLMは市場として重要で、タイを中心とするASEAN近隣諸国から輸出して販売する。• CLMも重要市場。CLMは他のASEANからの輸出で賄えると考えている。(日用品)• CLMは輸出で対応する。市場規模が大きくなり、投資が見合うようになれば生産拠点構築もあり得る。(日用品) CLMはインフラが未整備で、生産拠点としてはまだ困難が多い。• CLMはモノの輸送、決済(回収)、収益の(日本への)引き上げなど担保ができず、今のところ考えにくい。(食品素材・香料)• CLMでは電気や水の供給がないか安定しないことが多い。(日用品)

CLMの重視が見られる類型

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中国の生産拠点は主として中国内需向けの位置づけ。

2 日系企業における戦略決定のメカニズム 中国の生産拠点の位置づけ

類型 中国生産拠点の位置づけ

合成

配合

部材

消費財

中国の生産拠点は主として中国内需向けである。• 進出したのは日系自動車メーカーが進出したためで、7割は現地で消費される。(コンパウンド)• 中国拠点は主として中国の顧客向けだが、日本のキャパシティが一時的に足りなくなった場合には、中国拠点から日本などに出荷することもあ

る。 (ディスプレイ用フィルム)• 中国内需向け。一部、日本やマレーシア向けの輸出もある。

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中国における自動車および電機・電子の産業集積は沿海部で発達。自動車は内陸部

へも進出している。

出所: JETROホームページ情報よりADL作成

2 中国の市場および産業の概況

自動車メーカーの主な進出地域 電機・電子メーカーの主な進出地域

四川・重

湖北

広東・

福建

上海・

江蘇・

浙江

吉林

北京・

天津・

河北

上海・江

蘇・浙江

・安徽

北京・遼寧・

天津・山東・

河北

広東・

福建

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合成の生産拠点は原料立地で、上海周辺、広東省に少数見られる。配合の生産拠点

は自動車、電機・電子等の顧客に合わせた顧客立地。

合成 配合

2 中国の市場および産業の概況 日系企業の生産拠点

出所:二次情報よりADL作成。

合成の生産拠点は主として、上海周辺、広東省。 石化コンビナート、整備された港湾に近い原料立地。 川下製品の原料になるため、各地への供給に地の利のある立地 投資規模が大きく、リスクも大きいため、進出数は比較的少ない。

配合は自動車、電機・電子等の顧客に合わせた顧客立地。 配合は顧客ニーズに合わせたカスタマイズと迅速なデリバーリーサービス提供のため、比較的広範囲に進出。

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部材の生産拠点は顧客立地で江蘇省、広東省に集中。消費財の生産拠点は消費立

地で、大消費地である華東地域、広東省に集中。

部材 消費財

2 中国の市場および産業の概況 日系企業の生産拠点

出所:二次情報よりADL作成。

部材は電機・電子、包材等の顧客立地で、江蘇省、広東省に進出が集中。

消費財は大消費地である上海周辺、広東省に進出が集中。 上海など華東地域は中国北部、西部、南部への供給にも地の利がある。

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中国への外資の投資目的は、加工貿易の輸出基地から中国国内の巨大市場での

シェア獲得に転換。三大産業集積に加え内陸部でも産業集積は進んでいる。

中国の産業集積

2 中国の市場および産業の概況

出所:肖金成ほか編著「中国十大城市群」「中国丸ごと百科事典」、瀬口清之「中国の経済発展方式の転換と産業集積の形成」 http://www.canon-igs.org/research_papers/pdf/100723.pdf よりADL作成・抜粋。

外資企業の

投資目的の転換

産業集積の拡大

内陸部における

産業集積形成がもたらす

労働市場への影響

05年以降、中国の経済発展方式が内需主導型へと転換し始めた。 外資による投資も、加工貿易の輸出基地建設のための投資から、中国国内の巨大市場の市場シェア獲得を主目的とした投資へと転換した。

09年以降、①環渤海経済圏、②長江デルタ、③珠海デルタという旧来からの三大産業集積に加え、内陸にも新興産業集積の計画が急増した。

背景には4兆元の経済刺激策があった。ただし、財政支出の増加のみでは産業集積は形成されない。 立地として、ある程度の経済力、一定水準以上の労働力の蓄積、交通物流インフラ建設が必要。 立地条件が整い、新たな企業誘致を実現して初めて産業集積につながる。

内陸での産業集積が進むと、農民が沿海部に出稼ぎに行く必要がなくなり、沿海部の労働需給がタイト化し人件費が高騰する。

結果、低賃金労働に依存する加工貿易は沿海部から内陸部へ工場移転が進むなどして、また内陸部での産業集積が進む。

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1 政策・産業動向

2 企業戦略

3 関税・非関税障壁

4 課題・政策示唆

5 参考資料

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自動車サプライチェーン川上では、ASEAN全域でHS Codeや移転価格税制の解釈の相違、タイでは化学物質管理や情報開示、インドネシアでは法の透明な運用が課題。

3 自動車分野における関税・非関税障壁 ASEAN

ASEAN全域

インド

ネシ

タイ

ASEANにおける完成車の輸入関税撤廃

高速道路が1本しかなく、都市間輸送に課題がある。 排ガス対策として車両のナンバー規制を開始。

大都市では渋滞のため交通規制が実施され、配送に通常より時間がかかる。

部材・部品 アセンブリ配合合成

HS Codeは明確に決められているが、関税の高い他製品と解釈されてしまうことがある。

税関対応

法律・制度の運用が属人的。 税関対応が不合理かつ非効率。 急な関税引き上げがあった。 汚職対策が厳しくなり、かえって通関手続きが滞っている。 各州各市で税務当局の見解が異なる ロイヤリティの損金算入が否認される

税関対応

担当官によって対応が異なる。

移転価格税制が厳しくなっており、当局との解釈の違いから係争も生じている。

化学物質管理

日本の化審法に似た制度が進められているが、細部が決まっておらずインベントリ登録の際に混乱があった。

新規成分の許認可にネガティブで時間と労力を要する。

関税に起因

規制に起因

運用に起因

その他に起因

機構部品、

内外装材、タイヤ等

自動車コンパウンド樹脂・合成ゴム

通関の際に100%の情報開示を求められる。秘密情報は政府のみに報告する制度はあるが、担当官が少なく、処理が滞る。

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中国の自動車サプライチェーン川上では危険化学品登記制度の本格化や大気汚染

等防止のための環境規制の強化により操業や調達のリスクが高まっている。

3 自動車分野における関税・非関税障壁 中国

中国

燃費規制 排ガス規制

部材・部品 アセンブリ配合合成

税関対応

税関で貨物を止められる。 HS Codeの解釈の不一致。化学物質管理規制

化学物質管理規則がよく変わる

危険物質管理規制

危険化学品登記制度が本格化しつつあり、ビジネスできなくなるリスクが高まっている 中国内での試験データを求められる。

環境規制

石炭ボイラー停止や排水規制で生産できなくなるリスクがある。

急な規制変更や解釈変更がある。 担当官によって判断が異なる。

関税に起因

規制に起因

運用に起因

その他に起因

機構部品、

内外装材、タイヤ等

自動車コンパウンド、塗料樹脂、合成ゴム、顔料

法律上、開示が不要にもかかわらず、内容物の開示を求められる。

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ASEAN・中国における食品包装材の規制は未制定だが、素材メーカーは川下顧客であるコンバータによる安全・衛生面での要求水準を満たす必要がある。

3 食品包装分野における関税・非関税障壁

部材 コンバーティング配合合成

関税に起因

規制に起因

運用に起因

その他に起因

ASEANフィルム 包材コンパウンド、インキ樹脂、顔料

顔料・インキ製造許認可

排水・着色・溶剤の臭い等のため許認可の取得が非常に難しい。フードコンタクト・マテリアル規制

ASEANではまだフードコンタクト・マテリアルの規制は整備さ

れていない。

最終製品である加工食品はグローバルでどこに出荷される

かわからないため、コンバータ

ーはFDA基準を満たしているかを重視する。

タイ

通関

通関の際に秘密情報である組成の開示を求められる。 秘密情報の保護のためコンサルテーションシステムを利用すると確認に2-3か月を要し、迅速なビジネスができない。

中国はフードコンタクト・マテリアルの規制を整備しようとして

いる。

中国

顔料・インキ製造許認可

排水・着色・溶剤の臭い等のため許認可の取得が非常に難しい。

環境規制

サプライヤーの工場稼働停止命令により原料調達に支障が生じる可能性がある。 2016年9月にG20が杭州で行われた際、一律に工場の稼働調整、生産停止を強いられた。 工場周辺が市街地化し、臭いや騒音を理由に生産の締め付けが行われるようになり、工場移転を余儀なくされる。

危険化学品登記制度が本格化し、運用によってはビジネスができなくなるリスクがある。

関税

中国から日本への輸入の関税は0%だが、日本から中国への輸入は10%であり、関税障壁がある。

税関

検験検疫局(CIQ, China Inspection & Quarantine Services)の抜き打ち検査で、衛生のための密封が破られ、コンテナ分の製品が

売り物にならなくなってしまった。

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ASEANにおいて食品・食品添加物の規制は統一されておらず、地域で強い地場メーカーの活動を中心に規制が作られており、参入障壁となっている。

3 食品素材分野における関税・非関税障壁

関税に起因

規制に起因

運用に起因

その他に起因

ASEAN全域

配合発酵・合成

調味料食品成分、食品添加物

タイ

オセアニアへの輸出

酪農国であるオーストラリア、ニュージーランドへの輸出は原料の安全性の証明を厳しく求められる。

ASEANとオーストラリア、ニュージーランドはハラルのつながりがあり、最終的にオセアニアに製品が納められる場合、オセアニアか

らの要求に応えるために、アセアン諸国からも安全性証明の対応

を求められる。

食品素材の認可

食品素材は製品ごとに認可が必要。既存原料の新たな組み合わせの場合でも申請が必要。申請から認可まで2-3年を要することもある。通関

通関の際に秘密情報である組成の開示を求められる。 秘密情報の保護のためコンサルテーションシステムを利用すると確認に2-3か月を要し、迅速なビジネスができない。

ハラル対応

イスラム圏向けの販売ではハラル認証を取得する必要がある。 マレーシア、インドネシアがハラル対応拠点として適する。

食品/食品添加物規格 規制はその地域で強い地場メーカーの活動を中心にして各地域で異なる規制が作られており、参入障壁となっている。 食品添加物にはJECFA (FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives; FAO/WHO合同食品添加物専門家会)の国際基準があるが、現状、効力があるというよりはリファレンスにとどまっている。

ASEAN域内で食品の規制を統一していこうとする動きはある。

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中国では中国企業の申請に基づき作られた国家標準GB、検験検疫局CIQによる衛生証明の発行の遅延が輸入品食品素材にとっての障壁となっている。

3 食品素材分野における関税・非関税障壁

関税に起因

規制に起因

運用に起因

その他に起因

中国

配合発酵・合成

調味料食品成分、食品添加物

技術流出

技術、ノウハウの流出を避けなければならない。 重要な配合は日本で行い輸出する。

賞味期限

賞味期限が半年の製品が多く、過剰在庫すると販売できなくなる。

法律

中国では法律が明確でない場合があり、一つ一つ確認しながら進める必要がある。

通関

CIQによる衛生証明の発行に1か月かかることもあり、その間、販売ができず、ビジネスロスにつながる。

食品衛生法、国家標準GB 食品素材の規制として中国国家基準GBがある。GBに設定がない食品素材や、標準に合致しない製品の輸入は食品衛生法上、難しい。 国家標準がないものでも、企業標準というものがあり、これがあれば、まだ輸入はしやすかったが、食品衛生法が厳格になり、GBがないと輸入が難しくなった。

中国国家標準GBの基準は中国企業の申請に基づいて決められているため、JECFAのグローバルな基準とズレている。

注:中国国家標準の略称国標Guobiaoの頭文字を取ってGBとも呼ばれる。CIQは検験検疫局(China Inspection & Quarantine Services) 。

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タイでは1992年制定の有害物質法で化学物質管理を規定。2016年末を期限として既存物質インベントリ作成のための届出が行われた。最終リストは2017年に完成見込。

タイの化学物質管理規制

3 各国の関税・非関税障壁の現状 タイの化学物質管理規制

出所:各種二次情報よりADL作成

有害物質法 (工業省 Ministry of Industry (MOI) 工場局 Department of Industrial Works (DIW)) 1992年制定 既存物質インベントリ

2016年8月第一次リスト (Thailand National Chemical Inventory) 公開、2017年最終リスト作成既存物質インベントリは次から作成される

• 工場局(DIW)のデータベースに収載されている物質• 2014年-2016年に輸入された化学物質• 2016年12月31日までに届出されたリストに収載されている物質(※2016年12月31日までに届出されない物質は新規物質として扱われる)

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化学物質管理規制は東南アジアで統一されておらず、企業の機会損失につながる場

合もある。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 化学物質管理規制

ASEANの関税・非関税障壁の現状

化学物質

管理規制

【ASEAN全域】化学物質管理規制が東南アジアで統一されておらず、確認に手間がかかり、機会損失につながる場合もある。

• 化学物質管理規制は東南アジアで統一されていない。タイだけ日本の化審法に似た制度になっても、国ごとに対応が違うのでは困る。ASEAN全地域に日本が影響を与えられるなら意義がある。(コンパウンド)

• 新材料のサンプルを顧客に求められた際に、原料1つ1つが現地の規制に合致しているか確認する必要がある。できるだけ、どこでも使えるような原料を使うようにしているが、場合によっては規制上出せなかったり、確認に手間取ることがある。そうすると顧客には、もう要らないと言われてしまう。(コンパウンド)

【シンガポール】

シンガポールの化学物質規制は各国と調和がとれており、あまり問題にならない。

• シンガポールの化学物質管理規制はREACHや他国の化学物質管理規制と調和がとれており、問題になることはあまりない。(コンパウンド)【タイ】

タイでは新規化学物質届出制度を構築中だが、方向性が定まっていない。

• タイにおいて日本の化審法の様な新規化学物質届出制度を構築中であり、事業者は既存化学物質リストへの登録等、新法への対応が必要となって

きている。当局の口頭による基準に則って対応せざるを得ず、度々ルールが変更されるので混乱している。(コンパウンド)• タイでは日本の化審法に似た制度が進められているが、細部が定まっておらず混乱があった。(インキ・塗料)• タイの化学物質管理規制は右往左往している印象で、今は様子見をしている。(コンパウンド)• タイ当局は新規成分の許認可にネガティブで時間と労力を要する。化学物質管理規制にはポジティブリストの場合とネガティブリストの場合がある。ポ

ジティブリストの場合、新規登録が難しい。日本のデータが認められるようにしてほしい。(日用品)

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タイでは排気ガス中の微粒子の規制は厳しくなっている。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 環境規制

ASEANの関税・非関税障壁の現状

環境規制

【タイ】

タイでは排気ガス中の微粒子の規制は厳しくなっている。

• タイで、排気ガス中の微粒子の基準は国と工業団地で異なり、工業団地の基準の方が厳しい。2-3年前から規制は厳しくなっており、対応に苦慮している。 (プラスチック成型品)

タイではプラスチック製品の廃棄物であるチャンクは買い手がすぐ見つかり、先進国より処理は楽。

• ブラスチック製品のため、チャンクは必ず発生してしまうが、タイでは引き取り手がおり、売却している。先進国では引き取り手はいない。(プラスチック成型品)

【フィリピン】

フィリピンでは登録のない物質は輸入者の登録が必要で、登録した輸入者を通して輸入する必要がある。

• フィリピンでは登録がない物質は輸入者を決めて登録をする必要があり、輸入に際しては登録されたその輸入者を通す必要がある。 ASEANの中ではフィリピンが環境規制は一番厳しいが、フィリピンは市場が小さくインパクトは小さい。(コンパウンド)

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ASEAN・中国で関税障壁が少なくなる中、日本製品だけ関税がかかる状況になっている。また、HS Codeの解釈や改定適用タイミングの相違は課題である。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

ASEANの関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

【ASEAN全域】ASEAN、中国で関税障壁が少なくなる中、日本だけ関税がかかる状況になっている。• ASEAN域内では関税撤廃、中国は依然発展途上国扱いで優遇、中国とASEANは障壁なし、といった中で、日本だけ関税がかかる状況となっている。日本を優遇してくれとまでは言わないが、公平で対等な関税システムにしてほしい。 (包装用フィルム・不織布)

関税率の高いHS Codeが適用されることがある。• HS Codeは明確に分けて決められているが、関税率の高い他製品と解釈されてしまうことがある。(コンパウンド)• HS Codeの解釈が当局と異なることは起きている。(日用品)HS Code改定時に適用タイミングが各国で異なり、書類の準備の遅れ、通関の遅延につながる場合がある。• HS Code 2017がいくつかの国で適用になったが、適用開始日が統一されておらず、国によって異なる。国によっては、必要な情報が明確に公表されない。その結果、書類の不備、荷受人と税関との間の解釈の違いなどにより、書類準備が遅れる。例えば、シンガポールでHS CodeとしてAが適用されても、別の国ではHS Code Bが使われる。輸出国側はあまり気にしないが、特にFTAを結んでいる輸入国側では関税が変わってくるため、厳しく見ることがある。対策として、HS CodeのAとBを両方記載している。(コンパウンド)

石油化学品ではASEANはブロック経済化してきている。• ASEANはASEANで完結し、ブロック化してきている印象がある。タイの大手石化メーカーであるPTTやSiamはコスト競争力では中東と戦えないことはわかっており、ASEAN域内での関税の優位性を活かして戦おうとしている。韓国のロッテもマレーシアに投資し、ASEANで生産して、ASEANで販売する方針のようだ。(基礎化学品)

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シンガポールは貿易の障害が少ない。FTA Form申請の手続きの厳格さや通関業者のプラットフォームの違いによる煩雑さには改善の余地はある。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

ASEANの関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

【シンガポール】

シンガポールでは入港から輸入通関、納品まで早いと1日しかかからずスムーズだが、港での留置き3日目以降は港保管料が発生する。

• シンガポールでは早い場合には通関から納品まで1日しかかからない。土地代が高いため、港から1-2日で搬出しないと、港保管料が発生してしまう。(日用品)

• シンガポールでは入港から通関、納品まで早ければ3日である。港は24時間365日オープンしており、通関に支障はない。港には9日間までは留置きできるが、3日目以降は費用が発生する。(食品素材)

• シンガポールでは、FCLの場合、入港後12-24時間以内に貨物は港におろされ、入港から工場納品まで1-2日程度しかかからない。7日以内にシンガポール港から引取りが必要。3日目以降、港保管料がかかる。LCL貨物は通常Keppel Distriparkでデバンニングされる。デバンニング後3日以内には貨物を受け取ることができる。(コンパウンド)

シンガポールはFTA締結国が多く、関税フリーが多い。• シンガポールは既に多くの国とFTAを結んでいるため、東アジア地域包括的経済連携RCEPの成否はあまり影響がない。(コンパウンド)• シンガポールは多くの国とFTAを結んでおり、関税がかからないことが多い。(日用品)シンガポールのFTA Form申請は手続きが厳格。• シンガポールではFTA Formを申請する際に、申請者名や会社名がB/L、Packing List等と違っていると、全く受け付けてもらえず、手続きが止まってしまう(合成ゴム)シンガポールでも、通関業者のプラットフォームは異なり、書類の追跡は煩雑で時間を要する。

• シンガポールでも、輸出者が複数の異なる通関業者を指定するため、書類の追跡が複雑になり、時間を要する。業者によってプラットフォームが異なり

標準化されていない。連携やデータ共有に問題がある。業者の対応も属人的なところがあり、担当者が変わると対応が変わる。(コンパウンド)

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タイでは輸入時に全成分開示を求められる。政府のみに報告する制度は担当官が不

足し、2-3か月を要するため、配合を開示したくない企業にとっては大きな障壁である。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

ASEANの関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

【タイ】

タイでは入港から通関、工場到着までの所要日数は、通常、2-3日。書類不備などがあると1週間程度遅れることがある。• タイでは入港から通関、工場到着まで2-3日。書類に不備があった場合には3-7日遅れることがある。(プラスチック成型品)• タイでは入港、通関、工場納品までは2-3日程度。(食品素材)タイでは輸入の際に全成分の開示を求められる。

• タイでは、通関の際に100%の情報開示を求められる。秘密情報は政府(DIW; Department of Industrial Works)にのみ報告する制度もあるが、扱える担当官が2-3名しかおらず、確認に2、3か月を要し、処理が滞ってしまう問題がある。(コンパウンド、インキ・塗料)

• タイでは第三者には見せたくない成分も全開示を求められる。(食品素材)• タイでは輸入の際に成分の全開示が求められるが、できるだけ開示はしたくない。コンパウンドは混ぜ物で、その配合はconfidentialである。(コンパウンド)

タイから日本、インドネシアへの輸出の手続きには1、2週間かかる。輸出申告書EDが必要。• タイからの輸出手続きには日本、インドネシア向けで7-14日かかる。税金の還付には1か月かかる。(プラスチック成型品)• タイでは輸出品にもED(Export Declaration) 輸出申告書が必要。(インキ・塗料)タイでも担当官による対応の違いは見られる。

• タイでは担当官によって対応が全く異なる。(コンパウンド)

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インドネシアでは通関の運用が属人的、不合理、非効率であり、改善を要する。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

ASEANの関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

【インドネシア】

インドネシアでは輸入企業のステータスによって通関手続きの簡易度に差がある。

• インドネシアでは当局により企業のステータスがレッドカード、イエローカード、グリーンカードに分類されており、通関手続きの簡易度に差がある。新規

で輸入を始めた企業はレッドカードに分類され、輸入通関に7日程度を要する。1年間はレッドカードで下積みが必要で、イエローカード、グリーンカードへステータスが変わるかは当局次第。企業努力次第だが、5年も輸入を続けていれば、グリーンカードになる。グリーンカード企業は輸入通関に1日ほどしかかからない。顧客がどのステータスかは明示されているわけではなく、輸入通関手続きの簡素化度合によってわかる。(プラスチック成型品)

インドネシアでは通関の運用が属人的、不合理、非効率である。

• インドネシアはルールがわかりにくく、もっと透明化してほしい。特定原産地証明書(Form A)に不備があると、文句をつけられて、特恵がなかなか認められないことがある。(基礎化学品)

• インドネシアでは担当官によって対応が全く異なる。(コンパウンド)• インドネシアは税関制度が不合理かつ非効率である。オープン・ポリシーの保険でも、保険証書のハードコピーを求められる。(消費財関連素材)• インドネシアでは汚職対策が厳しくなり、かえって通関手続きが滞っている。

• インドネシアでは、2010-2011年頃急にバックデートで関税が0%から5%に引き上げられ、貨物が調達できない事態が起きた。(コンパウンド)• インドネシアはできるだけ多く関税を取ろうとする。担当者によって対応が異なったり、意地悪をされているのかと思うほど不合理な対応がある。(コンパウンド)

• インドネシアは中国からの関税がゼロである。「自国を守らないと中国に席巻されてしまう」「インドネシア内の企業を守ってくれないと困る」と言っても政

府は一切動かない。(基礎化学品)

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後発国のフィリピンやベトナム、ミャンマーの輸入通関は不合理さがある。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

ASEANの関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

【フィリピン】

フィリピンの輸入通関は所要日数が読めない。

• フィリピンでは通関・納品に何日かかるかわからない。渋滞もひどい。(食品素材)【ベトナム】

ベトナムの税関の対応は属人的、不合理である。

• ベトナムはできるだけ多く関税を取ろうとする。担当者によって対応が異なったり、意地悪をされているのかと思うほど不合理な対応がある。(コンパウンド)

• ベトナムではEPE(輸出加工企業)のインセンティブを取得している日系企業が多いが、その申請はややこしく、輸入と輸出がバランスしていないと追徴課税の対象となってしまうため、その対応に巻き込まれることが多い。(コンパウンド)

【ミャンマー】

ミャンマーでは輸入時に見なし法人税2%が徴取され、仮に利益が出なくても還付されない。• ミャンマーでは税法がいい加減で、輸入する際に見なし法人税2%を徴収され、利益が出なくても還付されない。(基礎化学品)

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ASEANではパレット物流の未浸透、コンテナ不足、首都圏の渋滞、国際陸送網の未整備が課題。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 物流

ASEANの関税・非関税障壁の現状

物流

【ASEAN全域】ASEANではパレット物流が浸透していない。• 日本ではパレット流通だが、アジアでは直積みで運転手が1個1個運んでおり、効率が悪い。アジアも早晩パレット流通になると思うが、そうなれば、コンテナにすっと入り、物流効率が上がる。(日用品)

ASEANではコンテナが不足している。• コンテナの不足は東南アジアの主要課題の一つではないか。 (食品素材)• コンテナ不足により出荷ができなかったり、追加コストがかかったりする。船会社の破たんや再編は多くの懸念を生み、先行きが不透明になった。(コンパウンド)

改定SOLAS条約で定められたコンテナ総重量の測定方法の対応が国、輸送業者、港湾により異なる。• 2016年7月改正SOLAS条約(Safety of Life at Sea, 海上における人命の安全のための国際条約)において、コンテナの荷崩れ等の事故を防止するためにコンテナの総重量の確定方法が定められた。しかし、実施方法が国、輸送業者、港湾によって異なっている。(コンパウンド)

ASEAN各国首都圏の渋滞はひどく、物流に影響がある。• バンコク、ジャカルタ、ハノイ、ホーチミンとも、渋滞のため交通規制が実施され、課題となっている。(日用品)• フィリピンでは渋滞がひどい。(食品素材)メコン圏の陸路のうちタイからベトナムまではつながってきている。ミャンマーはまだインフラが整っていない。

• タイからベトナムへの陸路はつながってきているが、ミャンマーはまだインフラが整っていない。(基礎化学品)【インドネシア】

インドネシアの輸送インフラには依然課題が多く、物流への影響も大きい。

• インドネシアは高速道路が1本しかなく、都市間輸送に課題がある。また、島が多く、船での輸送が必要になる。(日用品)• ジャカルタの対象道路では隔日で偶奇どちらかのナンバーの車しか入れない。 (日用品)• インドネシアは元々輸出国であり、入ってくるコンテナより出ていくコンテナの方が多く、コンテナが不足している。インドネシアは自国保護のため輸入を

したがらない傾向にある。(食品素材)

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ASEANでは移転価格税制の厳格化により係争が生じている。また、法解釈の問い合わせ窓口が企業にとって不明な場合がある。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 政府・制度・運用

ASEANの関税・非関税障壁の現状

政府・制度

・運用等

【ASEAN全域】ASEANでは移転価格税制が厳格化し、係争も生じている。• ASEAN全体で移転価格税制が厳しくなっており、当局との解釈の違いから、係争も生じている。(日用品)法規制の解釈を明確にするための窓口が不明な場合がある。

• 新しい規制への懸念を相談したり、不明点を明確にするために相談したりするコミュニケーションの窓口を設立するのをサポートしていただけると助か

る。 (コンパウンド)【シンガポール】

シンガポールのRHQ(Regional Headquarters)優遇制度は大企業向け。• シンガポールのRHQ優遇制度は使い勝手が悪く、期待していない。RHQの優遇税制はシンガポールにもタイにもある。シンガポールのRHQ優遇制度では総賃金の上昇率の閾値が設けられており、そのハードルが高い。大手企業の大規模な拠点にはよいが、少人数で運営している場合にはハードル

が高く、期待していない。(コンパウンド)【マレーシア】

マレーシアでは輸入代金の現地通貨への換金を強制され、ナチュラルヘッジはできない。

• マレーシアでは2016年12月から、輸入代金が銀行口座に入金されたら、その75%を現地通貨に換えることを強制されるようになった。貿易用口座と投資用口座を分けて、輸入代金は貿易用口座に入金するように言われる。支払い時には再度、外貨に戻す必要がある。当然、コストがかかり、実損が

出るため、各企業、不満を抱えている。(食品素材)

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インドネシアの法律・制度の運用は属人的で非効率、不合理との声が多い。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 政府・制度・運用

ASEANの関税・非関税障壁の現状

政府・制度

・運用等

【タイ】

タイでは繰越欠損金の考え方が歳入局とBOIで異なり、最高裁まで争って歳入局の見解が認められた。• タイで、歳入局とBOIで繰越欠損金の考え方が異なり、最高裁まで争い、歳入局の見解が認められた。仮にBOIを信じて対応していたら損害が出ていただろう。(プラスチック成型品)

【インドネシア】

インドネシアの法律・制度の運用は属人的で非効率、不合理である。

• インドネシアの法律の運用は属人的である。(日用品)• インドネシアなどの発展途上の国では役人によって異なるルール解釈がなされることもある。(コンパウンド)• インドネシアなどは事務所を建てるだけで1年半もかかった。(消費財関連素材)• インドネシアは官僚機構が弱く、ロビー活動の効果はなく、ロビー活動をしたことはない。(基礎化学品)• インドネシアでは各州各市で税務当局の見解が異なり困る。(消費財関連素材)• インドネシアの税務当局にロイヤルティの損金算入が否認されることがある。(コンパウンド)• インドネシアでは、税金の還付に1年以上かかり、満額返ってこないこともある。また、金利が支払われないこともある。(包装用フィルム・不織布)• インドネシアでは汚職は多く、トラブルも多い。日本人はタッチするなと言われる部分もあった。法体系はあっても場所によって運用が異なっている。(日用品)

• インドネシアでは現大統領が就任して1年経過したあたりから汚職対策は厳しくなってきている。役人にうまみがなくなったために手続きを引き延ばし、

進めてくれなくなり、かえって通関に時間がかかっている。通関手続きを1-2週間進めてくれないなど、露骨に嫌がらせをされることもある。(日用品)インドネシアでは委託加工のビジネスモデルは制限される。

• インドネシアでは委託加工のビジネスモデルに制限があり、外資規制のある商社を作る必要がある。(コンパウンド)

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ベトナムの頻繁な法規制の変更、フィリピンの汚職、CLMの法律調査の困難さは課題である。

3 ASEANの関税・非関税障壁の現状 政府・制度・運用

ASEANの関税・非関税障壁の現状

政府・制度

・運用等

【ベトナム】

ベトナムでは法律・規制の変更は頻繁で、政府見解が理解できないこともあり、事業運営の難易度も高い。

• ベトナムでは法律・規制が頻繁に変わり、必要書類も変わる。現地の大手コンサルを利用しているが、言うことがコロコロ変わり、その度にコストがか

かる。ベトナムではベトナム語での申請が求められ、代行業者を使っている。(コンパウンド)• ベトナムは他の国とは別格で事業進出・運営の難易度が高い。共産主義国であり、政府見解が理解できないことが多い。(コンパウンド)【フィリピン】

フィリピンは汚職が多い。

• フィリピンは汚職が多く、中立を保つべき機関が中立を保ってくれない。職員の給与体系が賄賂収入がある前提で成り立っている印象。(日用品)【CLM】CLMなど後発国の法律を調べるのは大変。• CLMなどの後発国の法律を調べるのが大変。現地販売店に現地行政当局とやり取りしてもらうこともある。わからないときには輸出をしてみて、通関できれば問題ないとすることもある。(食品素材)

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危険化学品安全管理条例(国務院令第591号) 2011年2月16日公布、2011年12月1日施行

危険化学品目録(2015年版) 2015年5月1日施行• 中国では危険化学品管理について目録管理制度を導入

• 目録の対象物質は行政許可等の手段で重点管理 化学品物理危険性鑑定・分類管理便法 (国家安全生産監督管理総局第60号令)

• 混合物・目録未収載の危険化学品は関連法規の基づき鑑定

• 物理危険性鑑定は国が指定する機関に委託 危険化学品登記管理弁法 (国家安全生産監督管理総局第50号令) 2012年7月1日公布、2012年8月1日施行

• 危険化学品と分類された物質は登記が必要

中国では新化学物質環境管理弁法で新規化学物質の製造輸入前申告制度を規定、

危険化学品安全管理条例で危険化学品の登記制度を規定。

中国の化学物質管理規制 中国の危険化学品規制

3 各国の関税・非関税障壁の現状 中国の化学物質管理規制

出所:各種二次情報よりADL作成

新化学物質環境管理弁法 (環境保護部) 2010年1月19日改正公布、2010年10月15日施行

• 新規化学物質の製造輸入前申告制度• 生体毒性試験は中国国内で中国の供試生物を用いて実施したデータが必須

• 少量免除、試験研究用と免除規定がない

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中国の新規化学物質登録制度は、日本で実施した土壌分解試験・毒性試験の認定や

少量免除規定があると、日系企業にとって対応しやすい。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 化学物質管理規制

中国の関税・非関税障壁の現状

化学物質

管理規制

中国では新規化学物質の登録には最低2か月はかかる。• 新規化学物質の登録には最低2か月はかかる。モノによっては3-5か月かかることもある。(コンパウンド)• 自動車向けの樹脂コンパウンドでハナグスリとして入れている物質が、日本では登録があるが、中国では登録がない、といった事態が判明することが

ある。何が登録されていないか、見逃すことがある。そういった場合、申告ベースであるため、ロビー活動が必要になる。川下顧客である自動車会社

のラインを止めるわけにはいかない。(コンパウンド)中国には新規化学物質登録には少量免除規定はない。

• 新規化学物質登録では少量免除規定がなく、R&D用の1gの製品であっても届出・申告が必要。数量・用途により届出免除としてほしい。(コンパウンド)中国での新規化学物質登録では土壌分解試験と毒性試験は中国国内の実験室で行う必要がある。

• 新規化学物質の登録において、土壌分解試験と魚での毒性試験は中国の実験室で実験をする必要があり、これには1年かかる。(コンパウンド)

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中国の環境規制強化に伴い、企業はサプライヤーの稼働停止による調達難やコスト

増、生産拠点の移転を余儀なくされる。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 環境規制

中国の関税・非関税障壁の現状

環境規制

中国の環境規制強化に伴い、サプライヤーの稼働停止による調達難やコスト増、生産拠点の移転を余儀なくされる。

• 中国の原料調達において、環境規制の問題が顕在化しつつある。(インキ・塗料)• 中国における環境規制は自社では問題にならないが、原料サプライヤーが排水規制で生産できなくなるリスクはある。(日用品)• 地方当局が大気汚染対策として石炭ボイラーを停止させるために、サプライヤーの工場でシャットダウンを強制される可能性がある。今後対策が必

要かもしれない。(コンパウンド)• 中国では環境不適応な製法で製造しているサプライヤーがおり、環境規制のために操業を止められる事態になっている。その結果、需給がタイトに

なり、価格が上昇してしまう。中国から直接買わないとしても、市況価格が上昇するため、コストの上昇につながってしまう。(コンパウンド)• 中国では、近年、環境規制が厳しくなってきており、生産拠点として軽々しくは進出できない状況である。(包装用フィルム・不織布)• 化学品はオーソライズされた工業区以外では生産はできないが、国や省ではなく、区で許可された生産拠点であり、今後、生産不許可により追い出さ

れる可能性がある。以前、地方政府が許可したことを、中央政府が不許可とし、不整合が起きている。今のところ対応はできているが、安全なところに

移転する準備を進めている。(インキ・塗料)• 蘇州周辺では臭いが原因で操業を止められた企業もあると聞く。学校に近いなど、工場周辺の環境によってはそういうこともある。(コンパウンド)• PM2.5対策として政府にとって最も簡単な管理方法は工場を一斉に稼働停止するよう命令することである。環境汚染をしていないと調査・認定をして選んだサプライヤーも一律に稼働停止を命じられてしまい困った。(コンパウンド)

• 中国政府による環境規制は厳しくなり、それに対応できる体力のある企業は限られているため、企業の淘汰が進んでいる。(食品素材)• 排ガスの微粒子の規制は中国国家、上海市、工業園区で異なっている。基準値が合理的でなく、また、他社より厳しい規制値が適用され不公平であ

る。(コンパウンド)• 工場の周りに次第にマンションなどが建ち、工業地に立っていたはずがいつの間にか市街地化し、移転を余儀なくされる。(消費財関連素材)

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危険化学品登記制度の本格化が進み、対応での混乱や事業への支障が懸念される。

上海では産業廃棄物処理業者が2社しかおらず、処理能力が不足している。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 危険物質管理規制・産業廃棄物

中国の関税・非関税障壁の現状

危険物質

管理規制

危険化学品登記制度の本格化が進み、対応での混乱や事業への支障が懸念される。

• 中国では危険化学品登記の制度が本格化しつつあり、ビジネスができなくなるリスクが高まっている。中国ではよく、制度はあるが実際は運用されて

いないことがあるが、この制度は国務院の通達が出て管理はどの局が行うか指定された上、18年3月までにここまで成果を出し、19年9月に完了といった実行計画まで出されており、本格化している。(インキ・塗料)

• 中国当局により、高度危険化学品の取扱ガイドラインが設けられ、厳重管理が求められる方向で検討が進められている。中国は外資に厳しく、内資

に優しいところがあるが、きちっと管理されることで不公平感がなくなる。杓子定規な厳格な運用では物事が動かなくなる恐れもあるため、現場の効率

性を落とさない運用をお願いしたい。(日用品)• 危険化学品登記の鑑定制度では、鑑定対象が多く、現場での混乱が想定される。広範囲に適用される鑑定免除ガイドラインを希望。鑑定用物化性

データを国外で取る場合、GLP認定試験所となっているが、日本では消防法用データであり、該当する試験所は限られる。データ取得が二度手間とならぬ配慮がほしい。新規化学物質登記等の他の制度と整合性のある少量免除やポリマー免除の規定を設けて欲しい。(コンパウンド)

• 中国以外では、危険物新規登録に際し、日本で試験したデータが認められるが、中国では中国の生物を使ってテストしなければならないとの理由で、

中国内でテストしなければならず、取得時間がかかる上に中国でコストを支払わなければならない。(ディスプレイ用フィルム)危険化学品経営許可書の取得は製品ごとに必要で2か月はかかる。• 危険化学品経営許可書では製品ごとに取扱の許可が必要。すべて事前申請であり、登録までに2か月はかかる。類別ではなく商品ごとに登録が必要。危険品が増えており、経営許可書に登録のない製品では、登録に2か月以上かかるため、商売のチャンスをなくす恐れがある。(コンパウンド)

危険品は指定化学品保管倉庫でないと保管できない。

• 危険品は指定化学品保管倉庫でないと保管できない。自社に専用倉庫を設けるか、中国当局に認定された倉庫に保管する。定期的に当局から監査

される。(コンパウンド)• 自社倉庫を持つフォワーダーが中国内で危険物取り扱いの認証を受け、しっかり管理していることが必要になる。(ディスプレイ用フィルム)

産業

廃棄物

上海では産業廃棄物処理業者が2社しかおらず、処理能力が不足している。• 産業廃棄物は省をまたがって処理することは許されていない。上海で生じた産業廃棄物は上海で処理する必要がある。上海には産業廃棄物の処理

ができる会社は2社しかいない。これらはフル稼働しており、新規の契約はしない。(コンパウンド)• 廃棄業者の審査が厳しくなっており、今まで通り、危険物の廃棄物を引き取ってくれない場合がある。処理業者を探すしかない。(コンパウンド)

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中国の通関では高い輸入価格の指定、本来不要なラベル貼付対応の要求、検査によ

る損失、急な燻蒸の要求、HS Codeの不一致などが問題になることがある。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 輸出入通関

中国の関税・非関税障壁の現状

輸出入

通関

輸入通関から納品までにかかる日数は3日から1週間程度。初めて輸入する製品や抽出検査があると、倍かかる場合もある。• 通関から工場納品までにかかる時間は、航空便の場合、3日間、上海港では5日間、工場最寄りの港では3日間ほど。検験検疫局(CIQ)による抽出検査が行われると、納品までの時間は倍になる。税関への申告とCIQへの申告は同時に行う。CIQから指摘事項があると通関もできない。(コンパウンド)

• 輸入通関には通常1週間かかる。初めて輸入する原料では税関に確認等が必要で、もう少し長くかかる。(コンパウンド )港によっては輸入できる化学品の種類が限定されている。

• 港によっては輸入できる化学品の種類が数十種類に限定されている。(コンパウンド)価格下落局面や無償サンプル輸入の際、税関に説明しても納得されないと、税関指定の高い輸入価格で関税を課される。

• 原油価格の下落に応じてバルク化学製品の値下げをした際に、税関への説明が納得されないと実際より高い輸入価格にされてしまう。(コンパウンド)• 無償サンプルの申告価格審査が厳しくなっており、税関に説明しても納得されないと、税関指定の価格を基に関税を課される。(コンパウンド)輸出入通関がスムーズに進まず貨物が滞留することもある。

• 中国の税関では、原産地証明書(Form E)のHS Codeの枝番が中国当局の見解と異なっていると融通が利かず、貨物が1か月も滞留してしまう。(食品素材)• 中国では輸入に際し、税関で貨物を止められることも起きている。(インキ・塗料)• 輸出手続きではHS Codeの不一致が問題になることがある。対応としてHS Code自体を登録し直すか、SDSを作り直す。(ディスプレイ用フィルム)• 中国からの輸出手続きには非常に時間がかかる。中国からASEANへの輸出手続きでも2週間かかる。(消費財関連素材)検験検疫局CIQの対応により、本来不要なラベル貼付対応が必要になったり、貨物が売り物にならなくなったりすることがある。• 法律上、危険物ではないが、CIQの指摘で危険物として扱われ、ラベル貼付等の対応が必要になったケースがある。(コンパウンド)• 中国のCIQによる抜き打ち検査で、衛生のための密封が破られ、コンテナの貨物が丸ごと売り物にならなくなってしまった。その後、CIQとも議論をし、小さな袋に製品を検査用として入れて、そちらを検査してもらうようにした。CIQも議論ができれば、合理的(Reasonable)である。(コンパウンド)

事前通告なしに燻蒸が求められることがあった。

• ジカ熱が問題になった時には中国などでは、事前通告なしに突然、燻蒸が求められた。(コンパウンド)中国では賄賂の取締は厳格化している。

• 中国では賄賂の取り締まりが厳格化し、官吏は会食もしなくなり、杓子定規な対応が増え、手助けをしてくれなくなった。長期的には健全な流れだが、今までのやり方

や人脈が使えなくなっている。 (基礎化学品)

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中国では積載量を低減する規制により積載効率が低下している。また、液体化学品の

少量輸送が困難になり、試作品のやり取りに支障が出ている。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 物流

中国の関税・非関税障壁の現状

物流

トラックの積載量を減らす規制が課され、積載効率が悪化した。

• 最近、1台当たりの積載量を減らす規制が課され、輸入する際にコンテナに載せる数量も減らさざるを得ない。(コンパウンド)• トラックの重量制限は厳しくなった。ばら積みではなく、コンテナで運ぶことが多く、今までより積載を1-2mt程度減らさなければいけないケースもある。(コンパウンド)

違法な過積載をしている他社が看過され、物流コストの差が生じている。

• 中国では、自社はコンプライアンス上もできないが、他社が過積載をしており、コスト差が生まれてしまう。(基礎化学品)液体化学品の少量運搬が困難になり、試作品のやり取りに困る。

• 液体化学品の少量運搬が非常に困難になっている。「貨物運送条件鑑定書」というものがあり、危険品かどうか、危険品の場合、類型は何か、類型

に応じた荷姿のレベルかが問われる。危険化学品の運送には類別に合致した「危険品運送許可書」を取得した業者のトラックが必要になる。これを

取得している業者は少ない。1Lでも専用車での運搬が必要で、試作品のやり取りに困っている。1L、2L、3LといったUN対応の少量容器を取り扱っている業者が中国に少ない。(コンパウンド)

天津の爆発事故の際や反日運動が高まった際には一時的に物流が滞ることもあった。

• 天津の爆発事故の際には物流が一時滞ったが、在庫があったため、大した被害にならなかった。(コンパウンド)• 中国では一時期、反日運動の影響で物流が止まる問題があった。(日用品)

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中国では急な規制変更や解釈変更があり、対応も属人的である。当局につながるネッ

トワークがないと問題解決できない場合がある。

3 中国の関税・非関税障壁の現状 政府・制度・運用

中国の関税・非関税障壁の現状

政府・制度

・運用

中国では急な規制変更や解釈変更があり、対応も属人的である。当局につながるネットワークがないと問題解決できない場合

がある。

• 中国では急な規制変更や解釈変更がある。(ディスプレイ用フィルム)• 中国政府は制度・規制を変更する際には猶予期間を設け、計画・ガイドラインを作り、省・市に問題解決の協力をさせることが必要ではないか。各国、

国民・住民を守ろうとするのは当然だが、以前許可された条件で内資外資とも操業している。急に規則が変わり、急に違反と言われるのは困る。計画

を開示してほしい。(インキ・塗料)• 法律に則っていても、港や担当官の解釈によって判断が違っており、理不尽である。法律に則っている旨のレターを出してもダメだと言われる。担当

官は中身が知りたいわけではなく、既定のフォームが埋まっているのかなどを気にしている。 (ディスプレイ用フィルム)• 中国は自国ローカル企業を守ろうとし、また、基準も属人的・主観的で、担当官によって対応が異なる。法律も頻繁に変わるため、地方の官吏がその

変更を知らないこともある。(日用品)• 中国などの発展途上の国では役人によって異なるルール解釈がなされることもある。(コンパウンド)• 中国の規制では、嫌がらせのような運用がある。今は韓国品が優先排除されている。(日用品)• 中国では中国人ネットワークを使う必要がある。中国当局トップとつながる組織とつながっていないと困ったときにどうにもならない。通関業者は1社に頼らず、中国当局とつながりの強い会社ともネットワークを築いておく必要がある。商務省OBのいない弁護士事務所では問題解決できない。 (食品素材)

• 地方政府の許認可を得る際に、従業員にツテがあれば、そのツテを使って催促することもある。(コンパウンド)• 中国では懲戒解雇されるため、役人は官民接待には参加しなくなっている。(日用品)中国の政府組織は縦割り。相談窓口が不明な場合もある。

• 中国は政府組織が縦割りで、横のコミュニケーションがない。(インキ・塗料)• 中国当局は縦割り化されており、あるところででは許可されても別のところでは許可されないということが起きる。(コンパウンド)• 法規制の解釈を明確にするための窓口・当局が不明な場合がある。新しい規制への懸念を相談したり、不明点を明確にするために相談したりするコ

ミュニケーションの窓口を設立するのをサポートしていただけると助かる。 (コンパウンド)不正競争防止法が厳しくなく、ブランド・商標を守るのに困難がある。

• 不正競争防止法があまり厳しくなく、ブランド・商標を守るため、対策をしたいが、なかなか理解されない。(日用品)外貨規制で資金の持ち出しが難しい。

• 中国は外貨規制で一旦中国に入れた資金を持ち出すのが難しい。(包装用フィルム・不織布)

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中国は近年、環境規制や危険物質管理強化を図りつつある。化学系企業は原料調達

や事業継続ができなくなるリスクや工場移転を強制されるリスクにさらされている。

中国の産業政策の変化と化学系企業の事業リスク

3 各国の関税・非関税障壁の現状 環境規制・危険物質管理規制

調達コスト増

環境規制強化

危険化学品登記

制度の本格化

サプライヤーの

工場停止

工場移転強制

調達難

住民の工場への

不満・反対運動の

高まり

環境改善に向けた

政府(中央・地方)の目標・方針

移転コスト・労力

内外資の

扱いの違い

不利な競争条件

現場の効率悪化

現場を

無視した運用

危険品取扱倉庫の

不足

倉庫への投資負担

保管コストの増大

排ガス、排水、臭気等による環境悪化、健康

被害に対する不安

事故による被害の懸念

※次ページ参照

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中国が環境規制を強化する背景には、中国の第13次5ヵ年(2016-2020年)において、環境改善が重点目標・方針の1つに掲げられていることがある。

第13次5ヵ年計画(2016-2020年)

3 各国の関税・非関税障壁の現状 環境規制・危険物質管理規制 背景にある中国の政策

出所:経済産業研究所HP,みずほ総合研究所」中国・新五ヵ年計画の骨格と特徴」などよりADL作成

経済の中高速の

成長の維持

2020年に向けたGDP及び1人当たり国民所得の2010年対比倍増、産業高度化、個人消費拡大、農民の都市市民化加速、など

国民生活の水準・質

の普遍的向上

十分な雇用の実現、公共サービスの更なる

整備、教育の現代化・普及加速、所得格差

縮小、農村の貧困根絶、など

国民の素養・

社会文明の顕著な

レベルアップ

中国の夢と社会主義の革新的価値観の浸

透、公共文化サービス体系の整備や文化産

業の発展、など

生態環境の質の

総体的な改善

産業・家庭部門の低炭素化加速、エネルギ

ー資源の利用効率・総量の規制強化、汚染

物質の排出削減、など

各分野の制度の

一層の成熟と

定型化

国家のガバナンス体系・能力の現代化、民

主の更なる整備、開放型の経済体制の構築

、党建設の制度化加速、など

創新

(イノベーション)

協調

緑色

(グリーン)

開放

共享

(分かち合い)

• 新たな発展の原動力の育成

• 新たな発展の空間の開拓

• イノベーション駆動型の発展戦略の実施

• 農業現代化の強力な推進

• 新たな産業体系の構築

• マクロコントロールの方法の刷新・整備

• 都市間の協調のとれた発展の推進

• 都市・農村間の協調のとれた発展の促進

• 物質文明と精神文明の協調のとれた発展の推進

• 経済と国防の融合的発展の推進

• 人と自然の調和のとれた共生の促進

• 主体功能区の建設加速

• 低炭素・循環型発展の推進

• 全面的な省エネと資源利用の高効率化

• 環境ガバナンスの強化

• 環境保全のための防壁の構築

• 対外開放の戦略配置の整備

• 対外開放の新たな体制の構築

• 「一帯一路」建設の推進

• 大陸と香港・マカオ、台湾の協力的発展の深化

• グローバル経済ガバナンスへの積極的参画

• 国際的な責任・義務の積極的引き受け

• 公共サービスの提供拡大

• 脱貧困完遂プロジェクトの実施

• 教育の質の向上、就業・創業の促進、所得格差の縮小

• より公平で持続可能な社会保障制度の構築

• 健康中国の建設推進

• バランスの取れた人口の発展の促進

小康社会の全面的完成に向けた目標 政策方針

環境改善・保全は重点目標に掲げられている

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1 政策・産業動向

2 企業戦略

3 関税・非関税障壁

4 課題・政策示唆

5 参考資料

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日系企業にとって自動車用途、食品包装用途に使われる素材で、タイ、インドネシア、

中国等が有望。消費財では新たな市場としてミャンマーが有望である。

日本企業にとっての有望市場

4 日本企業にとっての有望市場

製品群

判断根拠

石油化学品

中間体

樹脂

界面活性剤

インキ

塗料

コンパウンド

包装用フィルム

不織布

○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○ ○

○ ○ ○ ○

○ ○

○ ○ ○

市場参入機会は限定的。

供給過剰による市況悪化が見られ、有望とは言い難い。

顔料 ○ ○ ○ ○ ○インキ・塗料の需要地である中国、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアが主要供給先。

合成ゴム ○ ○ ○

自動車向けにコンパウンド需要が大きい中国、タイ、インドネシアが主要供給先。

大手外資競合が強く、競争環境は厳しい。

加工食品包装の顧客がいるタイ、インドネシア、ベトナム、中国が有望。

建材向けはマレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、中国に期待。自動車向けは中国、タイ、インドネシア。

自動車向けが主用途で、自動車産業集積のある中国、タイ、インドネシアが主要市場。

加工食品包装や衛生材の顧客がいるタイ、インドネシア、ベトナム、中国が有望。

ディスプレイ用フ

ィルム

日用品

食品素材

香料

○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○

中国が主要市場。

人口規模が大きく経済発展も進む中国、タイ、インドネシア、ベトナムが有望。ミャンマーはタイなどからの輸出が主。

フィリピンはサプライチェーン構築が難しい上、米系大手競合が強く、競争環境が厳しい。

タイ、インドネシア、ベトナムは加工食品メーカーが多くレベルも高い。マレーシア、インドネシアはハラル対応も期待。

ミャンマーはB2C製品の進出開始。加工食品向けB2B素材の需要創出にはまだ時間がかかる。

日本企業にとって有望と判断される市場

○ 主な需要地

出所: 1章産業動向、2章企業戦略、および、インタビュー情報よりADL作成。

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配合やサービス提供による差別化が可能な産業用洗浄剤、香料、機能性食品素材は

日系企業にとっても特に有望。

平成27年度製造基盤技術実態等調査で有望とされた機能性化学品市場の評価

4 日本企業にとっての有望市場

建築用化学品

産業用洗浄剤

香料

食品添加剤

機能性食品素材

化粧用化学品

現状

コンクリート混和剤ではシーカやBASFなどの大手外資メーカーが強い。塗料ではエンジニアリング会社のお墨付きを得て製品が採用される例が見られるなど、チャネルを確

保することが重要。

産業の発展に伴い、産業用洗浄剤の需要は旺盛である。特に中国、タイ、マレーシア、

ベトナムなどで需要が大きい。

加工食品や日用品の需要は増えており、日系香料会社もASEANに生産拠点を設けるなど投資を続けている。ASEANでは香料に関する法律は未整備で、各社はFEMA(Flavor and Extract Manufacturers Association、米国のフレーバーの業界団体)等の基準を参照しながら製品開発を進めている。

中国では国家標準GB(注)で規定された食品素材は使用可能。日本では食品添加物として認められている素材が中国では認められておらず、添加量が少量に制限される

といった事態がある。シンガポール、タイ、マレーシア等でもポジティブリストに掲載され

た食品添加物のみ使用可能。

機能性食品素材の需要は主にEU、アメリカ、日本など先進国にある。ASEANでも機能性食品素材は一部製造されているが、最終製品は主に先進国で消費される。

消費者団体等の反対を受け、EUでは化粧品・化粧品原料のための動物実験は禁止され、大手化粧品メーカーではEU以外でも動物実験を避けるようになり化粧品向け新規素材の開発は困難になっている。既存成分は既存メーカーがシェアを押さえおり、新規

で参入するにはハードルが高い。

将来性

ASEAN・中国でインフラ投資は引き続き旺盛で、これに伴い、コンクリート混和剤や建材向け塗料の需要も引き続き見込まれる。

環境意識の高まりから産業用洗浄剤の環境負荷軽減やリサイクルニーズが高まって

おり、例えば、塩素系洗浄剤から水系洗浄剤への置き換え需要などが期待される。ま

た、様々な分野で洗浄機能の高度化や洗浄コスト低減など、多様なニーズに応じる製

品が求められ、ニーズに応えた製品・サービスの提供により差別化が可能。

人口増加や所得向上が見込まれ、加工食品や日用品の需要も引き続き増加する。香

料は調合ノウハウが差別化要因になり得、日系メーカーにとっても将来性がある。

人口増加や所得向上が見込まれ、加工食品の消費も増加するため、需要は増加する

が、食品添加物単品での競争は厳しい。

機能性食品素材は将来的に有望。ASEAN・中国でも所得向上に伴い機能性食品の需要は高まっていくと予想される。

日本国外にも販売を展開している既存化粧品素材については、ASEAN・中国とも所得向上により化粧品需要が伸びるため、有望。化粧品の差別化につながる素材は通常、

使用量が少なく、新規素材開発や新市場への参入は困難が多い。

出所: インタビュー、各種二次よりADL作成。注:中国国家標準の略称国標 Guobiaoの頭文字を取ってGBとも呼ばれる。

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環境・安全の取組みや中国の規制対応、HS Codeの解釈の相違、パレット物流や製品分野の規格制定への関与などの課題は重要度が高い。

ASEAN・中国における課題

4 ASEAN・中国における課題

ASEAN

化学物質管理 環境・安全 貿易 物流 投資・税制 人材 業界固有課題

【1】化学物質管理規制・手続の不統

一・未整備

【2】窓口・通知制度の未整備

【4】担当官ごとの法制度の解釈・対応

の相違

【5】HS Codeの解釈の相違

【6】HS Code改定時の各国の適用タ

イミングのズレ

【7】物流資材規格の不統一

【8】コンテナ不足【9】移転価格税制の厳格化と解釈の

相違

【10】日系企業の投資への積極性不足

【12】エンジニアやマネジメント人材の

不足

【13】海外の規格制定への影響力不足

【14】業界団体の未設立

【15】科学的でない風評被害 (食品素材)【16】中国の台頭【17】オーバースペック

【18】化学物質登録の際の中国での再

試験

【19】危険化学品登記制度の厳格化

【20】政府の工場停止命令

【21】上海における産業廃棄物処理能

力の不足

【22】社内の専門家不足

【23】担当官ごとの法制度の解釈・対

応の相違

【24】HS Codeの解釈の相違

【25】輸出入商品検験検疫局(CIQ)の衛

生証明発行の遅れ

【26】コンテナの過積載の取締り不足

【27】業界団体の未設立

【3】ベトナムにおける産業保安の概念

の未浸透

【11】インドネシアにおける委託加工業

規制

インパクト・緊急度ともに高い

インパクトまたは緊急度が高い

優先度は低い

インパクト

対応しない場合に事業停止、収益悪化等につながる場合、

または、改善された際のプラスが大きい場合は「大」、それ

以外は「小」

緊急度

早期対応が必要な場合は「大」、それ以外は「小」

凡例

課題の重要度

の評価基準

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化学物質管理規制・手続の不統一・未整備は企業の負担となっている。引き続き、国

際協調に向けた働きかけが期待される。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 化学物質管理

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【1】化学物質管理規制・手続の不統一・未整備

化学物質管理規制・手続の不統一・未整備によるコスト・

労力・時間

• 化学物質管理規制は東南アジアで統一されておらず

困る。法規制対応で新製品の提供が遅れ、ビジネス

を獲得できないなど悪影響がある。(コンパウンド)• タイの新規化学物質届出制度の方向性が定まらず、

今は様子見をしている。(コンパウンド)• 各国の化学物質管理規制を、可能なかぎり日本流で

進められるようにしてほしい。製品が高付加価値化す

ると化学物質を含むようになるため、規制動向に関心

がある。(包装用フィルム・不織布)• 化学品規制はハーモナイズドシステムを作り、国と国

の間で統一されていたほうがよい。現状は非常に労

力がかかる。日本の化審法は先行しているので、各

国、日本と同じようにしてもらえると助かる。 (インキ・塗料)

大 小

企業は各国規制情報を一元管理できる仕組みを作り国による不調和がある場合、それを政府と共有する。

企業規模によっては全てに自社で対応することが難しい場合もあるため、政府は知見共有の枠組みを整備

する。

政府は、化学物質管理規制の国際協調に向け、引き続き各国当局と議論を進める。日本の制度・運用の

成功事例を外国政府と共有する。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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ベトナムにおける産業保安の概念の浸透は、同国の環境・安全対策に寄与でき、両国

政府・企業が一体となって協力し得るテーマになる。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 環境・安全

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【2】窓口・通知制度の未整備

窓口・通知制度の未整備による規制新設・変更時のコン

プライアンス対応の困難

• 規制が変わった時にどのように対応すればよいか、

サポートしてくれる窓口があると助かる(コンパウンド)• 海外に進出した化学会社が本国の政府に支援を求め

ても、結局、現地の当局と話をするように言われてし

まう。支援してもらえる窓口があると助かる。(コンパウンド)

小 小

企業は規制対応の専門家を社内に育成・配置する。 政府は、現地大使館でJETROと連携し、二国間での対話を続けていく。

【3】ベトナムにおける産業保安の概念の

未浸透

ベトナムにおける産業保安の概念の未浸透による一企

業努力の限界

• ベトナムでは産業保安やレスポンシブル・ケアへの理

解・意識が少ない。例えば、ヘルメットなし・裸足で作

業をしていたり、工場で液体が漏れ出した際に他エリ

アに広がらないように敷地を囲う塀がない、など。(樹脂)

大 小

企業は、日本における環境・安全への取組みの経験を現地でも実践し、可能な範囲で業界・工業地域で共

有する。

政府は、ベトナム政府と協力し、特に一企業では対応が難しい包括的な取組みをサポートし、環境・安全へ

の取組みの浸透を図る。

ベトナムのみならずASEAN全域での環境・安全の取組みの向上を図ることができないか、ASEAN各国と協議を進める。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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HS Codeの解釈の相違や改定時の適用タイミングの各国でのズレは、割高な関税の支払いや通関の遅延につながり、事業へのインパクトが大きい。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 貿易

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

貿

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【4】担当官ごとの法制度の解釈・対応の相違

担当官ごとの法制度の解釈・対応の相違による不透明さ

と通関の遅延

• 担当官によって解釈・対応が異なる。(複数社)• 1-2週間、通関手続きで留め置きされたら、顧客のラインが停止してしまい、場合によっては補償金を求め

られてしまう。(合成ゴム)小 小

企業は、担当官によってどのような対応の違いがあり、どのような不都合があったかについて、具体的な事

例を政府に共有する。

政府は企業からの具体的事例をもとに外国政府と協議する。

【5】HS Codeの解釈の相違

HS Codeの解釈の相違による割高な関税の支払いや通関の遅延

• HS Codeの解釈が税関と異なり、高い関税を支払わなければならなかったり、通関できずに貨物が滞留し

たことがある。(合成ゴム、日用品、食品素材)• ベトナム税関は業務効率化のため、該当HS Codeの事前通知制度を止めた。企業の判断したHS Codeが間違っていると原産地証明からやり直しとなり、一旦

通常の関税を払わなければならなくなる。(インキ・塗料)

大 小

企業は適用されるべきHS Codeの根拠となるデータ・証明書等を備え、合理的な説明ができるように備える

企業は合理的な主張が認められない具体的な事例を政府に共有する。

政府は企業からの具体的事例をもとに各国政府と協議する。

【6】HS Code改定時の各国の適用タイミングのズレ

HS Code改定時の各国の適用タイミングのズレによる通関の遅延

• HS Codeの改定があり、国によって適用のタイミングが異なるために、HS Codeに不整合があり、書類準備が遅れる事態があった。(コンパウンド)

大 小

HS Codeの改定の際には、適用のタイミングを各国共通にする、移行期間を設ける等の措置が講じられ

るよう、各国政府と枠組みを協議する。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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パレット規格の統一化により物流効率の改善が可能。日本がイニシアティブをとれる

分野である。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 物流

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

コンテナ不足による調達・供給の遅れ

• コンテナ不足はASEANの主要課題の一つ。(食品素材)【8】コンテナ不足 大 小

【7】物流資材規格の不統一物流資材規格の不統一による物流効率の悪さ

• 日本ではパレット流通だが、アジアでは直積みで運転手が1個1個運んでおり、効率が悪い。また、パレットの回収には労力を要する。パレット物流の規格の統一化

は日本がイニシアティブをとれる分野ではないか。(日用品)

大 小

企業・業界は、パレット物流規格の統一化による物流効率向上のメリットを整理する。物流企業に対してそ

のメリットを訴えかける。

官民一体となって、日本で採用されているパレット物流の規格がASEAN地域でも採用されるよう外国政府に働きかける。

荷主となる企業は業界を超えて、コンテナの不足が解決されるべきサプライチェーンの課題であることを船

会社等に訴えかける。

政府はコンテナ不足がサプライチェーンの課題となっていることを外国政府との対話でトピックとして取り上

げ、コンテナへの投資を促進する優遇税制などの枠

組みを検討できないか、外国政府とともに検討する。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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移転価格税制の厳格化から係争も生じており、企業は合理的な主張の準備が必要。

インドネシアの委託加工規制撤廃には同国の産業発展への寄与を訴えロビーが必要。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 投資・税制

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【9】移転価格税制の厳格化と解釈の相違

【10】日系企業の投資への積極性不足

【11】インドネシアにおける委託加工業規制

移転価格税制の厳格化と解釈の相違による係争の発生

• ASEAN全体で移転価格税制が厳しくなっており、当局との解釈の違いから、係争も生じている。(日用品)

日系企業の投資への積極性不足

• 例えば韓国ロッテがマレーシアなどで積極的に投資を

しているのに比べると、日系メーカーは投資を怖がっ

ているところがあるかもしれない。メンタリティの問題

かもしれない。(基礎化学品)

インドネシアにおける委託加工業規制による事業の制約

• インドネシアでは委託加工するには外資規制のある

商社を作る必要があり、気軽に投資できず、強みを活

かせない。(コンパウンド)

企業は移転価格の正当性の根拠を合理的に説明できるよう準備をする。

川上の汎用品である石油化学分野に注力する日系化学会社は限定的であるが、川下の機能性化学品分

野まで含めれば必ずしも積極性が不足しているわけ

ではない。企業は日系メーカーの強みを生かし得る分

野での投資を継続する。

企業、政府は連携し、ビジネス展開において委託加工が有力なオプションであり、当該国においても産業の

発展につながるメリットもあることを踏まえ、インドネシ

ア政府に働きかける。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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エンジニアやマネジメント人材は不足しており、特に中堅企業において事業拡大の律

速になっている。人材バンクなど、高度人材を供給する枠組みが期待される。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 投資・税制

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【12】エンジニアやマネジメント人材の不足

エンジニアやマネジメント人材の不足による、特に中堅企

業における事業拡大の律速

• エンジニアの確保は難しく、いい人材ほど流出してし

まう。(包装用フィルム・不織布)• グローバルにマネジメントができる人材は少ない。(包装用フィルム・不織布)

• ガバナンスを利かせるためには本社側に海外のCOOをマネジメントできる人材が必要。外国人でも問題な

い。(インキ・塗料)

大 大

政府は各国政府と協力し、人材バンクのような仕組みを検討する。また、人材供給源となり得る大手商社や

海外進出に積極的な大手メーカー等と協力関係を築

く。

企業は必要な人材スペックを定義し、また、外部人材受入・登用の体制づくりを進める。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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標準規格未制定の国・製品分野で、日本の規格が採用されるよう官民一体となって働

きかけ、日本製品が市場参入しやすい環境を目指す。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 業界固有課題(1/2)

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

非科学的議論による不当・不合理な扱い

• 放射能検査で問題がなくても、消費者の反対を理由

に韓国企業には日本製の食品を受け入れてもらえず

不当な扱いを受けている。 (食品素材)• 使用している酵素を作るためのバクテリアが遺伝子組

み換えされていることを理由に、アメリカで有名なNonGMO(非遺伝子組み換え)認証団体から認証を取れなかった。酵素や製品自体はNon GMOであり、その酵素は製品中に残留がないことが第三者機関により

証明されているにもかかわらずだ。科学的な議論がで

きないところとはやっていけない。(食品素材)

大 小

消費財分野では、製品が安全であることを科学的に説明できても、安心な製品として消費者に認識されな

いと受け入れられない場合がある。これを踏まえ、官

民連携して日本の食品は「安心」できる商品であるこ

とをアピールする施策を検討する。

【15】科学的でない風評被害

【14】業界団体の未設立 業界団体の未設立による現地政府への要望伝達の限界

• 小さくても業界団体は必要。(食品素材) 小 小

企業は、海外における課題の解決に向け、場合によっては現地企業や他国外資系企業も含めて、業界団

体の設立を検討する。

海外の規格制定への影響力不足による機会損失

• 例えばインドネシアの電線ではEUの規格が採用されている。そのためEUの規格に合わせて一から設計しなければならず、製品の提供は遅れてしまう。日本は

海外での標準規格の制定にもっと力を入れるべき。日

本の規格が海外で採用されていれば製品をそのまま

販売できる。ミャンマーなどはまだ間に合うかもしれな

い。(コンパウンド)

大 大

【13】海外の規格制定への影響力不足

官民一体となって、規格が未制定の国や製品分野を抽出し、日本の規格が採用されるよう、ロビー活動を

進める。

日本の今後の取組みへの示唆

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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中国の台頭により日本のプレゼンスは相対的に低下している。官民一体となって日本

ブランドの浸透を図る。また、市場の要求に見合った品質・コストのバランスを取る。

ASEANにおける課題と日本の今後の取組みへの示唆 業界固有課題(2/2)

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

中国の台頭による日本の相対的なプレゼンスの低下

• アジアでは中国の力が強く、資金力では勝てなくなっ

ている。コンテンツで勝負になるが、1企業だけでは弱い。(日用品)

大 小【16】中国の台頭 官民一体となって、メイドインジャパンブランド、コンテンツ、日系企業・製品の良さをASEAN地域で浸透させられるようアピールする。

日本の今後の取組みへの示唆

オーバースペックによる収益性の悪さ

• 同じ製品でも、欧米企業では賞味期限が2年のところ日本企業では半年から1年ということもある。(日用品) 大 小【17】オーバースペック 企業は市場の要求に見合った品質とコストのバランス

を追求する。現地のニーズをよく理解した現地の研究

開発員を採用し、開発にあたらせるのも一手。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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中国の化学物質登録の際に、日本での土壌分解試験・毒性試験の結果も認められる

よう、引き続き、中国政府への働きかけを進める。

中国における課題と日本の今後の取組みへの示唆 化学物質管理

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【18】化学物質登録の際の中国での再試験

化学物質登録の際の中国での再試験による機会損失

• 土壌分解試験と魚での毒性試験は中国の実験室で

実験をする必要があり、これには1年かかる。(コンパウンド)

大 小

企業・政府が連携をし、日本での土壌分解試験、毒性試験の結果が認められるよう、引き続き中国政府に

働きかける。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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危険化学品登記制度の厳格化、大気汚染対策としての工場稼働停止命令に関し、官

民で情報を共有し、現実的・合理的なルール・運用となるよう、中国政府に働きかける。

中国における課題と日本の今後の取組みへの示唆 環境・安全(1/2)

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

[19】危険化学品登記制度の厳格化

危険化学品登記制度の厳格化による操業停止リスク

• 中国において危険化学品登記制度が厳格化しつつあ

り、本格運用されると事業できなくなるリスクがある。(

インキ・塗料)

大 大

【20】政府の工場停止命令

政府の工場停止命令による原料調達難・原料コスト増大

• 中国においてサプライヤ工場に稼働停止命令が出さ

れ、供給不足による市場価格上昇や調達難のリスク

がある。(コンパウンド)• 一律に稼働停止にするのではなく、企業毎に調査をし

環境規制にきちんと対応している企業は稼働できるよ

うにしてほしい。(コンパウンド)• 排ガスの微粒子の基準を守るためにコストをかけてい

る。同じ基準で現地企業が取り締まられていないと、

コストをかけずルールを守っていない現地企業が競争

力を持ってしまう不公平さがある。(コンパウンド)• 日本の環境対策の経験・技術を中国等に応用できる

チャンスではないか。(コンパウンド)

大 大

工場の稼働を一律に停止させることは中国の経済・産業にとっても影響が大きいことを踏まえ、現実的な

ルールの設定・運用を促し、環境基準を順守する企業

が稼働できるよう、官民一体となって、中国政府に働

きかける。

企業は日本の環境技術を生かしたビジネス展開を検討する。

政府は日本における環境保護のためのルール・運用の経験を共有する。

官民一体となって、どのような規定が操業停止につながり、その結果として中国の業界・消費者にとってど

のような不利益が生じるかを具体的に説明できるよう

準備し、中国政府に対して働きかけを行う。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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上海における産業廃棄物処理能力の不足は、現地の多くの製造業にとっての障害で

あり、産業・業界全体で、上海政府に働きかけをしていくテーマである。

中国における課題と日本の今後の取組みへの示唆 環境・安全(2/2)

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【21】上海における産業廃棄物処理能力の不足

上海における産業廃棄物処理能力の不足による新規事

業立上げの制限

• 処理が可能な施設の数が2つしかなく、新規事業立ち上げのボトルネックになっている。(コンパウンド)

大 小

困難に直面するのは日系企業だけではないと推察され、産業・業界全体の課題として上海政府に働きかけ

をする。

【22】社内の専門家不足社内の専門家不足による規制新設・変更時のコンプライ

アンス対応の困難

• 社内に専門家がおらず、規則が変わった場合に影響

がわかりにくい。(コンパウンド)小 小

規制対応の専門家を社内に育成する。 日本政府が規制を変える場合に日本国内でどのように周知徹底をしているか、そのやり方を中国政府にも

共有する。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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中国CIQの衛生証明発行の遅れはビジネス・ロスにつながる。日系・外資食品企業を中心に業界として中国政府への働きかけが必要。

中国における課題と日本の今後の取組みへの示唆 貿易

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

貿

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【23】担当官ごとの法制度の解釈・対応の相違

担当官ごとの法制度の解釈・対応の相違による不透明さ

• 担当官によって解釈・対応が異なる。(複数社) 小 小

企業は、担当官によってどのような対応の違いがありどのような不都合があったかについて、具体的な事例

を政府に共有する。

政府は企業からの具体的な事例をもとに、外国政府と協議する。

【24】HS Codeの解釈の相違

HS Codeの解釈の相違による割高な関税の支払いや通関の遅延

• HS Codeの解釈が税関と異なり、高い関税を支払わなければならなかったり、通関できずに貨物が滞留し

たことがある。(合成ゴム、日用品、食品素材)大 小

適用されるべきHS Codeの根拠となるデータ・証明書等を備え、合理的な説明ができるように備える。

企業は、合理的な主張が認められない具体的な事例を政府に共有する。

政府は企業からの事例をもとに、各国と協議する。

【25】輸出入商品検験検疫局(CIQ)の衛生証明発行の

遅れ

輸出入商品検験検疫局(CIQ)の衛生証明発行の遅れによる機会損失

• 中国において、CIQからの衛生証明の取得に時間がかかり、通関はできても販売ができず、ビジネスチャン

スを逃す。(食品素材)大 小

同じ環境にある外資の食品企業を中心に業界として中国政府にロビー活動を行う。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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ルールが公平に適用され、違法なコンテナの過積載を続ける現地企業が淘汰され、

健全な競争環境となるよう、中国政府に対して働きかけをしていく。

中国における課題と日本の今後の取組みへの示唆 物流、業界固有課題

4 課題と日本の今後の取組みへの示唆

課題 課題詳細

イン

パクト

緊急

日本の今後の取組みへの示唆

【26】コンテナの過積載の取締り不足

コンテナの過積載の取締り不足による、ルールを守らな

い現地企業とのコスト差

• 中国では地場企業が過積載をしており、コンプライア

ンスを守る企業との積載効率の違いからコスト差が生

じており、公平でない。(基礎化学品)大 小

ルールを守らない現地企業を取締り、健全な競争環境が実現されるよう中国政府に働きかける。

【27】業界団体の未設立業界団体の未設立による現地政府への要望伝達の限

• 小さくても業界団体は必要。(食品素材)• 中国では業界団体がなく、企業同士の横の連携がな

い。(コンパウンド)小 小

企業は、海外における業界の発展につながる課題の解決に向け、場合によっては現地企業も含めて、業界

団体の設立を検討する。

インパクト・緊急度とも大きい

インパクトまたは緊急度が大きい

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環境・安全への取組み、貿易・物流の改善、人材育成・供給の枠組み構築、日本ブラ

ンド浸透に向けたアピール、標準規格制定等で協力が可能。

ASEANにおける相互協力

4 ASEANにおける相互協力

化学

物質

管理

環境

安全

貿易

物流

化学物質管理規制の国際調和に向けた政府間協議官民による日・アセアン各国制度勉強会

産業保安や環境規制対応に関するセミナー・勉強会、専門人材の育成

日本における産業保安のベストプラクティス共有

税関における担当官による対応の差異やHS Code解釈の相違に関する事例共有と政府間協議

物流資材の規格統一に向けた政府間協議コンテナ不足解消に向けた官民・政府間協議

投資

税制

人材

業界

支援

インドネシアの委託生産規制等外資規制の緩和に向けた政府間協議

高度人材育成・供給の枠組み構築外部人材受入れ体制の構築

日本ブランド・日本製品の浸透に向けたアピール日本の食品の「安全・安心」アピール標準規格未制定の製品分野における日本標準規格の採用に向けた官民による検討会

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危険化学品登記制度、衛生証明発行、過積載取り締まり等、企業運営に支障なく、現

実的・合理的・公平に規制が制定・運用されるよう官民一体で中国政府に働きかける。

中国における相互協力

4中国における相互協力

化学

物質

管理

環境

安全

貿易

土壌分解試験・毒性試験のハーモナイゼーション等障壁緩和に向けた政府間協議の継続

危険化学品登記制度の現実的・合理的な運用や環境適合工場の稼働継続、産業廃棄物処理能力向上等

に向けた政府間協議の継続、日本における運用事例

の紹介

日本の環境技術を生かしたビジネス獲得環境規制対応のセミナー・勉強会

税関における担当官による対応の差異やHS Code解釈の相違に関する事例共有、衛生証明発行の迅速化

等の課題解決に向けた政府間協議

物流

コンテナの過積載の公平な取締りや危険化学品倉庫の拡充等、物流における課題の解決に向けた政府間

協議

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