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GENERAL PRINCIPLES General Principles: Limb Lengthening and Deformity Correction with TrueLok Ring Fixation System トゥルーロック システム

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■代理店■製造元 ■製造販売元

●改良のため予告なく仕様を変更することもあります。

2016.09.3,000第 1版 2016 年 9月

オーソフィックス社(イタリア)

GENERAL PRINCIPLES

General Principles:Limb Lengthening and Deformity Correction withTrueLok Ring Fixation Systemトゥルーロック システム

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目次

はじめに…………………………………………………………………p1

TrueLokシステムの利点… ………………………………………p1

適応………………………………………………………………………p2

リング… …………………………………………………………………p2

組み立てパーツ………………………………………………………p4

ワイヤー・スクリューおよび固定パーツ… ……………………p4

基本原則…:…ワイヤーの刺入と…テンションの加え方・固定方法……………………………………p6

基本原則…:…スクリューの刺入・固定方法………………………p9

ラバーストッパーとアプリケーターの使用方法………… p10

連結パーツ…………………………………………………………… p11

ヒンジ・アンギュラー…ディストラクター… ………………… p13

リングのサイジング……………………………………………… p15

ヒンジとアンギュラー…ディストラクターを用いた…角状変形の矯正…………………………………………………… p16

リニア…ディストラクター………………………………………… p18

リニア…ディストラクターを用いた圧迫および牽引……… p19

ボーン…トランスポート…………………………………………… p21

骨軸の平行移動と回旋変形の矯正… ……………………… p22

メタルディストラクション/コンプレッションナット…トラブルシューティング… ……………………………………… p23

このユーザーズガイド作成にあたって協力して頂いた下記の医師の方々に対して、Orthofix社は感謝の意を表します。

Mikhail Samchukov, M.D.Alexander Cherkashin, M.D.William Terrell, M.D.

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INTRODUCTIONはじめに

1951年、クルガン(ロシア)のGavril… Ilizarov 医師は、新しい創外固定器とその創外固定器を用いた骨延長と変形矯正の手技を開発し、従来法では解決できなかった四肢再建術の諸問題を解決し、治療に革命をもたらしました。

それは複数枚のフルリングとハーフリングから成るフレームの中央に患肢を設置し、骨内に交差して刺入したテンションをかけた複数のワイヤーと複数のスクリューをフレームに固定し、フレームは安定的な固定性を得る為に体外で連結される、というものでした。主な連結パーツは、スレディッド…ロッド・リニア…ディストラクター・ヒンジ・アンギュラー…ディストラクターで、これら連結パーツはリングの相対的な位置関係を一期的・漸次的に調節することで変形矯正・骨延長やボーン…トランスポートを実現しています。

イリザロフシステムは過去 50有余年に渡って様々な改良が行なわれています。TrueLokシステムは米国テキサス州ダラスの Texas…Scottish…Rite…Hospital… for…Children(TSRH) で 開 発 さ れ、Ilizarov 医師の開発した初期の固定器の持つ多くの基本理念を受け継いでいます。

ADVANTAGE OF THE TRUELOK SYSTEMTrueLokシステムの利点

Simple – 簡便性 –●組み立て済みのヒンジ・アンギュラー…ディストラクター他のパーツ類は、リングへの接続・アライメントの調整等の操作を簡便に行うことが出来ます。

●骨切り・フレーム操作・パーツ交換をする際に一時的にヒンジやアンギュラー…ディストラクターを取り外してもアライメントを維持することが出来ます。

●リニア…ディストラクターおよびアンギュラー…ディストラクターは、簡便な操作一つで任意の調整を行うことが出来ます。

●ワイヤー固定ボルト・スクリュー固定ボルト等、万能な固定パーツは手術時に準備するパーツ点数を減らすことが出来ます。

Stable – 安定性 –●ステンレス製で鋸歯状の溝が施されたワイヤー固定ボルト・スクリュー固定ボルト等の固定パーツは、骨片の安定化に寄与します。●リングとの接触面に鋸歯状の溝が施された連結パーツは、治療期間中の予期せぬ回旋やパーツの緩みを防止します。

●リニア…ディストラクターやアンギュラー…ディストラクターに採用されている金属と樹脂の接触面は、特許を有すると共に生体力学にも優れ、調整時の安定性に優れています。

Versatile – 多用途性 –●様々な状況に応じて治療が行えるモジュラータイプであるため、少ないパーツでフレームを組み立てることが出来ます。

●ヒンジは、三次元的なフレーム調節を行なう際の適応性を持たせるためにセルフ…アライニング機能を有しています。

●固定性を失うことなく骨片を正確に操作することが出来ます。

INTRODUCTION

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INDICATION FOR USE適応

TrueLokシステムは骨延長(骨幹端部もしくは骨端部)、開放・閉鎖骨折の固定、長管骨の偽関節、骨および軟部組織欠損、変形矯正に用いられるように設計されています。

注意ワイヤーおよびスクリュー刺入時は、関節面への突出や小児症例において成長軟骨帯を損傷しないよう十分に注意してください。

使用上の注意TrueLokを用いた治療を行なうか否かは、担当医師の判断で決定してください。一般的に、リング式固定器の適用と術後管理には相応の経験と熟練した手技が必要です。加えて、個々の症例に応じて特有のフレームを組み立てることが手技を成功させる上で重要であることは言うまでもありません。手技書や参考資料を読み、リング式創外固定器に関するトレーニングが受けられる施設で技術を習得する必要があります。この手技書の末尾に記載した文献リストを参考にしてリング式創外固定器の理解を深めることを推奨します。

TRUELOK EXTERNAL SUPPORTSリング

強度に優れた陽極酸化加工を施したアルミニウムを材質として採用しています。個々の症例に応じてフレームを組むことができるように様々な形状とサイズが用意されています。フルリング・ハーフリング・5/8リング・フットプレート・ダブルローフットプレート全てに1/4回転(90度)毎のマーキングがあり、リングの組み立てが容易となるように配慮されています。また、全てのリングはネジ径 6mmのパーツに対応しています。

フルリングフレームを組み立てる際の基本的なパーツであり、内径 80mm~240mmの計12種類のサイズがあります(図1)。1/4回転(90度)毎に4つのマーキングがありますが、前後は二重線・内外側は一重線で表現されています。

ハーフリング内径 80mm~ 240mmの計 12種類のサイズがあります(図 2)。ハーフリングを組む為の連結ホールは正確な連結と確実な固定性が得られるように窪みが付いています。従って、連結ホール前後の固定ホールを損なうことはありません。ハーフリングは適用部位の解剖を考慮して単独で使用したり、2枚を組み合わせてフルリングを形成したり、或いはフットプレート等と共に組み合わせて使用します。1/4 回転(90度)毎にマーキング(同径のフルリングの内外側同様に一重線)があります。

INDICATION

図 1

図 2

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5/8リング(図3)内径 100mm~ 200mmの計 9種類のサイズがあります。5/8リングは関節面近傍に装着した際、固定期間中の関節可動域を大きくとれるので有用です。5/8リングは1/4回転(90度)毎に3つのマーキング(フルリングと同様に前後は二重線、内外側は一重線)があります。

アーチ(図4)半径 90mmと半径 120mmの 2種類のサイズがあります。半径90mmのアーチは(フルリング…内径 180mmの)95 度の範囲の固定ホールを有し、半径 120mmのアーチは(フルリング…内径240mmの)85度の範囲の固定ホールを有しています。アーチは通常、大腿骨近位・上腕骨近位においてスクリューを固定する際に使用します。

フットプレート(図5)ハーフリングの両端を延長した形状です。内径100mm~200mmの計 9種類のサイズがあります。プレート両端の窪みの付いたホールにフットプレート…エクステンションを連結したり、同径のフットプレートを連結して患者様の足部の形状やサイズに応じた独特のフットリングを組み立てることができます。フットプレートにも1/4回転(90度)毎に三つのマーキングがあり、その位置は同径のフルリングに一致しています。

フットプレート エクステンション(図6)3ホールと5ホールの 2種類のサイズがあります。接続部の一方が窪みの付いたホールになっていて、反対側にはハーフリング等が組めるように6mm径ネジのパーツを取り付けられるネジ穴を有しています。患者様足部の形状やサイズに応じて、フットプレート…エクステンション二枚とフットプレート・ハーフリングを連結することで三次元的なフットリングを組み立てることが出来ます。

ダブルロー フットプレート(図7)標準的なフットプレートと比較して機能を拡大しています。基部を広げ、固定ホールを二列配置し、プレートの前後長を長く、且つプレート幅を広げたことによって、ワイヤー固定等の固定パーツや連結パーツを取り付ける際の選択性を向上しています。プレート両端はハーフリング等が組めるように6mm径ネジのパーツを取り付けられるネジ穴を有しています。プレートには90度毎に三つのマーキングがあり、その位置は同径のフルリングに一致しています。内径 150mm~ 200mmの計 4種類のサイズがあります。

図 3

図 5

図 4

図 6

図 7

EXTERNAL…SUPPORTS

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TRUELOK ASSEMBLY ELEMENTSTrueLok…組み立てパーツ

TrueLok の組み立てパーツの材質は全てステンレス鋼です。ネジ嵌合部を有するパーツは標準的なM6規格(ネジ径 6mm)で10mmレンチを用いて固定します。

ボルト(図8)12mm・16mm・20mmの 3種類の長さがあります。

ナット(図9・10)2 種類のナットがあります。スタンダード…ナット(図 9)は基本的なリングの組み立てに使用します。エクステンディッド…ナット(図 10)は隣接ホールにパーツを取り付ける際にレンチ操作を容易にします。

スペーシング ワッシャー(図11)2mm厚の 1種類です。

TRUELOK WIRES, HALF PINS, AND FIXATION ELEMENTSワイヤー・スクリューおよび固定パーツ

骨片を固定する際の基本原則TrueLokシステムの基本原則は、症例に応じて骨片を安定化もしくは整復操作できるように、それぞれの骨片を経皮的に強固に固定することです。

骨片の固定は、Ilizarov 医師が最初に提唱したように、交差的に刺入してテンションを加えたワイヤー2本と接続された1枚のリングで行うことが基本となります。リングは骨片の長軸に対して垂直に設置し、リング内の中央が患肢の理想的な位置となります。

ワイヤー(図12・13)1.8mm径でスムースワイヤー(図 12)とオリーブ付ワイヤー(図13)の 2種類があります。オリーブ付ワイヤーは以下二点の目的で使用されますが、刺入の際にはオリーブ部を骨面に留置します。1.…ワイヤー間の交差角度が小さい場合に生じる骨の平行移動等、意図せぬ動きを抑えて固定性を高める為

2.…骨折部の整復や骨折部への圧迫等、骨片を操作して意図した方向へ整復する為

図 13

図 9 図 10

図 11

図 12

図 8

ASSEMBLY…ELEMENTS

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エクスカリバーボーンスクリュー:スクリュー(図14)スクリューは 6mmシャフトでネジ径は 6-5.6mm、ネジ長は 30-90mmの 10mm刻みで全長は150mmと260mmの 2種類あります。

ワイヤー固定ボルト(図15)ボルトのヘッド部裏面には溝・ネック部中央にはホールが設けられています。いずれかを介して1.8mm径ワイヤーを刺入します。ワイヤーの把持力を高める目的で溝およびネック部両端のワイヤー接触部には鋸歯状の表面加工が施されています。

スロッテッドワッシャー(図16)ワイヤー接触部に鋸歯状の表面加工を施した1.8mm径ワイヤー用のワッシャーです。ワイヤー固定用ボルトを使用できない箇所にネジ構造を持つ他の部品と併用してワイヤーを固定します。

スクリュー固定ボルト(図17)ナットを締めるとボルトヘッド下部のカラーがスライドし、4mm・5mm・6mmとシャフト径の異なるスクリューを固定できます。スクリューホール下部のカラーには鋸歯状の表面加工が施され、スクリューホール上部は帆立貝形状をしていることで、スクリューやリングを強固に固定します。

ポスト(図18)1 穴~ 5穴の 5種類あります。断面は10mm×13mmで、ナット固定時は回旋を防止する為に10mmレンチで把持することが可能です。ポスト基部底面はボルト(12mm長)で固定する為のホールと鋸歯状の加工が施されており、強固に固定することが出来ます。

図 18

図 14

図 15

図 16

図 17

TRUELOK…WIRES,…HALF…PINS…AND…FIXATION…ELEMENTS

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BASIC PRINCIPLES OF WIRE INSERTION, TENSIONING & FIXATION基本原則…:…ワイヤーの刺入とテンションの     加え方・固定方法

ワイヤーの刺入ワイヤーの刺入は以下の手順で行ってください。

1.…ワイヤーをリング表面に設置し、至適な高さと方向で皮膚を介して骨表面へ押し進めます(図 19)。ワイヤーの刺入方向を決定する際には、断面の解剖・2本目のワイヤーの刺入位置・骨軸等、あらゆる要素を考慮してください。ワイヤーを至適方向に刺入し、皮膚を真っ直ぐ貫きます。X線透視を用いて骨片に対するリングの傾きとワイヤーの刺入方向が正確であることを確認します。患肢を中心に設置した適切なサイズのリングもしくは事前に組んだフレームを適切なワイヤー刺入の方向性を確認する際のガイドとして使用できます。

2.…ワイヤーはゆっくりした速度で骨を貫通させます。過度の力を加えないようにすることでワイヤーを真っ直ぐに保ちます。ワイヤーを刺入する際は、断続的にワイヤーを進める・生理食塩水を浸したガーゼを用いてワイヤーの安定化を図る・生理食塩水をワイヤーに垂らす等の処置により摩擦熱を抑えるように努めてください。

3.…ワイヤー先端が対側の骨皮質を貫いた後は、そのままパワードライバーで押し進めるか、ハンマーで叩いて皮膚直下まで進めてください。ワイヤーが皮膚を貫く前にワイヤーの上から皮膚を押さえて安定させます。

4.…ワイヤーが皮膚を貫いた後は、ワイヤー周囲部の皮膚に緊張がないことを確認します。皮膚に緊張が認められる場合はワイヤーを一旦皮下まで戻したのち、再度皮膚を貫きます。ワイヤー周囲部の皮膚に緊張が無いことを確認した後にテンションを加えて固定できるようにリングの数cm先までワイヤーを進めてください(図 20)。

5.…オリーブ付ワイヤーを用いる場合はオリーブが手前側の皮膚を通過できるようにワイヤー刺入位置に小皮切を加えます(図 21)。オリーブが骨皮質に当たるまでワイヤーを進めます。その際は、パワードリルを使用してワイヤーを押し進めるか、対側に貫通したワイヤー先端部をペンチで引き寄せてください(図 22)。

図 19

図 21

図 20

図 22

WIRE…INSERTION,…TENSIONING…AND…FIXATION

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ワイヤーの固定ワイヤー両端をワイヤー固定ボルトでリングに固定します。ワイヤーのたわみは最小限に抑えてください。

ワイヤーがリングホールを二等分している場合、ワイヤー固定ボルト中央のホールを用いることで、ワイヤーはリングホールの中央の位置で固定されます(図 23)。固定ボルトをスライドさせてリング上の適切なホールに挿入してナットを用いて固定します。その際、ボルトのヘッドがワイヤーの軸に対して回旋しておらず、ワイヤーが一直線になっていることを確認してください。ナットを締める際は10mmレンチでボルトのヘッド部を固定してください。

ワイヤーがリングホールの端、もしくは、リングホールの間に位置している場合、固定ボルト裏面のオフセット溝を用いてワイヤーを固定します(図 24)。

ワイヤーがリング表面の高さに位置する場合もあれば、リング表面から離れた高さに位置する場合もあります。ワイヤーをリングに対して平行に刺入したつもりがリング面からずれることもあります。これは通常起こり得ることで、ワイヤーが骨片長軸に対して垂直ではなく、僅かに傾いて刺入された結果です。この場合、リングとワイヤー間の隙間をワッシャーで埋めるか(図 25)、ポストを用いてワイヤーのたわみを取り除いてください(図 26)。ワイヤーを固定する前に適切な枚数のワッシャーを取り付けます。リングの厚みにもよりますが、通常、重ねて使用するワッシャーは3枚までとしてください。3枚以上のワッシャーを重ねる必要がある場合はポストを用いることを推奨します。

TrueLokワイヤーテンショナー スプリング内蔵の鉗子形状のテンショナーで4つの機能的要素、ヘッド部(A)・ネック部(B)・ボディ部(C)・ロッキングバーおよびハンドル部(D)から構成されています。ヘッド部(A)にはスライディング…アダプターがあり、中央ホールもしくはスロットでワイヤーを刺入した固定ボルトを把持します。ネック部(B)に設けられた目盛りは50~130kgの範囲で加えたテンションを表示します。テンションはネック部の軸方向のラインと目盛りで表示されます。テンションを加えるとネック部がボディ部(C)に引き込まれ、中に引き込まれるほど加えられるテンションが高まります。テンショナーのボディ遠位部の水平ラインと数値から加えたテンションの値を読み取ります(図27)。最後の機能的要素はロッキングバー・ハンドル部(D)です。ロッキングバーにはスプリングが内蔵されており、そのラチェット構造によってテンションを加えたハンドル位置を維持します。

図 23

図 25

図 24

図 26

図 27

A B C

D

WIRE…INSERTION,…TENSIONING…AND…FIXATION

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ワイヤー テンションの加え方テンションを加える側とは反対側のワイヤー固定ボルトをリングに固定します。任意でワイヤーの端をリング面に対して90°の角度に折り曲げてください(図 28)。こうすることで、テンションを反対側から加えることが一目で分かるようになります。

テンションを加える操作は、既に固定した片側の反対側からワイヤーを引き寄せるように行います。ワイヤーに加えられるテンション値は個々の症例や術者の考え方によって異なりますが、通常は100~130kg の範囲のテンション値が適用されます。

ワイヤーテンショナーを用いてワイヤーにテンションを加える手順は以下の通りです。1.…ハンドルを最大限に広げた状態でワイヤーをテンショナーに差し込みます。テンショナーのヘッド部がワイヤー固定用ボルトを把持し、リングに確実に接触していることを確認してください(図29A)。

2.…必要とする値に達するまでハンドルを絞ります。テンショナーのロッキングバーが一定のテンションレベルを保ちます(図 29B)。

3.…ワイヤー固定ボルトのナットをしっかりと固定します(図 30)。4.…ロッキングバーを押し下げることでワイヤーテンショナーを解除し、ハンドルを最大限まで広げます。こうして、ワイヤーテンショナーの嵌合を解除し、ワイヤーからテンショナーを抜きます(図31)。任意のテンション値が得られていない場合には一旦ワイヤー固定ボルトを締め、再度テンショナーでワイヤーを保持した後に固定ボルトを緩めてから追加のテンションを加えます。

5.…尖った先端で周囲を傷つけないようにワイヤー両端をフレームと同レベルで切断します。もしくは、カバーを用いるか、テンションを加えた直後に折り曲げるようにしてください。

図 28

図 29

図 30

A

B

ロッキングバーを解除する際はここを押してください。

図 31

WIRE…INSERTION,…TENSIONING,…FIXATION

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ワイヤーの刺入からテンションを加えるまでの一連の手順は、個々の症例・フレームの装着方法および術者の考え方によって異なります。一般的に、最近位と最遠位のワイヤーを刺入します。次に患肢が固定器の中心となる位置で固定し、残りのワイヤーの刺入とテンションを加える作業を繰り返してください。

同一リング上の 2本のワイヤーは、別々にテンションを加えると1本目のワイヤーのテンション値が変わることから、2本同時にテンションを加えることを推奨します(図 32)。

BASIC PRINCIPLES OF HALF PIN INSERSION AND FIXATION基本原則…:…スクリューの刺入・固定方法

スクリューの刺入スクリューを刺入する際もリングを骨片の長軸に対して垂直に設置する基本原則はワイヤーと同様です。さらに、スクリューを用いる場合は、スクリューとリング間に予期せぬ負荷が加わらないようにスクリューと固定ボルトがリングに対して正しい方向にあることを確認してください。刺入方向と本数はワイヤー使用時と同様に術者の経験・解剖所見・術式によって決定してください。

スクリュー刺入・固定は以下の手順で行ってください。

1.…スクリュー固定ボルトをリングの適切なホールに刺入します。固定ボルトはスクリュー刺入時のガイドとしての役目を果たします(図33)。

2.…スクリュー固定ボルトのホールからKワイヤーをスクリューの刺入方向へ刺入し、その位置で皮膚切開を行います(図 34)。

3.…剪刃もしくは止血鉗子を用いて軟部組織を分けて骨面に至ります。

4.…Tレンチを用いて適切なサイズのスクリューを固定ボルトのホールを介して軟部組織の間を進め、手前の骨皮質に刺入します(図35)。反対側の骨皮質を貫く際もTレンチを用いて徒手的に行ってください(図 36)。

5.…固定ボルトをナットでリングにしっかりと固定します(図 37)。6.…スクリュー全長が長く手元部を切断する場合は、治療中に切断面で傷つかないようにスクリューカバーを用いてください。

図 32

図 34

図 33

図 35

図 36 図 37

HALF…PIN…INSERTION…AND…FIXATION

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スクリューの刺入方向1 枚のリングより複数本のスクリューを刺入する場合は方向と高さを変える等、スクリュー間にスペースを設けてください(1本はリング面の近位側、もう1本を遠位側で固定するか、ポストを使用してください)(図 38)。

ピンを上下斜め方向に角度をつけて刺入する場合もポストを使用します。ポストを用いてスクリューを確実に固定する為に以下に留意してください。

1.…リングからスクリューまでの距離を考慮して適切なサイズのポストを選択します。

2.…固定ボルトをポストに取り付け、そこにスクリューを軽く固定します。

3.…12mm長のボルトでポストをリングホールに取り付け、仮固定します。

4.…スクリューをポストにしっかりと固定します。次にポストをリングにしっかりと固定しますが、ピンが撓わんだり捻じれないように注意してください。

USE OF RUBBER STOPPERS AND APPLICATORラバーストッパーとアプリケーターの使用方法

ワイヤーやスクリューに装着するラバーストッパーは術中・術後にガーゼ包帯を圧迫固定する目的で使用します。ワイヤーもしくはスクリューの刺入直後(固定器に固定する前)に装着してください。装着の際は、利便性とワイヤー・スクリューによる針刺し事故を予防する目的でアプリケーターを用いることを推奨します。ラバーストッパーは赤色がワイヤー用、灰色がスクリュー用です。

アプリケーターの使用方法は以下のとおりです。1.…ラバーストッパーの平らな面を皮膚側に向け、アプリケーターの端に押し込みます(図 39)。

2.…アプリケーターに取り付けたラバーストッパーをワイヤーもしくはスクリューの端部より刺入します(図 40)。

3.…親指でアプリケーターからラバーストッパーを取り外し、ワイヤーもしくはピンを介して皮膚表面までスライドさせます(図 41)。

4.…残りのワイヤーとスクリューも同様の操作を繰り返してください。

図 38

図 40

図 41 図 42

図 39

RUBBER…STOPPERS

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ワイヤー・スクリュー刺入部を圧迫固定しているガーゼ包帯(図 42)を交換もしくはワイヤー・スクリュー刺入部の処置を行なう際は、ラバーストッパーをスライドさせて皮膚から遠ざけ、処置後には元の位置に戻します。フレーム取り外す前の段階で何らかの理由によってラバーストッパーを取り外す必要が生じた際は、ストッパー中央の穴の上下左右から切り離してください。

TRUELOK CONNECTION ELEMENTS連結パーツ

以下に記すように、TrueLokは多種の連結パーツを有し、症例や使用部位に応じてフレームの組み立てることができます。これらの連結パーツは主に形状の異なるパーツをリングに連結する目的で使用します。

スペーサーリングブロックを組み立てる際、リング間の距離が短い場合に用いて二枚のリングを平行に保ちます(図 43)。長さは15mmと30mmの二種類があり、簡便且つ強固なリングブロックを組み立てることができます。スペーサーの両端は雄ネジと雌ネジになっており、六角形状の中央部を10mmレンチで保持することが出来ます。二枚のリングを連結する際にはリング上の適切なホールに通した12mm長のボルトをスペーサーの雌ネジ側に挿入し、雄ネジ側をもう一枚のリングにナットで固定します(図 44)。

スレッディッド ロッド フレームを組み立てる際の標準的なパーツです。リングを連結する際にそのリング間距離が長い場合に用いて二枚のリングを平行に保ちます(図 45)。外径は 6mm、ネジピッチは 1mmで、長さは60mm~ 400mmの 7種類あります。ロッド両端は3.2mm六角レンチが差し込める構造となっています。ナットを用いてリングに固定する際は、ロッド両端にネジ山が数個見える位置でナットを固定してください(図 46)。

プレート全長 20mm~ 50mmの 4種類あります(図 47)。プレートの一端にはネジ付ホールを有し、回旋安定性を得る目的で鋸歯状の加工が表面には施されています。もう一方のホールは7mm径の真円もしくは位置調整が可能な楕円形状になっています。プレートを用いることで二枚のリングを平行に保ちながら軽度オフセットさせた状態で固定することが出来ます(図 48)。

図 43

図 45

図 44

図 46

図 47 図 48

CONNECTION…ELEMENTS

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オブリーク サポート二枚のリングを平行に保ちながら大きくオフセットさせた状態で連結することができます(図 49)。オブリーク…サポートはアークやハーフリング、5/8リングとフルリングを連結する際、特に上腕骨近位や大腿骨近位のような部位での適用が有用です。一端がネジ切り構造の雄ネジ形状で、反対側は標準的な6mm径のホールが設けられています。

コニカル ワッシャーコニカルワッシャーを用いることで平行でない二枚のリングを直線上に組み立てることができます。コニカルワッシャーは凸形と凹形の一組みで構成され、球と受け皿の構造を形成します。ロッドにコニカルワッシャーを取り付ける際は必ず凹形ワッシャーの基部(平面)をリング面に向け、凹型部を凸型ワッシャーと組み合わせて、その上からナットで任意の角度にしっかり固定してください(図 50)。コニカルワッシャー二組みでリングを挟んでロッドの上下に設置するとリングは最大 7度まで傾斜します(図 51)。また、リングブロックを構成する二枚のリング両方の上下に計 4組みのコニカルワッシャーを設置するとリングは最大 14度まで傾斜します(図 52)。

ユニバーサル ヒンジ360 度の動きを許容する利便性の高いパーツで、二枚のリングがどのような角度であっても接続することが可能となります(図 53)。35mm長の短いロッドが予め差し込まれています。長いロッドが必要な場合は3.2mm径の六角ドライバーで取り外し、必要な長さのボルトやスレッディッド…ロッドに容易に交換できます(図 54)。ユニバーサルヒンジは標準的なナット単体(A)もしくはリングを介してナット(B)を締めることで任意の位置で固定してください。

図 49

図 51

図 52

図 54

図 53

図 50

B

A

CONNECTION…ELEMENTS

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TRUELOK HINGES AND ANGULAR DISTRACTORSヒンジ・アンギュラー…ディストラクター

TrueLok のヒンジおよびアンギュラー…ディストラクターは内・外の二つのパーツから構成されており、相互に作用することで絶えず自動的に安定した角度矯正を提供します。加えて、アンギュラー…ディストラクターは簡便に操作ができる為、患者さんの不安感を軽減します。

角状変形の矯正に用いる中空構造のヒンジにはインラインヒンジとアウトボードヒンジの二種類があり、いずれも組み立てされた状態で製品供給されます。いずれのヒンジも基部・回転部および先端楕円形状のスレッディッドロッド…100mm長から成ります(スレッディッドロッドはセットスクリューで固定されています)。TrueLokヒンジは中空構造であることからフレーム装着時のヒンジ位置の調整を容易にします(図 55)。

インライン ヒンジ基部にネジ孔を有し、ヒンジの軸が適切な位置とすべく固定ボルト(図 56)もしくはスレッディッド…ロッド(図 57)を用いて固定します。ロッド端部はナットを用いた従来法を用いてリングに固定します。

アウトボード ヒンジ設置方法はインライン…ヒンジとおおよそ同様ですが、ヒンジ基部がプレートの形状をしています。プレートはネジ孔を有し、12mm長ボルトを用いてリングに直接的に固定するか(図 58A)、ワッシャーやスペーサーを用いてリング面からオフセットさせた状態で固定(図58B)することも出来ます。また、もう一方のロッドの端にも隣接するリングに設置しやすいように20mm長のプレートが予め組まれた状態で製品供給されます(図 58C)。

図 55

図 56

図 58A

図 57

図 58B 図 58C

20mmプレート

HINGES…AND…ANGULAR…DISTRACTORS

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ヒンジロッドのバリエーションインラインヒンジ、アウトボードヒンジ共に先端楕円形状のスレッディッド…ロッド(100mm長)と組まれた状態で製品供給されます。長さの異なる60mmと150mmの 2種類のヒンジロッドも別途ございますので必要に応じてロッド長を変更してください。

ヒンジロッドの交換は、基部のセットスクリューを緩めて(図 59A)ロッドを抜いた後(図 59B)に、適切な長さのロッドを挿入してセットスクリューを改めて締めてください。

ヒンジ エクステンダーヒンジに取り付けるロッド長が 150mmを超えてしまう場合は、ロッド長を伸ばす目的でヒンジ…エクステンダーを使用してください。ヒンジ…エクステンダーはフレーム構造全体の剛性を高める目的でも使用できます(図 60)。

アンギュラー ディストラクターアンギュラー…ディストラクター(図 61)は 2つのブラケット(持ち送り)(C・F)、専用のスレッディッド…ロッド(D)およびコンプレッション/ディストラクション…ホイール(E)から成ります。ブランケットは基部とアームの二つのパーツから成り(図 62・図 63)、セットスクリューで連結されています。基部にはネジ孔があり、12mm長のボルトでリングに直接固定するか、スペーサーを用いてリング面からオフセットさせた状態で固定することが出来ます。それぞれのブラケットのアームとスレッディッド…ロッドとの境界面にはプラスチック…インサート(B・G)が設けられています。一方のプラスチック…インサート(G)はロッドの先端部と接しており、ロッドが回転する際に軸受けの役割を果たします。もう一方のブラケット(C)のプラスチック…インサート内側はネジ切りされており、ロッドと接しています。ロッドを回旋させることで接続部間の距離が変化し、自動的にリング間の角度が変わります。

図 60

図 61

図 62

図 63

B

E

D

G

A

C

F

図 59A 図 59B

HINGES…AND…ANGULAR…DISTRACTORS

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コンプレッション/ディストラクション…ホイールは外側のカラー(輪)と中心部のセントラル…ロッキング…コア(芯)という二つのパーツから成り、ロッドに固定されています。ロッキングコア内部にスプリングが内蔵されています。ロッキングコアに設けられた四角形のホールがブラケットの基部と適合し、ホイールの回転を防ぎます。カラーを下げるとコアが引っ込みノブが回転します(図 64)。コンプレッション/ディストラクション…ホイールを回すとスレッディッド…ロッドが回転します。ロッドの先端がソケット内で回転するとプラスチック…インサート付ブラケットがロッド上を移動します(図 65)。ロッドの先端には10mm角のナット(図 61A)があります。ナット上のマークは調整度合いを目視で確認するための指標です。ナットはスレッディッド…ロッドが回転によってブラケットが外れることを防ぎます。

ラピッド アジャスト ストラットラピッド…アジャスト…ストラットはショート・ミディアム・ロングの 3種類の長さバリエーションがあります。ストラット両端には一期的な角度および回旋矯正を可能とする任意に固定可能なユニバーサルヒンジを有しています。ストラットのボディ部はアルミニウム製の相互に伸縮可能な二本の筒、外筒(A)と内筒(B)から成り、サイドロッキングボルト(C)とクランプワッシャー(D)を固定することで一期的な長さ調整も行うことができます。

また、内筒の一端には側面が四角形の樹脂製ブッシング(E)が取り付けられています。ブッシングはロッドと連結しており、ブッシングの回転に連動して上下動し、微細な圧迫・牽引を行うことも可能です。ブッシングにはサイコロのように1・2・3・4つの点で表された印がついています。牽引をかける際にはブッシングを点で表された数字が増える方向に、圧迫をかける際には同様に数字が減る方向に回してください。

RING SIZINGリングのサイジング

適切なリングサイズを選択することは治療期間中のフレームによる軟部組織の圧迫を避ける上でも重要です。使用部位を考慮し、適切なサイズのリングを選択してください。サイジング用テンプレート(図66)を用いることで簡便且つ正確に適切なリングサイズを図ることが可能です。皮膚とリング間に約4cmの間隔が持てるリングサイズを選択します。

図 64 図 65

図 66

ラピッド…アジャスト…ストラット型番… サイズ50-10170… Short50-10180… Medium50-10190… Long

A B E

F

D

CG

ANGULAR…DEFORMITY…CORRECTION

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ANGULAR CORRECTION WITH TRUELOK HINGES AND ANGULAR DISTRACTORヒンジとアンギュラー…ディストラクターを…用いた角状変形の矯正

リング式固定器を用いて角状変形を矯正するには変形した骨片に対して正確にフレームを装着することが必要です。矯正を成功させる上で術前計画は重要であり、以下の手順で行います。

1.…変形の頂点を決定するため、X線写真の確認を行います。変形を矯正する際の回転軸が二枚のリングの中間にある場合は通常、インライン…ヒンジを使用します。そして骨片ごとにリングブロックを組み、二つのヒンジを変形の頂点に設置してリングブロックを連結します。アンギュラー…ディストラクターはヒンジとは反対側に設置します。単純に骨切り部をオープニングウェッジ状に開いて矯正する場合、ヒンジを骨の変形の頂点の凸側に設置する必要があります。オープニングウェッジで矯正した後に延長が必要な場合はヒンジを骨の変形の頂点の凸側にて、更に外側に設置してください。

2.…適切なサイズと適切な枚数のリングを骨の変形に合わせて装着できるよう、予め組み立てます。ヒンジ(A)とアンギュラー…ディストラクター(B)を変形部位の高さに設置して平行な位置関係にないリング間を連結します(図 67)。

3.…事前に組んだフレームを患肢に合わせ、骨の変形とリングサイズが適切であることを確認します。

4.…骨切りを行い、アンギュラー…ディストラクターを徐々に延長して矯正します(図 68・69)。

5.…基本的には、延長の過程でそれぞれの骨片に装着したリングブロック同士が平行になった時点で矯正が完了するように術前計画を立ててください。

変形を矯正するためにヒンジを正確な位置に設置しようとすると、その位置がリングと同一の高さになってしまう、あるいは、リングから遠く離れた位置になってしまうことは度々起こり得ます。例えば、ブラント病などに代表される小児変形の多くは、変形の頂点が骨端線の位置にあります。プレート付のアウトボード…ヒンジを使用すれば術前計画が容易になり、そのような変形も正確に矯正することができます(図 70・71)。

先に述べた通り、この種の変形矯正においてフレームの組み立ても含めた術前計画を行うことは非常に重要です。術者による骨変形の評価、正常な四肢の骨軸アライメントおよび必要とされる骨延長量を考慮してアウトボード…ヒンジの設置位置を正確に決定します。ヒンジの正確な設置位置を決定した後に近位および遠位骨片それぞれがリングの中心に位置するようにフレームを装着します。

図 67

図 68 図 69

A

B

ANGULAR…DEFORMITY…CORRECTION

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フレームの取り外しと骨切り骨切りの際はアプローチを容易とする目的でヒンジとアンギュラー…ディストラクターを一時的に取り外してください。ブラケットのセットスクリューを緩め、ディストラクターのボディ部を取り外します。ヒンジはローテーショナル…インサートのセットスクリューとロッド先端のナットを緩めて外します。ロッドのもう一方の端のナットを緩めてリングからヒンジを外します(図 72)。

骨切りの後、楕円形状のロッド先端をローテーショナル…インサートに挿入してセットスクリューを締めて再びロッドをリングに固定します。アンギュラー…ディストラクターも同様にブラケットのアームと基部を組み立ててセットスクリューで固定します。

図 70

図 72

図 71

取り外し

脱着箇所

ANGULAR…DEFORMITY…CORRECTION

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術後の調整TrueLokシステムのスレッディッド…ロッドのネジピッチは1mmです。従ってコンプレッション/ディストラクション…ホイールを一回転するとブラケット間は1mm延長されます。一日当たりの延長量と延長回数については、ヒンジおよびアンギュラー…ディストラクターから骨までの距離、骨片間に形成された新生骨の骨質を評価した上で医師が決定してください。

ディストラクターの操作は、カラー部を上に持ち上げ、コンプレッション/ディストラクション…ホイールを延長量と延長回数に応じた必要な分だけ回します。手を離すとスプリング機構によってカラー部は固定位置に戻ります。

角状変形の矯正完了後は、ヒンジとアンギュラー…ディストラクターを取り外し、ロッドもしくは他の適切なパーツを用いてリング間を連結することもできます。

TRUELOK LINEAR DISTRACTORリニア…ディストラクター

テレスコピック リニア ディスラクターリニア…ディストラクター(図 73)はスレッディッド…ロッド(A)、基部の役割を持つアルミニアム製の筒(C)と筒上で回転する樹脂製のブッシング(B)の三つのパーツから成ります。ブッシングを回転させると筒の軸に沿ってロッドが回転します。ロッドの端には3.2mm径の六角穴があり、六角レンチ(D)・Lレンチ(E)・パワーツール接続用アダプター(F)のいずれかを用いてロッド長の調節や交換が容易に行えます。

ロッドの長さを短時間で調整する際は、ロッドがディストラクターの基部から抜けたり、ブッシングから抜けないように注意してください。

ロッド下端が筒の基部にある小さな穴から確認できる場合には短いリニア…ディストラクターに交換してください。逆に、ロッド下端が筒の上部にある小さな穴に達した場合に長いリニア…ディストラクターに交換してください。

図 73

A

B

C

D E F

LINEAR…DISTRACTORS

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12mm長のボルトでリニア…ディストラクターの基部をリングに固定し、ナットでロッドをリングにしっかり固定します(図 74)。ブッシング(A)には1~ 4の点で表された印がついています。ディストラクターを伸展させて牽引をかける際にはブッシングを点で表された数字が増える方向に、短縮して圧迫をかける際にはブッシングを点で表された数字が減る方向に、任意の量と頻度で回してください。リニア…ディストラクターの長さバリエーションは四種類あり、リング間の距離が最低 75mm・最大 325mmまで適合します(表 1)。

表1各テレスコピック リニア ディストラクターの適合リング間距離型番 品名 最小 最大

50-11010 リニア…ディストラクター………70mm 75mm 90mm50-10140 リニア…ディストラクター…100mm 105mm 145mm50-10150 リニア…ディストラクター…150mm 155mm 225mm50-10160 リニア…ディストラクター…200mm 205mm 325mm

DISTRACTION AND COMPRESSION WITH THE TRUELOK LINEAR DISTRACTORSリニア…ディストラクターを用いた…圧迫および牽引

骨延長骨延長によって新生骨を形成する手技は先天性骨欠損、外傷後の骨欠損、骨腫瘍、感染性偽関節等、様々な症例が適応となります。

医師は患者の状態とX線写真を評価し、骨延長術の適用であるか否かを慎重に決定しなければなりません。先に述べたように、軟部組織の状態を考慮して適切なサイズのリングを選択してください。

通常よく用いられる方法は、リング…ブロックの前方と後方に適切な長さのリニア…ディストラクター(もしくはスレッディッド…ロッド)を二本取り付け、リングブロックを連結します。そうすることで術中にフレームのアライメント確認のための X線撮影を行った際にディストラクターもしくはロッドをマーカーとして利用することができます(図75)。ディストラクターがワイヤーおよびピンの固定に必要なリングホールを占拠してしまう可能性も最小限に抑えられます。

図 74

A

図 75

DISTRACTION…AND…COMPRESSION

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全てのワイヤーとスクリューの刺入を終え、ワイヤーにテンションを加えた後、暫定的に用いた2本のリニア…ディストラクターを外し、適切な長さの 4本のリニア…ディストラクターに交換してください。4本のリニア…ディストラクターを時計の文字盤上の 1時 30分・4時30 分・7時 30 分・10時 30 分の位置に取り付けるとX線写真で延長部を確認する際にX線不透過のディストラクターが妨げになる可能性が軽減できます。

フレームの組み立て・骨片の固定を行った後、骨切りを行いますが、骨切り部位と方法は術者により異なります。骨切りが完全に行なわれたことを確認するため、リングブロックを一旦解除します。リニアディストラクター基部のボルトを外し、遠位のリングを少し回旋させます。骨切りが完全に行なわれたことを確認した後に再びボルトでリングを固定します。

術後のフレーム調整延長開始時期、延長量・延長回数は医師の考え方と状況により異なります。レンチ10mmを使用してブッシングを回す方法を患者に指導します。医師に指示された回数でブッシングを回すことにより、リングブロック間の距離が延長され、骨延長が行われます。ブッシングを1/ 4回転させると(90度回すと)0.25mm延長されます(図77・78)。それ以外の調整は必要ありません。

骨延長期間中は定期的にX線写真で延長の程度を計測すると共にディストラクターの筒内部に残るロッドの長さを確認してください。ロッドの有効長を確認する別の方法として、ロッド下端が筒の上部にある小さな穴に達したことが確認された時点でより長めのリニア…ディストラクターに交換してください。

逆に、圧迫を加える症例ではロッド下端が筒の基部にある小さな穴から確認された時点でより短めのディトラクターに交換してください。

図 76

図 77 図 78

DISTRACTION…AND…COMPRESSION

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メタルディストラクション/コンプレッションナット先に述べている通り、リニア…ディストラクターを使用する場合には二枚のリング間に75mm以上の距離が必要です。距離が 75mm未満の場合にはメタルディストラクション/コンプレッションナット(図79)をスレッディッド…ロッドに設置することで牽引もしくは圧迫を加えることが出来ます。メタルディストラクション/コンプレッションナットは基部に凹型のワッシャーが付いた10mm四角のナットでワッシャー側をリング表面に向けてリングの上下両面に装着することで機能します。ナット部を回してリングブロックに固定しますが、ダブル…レンチを使用すれば上下のメタルディストラクション/コンプレッションナットを同時に回転させることができます(図 80・81)。

SEGMENTAL BONE TRANSPORTボーン…トランスポート

メタルディストラクション/コンプレッションナットはボーン…トランスポートの手技にも適用することが可能です。骨をリングの中央に設置して固定した後に欠損部が見えなくなるまで患肢を短縮させます。近位および遠位骨片をワイヤーもしくはスクリューでリングに固定します(図 82)。移動骨片を主骨片から切り離し、トランスポート用リングにワイヤーもしくはハーフピンで固定します。4本のロッドでリングを接続して近位および遠位リングをナットで固定します。トランスポート用のリングはメタルディストラクション/コンプレッションナットを用いてそれぞれロッドと固定します。

図 79

図 80 図 81

BONE…TRANSPORT

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メタルディストラクション/コンプレッションナットを回してボーン…トランスポートを行ないます。1/ 4回転させると(90度回すと)軸方向へ 0.25mmのボーントランスポートが行われます。医師に指示された延長量・延長速度を順守し、移動骨片が標的となる骨片に到達するまで延長操作を繰り返します(図 83)。そして骨癒合が得られるよう、医師の任意の方法でドッキング部における両骨片の断端部の処理を行ってください。骨癒合を得るため、移動骨片と標的となる骨片間には圧迫を加えることを推奨します。

HORIZONTAL TRANSLATION AND ROTATION骨軸の平行移動と回旋変形の矯正

水平面の平行移動もしくは回旋変形の矯正に用いる場合には、メタルディストラクション/コンプレッションナットを用いた三本のロッドを横断面上で直線上に配置させます。各ロッドはポスト二枚を用いてリングに固定します。メタルディストラクション/コンプレッションナットを1/ 4回転させると(90度回すと)ロッドの軸に沿って0.25mmの牽引もしくは圧迫が加わり、水平面上で骨片が移動します。水平面での平行移動は、三本のロッド軸を全て移動させる方向へ向けて行ないます(図 84・85)。

回旋変形の矯正を行なう際には、メタルディストラクション/コンプレッションナットを用いた三本のロッドが三角形を形成するように設置します(図 86)。メタルディストラクション/コンプレッションナットを回すことでリングは互いに回旋します(図 87)。

図 87

図 85

図 86

図 84

図 82 図 83

HORIZONTAL…TRANSLATION…AND…ROTATION

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TROUBLE SHOOTING GUIDE FOR TRUELOK DISTRACTION NUT ASSEMBLYメタルディストラクション/コンプレッションナット……トラブルシューティング

ダブルレンチを二枚のナットに滑り込ませにくい二枚のナットの側面が平行ではないことが予想されます(図 88)。ダブルレンチの片側のみを用いて二枚のナットの向きが揃うように修正してください(図 89)。

二枚のナットが容易に回らないナットをきつく締め過ぎていることが予想されます。片方のナットを1/ 4回転程(90度程)緩めて二枚のナットの向き揃うように修正してください。スムースに回転するまでこの操作を繰り返してください。

二枚のナットが簡単に回り過ぎるどちらかのナットがよく緩み過ぎていることが予想されます。確かな抵抗が感じられ、二枚のナットがリングに対して平行になるまで緩んでいるナットを締めてください。

SUGGESTED READINGM.V.…Volkov,…O.V.…Oganesyan.…External…Fixation:…Joint…Deformities…and…Bone…Fractures.…366…pages,…International…Universities…Press,…Madison,Connecticut,…1987

G.A.…Ilizarov.…Transosseous…Osteosynthesis.…Theoretical…and…Clinical…Aspects…of…the…Regeneration…and…Growth…of…Tissue.800…pages,…Springer-Verlag,…New…York-Berlin-Heidelberg,…1992

M.A.…Catagni,…V.…Malzev,…A.…Kirienko.…Advances…in…Ilizarov…Apparatus…Assembly.…155…pages,…Medicalplastic,…Milan,…Italy,…1994

A.…Kirienko,…A.…Vila,…J.H.…Calhoun.…Ilizarov…Technique…for…Complex…Foot…and…Ankle…Deformities.…459…pages,…Marcel…Dekker,New…York,…2004

S.R.…Rozbruch,…S.…Ilizarova.…Limb…Lengthening…and…Reconstruction…Surgery.…695…pages,…Informa…Healthcare,…New…York,…2007

D.…Paley.…Principles…of…Deformity…Correction.…806…pages,…Springer-Verlag,…New…York-Berlin-Heidelberg,…2002

図 88

図 89

TROUBLE…SHOOTING

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■代理店■製造元 ■製造販売元

●改良のため予告なく仕様を変更することもあります。

2016.09.3,000第 1版 2016 年 9月

オーソフィックス社(イタリア)

GENERAL PRINCIPLES

General Principles:Limb Lengthening and Deformity Correction withTrueLok Ring Fixation Systemトゥルーロック システム