時間gisにおける時間概念の整理

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時間 GIS のための「時間概念の整理」 同志社大学高等研究開発機構・文化情報学部 藤本悠

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Page 1: 時間GISにおける時間概念の整理

時間 GIS のための「時間概念の整理」

同志社大学高等研究開発機構・文化情報学部 藤本悠

Page 2: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間」について思うこと色々

1) コンピュータにおける時間管理の限界➢ 扱える範囲に限界がある。縄文時代は扱えない。➢ はるか「未来」も扱えない。永続的なシステムは作れない。➢ 地球でしか使えない時間。月や火星で生活できない。➢ 認知時間、物質の時間、深海生物の時間が扱えない。➢ これらのシミュレーションに問題があるのでは?

2) 討我々は洗脳されている! ... かも?➢ 学校教育における時間励行→労働者のコントロール➢ グローバル社会で世界が繋がると ...??➢ 本当に、未来に向かって進んでいるのか?➢ そもそも、「時間」って存在するのか?➢ ところで、「映画」の時間管理ってどうなってんの?

などなど 

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「時間」と「空間」について考える

Page 4: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間」とは何か?を考える

Q. 何をしている所でしょう?

A1. チーズを手に取ったところ。A2. チーズ慌てて戻すところ。

Q. 何をしている所でしょう?

A1. チーズを手に取ったところ。A2. チーズ慌てて戻すところ。

この「前」との「差」が解ればこの答えは解る ... ハズ。この「差」が「時間」であり、そのもの自体に「変化」を認めることができるものは、「時間」の概念を持つ。人でも、動物でも、植物でも、物でも ... 。

Page 5: 時間GISにおける時間概念の整理

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「現象」と「事物」と「出来事」

「私」が認識する世界

「私自身」が主体となる「出来事」

「チーズ」が主体となる「出来事」

現 象個々の「事物」がある視点で投影されて一つの「空間」に存在している状態のことを「現象」とする。

Page 6: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間」とは何か?を考える

「私」の時間「私」の時間

「皿」の時間「皿」の時間

「ビール」の時間「ビール」の時間

「グラス」の時間「グラス」の時間 「ワイン」の時間「ワイン」の時間

「植物」の時間「植物」の時間

「チーズ」の時間「チーズ」の時間

「クラッカー」の時間「クラッカー」の時間

「テーブル」の時間「テーブル」の時間

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「空間」とは何か?を考える

「私」の空間「私」の空間

「皿」の空間「皿」の空間

「ビール」の空間「ビール」の空間

「グラス」の空間「グラス」の空間 「ワイン」の空間「ワイン」の空間

「植物」の空間「植物」の空間

「チーズ」の空間「チーズ」の空間

「クラッカー」の空間「クラッカー」の空間

「テーブル」の空間「テーブル」の空間

Page 8: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間」について整理してみる

1) ある「事物」の「出来事」は記号化によって「抽象化」できる。

2) 個々の「出来事」と「事物」は「現実」には存在しなくても良い。

3) 「事物」と「出来事」の同時存在は「現象」への「写像」による。

4) 複数の「現象」は最終的に「論議領域」に「写像」される。

結局のところ、目指すべき「時空間システム」の実装は、結局はこの部分。これが実現できれば「理念型モデル化分析法( ITMA )」の実装が可能になる。今回は、これを実装するための基本的な「時間概念」について整理してみる。

結局のところ、目指すべき「時空間システム」の実装は、結局はこの部分。これが実現できれば「理念型モデル化分析法( ITMA )」の実装が可能になる。今回は、これを実装するための基本的な「時間概念」について整理してみる。

Page 9: 時間GISにおける時間概念の整理

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「論議領域」と「現象」と「事物」と「出来事」

P O

O

O

E

OO

O

E

E

E

O

O EO

E

E

OE

PP PP

P

P

P

Universe of discourse(論議領域)

システム実 装

最終的に、あらゆる「現象」は「論議領域」にまとめられる。「論議領域」はシステムが扱う範囲として定義される。

最終的に、あらゆる「現象」は「論議領域」にまとめられる。「論議領域」はシステムが扱う範囲として定義される。

現実世界をこのような入れ子状の構造として理解してみる。

現実世界をこのような入れ子状の構造として理解してみる。

「出来事」は「時間参照系」によって定義され、「事物」は「空間参照系」によって定義される。そして、「論議領域」と「現象」は、「時間参照系」と「空間参照系」によって定義される。

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UMLクラス図による表現

「出来事」と「事物」を追加する度に、それぞれ現象の参照系に変換する必要がある。

「出来事」と「事物」を追加する度に、それぞれ現象の参照系に変換する必要がある。

空間クエリ空間クエリ

時間クエリ時間クエリ

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「変化」としての「時間」を考える

Page 12: 時間GISにおける時間概念の整理

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「変化」としての「時間」

1) 「時間」の「長さ」は?➢ 「変化」した事実をのみに焦点を当てると長さは常に「 1 」➢ 「変化」の「長さ」を測るための「単位」が必要。

2) 「変化」の「方向」は?➢ 「変化」は「事後」の状態があって成立する。➢ したがって、「変化」は「現在」から「過去」に向かって進む。

3) 「時間」の「比較」は?➢ 現象における「時間」は複数の「変化」の比較を可能に。➢ 異なる「変化」を比較するには「変換式」が必要となる。

Page 13: 時間GISにおける時間概念の整理

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時間の「長さ」を考える

未来

過去 初期状態

終了状態

この「長さ」を測るためのモノサシが必要!

この「長さ」を測るためのモノサシが必要!

この「長さ」を知る必要がある。

この「長さ」を知る必要がある。

従来は、地球の公転、自転、水晶の固有振動などがモノサシの役割を担ってきた。しかし、これらの物理現象に従わない現象の時間を表すには不十分な点が多い。この部分をより厳密に定義できれば、多様な時間を扱うことができるのでは無いか?

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物理現象の「同期」で時間を測る

そもそも、人は時間を知る能力が無い。故に、独りで居る限り「時間」は不要。 → 「引き籠り」が成立する理由。

二人以上になると「共働」が必要。故に、周期的な運動に同期する。 → 「共働」に最適な方法とは?

精密な「共働」は「精度」が必要。故に、高精度の周期運動を開発する。 → 「時計」は「共働」のためのもの。

事物の時間を定義するには、より複雑な「同期」の定義が必要!その同期の方法こそが変化の長さを測るための「単位」であり、その単位を定義したものが「時間参照系」である。

Page 15: 時間GISにおける時間概念の整理

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「等速運動」に対する「同期」

-A

+A

Z 質点「 p 」が等速振幅運動すると仮定する。

質点「 p 」が等速振幅運動すると仮定する。

Tある地点から出発して元に戻る区間が「 1周期」

ある地点から出発して元に戻る区間が「 1周期」

Z

質点「 p 」の移動速度質点「 p 」の移動速度

初期位相初期位相

地球の公転、自転、クォーツ時計などの等速振幅運動 /等速円運動は、この単振動によって定義することが可能。

Page 16: 時間GISにおける時間概念の整理

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時間概念のための「単振動」

-1

+1

Z Z

質点「 p 」の移動速度を関数として定義できるようにする。

質点「 p 」の移動速度を関数として定義できるようにする。

A=±1 にしてしまう。A=±1 にしてしまう。

問題は、時間軸そのものを定めるための単位。空間参照系の定義において「地理原子」が定義されるように、時間参照系においても「時 間原子」が定義されるハズ。要検討。

問題は、時間軸そのものを定めるための単位。空間参照系の定義において「地理原子」が定義されるように、時間参照系においても「時間原子」が定義されるハズ。要検討。

Page 17: 時間GISにおける時間概念の整理

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「有限区間」の「単振動」

通常の単振動通常の単振動

1周期で完結するような単振動も認めてしまうことにする。

1周期で完結するような単振動も認めてしまうことにする。

現象が、異なる周期の重なりによって表すことができる。例えば、観念的な「春夏秋冬」。春と夏の境界は曖昧。そのような変化を表すことができる。

現象が、異なる周期の重なりによって表すことができる。例えば、観念的な「春夏秋冬」。春と夏の境界は曖昧。そのような変化を表すことができる。

Page 18: 時間GISにおける時間概念の整理

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合成された「振動」

複 数 の通常の単振動

複 数 の通常の単振動

合成して一つの振動波を作る。合成して一つの振動波を作る。

Page 19: 時間GISにおける時間概念の整理

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時間参照系を用いた変換が行われる。時間参照系を用いた変換が行われる。

結局、何が言いたいかと言うと ...

現在 過去未来

初期状態

終了状態

e0−e1=1

e0−e1=1

Page 20: 時間GISにおける時間概念の整理

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「瞬間」と「期間」を定義できる

ある変化が、複数の振幅にまたがっている場合は「期間」。

ある変化が、複数の振幅にまたがっている場合は「期間」。

ある変化が、一つの振幅に収まっている場合は「瞬間」。

ある変化が、一つの振幅に収まっている場合は「瞬間」。

「瞬間」 or「期間」を決定するのは、「出来事」自身ではなく「時間参照系」。立場によって変わっても良い。

Page 21: 時間GISにおける時間概念の整理

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UMLクラス図による表現

フーリエ級数による合成波。

フーリエ級数による合成波。

単振動の連続波。単振動の連続波。

基本的の単振動。基本的の単振動。速度が変化する単振動。速度が変化する単振動。

時間原子時間原子

時間参照系時間参照系

Page 22: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間操作」について考える

Page 23: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間位置」に関する操作

本当に、このタイミングで起きた出来事であるかは判らない→ 何かの確率分布

本当に、このタイミングで起きた出来事であるかは判らない→ 何かの確率分布

ある「出来事」は、確実にある時点で生じている→ 連続一様分布

ある「出来事」は、確実にある時点で生じている→ 連続一様分布

こ の 時 に困る 。例えば 、 あ る桜の木は 、「春の桜」なのか「夏の桜」なのか?

こ の 時 に困る 。例えば 、 あ る桜の木は 、「春の桜」なのか「夏の桜」なのか?

強引に決めない方法はあり得るか?

強引に決めない方法はあり得るか?

Page 24: 時間GISにおける時間概念の整理

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E0e1

≤E1e0

E0e0

≥E1e1

E0e0

≤E1e0

≤E0e1

∧E0e0

≤E1e1

≤E0e1

E1e0

<E0e1

<E1e1

∧E0e1

<E1e1

E0e0

<E1e1

<E0e1

∧E0e1

>E1e1

Before

After

EqualE1e0

≤E0e0

≤E1e1

∧E1e0

≤E0e1

≤E1e1

「時間序列」に関する操作本当に足りる?時間参照系の種類ごとに検討する必要がある。

本当に足りる?時間参照系の種類ごとに検討する必要がある。

Page 25: 時間GISにおける時間概念の整理

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1×12−2×

115

=0.366666667

1×14−2×

115

=0.116666667

2×17−2×

115

=0.152380952

STDEV: 0.135212100

Lost clocks

「時間損失量(?)」の検討

低周波に従う「出来事」を高周波に変換した場合に損失(?)する時間。

低周波に従う「出来事」を高周波に変換した場合に損失(?)する時間。

縮尺精度のようなもの?

縮尺精度のようなもの?

Page 26: 時間GISにおける時間概念の整理

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7×1

15−1×

12=0.033333333

2×14−1×

12=0.000000000

4×17−1×

12=0.071428570

STDEV: 0.035740730

Lost clocks

「時間損失量(?)」の検討

高周波に従う「出来事」を低周波に変換した場合に損失(?)する時間。

高周波に従う「出来事」を低周波に変換した場合に損失(?)する時間。

縮尺精度のようなもの?

縮尺精度のようなもの?

Page 27: 時間GISにおける時間概念の整理

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今後の検討課題

Page 28: 時間GISにおける時間概念の整理

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「時間関係」について

1) 「時間原子」の定義➢ 定義に必要な要件とは?➢ 「原子」そのものを新しく定義する方法は?

2) 「時間序列」の再検討➢ 「時間参照系」の種類ごとの検討。➢ 長さの異なる「出来事」の関係の検討。

3) 「時間位相」の検討➢ 異なる「出来事」間の接続関係が重要。

4) 「事物」と「時間」の関係の検討➢ 本当の意味での「時空間」の検討

Page 29: 時間GISにおける時間概念の整理

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実装方法の検討

1) DBMS への実装➢ 常識的な方法。➢ 基本的な問い合わせ文が整備されている。➢ UDF/UDT による定義が必要。複雑なものは厄介。

2) 動画としての実装➢ 意外に使えるかも ... 現在検討中。➢ 動画、静止画、音声、テキストを扱える。➢ 異なるタイムラインを扱える(?)➢ 多国語字幕の機能も使えそう。➢ 空間データの取り扱い方法を考える必要がある。➢ 基本的な問い合わせ方法を検討する必要がある。

「妄想」に終わる可 能性は否定できない ... 。

「妄想」に終わる可 能性は否定できない ... 。

Page 30: 時間GISにおける時間概念の整理

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最後に ...

Page 31: 時間GISにおける時間概念の整理

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ちょっと宣伝

もっと、実践的な活動。第一回は、調査におけるマルチメディアフォーマット、 NFCの可能性、フィールド調査における ARの利用方法などについて検討してみようかと ... 。具体的なことは未定。

もっと、実践的な活動。第一回は、調査におけるマルチメディアフォーマット、 NFCの可能性、フィールド調査における ARの利用方法などについて検討してみようかと ... 。具体的なことは未定。