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2016/10/29
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⽜ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染症の病態と対策
酪農学園⼤学獣医学群獣医学類⽣産動物医療学分野⽣産動物内科学1ユニット
⽥島誉⼠
中央畜産会平成28年度家畜伝染病等危機管理対策強化講習会
⽜ウイルス性下痢ウイルスBovine viral diarrhea virus (BVDV)
フラビウイルス科ペスチウイルス属Classicalswinefevervirus(豚コレラウイルス),Borderdiseasevirus(羊)BVDV1,BVDV2
感染⾨⼾(レセプター):CD46(C3borC4bbindingmembraneco-factorprotein)胸腺細胞、リンパ球、単球、顆粒球、NK細胞、⾎⼩板、内⽪細胞、上⽪細胞、繊維芽細胞に発現
病原性: 下痢粘膜病( BVD-MD)の病原因⼦他のウイルス、細菌、真菌、寄⽣⾍などの
⼆次感染を誘発する
→⾎管内の⾚⾎球以外のすべての細胞に侵⼊できる
細胞病原性cytopathogenic (CP)細胞⾮病原性non-cytopathogenic (nonCP, NCP)
細胞⽣物型Biotype
No.12, Nose, KS86-1, T-20, KZ, NADL, singer, SD-1, Osloss, …
抗原型(株)Antigenicity
1 (type1),2 (type2)
遺伝⼦型Genotype
BVD-MDとは?牛ウイルス性下痢粘膜病
持続感染牛(PI)とは?
⽇本の家畜伝染病予防法に記されている病名;法律⽤語
BVDV 1 BVDV 2
ncp
cp
持続感染(PI)
cp
ncp妊娠牛
粘膜病(MD)
cp
妊娠牛がnon-cp BVDVに感染(妊娠 ?ー150 日)
non-cp BVDVに持続感染(免疫寛容)
non-cp BVDVに遺伝子変異
粘膜病散発的な発生致死率100%
cpおよびnon-cp BVDV両方のウイルスが分離される
NS2-3→NS3
持続感染牛の出現と粘膜病の発生
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9胎 齢 ( ⽉ )
胚芽死
免疫寛容(持続感染牛)
奇形・先天異常
免疫応答でウイルスを排除し
正常に生まれる
流 産
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下痢粘膜病肺炎
発育不良中枢神経異常糖尿病繁殖障害皮膚病骨格異常無症状
BVDV持続感染⽜に認められた症状の発現率(%)
86665265
215ー33
9ー
〜2000までの76例26.313.120.439.56.61.35.30.74.6
37.5
2001〜の152例
17.07.6
13.826.14.00.72.90.72.5
57.6
2001〜2013の276例 PI⽜が妊娠すると
⽣まれてくる⼦は必ずPI
不受胎、流産を繰り返す⽜は感染の事実が究明されることなく淘汰される
⽜群内で急性感染が拡⼤
BVDV 1 BVDV 2
ncp
cp
持続感染(PI)
cp
ncp妊娠牛
粘膜病(MD)
cp
一時的感染(急性感染)
PI
流産
どこからかPI⽜が侵⼊胎⼦感染PI⽜が妊娠
少なくとも280⽇
PI⽜が分娩して泌乳し始めるとバルク乳検査の摘発対象となる
①
②
③
PI⽜が居着いてBVDVが蔓延する様式
これが⽜群間を移動すれば、トロイの⼦⽜になる
時間経過
現在
現実的な流⾏様式
年齢
時 間 経 過
3 mths
6 mths
1 yr
2 yrs
3 yrs
4 yrs
5 yrs
6 yrs
7 yrs8 yrs
BVDおよびBLVの年別届出状況(頭数:北海道/全国)
動物衛生研究所「家畜監視伝染病発生状況」および北海道農政部「道内の家畜の伝染性疾病発⽣状況」を基に作成
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016(6月)
BVD 62/125
46/71
82/111
75/93
103/165
86/ 162
100/162
49/86
71/105
71/104
172/228
124/189
127/228
167/ 259
248/ 310
171/239
BLV 16/194
39/247
67/407
64/468
90/587
102/772
156/838
177/1040
233/1368
288/1775
265/1765
313/2090
289/2310
392/2415
494/ 2869
262/1564
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 150
50
100
150
200
250
300
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
頭 頭
全国
北海道全国
北海道
BVD BLV
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どのようにして効率的にBVDVPIを摘発するか
PIが排出するウイルス量は超⼤量である⾎液、尿、糞、乳汁、唾液などが検査材料として使⽤可能
乳⽜ バルクタンク乳を利⽤しウイルス遺伝⼦を検出 PI泌乳⽜しか摘発できない
抗体検査は利⽤できない
⼦⽜?育成⽜?⾁⽜?
要するにBVDVとは、
→密かに牛群に潜み
PI牛が牛群内にウイルスをばらまき
→急性感染によって牛群の感染抵抗力を低下させ
→直接的、間接的に牛群の生産性を低下させるという多大な経済的損失をもたらすウイルスである
⽜群内でどのようにうつるのか?
防疫対策は?
→伝播は容易、しかし免疫応答ですぐ排除
→当たり前の消毒対策で⼗分ただし、⼦宮内感染阻⽌が重要
されるはず、、
ワクチンは?
BVDVフリーにするためには
Ø必要性を認識し、やろうとする意識を持ち続けるØ地域の取組として体制を整えるØ合意が得られなければ、地道にやっていく
⽅法バルク乳検査
陰性
陽性
検査の継続(年1〜2回)
個体検査でPI⽜の摘発 出⽣⼦⽜の検査(1年〜)
清浄化確認
⼦⽜、育成⽜の検査 :公共牧野、預託牧場、カーフセンターなどへの⼊場前検査
検査して、もしでたら⾵評被害が!? 逆です。検査してないことが評判を悪くする
陽性⽜の補償は? 陽性⽜以外の⽜群内の⽜が保証されます