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ICT利活用による 便利な市役所推進計画 (案) 平成 佐世保市

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ICT利活用による

便利な市役所推進計画

(案)

平成 年 月

佐世保市

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目次

第1章 計画の基本的な考え方 ................................................................ 3

1.計画の主旨 ................................................................................ 3

2.計画の位置付け ........................................................................... 3

3.計画期間 ................................................................................... 4

第2章 本市情報化の進展 ..................................................................... 5

1.佐世保市地域情報化基本計画~新電子自治体推進計画 ............................. 5

2.新電子自治体推進計画の取り組み結果 ................................................ 6

第3章 情報化の動向 ........................................................................... 8

1.本市を取り巻く情報通信技術(ICT)の動向 ..................................... 8

(1)概要 ................................................................................... 8

(2)キーワード ........................................................................... 9

2.関係機関の動向 .......................................................................... 14

(1)国の動向 ............................................................................. 14

(2)長崎県の動向 ....................................................................... 17

第4章 本市情報化の現状分析 ............................................................... 18

1.市民ニーズの推移 ....................................................................... 18

2.庁内における情報システムの方向性 .................................................. 20

第5章 本市情報化の基本的な考え方 ....................................................... 21

1.情報化の取り組みへのアプローチ .................................................... 21

2.情報化の課題 ............................................................................. 22

3.情報化の基本方針 ....................................................................... 25

4.情報化の目標 ............................................................................. 26

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5.情報化の取り組みの体系 ............................................................... 28

(1)情報化の取り組みへのアプローチから見た体系 ............................... 28

(2)総合計画から見た取り組み体系 .................................................. 29

第6章 本市情報化の取り組み ............................................................... 31

1.情報化の取り組みの分類 ............................................................... 31

2.主要な情報化事業 ....................................................................... 32

(1)経営の視点による行政運営 ....................................................... 32

(2)市民協働によるまちづくり ....................................................... 45

(3)災害に強いまちづくり ............................................................. 49

3.主要な情報化事業候補の検討 .......................................................... 53

(1)経営の視点による行政運営 ....................................................... 53

(2)出逢いと感動の観光まちづくり .................................................. 57

(3)健康を支える環境づくり .......................................................... 61

(4)学校教育の充実 ..................................................................... 63

(5)災害に強いまちづくり ............................................................. 65

第7章 計画の推進体制 ....................................................................... 67

1.ICTガバナンスの考え方 ............................................................ 67

2.ICTガバナンスの体制 ............................................................... 68

3.主要なICTガバナンス ............................................................... 69

4.情報セキュリティ対策 .................................................................. 75

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第1章 計画の基本的な考え方

1.計画の主旨

本市は、平成 22 年 4 月に策定した「新電子自治体推進計画~便利な市役所推

進計画~」に基づき、情報通信技術(Information and Communications

Technology、以下「ICT」という。)を利活用した行政サービス改革を推進し、

誰もが便利だと思える市役所づくりに努めてきました。

今回、策定する「ICT 利活用による便利な市役所推進計画」(以下「本計画」

という。)は、新電子自治体推進計画の後継計画として、基本的な考え方は継承

しつつ、今後、本市が情報化を推進していくうえでの基本方針や具体的な取り組

みを示すものです。

なお、基本方針や具体的な取り組みについては、上位計画である第 6 次佐世保

市総合計画との整合を図りつつ、また、新電子自治体推進計画の検証結果や国、

他自治体等の動向をふまえたうえで策定するものです。

2.計画の位置付け

ICT は、本市の将来像である「ひと・まち育む”キラっ都”佐世保~自然ととも

に市民の元気で輝くまち~」を実現するため、各分野で実施する施策や事業の下

支えとなる基盤としての役割を担っています。

本計画は、ICT 分野に関する分野別計画であり、本市の総合計画を補完する計

画として位置付けるものです。

計画の位置付け

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3.計画期間

本計画の計画期間は、平成 27 年度から平成 31 年度までの 5 年間とします。

計画期間

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第2章 本市情報化の進展

1.佐世保市地域情報化基本計画~新電子自治体推進計画

本市は、平成 12 年 6 月、行政の情報化と地域の情報化を一体的に推進するこ

とを目的として「佐世保市地域情報化基本計画」を策定しました。

その計画期間中(平成 12 年度~平成 21 年度)において、行政の情報化の観点

からは、地域イントラネットや大型汎用コンピュータの刷新など、平成 22 年度

以降の本市の電子自治体構築・推進に向けて、拡張性や経済性を高める ICT 基盤

の整備を行いました。

また、地域の情報化の観点からは、市役所ホームページの開設や公共施設予約

サービスの開始など、インターネットを活用した情報発信や行政手続きの電子化

を進めてきました。

この期間は、インターネットやパソコン等の ICT が著しく高度化し、それにあ

わせて社会や経済が大きく変革した時期でもあり、電子自治体という大きな流れ

のもと、本市の情報化も着実に進展したといえます。

次に、新電子自治体推進計画の計画期間中(平成 22 年度~平成 26 年度)にお

いては、コンビニ納付や証明書自動交付機等の設置など、佐世保市地域情報化基

本計画の期間中に整備した ICT 基盤を活用して、新たなサービス提供を開始しま

した。

また、市役所ホームページ等におけるクラウドサービス1の利用や民間ソーシャ

ルメディア2(Social Networking Service、以下「SNS」という。)の活用、仮

想化技術の導入など、最新の技術動向や社会ニーズにも柔軟に対応しながら、計

画の目標である「誰もが便利だと思える市役所づくり」を実現するための取り組

みを進めてきました。

1 従来、利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、事業者がネットワーク経

由でサービスとして利用者に提供するもの。 2 フェイスブックやツイッター等の人と人とのつながりを支援するインターネット上のサービス。共通の

趣味などを持つ人たちと「コミュニティ」でのメッセージのやり取りを行い、友達の輪を強めたり、広げ

たりできる。

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2.新電子自治体推進計画の取り組み結果

新電子自治体推進計画では、便利な市役所を実現するための取り組みを「情報

化の課題」とし、また、計画を推進するための体制や技術、コスト等の管理とい

った組織活動の在り方を「ICT ガバナンスの課題」として、各課題を解決するた

めの取り組みを進めてきました。

新電子自治体推進計画の取り組み結果

№ 主要事業名 実施内容・現状

1

市民コミュニティ情報シ

ステム(市役所ホームペ

ージ)の充実など

平成 25 年度に市役所ホームページをリニューアル

(クラウドサービスの利用、スマートフォン等への

対応)。

新たなサービスとして、平成 22 年度には

YouTube3を活用した動画による情報提供を開始、

平成 24 年度には市公式フェイスブックページ及び

ツイッターを開設するなど、多様化する市民の情報

ニーズへの対応に努めています。

2

IT を活用した広聴ツール

(市民の声を市政に反映

させる手段)の活用推進

市政モニター制度の導入について、先進自治体の事

例等を参考に検討を行ってきましたが、既存の広聴

ツールとのすみわけや制度設計、費用対効果につい

て十分な整理ができず、制度の導入には至りません

でした。

3

利用頻度の高い各種証明

書を 1 箇所で提供できる

仕組み

平成 26 年 4 月に「総合窓口・番号制度準備室」を

設置。平成 29 年春までの総合窓口の開設を目指し

て、利用頻度の高い各種証明書を 1 箇所で取得でき

る仕組みを含めた検討を進めています。

4

証明書自動交付機等の設

平成 24 年度に証明書自動交付機等による証明書発

行サービスを開始。平成 27 年 3 月末現在、住民票

の写しや印鑑登録証明書、所得課税証明書を取得す

ることができます。

5

転入・転出等住民の異動

時に必要な手続きの総合

案内サービス

総合窓口・番号制度準備室を設置し、平成 29 年春

までの総合窓口の開設を目指して検討を進めていま

す。まずは、ライフイベントのうち多くの手続きを

伴う「転入」を主な対象とします。

3 ユーチューブ、世界中で使用されている民間の動画配信サイト。行政サービスを動画で配信するための

ツールとしても活用されている。

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№ 主要事業名 実施内容・現状

6

電子申請(インターネッ

トを活用した電子行政手

続)の推進

国の「電子自治体オンライン利用促進指針」におい

て、オンライン利用促進対象手続に選定された 21

手続きのうち、5 手続きの電子申請を導入しまし

た。

7

コールセンター(電話で

の問合せに 1 箇所で回答

できる仕組み)の検討と

試行

夜間玄関でのコールセンターサービスの試行や先進

自治体の事例等を参考に検討を行ってきましたが、

費用対効果について十分な整理ができず、サービス

の提供までには至りませんでした。

8

公文書の集中管理や決裁

の電子化、公文書情報の

公開など

電子決裁・文書管理システムの導入については、他

の自治体の事例等を参考に検討を行ってきました

が、システム化による課題や費用対効果、あるべき

姿について十分な整理ができず、システム化には至

りませんでした。

9

全国的な共通 IT 事業への

対応など

総合窓口・番号制度準備室を設置し、マイナンバー

制度の導入により、行政手続きの簡素化(市民サー

ビスの向上)や業務の効率化を図るため、検討を進

めています。

10

電子申告(インターネッ

トを活用した申告手続

eL-TAX)の推進

平成 22 年度にインターネットを活用した地方税の

申告手続きシステム(eL-TAX:エルタックス)の

仕組みを整備。電子申告率(eL-TAX の利用率)は

年々増加しています。

11

コンビニエンスストア

(以下「コンビニ」とい

う。)の活用など時間に

縛られない納付機会の創

平成 22 年度に軽自動車税のコンビニ納付を開始。

以降、他税目・料目にも拡大し、平成 27 年 1 月末

現在、水道料金、下水道料金、市県民税、固定資産

税、国民健康保険税、奨学金でコンビニ納付を利用

することができます。

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第3章 情報化の動向

1.本市を取り巻く情報通信技術(ICT)の動向

(1)概要

私たちを取り巻く ICT は、近年、急速に技術革新が進んでいます。この革新

により公共サービスやビジネス、日常生活等のあらゆるところで、利便性向上

の観点から様々な変化が起きています。

この変化をもたらした主な背景としては、大容量かつ高速通信を可能とする

インターネット環境の急速な浸透と、クラウド技術という新しい情報処理技術

の進展が考えられます。これらにより、SNS 等の新たな ICT を利活用したサー

ビスが展開され、全世界に普及しています。また、スマートフォンやタブレッ

ト端末が、私たちの日常生活だけでなく、行政及びビジネスにおける業務にも

影響を及ぼしています。

更に、国の施策として、平成 27 年 10 月にマイナンバー制度の開始が予定さ

れており、今後、私たちの日常生活にも大きな変化をもたらすことが予想され

ます。

本市は、このような ICT の急速な発展やマイナンバー制度等に対応し、より

良い市民サービスの提供を目指し、ICT を利活用した便利な市役所づくりに取

り組んでいきます。

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(2)キーワード

ここでは、本市を取り巻く ICT の動向に関連するキーワードのうち、本計画

に記載している情報化の取り組みと特に関連が強い「マイナンバー制度」、

「ワンストップサービス」、「オープンデータ」、「G 空間情報」、「双方向

コミュニケーション」、「クラウドサービス」の概要を説明します。

①マイナンバー制度

マイナンバー制度は、複数の機関(市役所・税務署・年金事務所等)に存

在する特定の個人情報について、同一人の情報であることの確認を行う基盤

であり、社会保障や税制度等の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性

の高い、公平・公正な社会を実現するための社会基盤です。

国民に対して、「新たな個人番号(マイナンバー)」を一人につき 1 番号

で重複が無いように付番し、最新の基本 4 情報(氏名・住所・生年月日・性

別)等と関連付けます。そして、それぞれの機関で管理している同一人の情

報を個人番号と紐付けし、関係機関間で相互に活用することによって、その

人にとって必要なサービスを漏れなく提供でき、また、各種申請手続きの簡

素化や書類の確認作業等の軽減が実現します。

なお、関係機関間の情報連携にあたって、それぞれの機関は事前に「特定

個人情報保護評価」を実施し、個人のプライバシー等の権利利益を脅かすよ

うなリスクを分析するなど、そのリスクを軽減するために講じた措置を明ら

かにした上で、マイナンバーを活用する必要があります。

マイナンバー制度の概要

出典:マイナンバー広報資料(内閣官房)

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主要なスケジュール

平成 27 年 10 月 全ての国民への番号通知

平成 28 年 1 月 マイナンバー制度開始、個人番号カードの交付

平成 29 年 1 月 国の機関間の連携開始

平成 29 年 7 月 地方公共団体との連携開始

出典:マイナンバー広報資料(内閣官房)

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②ワンストップサービス

行政での代表的なワンストップサービスとは、住民の利便性を向上するた

めに、住民が複数の窓口で行っている手続きを 1 ヶ所の窓口で完了できるよ

うにするサービスのことです。

従来の行政の窓口は、手続きを担当する部署が異なれば、その窓口の場所

も異なっているのが一般的でした。このため、住民は、複数の手続き又は複

数の部署が関連する手続きを行う場合、異なるフロア又は建物にある複数の

窓口間を移動する必要がありました。

こうした行政目線の仕組みではなく、住民の利便性を考慮したうえで、

ICT を利活用して、複数の行政手続きを 1 ヶ所の窓口で完了できる仕組みが

求められるようになりました。

また、ワンストップサービスを実現することにより、住民にとっての利便

性が向上するだけではなく、住民に関する各種情報を必要に応じて共有化

し、一連の手続きに関する受付、書類交付等の処理を一度で完了できるよう

になるため、行政にとっても業務の効率化が図られます。

◎三線式の窓口(これからの窓口)

窓口の担当者が複数の異なる申請の「受付」と書類の「交付」を行い、

オペレーターがシステムへの「入力」を行った後、後方で申請内容の

「審査、承認」を行う方法です。ワンストップサービスで三線式を採用

した場合、一連の処理を分担することによる処理の効率化が図られるた

め、受付までの待ち時間を減らすことができ、ひいては全体としての待

ち時間も減らすことができます。

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③オープンデータ

オープンデータとは、機械判読に適したデータ形式で、二次利用が可能な

利用ルールで公開されたデータであり、人手を多くかけずにデータの二次利

用を可能とするものです。

地方自治体にとってオープンデータは、住民が暮らしやすい街づくりや行

政の「見える化」等に貢献することが期待されており、鯖江市(福井県)や

横浜市(神奈川県)等は、行政が保有しているデータをオープンデータとし

て公開し、それを活用してサービスを提供するといった取り組みを行ってい

ます。

また、流山市(千葉県)や会津若松市(福島県)、金沢市(石川県)は、

一部公共データの公開に取り組んでいます。

更に、武雄市(佐賀県)、千葉市(千葉県)、奈良市(奈良県)及び福岡

市(福岡県)の 4 市が、オープンデータを活用した具体的な事業展開に向け

て、平成 26 年 4 月にビッグデータ・オープンデータの活用を検討及び推進

する協議会を設置しました。

一方、国では、オープンデータ推進の一環として、公共クラウドシステム

を構築しました。このシステムは、全国の自治体が保有する観光情報を一元

管理するデータベースです。全国の自治体がシステムに登録したデータは、

民間事業者や国民等が二次利用することを目的として公開されます。今後、

国は観光情報以外のデータについても一元管理・公開の対象に随時追加する

予定です。

なお、世界の各都市で、平成 26 年 2 月に「インターナショナル・オープン

データ・デイ」が開催され、一斉にオープンデータを活用したハッカソン4等

のイベントが行われました。このイベントには、日本では 8 都市、世界では

100 を超える地域が参加しました。

これらのようにオープンデータの活用を推進する具体的な動きが近年広が

りつつあります。

4 Hack(ハック、うまくやるの意)を Marathon(マラソン)のように行うことから、これらを組み合

わせた造語。特定のデータを対象にテーマを決めて、短期間(例えば 1 日)でアイデアを出し合いながら

実際に開発し発表し合うイベントのこと。

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④G空間情報

G 空間情報(地理空間情報)とは、位置(住所や緯度経度)の情報とそれに

関連付けられた地図、統計情報、台帳情報、航空写真等の様々な情報のことで

す。例えば、インターネットの地図サービスで提供されている情報(地図やお

店の場所及びメニュー、バス及び電車の時刻表など)も G 空間情報に含まれま

す。

現在、G空間情報は、地理情報システム(Geographical Information System、

以下「GIS」という。)により、インターネットで電子情報として提供されるこ

とが多く、日常生活や行政機関の運営、企業のサービス展開等の多くの場面で

活用されています。

⑤双方向コミュニケーション

行政のコミュニケーション(行政と住民との間の双方向コミュニケーション)

活動には、施策の展開にあたって、その施策の内容及び実施方法を告知する広

報制度と、住民の意見及び要望等を聴く広聴制度の 2 つがあります。

この 2 つの制度は、広報は行政から住民へ、広聴は住民から行政への一方

通行になる傾向があることから、実際には双方向コミュニケーションとは言い

難いものでした。

そのため、行政は SNS のように、従来は行うことが難しかった双方向コミ

ュニケーションを実現する機能を持つサービスを活用し、広報と広聴の壁を無

くして、住民サービスの向上及び行政への参画を推進しています。

⑥クラウドサービス

クラウドサービスの利用者は、最低限の環境(パソコンやスマートフォン、

タブレット等の端末とインターネット接続環境)を用意することにより、どの

端末からでも、様々なサービスを利用することができます。

サービスを利用しますと、特定の端末に依存せずに様々なデータやファイル

を利用できたり、保管できたりすることで利便性や安全性が増し、更に、写真

や動画など容量の大きなデータもインターネット上に保存することにより、端

末の保存容量が枯渇することが少なくなる等の利点があります。

一方で、地方自治体や企業は、業務で利用する情報システムのハードウェア

やソフトウェア、データ等を自ら保有及び管理していましたが、クラウドサー

ビスを利用した場合は、それらを庁舎や社屋とは別の場所にある堅固なセキュ

リティ対策を備えた施設で管理することになるため、情報システムの構築に必

要なハードウェアの購入や構築及び管理等に費やしている多くの資源を削減

することができます。

また、クラウドサービスを提供する事業者が保有するコンピュータの資源を、

必要な時に、必要な分だけ利用することにより、業務の効率化や情報システム

に関する費用の削減を図ることができます。

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2.関係機関の動向

(1)国の動向

国は、新たな国民主権の社会の確立を目標として、平成 22 年 5 月に「新た

な情報通信技術戦略」を策定し、「国民本位の電子行政の実現」や「地域の絆

の再生」、「新市場の創出と国際展開」を重点戦略としました。そして、同年

6 月に同戦略の実現に向けて、「新たな情報通信技術戦略工程表」を策定し、

具体的な取り組みや期限、達成すべき事項等を明らかにしました。

また、世界最高水準の IT 利活用社会の実現を目標として、平成 25 年 6 月に

国の新たな IT 戦略である「①世界最先端 IT 国家創造宣言」を策定し、平成

30 年までに目指すべき社会・姿を明らかにし、その実現に必要な取り組み等

を示しました。あわせて、同宣言の実現に向けて、「世界最先端 IT 国家創造

宣言工程表」を策定し、具体的な取り組みや期限、達成すべき事項等を明らか

にしました。

一方で、国は、電子自治体の取り組みを推進する観点から、世界最先端 IT

国家創造宣言をふまえて、平成 26 年 3 月に「②電子自治体の取組みを加速す

るための 10 の指針」を策定し、行政情報システムの改革に関して地方自治体

に期待される具体的な取り組みを示しました。

我が国のIT戦略と電子自治体の展開

出典:我が国の IT 戦略と電子自治体の展開(総務省)

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①世界最先端IT国家創造宣言

Ⅰ.基本理念

1.閉塞を打破し、再生する日本へ

景気長期低迷・経済成長率の鈍化による国際的地位の後退

少子高齢化、社会保障給付費増大、大規模災害対策等、課題先進国

「成長戦略」の柱として、IT を成長エンジンとして活用し、日本の

閉塞の打破、持続的な成長と発展

2.世界最高水準のIT利活用社会の実現に向けて

過去の反省を踏まえ、IT 総合戦略本部、政府 CIOにより、省庁の縦割

りを打破、政府全体を横串で通し、IT 施策の前進、政策課題への取組

IT 利活用の裾野拡大に向けた組織の壁・制度、ルールの打破、成功

モデルの実証・提示・国際展開

5 年程度の期間(平成 32 年)での実現

Ⅱ.目指すべき社会・姿

世界最高水準の IT 利活用社会の実現と成果の国際展開を目標とし、以下

の 3 項目を柱として取り組む。

1.革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長を促進する社会の実現

公共データの民間開放(オープンデータ)の推進、ビッグデータの利

活用推進(パーソナルデータの流通・促進等)

農業・周辺産業の高度化・知識産業化

オープンイノベーションの推進等

地域(離島を含む。)の活性化

次世代放送サービスの実現による映像産業分野の新事業の創出

2.健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害に強い社会

健康長寿社会の実現

世界一安全で災害に強い社会の実現

効率的・安定的なエネルギーマネジメントの実現

世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現

雇用形態の多様化とワークライフバランスの実現

3.公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会

の実現

利便性の高い電子行政サービスの提供

国・地方を通じた行政情報システムの改革

政府における IT ガバナンスの強化

出典:世界最先端 IT 国家創造宣言(首相官邸)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20140624/siryou1.pdf

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②電子自治体の取組みを加速するための 10の指針

世界最先端 IT 国家創造宣言及び地方自治体を取り巻く環境の変化等をふま

えて、自治体クラウドの導入をはじめとした、地方自治体の電子自治体に係

る取組みを一層促進することを目的としています。

この指針のポイントは次のとおりです。

マイナンバー制度の開始を契機とし、自治体クラウドの導入をはじめ

とする情報システムの効率化に取り組む。

オープンデータや新たな ICT 技術の利活用を通じた住民利便性の向上

に取り組む。

セキュリティの確保や PDCA サイクルの構築等、電子自治体推進のた

めの体制整備に取り組む。

電子自治体の取組みを加速するための 10の指針

Ⅰ.マイナンバー制度開始に併せた自治体クラウド導入の取組み加速

指針 1 マイナンバー制度の開始に併せた自治体クラウドの導入

指針 2 大規模な地方公共団体における既存システムのオープン化・クラウ

ド化等の徹底

指針 3 都道府県による域内市区町村の自治体クラウドの取組み加速

指針 4 地域の実情に応じた自治体クラウド実施体制の選択及び自治体クラ

ウド導入を見据えた人材育成・確保

指針 5 パッケージシステムの機能等と照合した業務フローの棚卸し・業務

標準化によるシステムカスタマイズの抑制

指針 6 明確な SLA5の締結、中間標準レイアウトの活用等による最適な調

達手法の検討

Ⅱ.ICT利活用による住民利便性の向上

指針 7 オープンデータの推進に向けて、地方公共団体が保有するデータに

対するニーズの精査及び推進体制の整備

指針 8 ICT 利活用による更なる住民満足度向上の実現

Ⅲ.電子自治体推進のための体制整備

指針 9 CISO6機能の明確化等、情報セキュリティに関する人材・体制の強

指針 10 チェックリストを活用した強力な PDCA の構築

出典:電子自治体の取組みを加速するための 10 の指針(総務省)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000281454.pdf

5 Service Level Agreement:サービス提供者が契約者に保証する品質の程度を明示したもの。 6 Chief Information Security Officer:最高情報セキュリティ責任者

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(2)長崎県の動向

県は、「長崎県総合計画(計画期間:平成 23~27 年度)」の基本理念であ

る「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県づくり」を実現するための諸政

策を、ICT の利活用により加速させることを基本理念として、平成 24 年 3 月

に「ながさき ICT 利活用推進指針」(計画期間:平成 24~27 年度)を策定し

ました。この指針では、離島をはじめとした人口減少・高齢化の進行や低迷す

るインターネット利活用の普及促進、ICT の多様な機能の利活用といった情報

化を取り巻く環境の変化への対応等を背景として、施策展開の 4 つの視点が以

下のとおり示されています。

情報化を支える基盤整備

地域情報化(ICT 利活用)

公的サービス提供手段の多様化・低廉化

事業機会の創出や労働生産性の向上

新たなコミュニケーション空間の創出

行政情報化(ICT 利活用)

県庁内:知的生産性の向上

市町:情報システムの共同化

情報セキュリティ対策

業務継続計画(Business Continuity Plan、以下「BCP」とい

う。)

情報リテラシーの向上

また、全国的に注目されている、地域の IT 需要を地域で賄う「IT の地産地

消」の取り組みとして「ながさき IT モデル」があります。具体的には、シス

テムの開発において、県が詳細な設計書を作成するとともに、公開された技術

を活用し、適正な規模で分割発注することにより、特定の事業者に依存するこ

となく、地場企業でも技術力があれば参入できる手法です。この手法を用い

て、システムのコスト削減と地元企業の振興に取り組まれています。

このような先進的な取り組みのもと、県は自治体におけるシステム共同化を

推進しており、「長崎県電子県庁システム」の自治体への提供などは、本計画

における目標を達成するための有効な手段として期待できます。

※本項については、長崎県の「ながさき ICT 利活用推進指針」より表現を引用

しています。

◎ながさき ICT 利活用推進指針

https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2013/06/137118620

6.pdf

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18

第4章 本市情報化の現状分析

1.市民ニーズの推移

新電子自治体推進計画に基づく取り組みに対する市民の評価や、市民が電子自

治体(便利な市役所)に求めるニーズの把握を行い、本計画策定の参考にするた

めに、平成 26 年 9~10 月に本市内に在住・在勤・在学している方等を対象にし

て「佐世保市の情報化に関するアンケート調査」を実施しました。(有効回答数

524)

その中で、今後期待する情報化施策については、平成 20 年度に実施した前回

の調査(佐世保市地域情報化市民アンケート調査)と比較すると、次頁の「今後

期待する情報化施策(サービス)」のとおり、「災害時などの緊急時にも情報が

すばやく通知される」(60.3%・前回:42%)、「災害時にインターネットを

通じて安否確認や災害情報の確認ができる」(49.8%・前回:22%)といった

安全・安心に関するニーズが高まりました。

これは、平成 23 年に発生した東日本大震災や、今回の調査を実施する直前に

発生した平成 26 年 8 月豪雨による土砂災害の影響によるものと思われます。

また、前回の調査と同様に「一つの窓口で様々な市役所のサービスを受けるこ

とができる」(53.6%)、「住民票などの交付がコンビニエンスストアででき

る」(41.2%)といった行政手続きの簡素化及び利便性の向上に関するニーズも

高いものでした。

今回の調査の傾向として、業務効率化による経費等の削減よりも市民サービス

の向上につながるような施策を望まれるご意見及びご提案等が多数寄せられまし

た。

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今後期待する情報化施策(サービス)

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2.庁内における情報システムの方向性

国は、世界最先端 IT 国家創造宣言において、「クラウドの徹底活用により、

大規模な効率化と縦割りを打破したシームレスな連携、変化への迅速かつ柔軟な

対応力の向上を図り、効率的な行政運営と徹底したコスト削減を実現する。」と

しています。

本市は、以下の考え方(方向性)に基づき、クラウドと仮想サーバの活用を推

進します。

【クラウドの活用】

本市では、規模が大きく、かつ市民サービスの提供に及ぼす影響が大きいシ

ステムのうち、システムに関するコストの低減や大規模災害時の業務継続、セ

キュリティ技術等の観点から、高い導入効果が期待できるシステムについて

は、クラウド利用を推進しています。この方向性に基づき、平成 25 年度から

住民記録・税業務等の基幹系システムやホームページ更新システム、公共施設

予約システムについて、クラウドによる運用を開始しています。

このことから、特にシステムに関するコストについては、本庁舎にサーバを

設置する方式に比べて、ライフサイクルコスト7の削減や、ハードウェアの更新

及び障害対応等のシステムの運用管理に関する人件費の低減が図られます。

また、業務継続やセキュリティ技術については、庁舎とは別の堅固な専用施

設でデータが保全されることにより、大規模災害時に庁舎が損壊した場合で

も、システムの早期復旧や業務の継続が見込まれます。

【仮想サーバの活用】

仮想サーバとは、システム毎に構築していた多数の物理的なサーバを、庁内

に設置する少数のサーバに集約・統一化することです。これを住居に例える

と、物理的なサーバは「一戸建て」、仮想サーバは「集合住宅」ということが

できます。一戸建ては、それぞれ維持管理に関するコストや、防犯レベルがま

ちまちですが、集合住宅は少ない土地で必要な住環境を維持しつつ、維持管理

に関するコストの低減や全体的に統一された高い防犯性を期待できます。

本市は、平成 25 年度から仮想サーバの運用を開始し、小規模なシステムや

クラウドの方向性等に該当しないシステムについては、システム導入や更新時

にあわせて、仮想サーバへ統合することにより、クラウドと同様の効果を見込

んでいます。

7 情報システムの企画、設計、開発、運用の各段階におけるコスト。

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21

第5章 本市情報化の基本的な考え方

1.情報化の取り組みへのアプローチ

「第 2 章 本市情報化の進展」や「第 3 章 情報化の動向」、「第 4 章 本市情

報化の現状分析」で記載した内容をふまえて、以下のアプローチで本計画におけ

る情報化の取り組みを整理しました。

背景

•本市を取り巻く「背景」は、国や県、市の指針・計画、本市情報化に関するアンケート調査の結果等から横断的に整理しました。⇒「2.情報化の課題」

現状

問題点

•第6次佐世保市総合計画における基本目標及び政策のうち、上記で整理した「背景」に紐付くものから、本市の「現状・問題点」を取り上げました。⇒「2.情報化の課題」

課題

•「現状・問題点」をふまえて、本市のあるべき姿を「課題」として設定しました。⇒「2.情報化の課題」

基本方針

•本計画における情報化の取り組みを検討するにあたって、総合計画の背景と趣旨をもとに「基本方針」を設定しました。⇒「3.情報化の基本方針」

目標

•「課題」の解決に向けて、本計画の期間中における情報化の「目標」を設定しました。⇒「4.情報化の目標」

情報化の

取り組み

•「基本方針」に基づき、「目標」を達成するための手段となる「情報化の取り組み」を整理しました。⇒「第6章 本市情報化の取り組み」、「第7章 計画の推進体制」

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2.情報化の課題

「1.情報化の取り組みへのアプローチ」に基づき、「背景」や「現状・問題

点」、「課題」を下表のとおり整理しました。

本市の背景、現状・問題点、課題一覧表

背景 現状・問題点 情報化の課題

利用者の視点に立

った電子行政サー

ビス及び業務改革

を実現します。

ライフイベントに関する

行政の手続きを行う場

合、本庁舎・すこやかプ

ラザ内の複数の窓口に行

く必要があります。

課題1:ICT を利活用した行政手

続きの簡素化(窓口)

窓口の利便性向上とあわせて、

マイナンバーや個人番号カードを

利活用した独自のサービスの提供

が必要です。

インターネット(市役所

ホームページ等)をお使

いにならない方は、市役

所の閉庁時間帯に必要な

情報を入手できないこと

があります。

課題2:庁舎閉庁時間帯のサービ

スレベル向上

市役所の閉庁時間帯(勤務時間

外、土・日・祝日)におけるサー

ビスレベルの向上が必要です。

国が提示する 21 の電子申

請について、整備・検討

が十分に進んでいませ

ん。(施設予約など 5 つ

は実施済み)

課題3:電子申請の対象手続きの

拡張

国が提示する 21 の手続きのう

ち、残り 16 の手続きについて、

簡素化につながる行政手続きの電

子化が必要です。

ICT・データの利

活用による新産業

創出と全産業分野

の成長促進を実現

します。

市役所ホームページなど

に行政情報を電子ファイ

ルで公開していますが、

利活用の自由度が低い状

態です。

課題4:利活用の自由度が高い形

での行政情報の提供

新産業やサービスの創出により

地域経済が活性化するよう、企業

や個人が自由に加工できる形での

行政情報の提供が必要です。

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背景 現状・問題点 情報化の課題

ICT 利活用に向け

た超高速の情報通

信基盤8の整備が求

められています。

超高速の情報通信基盤の

未整備地域があり、地域

間における情報通信格差

が発生しています。

課題5:超高速の情報通信基盤の

整備促進

合併地域への超高速の情報通信

基盤の整備を目指し、民間通信事

業者による整備促進を図るための

支援が必要です。

市民の意見を市政

の推進や行政サー

ビスに反映するた

め、「広聴」に取

り組んでおり、更

なる広聴制度の充

実・推進を図って

います。

広聴制度の推進に伴う新

たな広聴ツールの導入を

検討しています。

課題6:市民の声を市政に反映す

るためのコミュニケーションツー

ルの導入

市民が市政に参画する機会を充

実するために、パソコンやスマー

トフォンで市政に参画できる環境

づくりが必要です。

地域活性化のツー

ルとして有効な公

衆無線 LAN9への注

目が高まっていま

す。

特に海外からの観光客が

観光拠点で見どころやイ

ベント情報を取得するた

めの基盤やアプリが不足

しています。

課題7:観光客のおもてなし促進

国際的な競争力の高い観光地と

して新たな魅力づくりや、海外か

らの観光客の誘致につながる環境

づくりが必要です。

新しい情報技術を

授業で利用する効

果や ICT 情報機器

導入による校務の

効率化などについ

て、「教育の情報

化ビジョン(H23

文科省)」で検討

すべき方向が示さ

れました。

ICT を効果的に活用した

授業の実施や校務の効率

化などといった教育の情

報化に向けた環境整備

や、老朽化している情報

機器等の更新が喫緊の課

題となっています。

課題8:教育の情報化推進

より効果的な授業や校務の効率

化を行うために、学校における情

報機器の安定的かつ計画的な整備

が必要です。

8 100Mbps 以上の光ファイバ等の通信サービス。 9 ラン、Local Area Network のこと。市役所等1つの建物の中で、複数のパソコンやプリンターを接

続したネットワークの形態。

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背景 現状・問題点 情報化の課題

国民が健康で安心

して生活できる安

全で災害に強い社

会づくりを実現し

ます。

システムのクラウド化な

どの災害対策を実施して

いますが、平時及び災害

時における情報の利活用

については、ICT の利活

用を検討する余地が残っ

ています。

課題9:平時及び災害等の緊急時

における情報共有基盤の構築

関係部局がそれぞれで管理して

いる情報を共有又は連携し、平時

の見守りや災害時の被災者支援活

動の推進が必要です。

課題10:防災情報の伝達手段の

充実

防災情報を今以上に迅速かつ的

確に伝達するための手段として、

防災行政無線を補完する新たな手

段が必要です。

保健福祉分野における医

療給付費用が年々増加し

ている傾向にあります。

課題11:自発的な健康増進の促

医療給付費用の増加率を抑制す

るために、疾病の重症化の予防や

自発的な健康増進の促進が必要で

す。

ICT(特に情報シ

ステム)を利活用

した業務改革・業

務改善が一層求め

られています。

全職員が業務改革・業務

改善の視点を持って、

日々の業務を実施してい

ます。

課題12:行政の効率化を一層推

システムの利活用による効率化

とあわせて、ICT ガバナンスの推

進による効率化が必要です。

定量的な KPI(評

価指標)を用いた

PDCA 体制の一層

の強化を目指して

います。

「行政評価」の活動でシ

ステム単体の導入効果の

測定を行っていますが、

システム全体の導入効果

を測定する手法を確立し

ていません。

課題13:システムの導入効果を

評価する手法の確立

システム導入時の KPI に対す

る取り組みの進捗状況や成果を測

定・評価し、必要に応じた改善策

につなげる手法の確立が必要で

す。

総合計画で各分野

における BCP の策

定が推進されてい

ます。

情報システムの復旧優先

順位を整理し、情報シス

テム部門の BCP(以下

「ICT-BCP」という。)

の策定に取り組んでいる

ところです。

課題14:災害時等の重要業務の

継続や早期復旧の実現

復旧優先度が高いシステムやネ

ットワークを災害等の緊急時に稼

働させる対策を講じる必要があり

ます。

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3.情報化の基本方針

「1.情報化の取り組みへのアプローチ」に基づき、「基本方針」を以下のとお

り整理しました。

総合計画の各施策や事業を横断的に下支えする情報化事業を推進する。

基本方針1

•国の指針において、ICTは各分野での利活用が期待されていることから、各部局が策定している分野別計画の中でも、特に総合計画を横断的に補完することが期待されています。補完できる分野が多ければ多いほど、本市総合計画への貢献度が高い事業であるといえます。

ICT利活用による市民にとっても職員にとっても便利な市役所づくりを推進する。

基本方針2

•総合計画の基本理念は「ひと(市民)」が中心のまちづくりであることから、ICTの利活用による「市民満足度型」の情報化事業が求められます。一方で、事業を実施するための資源(特にヒト・カネ)を確保するためには、業務効率化による時間及び費用の有効活用が必要であることから、ICTの利活用による「業務効率化型」の情報化事業も求められます。

業務改革(BPR)又は業務改善(BPI)と一体的に情報化事業を推進する。

基本方針3

•情報システム全体最適化の取り組みにおいて、システムの導入及びリプレースは、業務改革(Business Process Re-engineering、以下「BPR」という。)及び業務改善(Business Process Improvement、以下「BPI」という。)のチャンスと捉えています。また、今後の厳しい財政状況を考慮すると、これらの視点による削減効果(特に人員や時間外手当等の金額換算できるもの)が今まで以上に求められます。

より高い費用対効果が見込まれる情報化事業から優先的に推進する。

基本方針4

•総合計画の背景と主旨に記載があるとおり、将来的な財政状況の厳しさがより一層見込まれる状況です。情報化事業の推進によって、「金額換算できる効果」及び「便益換算できる効果」の発生が見込まれますが、今後の財政状況を考慮すると、金額換算できる効果が重要になります。

◎総合計画の背景と趣旨

・「ひと(市民)」が中心のまちづくりを基本理念とした行政運営を行っている。

・東日本大震災が社会全体の今後のあり方を見つめなおすきっかけになっている。

・将来的な財政状況の厳しさがより一層見込まれている。

(総合計画 第1章1.後期基本計画策定の背景と趣旨より抜粋)

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4.情報化の目標

「1.情報化の取り組みへのアプローチ」に基づき、「目標」を以下のとおり整

理しました。

情報化の目標

課題 目標

課題1

ICT を利活用した行政手続

きの簡素化(窓口)

平成 29 年春までに本庁舎 1 階に総合窓口を開設し、

1 ヶ所で申請手続きが完了するような窓口サービスを

提供します。

社会保障・税・災害対策の分野において、マイナンバ

ー・個人番号カードを利活用して、行政手続きの簡素

化や業務の効率化を目指します。

課題2

庁舎閉庁時間帯のサービス

レベル向上

閉庁時間帯のサービスレベルを向上するための仕組み

を構築します。

課題3

電子申請の対象手続きの拡

市民サービス向上、業務効率化につながる手続きを検

討し、所管部署と連携して電子申請を推進します。

課題4

利活用の自由度が高い形で

の行政情報の提供

市役所庁内におけるオープンデータの推進体制を整備

し、オープンデータとして提供できる情報を順次公開

します。

課題5

超高速の情報通信基盤の整

備促進

市内地域間における情報通信格差の解消を図ります。

課題6

市民の声を市政に反映する

ためのコミュニケーション

ツールの導入

双方向のコミュニケーションツール等を活用して、市

民の声を市政に反映したり、市民と行政が地域の課題

を共有し、それを協働して解消したりする仕組みを構

築します。

課題7

観光客のおもてなし促進

観光客が観光拠点等で情報を入手するために必要とな

る情報通信基盤の整備を研究・検討します。

課題8

教育の情報化推進

児童生徒の情報活用能力10の育成、ICT の活用による

協働型・双方向型の授業革新、校務の情報化による教

員の負担軽減を研究・検討します。

10 必要な情報を主体的に収集・判断・処理・編集・創造・表現・発信・伝達できる能力のこと。

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課題 目標

課題9

平時及び災害等の緊急時に

おける情報共有基盤の構築

平時の見守り活動や災害時の安否確認作業などの地域

福祉活動や被災者支援活動の更なる充実を図ります。

被災者の基本情報を管理し、罹災証明書を発行する

等、避難者や被災者を支援します。

課題10

防災情報の伝達手段の充実

市が保有する情報発信ツール以外に、テレビやラジオ

といった様々な媒体(メディア)を利活用して防災情

報を伝達する手段を研究・検討します。

課題11

自発的な健康増進の促進

散在する個人の健康情報や子育ての情報を一元的に確

認できる仕組みを研究・検討します。

課題12

行政の効率化を一層推進

ICT を利活用して業務改革・業務改善を推進します。

課題13

システムの導入効果を評価

する手法の確立

システム導入時に設定した目標に対する達成度(定量

的・定性的効果)を明らかにします。

課題14

災害時等の重要業務の継続

や早期復旧の実現

市全体の BCP と整合を図りながら、ICT-BCP を早期

に策定し、その実効性を維持・向上します。

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5.情報化の取り組みの体系

(1)情報化の取り組みへのアプローチから見た体系

本章の内容をふまえて、「情報化の取り組み」を下図のとおり整理しました。

情報化の取り組みへのアプローチから見た体系図

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(2)総合計画から見た取り組み体系

総合計画の上位目標を本計画における情報化の取り組みと照らし合わせると

下表のとおり整理することができます。下表の取り組みの名称に下線を引いて

いるものは、特に複数の政策への貢献が見込まれる取り組みを表しています。

総合計画に照らし合わせた情報化の取り組み体系

総合計画 情報化の取り組み

※複数の政策を横断的に下支えする取り組み 基本目標 政策 重点

プロジェクト

都市

経営

都市経営の取

り組み

経営の視点によ

る行政運営

地域の絆(きずな)

総合窓口

マイナンバー・個人番号カー

ドを利活用した新たな行政サ

ービス

証明書等コンビニ交付

電子申請の拡大

オープンデータの推進

情報通信格差の解消

コールセンターの検討

電子決裁・文書管理システム

業務の可視化(見える化)

効果の測定・目標達成度の評

価手法の確立

情報システム部門の業務継続

計画(ICT-BCP)

市民協働による

まちづくり

情報通信格差の解消

市政に参画しやすい新たな広

聴ツールの導入

合併地域等の振

情報通信格差の解消

基本

目標 1

雇用を生み出

す力強い産業

のまち

地域経済を支え

る地場企業の振

成長戦略

オープンデータの推進

企業立地と労働

の安定

情報通信格差の解消

基本

目標 2

あふれる魅力

を創出し体感

できるまち

出逢いと感動の

観光まちづくり

公衆無線 LAN の整備促進

観光ナビ

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総合計画 情報化の取り組み

※複数の政策を横断的に下支えする取り組み 基本目標 政策 重点

プロジェクト

基本

目標 3

健康で安心し

て暮らせる福

祉のまち

健康を支える環

境づくり

地域の絆

安全・安心なまち

健康情報ポータルサイト

基本

目標 4

心豊かな人を

育むまち

子どもと子育て

を支える環境づ

くり

健康情報ポータルサイト

学校教育の充実 教育の情報化支援

基本

目標 5

人と自然が共

生するまち

基本

目標 6

安心な生活を

守るまち

災害に強いまち

づくり

避難行動要支援者台帳管理シ

ステム

被災者支援システム

災害情報共有システム(L ア

ラート)

基本

目標 7

快適な生活と

交流を支える

まち

情報通信格差の解消

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第6章 本市情報化の取り組み

1.情報化の取り組みの分類

「第 5 章 1.情報化の取り組みへのアプローチ」に基づいて整理した「情報化

の取り組み」は、その内容やこれまでの本市における取り組みの進捗状況に応

じて、以下の 3 つの区分に分類しています。

本章 2.主要な情報化事業

→ 本計画の期間中に実施を目指す事業

①総合窓口

②マイナンバー・個人番号カードを利活用した新たな行政サービス

③証明書等コンビニ交付

④電子申請の拡大

⑤オープンデータの推進

⑥情報通信格差の解消

⑦市政に参画しやすい新たな広聴ツールの導入

⑧避難行動要支援者台帳管理システム

⑨被災者支援システム

本章 3.主要な情報化事業候補の検討

→ 本計画の期間中に手段としての有効性を研究する取り組み

①コールセンターの検討

②電子決裁・文書管理システム

③公衆無線 LAN の整備促進

④観光ナビ

⑤健康情報ポータルサイト

⑥教育の情報化支援

⑦災害情報共有システム(L アラート)

第7章 3.主要なICTガバナンス

→ 本計画の期間中に推進する ICT の利活用に対する総合的なアプローチ

①業務の可視化(見える化)

②効果の測定・目標達成度の評価手法の確立

③情報システム部門の業務継続計画(ICT-BCP)

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2.主要な情報化事業

(1)経営の視点による行政運営

①総合窓口

【目的】

市民は、出生や婚姻、引越(転入・転出等)といったライフイベントに関

する行政の手続きを行う場合、市役所本庁舎及びすこやかプラザ内の複数の

窓口に行く必要があります。これは、来庁された市民にとって、窓口の利便

性が高いとは言い難いことから、このような状況を解消するために総合窓口

を開設します。

転入手続きの例

【概要】

市役所本庁舎 1 階において、1 ヶ所で申請手続きが完了するような窓口を

目標として、平成 29 年春までに「総合窓口の開設」を目指します。

なお、1 ヶ所で手続きが完了する(ワンストップ)という意味では、支所

の窓口を本庁舎にも設置するイメージです。本事業では、ライフイベントの

うち多くの手続きを伴う「転入」を主な対象としますが、総合窓口の稼働実

績等を見ながら、将来的には対象となる手続きの拡大を検討していきます。

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【実施内容】

ア.組織の見直し

複数の部署にまたがる問題の解決に向けて、平成 26 年 4 月 1 日付で総

務部に「総合窓口・番号制度準備室」を設置しました。

イ.フロアの改修

平成 28 年度に市役所本庁舎 1 階のフロアを改修し、市民にとってより

分かりやすく心地よい窓口を目指します。

<改修案>

・窓口をローカウンターとし、椅子に座って手続きができるようにします。

・窓口にパーテーション(仕切り)を設置し、プライバシーに配慮します。

・アイコン等を使った分かりやすい案内板を設置します。

改修後のイメージ図(内観)

ウ.システムの導入、改修等

必要に応じて、システムの導入や現在使用しているシステムの改修、運

用・業務フローの見直しを行い、市民にとっても利便性が高く、職員にと

っても働きやすい窓口を目指します。

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【主な効果】

ア.市民への効果

・窓口のワンストップ化により、手続きのために複数の窓口を移動するこ

とが少なくなります。

・対象となる複数の手続きを行う場合に、記載が必要な申請書の枚数が少

なくなります。

・迷わずに目的の窓口へたどり着くことができます。

・届出に関して、座って手続きを行うことができます。

・必要な手続きの案内を漏れなく受けることができます。

・プライバシーが保護されます。

・ユニバーサルデザイン11を採用し、誰でも利用しやすくします。

平成 29年度の目標

窓口アンケート(満足度) 平成 21年度 平成 29年度(目標)

手続きのわかりやすさ 86.1% 91.1%

表示のわかりやすさ 86.4% 91.4%

個人情報への配慮 86.4% 91.4%

イ.市への効果

・事務の標準化により、効率的に業務を実施することができます。

平成 29年度の目標

窓口アンケート(満足度) 平成 21年度 平成 29年度(目標)

説明のわかりやすさ 89.4% 94.4%

迅速・的確な対応 88.0% 93.0%

丁寧・親切な対応 89.4% 94.4%

11 誰でも利用することができる設計のこと。

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②マイナンバー・個人番号カードを利活用した新たな行政サービス

【目的】

社会保障・税・災害対策の分野において、マイナンバー・個人番号カード

を利活用して、行政手続きの簡素化や業務の効率化を図ります。

【概要】

マイナンバーは、国民に対して 1 人に 1 つの番号を付して、社会保障や

税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の

情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。(マ

イナンバー制度の概要は「第 3 章 1.本市を取り巻く情報通信技術」に記載

しています。)

このマイナンバーが記載された個人番号カードの交付が、平成 28 年 1 月

から開始されます。このカードには「券面記載事項(氏名・住所・生年月

日・性別・個人番号・本人の写真等)、総務省令で定める事項(公的個人認

証に係る『電子証明書』等)、市町村が条例で定めた事項等」が格納される

ことから、カードを以下の用途で利用することにより、国民にとっての利便

性向上や行政にとっての業務効率化が期待されます。

個人番号カードのイメージ図

出典:社会保障・税番号制度概要資料(内閣官房)

・身分証明書としての利用

※ただし、セキュリティの確保及びプライバシー保護のため、地方税・

年金給付関係情報などの秘匿性の高い個人情報は格納されません。

・個人番号を確認する場面での利用(就職、転職、出産育児、病気、年金

受給、災害等)

・情報提供等記録開示システム(マイ・ポータル)の利用

・市町村、都道府県、行政機関等による付加サービスの利用

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【実施内容】

本市は、国が進めているマイナンバー制度の整備にあわせて、必要となる

機器の導入や既存システムの改修、マイナンバー運用の検討等を速やかに行

います。

また、将来的な民間での活用が始まった場合も視野に入れながら、独自の

サービス実施に向けた検討を行います。

【効果】

ア.市民への効果

・社会保障・税・災害対策分野において、法律で定められた行政手続きの

ほか、市が条例で定めた行政手続きも簡素化できます。

・各申請書への添付書類(所得課税証明書等)が省略されます。

・各申請書の記載項目が減少します。

・本市と他の行政機関・地方公共団体等の間や、内部の業務間における情

報の連携が強化され、より公平・公正な社会保障の給付を受けることが

できます。

イ.市への効果

・複数の業務間における連携が促進され、作業の重複等の問題点が改善さ

れます。

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③証明書等コンビニ交付

【目的】

ライフスタイルや就労体系の多様化などの背景から、平成 25 年度に実施

した「まちづくりアンケート」等でご意見やご要望があった「休日・夜

間」、「市役所本庁舎・支所以外」での市民サービスを向上します。

【概要】

証明書等コンビニ交付は、証明書等のコンビニ交付サービス(以下「コン

ビニ交付」という。)を提供しているコンビニで、市役所の開庁時間だけで

なく、閉庁時間も住民票の写し等の必要な証明書を取得できるようにするも

のです。

国は、マイナンバー制度の開始に伴い、国民の利便性向上及び個人番号カ

ード(平成 28 年 1 月交付開始)の多目的利用の一環として、コンビニ交付

の導入を推進しています。

平成 27 年 2 月 2 日現在、全国で 97 の市区町村がコンビニ交付を導入し

ていますが、個人番号カードの交付開始にあわせて、多くの地方自治体が導

入に向けた検討を進めているところです。

本市は、このような国や他の地方自治体の動向をふまえて、前述した目的

に記載するニーズに対応し、市民サービスを向上するため、個人番号カード

の交付開始にあわせて、平成 28 年 1 月にコンビニ交付を導入する予定で

す。

市民がコンビニで証明書を取得できるようになることにより、窓口での証

明書発行にかかる業務量の減少が見込まれるため、業務の内容や体制の改善

を目指します。

また、個人番号カードは、本人確認のための身分証明書として使えるほ

か、様々なサービスへの利用が見込まれています。

コンビニ交付のイメージ図

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【実施内容】

市役所で利用している既存システムをコンビニ交付にも対応できるように

改修します。このように、新規システムを導入するのではなく既存のシステ

ムを有効活用することによって、コンビニ交付の導入及び運用費用の抑制を

図ることができます。

【効果】

ア.市民への効果

・コンビニ交付を提供している全国のコンビニで証明書を取得できます。

現在の本庁舎+17 支所・行政センター(23.7 ㎢に 1 か所)

→ 全国 4 万店舗以上のコンビニ(市内約 90 か所、4.7 ㎢に 1 か所)

・早朝、夜間、休日でも以下の時間帯にコンビニで証明書等を取得できま

す。

市役所の開庁時間(平日 8:30~17:15)

→ 毎日 6:30~23:00(年末年始を除く。戸籍の証明書については

市役所の開庁時間と同様)

・窓口より速く、証明書を取得できます。

→ 発行時間 4 分減(見込み)

・コンビニ交付での証明書発行手数料の減額を検討します。

→ 減額する金額や期間を検討しています。

・申請書の記載が不要になり、コンビニに設置されている複合機の案内に

従ってタッチパネルを操作するだけで証明書を取得できます。

・戸籍の証明書、住民票の写し、印鑑登録証明書、所得課税証明書をコン

ビニで取得することができます。

・証明書を取得する市民がコンビニ交付を利用することにより、窓口の待

ち時間が緩和されます。

イ.市への効果

・閉庁時間の申請に対応するための「休日、夜間申請受付ボックス(市内

13 か所)」等の業務をコンビニ交付に統合します。

・普及状況に応じて、証明書の発行に係る人件費等の発行コストが削減さ

れます。

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④電子申請の拡大

【目的】

行政手続きの簡素化の一環として、市民が市役所に行かなくても、インタ

ーネットを通じて、自宅や勤務先から必要な行政手続きを完了できるサービ

スを拡大します。

また、サービスの拡大により、業務プロセスが省略されることから、業務

の効率化にもつながります。

【概要】

新電子自治体推進計画に基づき、これまで市民が市役所の窓口で行ってい

た一部の手続きについて、電子申請(オンライン手続)を導入しました。

本市では、国の「電子自治体オンライン利用促進指針」においてオンライ

ン利用促進対象手続に選定された下表の 21 手続きのうち、5 手続きの電子

申請を導入しました。これらの手続きについて、市民はお手持ちのパソコン

やスマートフォン、携帯電話を使用して、インターネット上で手続きを完了

することができます。

また、従来、職員が行っていた申請内容の台帳入力や申請書の管理などの

業務プロセスが省略され、業務を効率化できています。

今後、残りの 16 手続きについて、電子申請の導入による市民サービス向

上及び業務効率化を実現できるかどうかの観点から、各手続きを所管する部

署と導入に関する検討を行います。

その結果をふまえて、マイナンバー制度による行政手続きの簡素化の動向

に注視しつつ、電子申請の対象手続きを拡大することにより、市民の利便性

向上を図ります。

主に住民向け手続き

№ 名称 進捗状況

1 図書館の図書貸出予約等 導入済み

2 文化・スポーツ施設等の利用予約 導入済み

3 粗大ごみ収集の申込

4 水道使用開始届等

5 研修・講習・各種イベント等の申込

6 浄化槽使用開始報告等

7 自動車税住所変更届

8 職員採用試験申込

9 犬の登録申請、死亡届

10 公文書開示請求

出典:電子自治体オンライン利用促進指針(総務省)

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主に事業者向け手続き

№ 名称 進捗状況

11 地方税申告手続(eLTAX) 導入済み

12 入札参加資格審査申請等

13 道路占用許可申請等

14 入札 導入済み

15 産業廃棄物の処理、運搬の実績報告

16 感染症調査報告

17 港湾関係手続 導入済み

18 食品営業関係の届出

19 特定化学物質取扱量届出

20 後援名義の申請

21 暴力団員による不当な行為の防止等に関する責任

者の選任届

出典:電子自治体オンライン利用促進指針(総務省)

【実施内容】

ア.電子申請の導入候補となる手続きの選出

表中の手続き(№1~21)のうち、導入に至っていない 16 手続きについ

て、所管部署における申請受付から許可までの業務の実施手順を分析し、

電子申請を導入することにより、市民サービスの向上及び業務の効率化に

つながりそうな手続きを 16 の手続きの中から選び出します。

イ.電子申請を導入する手続きの決定

電子申請の導入候補として選出した手続きを対象として、導入の方法や

運用ルール、費用対効果等を検討し、電子申請を導入する手続きを決定し

ます。

【効果】

ア.市民への効果

新たに電子申請を導入した手続きについて、以下の効果が発生します。

・申請のために市役所へ行く必要がなくなります。

・申請書に手書きする必要がなくなります。

イ.市への効果

・新たに電子申請を導入した手続きについて、申請内容の台帳入力や申請

書の管理などの業務が省略され、業務が効率化されます。

・ペーパーレス(紙の使用量の削減)が推進され、書庫等の執務スペース

の整理や環境負荷の軽減につながります。

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⑤オープンデータの推進

【目的】

市が提供する情報を利活用して、企業による新しいビジネスの創出及び企

業活動の効率化の促進や、学校・個人による技術力の向上及び高度な人材育

成が図られることにより、地域経済の活性化を目指します。

【概要】

国は、世界最先端 IT 国家創造宣言に基づき、革新的な新産業・新サービス

の創出と全産業の成長を促進する社会を実現するための手段として、オープ

ンデータの利活用を推進しています。他都市の事例では、福井県鯖江市が主

に観光、防災・減災、交通、教育、議会、統計情報といった公共のデータを

オープンデータとして公開しており、提供できる情報があれば、率先して提

供するといった取り組みを行っています。

佐世保市におけるオープンデータ推進展開マップ(案)

本市では、まず前述したような自治体を視察し、その結果をふまえて、市

が保有している情報の分析に取り組もうとしています。しかしながら、オー

プンデータを利活用したサービス等の事例が少ないため、考え方だけを示し

ても、具体的なイメージが伝わりにくいことから、オープンデータに対する

市民ニーズの調査や全庁的な推進が難しい状況です。

そこで、市役所ホームページ等で既に公開している情報の一部を、試行的

にオープンデータとして公開し、具体的なイメージを持ってもらうことによ

り、市民ニーズの把握や全庁的な推進を図り、順次事業を展開します。

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【実施内容】

ア.オープンデータ推進体制の整備

オープンデータに関する基本情報や効果を全庁横断的に共有する必要が

あることから、特定の分野(部局)に偏らないよう留意しながら、市役所

内における推進体制を整備します。

イ.市役所内で保有する情報の調査

市役所内の全部局に対して、オープンデータとして公開する候補となる

情報の保有状況を調査します。

ウ.運用に関するルールの策定

上記の調査結果及び国の「自治体オープンデータ推進ガイドライン(仮

称)」の内容に留意しながら、公開対象・データ形式・二次利用の条件等

といった本市におけるオープンデータの運用に関するルールを定めたガイ

ドラインを策定します。

エ.事業展開

市役所ホームページで公開している試行版オープンデータに対して、市

民から寄せられたご意見やご要望を参考にしながら、公開対象データの追

加、データ形式の変更、二次利用の条件変更などを検討し、順次事業を展

開していきます。

【効果】

ア.市民への効果

・産学官で公共データの活用が進展し、広く情報共有が図られることによ

り、産学官連携又は市民協働による行政サービスの提供が促進されま

す。

・公共データを二次利用が可能な形で提供することにより、編集、加工、

分析等の各段階を通じて、様々な新ビジネスの創出や企業活動の効率化

等が促され、地域全体の経済活性化が図られます。

イ.市への効果

・政策決定等の場面で公共データを用いて分析等を行うことにより、業務

の効率化が図られます。

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⑥情報通信格差の解消

【目的】

市内地域間における情報通信格差の解消を図ります。また、整備した情報

通信基盤を活用し、時間や距離の制約を受けない行政サービスの利用促進

や、保健、医療、福祉など様々な分野で課題を解決するための行政サービス

を展開することにより、地域一体感の醸成を図ります。

【概要】

超高速の情報通信基盤は、今や市民の日常生活における利便性の向上はも

とより、企業活動や地域活動など様々な場面で必要となるインフラ(社会資

本)になっています。

本市では、市町合併により離島や過疎地域が増えたことなどから、市内に

おける情報通信格差が広がっています。

光通信網の未整備地域(平成 27年 3月末時点)

しかしながら、民間通信事業者による条件不利地域(人口の集積度が低い

地域等)への超高速の情報通信基盤整備は、採算性の問題から進んでいない

(整備の予定がない)状況です。

このまま民間資本による超高速の情報通信サービスの提供を「待つ」だけ

では情報通信格差は解消されず、また、近年、民間通信事業者が提供するサ

ービス内容が拡充されていることを考えると、「サービスレベル」という観

点から、更に情報通信格差が拡大していくことになります。

このような現状を解消し、地域間のバランスのとれた発展につなげるため

には、超高速の情報通信基盤整備は必要不可欠です。

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【実施内容】

超高速の情報通信基盤が整備されていない地域について、民間通信事業者

による整備促進を図るための支援制度を活用し、情報通信格差の解消を図り

ます。

ア.合併地域(宇久を除く)の環境整備

合併地域(宇久を除く)については、平成 27 年度から平成 28 年度の 2

年間をかけて、超高速の情報通信サービスを利用できる環境の整備を行い

ます。

イ.未整備地域の検討

その他の未整備地域についても、合併地域(宇久を除く)における取り

組みを参考に検討します。

ウ.地域課題の解決に向けた取り組みの検討

ハード面での情報通信格差の解消にとどまることなく、市民がインフラ

整備による効果を実感できるよう、地域課題の解決に向けた新たな行政サ

ービスの展開についても検討します。

【効果】

市民への効果

・超高速の情報通信基盤を整備することで、より快適にインターネットを

利用できる環境が整います。

・旧市内と同等レベルのインターネット利用環境が整うことから、インタ

ーネット利用率向上が見込まれます。

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(2)市民協働によるまちづくり

⑦市政に参画しやすい新たな広聴ツールの導入

【目的】

本市が広く市民の意見や要望等を聴くことを目的とした広聴制度推進の一

環として、市民がスマートフォンやパソコンを使って、市政に参画できるツ

ールを充実し、市政に参画しやすい環境づくりに取り組むことにより、より

多くの市民の意見や要望等を具体的な施策の評価や政策立案につなげます。

また、市民と行政の協働によるまちづくりの推進(地域コミュニティ活性

化、市民と行政の協働事業推進など)を図ります。

【概要】

本市は、市政に市民の声を反映するためのツール(以下「広聴ツール」と

いう。)として、市政懇談会等の対話型の事業をはじめ、インターネット上

では、パブリックコメント(平成 14 年度~)、Web アンケート(平成 20

年度~)等を揃えています。更に、平成 21 年度からは、広聴の仕組みを構

築するため、これらの広聴ツールを利活用して、市政に市民の声を反映する

ための体制づくりに取り組みました。このような取り組み状況をふまえて、

新電子自治体推進計画では、目的を達成するために、市政モニター制度の導

入に向けた検討を行っています。

市政モニター制度は、あらかじめ登録された市民に対して、施策や行政サ

ービスの具体的な評価や感想を求めるためのアンケートを行い、その結果を

施策にフィードバックする市政マーケティング事業です。

市政モニター制度のイメージ図

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また、目的を達成するための新たな手段として、市民協働レポートの導入

に向けた検討も行っています。

市民協働レポートとは、本市が導入している「公開型 WebGIS」を活用

(予定)し、市民が地域の課題をインターネット上の地図に登録し、市民と

行政の双方がその情報を共有し、協働の手法で課題解決を図っていく事業で

す。

本市では、既存の統合型 GIS を活用して、平成 26 年 5 月から市民協働レ

ポートの試行版である「キラっ人レポート」の運用を開始しました。

これは、職員が通勤中や外勤中などに気付いた地域の課題をシステムに登

録することで、職員間で課題を共有し、課題の解決や事故等への発展を未然

に防ぐことによる市民サービスの向上や、職員が市民の視点を持って地域の

課題等に目を向けることによる広聴力の向上を目的とした取り組みです。

市民協働レポートのイメージ図

本計画では、市政に参画しやすい環境づくりとして、まずは他の広聴ツー

ルを分析し、それぞれが担う役割のすみ分けを整理します。そのうえで、目

的を達成するための手段としての新たな広聴ツールの有効性を検証し、本計

画期間中での導入を目指します。

【実施内容】

ア.システム構築

市政モニターとして登録した市民の氏名やメールアドレス等の個人情報

を管理するシステム、地域の課題が発生した場所や課題の内容、現場の写

真などを登録し、それらをインターネット上で閲覧するための地図システ

ムが必要になりますが、既存システムを活用することで、導入及び運用に

かかる費用の抑制を図ります。

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イ.運用に関するルールの策定

新たな広聴ツールの対象範囲や機能、利用する場合の手順を決定したう

えで、他の広聴ツールとの使い分けなど、本市における広聴ツールの運用

に関するルールを定めたガイドラインを策定します。

ウ.インセンティブの検討

市政モニターを確保し、登録者の固定化を回避するため、市政モニター

に登録した市民へのインセンティブ(動機づけ)の必要性を検証し、その

内容や頻度等を検討します。

【効果】

ア.市民への効果

・スマートフォンやパソコンといった身近なアイテムを使った、市政に参

画するためのツールが充実することによって、市民が気軽に市政に参画

しやすくなります。

・市民協働レポートにより、地域で発生している様々な課題の解決や、事

故等に発展することを未然に防ぐことにつながり、市民サービスの向上

が期待できます。

・市民協働レポートに登録した地域の課題について、市民が市役所を訪れ

たり、電話で問い合わせたりすることなく、インターネット上で本市の

対応に関する進捗状況を確認することができます。

イ.市への効果

・市政モニターとして登録する市民は、アンケートなどに対して積極的に

意見を回答する傾向が高いと予想されるため、無作為に抽出した市民へ

のアンケートよりも回答率が向上し、より多くの市民の意見や要望等を

聴くことができます。

・アンケートは、市政モニターに電子メールで送信するため、担当部署は

市民の意見を聴きたい時に簡単、迅速に実施し、市民の意見を把握する

ことができます。

・本市が定期的に行う見回りの役割の一部を市民協働レポートへの登録を

もって代用できることが想定されるため、見回りに費やしている時間の

一部を、課題の解決に向けた対応に振り替えることなどによって、より

迅速な対応につながります。

・市民協働レポートに登録した地域の課題について、市役所内で情報を共

有できるため、関連する部署間の連携が促進され、より円滑な対応につ

ながります。

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(3)災害に強いまちづくり

⑧避難行動要支援者台帳管理システム

【目的】

避難行動要支援者の要件を満たす市民を台帳に登録し、その情報を市役

所、社会福祉協議会・警察等の関係機関、及び避難支援者等の関係者が共有

することによって、平常時の地域における見守りとあわせて、緊急時の避難

支援の更なる充実を図ります。

【概要】

国は「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」(平成 18 年 3 月策定)

に基づき、各市町村における平常時からの要支援者に関する情報収集・管

理、要支援護者名簿(台帳)の作成等を推進してきました。

平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、犠牲者の過半数が 65 歳以

上の高齢者であったことや、障がい者の犠牲者の割合が健常者の 2 倍程度

(いずれも推定)であったことから、災害時に自力避難が困難な市民への避

難支援体制の更なる充実が急務となっています。

上記の背景から、平成 25 年 6 月に災害対策基本法が改正され、地方自治

体が地域防災計画で位置付ける避難行動要支援者の要件を満たす市民を、避

難行動要支援者台帳に登録することが義務付けられました。本市において

は、従前の災害時要援護者業務を見直し、平成 27 年 2 月の地域防災会議で

避難行動要支援者の要件等の概要を決定しました。その要件を満たす市民の

情報を収集し、市役所と関係機関等が収集した情報を共有することにより、

平常時の地域における見守りとあわせて、緊急時の避難支援を更に充実する

ためのシステム及び運用体制を整備します。

避難行動要支援者台帳の運用イメージ

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【実施内容】

ア.システム導入

市役所等による、避難行動要支援者台帳の管理・共有、平常時の地域に

おける見守り等の地域福祉活動及び災害時の避難支援・安否確認作業等を

支援するシステムを導入します。

また、システムの導入を行うだけではなく、運用体制の整備と一体的に

取り組むことがポイントとなります。

なお、システムの導入は「第 2 期佐世保市地域福祉計画・地域福祉活動

計画」にも記載されています。

イ.運用体制の整備

災害対策基本法の趣旨に沿って、市役所や関係機関、関係者等が避難行

動要支援者台帳を利活用して、平常時の地域における見守りとあわせて、

緊急時の避難支援を更に充実するための新たな運用体制を整備します。

【効果】

ア.市民への効果

・システム導入により、緊急時に必要な情報を確認するまでに要する時間

が大幅に短縮されるため、避難支援を迅速に受けることができます。

・運用体制の整備により、避難行動要支援者の状況に応じた個別避難支援

計画の策定が促進されます。

・避難行動要支援者支援制度と類似する制度に関連する情報を、システム

で一元的にデータ管理・運用することにより、民生委員等の地域活動に

係る負担が軽減されます。

イ.市への効果

・住民基本台帳等の関係システムとのデータ連携により、避難行動要支援

者の転居・転出等に伴う異動情報の把握や避難行動要支援者台帳の更新

作業が効率化されます。

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⑨被災者支援システム

【目的】

災害時において、効率的かつ円滑に被災者台帳の作成や罹災証明の発行等

の被災者支援業務を実施するため、被災者支援システムを整備するととも

に、システムの運用体制を含めた総合的な体制の充実を図ります。

【概要】

平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災をきっかけに国から発出された

「被災者の支援のためのシステム等の活用について(平成 23 年 4 月 28

日)」によって、システムの活用等が被災者支援の有効な手段であること

が、全国の地方自治体に対して周知されました。

また、東日本大震災を踏まえた法律上と制度上の課題について、平成 25

年 6 月に災害対策基本法が改正されました。それに伴い、被災者援護対策の

改善として制度化された業務が、被災者に対する支援状況等の情報を一元的

に集約した被災者台帳の作成や、災害による被害の程度等に応じた適切な支

援の実施を図ることを目的とした罹災証明の発行等です。

これらの業務を効率的かつ円滑に実施するため、災害時において、被災者

に関する情報を災害警戒・対策本部、避難所、関係部署(以下「災害警戒本

部等」という。)の間で共有し、災害警戒本部等がその情報を柔軟かつ安全

に利活用して、被災者を支援することができるようなシステム及び運用体制

を整備します。

更に、これらとあわせて、人事異動等による体制の変更を想定して、シス

テムの実効性や有効性を維持するための訓練計画を整備し、同計画に基づい

て定期的に訓練を実施します。

被災者支援システムの運用イメージ

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【実施内容】

ア.システム導入

地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が無償で配付している「被災者

支援システム」を平成 27 年度に導入します。

なお、システムの導入は「佐世保市防災・減災事業計画実施計画書」に

も記載されています。

イ.運用体制の整備

災害警戒本部等が被災者支援システムを利活用して、災害時において、

効率的かつ円滑に被災者支援業務を実施するための新たな運用体制を整備

します。

ウ.訓練計画の整備及び訓練実施

被災者支援システムの起動や被災者の入力・検索等の作業を平常時に訓

練するための計画を整備し、その計画に基づき、防災危機管理局や避難所

に指定している地区公民館等が年 1 回以上を目標として定期的に訓練を実

施します。

【効果】

ア.市民への効果

・災害警戒本部等において、被災者支援システムで被災者台帳を作成し

て、被災者の情報を共有することにより、市民は罹災証明の発行等とい

った被災者への支援を効率的かつ漏れなく受けることができます。

イ.市への効果

・被災者支援システムを利活用して、被災者情報の確認や入力、集約作業

に関するプロセスを簡素化することが可能であるため、被災者支援業務

を迅速化することができます。

・上記作業に関するプロセスの簡素化により確保できた人員を状況に応じ

た適切な役割に配置することによって、災害時の限られた人的資源を有

効活用することができます。

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3.主要な情報化事業候補の検討

(1)経営の視点による行政運営

①コールセンターの検討

【目的】

電話による問い合わせをワンストップで対応することができる仕組みを構

築し、市役所の開庁時間帯だけでなく、閉庁時間帯(時間外、土・日・祝

日)におけるサービスレベルの向上も図ります。

【概要】

地方自治体におけるコールセンターの多くは、電話による問い合わせの窓

口を一本化し、専門のオペレーターが職員に代わって、ホームページや Q&A

システム等によりデータベース化されたよくある質問とその回答に基づき、

様々な制度や手続き、イベント情報、施設案内などに関する質問に回答する

というものです。

コールセンターのイメージ図

本市では、代表電話にかかった電話を担当部署へ転送し、問い合わせいた

だいた方への的確な回答を心がけるよう取り組んでいますが、複数の問い合

わせ内容がある場合など、少なからず担当部署間での電話のたらい回しが発

生しています。

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また、市民は、市役所の閉庁時間帯等の電話による問い合わせができない

場合に、市役所ホームページ、お役立ち Q&A 検索システム12等により必要な

情報を入手し、自己解決を図ることができます。ところが、インターネット

をお使いにならない方は、電話による問い合わせができない時に、必要な情

報を入手できないことがあります。

これらの課題を解決するため、新電子自治体推進計画に基づき、先進自治

体の導入事例等を参考にしながら「コールセンターの検討」を進めてきまし

たが、費用対効果について十分な整理ができず、導入までには至っておりま

せん。このことから、費用対効果の再整理を行い、前述した課題の解決に向

けて、コールセンター導入にかかる検討を行います。

【取組みの方向性】

ア.費用対効果の再整理

コールセンターの稼働日数や稼働時間等の調整による費用の試算や、コ

ールセンター導入による効果のシミュレーションを行い、費用対効果の再

整理を行います。

なお、費用対効果については、閉庁時間帯(勤務時間外、土、日、祝

日)でのサービス提供(サービスレベルの向上)の観点もふまえて検討を

行います。

イ.導入の検討

費用対効果の再整理の結果をふまえて、コールセンターの導入にかかる

検討(導入するか否かに関する意思決定)を行います。

【効果】

ア.市民への効果

・複数の部署に関係する問い合わせであっても、コールセンターでの回答

が可能となるため、たらい回しされることが少なくなります。

・複数の部署への問い合わせが不要となり、情報を得るまでに要する時間

が短縮されます。

・問い合わせいただいた内容をもとに、職員がお役立ち Q&A 検索システ

ムに登録している情報の更新や、不足する情報の追加を行うことによ

り、インターネットでの情報提供が更に充実します。

イ.市への効果

・担当部署での応答が減り、業務の効率化につながります。

12 コールセンターに欠かすことができない情報基盤であり、コールセンターを導入した場合には、この

システムに登録された情報をもとに、問い合わせに対する回答を行うこととなる。

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②電子決裁・文書管理システム

【目的】

決裁事務や公文書の管理13の電子化により、意思決定の迅速化やペーパー

レスの推進、情報セキュリティの向上を図るとともに、円滑な情報公開の推

進について検討します。

【概要】

現在、本市ではパソコンで電子情報として作成した文書のほとんどを一旦

紙に印刷し、起案・決裁・保管・保存・廃棄を行うというサイクルで文書管

理を行っています。

その一方で、社会的に文書の電子化が進んでいることから、新電子自治体

推進計画に基づき、他自治体の導入事例等を参考にしながら「電子決裁・文

書管理システム」の検討を進めてきましたが、費用対効果について十分な整

理ができず、導入までには至っていません。

地方自治体に根付いている公文書の紙での管理から電子ファイルでの管理

へ移行することは容易ではないため、「公文書の管理媒体を変更することに

よる行政の効率化」という業務改革と捉え、業務の標準化の取り組みと一体

的に推進するとともに、全庁的な費用対効果を整理し、財政状況を考慮しな

がら、同システムの導入に向けた検討を行います。

電子決裁・文書管理システムのイメージ図

13 収受、起案、決裁(発送)、保存・保管、廃棄までの一連の業務のこと。

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【実施内容】

ア.費用対効果の整理

「公文書の管理媒体を変更することによる行政の効率化」という業務改

革の観点から、関係部署と連携して、管理する情報や運用ルール、セキュ

リティ等について検討し、費用の試算やシステム導入による効果のシミュ

レーションを行い、費用対効果の整理を行います。

イ.システム導入の検討

費用対効果の整理の結果をふまえて、電子決裁・文書管理システムの導

入にかかる検討(導入するか否かに関する意思決定)を行います。

【効果】

ア.市民への効果

・公文書目録のインターネット上での情報公開により、自宅から公文書目

録の検索が簡単かつ迅速にできるようになります。

イ.市への効果

・決裁事務の電子化により、紙媒体の起案文書が物理的に施設間を移動す

る時間等が削減するため、意思決定の迅速化につながります。

・公文書管理の電子化により、紙の使用量が減少し、環境負荷の軽減や、

紙媒体を収納するための書棚や書庫等の省スペース化につながります。

・公文書単位に閲覧・編集の権限を設定することで、個人情報・業務情報

の漏えいなどのリスクの低減につながります。

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(2)出逢いと感動の観光まちづくり

③公衆無線LANの整備促進

【目的】

観光客が市内の観光拠点等で観光やイベント情報等を入手するために必要

となる情報基盤を整備することにより、国際的な競争力の高い観光地として

の新たな魅力づくりを進めると共に、海外からの観光客の誘致にもつなげま

す。

【概要】

公衆無線 LAN は、スマートフォンやタブレット端末等の持ち運びが可能な

端末(以下「スマートフォン等」という。)の利用者に対して、特定の場所

からスマートフォン等を無線 LAN に接続することにより、どなたでもインタ

ーネットを利用することができるサービスのことです。

国の「SAQ²(サクサク)JAPAN Project~訪日外国人の ICT 利用環境整

備に向けたアクションプラン~」によると、海外からの観光客を中心に公衆

無線 LAN の充実に対する要望が強く、平成 32 年の東京オリンピック・パラ

リンピックの開催に向けて、国内外の観光客が手軽に情報を入手できるよ

う、観光拠点等における公衆無線 LAN 環境の充実が求められています。

公衆無線 LAN の整備は、官民連携が有効に機能するモデルであり、交通拠

点・ホテル・コンビニ・飲食店・自販機等での民間による整備状況をふまえな

がら、観光拠点や防災拠点等のインセンティブが働きにくい部分は行政主導で

補完し、地域全体での整備を推進することが重要であるとされています。

九州の市区町村別整備状況(平成 26年 9月末現在)

出典:地方自治体における公衆無線 LAN 整備について(総務省)

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このような考え方に基づき、国は地方自治体に対して、公衆無線 LAN の整

備を推進しており、前頁の「九州の市区町村別整備状況」のとおり、九州で

も地方自治体の主導による公衆無線 LAN の整備が進んでいます。

本市は、国が準備を進めている「地方自治体における公衆無線 LAN 整備の

ための手引き」の動向を注視しながら、整備手法の検討を行い、事前の試験

導入による検証結果を踏まえた上で、市内の観光拠点等における本稼働への

展開を図ります。

【取組みの方向性】

ア.整備手法の検討

国の地方自治体における公衆無線 LAN 整備のための手引きに基づき、国

内外の観光客が多く訪れる市内の観光拠点等のうち、民間での整備が進み

にくい部分を整理し、「自庁型(全ての機材を購入・構築する)」、又は

「クラウド型 Wi-Fi(民間が全ての機材を用意し、行政は必要分の使用料

を支払う)」等から、導入・運用費用やセキュリティ等をふまえて、行政

の負担する費用が抑制されるような整備手法を検討します。

イ.試験導入

サービスレベル・利用状況(接続数・通信量等)・整備手法を事前に検

証するため、市民サービス向上の一環として、公共施設の一部で公衆無線

LAN の試験導入を検討します。

ウ.観光拠点等への展開

試験導入の検証結果をふまえて、市内の観光拠点や他の公共施設への展

開を検討します。

【効果】

ア.海外からの観光客への効果

・手持ちのスマートフォン等からインターネットへの接続が可能になり、

特に観光拠点等で様々なサービスを利用することができる環境が整いま

す。

イ.市への効果

・ICT 利用環境を提供することにより、訪日外国人等といった観光客の満

足度向上につながるため、観光客数の増加を期待することができます。

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④観光ナビ

【目的】

国内外からの観光客に対して、アプリケーションやデジタルサイネージ14

等を活用し、市内の観光やイベント情報等を提供することにより、「③公衆

無線 LAN の整備促進」の目的と同様に、国際的な競争力の高い観光地として

の新たな魅力づくりを進めると共に、海外からの観光客の誘致にもつなげま

す。

【概要】

国は、平成 19 年 1 月に施行した「観光立国推進基本法」に基づき、それ

ぞれの地域が持つ特色を生かした魅力ある観光地づくりの取組みを推進する

とともに、それぞれの地域の伝統・文化などの魅力を内外に発信して国際・

国内観光を振興するなど、観光立国の実現に関する施策を総合的、計画的に

推進しています。

このことから、地方自治体は、地域の資源を生かした地域特有の観光資源

を見つけ出し、地方自治体・住民・地場企業等が連携・協働しながら、地域

づくりと一体になった観光地づくりや観光施策を展開しています。

本市は豊富な農水産品、国指定伝統的工芸品である三川内焼、集客力を備

えたハウステンボス、九十九島等の魅力的な観光資源を有しているという“強

み”がある一方で、観光都市佐世保の個性と魅力を十分に伝えきれていないと

いう“弱み”があります。

この“弱み”を解消するため、従来の案内やカタログの役割を担う Web サ

イトだけではなく、アプリケーション・デジタルサイネージ等といった最新

の ICT を活用した観光ナビの導入を検討し、観光都市佐世保の個性と魅力に

関する情報発信の更なる充実を図ります。

【取組みの方向性】

以下の ICT を活用した観光ナビの導入に向けた検討を行います。

ア.アプリケーション

スマートフォン等で利用することができる観光地までの多言語でのナビ

ゲーション等のアプリケーションの導入により、国内外からの観光客の本

市における周遊・滞在時間の増加や消費活動の促進だけではなく、これま

で知られていない観光拠点や特産品等の紹介により、本市の新たな魅力づ

くりを図ります。

14 液晶ディスプレイ等のカラーでの映像表示が可能な装置で、ネットワークに接続され、外部から情報

を配信することができるもの。

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イ.デジタルサイネージ

地域の事業者等が単独又は共同で、デジタルサイネージによるシステム

を利用した観光情報の配信システムを導入することにより、国内外からの

観光客に対する観光情報提供の拡大を図ります。

デジタルサイネージのイメージ図

【効果】

ア.観光客への効果

・観光拠点や交通拠点で入手した様々な情報をもとに、それぞれの好みに

応じた観光やイベントを楽しむことができます。

イ.市への効果

・観光客に対する「おもてなし」として、ICT を活用した観光ナビを国内

外に PR することにより、観光客、特に海外からの誘客強化を期待する

ことができます。

・国内外からの観光客の遊覧・滞在時間の増加や消費活動の促進により、

地域経済の活性化を期待することができます。

・これまで知られていない観光拠点や特産品等の紹介により、本市の新た

な魅力づくりにつながります。

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(3)健康を支える環境づくり

⑤健康情報ポータルサイト

【目的】

市が実施している健康診断の結果や予防接種の記録等を一元的に確認でき

る仕組みを検討し、市民の自発的な健康増進・健康管理の促進を図ります。

【概要】

国は、世界最先端 IT 国家創造宣言に基づき、健康増進等を通じた健康長寿

社会の実現に向けて、医療・健康情報等の各種データの利活用により、個々

のライフスタイルに合わせた適切かつ継続性のある、現役世代からの健康増

進の取り組みを推進しています。

本市は、平成 25 年 3 月に「佐世保市健康増進計画 第2次けんこうシッ

プさせぼ21」を策定し、市民が健康で生きがいをもち、自立して暮らすこ

とができる期間、いわゆる「健康寿命」を延伸することを目標に、市民の健

康づくりに関する取り組みを進めています。

また、平成 27 年 3 月に「新させぼっ子未来プラン」を策定し、子どもを

安心して産み育てることができるよう、子どもと子育てを支援するための総

合的な施策に取り組んでいます。

現状、市民は各種健康診断の結果等を紙で受けとり、自身の健康状態の把

握・管理を行っている状況ですが、制度に応じて複数の媒体(各種健診結果

等)があるため、情報が散在しがちになり、十分に各種データを利活用する

ことが難しい状況です。

本市は、市民の自発的な健康増進・健康管理の促進を図るため、市民が必

要な時にパソコンやスマートフォン等で一元的に各種健康診断の結果等を確

認できる仕組みを研究・検討します。

健康情報ポータルサイトのイメージ図

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【取組みの方向性】

ア.運用ルールや費用対効果等の検討

管理する情報、セキュリティ(認証機能等)、運用ルール、費用対効果

等について研究・検討を行います。

なお、自身に関する情報を確認できるということでは、国が構築するマ

イ・ポータルと類似することから、国の動向に注視しながら検討を行う必

要があります。

イ.導入の検討

運用ルールや費用対効果等の検討結果をふまえて、健康情報ポータルサ

イトの導入に向けた具体的な検討(導入するか否かに関する意思決定)を

行います。

【効果】

ア.市民への効果

・過去の健診結果等を経年的にグラフ等で確認できるため、自身の健康状

態等をいつでも確認することができます。

・スマートフォン等で健診結果を確認できるため、医療機関等の外出先で

過去の健診結果を提示できます。

イ.市への効果

・自発的な健康管理により発病や重症化の予防につながることで、増加傾

向にある市の保健福祉分野における医療給付費用の伸びの抑制が期待で

きます。

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(4)学校教育の充実

⑥教育の情報化支援

【目的】

子どもたち一人一人の「生きる力」を確実に育成するために、ICT の活用

等による新たな学びを推進することにより、主に「情報活用能力の育成、

ICT の活用による協働型・双方向型の授業革新、校務の情報化による教員の

負担軽減」を目指します。

【概要】

国は平成 23 年に「教育の情報化ビジョン」を策定し、新しい情報技術を

授業で利用する効果や、ICT 情報機器導入による校務の効率化等について、

前述した目的のとおり、各地方自治体が検討すべき方向性を示しました。

また、その方向性に基づき、「第 2 期教育振興基本計画(平成 25 年 6

月 14 日閣議決定)」を策定し、地方自治体においては、以下の ICT 環境の

実現に向けて、学校における情報機器の安定的かつ計画的な整備が求められ

ています。

・児童生徒が使用する教育用コンピュータの増加

・コンピュータ教室、各普通教室、特別教室へのコンピュータの整備

・設置場所を限定しない可動式コンピュータの整備

・電子黒板、実物投影機の整備

・超高速インターネット接続率及び無線 LAN 整備率の向上

・校務用コンピュータの整備

・ICT 支援員の配置

本市においては、平成 13 年度から校内 LAN、小中学校間の伝送路、児童

生徒用・教職員用パソコン等を順次整備してきました。また、小中学校のサ

ーバを一元化し、情報の集約によるセキュリティの確保に努めてきました。

近年ではタブレット端末を一部導入し、授業での効果的な活用や適切な環境

の構築について研修を行い、教育の情報化を推進してきました。

しかしながら、小中学校の ICT 環境を整備又は維持管理するためには、多

額の費用が必要になるため、本市では財政状況との兼ね合いから、ICT を効

果的に活用した授業等の教育の情報化に向けた環境整備や、老朽化している

情報機器等の更新が喫緊の課題となっています。

本市は、国の「教育の IT 化に向けた環境整備 4 か年計画(計画期間:平

成 26~29 年度)」に基づき、平成 29 年度まで講じられる地方財政措置を

活用し、本市の財政状況を考慮しながら、「第 2 次佐世保市情報教育推進計

画」を策定し、教育の情報化を推進します。

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教育の情報化のイメージ

出典:教育の IT 化に向けた環境整備 4 か年計画(文部科学省)

【取組みの方向性】

情報システム最適化(適正な費用で、しっかり効果を出す)の観点から、

第 2 次佐世保市情報教育推進計画に基づく、教育の情報化に関する取り組み

を検討します。

【効果】

ア.子どもたちへの効果

・ICT が有する文字等の拡大・動画配信・音声朗読等の機能を教員が活用

することにより、学習内容の説明が分かりやすくなります。

・子どもたちの学習への興味関心を高めることにつながります。

・子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学び(個別学習)を行うこと

ができます。

・教員と子どもたちが相互に情報伝達を図ったり、子どもたち同士が教え

合い、学び合ったりする等の協働学習を行うことができます。

・学校教育の段階において、最低限必要な情報活用能力を身に付けること

ができます。

イ.教員への効果

・校務の情報化は、きめ細かな指導を可能にすると共に、教員が子どもた

ちと向き合う時間や、教員同士がお互いに授業の進め方等を吟味し合う

時間を増加させ、ひいては、教育の質の向上と学校経営の改善につなが

ります。

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(5)災害に強いまちづくり

⑦災害情報共有システム(Lアラート)

【目的】

災害が発生する恐れがある時又は災害時に、市民に対して防災及び災害に

関する情報(以下「防災情報」という。)を今以上に迅速かつ的確に伝達す

ることができるように、防災行政無線を補完する新たな情報伝達手段の整備

を図ります。

【概要】

災害情報共有システム(以下「L アラート」という。)は、防災情報の発

信者である地方自治体やライフライン(電気・ガス等)事業者等と、伝達者

である放送事業者や通信事業者を接続する共通基盤です。発信者が防災情報

を全国の伝達者に一斉配信することによって、住民は様々なメディアを通じ

て、地域の防災情報を入手することが可能になります。

国は、前述した目的を達成するために、L アラートの全国的な普及に向け

た取り組みを進めています。L アラートの導入により、地方自治体は多様な

メディアを利活用して、防災情報の重層的な伝達体制を構築することが可能

になり、平成 26 年 12 月 19 日現在、全国の約 2 割の都道府県や市町村(計

328 団体)が L アラートを利用している状況です。

本市は「佐世保市地域防災計画」に基づき、市民の生命と財産を守るため

にハード・ソフト両面での取り組みを進めています。その一環として、防災

情報の伝達手段を早期に整備(充実)するとともに、それらの情報を市民に

分かりやすく伝えるよう工夫する必要があります。

Lアラートのイメージ図

出典:公共情報コモンズ資料(一般財団法人マルチメディア振興センター)

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よって、市は、市役所ホームページや民間ソーシャルメディア、メールマ

ガジン等にとどまらず、テレビやラジオ等の様々なメディアを利活用して防

災情報を伝達するため、現在、長崎県が検討中の L アラートについて、その

検討結果をふまえて、本市における運用に向けた研究・検討を行います。

【取組みの方向性】

ア.有効性の検討

長崎県の L アラートの検討結果をふまえて、前述した目的を達成するた

めの手段として、本市にとっての有効性の検討を行います。

イ.導入に向けた研究・検討

有効性の検討の結果をふまえて、また、情報伝達者となる各事業者の動

向を注視しながら、本市での導入に向けて、L アラートで発信する防災状

況の種類(避難勧告・指示情報、避難所情報、災害対策本部設置状況、被

害情報等)や運用体制等に関する研究・検討を行います。

【効果】

ア.市民への効果

・災害時等には、テレビ、ラジオ、携帯電話、インターネット等の様々な

メディアを通じて、いつでもどこでも、地域の防災情報を迅速かつ的確

に入手することができます。

イ.市への効果

・様々なメディアを通じて、放送等のもつ速報性、同報性等を活かして、

防災情報を迅速かつ的確に市民へ伝えることができます。

・L アラートへの防災情報を入力するだけで、様々なメディアへの情報伝

達が可能となり、伝達作業の負荷が大きく軽減されます。

・隣接する自治体等の他地域の災害状況を即時に把握することが可能にな

ります。

※本事業については、総務省及び一般財団法人マルチメディア振興センターの

ホームページより表現を引用しています。

◎総務省

http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/02ryuts

u06_03000032.html

◎一般財団法人マルチメディア振興センター

http://www.fmmc.or.jp/commons/index.html

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第7章 計画の推進体制

1.ICTガバナンスの考え方

本市は平成 17 年 6 月に「情報システム最適化指針」を策定して以降、「情報

システム全体最適化」という考え方のもとに、ICT の利活用を推進しています。

この考え方は、組織や技術(システム)、コストが適切に融合した状態を構築

し、これらが相互にインパクトを与えながら、システムの費用対効果を最大化す

るというものです。

このような ICT の利活用に対する総合的なアプローチを ICT ガバナンス(統

治)といい、システムの費用対効果を最大化するためには、ICT ガバナンスを継

続的に機能させることが重要になります。

情報システム全体最適化のイメージ

組織最適化 システムの費用対効果を高めるためには、現行の組織や業務にあ

うようなシステムを導入すること以上に、システムの導入に伴い

組織や業務の見直しを行うという姿勢が重要になります。

技術最適化 ICT が進展するペースは他の分野と比べても非常に速く、システ

ムは様々な技術の集合体です。よって、システムの拡張性、安定

性、保守容易性、セキュリティ、経済性等を俯瞰的に考慮しなが

ら、常にその時点で最適なシステムを採用する必要があります。

コスト最適化 組織最適化、技術最適化を行う際は、あわせてコストが最適化さ

れるかどうかのチェックが重要になります。

なお、コストの最適化とは、システムそのものの経費を削減する

という意味もありますが、ここではシステムに関係する全てのコ

ストとして考える必要があります。

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2.ICTガバナンスの体制

ICT ガバナンスを機能させるためには、組織内の意思決定の強化や円滑なコミ

ュニケーションを実現するための推進体制が必要です。特に、システム全体最適

化の取り組みの中では、経営層レベルの戦略的機能や管理レベルの調整機能、現

場レベルの運用機能の 3 つのレベルで連携するために、それぞれの役割を担う各

機構の意識を合わせておく必要があります。

本市は、新電子自治体推進計画において、初めて CIO15の役割を明確化し、市

長を CIO とすることにより、組織体制を強化しました。そして、地域情報化推進

委員会や情報政策課、ICT アドバイザーが CIO を戦略面、技術面からサポートす

る役割を担っています。また、情報政策課は PMO16として、各部署のシステム開

発等に関与し、ICT アドバイザーとともに技術的なサポートを行います。

本市のICTガバナンス体制

各機構の役割

○:大きく関わる、△:サポート

機構名

情報システムに係わるアクション

計画

立案

予算

編成

調達

仕様 調達

設計・

開発

運用・

保守

評価・

改善

CIO(市長) ○ ○ ○ - - - ○

地域情報化推進委員会 ○ ○ ○ - - - ○

PMO(情報政策課) ○ ○ ○ ○ △ △ ○

ICT アドバイザー △ △ △ △ △ △ ○

プロジェクト主体 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

15 Chief Information Officer:最高情報責任者 16 Project Management Office:プロジェクト支援を専門に行う部署

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3.主要なICTガバナンス

本市は、前述した ICT ガバナンスの考え方、体制のとおり、ICT ガバナンスを

継続的に機能させることにより、システムの全体最適化を図っています。

本計画においては、主要な ICT ガバナンスとして、後述する 3 つの ICT ガバ

ナンスを推進することにより、「第 6 章 2.主要な情報化事業~3.主要な情報化

事業候補の検討」をはじめとしたシステムの全体最適化を図るとともに、「第 5

章 2.情報化の目標」の達成を目指します。

①業務の可視化(見える化)

【目的】

情報システムの導入や更新等にあわせて、根本的な業務の見直しや、現行の

業務における問題点の改善(効率化等)を計画・実行し、市民サービスの向上

や資源(ヒト・モノ・カネ)の抑制や削減、有効活用を図ります。

【概要】

国は、世界最先端 IT 国家創造宣言において、「IT 投資にあたって、業務改

革を徹底し、システムの更改時期等に合わせて、サービス向上や行政運営の効

率化・スリム化に向けたビジョン等を策定し、これに沿って計画的に業務・シ

ステムの改革を行う。」としています。そこで、地方自治体は、このような業

務改革・業務改善を実現するために「業務の可視化(見える化)」を行う必要

があります。

業務の見える化とは、業務の実態を「定量化」したり、「視覚的に表現」し

たりすることで、誰もが業務に関して同じ認識を持つことができるようにする

取り組みです。「定量化」とは、業務量や業務頻度、作業時間等を把握するた

めに数値化することです。また、「視覚的に表現」とは、業務の流れ(手順)

を図や表、グラフ等を用いて、誰もが一目で分かるように示すことであり、そ

の代表的な手法が「業務フロー」と呼ばれるフローチャートの作成になりま

す。これらの業務の見える化により、誰もが同じ認識を持って、初めて組織的

な業務改革・業務改善に取り組むことができるようになります。

本市は、平成 16 年度より情報システムに関する幅広い知識・経験等を有す

る ICT アドバイザーの支援を受けながら、大規模なシステム導入や更新等にあ

わせて、業務の見える化を行い、主にその中で発見した問題点をシステムの利

活用により改善することで、市民サービスの向上や業務の効率化等に取り組ん

できました。今後は、前述した国の指針において、「IT 投資にあたっての業務

改革の徹底」が求められていることから、業務の見える化を更に推進し、特に

根本的な業務の見直しといった業務改革(例:第 6 章 2 (1) ①総合窓口)を

計画・実行することで、市民サービスの向上や資源(ヒト・モノ・カネ)の抑

制、削減を図ります。

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業務フローのイメージ図

【取組みの方向性】

ア.業務の見える化の推進

システムの導入や更新等に合わせて、ICT アドバイザーの支援を受けなが

ら、最新の業務分析方法(例:BPMN17を用いた分析)を活用しつつ、現行

とあるべき姿の業務フローを作成し、それらを比較することで、現行の業務

における問題点を分析します。

イ.業務改革・業務改善の計画・実行

現行の業務における問題点について、根本的な業務の見直しといった業務

改革や、問題点の改善といった業務改善を計画し、それを実行するための機

能要件・非機能要件を満たすシステムの導入を検討します。

※本事業については、国の「世界最先端 IT 国家創造宣言」より表現を引用して

います。

17 Business Process Model and Notation:業務フローを作成し、業務を可視化するための表記ルー

ルを定めたもの。

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②効果の測定・目標達成度の評価手法の確立

【目的】

システムの導入や更新等の際に設定した目標(実現したい効果)に対する実

際の効果を測定し、目標の達成度を定量的に評価する取り組みを推進すること

により、市役所全体におけるシステムの導入や更新等による効果を明確にし、

市民サービスの向上や資源(ヒト・モノ・カネ)の抑制、削減につなげます。

【概要】

国は、世界最先端 IT 国家創造宣言において、「本戦略に基づく、具体的な

取組について、進捗状況や成果を確認するためには、『目標』とその目標を具

体的に実現するための『施策』が計画通り遂行されているかどうか定量的に測

定する『指標』として、いわゆる KPI18を設定することも重要である。」とし

ています。

このような取り組みを行うためには、ICT(特にシステム)の利活用におい

て、システムの構想を策定し(Plan)、それに基づくシステムの調達・開発を

実施し(Do)、その効果の測定・評価を行い(Check)、システムの見直しに

つなげる(Action)というマネジメントサイクル(PDCA サイクル)の確立が

必要であるといえます。

PDCAサイクルのイメージ図

18 Key Performance Indicator:重要業績評価指標

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本市は、この PDCA サイクルに基づき、システムの導入や更新等にあわせて

システムによる効果の測定・評価を行い、システム個別の見直しにつなげてい

ます。

しかしながら、効果の測定・評価の取り組みが、本市における普段のシステ

ム運用に馴染んでいない(システムの更新時のみ、効果の測定・評価を行う場

合が多い)ことから、情報政策課は市役所全体でのシステムによる効果が定量

的にどれくらい発生して、それをどのように市民サービスの向上や資源の抑

制、削減につなげているのかを十分に整理できていない状況です。

このような課題を解決するため、システムによる効果の定量的な測定手法や

目標達成度の評価手法を確立し、システムによる効果を明確にすることによ

り、更なる市民サービスの向上や資源の抑制、削減を目指します。

【取組みの方向性】

ア.効果の定量的な測定手法・目標達成度の評価手法の確立

システムの導入や更新等の際に設定した目標・設定根拠や、それに対する

実際の効果・目標達成度等を、システムの所管部署が定量的に測定・評価す

ることができる手法を整備します。

イ.効果の測定・評価の推進

情報政策課は整備した測定・評価手法を用いて、システムの所管部署が、

システムの更新時に限らず、必要に応じて定量的な効果を測定・評価できる

仕組みを構築します。

ウ.システム全体でのシステムによる効果の測定・評価

情報政策課はシステムの所管部署が測定した評価結果を集約し、市役所全

体でのシステムによる効果の評価を行います。そして、その結果を更なる市

民サービスの向上や資源の抑制、削減につなげるために、地域情報化推進委

員会(本市における IT 投資の最高意思決定機関)に報告し、IT 投資の優先

順位付けに活用します。

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③情報システム部門の業務継続計画(ICT-BCP)

【目的】

情報政策課が主管するシステムやネットワークは、本市の重要業務に必要不

可欠な情報基盤となっていることから、災害等の緊急時においてもこれらを稼

働させるための備えが必要となります。よって、災害等の緊急時における情報

政策課の行動計画を策定し、事前・事後の対策を講じることにより、利用可能

な資源(ヒト、モノ、情報、資金、公共インフラ等)に制約がある状況下での

重要業務の継続や早期の復旧を実現します。

【概要】

BCP とは、災害・事故で被害を受けても、重要業務をなるべく中断させず、

中断してもできるだけ早急に(あるいは、許容される中断時間内に)復旧させ

る「業務継続」を戦略的に実現するための計画です。

本市は、総合計画の「安全・安心なまちプロジェクト」で、各分野における

BCP の策定を推進しています。また、平成 26 年 2 月に策定した「佐世保市防

災・減災事業計画」で、BCP の策定と業務継続に必要な対策の実施を推進して

います。

ICT 部門においては、国が平成 20 年 8 月に「地方公共団体における ICT 部

門の業務継続計画(BCP)の策定に関するガイドライン」を策定し、前述した

目的を達成するため、地方自治体に対して、ICT-BCP の策定を推進しており、

本市においてもガイドラインに基づき、ICT-BCP の策定に取り組んでいるとこ

ろです。

今後は、防災危機管理局が策定する BCP との整合を図りながら、ICT-BCP

を早期に策定します。また、ICT-BCP の実効性を維持・向上するために、業務

継続のマネジメントシステム(Business Continuity Management System、

以下「BCMS」という。)を確立します。

業務レベルと復旧に要する時間の相関図

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【取組みの方向性】

ア.システム復旧手順書作成ガイドラインの見直し

本市は、平成 23 年度に「システム復旧手順書作成ガイドライン」を策定

し重要度が高いシステムに関する複数の各種手順書や資料の集約・整理を行

い、システム毎に復旧手順書を作成しました。それ以降、一定の期間が経過

しているため、システム復旧手順書作成ガイドラインの見直しを検討し、シ

ステム毎の復旧手順書の更新を推進します。

イ.ICT-BCP の策定

情報政策課が主管するシステムのうち、重要度が高いシステムを対象にし

て、市全体の BCP との整合を図りながら、ICT-BCP を策定し、事前のバッ

クアップ準備やリスク軽減、事後の応急対応・復旧手順の明確化や指揮命令

系統の確保等の対策を講じます。

ウ.BCMS の確立

ICT-BCP に記載した訓練計画に基づき、定期的な訓練(少なくとも関係者

による計画の読み合わせによる机上訓練)を実施し、その結果や人事異動等

に伴う体制の変更をふまえて、ICT-BCP の見直しを繰り返し行うことによ

り、ICT-BCP の実効性を維持・向上します。

※本事業については、国の「地方公共団体における ICT 部門の業務継続計画

(BCP)策定に関するガイドライン」より表現を引用しています。

◎地方公共団体における ICT 部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイド

ライン(平成 20 年 8 月改定)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000145527.pdf

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4.情報セキュリティ対策

情報セキュリティとは、本市が保有している個人情報や業務情報の「機密性・

完全性・可用性」を維持することです。

・機密性:許可されていない者が情報を使用できないこと

・完全性:情報が正しい内容で改ざんされないこと

・可用性:許可されている者が必要な時に情報を利用できること

本市は、平成 16 年 6 月に情報セキュリティポリシーを策定し、PDCA サイク

ルに基づき、システム・設備のセキュリティ対策や情報セキュリティ監査、職員

への教育・研修等の情報セキュリティ対策を実施しています。

その一方で、個人情報や業務情報を取り巻く脅威(リスク)は、ICT の進展に

伴って日々多様化しているため、情報セキュリティの効果的かつ継続的な対策が

求められています。

このような背景から、新たな脅威への情報セキュリティ対策を講じるために必

要となる技術動向やコスト、脅威が個人情報や業務情報に及ぼす影響度を考慮し

ながら、新たな対策の実施及び対策の拡充等を検討する必要があります。

そのため、今後も継続して「技術的対策・物理的対策・人的対策」のバランス

を取りながら、必要な対策を順次推進し、情報セキュリティの維持・向上に努め

ます。

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ICT利活用による

便利な市役所推進計画

平成○年○月○日発行

〔編集・発行〕

佐世保市総務部 情報政策課

〒857-8585 佐世保市八幡町 1番 10号

TEL(代) 0956-24-1111