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(資料 1) 金融経済教育教員交流研究会 平成29年度事業報告書 1.活動概況 (1) 会員の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2) 役員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (3) 研究会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (4) 総会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 2.資 ・ 設立趣意書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・ 会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 【参考】 日本証券業協会(支援団体)の教育関係者向け事業 (1) 金融・経済セミナー(夏期セミナー)の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・ 22 (2) 金融・証券1日プログラムの開催 ・・・・・・・・・・・・・・・ 22 (3) 土曜学習・土曜授業等への講師派遣 ・・・・・・・・・・・・・・・ 23 (4) 土曜学習・土曜授業等の周知活動 ・・・・・・・・・・・・・・・ 25 (5) 大学への講師派遣(金融リテラシー出前講座)・・・・・・・・・・・・・・・ 25 (6) 体験型学習教材の提供(無償) ・・・・・・・・・・・・・・・ 26

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(資料 1)

金融経済教育教員交流研究会

平成29年度事業報告書

1.活動概況

(1) 会員の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

(2) 役員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

(3) 研究会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

(4) 総会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

2.資 料

・ 設立趣意書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

・ 会 則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

【参考】

日本証券業協会(支援団体)の教育関係者向け事業

(1) 金融・経済セミナー(夏期セミナー)の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・ 22

(2) 金融・証券1日プログラムの開催 ・・・・・・・・・・・・・・・ 22

(3) 土曜学習・土曜授業等への講師派遣 ・・・・・・・・・・・・・・・ 23

(4) 土曜学習・土曜授業等の周知活動 ・・・・・・・・・・・・・・・ 25

(5) 大学への講師派遣(金融リテラシー出前講座)・・・・・・・・・・・・・・・ 25

(6) 体験型学習教材の提供(無償) ・・・・・・・・・・・・・・・ 26

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1.活動概況

金融経済教育教員交流研究会は、近畿圏の中学校・高等学校の教員を対象として、証券をはじ

めとした金融・経済の知識を継続的に学習し、学校教育現場における学習指導に寄与することを

目的として、平成 21年 12月 28日に日本証券業協会が設立し、運営等を支援する組織です。

本研究会は、授業に活用できる金融・経済に関する研究会の開催や府県及び中学校・高等学校

等の枠を超えた情報交換・会員相互の交流を行っています。

本研究会における平成 29 年度(平成 29年4月 1日~平成 30年3月 31日)の活動状況は、次

のとおりです。

(1) 会員の状況 ・・・ 317名(平成 30年3月 31日現在)

① 中学校・高等学校等別の状況

中 学 校 中高一貫 高等学校 そ の 他

95名 36名 159名 27名

② 府県別の状況

大 阪 府 兵 庫 県 京 都 府 奈 良 県 滋 賀 県 和歌山県 その他

157名 61名 43名 31名 10名 12名 3名

(2) 役員名簿

代 表 小 西 正 晃 大阪市立西高等学校 校長

副 代 表 田 代 晋 司 大阪市立長吉六反中学校 校長

〃 平 寿 之 大阪市立住吉商業高等学校 教頭

幹 事 李 洪 俊 大阪市立長吉中学校 教諭

〃 上 田 義 人 兵庫県立御影高等学校 教諭

〃 大 塚 雅 之 大阪府立三国丘高等学校 教諭

〃 都 築 学 京都府立山城高等学校 教諭

〃 中 村 憲 司 大阪市立今市中学校 教諭

〃 原 雅 史 大阪市立柴島中学校 教頭

〃 藤 宏 美 大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校 首席

〃 正 垣 裕 介 大阪市立住吉商業高等学校 教諭

(平成 30年3月 31日現在・敬称略)

(役職・肩書は当時のもの)

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(3) 研究会の開催

本年度中、研究会を5回開催し、延べ 103名の参加を得ました。

回 数 開催日 講演テーマ・講師 参加者数

総 会

第1回

平 29.

6.3(土)

「資質・能力の育成と学校における金融経済教育」

独立行政法人教職員支援機構

上席フェロー 大杉 昭英 氏

24名

第2回 7.22(土)

「大阪ビジネスフロンティア高校(OBF)の高大接続科

目『ビジネス・マネジメント』の取り組みについて」

関西大学 会計専門職大学院 教授 柴 健次 氏

大阪ビジネスフロンティア高等学校 首席 藤 宏美 氏

21名

第3回 11.4(土)

「『大大阪』時代から何を学ぶか~若手起業家の開業を

支えた経済構造~」

南山大学 経営学部 教授 沢井 実 氏

24名

第4回 12.9(土)

「起業・職業・職場体験を通じたキャリア教育支援プログ

ラム」

津市立東橋内中学校 校長 中川 克巳 氏

10名

第5回 平 30.

2.3(土)

「中国経済の現状と世界経済への影響」

㈱富士通総研 経済研究所 主席研究員 柯 隆 氏 24名

(役職・肩書は当時のもの)

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【第1回】

平成29年度 第1回「金融経済教育教員交流研究会」事業報告書

実施日 平成29年6月3日(土) 会場 日本証券業協会大阪地区協会 会議室

主 催 金融経済教育教員交流研究会

支 援 日本証券業協会大阪地区協会

内 容 15:00

~19:50

1.「資質・能力の育成と学校における金融経済教育」

独立行政法人 教職員支援機構 上席フェロー 大杉 昭英 氏

(前 国立教育政策研究所 初等中等教育研究部長)

2.質疑応答

3.交流会(任意参加)

参加者

24名(会員数320名)

(中学校6名、高等学校11名、中高一貫1名、その他6名)

(大阪府18名、兵庫県2名、京都府1名、奈良県1名、和歌山県2名)

[講演概要]

欧米の大学や一部の国内の大学では、大学間の互換性を保つため、ボローニャ宣言に基づく

3つのポリシー(アドミッション、カリキュラム、ディプロマ)を作成しており、大学で実施す

るカリキュラムの内容以外にも、大学が求める学生の資質、大学を卒業することで習得できる

能力といったことを公表している。これは、大学が、今後も存続していくためには新しい時代

に対応していかなければならないという意思表明であると同時に、大学として新しい時代に対

応できる人材を輩出するとした決意表明でもある。

私たちの社会生活において、職務や役割における効果をあげて、結果的に優れた行動に結び

つけている人たちが大勢いる。例えば、百貨店の食料品売場で試食販売を行って食品の売上げ

を伸ばしている店員の思考パターンや活動パターンを観察すると、他者とうまく関わる能力や

プロジェクトを設計して実行する能力に優れていることがわかる。今後、日本人が世界の中で

生きていくために必要な資質や能力(キー・コンピテンシー)とは何かを考えた場合、その鍵と

なるのは、異質な集団と交流する(他者とうまく関われたり、協働したり、紛争を処理して解決

したりする)資質と、自立的に活動する(大きな展望の中で活動したり、個人的プロジェクト等

を設計し実行したり、自らの権利、利害、限界やニーズを表明したりする)資質とを備え持ち、

これらを結びつける道具(言語、知識、情報等)を相互作用的に用いることができる能力が必要

となろう。特に、金融経済教育などの社会科目においては、情報の取り出し方や情報の解釈、こ

れまでの知識や経験と情報との関連付け(熟考・評価)がとりわけ重要となる。具体的には、社

会生活において、生きて働く「知識・技能」の獲得(何を理解しているか、何ができるか)、未

来の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成(理解していること、できること

をどう使うか)、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等の涵養」(どの

ように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)の3つである。

次に、これらの資質や能力を育成するためにはどうしたら良いかということであるが、教科

等で身に付けたり、教科等を超えた全ての学習の基盤として育む(言語能力(読解力等)、情報

活用能力(プログラミング的思考やICTを活用する力を含む)、問題発見・解決能力、体験か

ら学び実践する力、多様な他者と協働する力、学習を見通し振り返る力)といった以外にも、現

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代的な諸課題に対応することで、主権者として求められる力を育むことができるようになると

考えられる。例えば、自転車の乗り方を理解したたけでは実際に自転車に乗れないのと同様に、

思考力は考えさせることで、判断力は判断させることで、表現力は表現させることで、それぞ

れの能力が育成されるため、今日の社会で必要とされる能力を育てるには、教室内でのグルー

プ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等の能動的・協働的な学習活動(アクテ

ィブ・ラーニング)が効果的であるが、これらの学習活動を深いもとするため、良い知識(情報

の取り出し)とコンピテンシーの発揮(有効なアクティビティの実践)が必要である。具体的に

は、アクティブ・ラーニングの視点から、何について、どのように考えるかが重要であることに

加えて、何を活用して考えさせるか、「知識や概念の活用」といった「深い学び」の実現を目指

すものである。また、「深い学び」の実現には、講義を通じて、問題状況や共通了解事項の説明、

概念や手続きの確認等を行い、アクティブ・ラーニングにより思考や判断力を探求し、さらに

学びの振り返りにより客観的に把握することが大切である。例えば、公民的分野での活用すべ

き基本概念としては、現代社会を捉えるうえで必要な「対立と合意」、「効率と公正」、市場の働

きと経済を考察するうえで必要な「希少性、選択、トレードオフ…」、国民の生活と政府の役割

を考えるうえで必要な「財源の配分、市場の働きに委ねることが難しい問題」などが挙げられ

る。他方、「政治・経済」の分野では、「対立」、「協調」、「効率」、「公正」といった基本概念のも

と、例えば、経済概念の習得と活用する力を育成するための教材として、「自分の持っているお

金でマンガかドーナツのどちらしか買えないとしたら、どちらの満足が大きいか」、「企業の跡

地をどう活用するか」、「市役所など駅に近い交通の利便性が良い駐車場を有効的に活用するに

はどうすればよいか」、「500 人が避難している仮設住宅で 400 個のシュークリームを配るため

には、どのように配分するのが公正か」などの事例を使った学習活動が考えられる。このよう

に、今後、私たちが社会生活をおくるうえで、定まった答えのない問題に遭遇する場面が多々

あることが予想され、その問題を解消していくためには、基本概念に基づいた理由付けを考え、

意思決定の合理性と公正性を確保しながら、持続可能な社会を形成する必要がある。

最後に、今後、国際政治や世界経済などの折衝の場面においては、結果を重視し幸福の最大

化を目指す「帰結主義」の考えと、結果に関係なく最も不利な状況を改善することを約束して

実践する「非帰結主義」の考えとが衝突する機会(自分にとってよいことはみんなにとってよ

いことかを考察する機会)に遭遇することが増えるだろう。そのような場合に、「効率」と「公

正」のどちらを優先するのか、知識をどう使いこなし多くの人びとが納得する理由付けを導き

出すのかが大切となる。

なお、講演を聞いた先生方からは、「経済概念を用いた『深い学び』の授業において、生徒

たちの評価はどうしたら良いのか」といった意見や、「学習指導要領の変遷過程における考え

方を聞くことができたので参考になった」などの感想があった。

以 上

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【第1回研究会】

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【第2回】

平成29年度 第2回「金融経済教育教員交流研究会」事業報告書

実施日 平成29年7月22日(土) 会場 日本証券業協会大阪地区協会 会議室

主 催 金融経済教育教員交流研究会

支 援 日本証券業協会大阪地区協会

内 容 15:00

~17:20

1.「大阪ビジネスフロンティア高校(OBF)の高大接続科目

『ビジネス・マネジメント』の取り組みについて」

関西大学 会計専門職大学院 教授 柴 健次 氏

大阪ビジネスフロンティア高等学校 首席 藤 宏美 氏

2.質疑応答

参加者

21名(会員数316名)

(中学校6名、高等学校5名、中高一貫1名、その他9名)

(大阪府15名、兵庫県1名、京都府4名、奈良県1名)

[講演概要]

<柴教授>

平成 16 年3月の大阪市立高等学校将来構想委員会の「最終まとめ」において、「同一学科、

類似学科が競合することがないように、大胆な再編統合を進め、時代の進展に対応した施設・

設備を備え、専門性の高いライセンスの取得と同時に、大学への進学可能な新しいタイプの商

業高校の開設を検討すべきである」とされた。その後、平成 18 年 12 月の新商業高校構想具体

化委員会の「本市の新商業高校構想具体化について」において、「開設する新商業高校は、大学

や産業界と連携し、高大7年間を見据えた教育課程を編成し、大阪の新産業創造を担い、起業

の精神を溢れ、国際ビジネス社会で活躍する高度な専門性を備えたビジネススペシャリストを

育成する高等学校とする」とされたことを受け、既存の3つの商業高校(東、市岡、天王寺)が

統合され、実践的な英語やビジネスの学習に力を入れるとともに、大学教授が作成した教科書

を使用するなどして、高校と大学をつなぐ「高大接続科目」を取り入れた高等学校が新設され

ることとなった。このように、大阪ビジネスフロンティア高等学校は、「商業高校の本質である

キャリア教育をすすめ、『大学とつながる』『産業界とつながる』今までにありそうでなかった

新しいタイプのビジネス高校」として、平成 24年4月に開校した。

高大接続科目のために準備したテキストは、ビジネスの導入教育の際にビジネスについてイ

メージしやすいように編纂された「ビジネス・アイ」と、マネジメントに関わる専門的な知識に

ついて詳しく解説された「ビジネス・マネジメント」の2種であり、2年次1学期まで「ビジネ

ス・アイ」、2年次2学期から「ビジネス・マネジメント」のそれぞれのテキストを使用するこ

ととした。また、初版から4年が経過し、同校の各学年担当者が本テキストを使用した経験を

踏まえて、ミスや誤植の解消、表現等の見直しを行った。その結果、29 年度から使用するテキ

ストでは、一部の章について削除と統合を行った。

<藤首席>

本校では、ビジネスパーソンに必要な技術として、グローバルコミュニケーション能力とし

ての英語、企業経営やマネジメントの基礎である会計(簿記)、自分の考えをわかりやすく、説

得力を持って伝えるための ICT技能(情報)の3つを重要視している。そのため、1年次より、

計画的に資格を取得することを推奨している。

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また、高大連携講座を開設し大阪市立大学や関西大学等から講師を招いて特別授業を行うほ

か、ビジネススペシャリストの素養を身に着けるため、企業からマーケティング、営業部、人事

部といった部署の担当者を招聘して実務の話を聞いたり、日本証券業協会の無償教材を活用し

て会社のしくみやビジネスプランの作成等を体験したり、監査法人等から資金計画の立て方、

企業の業務分析、株価トレースによる企業評価方法等を学ぶなどして、生徒たちが、学校で学

んでいることが実生活であり、実社会に役立つという実感が持てるよう取り組んでいる。

本校卒業後は、私立大学(同志社大学、関西学院大学等)や国立大学(阪大、香川大、和歌山

大等)への進学のほか、国内企業に就職している。進学先や就職先からは、本校の生徒の特長と

して、他の高等学校の生徒と比べ、ビジネスの担い手であるという意識や、起業家精神を持っ

て新しいことにチャレンジする意欲が高く、自主的・積極性に優れているとの評価を得ている。

他方、グローバルビジネスに通用する人材育成の観点から、海外姉妹校との交流や英語によ

る体験授業に力を入れている。オーストラリア姉妹校への留学、英語を使ったビジネス研修の

取入れ、ビジネスアイデアを英語で発表するコンテストへの出場等、世界とつながることを意

識した取り組みを行っている。

なお、講演を聞いた先生方からは、「グローバルな場面で活躍する人材を育てることを前提

とすると、ビジネスに関する知識や実習もさることながら、高校から英語の習得が重要になる

との認識を改めて感じた」などの感想があった。

以 上

【第2回研究会】

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【第3回】

平成29年度 第3回「金融経済教育教員交流研究会」事業報告書

実施日 平成29年11月4日(土) 会場 日本綿業倶楽部(綿業会館) 会議室

主 催 金融経済教育教員交流研究会

支 援 日本証券業協会大阪地区協会

内 容 15:00

~18:00

1.「『大大阪』時代から何を学ぶか

~若手起業家の開業を支えた経済構造~」

南山大学 経営学部 教授 沢井 実 氏

2.質疑応答

3.日本綿業倶楽部内見学

参加者

24名(会員数316名)

(中学校5名、高等学校11名、中高一貫2名、その他6名)

(大阪府13名、兵庫県2名、京都府4名、奈良県5名)

[講演概要]

大阪市は、大正 14年(1925年)隣接 44町村の合併による市域拡張により、人口 203万人の

大都市(世界第6位)となった。明治初期において全国生産で突出した地位を占めていた関西

経済の地位は、明治・大正期の工業化を経てその地位を高め、大正 13年には、機械器具と印刷

を除く紡織、金属、窯業、化学、材木、食料、その他の生産において首位であり、日本経済全

体の 22.6%を占めていた。また、当時は、阪神(大阪・兵庫)工業地帯の産業部門別構成をみ

ると、生産額・職工数(労働者数・技術者数)ともに京浜工業地帯(東京・神奈川)を上回り、

中心的産業は染織であった

大阪が「東洋のマンチェスター」と称さるようになったのは、ビジネス・モデルとしての大阪

紡績(東洋紡の前身)の役割があげられる。大阪紡績は、山辺丈夫氏がプラット社の紡織機を輸

入して綿布を生産し始めたのを契機として、天満紡、浪華紡、平野紡、金巾製織、岸和田紡等が

参入し、大阪が綿布の一大生産地となったことで、インド等から綿花を輸入する商社や紡織機

部品等の関連諸産業も成長した。

他方、大阪は、1870 年以降、旧幕営工業・長崎製鉄所の設備と労働者の一部を移して大阪城

内に設立された大阪砲兵工廠が存在し、多数の労働者と技術者を輩出した。また、谷町周辺は

機械商街が成立(戦後は今里や東大阪の流通団地へと発展)したり、新町や立売堀には工具商

街が成立したりと、重層的な工作機械市場ができあがるとともに、西日本一円における町工場

の新規開業を支援する体制ができあがり、「商都」と「工都」の連携ができあがった。

このような産業化に付随するように、造船業、海運業、電力業も発展し、これらの産業を下支

えするための中小企業が族生した。昭和 12年(1937年)には、大阪市内に機械器具工場が 8272

工場あり、その経営者の 72%は同種工業労務者からの独立組であった。上町、川口、西九条、

九条、難波、西野田周辺に工場街が形成され、第一次世界大戦後の戦間期には、東成区、此花

区、大正区に拡大し、港区や西淀川区などでは、機械器具工場の集積が進んだ。

このような時代は、大阪において、久保田権四郎氏、椿本説三氏、松下幸之助氏、早川徳次

氏、天辻晋太郎氏といった著名な創業者型経営者を多く輩出した時期でもあった。意外なこと

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に、これらの経営者の多くは決して学歴が高いわけでなく、福井県や石川県を含めた西日本の

出身者が多かった。

大正8年(1919 年)当時の日本の主要輸出品が、生糸、綿織物、絹織物、綿糸に次いで、メ

リヤス製品、陶磁器、真田、玩具、ブラシ、ボタン、履物、帽子、琺瑯鉄器などの雑貨製品とな

っていることにみられるように、大阪も「労働集約型産業=安い労働力に支えられた手工業製

品」が中心であったが、大正末期から昭和にかけて工業化が進むと、産業界から技術者の供給

が求められるようになり、市立の工業高校や府立の職工学校等に見られるような多彩な中等工

業教育が発展した。当時の教育制度では、尋常小学校卒業後、一部の生徒が尋常小学校高等課

や中学校に進学するものの、その大半は学業と実践(職工技能)を学ぶことができる工業高校

や職工学校への進学を選好し、最新の職工技能を持った技術者の供給を支えた。

また、官立・公設の試験研究機関を中心とした研究開発のネットワークが構築され、大阪市

立工業研究所において合成樹脂やプラスチックの最先端の研究が行われたほか、同所研究員に

よる出張指導や中小工業に対する巡回指導が行われた。大阪府でも、工業試験場や産業能率研

究所が設立され、中小企業に対し、産業能率、科学的管理法の普及を目的とした「工場診断」の

活動が行われた。

一方、第2次世界大戦開戦以降、我が国が、統制・「計画」経済による産業構造の「機械工業

化」を図ったため、東京に比べて「軍需工場」が少なく、中小企業のウエイトが高かった大阪で

は、経済の「地盤沈下」が起き、現在に至っている。

すなわち、近代大阪経済史から学ぶべき教訓としては、①大阪は、近隣諸県、西日本、アジア

に対する開放性と「商都」と「工都」の連携が生み出す自立性のもと、②中古機械や機械工具の

商街形成、川筋造船所の集積、中小企業育成・技術向上のための教育機関と試験研究機関との

連携による産業集積が図られ、③そこに雇用の維持拡大に必要な低廉な労働者の供給が行われ

たことで、経済発展を遂げた地域であったと言える。

講演を聞いた先生方からは、「大阪経済を再興するためには、経済史の観点から何が必要と

考えるか」、「中学・高等学校にこれからの人材育成を考える場合、教育の現場で求められるも

のは何か」といった質問があった。

[見 学]

講演のあと、岡常夫氏(東洋紡績株式会社専務取締役)の巨額の遺贈金と綿業関係者の寄付

により設立された日本綿業倶楽部の建物で、昭和7年に竣工した綿業会館の内部を見学した。

以 上

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【第3回研究会】

(講演の様子)

(館内見学の様子)

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【第4回】

平成29年度 第4回「金融経済教育教員交流研究会」事業報告書

実施日 平成29年12月9日(土) 会場 日本証券業協会大阪地区協会会議室

主 催 金融経済教育教員交流研究会

支 援 日本証券業協会大阪地区協会

内 容 15:00

~17:00

1.「起業・職業・職場体験を通じたキャリア教育支援プログラム」

津市立東橋内中学校 校長 中 川 克 巳 氏

2.質疑応答

参加者

10名(会員数 316名)

(中学校3名、高等学校1名、その他6名)

(大阪府9名、京都府1名)

[講演概要]

■ キャリア教育のプログラム化

キャリア教育のプログラム化への動機としては、①学校の機能を失いかけた危機的な状況

(授業妨害、器物損壊、対教師暴力等)、②生徒の教師に対する不信感(教師、大人は敵)、

③生徒の本来の姿(認められたい、今の自分は本来の自分ではない)を見てきたことがあ

る。問題行動を未然に防ぐためには、確固たるものではなくても個々が持っている夢や目標

を学習意欲につなげていくことが必要であり、そのための学力向上や課題発見・解決能力向

上を大切にしていこうと考えた。

■ キャリア教育の本質

教育の目的は、「人格の完成と社会の形成者である認識を持たせること」であり、そのため

の力をつけさせることが重要である。「価値観の形成」が大切で、新しい何かや誰かに出会っ

たときに今までの自分が変わっていく。キャリア教育において、学校から社会・職業への円

滑な移行に必要な力のうち、特に重要なのは「論理的思考力・創造力」である。創造力と

は、「決まったものを違う角度から見る力」である。

■ 「教え込む授業」から「対話的な授業」へ

学習者の「興味・関心」「学習内容の理解」「学習そのものの面白さの体験」「学習意欲」に

配慮しないような教え込む授業ではなく、学習者が対象や他者との対話、自己との対話によ

り、深い学びを獲得する授業が求められており、こうした授業スタイルの違いは学習者の授

業内容の記憶率にも影響する。

■ 思考力・判断力・表現力の育成

教科教育では各科目の知識をつけることのみが目的ではなく、数学であれば数学的な考え

方、理科であれば理科的な考え方を身につけること、スキルの習得が大きな目的である。

また、課題を解決するには、思考力(情報を関係づける力。根拠を見出す力)、判断力(結

論を選択する力)及び表現力(他者にわかりやすく伝える力)が必要である。新学習指導要

領においても、「見方・考え方」を重視しており、新しい知識・技能と既に持っている知識・

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技能を結びつけながら深く学ぶための視点が大切である。

■ 生徒、保護者が進路指導や職業教育に求める内容

生徒へのアンケートでは「自分のことがよく分かっていないので、それを教えてほしい」

という回答が多く、保護者へのアンケートの「中学校の進路指導に期待すること」では、「自

分の個性や適性を理解するための学習」「学ぶことや働くことの意義を考えさせる学習」が圧

倒的に多い。これは、自立した社会人になるための基盤を作ってほしいということだと理解

している。

■ 総合的な学習の時間における「キャリア教育プログラム」

教育委員会を離れた後、すぐに「キャリア教育会」を立ち上げて、津市内で共通して 小学

校から中学校まで通して使えるようなテキストを作成し、キャリア教育をプログラム化し

た。同プログラムは現在でも使われている。

中学校版では、各教科の授業として外部の企業や団体から講師を招いたり、三重大学と協

力して教授や大学院生をゲストティーチャーとしてカリキュラムを組むなど、社会人と関わ

りながら学習させている。

また、これらを支える組織として「学校支援地域本部事業」を公募により学校支援地域本

部「サポーターいっちゅう」を作った。この組織は学校側の要望する内容に応じて、該当す

る事業の中で、必要な人材・業者の紹介や派遣などを行ってもらえるというものである。

■ 起業教育のカリキュラム

1年生では起業教育のカリキュラムを実施する。企業に必要な分析力や、企業の計画やそ

れに付随する必要な能力を学習する。その御、その実践として地域課題をベースとし、1グ

ループ10名程度を1つの「会社」として作り(各人が 1,000円を出資して資本金とする)、

最終的に地域の祭りなどに出店し、商品企画から市場調査、試作品作成、商品決定、販売・

決算といった作業を実施する。

さらに、祭りでの販売の結果、優秀な成績のチームについては、京都大学で行われる「バ

ーチャルカンパニートレードフェア」(学生の起業コンテスト)への参加を目指す。

このように、プロによる評価を交えて、すべてをリアルで行う中で、計画性・意思決定力

の育成、人間関係やコミュニケーション力の育成、情報活用力・職業理解力の育成を目指

す。生徒へのアンケートでも「各項目で力がついた」とする回答が大半を占めており、プロ

グラム全体の評価も「面白かった」「非常に面白かった」との回答がほとんどであった。

■ 2年生、3年生でのカリキュラム

2年生では、自己理解を端緒として、地域の様々な業種の方々に授業に参加してもらい、

生徒が興味を持っている業種の授業を自ら選択し、最終的に実際の事業所等で職業体験行っ

たうえで、自己評価を行う。

3年生では、修学旅行に「企業訪問」の課題研修を組み込み、興味のある企業を生徒が選

定し、取材交渉やアポイント取りも生徒が行い、修学旅行において実際に訪問取材して、進

路選択や将来の夢を考える機会としている。

■ キャリア教育で大切にしている考え

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キャリア教育の目的としては、①学ぶ楽しさや意義を見つけること、②未知の物事・知識

を学ぶことへの挑戦に面白みを見出す力を高めること、③学びが将来の可能性を広げる力に

なると実感できること、がある。そこに学習内容と学習フィールドの設定として、①実社会

で体験する内容(リアリティ重視)、②身に着けさせる力を明確にし、繰り返し実践させるこ

とにより、将来、自立した社会人となるための土台となる。

こうしたキャリア教育を推進するには、教科教育で身につけなければならないことを大切

にすることが重要であり、創造性を高める教育が必要である。

【質疑応答】

・(参加者)当方は中学校の教諭であるが、「総合的な学習の時間」については、授業時間数につい

ても厳しく管理されているし、道徳教育や情報管理教育についても実施していかなければなら

ない中、これだけの時間を割いて起業プログラムを実施しているのはすごいと思う。1年生で

20 時間ということであったが、1年間かけて毎月2回程度を組み込んでいるのか、集中的にや

っているのか。また、キャリア教育プログラムの実行には、先生方の意思統一も大変だったと

思われるが、どのように取り組んだのか教えてほしい。

・(中川氏)時間については、時間割の中の「総合的な学習の時間」を毎週追いかけていく。最後

は若干の時間割変更をして前日の準備をしたり、放課後を活用する場面もあったが、基本的に

通常の授業の枠の中で行っていた。一部、製作作業などについては、放課後や土曜日に教室を

開放して作業に充ててもよいことにした。また、「総合的な学習の時間」としては、様々な内容

を取り扱わなければならないので、キャリア教育の授業をすべてこの時間に充てるのではなく、

教科科目の中に取り入れて実施するよう工夫していた。

・(参加者)例えば、生徒だけで修学旅行で訪問取材をさせたり、職場体験で遠方に生徒だけで行

かせることは、私などは心配が先立ってなかなか実行が難しいと考えてしまうが、どのように

取り組まれたのか。

・(中川氏)プログラム導入前は、職場体験にしても学校側が決めた事業所に行かせていただけ

であり、嫌々参加する生徒も多く苦情もあったが、選択肢を拡げて自分の行きたい先を選ば

せるようにすると、喜んで行くようになり、モチベーションが上がれば距離なども関係なく

なった。安全面ということについては、基本的には生徒を信じるしかないが、目的をはっき

りさせておけば、結果的には問題が起こったことはなく、親からの苦情も受けたことはな

い。

以 上

【第4回研究会】

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【第5回】

平成29年度 第5回「金融経済教育教員交流研究会」事業報告書

実施日 平成30年2月3日(土) 会場 日本証券業協会大阪地区協会会議室

主 催 金融経済教育教員交流研究会

支 援 日本証券業協会大阪地区協会

内 容 15:00

~19:30

1.「中国経済の現状と世界経済への影響」

株式会社富士通総研 経済研究所 主席研究員 柯 隆 氏

2.質疑応答

3.交流会(任意参加)

参加者

24名(会員数 317名)

(中学校7名、高等学校11名、中高一貫校 1名、その他5名)

(大阪府17名、兵庫県 2名、奈良県 4名、京都府1名)

[講演概要]

■ 中国経済の現状と世界経済への影響

Ⅰ 日本の明治維新と中国の改革開放政策

・ 2018年は、日本では明治維新から 150年、中国ではいわゆる改革開放から 40年である。ど

ちらも近代化が進むきっかけではあったが、中身は大きく異なっていた。

・ 明治維新では、ヨーロッパへ使節団として派遣された名士達が持ち帰ったものは、文化、制

度、思想、価値観といった「ソフト・パワー」であり、技術は後で学び、日本固有の技術とハ

イブリッドして、新技術を生み出した。

・ 中国の改革開放政策で、先進国から学んだのは文化、制度、思想、価値観などではなく、

「技術」である。経済発展を牽引する意味では非常に正しい選択であったが、学んだ技術を

さらにレベルアップしていくためには、それを支える「制度」が必要になる。

・ 今の中国経済が減速している原因は、(知的財産権の保護などの)制度上の欠陥がありすぎ

たことにある。

Ⅱ 2期目の習近平政権の政策課題

1.経済の立直し

(1) 雁行発展モデル

・ 習近平政権は今年から2期目に入る。習近平はこれまでの5年間、「反腐敗」に一所懸命に

取り組んだ。国家主席はルール上2期までだが、習近平はその後も続けたいので、国民から

の支持が欲しい。そのためには「反腐敗」だけではなく、「経済の立直し」が必要となる。

・ アジア諸国の経済発展は「雁行発展モデル」と呼ばれ、雁の群れが飛ぶのに似ているとされ

ている。群れの先頭を日本として、韓国や台湾などNIEsと呼ばれる国や地域、ASEAN諸国

は、いずれも戦後の日本経済発展モデルを踏襲した。

・ 中国も輸出依存と投資依存の経済であるが、現在、中国は世界で2番目の経済規模であり、

今では9千ドルを超えている。内需依存の経済に切り替えていかなければならない。ただし、

内需といえば民間消費であるが、中国はまだそこが弱い。

(2) 公共投資と設備投資の状況

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・ 投資には2つあって、1つは公共工事である。中国では 2008年の北京オリンピックと 2010

年の上海万博の時に大規模な公共工事があったが、今では一巡している。現在、公共事業と

しては第5世代高速通信網の整備やITSといったシステムやソフトウェア開発などに投資し

ているが、景気への波及効果は極めて弱い。

・ もう1つが設備投資である。中国における鉄鋼などの重厚長大産業は、軒並み 20〜30%の

過剰設備を有している。例えば自動車産業では、昨年1年間に中国国内で販売された自動車

は 2,880 万台で、設備としては 5,500 万台ほどの生産が可能であるから、約半分の設備が遊

んでいる。このような投資依存の経済を転換していかなければならない。

(3) 国内消費の状況

・ 投資ができなければ消費を増やさなければならないが、消費は伸び悩んでいる。

・ 爆買いしている中国人旅行者の多くは一部の富裕層である。中国にいる多くの者、特に低

所得層の者は、買い物はしたいが購買力が弱い。

・ 中国でも年金と国民医療保険はある程度整備されているが、介護保険については全く整備

されていない。公的な介護保険がない中でどのようにケアしていくかを考えれば、多くの中

国人にとっては、今の生活を楽しむのではなく、消費を控えて老後を考えなければならない。

(4) 対外輸出の状況

・ 国内で物が売れなければ輸出に力を入れることになるが、輸出は 2015年、2016年と2年連

続のマイナスとなり、2017年は前年比でプラスとはなったものの規模は拡大していない。

・ 人件費の上昇により、繊維や靴、玩具などの製造業がやっていけなくなり、これらの工場の

一部は既にベトナム、バングラデシュ、ミャンマーなど中国よりも人件費の安い国や地域へ

シフトされている。

(5) 技術開発力の向上と知的財産権の保護

・ 中国のやるべきことの1つは、産業構造の高度化、技術開発である。価格競争力は弱くなる

が、技術競争力を上げていき、より付加価値の高いものを輸出していくことが必要となる。

しかしながら、知的財産権が保護されておらず、国内企業がきちんとした研究開発をしない

ため、中国の技術力は弱い。

・ 研究開発をしなければ技術力は上がらないし、技術力が上がらなければブランド力が上が

らない。現在、世界で2番目の経済規模となった中国において、企業ブランドは確立されて

いない。技術開発力を向上していくためには、知的財産権の保護が必要である。

・ 中国経済の今後3〜5年を考えると、大きくクラッシュする可能性は非常に低いと思われ

るが、大きく回復してくる可能性も低い。この停滞した状態を変えるために、思い切った改

革や法整備をしていく覚悟があるかを問われている。

2.社会保障制度の整備

・ 現在の中国における 65歳以上の高齢者人口比率は約1割であるが、保険がほぼ完成してい

る日本と比べて、社会保障が整備されていない中国は深刻である。人口政策は緩和されて「二

人っ子政策」となっているが、結婚はするが子供は作らないという人が増えており、合計出

生率が上がらない。

・ 「一人っ子政策」は少子高齢化という弊害をもたらしたが、もう1つの弊害として、男女バ

ランスが崩れたことが挙げられる。国連の人口統計によると、中国では 20歳以下の年齢層で

男性が女性より 3,000 万人多い。社会問題として深刻なことであり、介護保険等の社会保障

制度の整備が必要である。

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3.所得格差の縮小

(1) 所得分布

・ 中国の所得分布をみると、富豪層の人口割合は 0.5%、次の富裕層の人口割合は 1.5%、中

産家庭(上)の人口割合は8%。これら上の3つの層を合わせるとちょうど1割程度になる。

中国の総人口は 13億 6,000万人なので、日本の総人口よりも多い1億 3,000万人がこの層に

当たる。

・ 問題は貧困層が 27%もあることであり、2期目の習近平政権では、これをどうボトムアッ

プするかが重要な課題となる。

(2) 納税意識向上の必要性

・ 中国国民に納税意識が低いという問題をクリアにすることが重要である。

・ 納税意識を高めるためには、「納税者の義務」の議論が必要である。「納税者の義務」の話を

するには「納税者の権利」について話すべきであるが、中国国内ではできない。また、政府が

集めた税金の予算執行の公開についても議論できない。つまり、政治改革を行わない限り、

中国の社会や経済にこれ以上の持続可能性はないであろう。

・ 中国では、「富豪層」にとって非常に有利な税制となっており、しかも固定資産税がまだ課

税されておらず、さらに相続税がない。ただ、税制については、避けて通れない問題であるか

らこそ、(考えざるを得ない)この状況はある意味で中国にとって希望でもある。

4.信用の確立

(1) 信用システムの構築

・ 中国は社会主義国家になってから信用が崩れた。これは信ずるものが失われたからである。

今、中国ではいわゆるビッグデータを使ってブラックリストに載ると、飛行機に乗れないな

どのペナルティが課されるようになった。「企業は信用できるのか」ということについては、

「コンプライアンス」の概念すら定着していないので誰も分からない。だからこそ、様々な

背任行為が行われるのである。

・ 市場経済は基本的に「信用の経済」といえる。全部を現金決済しているのでは拡大しない。

信用をどうやって再構築していくかについては、中国にとって非常に深刻な問題である。

(2) FintechとE‐commerce大国

・ 中国が経済を立て直していくにあたって期待されているのは、BIG DATA、Fintechなどの

IT関連分野である。IT技術は、アメリカで生まれ、日本と韓国により磨かれたが、広く使われ

ているのは中国である。中国ではインターネットユーザーが8億人に達し、電子商取引では、

金額では日米合わせても中国の半分もいかない。

・ 中国ではクレジットカードは定着しておらず、それに代わって使われるのがデビットカー

ドである。デビットカードは予めデビットカード用の口座にデポジットしておいた分だけ使

える。このデビットカードをデジタル化したのはFintechである。

・ 中国政府はデジタル技術に景気回復の期待をかけているが、インターネットで何でも買う

ことができると、店に足を運ぶことがなくなるので店舗が潰れてしまうという問題もあり、

大型スーパーや家電量販店がたくさん潰れている。したがって、発展の規模についてはもっ

と割り引いて考える必要があると思う。

5.習近平政権の存続に必要なこと

・ 習近平政権が3期目以降も続けていくつもりあれば、共産党設立以来やったことがない党

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内選挙を2期目の5年以内に実施し、長老に指名されなければならない。例えば、共産党中

央委員会で選挙を実施して 100%の指名を受けられれば、少なくとも歴史的な意味はある。

・ さらに支持を集めるならば、1989 年に起きた天安門事件の再評価をしなければならない。

習近平はこの事件の責任者ではないので、再評価さえすれば支持は集まる。

6.中国が「強い国」になるために必要なこと

・ 習近平政権になってから、国民に向けて、「中国人としての夢を実現しよう」と呼びかけて

おり、中国を「強い国」にしようと訴えている。・ 強い国には少なくとも3つのことが必要

になると思う。「強い経済」「軍事力」「文化力」である。

・ 文化力の弱い国は強国にはなれない。文化力は人を惹きつける力である。文化力は最も重

要である。文化は自由がなければ育たないが、今の中国に文化が育つだけの自由があるかと

いうと、不十分である。これからの国際社会の中で、文化力が圧倒的に重要になってくると

考えている。

以 上

【第5回研究会】

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(4) 総会の開催

・定時会員総会

平成 29 年6月3日(土)、定時会員総会を開催して次の議案を付議し、いずれも原案どおり

承認されました。

【議案】

第1号議案 平成 28年度事業報告書承認の件

第2号議案 平成 29年度事業計画書承認の件

第3号議案 役員選任の件

【定時総会】

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2 .資料

平成 21年 12月 28日

「金融経済教育教員交流研究会」設立趣意書

右肩上がりに経済が成長する時代は終わり、少子高齢化社会の到来、雇用環境における終

身・年功序列制の変容といった経済・社会の変化の中で、個人が金融資産の選択・運用につい

て、自らの判断と責任で意思決定する機会が人生の中で格段に増加してきています。

また、金融環境におけるペイオフ解禁、金融商品の多様化・高度化、IT化と販売チャネル

多様化といった変化の中で、個々人が情報を活用して利便性を追及しながら価値を向上させ

る機会も増大しています。

一方で金融商品の持つリスクに気付かず、間違った知識や情報に基づいて金融商品を選択

したため、損失をこうむる事例も生じています。こうした時代の中で、長い人生を生き抜くた

めの生活手段の一つとして、学校の段階から健全な金融知識を身につける必要性が高まって

きています。また、経済や社会の仕組みをより深く理解する観点からも学校の教育現場におけ

る金融経済教育※1の充実は、今や社会が要請するところとなっています。

こうしたなか、日本証券業協会では関係各機関と連携しつつ、長期的・継続的に証券知識の

普及・啓発を図ることを目的に、学校における金融経済教育に役立つ各種学習教材の提供※2、

教育関係者向けセミナーや講演会の開催等※3、多岐にわたる活動を通して学校教育現場にお

ける金融経済教育の充実に努めてまいりました。

これらの活動に加えて、日本証券業協会では平成 21年度より、金融経済教育の一層の充実

のため、教員等が集まり自主的な研究を行う団体等への支援活動を始め、東海地区において活

動を開始しました。

今般、関西地区においても、証券をはじめとする金融・経済の知識を継続的・体系的に学習

し、教員の学校教育現場における金融経済教育に関する学習指導に寄与することを目的とす

る「金融経済教育教員交流研究会」を設立し、その事業及び運営を支援することといたしまし

た。

本会は、日本証券業協会証券教育広報センター関西支部※4に事務所を置き、主に、近畿2

府4県の教員の方を対象として、本会の目的に資する事業を中立・公正に行って参ります。具

体的には、授業に活かせる金融・経済等に関する研修会の開催や本協会等が提供する体験型学

習教材を利用した教員相互の情報交換のほか、府県及び中学校・高等学校の枠を超えた交流を

行うこととしております。

これらの事業活動により、日本証券業協会では、金融経済教育の一層の充実と金融商品取引

市場の健全な発展に寄与していきたいと考えております。

以 上

※1 「国民一人一人に、金融やその背景となる経済についての基礎知識と、日々の生活の中でこうした基

礎知識に立脚しつつ自立した個人として判断し意思決定する能力、すなわち金融経済リテラシーを身

につけてもらい、また、必要に応じその知識を充実する機会を提供することをイメージしている」(金

融庁「金融経済教育に関する論点整理」(平成 17年 6月)から)

※2 平成 18 年度より、経済、金融、証券について体系的に学ぶことができる中学生・高校生向けの体験

型教材「みんなで体験!株式会社とお金のしくみ」を製作し、全国の中学校、高等学校へ無償で提供

しています。

※3 平成8年度より、全国の中学校や高等学校を主な対象として、株式の模擬売買を通じて生きた経済を

学ぶための学習教材「株式学習ゲーム」を提供しています。

※4 現 日本証券業協会大阪地区協会総務部

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金融経済教育教員交流研究会 会則 (名称) 第1条 この会は、金融経済教育教員交流研究会(以下「本会」)と称する。 (事務所及び事務局) 第2条 本会は、日本証券業協会 大阪地区協会に事務所をおき、本会の会務を処理するため事務所内に

事務局を置く。 (目的) 第3条 本会は、証券をはじめとする金融・経済の知識を継続的に学習し、会員の学校教育現場におけ

る学習指導に寄与することを目的とする。 (事業) 第4条 本会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。 1.金融・経済等に関する研修会の開催 2.学校教育で活用できる見学会の開催 3.金融経済教育で活用できる学習教材に関する研修会の開催及びその利便性向上のための情報交換

(後援団体等が提供するものを含む) 4.会員相互の情報交換・交流会の開催 5.その他本会の目的達成に必要な事項

(日本証券業協会による支援) 第5条 本会は、日本証券業協会から事業及び運営の支援を受ける。 (構成及び入会) 第6条 本会は、その趣旨・目的に賛同して入会した大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県及び

滋賀県の教員でもって構成し、本会に参加しようとする者は、入会申込書を事務局を経由して代表あてに提出する。

(会費) 第7条 本会の会費は、無料とする。ただし、幹事会の承認を得て必要に応じて実費相当額の負担を求

めることができる。 (退会) 第8条 会員は、本会が別に定める退会届を事務局を経由して代表あてに提出して、任意に退会するこ

とができる。 2 代表は、会員に本会の趣旨・目的に反する行為をしたことが認められたとき又は公序良俗に反する

行為を行ったときは幹事会の承認を経て、退会を促すことができる。 (役員の種類・定数) 第9条 役員は会員をもってあて、本会に次の役員をおく。 1.代表 1名 2.副代表 若干名 3.幹事 若干名 (役員の選任) 第 10 条 代表は、会員のうちから総会において選任する。 2 代表は、必要に応じて、副代表及び幹事を会員のうちから指名する。 (役員の任務) 第 11 条 代表は、本会を代表し、会務を統括する。 2 副代表は、代表を補佐し、代表が事故あるときは、代表があらかじめ指名した順序に従って、その

任務を代行する。代表又は副代表が欠けたときは、代表があらかじめ指名した順序に従って、幹事がその職務を代行する。

(役員の任期) 第 12 条 役員の任期は、就任の日から次の定時総会の日までとする。ただし、再任を妨げない。 (総会の種類) 第 13 条 本会の総会は、定時総会及び臨時総会の2種とする。 (総会の構成) 第 14 条 総会は、会員を持って構成する。 (総会の権能) 第 15 条 総会は、会則の改正、事業計画策定及び事業報告の承認、代表の選出、その他会員総会が必要

と認める事項について議決する。 (総会の開催) 第 16 条 総会は、毎年1回開催する。 2 臨時総会は、随時必要に応じて代表が召集することができる。 3 総会は、書面をもって開催することができる。 (総会召集) 第 17 条 総会は、代表が召集する。

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(総会の議長) 第 18 条 総会の議長は、代表又は代表が指名した役員が務める。 (総会の議決) 第 19 条 総会の議事は、出席した会員の過半数を持って決し、可否同数のときは、議長の決するところ

による。 (総会の表決権等) 第 20 条 やむをえない理由のため総会に出席できない会員は、あらかじめ通知された事項について書

面をもって表決することができる。 (幹事会及び幹事会の構成) 第 21 条 本会に幹事会を置く。 2 幹事会は、役員をもって構成する。 (幹事会の権能) 第 22 条 幹事会は、この会則の定め及び幹事会の議決に基づき、この会の業務を執行する。 2 幹事会は、この会則に定めるもののほか、次の事項を議決する。 ① 総会に付議すべき事項 ② 総会の議決した事項の執行に関する事項及び総会において幹事会に委任された事項 ③ その他総会の議決を要しない会務の執行に関する事項

3 幹事会は、研究会の運営及び研究プログラムの企画立案を事務局と行う。 (幹事会の開催) 第 23 条 幹事会は、役員が必要と認めたときに開催する。 2 幹事会は、書面をもって開催することができる。 (幹事会の召集) 第 24 条 幹事会は、代表が召集する。 (幹事会の議長) 第 25 条 幹事会の議長は、開催の都度、代表が指名する。 (幹事会の運営) 第 26 条 役員は、会の業務の執行に当たって、事務局と連絡を密にとらなければならない。 (助成金申請等) 第 27 条 代表は、事業ごとに事務局に対し、あらかじめ事業に関する助成金申請書を提出し、また、事

業が終了次第速やかに事業報告書を作成の上、清算しなければならない。 (事業計画及び事業報告) 第 28 条 本会の事業計画及び事業報告は、代表が作成し、総会の議決を経るものとする。 (事業年度) 第 29 条 本会の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月 31日までとする。 (解散) 第 30 条 本会は、目的とする活動に係る事業の成功の不能に事由による場合、総会の議決により解散す

る。 (施行細則) 第 31 条 幹事会は、その運営に関し必要と認めるときは、この会則で定めるものを除くほか、別に必要

な細部の事項を定めることができる。

附 則 1 この会則は、本会の成立の日(平成 21 年 12月 28日)から施行する。 2 本会の設立当初の役員は第 10条の規定にかかわらず次のとおり(個人氏名略)とし、その任期は第

12 条の規定にかかわらず、成立の日から平成 22年6月 30 日までとする。 3 本会の設立当初の事業年度は、第 29 条の規定にかかわらず、成立の日から平成 22年3月 31日まで

とする。 附 則(平 22. 6.19)

この改正は、平成 22年6月 19 日から施行する。 (注)第 10条第2項、第 12条及び第 13条を改正。

附 則(平 24. 6.16) この改正は、平成 24年6月 16 日から施行する。

(注)第2条を改正。

附 則(平 25. 6. 1) この改正は、平成 25年6月1日から施行する。

(注)第9条及び第 11条第2項を改正。

附 則(平 28. 5.28) この改正は、平成 28年5月 28 日から施行する。

(注)第2条を改正。

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【参考】日本証券業協会(支援団体)の教育関係者向け事業

本研究会の支援団体である日本証券業協会では、長期的・継続的に金融・証券に関する知識の普

及・啓発を図り、金融リテラシーの向上に取り組むため、「金融経済教育」に関する学習教材の無償

提供や教育関係者を対象とした各種セミナーの開催、教員による自主的な研究会を支援する等、多

岐に亘って活動しています。

日本証券業協会大阪地区協会における平成 29 年度(平成 29 年4月1日~平成 30 年3月 31 日)

の教育関係者向け事業の活動状況は、次のとおりです。

(1)教育関係者対象事業

① 教育関係者向け「金融・経済セミナー」(中学校・高等学校教諭等対象)

中学校・高等学校の教諭や教育関係者を対象に、金融経済教育の重要性に関する認識の向上・

理解を図るとともに、授業の指導内容に即した金融経済情報を提供し、今後の授業に役立てても

らうことを目的として、学校の夏休み期間にセミナーを開催し、74校 81名の参加を得た。

開催日時 会 場 講義テーマ・講師等

平 29. 8. 1(火) 10:20~17:00

北浜フォーラム (大阪市)

【第 1限】「株式の役割と証券市場の仕組み」 公益財団法人 日本証券経済研究所

大阪研究所 主任研究員 二上 季代司 氏

各見学先

【見 学】 ①日本銀行大阪支店・㈱大阪取引所 ②イートアンド㈱ 関西工場 ③大阪ガス㈱ ガス科学館

8.2(水) 10:30~16:55

北浜フォーラム (大阪市)

【第 1限】「関西経済の現状と課題」 日本銀行大阪支店 副支店長 福地 慶太 氏

【第 2限】「人工知能はわれわれの近未来をどう変えるのか」 公益財団法人 NIRA 総合研究開発機構

理事・研究調査部長 神田 玲子 氏

【第 3限】「アメリカ経済の現状と将来展望 ~トランプ政権下の経済政策~」

㈱大和総研 経済調査部シニアエコノミスト 近藤 智也 氏

【説 明】「体験型学習教材(無償提供)」 日本証券業協会 担当者

【第 4限】日本証券業協会の体験型教材を使った実践事例紹介 大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校 社会科担当教諭

② 教育関係者向け「金融・証券 1日プログラム」(中学校・高等学校教諭等対象)

中学校・高等学校の教諭や教育関係者を対象に、講義・見学等を通して証券・金融に関する基礎

知識を学んでもらうとともに、証券・金融への理解を深めてもらうことを目的として、学校の春休

み期間にセミナーを開催し、31校 37名の参加を得た。

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開催日時 会 場 講義テーマ・講師等

平 30. 3.28(水) 10:00~16:20

大学コンソーシアム大阪

1.「日本証券業協会における金融経済教育への取り組み」 日本証券業協会 担当者

2.「我が国の財政の現状と最近の経済情勢等について」 財務省近畿財務局 理財部金融監督官 花田 一夫 氏

3.「新学習指導要領を踏まえた金融教育について」 三重大学 名誉教授 山根 栄次 氏

4.「授業に役に立つ投資・年金の基礎知識」 ㈱オフィス・リベルタス代表 経済コラムニスト 大江 英樹 氏

③ 体験型学習教材等の提供(中学校・高等学校・大学対象)

教育現場における経済、金融、証券教育のサポートをするため、中学校から大学の各段階にお

ける学習教材を本地区管内の延べ 238校に無償提供した。

体験型学習教材 教材の概要 提供校数

株式学習ゲーム 株式の模擬売買を通じて経済の動きや社会の仕組みを学ぶことを目的とした学習プログラム。

132校

株式会社をつくろう! ~ミスターⅩからの挑戦状~

体験学習を通じて、会社の社会的な役割と責任、株式会社の仕組み、金融の仕組み等を学ぶ教材。

53 校

ケーザイへの 3 つのトビラ 経済探求の旅に出よう

3 つの体験学習を通じて、「株式会社」、「直接金融・間接金融」、「為替・金利・景気」を学ぶ教材。

46 校

潜入!みんなの経済ワールド 中学校・高等学校向けに金融・証券に関する 7つのキーワードをそれぞれ短時間(20分)で学ぶ教材。

7 校

※ 各教材の詳しい内容やお申込みは、日本証券業協会のHP【ホーム > 学ぶ > 学校向け提供教材】をご覧くだ

さい。

④「金融経済教育教員交流研究会」への支援(中学校・高等学校教諭等対象)

金融経済教育教員交流研究会※(平成 21年 12月設立、会員数 317名)の事務局として、運営や

資金の支援を行った。

回 数 開催日 講演テーマ・講師 参加者

総 会

第 1回 平 29. 6. 3(土)

「資質・能力の育成と学校における金融経済教育」

独立行政法人教職員支援機構

上席フェロー 大杉 昭英 氏

24 名

第 2回 7.22(土)

「大阪ビジネスフロンティア高校(OBF)の高大接続科目

『ビジネス・マネジメント』の取組みについて」

関西大学 会計専門職大学院 教授 柴 健次 氏

大阪ビジネスフロンティア高等学校 首席 藤 宏美 氏

21 名

日証協 提供教材

Page 25: (資料 金融経済教育教員交流研究会 · (3) 研究会の開催 本年度中、研究会を5回開催し、延べ103名の参加を得ました。 回 数 開催日 講演テーマ・講師

24

回 数 開催日 講演テーマ・講師 参加者

第 3回 11. 4(土)

「『大大阪』時代から何を学ぶか~若手起業家の開業を支

えた経済構造~」

南山大学 経営学部 教授 沢井 実 氏

24 名

第 4回 12. 9(土) 「起業・職業・職場体験を通じたキャリア教育支援プログラム」

津市立東橋内中学校 校長 中川 克巳 氏 10 名

第 5回 平 30. 2.3(土) 「中国経済の現状と世界経済への影響」

㈱富士通総研 経済研究所 主席研究員 柯 隆 氏 24 名

※ 証券をはじめとした金融・経済の知識を継続的に学習することを目的に、研修会等の開催や会員相互の情報交

換・交流の機会を提供する近畿圏の中学校・高等学校の教諭で構成する会員組織。

(2)学生対象事業

① 子どもと学ぶ金融・株式スクール(小学生対象)

夏休み・春休み期間中に、小学生とその保護者が、大阪における金融関係の中核施設を見学す

るとともに、各見学先の職員から説明を聴くことを通じて、親子で正しい金融・経済知識を学ぶ

ことを目的として、 独立行政法人造幣局、㈱大阪取引所、日本銀行大阪支店(大阪府金融広報委

員会)との共催により、金融・株式スクールを 4回開催し、136名の参加を得た。

〔夏休み〕

開催日時 担 当 内 容 参加者

平 29.7.26(水)

7.27(木)

10:00~16:10

日本銀行大阪支店

大阪府金融広報委員会

日本銀行大阪支店・資料展示コーナー 見

学 (7.26)36 名

(小学生 20名)

(7.27)34 名

(小学生 19名)

造幣局 造幣局 貨幣工場・造幣博物館 見学

日本証券業協会 ㈱大阪取引所

株式会社と株式に関する説明

株式の模擬売買体験・大阪取引所見学

〔春休み〕

開催日時 担 当 内 容 参加者

平 30.3.26(月)

3.27(火)

10:00~16:10

日本銀行大阪支店 大阪府金融広報委員会

日本銀行大阪支店・資料展示コーナー 見

学 (3.26)33 名

(小学生 19名)

(3.27)33 名

(小学生 19名)

造幣局 造幣局 貨幣工場・造幣博物館 見学

日本証券業協会 ㈱大阪取引所

株式会社と株式に関する説明 株式の模擬売買体験・大阪取引所見学

② 土曜学習・土曜授業等への講師派遣(小・中学生等対象)

金融経済教育の拡充・推進の一環として、小学校・中学校の土曜学習等に本協会職員を講師と

して派遣し、株式会社の仕組みやお金の流れを疑似体験する授業を行った(小学校 37校・中学校

1校)。

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府 県 開催日 出前授業実施校 参加者

大阪府

(16校)

平 29. 6.29(木) 堺市立登美丘西小学校 6年生 3 クラス 98 名

7.11(火) 大阪市立高津小学校 5 年生 1 クラス 23 名

9.29(金) 堺市立登美丘東小学校 6年生 2 クラス 71 名

10.12(木) 堺市立三国丘小学校 6 年生 3 クラス 96 名

10.14(土) 大阪市立豊崎小学校 6 年生 1 クラス 18 名

11.17(金) 羽曳野市立羽曳が丘小学校 6 年生 4 クラス 154名

11.24(金) 羽曳野市立丹比小学校 6年生 2 クラス 73 名

12.14(木) 門真市立沖小学校 6年生 2 クラス 43 名

平 30. 2. 2(金) 豊中市立東丘小学校 6 年生 3 クラス 73 名

2. 3(土) 大阪市立伝法小学校 5 年生 2 クラス 64 名

2. 7(水) 豊中市立寺内小学校 6 年生 1 クラス 23 名

2. 8(木) 枚方市立香里小学校 5 年生 4 クラス 128名

2. 9(金) 大東市立住道南小学校 6年生 2 クラス 75 名

2.16(金) 枚方市立招提小学校 6 年生 2 クラス 67 名

2.20(火) 門真市立脇田小学校 5 年生 3 クラス 75 名

3. 8(木) 大東市立諸福小学校 5 年生 4 クラス 128名

兵庫県

(2校)

平 29.11. 9(木) 三田市立小野小学校 5・6年生 1 クラス 30 名

平 30. 3. 1(木) 西宮市立津門小学校 6 年生 3 クラス 103名

京都府

(4校)

平 29. 7.13(木) 京田辺市立松井ケ丘小学校 6 年生 4 クラス 113名

10. 7(土) 京田辺市立大住中学校 3年生 1 クラス 32 名

平 30. 2.19(月) 木津川市立木津川台小学校 6 年生 3 クラス 92 名

3. 2(金) 京田辺市立大住小学校 6年生 2 クラス 39 名

奈良県

(8校)

平 29.11.11(土) 奈良市立平城小学校 5 年生 4 クラス 118名

11.22(水) 五條市立阿太小学校 4・5・6年生 1 クラス 21 名

平 30. 2. 1(木) 五條市立北宇智小学校 6年生 1 クラス 22 名

2.14(水) 奈良市立六条小学校 5 年生 4 クラス 105名

2.27(火) 大和郡山市立郡山西小学校 6 年生 3 クラス 78 名

3. 6(火) 大和高田市立菅原小学校 6年生 2 クラス 51 名

3.12(月) 奈良市立朱雀小学校 6 年生 2 クラス 54 名

3.13(火) 奈良市立富雄第三小中学校 6 年生 2 クラス 76 名

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府 県 開催日 出前授業実施校 参加者

和歌山県

(6校)

平 29.12. 5(火) 和歌山大学教育学部附属小学校 5・6年生 2 クラス 57 名

12.12(火) 海南市立加茂川小学校 6年生 1 クラス 20 名

平 30. 1.23(火) 和歌山市立貴志小学校 6年生 2 クラス 62 名

1.30(火) 和歌山市立大新小学校 6年生 1 クラス 12 名

2. 5(月) 和歌山市立貴志南小学校 6年生 2 クラス 57 名

2. 6(火) 和歌山市立楠見東小学校 6年生 2 クラス 38 名

滋賀県

(2校)

平 30. 2.22(木) 栗東市立葉山東小学校 6年生 2 クラス 66 名

2.28(水) 蒲生郡竜王町立竜王西小学校 6年生 2 クラス 46 名

③ 土曜学習・土曜授業等の周知活動

教育委員会、小学校の校長会及び社会科研究会の総会、月例会等において、土曜学習・土曜授業

等の周知活動を行った(11会場)。

④ 金融リテラシー等出前講座(大学生対象)

大学生が経済・金融、資産運用の基本を身に付け、経済的に自立した社会人となるための取組

みの一環として、大学等と連携して本協会役職員や金融・証券インストラクターを講師として派

遣し、金融リテラシーや証券業界に関する講義を行った(9校)。

開催日 派遣先・プログラム 参加者

平 29. 5. 8(月) 京都学園大学

「長寿社会、低金利時代における資産運用の基本」

経済経営学部 200名

5.15(月)

~6. 5(月)

京都学園大学

「金融入門」(計 4 回)

経済経営学部 延べ 678 名

6. 2(金) 帝塚山大学

「株式会社と証券市場の役割」

法学部 2~5 年生 21 名

7. 7(金) 帝塚山大学

「社会に出る前に知っておきたいマネーの基礎知識」

法学部 2~4 年生 20 名

11. 2(木) 神戸女子大学

「社会に出る前に知っておきたいマネーの基礎知識」

家政学部 3~4年生 71 名

11. 6(月)

~11.27(月)

流通科学大学

「企業論特別講義(金融論)」(計 3 回)

商学部 延べ 129 名

11.17(金) 大阪経済大学

「証券業界理解ガイダンス」

全学部 3 年生 49 名

11.17(金)

~12.15(金)

京都学園大学

「金融入門」(計 5 回)

経済経営学部 延べ 283 名

11.27(月) 大学コンソーシアム大阪

「お金をふやす」

加盟大学学生 44 名

11.29(水) 関西大学

「株式会社と証券市場の役割」

商学部 1~4 年生 176名

平 30. 1.15(月) 京都学園大学

「株式実践プロジェクト発表の講評と講義」

経済経営学部 20 名

Page 28: (資料 金融経済教育教員交流研究会 · (3) 研究会の開催 本年度中、研究会を5回開催し、延べ103名の参加を得ました。 回 数 開催日 講演テーマ・講師

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開催日 派遣先・プログラム 参加者

1.19(金) 神戸国際大学

「お金をふやす」

経済学部 3~4年生 26 名

2.14(水) ハルカス大学

「社会に出る前に知っておきたいマネーの基礎知識」

加盟大学学生 7 名