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ベトナム国ホーチミン市・ハノイ市における 廃棄物及びリサイクルに係る状況調査 報告書 (調査期間:平成20年 11 月 17 日~21 日) 平成20年 12 月 10 日 大阪府議会議員 西脇 邦雄

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ベトナム国ホーチミン市・ハノイ市における

廃棄物及びリサイクルに係る状況調査 報告書

(調査期間:平成20年 11 月 17 日~21 日)

平成20年 12 月 10 日

大阪府議会議員 西脇 邦雄

- 1 -

目次

Ⅰ はじめに ・・・・・2

Ⅱ リサイクル関連調査の目的 ・・・・・6

Ⅲ 事前調査 ・・・・・7

1. 日本とベトナムの貿易動向

2. 地上アナログ放送終了に伴うテレビの排出台数予測

3. リユース・リサイクル仕分け規準の作成に係るガイドライン

4. ベトナムにおける産業廃棄物・リサイクル政策

5. ベトナムのスクラップ・中古製品輸入規制と実態

6. ブラウン管に関連する製品・廃棄物の輸出状況について

Ⅳ 現地調査 ・・・・・21

1. ホーチミン市内における中古家電の流通状況

2. サイゴン港視察

3. ホーチミン市における廃棄物処理とリサイクル

4. ヤマハ モーターパーツ見学(タンロン工業団地)

- 2 -

Ⅰ はじめに

Xin chao (シンチャオ) こんにちは?

全人口8520万人のうち約半数が20歳未満。国民の平均年齢(Media age)は 27

歳という若い国ベトナム。日本はちなみに 43.8 歳。

昨年の南京市、寧波市(ニンポー)につづき、大阪リサイクル事業協同組合の皆さん

の呼びかけでベトナムを訪れた。

私たちの問題意識は、例えば e-waste と呼ばれる問題、電子機器が国内のリサイクル

流通からはずれ、闇のルートでゴミとして中国やフィリピン、ベトナムなどの新興国に

輸出されているという、このような現実に少しでも迫りたいと考えている。サイゴン港

湾公社でも、ゴミのコンテナを追い返したとの報告があった。

そして、公害に苦しんできた大阪の環境問題への対策、中小企業の持つリサイクル技

術、中古品を輸出する健全な仕組み、大阪と東アジアが協力できるテーマは多い。

短い時間であったが、躍動するベトナムのいろいろな側面にふれる旅であった。現地

で受入れていただいた皆さんと同行いただいた皆さんに改めて御礼を申し上げる。

【ベトナム雑感】

―ホーチミン市のくらし―

○ ベトナムは日本と同じく南北に長く、面積は33万 km2、鉄道は 1 本しかなく、

交通手段はバイクがドア・ツー・ドアを確保する。

ホンダとスズキのバイクが約20万円。

月給2~3万円の労働者が皆持っている

のは不思議だが、朝・夕のラッシュ時に

は恐ろしい数のバイクがひた走る。ヘル

メットが義務付けられているが、ニセモ

ノも多い。ホーチミンではマスクは必需

品。

バイクは中国産の安いノングダ?など

10万円前後のものが大量に入っている。

自動車は、関税が 85%、カムリが

500 万円ぐらい。

ホーチミン市には、840 万人ぐらいが

居住。

午前 7 時~午後 3 時、午後 2 時~8 時の2交替制で工場が動く。

学校も午前8時~11時と午後の2交替。中学校は仏語と英語の選択性。祖父母

や父母でフランス語を話せる人は多いらしい。

バババイイイクククののの洪洪洪水水水

- 3 -

―ベンタン市場―

○ 亜熱帯の気候なので、市場には様々なフルーツが並ぶ。特に眼をひくのがコーヒ

ー豆の多さ。実は世界2位のコーヒー豆の産地でもある。

-大統領府と戦争博物館―

○ 1975 年4月 30 日、サイゴン陥落。市街戦がなく、無血でベトナム軍が戦車を乗

り入れた。その時の日本向け実況放送を担当したバンさんという方に通訳でついてい

ただいた。

アメリカのベトナム戦争に反対する日本の反戦市民運動が盛り上がり、「ベトナムの

声」というラジオ放送のリスナーだった人も多い。

日本から四千通の激励の手紙が来たとバンさんがおっしゃっていた。あれから 33 年。

戦争博物館には枯れ葉剤で奇形で産まれた胎児のホルマリン漬けや写真、逃げまど

う子どもたちの写真がある。スペインやフランスの人たちに混じって、たくさんのア

メリカ人も来訪している。自分たちの先達の残虐な行為をどう見ているのだろうか?

亜亜亜熱熱熱帯帯帯のののフフフルルルーーーツツツ

コココーーーヒヒヒーーー豆豆豆ははは世世世界界界222位位位

通通通訳訳訳のののバババンンンさささんんん 枯枯枯れれれ葉葉葉剤剤剤ののの犠犠犠牲牲牲とととなななっっったたた子子子どどどももも達達達

- 4 -

―クチのトンネルー

○ 続いて 2 万 2 千人が亡くなったクチのトンネルを訪れた。なんと全長 250km とい

う。釘や針金で米兵を殺害する仕掛けは、今見てもぞっとする。

そして、ベトナムでは、旧南ベトナム政府の協力者は親子孫の三代まで公職や要職

につくことを差別されるという。改めて戦争の傷跡にふれた思いがした。

実際にベトナム軍の若い兵士とクチト

ンネルの30m体験コースに入る。一瞬

で真っ暗闇になり、前の兵士を見失った。

すぐに左右に分かれているところで声

をたよりに右へ、体を縮めて大人がはっ

て歩くのがやっとの幅。半分くらいで息

苦しくなり不安が襲ってくる。こんな中

で、何年間も暮らして持久戦を続けてい

た国民性、民族意識に頭が下がる。

―ハノイ市―

○ 夜のハノイに到着。季節は大阪の秋のよう。

伝統芸能の水上人形劇を見る。水中に人が潜って操作しているとしか思えない演

技に見とれる。

ホーチミン廟には翌朝訪問。窒素ガスの中で眠る主席に表敬。続く孔子廟では、

大学の卒業式のプレイベントをしている学生達に出会う。美しいアオザイに包まれ

た彼女ら、そして、角帽を被った彼女らとカメラに収まる。日本語学科の学生より

「私たち、日本語勉強しています。」と言われ驚く。

続くヤマハの部品工場では、若い男

女の社員が日本型 QC サークルやカイ

ゼンに参加している姿、英語が話せる

大卒の彼らが初任給 8 千円で働いてい

ることを聞いた。

ものすごく伸びしろのある国ベトナ

ム。

リサイクル関連の調査については、

次章以下に報告します。

全全全長長長222555000kkkmmmのののクククチチチトトトンンンネネネルルル

卒卒卒業業業式式式のののプププレレレイイイベベベンンントトト

- 5 -

行程表

関西国際空港4F国際線出発ロビー午前9時ご集合1 搭乗出国手続き後、ベトナム航空にてホーチミンへ

到着、電気製品商店街・ベンタン市場見学後、ホテルへ

ニューワールドホテル (泊)

2

午後:ホーチミン市表敬

ニューワールドホテル (泊)

午前:クチのトンネル見学3 午後:ハノイに移動

夕食後:水上人形劇鑑賞

デーウーホテル (泊)

4

夜、 空港へ 搭乗出国手続き後

ベトナム航空にて帰国の途へ 機 中 (泊)

5 関西国際空港 到着

午後:タンロン工業団地ヤマハ モーターパーツ視察

ス ケ ジ ュ ー ル

11月17日

11月18日

(月)

日 付 都市名 交通機関 現地時間

関西空港

ホーチミン

(水)

(火)

11月19日

ホーチミン

ホーチミン

VN941 11:00

14:35

9:30~11:30

15:00

15:35

14:00

23:00

(木)

関西空港 5:3511月21日(金)

ハノイ VN948

11月20日 ハノイ

ハノイ

午前:サイゴン港表敬及び港湾設備視察

午前:ホーチミン廟視察

VN224

17:35

9:30

- 6 -

Ⅱ リサイクル関連調査の目的

今年 7 月、民放の TV 番組で海を渡った中古家電、特に、地デジ化に伴い今後大量に

廃棄が予定されているテレビについて、輸出先でのリユースやリサイクルの実態を伝え

るドキュメンタリーが放送された。1)

このとき輸出先として取材されていたのは、フィリピンとベトナムであった。フィリ

ピンは、日本と同じ放送方式(NTSC)のため、日本の中古テレビがリユースされやす

い環境にある。

一方、ベトナムは、放送方式が異なる(PAL)ため、輸入されたのち、分解され一部

はリサイクルされるが、鉛を含むブラウン管などはベトナムではリサイクルできないた

め、空き地に山積みにされていると報道されていた。

平成 13 年に家電リサイクル法ができたが、高いリサイクル料金もあり、府域でも大量

の不法投棄が発生した。これに対し、消費者の立場にたって、既存業者を活用した安価

な料金でリサイクルを行う家電リサイクル「大阪方式」が、平成15年にスタートした。

「大阪方式」の導入もあり、不法投棄台数は、ピークであった平成 16 年度には約 2 万

4 千台あったのに対し、平成 19 年度は約 1 万台まで、減少してきた。

この大阪方式の立上げに関わってきた者の一人として、日本から輸出された使用済み

家電が海外でどのようにリユース/リサイクルされているのか、その実状を把握したい

というのが、今回の直接的な視察の動機である。

また、昨年、大阪府とホーチミン市は、アジア主要都市サミットを契機として、友好

都市提携を結び、今後多面的に協力していくこととしている。廃棄物・リサイクル分野

においても、大阪の経験を伝えることは、有効なものとして、彼らの環境保全に役立て

られるものと期待している。

なお、Ⅲ章の事前調査は、ベトナムでの視察にあたって、日本国内で得られた文献、

HP 等の情報をまとめたもので、今回の視察内容はⅣ章にまとめている。

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Ⅲ 事前調査

1. 日本とベトナムの貿易動向

本項では、日本とベトナムの貿易上の関係を概観するため、国際協力銀行の HP に

掲載されている「ベトナム投資環境」(2008年 4 月)2)の資料を抜粋した。

(注:なお、本資料はベトナムに対する国際協力銀行としての評価や公式見解を表明するものではありません。)

(1) ベトナムの輸出入の推移

・ドイモイ政策導入後のベトナム貿易は、東アジア通貨危機の影響で一時的に停滞

したものの、2000 年以降急速に拡大している。

・2006 年の輸出総額は 398 億ドル(対前年比 22.8%増)、輸入総額は 449 億

ドル(同 22.0%増)となっている。

(2) 主要貿易品目(2006 年および 2007 年1~5月)

・ベトナムからの輸出品は、原油、食料品(米、水産物、コーヒーなど)等の一

次産品と、繊維・縫製品、履物等軽工業品が多い。

・輸入品は、輸出製品生産のための機械・機器部品、加工品原料等が中心。

・なお、ベトナムは産油国であるものの、国内での精製機能が整っていないこと

から、原油を輸出し、精製設備がないので石油製品を輸入している。

図2-1ベトナムの貿易額の推移

表2-1 ベトナムの主要貿易品目(2006 年および 2007 年1~5月)

- 8 -

(3) 主要貿易相手国(2006 年)

・ベトナムの貿易相手国としては、近年、ASEAN・中国の比重が高まり、また、

米越通商協定締結を契機に米国への輸出も急増している。

・輸出先国としては、米越通商協定が発効した翌年の 2002 年以降米国が首位と

なり、次いで日本、オーストラリアが続いている。

・輸入先国は、中国、シンガポール、台湾、日本が続いている。

・中国は 2003 年以降首位を維持しているが、中国からは主に鉄鋼、機械設備・

同部品、織布・生地等の生産・資本財を中心に輸入している。

・シンガポールへは石油・同製品輸入を依存しているが、油価高騰の影響を受け

て大幅に伸びている。

(4) 日ベトナム貿易の推移

・ ベトナムにとって、日本は 2004 年までは 大の貿易相手国であったが、

2006 年の貿易総額では 99 億ドルと、中国に次いだ貿易相手国となっている。

・ 日本との輸出入は、ともに増加を続けている。2002 年から数年間は対日輸

入が対日輸出を上回っていたが、原油高騰の影響等もあって、2005 年には再

び輸出が輸入を上回り、2006 年は対日貿易黒字幅が拡大している。

図2-2 ベトナムの主要貿易相手国・地域(2006 年)

- 9 -

(5) 日本との貿易品目

・ベトナムから日本への輸出品は、水産物(冷凍エビ・イカ、練り物等)、原油、

繊維・衣料品、電線・ケーブル、木材・同製品、コンピュータ・電子部品と多

岐にわたる。

・他方、ベトナムの日本からの輸入品は機械機器・同部品、コンピュータ・電子

部品、自動車・同組立部品、プラスチック原料等の工業製品を主に輸入してい

る。

図2-3 日越貿易の推移

図2-4 ベトナムの対日貿易(品目別)

- 10 -

2. 地上アナログ放送終了に伴うテレビの排出台数予測

日本からは、現在も海外に中古テレビが輸出されているが、2011 年のアナログ停

波に伴い、更に大量のアナログテレビが廃棄され、海外へ流出するのではと危惧され

ている。

経済産業省の産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器

リサイクルワーキンググループと環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家

電リサイクル制度評価検討小委員会合同会合で、配布された(社)電子情報産業協会

の資料3)から、アナログテレビの排出予測に係る部分を以下に示す。

(1) アナログテレビ放送からデジタルテレビ放送への移行

・2006 年 12 月、全国の県庁所在地で地上デジタル放送が開始され、約 3,950

万世帯が直接受信可能。2011 年に向けて、今後受信エリアは拡大。

・地上アナログ放送は、2011 年 7 月までに終了することが国の法令により定

められている。

(2) テレビの買換え需要に基づく排出数量予測

・2008 年―2011 年は、テレビの需要はデジタルテレビへの買換え需要が中

心と仮定し、需要と同数のテレビが排出されると仮定した。

・ 2007 年までは、テレビの平均使用年数を 10 年、0-19 年の正規分布に従っ

て排出される。

・ 排出分布による排出数量と需要予測との差異は、CRT テレビが排出される。

・ アナログ放送終了時点で視聴されずに家庭に残るテレビの排出数量の予測はここ

では行わない。

図2-5 テレビの買換え需要に基づく排出数量予測

- 11 -

(3) 2011 年前後のアナログテレビの排出可能性の考察(年)

・買換えに伴う排出に加えて、アナログ放送の終了により視聴されないアナログ

テレビが、家庭内に退蔵されずに2011年を中心に全量排出されるとした場合、

2011 年には、買換えに伴う排出分の 1.5 倍程度のアナログテレビが排出され

ることも想定される。

・アナログテレビの排出可能性分(1,428 万台)が 2011 年から 2013 年に全量排出。

地上アナログ放送終了時期からの1年間でその約6割の 831 万台が排出されると仮定

(2010 年71万台、2011 年643万台、2012 年 500 万台、2013 年 214 万台)

図2-6 2011 年前後のアナログテレビの排出可能性の考察

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3. リユース・リサイクル仕分け規準の作成に係るガイドライン

廃家電のいわゆる「見えないフロー」に伴う問題を解決するため、適正なリユー

スと適正処理・適正な資源輸出が課題とされている。

このため、経済産業省と環境省の合同委員会は、2008 年 8 月「小売業者による

特定家庭用機器のリユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガイドラインに関

する報告書(案)」4)を策定した。概要を以下に示す。

しかし、ガイドラインでは不適正な対応をする者が生ずることを防ぐのはかなり

難しく、小売業者が現状以上に「リユースであるから料金を取らない」という行動

を不正に行うことを容認する結果とならないか、という懸念もある。5)

(1) 二段階ガイドラインの設定

・「家電リサイクル法遵守に資するガイドライン」(ガイドライン A)と「適正リ

ユース促進に資するガイドライン」(ガイドライン B)の二段階のガイドライン

を策定。

「家電リサイクル法遵守に資するガイドライン」 「適正リユース促進に資するガイドライン」

トレーサビリティの高さ

図2-7 二段階ガイドライン

- 13 -

(2) 製品性能に関するガイドラインの項目

① 年式

・平均使用年数、リユース品取扱業者からのヒアリングを基に策定

・ガイドライン B については、省エネルギー性能の観点を盛込み、適正なリユ

ース促進と地球温暖化防止・省エネルギー促進の両立を図る。

② 動作確認

・リユース販売されるまでの間に、通電検査その他動作確認及びその結果に応

じた必要な修理が行われることを確認。

③ 外観・性能

・さび、破損、付属品等の状況について設定

(3) 使用済家電のトレーサビリティに関するガイドライン

・リユースに係る契約内容の明確化・文書化。

・引き取った使用済家電に関する記録・管理及び委託配送の記録・管理。

・ガイドライン B では、小売業者における、リユース品引渡先における取扱状

況の把握についても求める。

7年以内で省エネ性能高 7年以内で省エネ性能高 7年以内で省エネ性能高 7年以内で省エネ性能高

15年経過 15年経過 10年経過 10年経過

エアコン テレビ 冷蔵庫・冷凍庫 洗濯機

ガイドラインB ガイドラインA

■2段階ガイドラインの例 : 製品性能(年式)

原則としてリサイクル リユースが望ましい

図2-8 製品性能(年式)ガイドライン

- 14 -

4.ベトナムにおける廃棄物・リサイクル政策

今回の視察先であるベトナムの廃棄物・リサイクル政策の現状について、日本貿易振

興機構アジア経済研究所のレポート6)と昨年、大阪府がハノイ市で開催したセミナー

でベトナム資源環境省の担当者が発表した資料7)から概要を整理した。

(1) 廃棄物・リサイクルに関する中・長期計画及び法令6)

・ベトナムにおける廃棄物の処理・リサイクルに関する法制度は、1994 年 1 月

に施行された環境保護法を基本としている。同法は、2005 年 11 月に改正さ

れ、翌年7月から施行された。

・2005 年に改正された環境保護法では、第 66 条第 1 項でリデュースやリユー

ス、リサイクルを通じて排出者が廃棄を 小限にする責任が課されている。

・第67条では、使用済みの乾電池やタイヤ、自然分解しない樹脂、梱包材など

の回収、処理を生産者やサービス提供者に負わせること、第 68 条第 1 項で適

切な分別を発生源で行わなければならないことを規定している。

・2003 年に策定された「環境保護に関する 2010 年までの目標と 2020 年に

向けたビジョン」では、廃棄物関連の優先目標として、①都市部・工業園・輸

出加工区等における廃棄物の集中処理システムの構築と環境基準の達成、②リ

サイクル産業の育成によるリサイクルの促進とリサイクル率 30%の達成が挙

げられている。

・廃棄物の汚染防止の具体的対策として、①100%新規に建設された生産ユニッ

トについては、クリーン技術または環境基準を満たす汚染緩和装置、廃棄物処

理施設の設置、②世帯の 50%、企業の 70%が排出元での廃棄物分別設備を設

置し、80%の居住区で集中廃棄物コンテナ、80%の公共区域でごみ箱を設置

する。③40%の都市部、70%の工業園と輸出加工区で集中廃棄物処理システ

ムを導入し、都市ごみ、産業廃棄物の 90%を回収し、回収された有害廃棄物の

60%と医療廃棄物の 100%を処理する、などの目標が掲げられている。

(2) 関連機関・団体 7)

-環境資源省:廃棄物管理の政策、戦略、国家計画を策定する

固形廃棄物に関する環境規制の立案、適用の指導をする

環境保全について DTM 審査・観測・検査・共通の意識向上を図る

-土木建設省:固形廃棄物管理におけるインフラの企画、政策、戦略を立案する

-厚生省:医療廃棄物管理戦略・政策を立案する

-工商省:環境ビジネス産業、廃棄物再生産業の発展促進戦略や産業廃棄物管

理戦略・政策を立案する

(3) 廃棄物処理・リサイクルの現状 7)

① 問題点

a)廃棄物の量、構成、種類、毒性がますます増加するというプレッシャーがあ

- 15 -

る。

b)廃棄物の処理インフラ、技術が不備であり、リデュース、リユース、リサイ

クルの適用が不十分である。

c)一般廃棄物の管理、リデュース、リユース、リサイクルに関する規制法律が

まだ不備、不足である。

d)国民の3R についての意識が、まだ低い。

②ベトナムにおける固形廃棄物の管理実状

・各都市における廃棄物収集の平均比率は 70%である。大都市では約 76%、小

都市では約 70%、農村では 20%以下である。

・発生源における固形医療廃棄物以外の廃棄物の分別はかなり進んでいるが、産

業廃棄物及び生活廃棄物、特に生活廃棄物は、大都市において第一ステップと

して試験的にしか行われていない。有害廃棄物はまだ分別されず、生活廃棄物

と一緒に埋め立てられている。

・ほとんどの農村地域では廃棄物収集がまだなく、主に民間団体、もしくは地方

自治体に頼っているのが現状である。

・現在、固形廃棄物の処理方法は、主に環境基準に達していない露天施設での埋

め立てである。2005 年の環境現状報告書によると、ベトナム全国で衛生的な

埋立地は 82 か所中 8 か所しかなかったという。

・ごみ焼却炉は、主に医療廃棄物に使われ、有害医療廃棄物全体の 50% にしか

対応できていない。2005 年 3 月までベトナム全国の 35 県・市で医療廃棄物

の焼却炉が整備され、そのうち、2 つの高効率炉(>1000 kg/h)がハノイ及び

ホーチミン市で設置された。

ベトナムにおける都市の廃棄物発生量予測( 2004年ベトナム環境省)

図2-9 ベトナムにおける都市の廃棄物発生量予測

- 16 -

・農業分野では 2002 年に各倉庫における大量の滞留した農薬の焼却処分、ある

いは化学技術による処分を行った後、現在まだ約 37,000 トン分の薬品が残っ

ている。

③ ベトナムにおける 3R の活用の現状

・リサイクル活動は随分以前からあった:各世帯はスクラップの買取人に金属や

紙などのリユースできる廃棄物を売っている。

・この活動はシステム的・方針的に管理されておらず、主に民間業者により自発的

に行われている。

・幾つかの町工場における廃棄物のリサイクル技術が旧式で、またインフラが整

備されてないため、何箇所かでは環境汚染が問題になっている。

(4) 家内工業村におけるリサイクル 6)

・家内工業村の中には、リサイクル可能な廃棄物(資源)を購入してリサイクル

を行っているところがある。投入される再生資源の利用効率は、プラスチック

90.9%、紙 80.0%、金属 95.2%などとなっている。

・家内工業村でのリサイクルは、環境汚染にもつながるという。約 300 の手工業

村のうち、90 村はスクラップのリサイクルを行っている村だという。自動車や

オートバイの蓄電池として使われている鉛酸蓄電池についても、手工業村でリ

サイクルされている。VEPA(ベトナム環境保護庁)によると、ハノイ郊外に

1 箇所、ホーチミン郊外に2箇所の鉛リサイクル村があるという。公害対策が

十分になされず、健康被害も発生していると報道されている。

- 17 -

5.ベトナムのスクラップ・中古製品輸入規制と実態

アジア経済研究所の坂田がベトナムのスクラップ・中古製品輸入規制と実態につい

て述べたレポート8)では、輸入規制の状況やスクラップ輸入の問題点が以下のように

報告されている。

(1) 輸入規制の原則

・1994 年に制定された旧環境保護法では、第29条で廃棄物の輸出入を厳禁。

・しかし、鉄くずなどが国内で不足してきたため、業界などの要望を受け、ベト

ナム政府は、2001 年に 10 品目の輸入を暫定的に認め、2004 年 4 月に、鉄

くず、古紙、廃プラスチック等のリサイクル可能な再生資源については、輸入

を認める。

・2004 年 10 月には、加工後に輸出する場合には、再生資源の輸入を禁止。

・2005 年10月には、貿易省から再輸出及び国境貿易のために廃棄物を輸入禁

止すると発表。ベトナム国内生産用に使われるスクラップは輸入が許可。

・輸入が許可される再生利用可能物については、資源環境省決定で規定された、

鉄スクラップ、銅スクラップ、アルミスクラップなど金属スクラップ、廃ガラ

ス、廃プラスチック、古紙、石膏(脱硫過程で生成された硫化カルシウムから

製造されたもの)、冶金(鉄)から発生したスラグの輸入が認められている。

・ただし、ガラスについては、テレビやコンピュータモニター、蛍光灯やその他

の活性ガラスを除くなど、それぞれの品目について条件が示されている。

(2) スクラップ輸入

・2000 年以降、工業生産額が年平均15%以上の高成長を続けているベトナム

では、スクラップは国内の供給不足を補う貴重な資源となっており、近年増加

傾向にある。

・古紙、鉄スクラップ、廃プラスチックの中では 2005 年時点の輸入額が も多

いのは鉄スクラップ(8090 万ドル)である。

(3) 中古家電製品輸入

・高度経済成長による所得の向上と生活の都市化は、家電製品の普及をもたらし

ている。

・ベトナム統計総局により全国レベルで定期的に行われている大規模家計調査の

結果によると、2004 年度調査時点で、カラーテレビ、冷蔵庫、エアコン、パ

ソコンを所有している世帯の割合は、69.8%、16.6%、2.21%、5.4%とな

っている。

・しかし、需要の伸びに応じられるだけの生産能力を国内で有しないため、多く

の家電製品を輸入しており、その中には中古製品も数多く含まれている。

- 18 -

(4) スクラップ・中古製品輸入の問題点

・2005 年の改正環境保護法と 2006 年 1 月の政府議定 12 号の公布によ

り、ベトナムの輸入品目と輸入者の責任範囲が明記され、2006 年 8 月に

公布された政府議定 81 号では、違反者の行政処罰の規定が示された。

・しかし、実態としては、行政の監督・法執行強制能力の低さから、法律違反

は頻発していると言われている。

・2007 年 9 月、ホーチミン市のサイゴン港で荷揚げされた 1400 トンもの

鉄スクラップ(缶、管を圧縮したもの)が通関を認められなかった。

・その後、ホーチミン市資源環境局と環境警察の検査により、このスクラップ

は洗浄せずに圧縮されたものや錆びたものに加え、汚泥などの鉄以外の夾雑

物が大量に混ざった状態であり異臭を放っていたため、環境保護法第43条

のスクラップ輸入の条件を満たしていないと判断され、シップバックするよ

う要求された例などがあげられている。

- 19 -

6.ブラウン管に関連する製品・廃棄物の輸出状況について

ブラウン管に関連する製品の日本から海外への輸出状況9)については、表 4-1 に示

すとおりであるが、ベトナムは、中古家電の輸入を禁止しているにもかかわらず、単

価から推察すると中古品と思われる関連製品が多量に日本から輸出されている。

表2-2 2008年1~9月期 輸出相手国 1.PC用ブラウン管モニタ HS コード '852841900'

輸出相手国 輸出台数

(台) 輸出金額 (千円)

単価 (円)

110 ベトナム 972,165 1,075,255 1,106 108 香港 53,250 252,682 4,745 118 インドネシア 8,939 7,666 858 120 カンボジア 6,341 9,564 1,508 113 マレーシア 6,006 9,892 1,647 117 フィリピン 4,056 4,883 1,204 2.PC用液晶モニタ HS コード '852851900'

輸出相手国 輸出台数

(台) 輸出金額 (千円)

単価 (円)

108 香港 513,034 2,190,059 4,269 110 ベトナム 378,727 1,682,836 4,443 105 中国 88,706 1,544,262 17,409 103 韓国 27,520 525,461 19,094 113 マレーシア 16,923 120,844 7,141 111 タイ 14,775 139,915 9,470 3.PC用以外の液晶モニタ HS コード '852859900'

輸出相手国 輸出台数

(台) 輸出金額 (千円)

単価 (円)

108 香港 873,307 1,518,781 1,739 105 中国 263,369 4,400,333 16,708 305 メキシコ 63,485 625,091 9,846 304 アメリカ 54,570 2,695,057 49,387 223 ポーランド 40,341 1,491,767 36,979 106 台湾 35,137 297,308 8,461

4.ブラウン管カラーテレビ HS コード '852872990'

輸出相手国 輸出台数

(台) 輸出金額 (千円)

単価 (円)

110 ベトナム 610,835 561,705 920 129 マカオ 407,237 367,134 902 117 フィリピン 333,567 417,994 1,253 120 カンボジア 86,493 86,786 1,003 105 中国 83,901 65,401 780 108 香港 59,818 53,726 898 財務省貿易統計 2008 年 9 月 品別国別表 (輸出 確報値)を元に集計、作成

- 20 -

<参考文献および関連ホームページ>

1)テレビ朝日 素敵な宇宙船地球号 7 月 27 日 23:00~23:30 放送

「我が家にテレビが来た日」~海を渡った中古家電の運命~

http://www.tv-asahi.co.jp/earth/

2)「ベトナムの投資環境」国際協力銀行 中堅・中小企業支援室 2008年 4 月

www.jbic.go.jp/ja/investment/report/2008-001/jbic_RIJ_2008001.pdf

3)「2011 年 地上アナログ放送終了に伴うテレビの排出台数予測」

(社)電子情報技術産業協会 2007 年 3 月

www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70308b03j.pdf

4)「小売業者による特定家庭用機器のリユース・リサイクル仕分け基準作成のためのガ

イドラインに関する報告書(案)」

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会特定家庭用機器のリユースとリサイクルの

ための適正引取・引渡に関する専門委員会及び産業構造審議会環境部会廃棄物・リ

サイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループ家電リサイクル制

度に関するリユース等適正排出促進手法検討会合同会合

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10202

5)「家電リサイクル法 支払い方式等主要 4 課題とその対応」 大塚 直

INDUST Vol.23 No.9 2008 P7-12

6)「アジア各国における産業廃棄物・リサイクル政策情報提供事業報告書」

第 6 章 ベトナムにおける産業廃棄物・リサイクル政策 小島道一、吉田 綾

日本貿易振興機構アジア経済研究所 経済産業省委託 2007 年

7)「大阪アジア3R 技術サポート事業運営業務報告書」平成 20 年 3 月

参考資料 ベトナムにおける3R 戦略と法制度 Dr. Nguyen Trung

ベトナム資源環境省 環境局

8)「アジア地域におけるリサイクルの実態と国際資源循環の管理・3R 政策」

第 8 章 ベトナムのスクラップ・中古製品輸入規制と実態 坂田正三

平成 19 年度廃棄物処理等科学研究 研究報告書

9)財務省貿易統計 2008 年 9 月 品別国別表 (輸出 確報値)

- 21 -

Ⅳ 現地調査

1.ホーチミン市電気街見学

日 時:2008 年 11 月17日 午後 4 時~5 時

場 所:ホーチミン市 ニャッタウ通り、グエンキム通り

内 容:・ホーチミン市到着後、電気街に移動し、中古家電の販売状況を視察した。

・通りに面し、多くの中古家電や携帯電話の販売店が密集しており、特に中古テ

レビが目立った。

・ベトナムは、中古家電の輸入を禁止しているが、ホーチミン市内ではこれらが

流通しており、店内では、店員が修理をしている様子が見られた。

・中古テレビの中には、SONY など日本のメーカーのものも見られた。

・こうした中古家電だけでなく、店によっては、 新の薄型テレビを販売してい

る店舗も見られた。

写真 3-1 色々な中古製品

も並ぶホーチミンの電気街

写真 3-2 中古電器店の店頭

の様子

- 22 -

写真 3-3 中古テレビが

所狭しと並ぶ店舗

写真 3-4 テレビやパソ

コンの CRT の中には日本

製のものも見られる

写真 3-5 店内でテレビを

修理している店員

- 23 -

2.サイゴン港表敬訪問

日 時:2008 年 11 月 18 日 午前 9 時半~11 時半

応対者:サイゴン港湾公社 副社長 グエンバンミン

国際部 参事 グエンフンドゥン

通訳 双日㈱ ホーチミン駐在事務所 レーバクバン

内 容:

(副社長あいさつ)

・大阪からの訪問団にお会いできてうれしい。大阪港は姉妹港であり、ご自分の

家にお帰りになったつもりで、ご気楽にしていただければと思う。

・本日は、営業担当の副社長としてお話をする。

(西脇団長あいさつ)

・本日は、お忙しい中、大阪の視察団の訪問を快く受けていただき、感謝します。

・大阪の港湾関係の労働組合の代表として、全港湾関西地方本部佐野委員長にお

いでいただいているので、ご紹介します。

・佐野委員長は、こちらのツーズー病院の応援も長年取組まれております。

大阪市港湾局からの親書手交

(佐野委員長あいさつ)

・私が履いている靴のナイキや衣料品のユニクロなど非常に身近な製品が、ベト

ナムから来ている。

・私は、大阪リサイクル事業協同組合の参与もしており、本日の訪問を通じて、

サイゴン港とリ協のつながりが大きくなればと期待している。

メンバー紹介

(団 長)

・昨年は、レ ホアン クアン市長に大阪をご訪問いただき有難うございました。

・海から85km離れたサイゴンポートの現状を見せていただければと思う。

・今後、ホーチミン市と大阪がよりよい関係になるよう期待します。

サイゴン港の概要説明

・地理的な場所―海岸から85km離れたサイゴン河岸に位置。

・ベトナム南部の中心地域であるホーチミン、ドンナイ省、ビンズオン省の三角

地域の中に位置。

・バース長、約3km

・4つのターミナル―ニャーロン、カンホイ、タントゥワンⅠ、Ⅱ

・水深は8~11m

・34の浮きバースがあり、水深は 3.5~11m

・倉庫は26棟あり、面積は 62,042 ㎡

- 24 -

・製品の保管場所は、257,376 ㎡

・コンテナヤードは、158,049 ㎡

・主なサービスは、貨物、倉庫、輸送、通関手続き、海からの船の誘導、品物の

検査、輸出入手続きなど。

・ホーチミン市の人口は多い(市内で約600万人)ので、物流による道路の渋

滞を避けるという意味もある。

・客船も来航する。

・サイゴン港は、1862 年に開港以来 146 年の歴史を持つ。

・約 30 隻の船を同時に収容することができ、 大38000トン級の船が接岸可能。

・サイゴン港は世界の港湾のネットワークである IAPH やアジアの港湾協会であ

る APA のメンバーである。

・中国の広東省の港や大阪港、ロサンゼルス港と姉妹港提携を行っている。

・ベトナムの経済発展に貢献する南部の国家港湾。

・また、アセアンの重要な入口でもある。

・ホーチミン地区におけるサイゴン港のコンテナ貨物の割合は現在約10%。

<これからの開発>

・これからの発展に向け、郊外に総合港を建設中。

・ヒェップフォック港は、面積 54.6ha、3 バース、1バース当り 800m、水深

14m、3 万~5 万トン級の船が接岸可能。

・2つめは、サイゴン港とシンガポール港湾局との合弁で開発しているサイゴン

ポート PSA。

・次は、チーバイ港。面積 54ha、300m×4バース、長さ 1200m、幅 500

~600m、投資額 3 億 2500 万 US$、2010~2015 年完成予定。

・カイメップ港は、面積約 108 ha、水深16m、幅 500~600m、 大 8 万

トン級の船が接岸可能。

・投資額は 5 億 6000 万 US$、プロジェクト期間は 2006~2010 年。

・これらが完成するとコンテナのシェアが9%から39%に上がる。

・現在の港は市の中心にあるため、それ以上の開発ができないが、新港に移った

後は、現在の港は別の利用を計画している。

<チャンスと試練>

・サイゴン港は早いスピードで発展しており、国から支援を得て、南部地域で大

きな役割を果たしている。

・しかし、人材開発で困っており、労働者の技術が高くない。

・開発のためのファイナンスも困っている。

・マネジメントをどう変更するかも課題。

・引越しの時の問題もある。

・チーバイ港とカイメップ港は道路の問題がある。

・ニューハイウェイは、6~8車線で 2012 年完成予定で、高速道路では、市内

中心まで 1 時間以内で運べる予定。

- 25 -

―意見交換―(大:大阪側、サ:サイゴン港湾公社側)

大:昨年、鉄スクラップの輸入の際、廃棄物が入っていて問題になり、マスコミに報

道される事件があったと聞いたが、概要が判れば教えて欲しい。

サ:・確かにスクラップをアメリカ、デンマーク、台湾、日本などからたくさん入れて

いる。

・もちろんリスクは高く、厳しい検査を行い、問題があれば、そのまま帰国させて

いる。

・昨年、サイゴン港で 1 回、ハイフォン港で 2 回そうした問題が起きた。

大:・リ協として、市や府に出す側でチェックするようにすれば、健全にスクラップを

出せるようになると提起している。

サ:・この問題は、カナダとアメリカからの輸入スクラップで起こった。今後、検査も

厳しくなっていくと思う。

大:・中国で問題になり厳しくなった。

サ:・中国でも環境問題になっていると聞いている。

大:・ペットボトルにごみを入れて問題になった。どこでも起こりうる話。

・昨年、中国に行った。訪問の趣旨は、発展している時は、消費が増大し、廃棄物

も増える。国としてどのようなしくみを作るか検討しているときに、日本の経験

を交流したいという思いである。

サ:・非常にすばらしい。皆さんがおっしゃっているリサイクルの必要性はわかる。

・安い中国から入れると汚染がすごい。環境の基準を達成できているリサイクル工

場は(ホーチミンには)ない。

・何人か友達がプラスチックを加工し、中国に送っているが、環境は全く考慮して

いない。

大:・中国は何でも持ってきてくれといったところがある。

・注意しないと地球全体の廃棄物が中国に集められることになってしまいかねない。

・ベトナムは隣接しているので、怖い事態にならないよう注意が必要。

サ:・今、皆さんがおっしゃっている問題は重要なので、そういう問題も協力して早く

解決していきたい。

大:・すばらしい認識。是非大阪へも来ていただきたい。

大:・今年、日本で中古テレビが海外に輸出されているという報道があった。フィリピ

ンなど日本と同じ放送方式のテレビはリユース可能であるが、放送方式が異なる

ベトナムへも大量に中古テレビが輸出されている。

・ベトナムは、中古家電の輸入を禁止しているのに、なぜ、日本から中古テレビが

入ってくるのか、わかれば教えて欲しい。

サ:・私どもは港湾の仕事で、禁止品目のリストを作るのは、工商省。どうして輸入で

きるのかわからない。

大:・砂やセメントは日本に輸出しているか。

サ:・日本にニャチャンというところの砂を 10 年前からケイ砂、ガラス材料として出し

ている。

- 26 -

・シンガポールの工業団地にも出している。

・普通の砂の輸出は 1 年前に禁止された。

大:・港を造るとき掘ると砂が出る。そのまま日本に輸出できないか。

サ:・それもよいが、シンガポールが欲しがっている。

大:・サイゴン港は常に浚渫しないといけないのではないか。

サ:・サイゴン港はそんなに砂はない。146 年間で浚渫は20年前に一度少し掘っただ

け。確か民間会社の掘削は禁止されている。

大:・外国のセメントメーカーは進出しているか。

サ:・スウェーデンの会社がタイから進出している。

・北のハロン湾のあたりは石灰岩が多いが、ベトナムでの需要がまかなえず、国内

で調達できないので、外国から輸入している。

大:・日本のメーカーは?

サ:・台湾の会社がハイフォンにある。その他に韓国の会社も来ている。

大:・南には、石灰岩はないのか。

サ:・キエンザン省に山がある。海の下にもたくさんある。

(以上)

記念品交換の後、サイゴン港の施設見学

写真 3-6 説明をしてくれ

たサイゴン港湾公社 グエ

ンバンミン副社長と国際部

グエンフンドゥン参事

- 27 -

写真3-7 全港湾関西地方本

部佐野委員長より大阪市港湾

局の親書を手交

写真 3-8 説明を受ける視

察団

写真 3-9 西脇団長と記念

品の交換

- 28 -

写真 3-10 サイゴン港

の港湾施設

写真 3-11 サイゴン港

より、町中の高層ビル群を

望む

- 29 -

3.ホーチミン市資源環境局訪問

日 時:2008 年 11 月 19 日 15:00~16:00

応対者:ホーチミン市資源環境局(DONRE)

廃棄物リサイクル基金 レーバンコア課長、ホータンハン主事

廃棄物管理課 グオタンドゥク課長補佐

ホーチミン市環境公社 グエンバンモン課長補佐

同行者:双日ホーチミン事務所 小須田所長、通訳 レーバクバン特別顧問

内 容:

(レーバンコア課長あいさつ)

・資源環境局を代表して一言ごあいさつする。お会いする予定だった部長は、台

風の情報が入り、急遽欠席となり残念に思う。

メンバー紹介

(西脇団長あいさつ)

・本日は大阪のリサイクル関連視察団の訪問を快くお受けいただき、心より感謝。

・昨年、レ ホアン クアン市長に大阪をご訪問いただき、たいへん喜んでいる。

・午前中はサイゴン港を見学した。大阪港とは姉妹港提携をしており、全港湾の

佐野委員長から大阪市のメッセージを手渡した。

・私たちは昨年、南京、寧波など中国を視察した。私たちの思いは、かつて大阪

が高度成長期に公害、特に、川の汚染、大気汚染、ごみ問題などに悩んだ。

・そうした経験から公害克服に向けて先進国の新しい技術や中小企業が持ってい

る技術でお手伝いしたいと考えている。

・中国では、先進国のごみが輸出されて、問題が起こっていると聞いている。

・サイゴン港でもごみを積んだ船が入って、検査の結果、帰ってもらったと聞い

た。

・そういう問題が起こらないよう協力していきたいと思うので、これからもよろ

しく。

(ホーチミン市概要説明)

・ホーチミン市のいろいろな状況について説明したい。

・ホーチミン市の主な環境問題は、まず、大気汚染。バイクからの排気ガスが多

く、皆、マスクをしている。

・ホーチミン市のバイクの台数は310万台。車も40万台ある。

・交通由来のものの寄与が大きく、汚染がひどく、ほこりの量、一酸化炭素(CO)、

VOC(揮発性有機化合物)が非常に高い。

・これを解決するには、公共輸送手段の整備が必要。地下鉄が将来できる計画が

ある。さらにバスの利用を促進するとともにきれいな燃料を使うことがある。

・交通以外には、工場生産に由来するものがあり、対策を実施中。今、市内にあ

る工場は、郊外に移転を進めている。

- 30 -

・水の汚染もある。14の工業団地では、今年度末までに集中的排水処理設備を

整備する予定。

・しかし、2/3 の施設が排水処理されていない。

・病院については、必ず、排水処理施設を作ることになっている。このため、小

さなスペースでも排水処理できる技術を民間と開発している。

・民家から出た排水も雨水とともに直接、川や海に直接排出されている。

・これらの排水の処理については、2つのスキームが動いている。

・一つは、JBIC(国際協力銀行)の資金で実行しており、下水処理場が完成する

と、15万㎥/日の処理が可能。

・もう一つは、世界銀行から金を借りてやっている案件。この案件は、2009 年

末に完成予定。

・町では、この2つの案件の工事がなされている。

・3つめは、ごみのこと。ホーチミン市では、家庭系のごみが約 6000t/日。

・ホーチミン市の出すごみは、現在2つの場所で埋立処分している。一つは、ク

チの所で、3000t/日、もう一つが 3500t/日。

・市としては、リサイクルをできるだけ進め、埋める量を減らしていきたい。

・そういう意味で市としては、リサイクルの案件をサポートしている。将来生ご

みをコンポストに使いたいと考えている。

・ごみを埋めるだけでは、臭気や埋立に伴う汚水の問題などが出てくる。

・ホーチミン市の廃棄物処分場は、面積 1800ha あり、総合廃棄物処理場として、

リサイクルの事業もやりたい。

・家庭からの一般のごみ、企業からのごみ、医療廃棄物などいろいろなごみに対

処していきたい。

・病院廃棄物の焼却体制については、4t/日と7t/日の焼却炉があり、ホー

チミン市域の発生量が 9~10t/日。

・現在、ベルギーの援助で 21t/日の炉を作っている。

・建設廃棄物の問題もあり、現在、全量、 終処分場に持っていっている。

・工場生産からのごみについては、いろいろな工場があり、1200~1500t/日

発生するうち、250~300t/日は有害廃棄物。

・それを分離して別々に処理している。有害廃棄物は、契約を結んで処理をして

おり、化学品、油、農薬など関連する会社と契約を結んでいる。

―意見交換―(大:大阪側、ホ:ホーチミン市側)

大:・ごみの集め方はどうなっているか。

ホ:・集め方については市環境局が主導し、それぞれの地域で民間人が行っている。

・問題は、分類できていないこと。現在、試験的に分別をやっている。

・日本のシステムについては、既に JICA の研修で勉強してきた。

大:・日本の分類は正しいか議論が必要。住民が分けていれるだけで、行政にはプラ

スになるが、 終的には、民間の人を使って分けている。

・しくみの問題があり、13品目とか細かい分別になると、できる地域とできな

- 31 -

い地域が出てくる。

ホ:・日本では、既に紙など品目ごとに一週間に 1 回、非常にまじめに出している。

大:・できる地域とできない地域があり、大阪では、阪南市が10数分別、一方大阪

市は、3 分別になっている。

・行政が集めたものをもう一度分けるのが我々(リ協)の仕事。

・集めている人をグループにして活用できるかが課題。

ホ:・問題は、区が管理できるかということ。

大:・廃棄物は、産廃と一般廃棄物の 2 種類に分かれ、一廃は、市町村、産廃は府県

や大きな市が管理する。全体的に経済が上っている時、ごみは増え続ける。

・日本でも高度成長期に公害を撒き散らしたので、ベトナムでは、変えて欲しい。

そのため、パートナーシップを深めていきたい。

ホ:・正確な規定がない。また、ごみ箱も足りない。分別の習慣がない。

大:・市民が家の前にごみを出しておくと、市は決まった時間に取りに来る。ごみが

残っていると苦情がくる。

ホ:・収集費用は有料か?

大:・だいたいは無料であるが、今は無料だった袋を有料にしはじめている。

ホ:・無料だとすると、費用は市が賄うのか?

大:・市の税金。産業廃棄物は有料。

大:・医療廃棄物は、完全焼却ということだったが、大阪の能勢というところで、低

い温度で焼却したため、白血病などの原因になるダイオキシンが多量に生成し、

今でもドラム缶100数十本が保管されているという例もある。

ホ:・日本の場合、リサイクルしたお金は誰の収入になるのか。

大:・リサイクル資源を売った人の収入。リサイクル業者が売却した場合は、その会

社のもの。

ホ:・リサイクル会社の製品は?

大:・行政としては、リサイクル物品として紹介している。

大:・行政と基金の関係は?

ホ:・基金は 1 年前にできた。4つの仕事があり、1 番目は、リサイクル会社への低

金利融資。2 番目は、3R 事業の啓発。3 番目は、分別についてのコンクール

の主催。4 番目は、年 1 回のリサイクルデイの開催。その日には、不用品の交

換も行う。

・3R の規定も整備しており、現在は、ナイロン袋をできるだけ使わないようにし、

削減する取組みを実施。

・融資の原資は少なく、500億ドン(約300万 US$)。

大:・ハノイの URENCO(ハノイ環境公社)とこちらの環境公社の違いは?

ホ:・ホーチミンの環境公社は、市環境局の直属。URENCO は、人民委員会直属。

・ハノイは分類ができているが、ホーチミンは、医療廃棄物と有害廃棄物を区分

している程度。

大:・処分場からでるガスを使ったごみ発電はやっているか?

ホ:・2005 年からやっている。ほとんど今は埋立だけ。

- 32 -

大:・焼却は考えているか?

ホ:・次の段階までにつめていきたい。

大:・ホテルなど大きな施設のトイレ排水は処理されているか?

ホ:・新しい施設は、独自の排水処理施設を持っている。

・生活排水については、下水道の二つの案件が完成するまで、そのまま流してい

る。

大:・病院などは、先ほど言われた小さなスペースの処理施設が必要。

・病院では、医療廃棄物の区分をきちんとやることが重要。注射針など血液がつ

いたものは、特別管理廃棄物として焼却が必要。

ホ:・今後とも協力して欲しい。

写真 3-12 ホーチミン市

資源環境局での意見交換

左から 2 人目女性が通訳

のレーバクバンさん

写真 3-13 廃棄物リサイ

クル基金 レーバンコア

課長(右)と廃棄物管理課

グオタンドゥク課長補佐

(左)

- 33 -

写真 3-14 意見交換

後、全員で記念写真(右

端が双日小須田所長)

- 34 -

4.ヤマハ モーターパーツ(タンロン工業団地)見学

日 時:2008 年 11 月 20 日 14:00~15:00

場 所:ハノイ市 タンロン工業団地 ヤマハ モーターパーツ ベトナム

応対者:松永副社長、大山氏

内 容:概要説明

・当社は、アルミ鋳造品などの製造をベトナムで始めて、丸3年。

・現在は、国内に90%供給しているが、ベトナム国内の景気は今、踊り場にあ

り、今後は輸出にも力を入れていきたい。

・この工場からヤマハ ベトナムまで車で約40分の距離。ハノイ市外に近いた

め、給料はやや高め。

・タンロン工業団地は、2005 年 1 月時点で39社であったが、2007 年には、

72 社で 3 期の工事中。

・工業団地全体で、労働者は 5 万 1 千人おり、このうち、日本人は 390 人。

・自転車、バイクなどで近隣から自走で通勤できる。

・工場としては、完成車への鉄、アルミ部品の供給を行っており、日本へもエン

ジン部品を輸出しており、今後は、インドネシア、ブラジルへも輸出したい。

・従業員は、982 人で男性 8 割、女性 2 割。日本人スタッフ 8 人と現地の課長

級 2 人で管理。

・今まで買っていたトランスミッションやキャストホイールなどの部品を全て作

れる。

・部品製造の材料は、ヤマハ アジアセンターが指定し、買い取って船で輸送し

ている。鉄は日本の製鋼メーカーから購入しており、円高はきつい。

・土地は、50 年の定期借地。住友商事と契約。

・パナソニックは3社来ている。電話交換機、FAX などの製造。

・従業員の平均年齢は、22歳で、ステップアップするものもいるが、技術的に

はまだまだこれから。

(以上)

この後、施設見学

- 35 -

写真 3-15 タンロン工業団地

内のヤマハ モーターパーツ

写真 3-16 玄関にて記念写

真(右端が説明をしてくれた

大山氏)

写真 3-17 説明用のパワ

ーポイント資料