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© 2016 Internet Initiative Japan Inc. 0 IIJmio meeting 11 HLR/HSS開放について」 2016/4/2,9 株式会社インターネットイニシアティブ 佐々木 太志

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IIJmio meeting 11

「HLR/HSS開放について」

2016/4/2,9

株式会社インターネットイニシアティブ

佐々木太志

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「携帯電話料金タスクフォース」について

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携帯電話料金タスクフォース

• 2015年9月11日の経済財政諮問会議において、安倍首相より「携帯電話の家計負担の軽減は大きな課題であり、高市総務大臣には方策等についてしっかり検討を進めるよう」との指示がなされる

• この指示を受け、2015年10月19日より、全5回のタスクフォース(携帯電話料金タスクフォース)が開催され、12月16日に報告を取りまとめた– タスクフォースは全7名の有識者で構成

• 報告では、以下の3つの検討課題ごとに「現状」「論点」「方向性」が示された1. 利用者のニーズや利用実態を踏まえた料金体系

2. 端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換

3. MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進

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携帯電話料金タスクフォースの取りまとめ

• 「方向性」のうち主なもの– 「利用者のニーズや利用実態を踏まえた料金体系」

• 年齢層や対象機種が限定されているライトユーザ向けプランを参考に、年齢や端末機種を限定しないライトユーザ向け料金プランの提供を検討すべき

• 端末購入補助を受けないスマートフォンの長期利用者の負担の軽減となる料金プラン等を検討すべき

– 「端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換」

• 「実質0円」等の高額の端末購入補助は著しく不公平であり、適正化すべき

• MNP転入の優遇の見直し

– 「MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進」

• 加入者管理機能について、ガイドライン上で「開放を促進すべき機能」と位置づけ、事業者間協議を加速すべき

• MVNO自身が、「大手携帯電話事業者との差別化」「多くの利用者から選ばれる戦略」を取ることが望ましい

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総務省による方針策定

• 「携帯電話料金タスクフォース」の取りまとめ公表を受け、12月18日に、総務省が「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」を策定– ライトユーザや長期利用者に向けたスマートフォンの料金負担の軽減

– 端末購入補助が端末の価格を超えた行き過ぎた額とならないよう適正化

• 年度内に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を策定予定

• ⇒4月1日から適用

– 加入者連携機能について、MVNO事業化ガイドラインにおいて「開放を促進すべき機能」に位置づけ、事業者間協議の促進を図る

• ⇒5月21日から適用

• この取組方針に基づき、同日、高市総務大臣より大手携帯電話事業者3社への要請が行われる– 行政手続法上の「行政指導」に相当

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HLR/HSS開放について

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加入者管理機能(HLR/HSS)

• SIMカードを管理するためのデータベースのこと– SIMカードに記録された様々なID番号(IMSI、電話番号)

– 通信の暗号化のための鍵

• 2つの機能– 認証

• 端末が携帯電話ネットワークに接続しようとした際、その端末にどのネットワークサービスの利用を許すかを制御

– 位置登録

• 端末がどの交換機の管轄下にあるかを記録

スマートフォンタブレット

基地局

コアネットワーク

音声交換機

SIMカード

パケット交換機

HLR/HSS

認証・位置登録

認証・位置登録

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開放を促進すべき機能

• 携帯電話事業者(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)がMVNOに設備を貸し出すことを、「アンバンドル」と呼ぶ

• 総務省「MVNO事業化ガイドライン」(5月21日から適用)の記載– 同ガイドライン上の「アンバンドル4条件」

1. 他の事業者から要望があること2. 技術的に可能であること3. 携帯電話事業者に過度の経済的負担を与えないこと4. 必要性・重要性が高いこと

– この4条件を全て満たす機能は「アンバンドル機能」として同ガイドラインで定められる– 4条件のうち1、4が満たされており、かつ2、3を満たす可能性がある機能は、「開放を促進すべき機能」として同ガイドラインで定められる

– ガイドライン上、携帯電話事業者のアンバンドルは、事業者間協議による合意形成が尊重される

• 「アンバンドル機能」の位置づけ– 携帯電話事業者がアンバンドルに応じない場合は、総務大臣は約款変更命令を出すことが可能となる

• 「開放を促進すべき機能」の位置づけ– 総務省はアンバンドル実現に向けた事業者間協議の更なる促進を図る

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HLR/HSS開放の現状と今後

• HLR/HSSはMVNO事業に必ずしも必要なものではない– SIMカードと、その管理機能(HLR/HSS)を合わせて携帯電話事業者から借りMVNOが事業を行うことは現に行っている

• HLR/HSSをMVNOが独自に運営することで、MVNOが独自にSIMカードを調達・発行することが可能となる– そのSIMカードの利用者に対し、携帯電話事業者以外のどの通信事業者のサービスを提供するか、MVNOがデザインできるようになる

– (例)MVNOのSIMカードをもち海外に旅行した際、現地の通信事業者のプリペイドサービスを(SIMの入れ替えなしで)利用できる

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HLR/HSS機能の開放に対するハードル

1. MVNOのHLR/HSS運用のための技術的な方式等について未だ決まっていない。特にネットワークの安定運用やセキュリティ面で携帯電話事業者が懸念を示している

2. HLR/HSSがMVNOにとり必要・重要なものであるか(アンバンドル4条件のうちの4)において、携帯電話事業者とMVNOの見方が違っている

3. HLR/HSS開放にかかるコストが膨大となることが予想される

4. MVNO側でも、HLR/HSS開放後のサービスのイメージが完全に描けておらず、コストメリットの点で後ろ向きであるMVNOもいる

5. 海外の事業者が日本に参入しやすくなることで、日本の通信業界全体の空洞化、ダムパイプ化が懸念される

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音声通話サービスとHLR/HSS

• MVNOによるHLR/HSSの運用が、直ちに音声通話サービスの料金低廉化を可能とするものではない

• HLR/HSSにより独自のSIMカードを実現したMVNOが、携帯電話事業者の

音声通話サービス以外の音声通話サービスを利用者に提供することは、技術的に不可能ではない– ただし、同時にHLR/HSS開放以外の取組みも必要となる

• 音声通話網や信号網の開放

• 電気通信事業法に係る規則等の改正

• MVNOによる設備への投資

• 他事業者の設備開放 等

• これらのハードルを踏まえ、更に音声事業の採算性や成長性等、様々な観点で今後検討していく必要がある

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HLR/HSS開放が実現した後のMVNOのビジネスモデル

• ヨーロッパを中心に、独自にSIMカードを調達し、それを管理するためHLR/HSSを保有するスタイルのMVNOが既に存在し、「Full MVNO」と呼ばれる– 対義語は「Light MVNO」

• Full MVNOは、既存のビジネスの他に、「IoT」、「国際」などそれまでの枠を超える新規事業領域を設定し、事業を拡大していくケースが多い– Light MVNOに対し、Full MVNOは一般に多額の設備投資を要するため

• 多額の投資が必要なHLR/HSS開放は、低廉な料金を指向する「格安スマホ」「格安SIM」とは親和性が必ずしも高くない

• 今後日本でも、HLR/HSSの保有により既存のMVNOのビジネスモデルを超える事業領域にチャレンジするMVNOが登場することが期待される

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IIJのFull-MVNOに対する考え方

• 現時点で決まっていることはありません

• ただ、Full-MVNOへの挑戦に限らず、よりMVNOサービスを拡充するための挑戦については、前向きに取り組んでいきます

• 仮に、日本初のFull-MVNOが登場するとしたら、必ずしも「格安スマホ」「格安SIM」に類するサービスではないところから事業開始するのでは?

• というあたりを、長い目で見て考えていきます