まちの公共員(和束町)の活動報告...2 1.はじめに まちの公共員とは...

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1 まちの公共員(和束町)の活動報告 2014 年 11 月~2017 年 3 月

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まちの公共員(和束町)の活動報告

2014年 11月~2017年 3月

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1.はじめに

まちの公共員とは

「まちの公共員」とは、自分の仕事を持ちながら、府の職員として長期間地域に定着しなが

ら地域の課題の解決を図っていく全国初の「半公半民」の非常勤職員です。主に農村部で活躍

する「里の公共員」と合わせて、平成26年度から始まりました。現在日本の各地で、少子高

齢化や人口減少、地球環境の保全、地場産業の衰退など地域ごとに様々な課題が山積していま

す。「まちの公共員」は、公共的な立場から関係機関との橋渡しを担い、また民間としての専門

性を生かし地域住民とともに問題解決を図っています。

主に農村部で活動する「里の公共員」、小さな拠点の京都モデル「コミュニティ・コンビニ」

で活動する「コミュニティ・コンビニ公共員」も合わせて、現在府内の15地域に「公共員」

が配属され、各々の地域で取り組みを進めています。

和束町とは

和束町は、京都府の南端、相楽郡の北東部に位置し、

京都市街地より南へ約30km、奈良市街地より北へ約

15km、大阪市街地より東へ約40km の距離にあり

ます。周囲を山で囲まれた自然環境豊かな地域で、現

在およそ4,000人の方が暮らしています。山間地

であるため昼と夜の気温差が大きく、また水はけの良

い傾斜地であったことから、古くからお茶の栽培が盛

んで、宇治茶の主生産地として知られています。町内

の山々の斜面には一面の茶畑が広がり、その特徴的な

景観が評価されて、2008年には京都府景観資産登

録地区の第1号に認定されました(「宇治茶の郷 和束の茶畑」)。また、2013年には京

都府内では伊根町に続き2番目となる 「日本で最も美しい村連合」にも加盟しています。

近年では、和束町の茶畑景観を見るために、日本のみならず海外からも多くの観光客が訪れ

るようになっています。

和束町地域力推進協議会とは

和束町の豊かな資源を活かし、地域全体と連携した魅力と活力或ある持続可能な地域を実現

することを目的として、平成23年5月に設立されました。和束町や、京都府、和束町活性化

センター、商工会、和束茶カフェなど和束町の町おこしに関わる団体が所属しています。これ

までに、遊休施設のガラス温室を活用した軟弱野菜の収穫体験、茶源郷交流エリアを周遊する

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緑泉ハイキングコースの整備などを行ってきました。

和束町の課題

800年も前から、和束町ではお茶が延々とつ

くられてきました。和束町で生産される茶葉は、

京都府産のお茶の約半数を占め、品質も高く評価

されています。現在でも、新茶の季節になると町

全体にお茶の香りが漂うほど、茶業とともにあり

続けてきた町です。このように、茶業を主産業と

する和束町ですが、昨今話題になる人口減少の波

は、地方都市である和束町でも顕著に現れています。昭和40年に6,400人だった和束町

の人口は年々減り続け、特に平成7年以降は減少傾向が強まっています。平成27年の国勢調

査の結果では3,956人となっており、4,000人を割り込む結果となりました。世帯数

についても、平成7年以降は緩やかな減少傾向に転じています。

また、ペットボトルのお茶が普及し、お茶を家で淹れない家庭が増えるなど生活習慣等の変

化により、茶葉の需要が徐々に減ってきています。茶葉の単価が下がり、茶農家では生活でき

ないということで、茶業を継がず都会に出て行ってしまう若年層が増加し地域の課題となって

います。茶業の担い手である若年層の流出は、茶業の継続を困難にしています。さらに高齢を

理由に茶業を辞めてしまう茶農家さんも増えつつあります。その結果、この数年、耕作放棄に

よる荒廃茶園が目立つようになりました。現在新たな産業として期待されている観光産業です

が、その資源である茶畑景観の維持が困難になりつつある状況です。

また、和束町内には蔵や工場を持った立派な住居が多数残っていますが、少子高齢化や世帯

人員の減少、人口流出によって活用がされなくなりつつあります。一部には放置された空き家

が目立つようになってきました。その一方で、和束町の景色や茶業に関心を持ち、町への移住

を希望する方がおられますが、その橋渡しが上手くいっておらず、移住が滞っている状況にあ

ります。

このような状況の中で、和束町の大きな課題は、

① 持続可能な農業の体制の構築

② 空き家の有効活用による若い担い手の引き込み

③ お茶の生業を資源とする観光の活用が出来ていない

であると考えました。

※年齢3区分別人口の推移をみると、平成22年において年少人口の割合が8.7%まで減少する一 方、老年人

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口の割合が32.6%と全国(23.0%)、京都府(23.4%)を大きく上回り、少子高齢化 が急激に進んでい

ます。

平成22年の国勢調査人口(4,482人)から今後の人口を推計すると平成72年には、1,294人に減少

(国立社会保障人口問題研究所推計を準拠して推定)し、「日本創成会議」 が発表した「消滅可能都市」にも該当

するなど、人口減少が深刻になっています。

また、人口減少とともに少子化も進んでおり、和束町の合計特殊出生率(平成20年~24年ヘイス推定値)は

1.18人と、全国平均の1.43人を大きく下回っている状況です。

まちの公共員の取り組み概要

先ずは和束町の主産業である「茶業を守っていくこと」、であり、空き家の利活用を促進し、

移住者、特に若い茶業の担い手の定着を行うことを目的に、空き家利活用のための地域環境整

備が一番重要な取り組みとなりました。

また、茶業に続く次の産業として、この空き家を有効活用した民泊やゲストハウスの運営、

これ対する環境整備が課題となっています。和束町では、「ワヅカナジカン(ゆうあんビレッジ

代表山下丈太氏)」という空き家を活用した繁忙期の茶業支援アルバイトの宿泊先として援農を

行う取り組みが既にあり、その支援を行いました。

その後、空き家対策の中長期的な視野にたち、和束町の PR や地域ブランドの確立に必要性を

感じ取り組んできました。

公共員としての主な取り組みは、

① 援農の取り組み(民泊の推進)

② 空き家の有効活用の取り組み

の2つを柱として進めていくことになりました。

2.援農の取り組み(民泊の推進)

概要

茶農家が繁忙期に困っている、アルバイトの滞在先支援を行うために「援農支援のワークシ

ョップ」を開催しました。すでに地域で活動されている援農の取り組み「ワヅカナジカン」へ

の支援を行う事で、和束町の茶産業に貢献ができました。そして、アルバイトの受け入れ先と

しての農家民宿・農家民泊の開設に向けた支援を進めるために、先端事例である奈良県明日香

村の視察を和束町活性化センターの協力のもとに行い、9名の参加がありました。

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援農支援のワークショップの開催

茶業を活かした事業や、援農の取り組みを支援するために下記のワークショップを開催しま

した。

① 「農家民宿をはじめよう!」第1回

参加者14名

農家民宿とは?/平成27年2月1

6日(月)てらす和豆香

観光ビジネス総研代表の刀根浩志氏を講師

に、「農家民宿とは何か」、「農家民宿をする

のにあたり何が課題になってくるのか」を地域の農家と話し合いました。

② 「農家民宿をはじめよう!」第2回 参加者15名

民宿は出来るのか?儲かるのか?/平成27年3月5日(木)てらす和豆香

第 1 回の話を受けて、参加された皆様で農家民宿の目的、目標の共有を図りました。また、季

節ごと、カテゴリーごとの農家民泊の体験プログラムの検討を行いました。

③ 「援農で生産力を高めよう!」 参加者16名

援農の取組「ワヅカナジカン」って?/平成27年2月27日(金)てらす和豆香

和束町で援農支援の取り組み「ワヅカナジカン」を運営しているゆうあんビレッジ代表の

山下丈太氏を講師にお招きして、地元の茶農家へ活動の紹介をして、受け入れ先となってい

ただけるよう支援を行いました。。

先端事例の視察

「農家民宿 視察研修」 参加者9名

平成27年3月28日(土) 飛鳥ニュ

ーツーリズム協議会

ワークショップの中で、参加者の中から

希望があり、農家民宿において近隣自治体

で先進的な取り組みを行っている奈良県

明日香村に「和束町活性化センター」の協

力のもと、地域参加者(9名)で視察を行

いました。

そこで、協議会の概要、民家ステイについて、入村式・離村式会場の視察、受け入れ家庭の

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4件に訪問する視察となりました。和束町として、先ずは民泊体験コンテンツの充実に取り組

むべきだと声がありました。

民泊の受け入れ気運の醸成

民泊の受け入れを推進していく中で、当初

は13軒ほどの受け入れ家庭しかなく、先進

地で学んだ修学旅行生などの受け入れをす

る場合は最低でも100軒以上はあった方

が営業しやすい、との意見がありました。

「民間旅行業者として、平成27年8月に4年に一度の世界スカウトジャンボリー(スウ

ェーデン)600名の受け入れを和束町活性化センターに委託しました。この事業に対し

4泊5日の受け入れを新たに40軒が名乗りをあげ、受け入れ家庭では民泊事業に関心が

高まり、「今後もこの様な子供たちを受け入れしたい」との声が聞かれました。」

※世界スカウトジャンボリーとは、4年に1度開かれる世界スカウト機構主催のスカウトの大会です。世界スカ

ウト機構は、世界で3,000万人が参画する世界最大の青少年運動組織です。2015年に山口県・きらら浜

で開催された第23回世界スカウトジャンボリーには世界155の国と地域から約3万4千人の青少年が集ま

り、約2週間にわたって、キャンプをしながら「世界の仲間」と体験を共有するイヘントです。

見えてきた課題

人口減少に伴った空き家を活用するには、若い担い手となる人たちに移住、定住して主産業

である「茶業」を継いでもらうきっかけとして、繁忙期にアルバイトで働いて短期間住んでも

らう「ワヅカナジカン」の取り組みは重要な事業です。この事業は今では茶農家の理解も深ま

り、関心をもって来られるアルバイトの受け入れ先となる農家数も増加し始めています。そし

て、次の産業でもある農家民宿や農家民泊への足がかりとなる取り組みも進めることで、地元

住民の理解は深まってきており、今では地元の方が開いたゲストハウスも数軒オープンしてお

ります。

ただ、農家民宿を開くにあたっては保健所の許可等厳しい条件をクリアーしなければならず、

そのために十分な設備投資も必要となってきます。また農家民泊にいたっては法整備は行われ

たものの、町をあげての取り組みとして、官民が一体となっての整備が急務となっています。

地域からの声

一般財団法人和束町活性化センター中西志帆さん

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3年前から和束町活性化センターで勤務しています。

当時は、和束町雇用促進協議会という地域の団体がい

わゆる「一般観光」を進めていました。そこで、和束

町活性化センターの方では、教育観光に力を入れてい

こうということで、取り組みを進めてきました。平成

26年12月に、台湾の学生36名を初めて和束町で

受け入れました。ご協力いただけたのは、13軒の地

域の方でした。

そんな時に、旅行業者でもある近藤さんが世界ジャ

ンボリーの話を持ってこられました。ギリギリまで参加人数などの詳細が決まらなかったり、また

英語やスェーデン語でのやりとりにかなり大変でした。みんなでドタバタしながら、なんとか40

軒の受け入れ先を確保し、無事に受け入れることが出来ました。4泊5日のプログラムで、初めは

緊張していた地元の方も、3日目ぐらいからは笑顔に。みなさん緊張がとれて、楽しんでくれたよ

うでした。この受け入れをきっかけに、地元の理解が深まりました。現在受け入れ先のリストは5

0軒に増え、「教育観光」の受け入れに向け営業ツールも揃いました。平成30年度を目処に受け入

れができるように取り組みを進めています。

※「教育観光」とは、地域資源を活用した体験型の教育観光として、ソーシャルビジネス、コミュニティビジ

ネスのノウハウとネットワークを構築し、地域経済の発展に役立てる狙いがあります。

3. 空き家の有効活用の取り組み

概要

茶農家は5月から8月にかけての農作業の繁忙期には人手が必要となり、アルバイトの募集

をしますが、和束町は大変交通の便が悪く、通勤が厳しいのでなかなか人が集められないとい

う事情があります。そのため、先の援農の取り組みも積極的に進めにくい状態でした。

また、和束町には一定数の移住希望者もありますが、その人たちが苦労するのが「家探し」

だという声も聞きます。その一方で、和束町には空き家が多数存在しており、まだ居住可能で

あるにもかかわらず、貸し出されることもなく、朽ちていくという状況にあります。空き家を

地域の資源と捉え、茶農家さんの支援や地域の活性化につながるよう、空き家活用の取り組み

を推進しました。

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モデル地区におけるヒアリング調査

門前区(モデル地区)には、Iターン移住

者が多く居住して、地区としての受け入れ側

の体制も先進地であると判断し選定しました。

そこで、すでに移住された方の話を伺い、移

住するまでに苦労したこと、移住してから苦

労したことなどの課題の抽出を行いました。そこでほとんどの移住者が、「空き家の情報がない」、

「住み始めてからの地元住民との関わり方に戸惑う」などの問題意識を持っていることがわか

りました。同時に地元住民の方からも、どのような条件であれば、空き家を貸し出せるのか。

地元の方に集まってもらいお聞きしました。

※ すでに移住された I ターン者10名に実施(平成 27 年 10 月〜12 月)し、門前区で2回のヒアリングを行

いました。

【 移住者側の声 】

・空き家の情報は人づてに入ってきた。

・地元住民の中心的人物に理解があれば、入ってきやすい。

・初めはゴミ捨ての仕方等も分からなかった。

・大家さんが近くにいることは、助かる。

・道路にはみ出たりしないよう草刈りは、きっちりしている。暗黙のルールがある。移住

者にそれを伝えないといけない。

・どのような活動があるのか住むまで分からない事が不安。

・Iターン等の取り組みに理解があるのは、住民のごく一部。

・生活が成り立っている人、特に困っていない人は動かない。

・地域住民の啓発は必要。

【 地域受入側の声 】

・地域を活性化するため、また区費の負担を抑えるため、移住して頂くのは必要であると

思う。

・移住者が増えることで、門前区の自治活動が守られるのはありがたい。

・最近民泊などが話題になっているが、ルールが必要。

・区のルール、取り決めなどは住んでもらって体で覚えていってもらうしかない。

→移住する側に守ってもらうルールを町なり、府なりで決めるべきではないか。その上で

細かいルールを各区で決める。

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→受け入れる地域でも、体制を作る必要はある。

・問題が起きた場合、空き家を勧めた人の責任になる。間に入ってくれる第三者がいない

と難しい。その保証があると、安心して貸せる。

・第三者には不動産業等の専門知識を持っていないと、いざというときに困る。

空き家有効活用フォーラムの開催

「空き家有効活用フォーラム」 参加者31名(和束町

民・移住者希望者など)

平成28年2月26日(金) てらす和豆香

地元住民の方からの話の結果を受け、「空き家の有効活

用に関するフォーラム」を開催しました。町長のあいさつ

に始まり、「和束町の現状報告」、「モデル地区の報告」、「移

住者との座談会」、「 空き家を活かす和束の取組」という内容で、終了時間が大幅に遅れるほど

の期待の大きいフォーラムとなりました。アンケートの結果では、「空き家の有効活用について

も進めて行くべきである」に全ての方が回答しました。

見えてきた課題

地元住民の方との話し合いやフォーラムを開催した結果、多くの方から空き家の有効活用を

望む声がありました。実際に、まちの公共員として間に入り動きかけている案件も出て来てい

ますが、担当部署や専門窓口がなく、組織立った動きが出来ていないのが大きな課題です。ま

たフォーラム参加者の中から出た課題として、「民泊やゲストハウス等でお金儲けをするという、

嫌悪感を取り払う必要がある。」という身近な課題も上がりました。

地域からの声

和茶園 植田修さん

和束町に自分も移住してきました。移住する際に色々と

地域の方にお世話になって、家を紹介していただきました。

その時の経験から、自分も家を探してあげたりする協力を

しています。今回引っ越しをすることになり家を探してい

る中で、公共員である近藤さんに連絡を取りました。たま

たま近藤さんが関わっている空き家物件があり、紹介して

いただけることになりました。大家さんとの間に、近藤さ

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んのつながりの不動産会社が入っていただいたことで、お互いに安心して話し合いを進めている状況

です。どうしても素人同士だけでは話はまとまりにくく、第三者が必要であるように思います。

現在和束町には移住の窓口となるものがなく、移住を希望している方は誰に相談していいのかわか

らない状況になっています。自身も移住したい人のサポートをしていきたいという思いはありますが、

個人では限界があります。行政よりも身近で相談しやすいまちの公共員のような存在は、今後も必要

だと思います。

3.まちの公共員の取り組みの結果

既存活動の発展的展開

最初に取り組みを進めていた援農の支援については、ゆうあんビレッジ代表の山下丈太氏が、

引き続き「ワヅカナジカン」のプロジェクトを変化させながら継続した事業を進めており、空

き家対策でも「相楽暮荘(そうらくくらそう)」というプロジェクトで移住に関する事業を立ち

あげ、和束町、笠置町、南山城村との連携で進めています。

民泊の推進では、和束町活性化センターの中西志帆氏が窓口となって今では50軒以上まで

受け入れ家庭が増えており、平成30年度に向けて新たな体制を準備されています。

地元の方々がそれぞれの事業を担って独自で動き出し始めているのですが、特に苦労されて

いるのが町に人を連れてくる事でした。

公共員として取り組んできたことは、人を呼び込むことが大半であり、和束町で最終報告会

をした際にも、「人を繋いでもらった」「人を連れて来てくれた」などの声がありました。

まちの公共員配置終了後の新たな事業への取り組み

現在和束町は、様々な団体の活動により、観光地としても知名度が少しずつ上がってきてい

ます。3 年で任期を終える「まちの公共員」ですが、今までのつながりを大切にし、これまでの

活動を継続していく為にも、地元の方と一緒に、和束町内に旅行業の窓口をつくり山城地域、

茶産業の活性化への取組を行います。

地域からの声

おぶぶ茶苑 副代表松本靖治さん

近藤さんは、まちの公共員になる前からも和束町

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で活動されており、近藤さんと知り合ったのは、2009年ごろでした。2011年の震災があっ

た時は、近藤さんと一緒に東北復興のイヘントを企画しました。その時から、人を紹介していただ

いたり、いろいろと協力をしていただいていました。

和束町の観光は、お茶を軸とした観光です。現在うちでもティーツアーなどの体験プログラムを

催していて、毎年1,000人ぐらい来ていただいていますが、今後そのコンテンツを増やしてい

きたいと思っています。ZIP-LINEや一年中手もみ体験ができる工場など、アクティビティーの充実

をもっと図ることで、観光に深みが出ると思っています。将来は、木津駅から無料のシャトルバス

が出せるように。観光客も乗れて、地元の人も乗れるような交通ができれば、この地域も発展する

と思っています。

和束町地域力推進協議会会長 上嶋伯協さん

この数年で、和束町も少し変わってきました。観

光客も少しずつ増え、3年前に課題であった和束茶カ

フェの売り上げも、ぼちぼちですが増えてきました。

そのため和束茶カフェは今後、社団法人「えんトラ

ンス和束」として新しいスタートを切ることになり

ました。

民泊などの取り組みも、スウェーデンのスカウト

受け入れなどもあって、確実に地域の方に認知され

てきています。タイから移住してこられた方もおら

れますが、自転車を漕いで町中を走っている姿も、自然な形で受け入れられてきています。

空き家の問題に関しては、以前は空き家がどれだけあるのか地域の者でも分からないような状態

でしたが、地域に空き家が結構あるということがみんな理解してきています。上手く空き家を探し

て借りて従業員に貸し出すなど、まだ個人レヘルの動きですが、そのような動きをする人も出てき

ました。ある地域では、区長さんや地元の方が家探しを手伝ってくれたりしているようです。

どこまでまちの公共員のおかげか分かりませんが、地域全体として、想いが変わってきた、流れ

が変わってきたんだと実感しています。

そして今後の和束町で進めたいことは、和束茶カフェを、これからは地元の方も利用していただ

けるように大きくしていきたいと思っています。観光客の方にはだいぶ来ていただけるようになり

ましたが、もっと和束の人が買ってくれるように。町の人に来て欲しいと思います。商工会との兼

ね合いもあるのですが、野菜を置いたりして、またデリバリーするなど、買い物難民を助けるよう

な活動。そういうことを視野に入れてやっていきたいと思います。

観光の取り組みは、今後も近藤さんに助けていただいたりしながら、発信し続けていかないとい

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けないと思っています。補助金で打ち上げ花火のようにやることも必要ですが、ずっと地道に継続

してやっていく方が広がっていくように感じます。ツアーの誘致をしたり、もっと気軽に来ていた

だけるようにしていきたいと思います。

今後の課題

個々の課題解決のための事業を地域の方で担っていただき動き出しているが、空き家の課題

は山積で、その取り組みが十分に出来ておらず、地域の期待に応えられていません。

また様々な団体や個人での受け入れ、そして新たに始められている飲食店や簡易宿泊施設な

どそれぞれが活発に動き出している良い状況がある反面、和束町としていまどんな来訪者がき

ているかの把握が出来ない状況となっています。

今まで対外的な窓口を担ってきた和束町活性化センターとの連携など、これから動き出す和

束町観光案内所の役割はこれからが本番となります。

最後に

平成24年10月より観光アドバイザーとして関わりがスタートで、和束町を知ったのはそ

のもう少し前の平成21年頃だったと思います。まず知った頃から思うと、すごく変わった!

という印象があります。それは、和束茶カフェの商品点数が物語っています。年々和束町は進

化されている町だと思います。

そこで最初に取り組ませて頂いた民泊推進についてですが、「茶畑なごみ」さんが山城地域で

初めて平成27年5月に農家民宿をスタートされる事になりました。そして今では和束町活性

化センターさんが担っておられる教育型観光の受け入れを進められております。

また、空き家対策活動としてきたことで地域の方から空いている部屋を和束町に訪れられる

お客様を受け入れようか、という動きに変わりだして来ました。今では地域住民の方が空き家

を買い取り、和束町に訪れられる方に向けてゲストハウスを経営し始める方が増えてきており

ます。

まちの公共員は、平成29年3月で終了しますが、地元の方と共に、「観光で日本茶に革新を」

と言うコンセプトでこれからも日本中、世界中から茶源郷和束に訪れて頂けるよう、地域の観

光窓口として進めてまいります。