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平成 23 年度(2011 年度)
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<小児科>
概要
1. 一般小児科
2. 新生児医療センター(NMC)
(1)一般小児科
新生児を含めた一次から三次までの小児救急医療に 24 時間体制で臨む,東三河唯一のセ
ンター病院としての役割を担っている。スタッフ一同、「声なき声を聴く」を病棟のスローガンに
掲げ,こどもたちの気持ちにも配慮した,こどもたち主体の医療を心がけている。蒲郡市民病院、
渥美病院、またこども発達センター(ホイップ)の乳児健診などとも人事交流を果たしてきた。今
後も各医療施設や行政と連携を取りながら、地域医療全体に貢献すべく対応していきたいと考
えている。
2011年の小児科病棟入院患者は1313名であった。入院患者さんの疾患はアレルギー,先天
奇形,心疾患,腎疾患,神経疾患,内分泌・代謝疾患,悪性腫瘍,そして被虐待児などあらゆる
分野にわたり,日本小児白血病研究会の治療指針に従った化学療法,持続的血液濾過透析な
ど,広く小児専門医療にも対応した。人工呼吸管理が必要な重症者はICUで管理を行っている。
心疾患患者さんが多く受診される中、名古屋市立大学小児科学教室から小児循環器専門医の
応援をいただき診療にあたっているが、小児循環器専門医を常勤として確保することは喫緊の
課題である。
小児科病棟では感染性疾患と非感染性疾患の患者さんが同一病棟に入院せざるを得ず,院
内感染の予防は重要な課題である。当院では伊藤剛部長を中心に,アメリカ疾病管理センター
のガイドラインに準拠した先進的な院内感染対策を構築し実施している。当院の医療スタッフ
のみでなく,患者さんやご家族にも感染予防対策を説明しご協力をお願いしている。このような
積極的な取り組みにより,院内感染が減少し入院期間も短縮した。
病棟には院内学級(小,中学校)が設置され,また保育士も配属されている。また月に 2 回,ホ
スピタル・クラウン(道化師)が病棟を訪れてくれる。保育士やクラウンと接しているときのこどもた
ちの表情はいきいきと笑顔にあふれ,ご家族やスタッフの心も癒されている。献身的に取り組ん
で頂いているクラウンの皆様には深く感謝するとともに,本事業のさらなる発展を心から望むと
ころである。
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障がいとともに退院していく患者さん、末期がんの患者さんなどを対象に在宅医療にも対応し
ている。主治医,看護師,ソーシャルワーカー,臨床工学技士,リハビリセンターなど,様々な
分野のスタッフが密に連携し,ご家族を支える態勢をとっている。しかし在宅医療におけるご家
族のご苦労は計り知れない。レスパイトケアも望まれるが、残念なことに東三河には医療的ケア
を要する重症障がい児のショートステイに対応できる施設が無い。市民からの要望も強く、本年
度は小児科病棟でのレスパイト入院を導入した。しかし病床不足とマンパワー不足からその後
中止せざるを得ない状況となっている。マンパワーと病棟の構造の両面での改善が必要であ
る。
外来は年間約 4 万人の受診者があり,午前の診察時間に主に急性疾患を対象とした外来を
一部予約制で,午後には腎臓外来(月,木),内分泌・代謝外来(月),神経外来(金),ワクチン外
来(月,火),アレルギー外来(火),未熟児,発達外来(水,金),循環器外来(月,木),糖尿病外来
(木),血液,腫瘍外来(木,金),特殊神経外来(火,午前もあり)などの慢性疾患の外来をほぼ完
全予約制で行っている。
毎日夕刻には入院中の児について症例検討会を開き、また毎週火曜日には抄読会を開いて
いる。慎重な対応を要する例については医師全員の共通理解が必要なため,これらの会での
議論を経て,診断,治療方針の確認をしている。さらに 1 カ月に 1 度の頻度で関係各位に講師
をお願いして特別抄読会を開催し,最新の医療情報,検査方法などの理解を深める機会を設
けている。
(小 山 典 久)
(2) 新生児医療センター(NMC)
豊橋市民病院新生児医療センターは愛知県周産期医療システムの中で,東三河全域を医療
圏とする地域周産期母子医療センター新生児部門であるとともに、東三河唯一の三次救急施
設である。また周産期・新生児医学会周産期専門医制度において,小山典久を指導医とし新生
児専門医の基幹研修施設にも指定されている。
平成22 年度に愛知県が策定している周産期医療体制整備計画の中で、当院を指定すること
を前提にして、東三河に総合周産期母子医療センターを設置すること、また現在県内に 138 床
あるNICUを 180 床から210床程度まで増床することが目標に掲げられている。NICU増床の
根拠となった厚労省の試算では、年間の出生数1000 に対し 2.5 から 3 床のNICUならびにそ
の2倍の後方病床が必要とされている。東三河の年間出生数は7千人前後であり、NICU必要
数は 18 から 21 床と試算される。現在東三河のNICU病床数は当院の 12 床のみ(後方病床は
23 床)であり、十分とはいえない。総合周産期母子医療センター指定に向けて当院産科病床の
増床計画が進められているが、それに伴い入院を必要とする新生児数の増加も予想され、対
応は必須であると思われる。
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2011年の入院数は415例,そのほかに産婦人科病棟で34例の新生児を入院管理した。83%
は院内出生児であった。院外出生児、特に産科診療所、助産院での出生患者は当院新生児科
医師が救急車で出向き搬送に対応した。本年は入院依頼のあった新生児はすべて受け入れる
ことができた。
当センターは小児科のみでなく,院内の多くの科との連携の上に運営されている。産婦人科
医とは定期的に症例検討会を開き研鑽に励んでいる。さらにリハビリテーション科とも定期的な
症例検討会を開くとともに,入院早期からのポジショニングや排痰を促す理学療法,障害が予
想されるハイリスク児への早期リハビリテーション導入,退院後の児の発達のフォローアップな
ど協力態勢をとっている。また 2011 年は小児外科,胸部外科,脳神経外科,眼科などで計 18
件の手術が行われた。小児外科疾患は非常勤の名古屋大学スタッフの献身的な協力のもと、
急性疾患にも対応しているが常勤医の確保が強く望まれる。
一酸化窒素吸入療法や脳低温療法などの先進医療のみでなく,母児関係の確立支援や育
児支援も当センターの重要な責務である。切迫早産で入院中のおかあさんとご家族に,出産前
から小児科医がお子さんの状態や治療方針についてお話しする機会を持つプレネイタルビジ
ットは,お子様の予後に希望を持てるようになったとご家族からも評価していただいている。ま
た入院後は,御両親と離ればなれで治療を受けざるを得ない患児と御両親との絆を深める目
的で,カンガルーケア,ベビーマッサージ,絆ノートなどの試みにも取り組んでおり好評である。
さらに当院医療相談室のスタッフや地域保健師,療育施設,児童障害者相談センターなどとも
連携を図り,児の健やかな成長・発達を支援する態勢で臨んでいる。
「赤ちゃんがなにかを訴えている」を座右の銘として、物言えぬ赤ちゃんたちの意を汲んだ医
療を心がけていきたい。
(小 山 典 久)
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業績
• 学会・研究会発表
• 座長
• 講演
• 論文
学会・研究会発表
1. ミトコンドリア病を疑うも検査上明らかな異常を認めない Leigh 脳症の3例
杉本六希、相場佳織、杉本真里、加藤大典、小山典久、横地健治
第 34 回日本小児神経学会東海地方会(名古屋) 2011.1.29
2. Joubert 症候群の頭部 MRI 所見
相場佳織、杉本六希、杉本真里、加藤大典、小山典久、横地健治、辻 健史、
白井眞美、大川夏紀
第 34 回日本小児神経学会東海地方会(名古屋) 2011.1.29
3. 致死的経過をたどったモザイク型ダウン症における TAM の1例
川瀬恒哉
第 54 回東海小児血液懇話会(名古屋)2011.2.1
4. 肺炎で発症した胸膜肺芽腫の1例
水野賀史、田井中貴久、金子健一朗
第 59 回東海小児がん研究会(名古屋)2011.2.5
5. 気管支動脈蔓状血管腫の1例
花田 優、相場佳織、水野賀史、杉浦至郎、金原有里、加藤大典、竹内 幸、
伊藤 剛、小山典久、舘 靖
第 251 回日本小児科学会東海地方会(名古屋)2011.2.6
6. 交換輸血にのぞまれる血液とその供給について
小山典久
第 13 回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム(大町)2011.2.17
7. 酵素補充療法を開始した fabry 病小児兄弟例
加藤大典
第5回ファブリー病シンポジウム(東京)2011.2.26
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8. Reye-like syndrome の1歳男児例
加藤大典
第 114 回日本小児科学会(東京)2011.4.15~17
9. 新生児遷延性肺高血圧症で発症した特発性間質性肺炎の1例
水野賀史、川瀬恒哉、相場佳織、杉本真里、戸川貴夫、金原有里、幸脇正典、
伊藤 剛、小山典久
第 252 回日本小児科学会東海地方会(名古屋)2011.5.22
10. 新生児期に発症し在宅人工呼吸を導入したミトコンドリア呼吸鎖複合体異常症の1例
杉本真里、相場佳織、加藤大典、小山典久、横地健治、村山 圭、大竹 明
第 53 回日本小児神経学会総会(横浜)2011.5.26
11. Joubert 症候群の MRI 所見
相場佳織、杉本真里、加藤大典、小山典久、横地健治、辻 健史
第 53 回日本小児神経学会総会(横浜)2011.5.26
12. MRI 所見が微細であった遅発性拡散低下をともなう急性脳症の4例
辻 健史、谷口顕信、横井摂理、杉本真里、久保田哲夫、加藤 徹、梶田光春、
早川文雄、安藤直樹、奥村彰久、夏目 淳、東海小児神経研究会
第 53 回日本小児神経学会総会(横浜)2011.5.27
13. 新生児・乳児期早期の異常運動
幸脇正典
第 53 回日本小児神経学会総会(横浜)2011.5.28
14. 致死的経過をたどったモザイク型ダウン症における一過性骨髄異常増殖症の一例
川瀬恒哉、大下裕法、佐々木智章、杉本真里、戸川貴夫、幸脇正典、小山典久
第 47 回日本周産期・新生児医学会(札幌)2011.7.11
15. 臍動脈カテーテル(UAC)に関連した腹部大動脈血栓症の1例
吉田光紗、大下裕法、川瀬恒哉、田中達之、佐々木智章、杉本真里、戸川貴夫、
幸脇正典、小山典久
第 47 回日本周産期・新生児医学会(札幌)2011.7.11
16. 選択的帝王切開における適切な分娩時期の検討
諸井博明、岡田真由美、芳川修久、向 麻利、寺西佳枝、天方朋子、若原靖典、
河井通泰、幸脇正典
第 47 回日本周産期・新生児医学会(札幌)2011.7.11
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17. 重症な肝線維化により致死的経過をたどった一過性骨髄異常増殖症の2例
川瀬恒哉、田中達之、大下裕法、佐々木智章、杉本真里、戸川貴夫、杉浦時雄、
幸脇正典、小山典久
第 28 回日本小児肝臓研究会(つくば)2011.7.16
18. 卵巣腫瘍を認め早期に摘出できた抗 NMDA 受容体脳炎の1例
大下裕法、相場佳織、杉本真里、水野賀史、杉本六希、杉浦至郎、金原有里、
加藤大典、竹内 幸、伊藤 剛、小山典久、横地健治、高橋幸利
第 35 回日本小児神経学会東海地方会(名古屋)2011.7.30
19. 滑脳症(グレード5)の1例
加藤大典、相場佳織、杉本真里、小山典久、横地健治
第 35 回日本小児神経学会東海地方会(名古屋)2011.7.30
20. 酵素補充療法開始から5年経過した乳児型ポンペ病の1例
木部哲也、村上知隆、清水 薫、野村武雅、吉村 歩、大高幸之助、池谷真苗、
側島健宏、宮崎直樹、中島秀幸、横地健治、杉本真里
第 35 回日本小児神経学会東海地方会(名古屋)2011.7.30
21. 乳幼児の軽微な症状に対する保護者の知識や考え方に関する調査
杉浦至郎、小山典久
第 114 回日本小児科学会学術集会(東京)2011.8.14
22. 診断に難渋した大動脈炎症候群の2例
花田 優、杉本六希、慶田喜孝、相場佳織、水野賀史、杉浦至郎、金原有里、
竹内 幸、加藤大典、伊藤 剛、小山典久、岩田直美
第 47 回中部日本小児科学会(名古屋)2011.8.21
23. 3年間に渡るビンブラスチンの毎週投与により小康状態を保っている視神経膠腫の
1例
水野賀史、伊藤 剛、佐々木智章、相場佳織、山近紗知子、杉浦至郎、金原有里、
加藤大典、竹内 幸、小山典久
第 253 回日本小児科学会東海地方会(岐阜)2011.10.23
24. Dravet 症候群の1段事例
相場佳織、杉本真里、加藤大典、横地健治
第 63 回名古屋臨床脳波検討会(名古屋)2011.10.29
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25. エリスリトール摂取によりアナフィラキシーショックを認めた1症例
杉浦至郎、慶田喜孝、田中達之、花田 優、相場佳織、水野賀史、竹内 幸、
伊藤 剛、小山典久
日本小児アレルギー学会(福岡)2011.10.30
26. 豊橋市民病院における小児在宅医療の実態と課題-送り出す側から-
小山典久
第 21 回東海外来小児科学研究会(名古屋)2011.11.6
27. 早産児の広範性白質障害症例の検討
杉本六希、相場佳織、杉本真里、加藤大典、幸脇正典、横地健治、小山典久、
杉浦 弘
第 42 回胎児・新生児神経研究会(東京)2011.11.26
28. 致死的経過をたどったモザイク型ダウン症における一過性骨髄異常増殖症の一例
川瀬恒哉、大下裕法、田中達之、佐々木智章、杉本真里、戸川貴夫、幸脇正典、
伊藤 剛、小山典久
第 53 回日本小児血液・がん学会学術集会(前橋)2011.11.27
29. EFFECTS OF ANGIOTENSIN II RECEPTOR BLOCKER AND β-BLOCKER ON
HYPERTROPHIC CARDIOMYOPATHY ASSOCIATED WITH INFANTILE
MITOCHONDORIAL RESPIRATORY CHAIN DISORDERS
TAKAO TOGAWA、MARI SUGIMOTO, MASANORI KOUWAKI,
NORIHISA KOYAMA
10th WORLDCONGRESS OF PERINATAL MEDICINE Punta del Este (Urguay)
2011.11.8~11
30. 当院における小児在宅人工呼吸器患者についての現状と課題
水野賀史、大下裕法、杉本六希、佐々木智章、相場佳織、杉本真里、戸川貴夫、
竹内 幸、幸脇正典、小山典久
第 56 回日本未熟児新生児学会・学術集会(東京)2011.11.13~15
31. 未熟児貧血に対する輸血トリガー値の国際比較
小山典久、高橋幸博、伊藤 進、田村正徳
第 56 回日本未熟児新生児学会・学術集会(東京)2011.11.13~15
32. Emanuel 症候群3例の検討
慶田喜孝、佐々木智章、水野賀史、杉本真里、戸川貴夫、幸脇正典、小山典久
第 56 回日本未熟児新生児学会・学術集会(東京)2011.11.13~15
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33. 出生前診断と倫理
西山久美子、伊佐早ゆかり、小川 亮、梶川大悟、阪上美寿々、杉本六希、
西山久美子、俣野美雪、松尾康司、宮路尚子、山﨑 晋
第 56 回日本未熟児新生児学会(東京)2011.11.13~15
座長
1. 緊急の輸血・交換輸血に必要な血液は手に入るのか?
小山典久
第 13 回新生児呼吸療法モニタリングフォーラム(大町)2011.2.17
2. 早産児
小山典久
第 56 回日本未熟児新生児学会・学術集会(東京)2011.11.15
3. E ポスター5
小山典久
第 47 回周産期・新生児医学会(札幌)2011.7.11
4. 血小板
小山典久
第 21 回日本産婦人科・新生児血液学会(大阪)2011.6
5. 小児てんかんの新しい治療戦略
小山典久
第 158 回東三河小児科医会学術講演会(豊橋)2011.9.24
講演
1. 痙攣と遷延する意識障害を示した患者さんから得られた教訓
小山典久
豊橋薬剤師会講演会(豊橋)2011.3.17
2. 豊橋市民病院小児科における在宅医療患者の実態
小山典久
東三河地区臨床懇談会(愛知県保険医協会東三河地区主催)(豊橋)2011.6.30
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論文
1. 黄疸(高ビリルビン血症)
小山典久
ペリネイタルケア 204-212 頁 2011
2. 急性期に縦隔リンパ節腫大を合併した川崎病の1例
川瀬恒哉、相場佳織、小山典久
小児感染免疫 23 巻 241-245 頁 2011
3. 早産児晩期循環不全
小山典久
小児内科 43 巻 1226-1230 頁 2011
4. 極低出生体重児176 例の 3 歳における発達予後
神谷 猛、森嶋直人、馬渡敬介、近藤真巳子、山本 実、幸脇正典、小山典久
愛知県理学療法学会誌 23 巻 5-9 頁 2011
5. Neurodevelopmental Outcomes at 18 Months' Corrected Age of Infants Born at 22
Weeks of Gestation
Tokio Sugiura,Masanori Kouwaki, Yasuko Togawa, Mari Sugimoto, Takao Togawa,
Norihisa Koyama
Neonatology 100 巻 228-232 頁 2011
6. 臍動脈カテーテルに関連した腹部大動脈血栓に対しrecombinant tissue plasminogen
activator (rt-PA)投与にて完全溶解が得られた一新生児例
戸川貴夫、花田光紗、佐々木智章、杉本真里、幸脇正典、小山典久
日本周産期・新生児医学会雑誌 47 巻868-872 頁 2011
7. 交換輸血
小山典久
周産期医学 41 巻 935-936 頁 2011
8. 新生児輸血療法
杉本真里、小山典久
周産期医学 41 巻 937-939 頁 2011