<方向転換動作のトレーニング> 評価ポイント€¦ ·...
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これまでのディスパッチで、様々なトレーニング方法や器具を紹介してきました。目的にあったトレーニングを行い、効果を確認するためには、トレーニングの「評価」が重要となります。評価の目的としては以下のような点が挙げられます。
今回は、ラダーを使った「スラロームジャンプ」を例に、目的に合わせたラダートレーニングの方法と、フォームや動きの評価ポイントについて紹介します。
体を1本の棒(または空気がしっかり入ったボール)になるようなイメージをします。膝や股関節のクッションを使いすぎず、接地時間を短くするように心がけましょう。背中が曲がっていたり、首が曲がっていたりすると地面からの反発が上手くもらえず、効率のよいジャンプができません。
スキーのスラロームのように、両足ジャンプ・両足着地でジグザグに移動するドリルです。ラダートレーニングの中でも比較的シンプルな動きですが、方向転換動作の強化につながる基本のドリルです。
<スラロームジャンプ>
素早い方向転換を意識してスラロームジャンプを行います。体をコントロールするための「アジリティ能力」が必要となり、方向転換時のバランスやパワーポジションなど、スムーズでパワフルな方向転換につなげる動作が重要です。また、スポーツ傷害を誘発する動作の改善も必要です。
まずは、ゆっくりとした動作で、自分がコントロールしやすいスピードから行いましょう。一つひとつの動作を丁寧に行うことが重要です。
様々なステップワークのトレーニングやジャンプトレーニングなど幅広い用途があるラダーですが、一つのドリルだけでも、どのような能力を伸ばしたいかによって評価ポイントが異なります。目標とするパフォーマンスとの関連性を考慮することで、普段のトレーニングへの意識づけも変わってくるのではないでしょうか。また、トレーニング器具は体に様々な刺激を与えるツールとして活用できます。(ディスパッチVol.102 2015年10月号参照) 様々な動きにチャレンジをして、トレーニングを楽しむ手段としても活用していただければと思います。
<方向転換動作のトレーニング>
速い動きを正確にコントロールしながら、スラロームジャンプを行います。ラダーを活用することで、ただ速い動きをするのではなく、動作の正確性や接地の仕方など神経系への刺激を与えることができます。
<フットワークのトレーニング>
高くジャンプしながら、スラロームジャンプを行います。<ジャンプ動作(爆発的パワー)のトレーニング>
1.トレーニング効果を評価する2.選手の課題を明らかにする3.目的に合ったトレーニングが実施できているかを評価する4.選手の動きやフォームを評価する
・接地時間(足が地面に着いている時間)・姿勢(着地時の姿勢、空中での姿勢)・タイミングのよい腕振り
評価ポイント
・姿勢 ・スムーズな動作 ・膝とつま先の向き など
次に動く方向へスムーズに体を動かすことがポイントです。頭の位置や姿勢など、バランスを崩す動作が起きていないかをチェックしてみましょう。また、接地時間や両足同時に接地ができているかなど、接地の「音」も評価の一つになります。
着地時の膝とつま先はなるべく同じ方向を向くようにしましょう。膝が内側を向いて、つま先が外を向くような動作(ニーイン・トゥーアウト)は膝への負担が大きくなります。
空中での姿勢は、次の着地動作に備えるためにも真っ直ぐに安定させ、体が前後左右にフラフラしないように注意します。姿勢が崩れやすい場合は、その場でのジャンプや縄跳びなど、移動を伴わないリズミカルなジャンプから練習してみましょう。
素早い身のこなしとリズミカルなジャンプが求められます。体がフラフラしていると次の動作を素早く行うことができません。正面から見て、体が左右に動き過ぎないようにしましょう。
膝から下の動きによって、つま先からキュッと着地してブレーキをかけてしまわないように注意しましょう。また、速く動かそうとしすぎて体に余計な力みが入らないようにしましょう。
・正確にマス目を移動できているか・体の余計なブレはないか・ブレーキ動作になっていないか
評価ポイント
評価ポイント
先月号では足関節捻挫の応急処置と保護期のアスリハについて紹介しました。今回は訓練前期、訓練後期、そして復帰期のアスリハについて解説します。
1.保護期 :2.訓練前期:3.訓練後期:4.復帰期 :
腫脹の除去、可動域改善可動域改善、筋力アップ運動協調性改善、巧緻性改善、筋力アップスピードアップ、瞬発力アップ、種目別シミュレーション
しゅちょう
こうちせい
今回紹介したアスリハは、どの競技にも通じるような基本的なメニューです。競技によっては、種目特性を踏まえたメニューも必要になってきますので、専門家に相談して進めるようにしてください。また、アスリハは必ず「患部外トレーニング」を同時進行で行います。例えば陸上長距離選手であれば、エアロバイクを漕いだり、プールで水中ウォーキングやトレ―ニングをして心肺機能が落ちないようにし、体幹トレーニングも同時に行っていくことが重要です。ケガをすると仲間との練習に参加できず、暗い気持ちになってしまうかもしれません。しかしそういう時こそ、「ケガをする前より強くなるんだ!」「強くするんだ!」という気持ちでアスリハに取り組んでください。
足関節周囲筋群の筋力が十分に戻ったら、歩行からジョギング、そしてランニングへと移行します。同時にラダートレーニングやニーベントウォークなどを行い、筋力だけでなく、足関節・膝関節・股関節がうまく連動するよう協調性の回復を図ります。また球技においては、基本的なフットワークトレーニングやサークル方向転換なども行います。これはスポーツ復帰をする上で非常に重要なポイントです。
<3.訓練後期>
いよいよチームに合流となる前には、競技動作に合わせたメニューを取り入れます。目安として、以下の動作をできるようにしましょう。ただし、いずれの動きもゆっくりと正確にできるようになってから徐々にスピードを上げていきます。これまでにディスパッチで紹介してきたSAQトレーニングは復帰期のトレーニングにも有効です。また、復帰期まではテーピングを行い再発予防に努めましょう。(テーピング方法はディスパッチVol.102 2015年10月号 ピックアップ参照)
・加速走(スピードを変化させる)・ダッシュ(直線→S字→ジグザグ→8の字)・ジャンプ、ホップ、バウンディング・方向転換(T字、Y字、四角)・10m四方での鬼ごっこ など
<4.復帰期>
その後、チェアウォークや座位でのカーフレイズから自体重カーフレイズなどで足関節周囲筋群、足趾伸筋群、屈筋群を鍛えます。また、アジリティディスクなどを使用して不安定な場所に立ち、バランスを取るトレーニングも取り入れます。
<2.訓練前期>
参考文献「アスレティックトレーナーテキストⅠ」財団法人日本体育協会 「実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル」 全日本病院出版会「スポーツアイシング」大修館書店「リハナビ」株式会社クレーマージャパン
捻挫をしてしまった後、足首を動かす運動を行わないと足関節の可動域が狭くなり、柔軟性や筋力の回復が困難になることがあります。腫れが引いたら継続してタオルギャザーなどの可動域訓練を行います。