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IT新戦略※の概要ー 社会全体のデジタル化に向けてー
令和元年6月内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室
※世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画
1IT新戦略策定の趣旨本年の4月末日をもって30年にわたった平成時代は幕を閉じた。一つの視点として、平成の間に我が国の社会経済の持続的発
展への制約・課題が顕在化したことは否めない。代表的な社会課題が少子高齢化による人口減少、そして労働力の不足であり、今後、人口縮減を前提としたパラダイムへのシフトが必要になっている。
テクノロジーの視点から平成時代を振り返ると、デジタル機器が広く社会全般に浸透した時代であった。誰もが手にするスマートフォンは、30年前のスーパーコンピュータの処理能力を凌駕しており、かつては最先端であったテクノロジーを手のひらの上で扱える時代となった。また、デジタル技術を用いた就業形態の多様化により、新たな労働需要の喚起や労働総生産性の向上がもたらされようとしている。
また本年は、我が国が初めてG20サミットの開催国となり、貿易・デジタル経済大臣会合では、「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT:Data Free Flow with Trust)」等が主要な論点となった。自動運転、健康・医療・介護、農業などのフィジカル空間のビジネスにおける一連の流れをエコシステムとしていくには、そのサイクルを循環するデータについての信頼性と円滑な流通体制の確保が不可欠である。もとより、インターネットには国境はなく、情報の自由な流通に関する国際的な議論の積み重ねがあるが、越境するデータ量とその流通の重要性の高まりを踏まえ、改めて国際的な整合性の確保が求められる。
平成12年(2000年)制定のIT基本法※1に遡ると、インターネット等を通じ、自由かつ安全に多様な情報を入手・共有・発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会の形成に関する基本理念や基本方針等が定められている。また、官民データ基本法※2では、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現が目的とされている。
令和元年(2019年)のIT新戦略においては、デジタル技術の恩恵を誰もが享受できるインクルーシブな「デジタル社会」の実現に向けた重点計画をとりまとめる。テクノロジーを漠然と受容することなく、社会実装を強く意識して、国民生活・経済活動の質を高めるのに能動的かつ積極的に活用し、産業競争力の強化にとどまらず社会課題の解決にまで役立てていくことを宣言するものである。
※1 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号) ※2 官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)
2INDEX
<総論>
1. 我が国におけるIT戦略の歩み
2. 政府CIO設置以降の主な取組・成果
3. デジタル化の普及状況
4. Society 5.0時代にふさわしいデジタル化の条件
5. IT新戦略の全体像
<各論>
6. 重点取組① 「世界を牽引する先駆的取組の、社会実装プロジェクト」
7. 重点取組② 「国民生活で便益を実感できる、データ利活用」
8. 重点取組③ 「我が国社会全体を通じた、デジタル・ガバメント」
9. 重点取組④ 「社会基盤の整備」
10.各府省庁が取り組む具体的施策の推進について
○ 昨年のIT戦略(平成30年)
○ IT新戦略(令和元年)• G20を軸とした国際対応(例:信頼性のある自由なデータ流通(DFFT))
• 社会全体のデジタル化(例:全省庁・全産業デジタル化、行政手続デジタル化)
• 社会実装&インフラ再構築(例:5Gと次世代信号・自動運転との連携)
• ITを活用した社会システムの抜本改革• デジタル・ガバメントの推進
詳細は、「IT政策大綱」
IT戦略の旧・新のポイント
31.我が国におけるIT戦略の歩み
超高速ネットワークインフラの整備
IT利活用の進化
国際競争を強く意識 我が国初のIT戦略 IT基盤の整備
IT利活用の進化 利用者の便益、
アジア各国との協調
データ利活用、デジタル・ガバメントの実現
府省庁横断的な課題に横串を通して取組を推進
BPR等を通じた政府自身の改革の推進
IT利活用の裾野拡大
データ利活用を通じた社会課題の解決
ITを活用した社会システムの抜本改革
デジタル・ガバメントの推進
全ての国民がIT・データ活用の便益を享受
※ 内閣法等の一部を改正する法律(平成25年法律第22号)
○ 我が国のIT戦略は平成13年の「e-Japan戦略」から始まり、主にインフラ整備とIT利活用を推進。○ その後、政府CIOの設置及び官民データ基本法の成立等により、「データ利活用」と「デジタル・ガバメント」を
戦略の新たな柱として推進。○ 今般のIT新戦略においては、「社会全体のデジタル化」に向けて、各種取組を加速させていく。
社会全体のデジタル化へ
e-Japan戦略Ⅱ(平成15年)
世界最先端IT国家創造宣言(平成25年)
世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画
(平成30年)IT新戦略
行政手続のデジタル化
デジタル手続法(令和元年)
G20を軸とした国際対応 社会全体のデジタル化 社会実装&インフラ再構築
IT基本法(平成12年)
e-Japan戦略(平成13年)
官民データ基本法(平成28年)
世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画
(平成29年)
内閣情報通信政策監(政府CIO)の法定設置
(平成25年)※
42.政府CIO設置以降の主な取組・成果
政府CIO法定設置
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
デジタル・ガバメント関連 データ利活用関連推進体制
標準ガイドライン策定(現デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン) 政府情報システムに係るコスト削減計画策定
国・地方IT化・BPR推進チーム発足 農地台帳・地図の全国一元的公開を開始
全府省で人事・給与システムの移行完了 年金業務システムの刷新、刷新後システムの一部稼働開始 子育てワンストップサービス実現に向けたアクションプログラム策定
行政手続等・行政保有データ棚卸結果公表 政府情報システム改革に大きな成果
・システム数約50%(1,450→719)の削減・運用コスト約30%(1,155億円)の削減見込み
行政で用いられる人名漢字等約6万文字の国際規格化
電子行政オープンデータ戦略策定
電子行政オープンデータ推進のためのロードマップ策定 パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針策定
政府標準利用規約(第1.0版)策定 データカタログサイト「DATA.GO.JP」運用開始 パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱策定 農業情報創成・流通促進戦略、標準化ロードマップ策定 官民ITS構想・ロードマップ策定
政府標準利用規約(第2.0版)策定 改正個人情報保護法成立 「新たなオープンデータの展開に向けて」策定
オープンデータ2.0策定 オープンデータ100公開 シェアリングエコノミー推進プログラム策定
オープンデータ基本指針策定 オープンデータ推奨データセット公開 オープンデータ官民ラウンドテーブル開催 オープンデータ取組済みの都道府県100%達成 データ流通・活用における情報銀行等の有効性について提言 シェア・ニッポン100(シェアリングエコノミー活用事例集)公開
日本版ITダッシュボード運用開始 政府情報システム改革ロードマップ策定
政府情報システムの棚卸結果公表政府CIO設置 政府CIO補佐官制度開始
「世界最先端IT国家創造宣言」決定
「世界最先端IT国家創造宣言」改定
eガバメント閣僚会議設置(現デジタル・ガバメント閣僚会議)
「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」策定
「デジタル・ガバメント実行計画」策定
「世界最先端IT国家創造宣言」改定
「世界最先端IT国家創造宣言」改定
官民データ活用推進基本法公布・施行
府省庁の縦割りを打破して「横串」を通し、着実な成果を積み重ね
各府省庁副CIO設置
府省庁が自発的に課題を認識し、
明確な目標を持って取組を進める動き
平成29年度
標準ガイドライン群の改定・追加拡充(クラウドサービス、本人確認、行政データ標準、文字活用、Webサイト等)
各府省ごとに中長期計画を策定 デジタル手続法成立(令和元年5月)
自動運転に係る制度整備大綱策定 地方における官民データ活用と情報化推進の事例集改訂 農業データ連携基盤(WAGRI)の本格稼働(平成31年4月)
「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」策定
「デジタル・ガバメント実行計画」改定
平成30年度~
○ 政府CIOがIT政策の統括者となり、府省庁の縦割りを打破して「横串」を通すことにより、政府情報システムの運用コストの削減やデータ利活用の促進など、着実な成果を積み重ねてきている。
53.デジタル化の普及状況
○ これまでのIT戦略及び政府CIOの下での各種取組の推進により、デジタル化が大きく進展。○ 一方で、今後目指す「社会全体のデジタル化」に向けては、更なる取組の強化が求められる。
OECD モバイルブロードバンド普及率(100人あたり、2016年)
出典:OECD Digital Economy Outlook 2017
米国日本
英国フランス
イタリアドイツ
カナダ
▶ 日本のモバイルブロードバンド普及率は世界第一位
▶ 就業層は9割がインターネットを利用、高齢層は5割を切る年齢階層別インターネットの利用状況
出典:総務省 平成30年版 情報通信白書
▶ ブロードバンド契約者のトラヒックはこの10年で10倍に日本のブロードバンド契約者の総トラヒック
▶ 政府の情報システム関係予算は、年々増加
情報システム関係予算の推移
5,965 5,972 6,447 6,580 7,168
0
2,000
4,000
6,000
8,000
(億円)
2015 2016 2017 2018 2019
出典:総務省 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(平成30年11月分)
これからの5G時代においても、世界一を維持できるか?
トラヒックの急増に耐えうるインフラの再構築が必要ではないか?
デジタル化の進展による格差が広がるのではないか?
行政の効率的なデジタル化に向けて、予算・調達の一元化が
必要ではないか?
64.Society 5.0時代にふさわしいデジタル化の条件
(1)国民の利便性を向上させる、デジタル化スマホ等により、国民は役所に出向かず、行政サービスを手のひらで完結 まずは、子育て、引越しから介護、死亡・相続等までの代表的な
ライフイベントに係る手続等のデジタル化
(2)効率化の追求を目指した、デジタル化行政運営の効率化、労働時間の短縮、事業活動の合理化に資する
BPR・システム改革国・地方電子化が、個人・企業への相乗効果で効率化が進む社会
(3)データの資源化と最大活用につながる、デジタル化機械判読性(machine-readable)・発見可能性(findable)がデータのAI分析の要件 クリアランス(認証)を確保し、企業間のデータ共有が進み、生産性向上に民間主体のデータ流通を前提に、国はその環境整備とオープンデータ化を推進
(4)安全・安心の追求を前提とした、デジタル化スマホからIoTセンサー普及へ。ネット接続機器は幾何級数的に増加生産性向上とチャレンジを支えるセキュリティの確保は、安全・安心
なデジタル社会の礎となる
(5)人にやさしい、デジタル化デジタル化により、取り残される人があってはならない。デジタル化は、
あくまでも安全・安心・豊かさという大目標達成のための手段活力のある社会に向け、デジタル・インクルーシブな環境を作り出す
○ デジタル化自体はあくまで手段であり、国民の利便性の飛躍的な向上と行政・民間の効率化につなげる。○ データを新たな資源として活用し、全ての国民が安全・安心に、デジタル化の恩恵を享受。○ そのため、Society 5.0時代にふさわしいデジタル化の条件を下記のとおり定める。
例えば、航空会社では、運賃のダイナミックプライシングや人員の最適配置に活用 ダイナミックマップ活用による自動運転やMaaS等の新産業の創出が可能に
75.IT新戦略の全体像国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できるデジタル社会の実現
世界を牽引する先駆的取組の、社会実装プロジェクト5Gと次世代信号・自動運転との連携による「先駆的社会インフラ網」の整備あらゆる担い手のための「スマート農林水産業」の実現
全国民のQOL向上のための「健康・医療・福祉分野のデータ活用」港湾の生産性革命を実現する「サイバーポート」
国民生活で便益を実感できる、データ利活用 「IT政策大綱」の実施:G20後の国際データ流通環境 「情報銀行、トラストサービス」等の信頼性向上のルール整備 「自動運転×MaaS」「国土交通データPF」等、官民データ連携
<地方と密接連携を要する取組> 「ローカル5G」による地域密着型の産業活性化 「テレワーク&シェアリング」等、デジタルデフォルトの柔軟な働き方
我が国社会全体を通じた、デジタル・ガバメント システム連携のためのAPI整備等、「デジタル手続法」の円滑施行 政府情報システムにおける「予算・調達の一元化」 健康保険証利用等、「マイナンバーカードの普及、利活用の推進等」
<地方と密接連携を要する取組> 「自治体ピッチ」によるAI等を活用したシステム等の共同利用の促進 「運転免許システムの合理化・高度化」による国民負担の軽減等
社会基盤の整備
基本的考え方
重点取組①
重点取組④
重点取組③重点取組②
国民の利便性を飛躍的に向上させ、国・地方・民間の効率化を徹底データを新たな資源として活用し、全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享受
基盤技術AI、セキュリティ対策
デジタル格差対策人材育成スタートアップ、
オープンイノベーション5G 等
インフラ再構築
公共
農林水産業
健康・医療・福祉
物流
Society 5.0時代にふさわしいデジタル化の条件
個別の重点取組
96.重点取組① 「世界を牽引する先駆的取組の、社会実装プロジェクト」
○ 国民一人ひとりがデジタル化の恩恵を実感できるよう、広範な分野における「社会実装プロジェクト」を推進。
農業分野データ連携基盤
健康・医療・福祉データ連携基盤
港湾分野データ連携基盤
営農システム
情報サービス
オープンデータ
・・・ ・・・ ・・・
地連
事業所
病院・薬局 NACCS
港湾管理システム
センサ・IoT情報等
アプリケーションレイヤ
プラットフォームレイヤ
インフラレイヤ
【取組】 ルール整備を通じたデータ利活用推進(AIサービス契約ガイドライン策定等)
連携基盤の機能強化
港湾の事業環境における生産性向上等
先駆的スマート農業による競争力強化等
利用者視点に立った効率的モビリティ・自動運転実現 自治体サービスの効率化を目した基盤提供 社会コスト低減と災害等対応力向上 地方インフラの抜本的改善による地域の安全・安心の向上
交通信号網とIoT/センサの共架による多様な都市サービスとの連携
5Gと交通信号との連携による
トラステッドメッシュネットの全国展開
データ連携基盤の構築から、社会実装へ
実現されるサービス
あらゆる担い手のためのスマート農林水産業
全国民のQOL向上のための健康関連データ活用
港湾の生産性革命を実現するサイバーポート 5Gと次世代信号・自動運転との連携による
「先駆的社会インフラ網」の整備 個人データと健康・医療等サービス実績を連携・活用
IoT・AI☓地域リソース型、高齢者生活支援サービス
通信・交通ネットワークの抜本的改善から、社会実装へ
港湾関連データ連携基盤を核としたサイバーポートの実現
世界最高水準の生産性・良好な労働環境を有するAIターミナルの実現
リスクの早期発見・予防、サービスの向上等
【社会課題】[農林水産]農林水産業の競争力強化のため、あらゆる生産者にとってデータ活用が可能となる環境整備が必要[健康・医療・福祉]超高齢社会に向けて、個人の健康情報の散在や個人の状況に合ったサービスの実現が課題[港湾]港湾において、情報流通を加速、これを利活用した生産性向上等の取組を進めるための環境整備が必要
[交通インフラ]全国で約20.8万基交差点に設置されている交通信号機の高度化[5G]高速大容量・低遅延・多数接続の5Gネットワークの早期の社会実装[自動運転]自動運転・モビリティサービスの更なる高度化
【期待される効果】
・・・オープンデータセンサ・
IoT等
運行システム
107.重点取組② 「国民生活で便益を実感できる、データ利活用」
○ 「デジタル時代の新たなIT政策大綱」に基づく、デジタル時代の国際競争に勝ち抜くための環境整備や、我が国発の「情報銀行」等の社会実装促進など、データの安全・安心な利用に向けた取組を推進。
関係各省によるルール整備や、民間団体による認定の仕組み等の取組が進んでいる情報銀行等の社会実装に向けた取組を加速させる。
国際的なデータ流通・活用とプライバシー保護の状況も踏まえたうえで、プラットフォーマーを巡る取引環境の透明性・公正性確保を図る制度化の検討を進める。
IT政策大綱に基づくデータを安全・安心に利用できる環境整備
信頼性向上のためのデータ流通・利活用ルールの整備
官民データ連携の促進
我が国発の「情報銀行」等の社会実装円滑なデータ流通のためのアーキテクチャとデータ構造の標準化の検討・ルール整備
プラットフォームサービス等に係るルール整備プラットフォームサービスにおけるデータポータビリティやAPI開放のルール、改ざんやなりすましを防止するトラストサービスに関する制度の在り方等の検討
情報銀行等におけるデータ流通
シェアリングエコノミーの更なる推進
データの利活用をめぐる利用者の不安や懸念が依然として解消されていない現状を踏まえ、パーソナルデータを安全・安心に流通・活用できる一層の環境整備を推進。
一定以上のスキルを取得したシェアワーカーを認証する制度を令和元年度に具体化し、令和2年度から認証を開始。
自動運転を含め、まち全体がデータ連携した新しい移動サービス(MaaS)が期待される中、MaaS事業者が必要とする情報を網羅するプラットフォームの検討などを進める。
出典:国土交通省「国土交通データプラットフォーム整備計画(原案)について」
国際的なデータ流通の枠組みの構築プライバシーやセキュリティ、知的財産権等に関する信頼を確保しながら、国際的に自由なデータ流通を促進。⇒ 「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT:Data Free
Flow with Trust)」のコンセプト実現のため、G20などの場を活用し、各国の共通認識を醸成。
個人情報の安全性確保国内における個人情報保護を更に確実なものとすると同時に、パーソナルデータを活用したイノベーションを促進する観点も踏まえ、また、国内事業者と海外事業者のイコール・フッティング確保のための域外適用やペナルティの在り方、越境移転に伴うリスクへの対応を検討。⇒ 個人情報保護法の運用と制度の見直しに係る検討を
進め、令和2年早期の法案提出を目指す。
重要産業のデータ管理の強化14の重要インフラ分野について、分野特性に応じた必要な情報セキュリティ対策を着実に実施し、継続的に改善。⇒ 本年5月に改定した「重要インフラにおける情報セキュ
リティ確保に係る安全基準等策定指針(第5版)」※
に沿って、関係省庁等が連携し、事業者へ浸透させる取組を促進。
産官学のインフラデータを連携し、3次元データ等が活用できる「国土交通データプラットフォーム(仮称)」の整備を推進。
※平成30年4月4日サイバーセキュリティ戦略本部決定。令和元年5月23日改定
118.重点取組③ 「我が国社会全体を通じた、デジタル・ガバメント」
デジタル技術を徹底的に活用した行政サービス改革
○ デジタル技術の徹底活用と、国と地方、官と民の枠を超えた行政サービスの見直しにより、デジタル社会に対応したデジタル・ガバメントを実現し、社会課題の解決、経済成長の実現を目指す。
デジタル手続法において明確化されたデジタル化3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)に基づき、デジタルを前提とした社会基盤の構築を推進。
政府情報システム予算・調達の一元化• 政府情報システムについて、内閣官房IT総合戦
略室の下、予算要求前から執行の段階までの年間を通じたプロジェクト管理を本年度から一部開始し、順次拡大を図る。また、デジタルインフラの整備及び運用に係る予算の一括要求・一括計上を来年度から順次開始。
• こうした取組を通じて、令和2年度時点での運用等経費及び整備経費のうちのシステム改修に係る経費を、令和7年度までに3割削減を目指す。
クラウドをはじめとした先進技術の更なる活用• 各府省は、クラウドサービスの利用を第一候補と
して、情報システムを導入する(クラウド・バイ・デフォルト原則)。
• クラウドサービスの安全性評価制度について、来年秋の全政府機関等での利用開始に向け、本年度中に実証を行いつつ、評価基準や制度の整備を行う。
国民にとって、「すぐ使えて」「簡単で」「便利な」行政サービスの実現手続のオンライン原則化、添付書面の撤廃、ワンストップサービス(子育て、引越し、介護、死亡・相続といったライフイベントに係る手続等)を推進。
住民サービスのフロント部分に加え、バックオフィスも含め、エンドツーエンドでIT化・BPRを徹底し、住民の利便性向上、行政の効率化、地域の諸課題の解決を目指す。
住民とのインターフェースのデジタル化マイナンバーカードの普及拡大に加え、マイナポータルの電子申請受付機能の活用に向けた地方公共団体への支援を実施。
システム等の共同利用複数団体による共同でのクラウド化を行う自治体クラウドについて、令和5年度末までに約1,100団体での導入を目標として推進。また令和元年中に、地方公共団体がシステム等を共同利用することを容易にする場「自治体ピッチ」を設ける。
地方の官民データ活用推進計画地方公共団体のデジタル化のために財政面を含めた支援を行い取組を促進し、令和2年度末までに全ての都道府県で計画策定を完了。
デジタル・ガバメントの実現を支える環境整備 地方公共団体のデジタル化
デジタル化3原則に基づく行政サービス
129.重点取組④ 「社会基盤の整備」
○ 将来にわたって全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享受できるための基盤作りとして、5Gによるインフラの再構築や高齢者などのデジタル弱者に対する各種支援策、人材育成等を推進する。
スマートフォンやIoT機器等の普及により急増するトラヒックに対応するため、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」を可能とする5Gの早期の全国エリア展開と産業利用を促進し、今後の新たなデジタル社会を支えるICT基盤を構築。
ローカル5G地域ニーズに応じて、様々な主体が柔軟に構築・利用可能となる5Gの制度整備
デジタル格差対策(人にやさしいデジタル化)5Gを軸としたインフラ再構築
5G環境の整備5Gのサービスを支える基地局や、光ファイバ等の情報インフラの整備を推進。
医療遠隔診療
ローカル5Gのイメージ
ワークプレイススマートファクトリ
人手不足解消建設現場遠隔作業 防災関連
河川等の監視
農林水産業自動農場管理
デジタル時代に対応した人材育成
スマートフォン等のICT機器・サービスの高齢者等向け相談機会を提供するデジタル活用支援員の仕組みについて、全国へ横展開。
地域で子供、障害者、高齢者等が、プログラミング等に触れる新たなコミュニティとしての地域ICTクラブについて、設置・運営のためのガイドラインを本年度末までに策定。 出典:総務省 平成31年度「地域ICTクラブ」地域実証事業説明会資料
2030年には12.4万人不足すると試算されるAI人材の確保に向けて、「AI戦略2019」に沿って、リテラシー教育やエキスパート教育による人材育成を推進。
「子供の力を最大限引き出す学び」を実現するため、遠隔教育やデジタル教科書等、学校・教育現場におけるICT環境の整備を一層促進。
出典:文部科学省「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(中間まとめ)」
遠隔教育の活用例
交通自動運転
1310.各府省庁が取り組む具体的施策の推進について
各府省庁CIO・副CIO及び政府CIOによるフォローアップの実施(四半期/年間)
デジタル・ガバメント実行計画 各府省中長期計画
○ デジタル化の進展を踏まえ、IT戦略に基づき府省庁が取組む具体的施策も多種多様な分野に裾野が拡大。○ 社会全体のデジタル化の実現に向けて、府省庁は自発的、迅速かつタイムリーにPDCAサイクルを推進する。
IT新戦略において各府省庁が取り組む全243の施策(重点的に講ずべき施策:159施策、その他の施策:84施策)
5Gと交通信号機との連携によるトラステッドメッシュネットの全国展開
いわゆる情報銀行やデータ取引市場等の実装に
向けた制度整備
健康・医療・介護等データの流通・利活用環境の実現
自動運転に係る実証プロジェクトの円滑・迅速な推進
スマートフードチェーンによる生産・流通改革
「自治体ピッチ」の実施、地方公共団体におけるAI・RPAなどの革新的
ビッグデータ処理技術の活用推進
国土交通データプラットフォーム整備
運転免許業務及び警察情報管理
システムの合理化・高度化
<具体的施策例>
デジタル・ガバメント実行計画及び各府省中長期計画と一体的に取組を推進
交通インフラ・
5G健康等
データ流通・利活用 自動運転
農水産業 インフラ・防災
地方 住民サービス
等
14【参考】 政府CIOによる情報通信政策の統理○ 内閣法において、政府全体のIT政策及び電子行政の推進の司令塔として、府省庁横断的な権限を有する内閣情報通信政策監
(政府CIO)を設置。さらに、本部員たる政府CIOに本部長(総理)から権限の一部委任がなされている。
第十六条 内閣官房に、内閣情報通信政策監一人を置く。2 内閣情報通信政策監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて第十二条第二項第一号から第六号までに掲げる事務のうち情報通信技術の活用による国民の利便性の向上及び行政運営の改善に関するものを統理する。
(1)内閣官房における権限(内閣法)
第十二条 内閣に、内閣官房を置く。2 内閣官房は、次に掲げる事務をつかさどる。一 閣議事項の整理その他内閣の庶務二 内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画
及び立案並びに総合調整に関する事務三 閣議に係る重要事項に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務
四 行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務
五 前三号に掲げるもののほか、行政各部の施策に関するその統一保持上必要な企画及び立案並びに総合調整に関する事務
六 内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務
(2)IT総合戦略本部における権限(IT基本法)(所掌事務等)第二十六条 本部は、次に掲げる事務(中略)をつかさどる。
一 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画(以下「重点計画」という。)を作成し、及びその実施を推進すること。
二 官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第八条第一項に規定する官民データ活用推進基本計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
三 前号に掲げるもののほか、官民データ活用推進基本法第二条第一項に規定する官民データ(以下この号において「官民データ」という。)の適正かつ効果的な活用の推進に関する施策で重要なものの企画に関する調査審議、施策の評価その他の官民データの適正かつ効果的な活用の推進に関する施策で重要なものの実施の推進及び総合調整に関すること。
四 前三号に掲げるもののほか、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策で重要なものの企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進すること。
2 第二十八条第一項に規定する本部長は、前項に規定する事務(高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策で重要なものの実施の推進に限る。)のうち次に掲げる事項に係るもの及び第三十一条第一項に規定する協力の求めに係る事務を第三十条第二項第二号に掲げる者をもって充てる同条第一項に規定する本部員に行わせることができる。一 府省横断的な計画の作成二 関係行政機関の経費の見積りの方針の作成三 施策の実施に関する指針の作成四 施策の評価
(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部員)第三十条 本部に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部員(以下「本部員」という。)を置く。2 本部員は、次に掲げる者をもって充てる。
一 本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣二 内閣情報通信政策監三 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し優れた識見を有する者のうちか
ら、内閣総理大臣が任命する者
(資料の提出その他の協力)第三十一条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体及び独立行政法人(中略)の長並びに特殊法人(中略)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。