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EEUU ににおおけけるる

自自動動車車のの IITT 化化のの取取りり組組みみ

22001144 年年 55 月月

日日本本貿貿易易振振興興機機構構((ジジェェトトロロ))

ブブリリュュッッセセルル事事務務所所

海海外外調調査査部部 欧欧州州ロロシシアア CCIISS 課課

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【免責条項】

本レポートで提供している情報は、ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。ジ

ェトロでは、できるだけ正確な情報の提供を心掛けておりますが、本レポートで提供した内容に

関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、ジェトロ及び執筆者は一切

の責任を負いかねますので、ご了承ください。

欧州では、自動車の自律型運転(自動運転)支援機能の開発に加え、自動車とインフラの

路車間通信(V2I:Vehicle to Infrastructure)、自動車と自動車の車車間通信(V2V:Vehicle

to Vehicle)などを利用した「協調型 ITS(Cooperative Intelligent Transport Service)」

技術の実用化に向けた動きが加速している。こうした交通分野における情報通信技術(ICT)

の活用は、渋滞緩和、交通事故削減、環境負荷の軽減、運転快適性の向上に寄与するだけ

でなく、自動車の新たな付加価値の創出、電子部品技術の自動車産業向け販売の拡大、ス

マートフォン等のアプリケーションサービス活用などの面で、新たなビジネスチャンスが

生まれると期待されている。そのため欧州委員会と EU 域内の関連ステークホルダーは、

ITS 技術関連の研究開発及び実証実験のプロジェクトに加え、欧州規格の策定に注力して

いる。

最近の動向としては、2014 年 2 月に協調型 ITS の第一次基本仕様が欧州規格として発行、

また 2014 年 4 月時点では、eCall(汎欧州自動緊急通報システム)関連法案の採択に向け、

欧州議会と理事会の間で交渉が進められている。本レポートでは、大きな市場創出が見込

まれる協調型 ITS 分野を中心に EU の取り組みを概説するとともに、欧州内の主な関連サ

ービスの普及状況を紹介する。

目次

1. EUにおける自動車の IT化の取り組みの動向 ........................................................... 1

2. EUにおける協調型 ITSの取り組みの動向 ................................................................ 3

3. 欧州における協調型 ITSサービスの普及状況 ........................................................... 8

4. 今後の動き ................................................................................................................... 9

禁無断転載

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1. EU における自動車の IT 化の取り組みの動向

EU は、2020 年までに交通事故死者数を半減、2050 年までには限りなくゼロにするという

目標を掲げている。これら交通安全目標を達成するための技術的な取り組みとして、自動車同

士や自動車と交通インフラ間の、リアルタイムでの双方向の情報のやり取りが重視されるよう

になっている。こうした自動車と自動車の車車間通信(V2V:Vehicle to Vehicle)や自動車と

交通インフラの路車間通信(V2I:Vehicle to Infrastructure)のコミュニケーションを含めた

システムは、「協調型 ITS」(以前の呼称は協調システム)と呼ばれている。

欧州委員会は、2008年 12月に発表した ITS行動計画(COM/2008/0886)1を踏まえ、2010年

7 月に ITS 指令(2010/40/EU Directive)2で法的枠組みを定めた後、その規定に従い、2010

年 12 月に ITSに関する政策決定の中心的プレイヤーとなる ITS委員会(欧州委員会及び加盟

国で構成)、2011年 5月に ITS諮問グループ3(欧州委員会及びステークホルダーで構成)を立

ち上げた。ITS 委員会は、ITS 諮問グループから寄せられた意見や要望を汲み取り、政策決定

に反映させることを目的としている。加えて、業界団体や関連企業などの幅広いステークホル

ダーで構成される官民プラットフォームの iMobility Forum(旧 eSafety Forum)が 2011年 4

月に発足し、主に関連する新技術の研究開発や実証実験の促進に取り組むこととなった4。

また、2011 年 2 月、欧州委員会は、ITS 指令の実施に関する作業プログラムを発表した5。

同プログラムは、2008年の ITS行動計画で分類された 6分野ごとの 24項目の行動計画に基づ

き、優先項目として 6項目を特定している(表 1、表 2を参照)。

表 1: EUの ITS行動計画における 24項目

1 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:52008DC0886 2http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32010L0040 3 http://ec.europa.eu/transport/themes/its/road/action_plan/its_advisory_group_en.htm 4 http://www.imobilitysupport.eu/imobility-forum 5 http://ec.europa.eu/transport/themes/its/road/action_plan/doc/c_2011_0289_en.pdf

Area 1 Area 2 Area 3 Area 4 Area 5 Area 6

道路交通デー

タの適正化

運輸貨物管理シ

ステムの継続性

道路安全及

びセキュリ

ティー

車両と交通

インフラの

統合

データ保護

と責任

欧州 ITC の

協調

1.1 EU 全域の

リアルタイム

交通情報

2.1 ITS サー

ビスの継続性

3.1 車 内 安

全システム

の促進

4.1 オープン

ソース車載

プラットフ

ォーム

5.1 データ

保護とセキ

ュリティー

6.1 EU ITS

協調に関す

る法的枠組

1.2 道路情報の

収集及び提供

2.2 貨物運輸及

びロジスティッ

クスのサービス

3.2 eCall:汎

欧州自動緊

急通報シス

テム

4.2 協 調 シ

ステムの開

発及び評価

5.2 車両の

安全システ

ムに関する

責任

6.2 ITSの投

資に対する

政策決定の

補助ツール

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(出所)欧州委員会の ITS行動計画に関するプレゼンテーション(2011年 4月)6より筆者作成

表 2:EUの ITS行動計画における優先 6項目の実施状況

優先項目名 委任法令の進捗状況

a EU全域のマルチモーダル行程プランナー コンサルテーション終了(2013年 10月)7

b EU全域のリアルタイム交通情報 コンサルテーション終了(2014年 3月)8

c 最低限の無料交通情報サービス 採択済み(2013年 5月)9

d E-Call(汎欧州自動緊急コールシステム) 採択済み(2012年 11月)10

e トラック駐車向け情報提供システム 採択済み(2013年 5月)11

f トラック駐車向け予約システム コンサルテーション終了(2012年 6月)12

(出所)欧州委員会の作業プログラム(2011年 2月)6及び同ウェブサイト13より筆者作成

欧州委員会は、2015年までに、表 2の優先 6項目を実施するための前提となる基本仕様を規

定した委任法令(Delegated Act)をそれぞれ採択することとしている。現在、最低限の無料交

通情報サービス、eCall(汎欧州自動緊急通報システム)、トラック駐車向け情報提供システム

の委任法令を採択し、EU全域のマルチモーダル行程プランナー、EU全域のリアルタイム交通

情報、トラック駐車向け予約システムについても準備を進めている。また、こうしたサービス

の普及促進を図るため、必要に応じて追加法令を作成するとしている。

欧州委員会は、特に人の生死に関わる eCall を重要項目として位置付け、2015 年 10 月まで

に同システムに対応したコールセンター等のインフラの整備を求める決定14及び新車への搭載

6 http://ec.europa.eu/transport/themes/its/road/events/doc/2011_04_04-state-of-play.pdf 7 http://ec.europa.eu/transport/media/consultations/2013-accesstraveldata_en.htm 8 http://ec.europa.eu/transport/themes/its/consultations/2014-03-14-rtti_en.htm 9 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32013R0886 10 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32013R0305 11 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32013R0885 12 http://ec.europa.eu/transport/modes/road/consultations/2012-06-08-secureparkingplaces_en.htm 13 http://ec.europa.eu/transport/themes/its/consultations/index_en.htm 14 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:52013PC0315

1.3 デジタル地

図向けの公開

データ

2.3 欧州 ITS の

フレームワー

ク・アーキテク

チャー

3.3 HMI(人

と機械の相

互作用)の規

制枠組み

4.3 V2X や

I2Xの通信コ

ミュニケー

ションの仕

6.3 ITSの公

的資金のガ

イドライン

1.4 最低限の無

料交通情報サ

ービス

2.4 電子式道路

通行料徴収シス

テム

3.4 交 通 弱

者に対する

影響

4.4 欧 州 標

準化のマン

デート

6.4 都 市

ITS の協調

プラットフ

ォーム

1.5 EU 全域の

マルチモーダ

ル行程プラン

ナー

3.5 ト ラ ッ

クの駐車ス

ペースの確

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義務化を求める規則15を提案した。現在、欧州議会と理事会で修正案に関する審議を行ってい

るが、2014年 3月 19日に両機関が前者の修正決定案の合意に至り、遅くとも 2017年 10月ま

でにインフラの整備を図ることとなった16。同合意案は、2014 年 4 月 15 日に欧州議会の本会

議で承認されたため、今後理事会で承認されれば正式に施行されることとなる17。しかし、後

者の新車への搭載義務化を求める規則案についてはトリオローグ(欧州委員会、欧州議会、理

事会の三者交渉)で合意が得られていない。欧州自動車業界は、準備期間が必要との理由から

義務化開始期日の延期を求めており18、今後理事会の審議結果次第では新車への搭載義務化も

当初案の 2015年 10月より遅れる公算が高くなっている19。

eCallの概要と法案を巡る動向

2. EU における協調型 ITS の取り組みの動向

(1)協調型 ITSとは

「協調型 ITS」の定義は様々だが、 欧州委員会は、V2Vや V2Iのコミュニケーションと定義

している。また、CEN/ETSI は ISO と同じ、「安全性、持続可能性、効率性、快適性の向上を

目的とした、ITS ステーション(インフラ/車両の通信機器を指す)の間の情報共有やコミュ

ニケーション」(ISO-17465-1)という定義を採用している。

協調型 ITSでは、主に下記の 3つのカテゴリーの通信技術が使われている。

クライアントサーバモデル: 主にモバイル機器の通信システムとして利用されてお

り、主なものに 2G、2.5G、3G、3.5G、4Gなどがある。

衛星通信や地上波通信モデル:衛生通信(GPS)や地上波通信のネットワークが利用

15 http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/;jsessionid=bJfWTN0BwJkkGJhBY31RSTkThDGQyVqp

W2mQd5h6KTLDV5Ck1Vxn!409812566?uri=CELEX:52013PC0316 16 http://ec.europa.eu/commission_2010-2014/kallas/headlines/news/2014/03/ecall_en.htm 17 http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-14-304_en.htm 18 http://www.acea.be/press-releases/article/press_release_industry_welcomes_life-saving_ecall_proposal 19 http://telematicsnews.info/2014/03/24/member-states-given-up-to-october-2017-to-get-ready-for-ecall_m5246/

eCall(汎欧州自動緊急通報システム)

自動車が事故にあった場合、場所や情報を自動通報する仕組み。

同システムにより、緊急通報を受けた後の対応のスピードが都市部で 40%、郊外で 50%

向上し、交通事故による死亡者数は 4%削減するとされている。

同システムの利用は無料

加盟国は、eCall を安価で効率的なやり方で整えることができる。例えば、コールセンタ

ーを民間団体が請け負うこともできる。

2014年 3月 19日の欧州議会と理事会の合意案は、同システムの新車への搭載義務化

を適用する 6ヵ月前には必要なインフラの整備を完了しておく必要があり、遅くとも

2017年 10月までには完了しなければならない、としている。同合意案は、2014年 4

月 15日に欧州議会の本会議で承認されたが、今後理事会から承認される必要がある。

新車への搭載義務化の開始期日について、欧州委員会と欧州議会は 2015年 10月にす

べきとの立場だが、理事会の合意が得られていない。自動車業界は準備期間が必要とし

ており、義務化開始期日が遅れる可能性が高い。

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されている。

ダイレクト通信モデル:V2Iや V2Vのように車と交通インフラ、車と車が直接繋が

る。EUは、IEEE802.11p(5.9GHzの周波数帯とした規格)をベースとして採用して

おり、約 300m~800mの距離でも双方向通信が可能。

協調型 ITSは、電子通行料(ETS)の支払い、リアルタイムでの交通情報の受信、(衝突回避

や警報などの)アクティブ・セーフティー・システム、事故時の eCall など多様な用途に活用

することができる。しかしながら、各サービスを享受するために各車載専用機器を設置するこ

とは、各サービスの垂直統合による分断化に繋がり、コスト負担の増加とサービスの普及を妨

げる要因になる(図 2を参照)。しかし、異なる通信方式を一括してまとめ、スマートフォンな

どのアプリケーション(応用ソフト)を通じて、こうしたサービスを使えば、利便性は高まる

(図 3を参照)。ただし、安全対策にかかわる通信サービスについてはファイヤーフォールなど

のセキュリティー措置を施すことが求められる。

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20

(2)協調型 ITSの標準化の動向

欧州委員会は、EU 域内の協調型 ITS におけるサービスの相互運用性確保のための標準化作

業を進めるため、2009 年に欧州標準化機関(欧州標準化委員会(CEN)及び欧州電気通信標

準化機構(ETSI))に対してマンデート(Mandate/453)を出し、協調型 ITSの基本仕様とな

る規格(最小限の基本規格:Minimum Set of Standards)を定めるよう要請した21。同マンデ

ートが当初設定した規格策定期限は 2012 年 7 月までとされていたが、その後延長され、CEN

TC278と ETSI TC ITSはようやく 2014年 2月 14日に第一次基本規格のパッケージ(いわゆ

る「リリース 1」)を欧州規格として発行した22(このリリース 1は 200件以上の規格をパッケ

ージとして扱う大量の文書のため、その一覧と内容については iMobility Forum活動グループ

の報告書「標準化ハンドブック 20」、CEN23及び ETSI24の発表資料を参照)。

現在、CEN/ETSIは、次に出すリリース 2の基本規格のパッケージの開発作業に取り掛かっ

ている。リリース 1 の基本規格は、安全対策、通信機能、セキュリティーなどの基本的要件を

定めたものだったが、次のパッケージは、より高度で複雑な道路状況を想定したもの、高いセ

20http://www.imobilitysupport.eu/library/imobility-support/its-deployment-deliverables/standardisation/deliverables-2/2385-d3-5a-standardisation-handbook/file 21 http://ec.europa.eu/enterprise/sectors/ict/files/standardisation_mandate_en.pdf 22 http://www.cencenelec.eu/News/Press_Releases/Pages/PR-2014-02.aspx 23 http://www.itsstandards.eu/index.php?option=com_content&view=article&id=47&Itemid=27 24 http://www.etsi.org/technologies-clusters/technologies/intelligent-transport/cooperative-its

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キュリティー設定などの追加的な機能を含んだものになるという。また、CEN/ETSI は、世界

の様々な地域で調和のとれた ITSの普及が図られるよう、国際標準化機構(ISO)、米国電気電

子学会(IEEE)、自動車技術会(SAE)と継続的に対話も行っている。

こうした欧州内の主要機関(欧州委員会やステークホルダー、欧州標準化機関など)からな

る「協調型 ITS」推進体制をまとめれば図 3のとおりとなる。

図 3:協調型 ITSを巡る欧州関係機関の関係図

(出所)欧州委員会の ICT標準化展開計画(2013)25及び同ウェブサイト26等より筆者作成

(3)EUにおける協調型 ITSの走行時の安全対策

走行時の安全対策として実施されているものは主に、先進運転支援システム(ADAS:

Advanced Driving Assistance System)、横滑り防止装置(ESP:Electronic Stability Program)、

アンチロック・ブレーキシステム(ABS:Antilock Brake System)、 先進ブレーキシステム

(AEBS:Advanced Electronic Brake System)などがある。しかし、協調型 ITSの繋がる機能

を利用することで、さらにきめ細かな安全対策を講じることが可能になる。

現在、ETSI の TC では、衝突までの接近度をステップ 1 からステップ 3 の段階に分けて規定

している。このうち、特に衝突 10 秒~2 秒前の状況を想定して、道路危険通知(RHS:Road

Hazard Signaling)、 縦方向の衝突リスクの警報(LCRW:Longitudinal Collision Risk

Warning)、 交差衝突リスクの警報(ICRW:Intersection Collision Risk Warning)の 3つの

安全機能が協調型 ITSによる衝突対策として想定されている(図 4を参照)。

25 http://ec.europa.eu/DocsRoom/documents/4122 26 http://ec.europa.eu/digital-agenda/en/rolling-plan-ict-standardisation

業界コンソーシアム

C2C-CC

EU研究開発基金のプロジェクト

(主に FP7、終了済みを含む)

欧州委員会

(ITS 委員会及び

ITS諮問委員会)

iMobility Forum

ETSI

TC ITS

CEN

TC 278

WG 16

ISO

TC 204

WG 18

・CVIS

・SAFESPOT

・COOPERS

・ComSafety2

大規模実証実験

・EuroFot

・Drive C2X

その他の標

準化機関

・SAE

・IEEE

・JISA

標準化マンデート(M/453)

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また、上記の 3つの安全機能が適用できる状況は、表 3のとおりにまとめることができる。

表 3:3つの安全機能が適用されるケース

ケース RHS LCRW ICRW

接近車両の通知 ○ ○ ○

走行スピードの遅い車両の通知 ○

前方静止中の車両の通知 ○ ○ ○

緊急ブレーキライトの通知 ○ ○

他の車両が(認可されていない)道路や場所を走行している場

合の通知 ○ ○

悪天候などの視界不良時の通知 ○

危険場所の通知 ○

交通状態の通知 ○ ○

工事場所の通知 ○ ○

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人の通知 ○ ○ ○

危険な車線変更の通知 ○

第三者からの衝突危険の警報 ○

(出所)iMobility Forumの協調型 ITSカタログ27より筆者作成

3. 欧州における協調型 ITS サービスの普及状況

現時点では、(前章で述べたような)協調型 ITSを活用した「アクティブ・セーフティー・シ

ステム」を導入している車両は市場で流通してない。 汎欧州版の eCallもまだ導入されていな

いが、同様の機能を持つ通信機器の利用は増えつつある。また、リアルタイムの交通情報やス

ピード警報などの機能を持つサービスを利用する車両も増えてきている。こうした背景には、

FM多重放送による交通情報サービス (RDS-TMS)や移動向けデジタル放送(DAB:Digital

Audio Broadcast)など、インフラ側の整備が進められていること、市販の車両に対応機器が

標準装備されていること、スマートフォンのアプリケーションでの利用が増えているなどの事

情がある。

2014年 1月、iMobility ForumのMonitoring Priority Systemsグループは、2010年~2012

年の期間を対象として、新しい技術の普及度について調査報告書を発表した。この調査は、協

調型 ITSに関わるサービスとして、eCall、リアルタイムトラベル交通情報(RTTI)、スピード

警報、ダイナミック交通管理、ダイナミックナビなどの機能に注目し、道路インフラ側の対応

状況、車両全体に占める普及割合を分析したものである。

同報告書によれば、欧州全体を繋ぐ TEN-T ネットワーク及び主要な都市部の道路ネットワー

クで、RDS-TMC に対応しているのは全体の約 20%~40%、DAB は約 10%弱である。特に英

国やイタリアの主要な道路インフラでは、こうした通信技術への対応は完了しているという。

また、EU28 ヵ国における車両への平均普及割合をみると、リアルタイムトラベル交通情報は

20%~40%、スピード警報は 1%~10%、ダイナミックナビは、標準装備が 5%~20%で、オプ

ション装備が 10%~40%となっている(表 4を参照)。

表 4:EU28ヵ国における協調型 ITSサービスの平均普及割合(2012年~2013年)

協調 ITSサービス 内容 普及割合

eCall 自動車で事故にあった場合、自動的にその場所や情報

について通報して助けを求めるシステム 0%

RTTI リアルタイムの交通情報を提供するシステム

(主に RDS-TMCや DAB などを利用)

RDS-TMC:

20%~40%

DAB:<1%

スピード警報 インフラ側が法定スピードを通知し、そのスピードを

超えて走行すると、警報を鳴らして知らせるシステム

標準装備

1%~10%

27 http://www.imobilitysupport.eu/library/imobility-support/its-deployment-deliverables/non-technical- deployment-issues-forum/2292-comesafety2-c-itssc02/file

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ダイナミック

交通管理

安全性や道路交通の利便性の向上を目的とし、VMS

(Variable Message Signs)を利用しつつ、スピード

の調整、車線やルートの切り替えを促すシステム(主

に RDS-TMCを利用)

ダイナミックナビ

TMC(Traffic Message Channel)を利用し、事故や

工事、閉鎖、渋滞などの交通状況を分析し、最適なル

ートを示すシステム

標準装備

5% ~ 20%

オプション

10~40%

(出所)iMobility Forumの調査報告書(2014年 1月)28より筆者作成

さらに、上記の協調型 ITSサービスは、スマートフォンのアプリケーションを通じても利用

されている。同調査報告書によれば、2013年 3月時点の EU域内の大手アプリ市場で販売され

ているアプリケーション29の数は、リアルタイム交通情報で 142件、スピード警報で 21件、ダ

イナミックナビで 9件、 eCallで 4件だった。2012年と比べて、2013年のスマートフォンの

アプリケーションのサービスの件数は増えている(表 5を参照)。

表 5:欧州で販売中の協調 ITSサービスのアプリケーションの数(2012年 3月/2013年 3月)

協調 ITSサービス

2012 年 3 月の

アプリケーシ

ョン数

2013年3月のア

プリケーション

e-Call − 4

RTTI 107 142

スピード警報 17 21

ダイナミック交通管理 − −

ダイナミックナビ 7 9

(出所)iMobility Forumの調査報告書(2014年 1月)28より筆者作成

4. 今後の動き

2014 年 2 月 12 日、欧州委員会は、CEN/ETSI が最初の基本仕様パッケージ(第一次欧州規

格)の作業を終えたことを受け、協調型 ITSに対する取り組みが加速しているとする発表を行

28 http://www.imobilitysupport.eu/library/imobility-support/its-deployment-deliverables/monitoring-priority-

systems/deliverables-3/2406-d3-1a-report-on-the-deployment-status-of-imobility-priority-systems/file 29 同報告書では Apple iTunes (英国)、Android Market, Android Zoom and Nokia Ovi Store (オランダ)

から得られたデータのみを用いている点に注意が必要である。

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った30。同プレスリリースでは、協調型 ITS の最も中核的なコンセプトともいえる「協調型自

動車(コネクテッドカー)」については、2015年中に市場導入が始まるとしている。

一方、2014年 3月 15日に開催された ITSソリューションの利点の促進を図るための EUプ

ロジェクト(iMobility Challenge)において、欧州委員会は、上記第一次欧州規格策定の他に、

新車に対する eCall 搭載の義務化、スマートシティ(コミュニティ)の促進に向けたイノベー

ション・パートナーシップ、Horizon2020 による関連技術への支援などによって市場における

更なる普及を図っていく方針を表明した31。また、欧州自動車・同部品業界は、各社による様々

な最新技術の展示機会となった同イベントにおいて、この分野の技術が既に成熟しつつあり市

場への浸透が始まっているとし、更なる普及にはエンドユーザーのニーズや受容可能性が課題

となると強調した。すなわち、ITS が提供するデータを消費者が利用しやすく容易に理解でき

るものとすること、協調型車両の価格の適正化やドライバーの責任の明確化やデータ保護性の

整備などを今後の重要課題としてあげた。

ITS関連の市場が今後急速に伸びるとする予測は、最近数多く出ている。米経営コンサルティ

ングの Booz&Co(現 strategy&)は、コネクテッドカーのグローバル市場が 2015 年~2020

年までの間で 4倍に増え、11.3兆ドルに達するとの予測を発表した。一方、スペインの通信事

業者大手 Telefonicaの報告書32は、2022年までに自動車用 ITS機器のグローバル市場(通信機

器車載のコネクテドカーは 7億台、後付け機器は 11億台)は 18億台に達し、関連市場規模は

2022年までに 42.2兆ドルになると予測している。また、ナビゲーションシステムだけでなく、

保険料金測定システム、盗難車発見システムなどの新しいサービスが生まれることも確実視さ

れている。

今後は、自動車・同部品業界だけでなく、電子部品業界や通信業界を巻き込んだ、自動車用

ITS機器を巡るグローバルな競争が激しくなると予想される。その意味で、CEN/ETSI の協調

ITS の欧州標準化の動向に加え、欧州と米国、日本(及び/又はアジア地域)との規制枠組み

や標準の国際調和に向けた動き、そして各社メーカーと通信会社の新しいサービスの動向につ

いて引き続き注目する必要がある。

30 http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-14-105_en.htm 31 http://www.imobilitysupport.eu/component/easyblog/entry/press-release-imobility-challenge-latest-technologies-

need-smart-deployment?Itemid=101 32 http://websrvc.net/2013/telefonica/Telefonica%20Digital_Connected_Car2013_Full_Report_English.pdf

Page 13: IT在歐盟汽車的努力(Jetro 2014-May).pdf

アンケート返送先 FAX: 03-3587-2485

e-mail:[email protected]

日本貿易振興機構 海外調査部 欧州ロシア CIS課宛

● ジェトロアンケート ●

調査タイトル: EUにおける自動車のIT化の取り組み

今般、ジェトロでは、標記調査を実施いたしました。報告書をお読みになった感想につ

いて、是非アンケートにご協力をお願い致します。今後の調査テーマ選定などの参考にさ

せていただきます。

■質問1:今回、本報告書での内容について、どのように思われましたでしょうか?(○

をひとつ)

4:役に立った 3:まあ役に立った 2:あまり役に立たなかった 1:役に立たなかった

■質問2:①使用用途、②上記のように判断された理由、③その他、本報告書に関するご

感想をご記入下さい。

■質問3:今後のジェトロの調査テーマについてご希望等がございましたら、ご記入願い

ます。

■お客様の会社名等をご記入ください。(任意記入)

ご所属

□企業・団体

□個人

会社・団体名

部署名

※ご提供頂いたお客様の情報については、ジェトロ個人情報保護方針(http://www.jetro.go.jp/privacy/)に基づき、

適正に管理運用させていただきます。また、上記のアンケートにご記載いただいた内容については、ジェトロの事業活

動の評価及び業務改善、事業フォローアップのために利用いたします。

~ご協力有難うございました~