jr北海道の発足:国鉄の分割・民営化motonr.net/yobikaketai/wp/wp-content/uploads/2017/08/teturo-2.pdf ·...
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• 6つの旅客会社と1つの貨物会社
• 規制緩和と経営責任の明確化
• 国鉄長期債務の処理(→国鉄清算事業団)
• 3島会社に「経営安定基金」
JR北海道は:6,822億円(←国鉄清算事業団)
• 職員数の適正化(→国鉄清算事業団)
• 旅客サービスの維持 など
Ⅱ-1.1 JR北海道の発足:国鉄の分割・民営化
昭和62年 4月 1日国鉄が解体(分割・民営化)され、JR北海道が誕生した。
国鉄はかつて「不沈艦」と呼ばれた。しかし、最後は国民の支持や信頼は地に落ちた状態だった。赤字の垂れ流し、毎年の運賃値上げ、スト、サービス品質の低下、不毛な労使関係……。経営には自主性がなく責任も不明確だった。 法律に基づき投資をするにも運輸相(当時)の許可がいった。国鉄総裁は鉄道の現場ではなく、国会に通うことが仕事。「親方・日の丸」のおごりがあったことも否定できない。時代の変化に対応できない組織は沈没するしかな
かった。……
冨田哲郎・JR東日本社長「地域特性に合わせた交通を」
毎日新聞 2017年3月31日 東京朝刊論点「国鉄民営化から30年」から
国鉄民営化で予測できなかった ?
• 平成2(1990)年9月17日:「中期経営計画」発表5年計画(目標は総合サービス産業の構築)
• 平成6(1994)年6月1日:Safety First 運動展開• 平成7(1995)年1月27日:21世紀への経営ビジョン「ステップアップ21」発表
7年計画(目標は純民間企業への移行に向けて安定的に配当可能な経営体質を実現)• 平成14(2002)年3月27日:JR北海道グループ中期経営計画「スクラムチャレンジ21」発表
3年計画:旅と暮らしに経営資源を集中→本業から副業への転換• 平成17(2005)年3月31日:JR北海道グループ中期経営計画「スクラムチャレンジ2006」発表
2年計画:企業の社会的責任の遂行を追加→環境問題への取り組み• 平成19(2007)年6月13日:JR北海道グループ中期経営計画「スクラムチャレンジ2011」発表
5年計画(目標は約100億円の収益改善)• 平成24(2012)年11月14日:JR北海道グループ「中期経営計画2016」
5年計画:お客様の安全を最優先とするJR北海道グループになる
Ⅱ-1.2 JR北海道の経営計画
JR北海道は、完全民営化のあかしともいえる株式上場に展望を開こうと努力する。
過疎地が多い北海道は、中距離大量輸送機関という鉄道本来の特性は活かしにくく、鉄道部門での営業損失を転換するのは、将来も不可能に近いのです。こうした状況を放置しておけば、経営状況は悪化こそすれ好転することは難しい。
そこで、収益性の高い開発・関連事業にウェイトを置くとともに社員もそうした部門に重点的にシフトして、営業力を強化していかなければならない。
もちろん鉄道事業をないがしろにするわけではなく、札幌圏の列車増発や都市間の運転時間短縮に代表される輸送改善で需要を創出していきたい。
小池昭夫氏「中期経営計画」についての談話(JR北海道20年のあゆみ」から)
海峡線開業(青函トンネル開通)、青函連絡船廃止 1988(平成元).3.13
• 特定地方交通線のバス転換(平成元年までに完了)• 社員数削減、電車化、ワンマン運転・駅の無人化、簡易委託• 札幌圏の列車増発、都市間輸送の高速化(振り子式新型特急)• 空港アクセスの改善(H4.7.1 新千歳空港駅開業)• 都市間バス路線の充実
• デンマーク国鉄と姉妹鉄道締結(H2.10.16)• 雪氷対策(除雪車) DMV発表(Dual Mode Vehicle H15.1.28)• 不動産開発、ホテル事業の展開、リゾート列車の営業
• JRタワー(商業施設)オープン(H14.3.6)• エコロジー委員会設置(H16.3.15)
Ⅱ-1.3 JR北海道の事業展開
省エネ車両数と省エネ車両率の推移
JR北海道「環境報告書 2016 」から
JR北海道は、経営改善、輸送力強化、環境保全にも取り組んでいる。
• バブルの崩壊→経営安定基金運用益の減少
→経営安定基金の積み増し 2,200億円(2011年度)、
追加支援 1,200億円(2016年度)→更なる国の補填は厳しい
• 高速道路網などの整備→客離れ対策への投資
• 札幌圏外の生産年齢人口の減少→通学・通勤者数が減少
• 鉄道施設・橋梁の老朽化→維持・修繕費の増加
• 相次ぐ列車トラブル→安全対策費の増加
Ⅱ-2.1 経営環境の変化
「経営安定基金」の運用益は発足当初の半分以下に落ち込んでいる。
JR北海道 「持続可能な交通体系の在り方について」から
鉄道運輸収入、経常損益等の推移
Ⅱ-2.2 災害の打撃
現在、日高線(鵡川-様似間)、根室線(東鹿越-新得間)はバスによる代行輸送。
年 月/日 被 害 等 の 状 況
S.63 12/16~24 十勝岳噴火の影響、列車運休124本
H .4 1/15 釧路沖地震、列車運休1,144本
H .5 7/12 北海道南西沖地震、列車運休275本
H .6 2/2~3 道央地区豪雪、列車運休456本
H.11 8/4~13 猛暑により函館線札幌~苗穂間で軌道張り出しが発生。散水列車を急遽制作して札幌圏で散水
H.158/ 9 台風10号の影響により日高線で土砂流入、橋脚流失等
9/26 十勝沖地震、根室本線直別駅構内を走行中の特急まりも(8両編成)の先頭から2両目の車両が脱線
H.16
8/27~31 台風16号(8/30上陸)。30日全道的な暴風雨で運休108本、20,500名に影響
9/8 台風18号 約400ヵ所で倒木・信号ケーブル切断等、道内全線で列車の運転を見合わせ
12/5 強風と湿性の雪のため日高線、石勝線、千歳線、室蘭線で運転見合わせ、運休31本、11,600名に影響
12/17 函館線小樽築港駅~朝里駅間で高波により土砂の一部が流出、運休126本、20,500名に影響
H.17 1/14~18 全道的に記録的暴風雪、北見駅が大雪で埋まるなど交通マヒ、運休824本、127,150名に影響
H.282/12 留萌線(留萌-増毛間)気温上昇(雪崩の恐れ)のため終日運転見合わせ
8/10~9/1 台風5号(10日)、台風6号(16日)、台風7号(17日)、台風11号(21日)、台風9号(23日)が影響、7号、11号、9号の3本が上陸。日高線(鵡川―様似間)、石北線(上川―白滝間)等で甚大な被害
• 北海道は台風直撃は少ないが、台風から熱帯低気圧に変わった後の影響を受けやすい。
• 冬は暴風雪、大雪、雪崩など。春は融雪洪水、暴風雨など。夏は大雨など。秋は台風、暴風雨、竜巻などに見舞われる。
• 北海道における暴風雪の被害は、台風や暴風雨の2倍を超えると言われる。
参考:JR北海道「JR北海道20年のあゆみ」、「プレスリリース」
Ⅱ-2.3 事故・不祥事の頻発
度重なる車両トラブル、検査データの改ざんの発覚等により、国交省の「特別保安監査」を受けるなど、「輸送の安全に関する事業改善命令」が発せられた。
① 安全投資と修繕を最優先して推進する。
② 老朽対策の計画は、ライフサイクルおよび予防保全の考え方に基づき行う。
③ 修繕は、予防保全を主眼とし、施設の規模や老朽進度等を勘案したベースとなる修繕費の考え方に基づき計画する。
④ メンテナンスについては、検査機器等の整備を図り、検査・保守業務の機械化およびデータ管理のシステム化を進める。
⑤ 現場からの提案や当面する緊急性を踏まえ、これまで先送りされてきた施設等に対し必要な設備投資や修繕を実施する。
⑥ 安全に関する設備の整備においては、工事費の目標設定や契約内容を見直し、設備のスリム化や現状に即したコストダウンを実現する。
⑦ 限りある資金で安全レベルを維持していくため、安全管理の可能な範囲における列車の最高速度制限や使用頻度の少ない
設備、利用が著しく少ない列車運行や駅の見直しなど「選択と集中」を進める。
5年間の計画”推進に向けた基本的考え方• S.63.5.12 列車火災(石北線白滝駅特急オホーツク6号)• H.元.12.13 幌向~豊幌間でホワイトアロー6号が大型トレーラー と衝突・脱線転覆• H.6. 2.22 根室線で特急おおぞら10号が脱線転覆• H.12.7.14 根室線尺別駅構内で普通列車が脱線• H.19.3. 1 石北線美幌~緋牛内間の踏切で普通列車が大型ト レーラーと衝突• H.23.5.27 JR石勝線 スーパーおおぞら脱線・トンネル内火災• 相次ぐ貨物列車の脱線事故等…H.24.4 (江差線・木古内町)、 H.25.8 (函館線・八雲町)、H.25.9 (函館線・大沼駅)• H.27.3.20 「安全投資と修繕に関する5年間の計画」発表
JR北海道「安全投資と修繕に関する5年間の計画」から
• 通学・通勤利用者数の減少
• マイカー利用の増大
郊外型ショッピングセンターの進出
駅周辺(中心市街地)の空洞化
• インターネットモール(電子商店街)
• 宅配事業の普及
Ⅱ-3.1 人口の減少とライフスタイルの変化
「事 由(背景) 」に示したが、改めて、鉄道利用が減少する原因を探る。その第1は、鉄路に対するニーズが全体的に低下している。
国内のインターネットモール
楽天市場 yahoo!ショッピング
Amazon(アマゾン) ……
特 徴 日本最大級のモール
日本最大級のモール
書籍関連やDVD関連が充実
運営開始 1997年 5月 1999年 9月 2000年 11月
総商品数 1億点以上 1億点以上 5,000万点以上
従業地・通学地別人口、15歳以上就業者数及び通学者数(単位:千人)
平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年
通勤・通学者 2,601 2,797 2,700 2,575 2,435 2,293
通勤者 2,201 2419 2,364 2,282 2,168 2,066
通学者 400 378 336 293 274 237
出典:上表「国勢調査」。下表「ウィキペデイア」
• 路線の縮小
• 廃止駅・無人化駅の増加、運行のワンマン化推進
無人駅333(平成28年6月1日現在:有人駅102)
• 緩行列車本数の縮減
• 車両の老朽化
• 接続(乗り換え)時間の不調整(緩・急との間)
• 接続(乗り換え)時間の不調整(他の交通機関との間)
Ⅱ-3.2 利便性の低下
第2は、乗り心地やサービスの低下が他の移動手段に切り替える誘因となった。
JR北海道が利用者1人以下の51駅を順次廃止か
線 区 該 当 駅
函館本線 東山、姫川、桂川、伊納、(北豊津、蕨岱)
千歳線 美々
日高線 鵜苫、西様似
札沼線 豊ヶ岡、鶴沼、於札内、南下徳富、下徳富
留萌線北一已、真布、峠下、幌糠、藤山、礼受、阿分、舎熊、朱文別、箸別
根室線 島ノ下、東鹿越、羽帯、稲士別、上厚内、尺別、初田牛
石北線 生野
釧網線 細岡、五十石、南弟子屈、南斜里
宗谷線北比布、塩狩、北剣淵、日進、北星、南美深、紋穂内、豊清水、天塩川温泉、筬島、歌内、糠南、雄信内、安牛、南幌延、上幌延、下沼
右表出典:「JR北海道廃線廃止のブログ」など北豊津駅、蕨岱駅は10人以下オレンジ色は平成29年3月3日(金)に廃止(3/4ダイヤ改正)青色は2016.12.5の路線廃止に伴い廃止
• マイカーの普及
近距離利用者への影響
• 航空割引料金の設定
遠距離利用者への影響
• 高速道路の充実
マイカー・高速バスによる中距離利用者への影響
トラック輸送シフトによる貨物輸送への影響
Ⅱ-3.3 代替手段との競合
併せて、利便性や格安観のある移動手段が整備されてきていることが大きい。
距離帯別代表交通機関別分担率(年間)
国交省「第5回(2010年) 幹線旅客流動の実態」から