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Kobe University Repository : Kernel タイトル Title グルコースとアンモニアの着色反応に関する研究 : 酸性亜硫酸ソーダ の着色反応に対する影響(Studies on Browing Reaction Between Glucose and Ammonia : The effects of adding of sodium bisulfite on the coloring reaction) 著者 Author(s) 河本, 正彦 / 藤井, / 土田, 広信 掲載誌・巻号・ページ Citation 兵庫農科大學研究報告. 農芸化学編,5(2):124-128 刊行日 Issue date 1962-12 資源タイプ Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 版区分 Resource Version publisher 権利 Rights DOI JaLCDOI 10.24546/81008226 URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81008226 PDF issue: 2019-06-27

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Kobe University Repository : Kernel

タイトルTit le

グルコースとアンモニアの着色反応に関する研究 : 酸性亜硫酸ソーダの着色反応に対する影響(Studies on Browing React ion BetweenGlucose and Ammonia : The effects of adding of sodium bisulfite onthe coloring react ion)

著者Author(s) 河本, 正彦 / 藤井, 聡 / 土田, 広信

掲載誌・巻号・ページCitat ion 兵庫農科大學研究報告. 農芸化学編,5(2):124-128

刊行日Issue date 1962-12

資源タイプResource Type Departmental Bullet in Paper / 紀要論文

版区分Resource Version publisher

権利Rights

DOI

JaLCDOI 10.24546/81008226

URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81008226

PDF issue: 2019-06-27

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クボルコースとアンモニアの着色反応に関する研究

酸性亜硫酸ソーダの着色反応に対する影響

河本正彦・藤井 聡 ・土田広信

Studies on Browing Reaction Between Glucose and Ammonia

The effects of adding of sodium bisulfite on the coloring reaction

Masahiko KOMOTO, Satoshi FUJII and Hironobu TSUCHIDA

還元糖とアミン,アミノ酸,蛋白質等の聞に起る褐変

反応の研究は MAILLARDに始まり,それ以後,多くの

研究者によって続けられてきた.これらの研究には,そ

れぞれ種々の組成のモデル系に於て反応機構を解明する

という方法を採用しているものが多い.このうちグルコ

ースとアンモニアの間の着色反応もすでに LING1)によ

って研究されており,また著者らも二三の報告2),3)を行

った.

褐変反応を阻害する物質としては,ヒドラジン~メ

ドン,メルカプタン, シアン塩,酸性亜硫酸塩等が知ら

れており,これらのうちでは,酸性亜硫酸ソーダについ

ての報告が最も多い. たとえば BARNES4)はグルコー

ス・グリシン反応水溶液に着色の阻害剤として,酸性亙

硫酸ソーダ,或いはグルコース・酸性亙硫酸ソーダ附加

化合物を加えると,一定の着色皮に達する時間は阻害剤

を加えない場合が65時間であるのに比べそれぞれ 260,

200時間を必要とすることを報告し, また FRIEDMAN

らのは種々のアミノ酸・グルコース反応水溶液に酸性亜

硫酸ソーダを添加すれば着色は完全に阻害されると述べ

ている.

これらの報告はそれぞれ反応条件が異るため,酸性亜

硫酸塩による着色の阻害の程度はまちまちであるが,こ

の阻害作用に対して酸性亜硫酸ソーダは還元糖と附加化

合物を作り,そのため還元絡のカノレボユノレ基が不活性に

なるという説明がある.事実 INGLEs6)は酸性亜硫酸ソ

ーダとクツレコースを水溶液中で7日間 370Cに放置して,

クツレコースが酸性亜硫酸砲の添加によって,どのよう

に変化するかという問題については, 5%グルコース・

0,5%蛋白質加水分解物の反応水溶液に 2%の酸性亜硫

酸塩を作用させれば着色は完全に抑制されるが生ずる蛍

光物質は 5倍になるという FRIEDMANらの報告5)があ

り,また ENGLIS9)はグルコースを pH6.4-6.6で燐

酸ーカリウムと共にオートクレーヴ中で加熱すればフラ

クトースやその他のケトースを生ずるが,その程度は少

量の酸性亜硫酸ソーダを添加しても変らないことを報告

している.

また亜硫酸塩についての報告もある. WERLEら10)は

グルコースを苛性ソーダと共に熔融した後,蒸溜すると

アセトールが溜出してくるが,この場合に亜硫酸ソーダ

を添加するとアセトーノレの生成量が非常に増大すること

を指摘している.また,波粉加水分解液を亜硫酸アンモ

ンと共に加圧下で加熱すれば,タンニンによって沈澱し

ない良好なカラメルを製造し得るという報告11)もある.

そこで著者らは,グルコース・アンモニアの反応系に

酸性亜硫酸ソーダを添加した場合の着色の阻害,グルコ

ースの関裂などを検討し,あわせてグルコースがアルカ

リ性水溶液中で転移して生ずるフラクトース及びマンノ

ースについても同様の検討を行い二三の知見を得た.

備この研究に当り終始御指導を受けた本学名誉教授浜

口栄次郎先生に対し深甚の謝意を表する.

実 験

b-glycero-D -ido-l, 2, 3, 4, 5, 6-hexahydroxyhexy!- ペーパークロマトグラフイー(以下PPCと略記する)

Na-sulfonateを調製しており, また,アミン(たとえ 使用炉紙は東洋iP紙, No.50上昇法によった.

ばアリニン)の酸性亜硫酸塩をグルコースに作用させて, 展開溶媒:1. n-ブタノール/酢酸/水=4:1 : l(V/V)

D -glycero-D-ido-1 -ani1ino -2, 3, 4, 5, 6 -pentahyd・ 2.アセトン/クロロホルム/水/28必アンモニア水=30:

roxy! ani1inium Sufonate7) を合成している. 更に 4: 5 :0.2 (V/V)

彼8)はグルコースに等モルの酸性亜硫酸、ノーダを作用さ 発色試薬1.パウリー試薬12) a.スノレファニル酸 1

せて g!ucose-6-su!fateも合成している gをN-HC!~乙溶解して全容を 100m! とする. b・5%

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XII. 19G2 h-、引

ιu " .1-、

1.0

C

" hr~ .

7

Heating Time

Fig. 1. Effect by Adding of Sodium Bisul-自teon Glucose-Ammonia-Coloring Reaction During Heating

Heating Temp. at 50"C at 460 m}l-

A 5% Glucose-NH, (mol ratio. 1/5) B 5% Glucose-NH,. NaH荻)3(1/5/2)

NaNO,水溶液司 位JIJがlに aを 1. bを 5の;則合で混

f守する.

2. ベンヂヂン試薬13), 0.5g のベンヂヂン及び 10gの

トリクロル酢散を 100mlの tj- ブタノールに院解する.

比色 反応溶液をそのま』の濃度で光屯比色計 (りf藤

超w技研究所製)で 430mμ にjたける吸光度を測定した.

試料 グノレ コース,フラクトース及びマンノースを,

それぞれ 20g秤澄し-:二れた7kでj溶解して loomlと

する. このうちから 2.5ml づっ肉厚試験~i~:に入れ.こ

れに所定置の28%アンモニア水‘或いは敵性ill'申fe骸ノー

ヲ溶放 (14.5g NaHSO,/50 ml. H,O) を )~Iえ 'f!! に水

で 10ml の際線までみたし術伐して所定力市Ii度tこI青

山時間加熱Lた. こうしてのられた反比、溶液を沢jiltまで

冷却して試料とした.

結果と考察

グル コース・アJ モュアー及びグルコ ース・アンモニア ・

敵性JlfI.硫倣ソ ーダの各7ki'#i伎を 500Cに長時間加jhiす

れば後 tr.の行色は抑制され,その終日寺I{Jな変化は*~ 1 図

の如くなる.:.(1色j立が E ~ 0. 2 にi主するのに前点ーではほ

" 2.511与問必'?fとするのに比べ後背では 6.5時間を必要

とし椴W,-I~疏散ノー グによる行色の阻害が蒋しい. グ

ルコースに対しアンモニアの民を一定にして,政十I:.illi崎

両主ソーダの添加1置な変えて. J Oooc-40分加熱した場介,

!:f~2 同の よ うにアンモニア/ゲルコース ・ モ Jレ比が 5 及

び3のと きもIμ]織に陰性副Me陛ノ ーグの添加需ーが噌える

に従司て,n色皮の急激な減少を示すが,両者ともに酸

利sllili仙i主ノ ーゲ/1/)レコ ース ・モノレ比が約 1.5になれば,

化 f戸編

E

1.。

0_う

。1.0 2.0 mol.rat1o ?O

NH3/Glucose (or Fructose) Mol. Roltio

Fig. 2. Effect of Adding of Various Amo-unts of Sodium Bisullite on Glucose (or Fructose) -Ammonia -Coloring Reaction

He:tting Condition in Boiling water Bath.

for 40 min., at 430 rnμ

A 5% Glucose-NH, (mol. ratio, 1/5) B : 5% Glucose-NH, (1/3) C 5% Fructose-NH, (1/5)

それ以上添加~:を増してもお色度はそれ程減少せず,ほ

" E=0.2 のところで一定になる.比絞;)ためにフ ラ

ヲトースを用いたーその持色皮は酸性五硫酸ソーダの添

加によって急激な減少を示したが,グルコ ースの助命よ

りも訂色l交は大であった.

しかしながら上の場合にはし、づれも試料の pHの影響

を考える必要がある.(アンモニア/酸性亜硫酸ソ ーダ/

グル コース ・モル比が 5 21の場合は pH8.9, 5:

1 : 1の場合は pH10.8, いづれも反応後)第 2図で

判明したように,アンモニア/グルコ ース ・モル比が 5

のとき も3のときも同様に,添加した酸性HT'硫酸ソ ーダ

の蚤;が酸性:HlHiJfe陛ソーダ/グルコ ース ・号Jレ比が約1.5

で符色f!rが一定になったので,モノレ比 2を選んで添加す

るアンモヱアの霞を交えて加熱した.そ¢結果は第 3悶

の如く ,ア ンモユアの添加患がi曽えるに従って有色度は

橋大するけれども.アンモコア /グルコ ース ・モル比が

3でお色j立はほ子会・定になり ,それ以上アンモニアの添

加墜を増大せしめても, :;守色皮は殆んど増加しなかった.

すなわち狩色は添加するアンモニアIT;置にか Lかわら

ず骸件抵li夜間主ノーダ心援で財制され, これらの条件下で

125

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兵 附 食 料 大 学 研究 報 作

は E=O.2附近の着色度しか示さなくなる.このことに

よって或る限界はあるのであろうが pHにはあまり関係

がないように考えられる. (酸性亙硫酸 1ーグ/アンモ

ユア /グルコース ・モル比が 2: 2.5: 1の場介 pH8.8

2 : U. 25: 1の場合 pH11. 0; 2 : 3.75 : 1の場合は9.2

いづれも加熱後の試料)

グル コースのアルカリ性溶液を放置すれば,グルコー

スは ROBRYde BRUYN-ALBERDA VAN EKENSTEIN転

移を受けることはすでによく知られているが,著者らは

アンモ ニア水中で酸性亜硫酸ノー ダの存在下でグルコ ー

スがどの様に変化するかを PPCによ って検討した

こ与で用いたベンヂヂン試薬を噴霧するとフラ クトース

は黄色を呈する。第 4図に示すように グルコ ース・アン

モニアの反応系では明らかにフラクトースを検出し得た

のに対し,敵性豆E硫骸ソ ーゲを添加した系には クロマト

グラム上では痕跡程度しか検出できなかった.このこと

Uハ〉。ハUハUHU-

ハハVハυ

ハvo

《ハリパ川

内ハハ〉

ロパハ

νハ

《ハ

υ

八日

νけ八

九日MHU引

仏ハ

Vハリ・G1 G2 G} G~ G5 G6 Fl F2 M1 M2 G P J.I Al

G" 5% GJucose-NH, (moJ. ratio 1/5) G" 5% Glucose-NH,-NaHSO, (1/5/1) G3, 5% Glucose-NH,-NaHSO,(1/5/2) G" same as G, G" same as G2 G6, same as G3 F" 5% Fructose-NH, (1/5) F,・5% Fructose-NH,-NaHS03 (1/5/2) M,. 5% Mannose-NH, (1/5) M,. 5% Manno.e-NH 3-~aHS0 3 (1/5/2) G. GJucose F. Fructose M. Mannose AIo eJuted A Heation Condition: GIo G2. G,. FIo F2. M" M2・

in boiling water batb for 40 min.; G" G,. G.; at 50ぺfor 5brs

Fig. 4. Paper Partion Cbromatogram of Reducing Substances Produced in 5% Glucose (or Fructose. Mannose) -Ammonia -Sodium Bisul日te-Reac-tion Mixtures

Solven t: n-Butanol/ Acetic Acid/Wa ter 4 : 1 : 1

Spray Reagent: Benzidine Reagent

第 5 巻穿~2 号

0.2

E

0.1

O 2.ラ ラ.0mol. ra七io

7.う

NH,/Glucose Mo1. Ratio

Fig. 3. Effe氾tof Adding of Various Amo-unts of Ammonia on Coloration of5 % Glucose-Sodium Bisul白te-ReactionMixture(Glucose/NaHSO, mo1.ratio,

1/2) at 430mp.; Heating Condition, same as Fig. 2

は着色が殆んど完全に阻害されるような加熱温度の低レ

場合にも同線である.又マンノースの場合には敵性亜硫

椴ソーダの添加の如何にか Lわらずフラクトースは検出

できなかった.グルコース ・アンモニア ・酸性亙硫酸ソ

ーダの反応系に, 原点から移動しない還元力を有するス

ポットAが生じた.Aを水で切抜抽出をrr~、,再びPPC

を行うとグノレコースの Rf11"[に一致する スポットと,も

との原点にと rまるスポットに分離した.これは,以上

二つの物質が水溶液中で平衡状態で存在することを意味

し, 原点に止まる物質は グルコースと酸性亜硫散 ノーグ

の附加化合物であろうと想像される.

また グルコース,フ ラクトース及びマンノースのアン

Table 1. Effect of Adding of Sodium Bisul-日teto Mannose-, Fruct刀se-,and Glucose.Ammonia on Coloration

Heating Condition in Boiling Water Batb for 40 min.

いOpticaldensity 1 __.:_

at 430 mμ | 且c1l.JV

5% Glucose-NH, (mol. ratio 1/5)

5%. Glucose NH, aHSO, (1/5/2)

1. 280 100

0.210 16.1

5% Fructose-NH, (1/5)

5% Fructose NH,-NaHS03 (1/5/2)

1. 300 1ω

0.353 17.1

5% Mannose NH, (1/5)

5% Mannose-NH,-NaHSO, (1/5/2)

0.970 100

0.188 12.2

126

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XII, 1962 「会t1.};<

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F" 5% Fructose-NH, (mol. ratio, 1/3) F., 55'6 Fructose-NH,-NaHSO, (1/3/0.25) F" グ(1/3/0.50)F" " (1/3/0.75) F7, " (1/3/1.∞) F" グ (1/3/1.50)G7, 5% Glucose-NH, (1/3) G,, 5必 Glucose-NH,・NaHSO,(1/3/0.25) G" "(1/3/0.50) GiO. "(1/3/0.75) GIl • (1/3/1.00) GI2. (1/3/1.50) M3, 5% Mannose-NH, 0/3) M.. 5% Mannose-NH,-NaHS03 (1/3/10.25) Heating Condition in Boiling Water Bath

for 40 min.

Fig. 5. Papar Parti tion Chroma tograms of Imidazole

Compounds Yielded in Glucose -Ammonia -

Sodium Bisuafite・ReactionMixtur巴s.

Solvent Aceton / Chlovofom / water / 28% aq.

Ammonia~30: 5: 4: 0.2(V/V);

Spray Re3.gent : Pauly Reagent

a) Various Amounts of NaHS03 and 0.68 ml

of 28;1;; aq. Ammonia Were Added

モニア;J¥巾における政相血流般ソーダによるお色[肌需の

れ度を淵べた.その結果,第 11三のようにお色のrm.'Sはマンノースごグルコース/・フラクトースの順で大きかっ

た このようにフラクトースは行色町担t号される程度が

-0小さかった.カノレポニノレ化合物と酸性並硫酸ソーグ

の附hn反応に関して次fつようなぬ明14)がある すなわち,

政ヤE!jjI硫酸ノーグが加えられたJ易合,反応は・般にアル

デヒド類では芥場に、|ム衡状態にiiし,過剰の酸性出硫酸

ノーダがイメ在しなくても附JJII化合物を生成するが, ケト

ン類の場介には,それに比して反応速度が小さく,それ故

附加化合物も生成し難<,高位向肢体においては殆んど

反応しない前述の実験結果にこれを適月lすると,アルド

ースであるグルコース及びザンノースの場合には比率主的

公易に敵十1:<Jr.iifreN主ソーグとの附JJU化合物を生成し, カノレ

ボ二ノレ基が隠府されるためにお色反応の阻'占される程度

が大きい.これに対しケトースであるフラクトースの

勾介には附JJII化合物を形成する速度がより遅いために者

イヒ

127

J、、!.J ~j;\

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、柄. 。O や o

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Gn G'4町ぅ G,民 G可ワ G'R

G". 5% Glucose-NH,-NaHS03 (mol. ratio. 1/1.25/1)

G14 " (1/2.50/1)

G l.~ (1/3.75/1)

G16 " 0/5.00/1)

G17 " (1/6.25/1) G185労 Glucose-NH3(1/5) Heating Condition Same as

Fig. 5 a

Fig. 5. b) Various Amounts of NH, and 0.29g NaHS03 Were Added.

色の[征害のf'E度はより小さいとL、う推論が可能である.

また前述の実験結果は弱敵性でオートケレーヴ巾にお

いて椴性亜硫酸ソーグと共に加熱したi易介,ブラクトー

スは始んど阻合を受けないが, グルコースは非常な阻'芹

を受けたという TOMODAら17)や ENGLES9)の報告に似

ている.

グルコースはアンモニア水中で悶々のアノレデヒド類や,

オソン類に分解しこれとアンモニアが反応して極々の

イミグゾール化o物をつ二ずるが16),酸性亜硫酸ソータの

存在がイミグ Jール化合物の生成に対しどのような影響

を与えるかをPPCによって検討した. ;;(} 5図の如く ,グ

ルコースに対しアンモニアの量を一定にした場合,添加

する般性亙liA骸ソーダの量を増すに従ってイミダ/ール

化介物生成量は減少し種類も少くなる.しかし生成する

イミタブール化合物の種類は同じであって,異ったイミ

グゾール化冷物を生成することはない. Rf値の大きな

ものから NO.I-No.8と名付けると, No.4及び No.5

がまづ消火しついで No.8,No. 7, No.2, No.3, No.l

のJI聞に,長後には No.6も生成しなくなる.フラクトー

スについても同級であるが、グルコースの場合の}jが叩

く消失する. No.6は 4(5)-(2, 3, 4ー トリオキシブチ

ノレ)イミグヅーノレ1のであるから その前駆物質は 3ーデ

オキシヘキソソンである.この物質はヘキソースの分子

内酸化選元によって生じるものであるから, C C結合

の開裂はない.それで~&5 a図の結果からみれば,添加

した般性亜硫骸ソーグの最が増加するに従って C-Cの

開裂が少くなるように一応は考えられる,しかし乍ら酸

性亜流酸ソーダの量を・定にしてアンモニアの量を変化

させると,第 5b図の立n<.アンモニアの量を増大させ

ていくにつれて,イミダゾーノレ化合物は前<T実験とは辺

の順序てF生成していき,ついには故件直硫酸ノーグを加

えないものと同じようになる. (こ Lで生成する順序は

グルコース ・ア ンモニアに反応液を料続的に加熱してし、

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兵庫農科大学研究報告 W5巻針12号

った場合やグルコースに対しアンモニアの畳を増加ぜめ

て得たイミダゾーノレ化合物の生成順序16)とは異る)この

ことは着色の場合とは異り,アンモニアの量が増えるに

従ってグルコースの関裂が増加することを意味する.

カルボニル化合物と酸性亜硫酸・ノーダの附加化合物は

アルカリ性溶液でもとのカルボニル化合物を再生しやす

いから,開裂生成物が生ずるとイミダゾール化合物も生

成してくる答であるが,酸性亜硫酸ソーダの存在下では

イミダゾール化合物の生成量は減少する。従って以上の

ことを綜合して考えると,グルコースの関裂に関しては,

酸性亜硫酸ソーダの存在は或る程度影響を与え,開裂生

成物聞の量も異ってくるものと推察できる.そしてこれ

らの条件下で関裂生成物のうち,グルコース・アンモニ

アの反応中で一番多く生成すると恩われるメチルグリオ

キサールよりも 3ーデオキシヘキソソンが比較的生成し

やすいことは興味がある.

開裂の量的関係は知ることができなかったが,イミダ

ゾーJレ払令物の生成に対する酸性亜硫酸ソーダの阻害の

程度もマンノース>クツレコース〉フラクトースの順に大

きかった.

要 約

クールコースとアンモニアの着色反応に対する酸性亜硫

酸ソーグによる影響について検討し,次の結果を得た.

1. 着色反応は酸性亙硫酸ソーダの添加によって大き

く抑制された. (第 1及び2図)

2. グルコースに対し添加するアンモニア量を一定に

して,酸性亜硫酸ソーダの添加量を変えると,酸性亜硫

酸ソーダ/グルコース・モノレ比がほ,,1.5で着色の阻害は

一定になり,それ以上添加しでも着色度は殆んど低下し

なかった. (第 2図)

3. クツレコースに対し添加する酸性亜硫酸ソーダの量

を一定にし,アンモニアの添加量を変えると,ヌンモニ

ア/グルコース・モル比がほ "3で着色の阻害は一定に

なり,それ以上添加しても者色皮は殆んど増加しなかっ

た. (第3図)

4. フラクトース及びマンノースの場合と比較すると,

その着色皮及びイミダゾール化合物生成に対する阻害の

程度は,ともにマンノース¥グルコース>フラクトース

の順であった, (第 1表及び第 5a図)

5. イミダゾーノレ化合物生成もや L影響を受けたが,

4(5)ー(2,3, 4 トリオキシブチノレ) イミダゾーノレの生

成が-iJj:影響を受け難かった, (第 5a及びb図)

(農産製造学講座昭 37. 8. 31受理)

文 献

1) A. R. LING巴tal. : j.Chem. Soc.. lnd., 41, 1517 (1922)., C. A., 17, 1215 (1923).

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15)河本正彦:農化, 36, 464 (1962).

16)河本正彦 :ibid., 36, 546 (1962).

17) T. TOMODA et.al. j. Chem. Soc., jatan, 33,

434 (1930).

Surnrnary

The authors dealt with effects of adding of

sodium bisulfite on glucose and ammonia browning

reactions. The results were follows:

1. The browning was extr巴melydiminished by

adding of sodium bisulfite. (Fig. 1 & 2).

2. When various amounts of sodium bisul日te

were added to glucos巴・ammonia(mol. ratio, 1/5)

reaction mixtures, extent of inhibition for coloring became n巴arlYconstant above 1. 5 of mol. ratio of

sodium bisulfite to glucose. (Fig. 2)

3. When various amounts of ammonia were

added to glucose.sodium bisulfite (mol. ratio, 1/2) 町民tionmixtures, extent of coloring became ne.

arly constant above 3 01 mol. ratio of ammonia

to glucose. (Fig. 4)

4. In the comparison of mannose.and fructo・

se.ammonia to glucose.ammonia, the order of inhi.

biting activity of sodium bisulfite for the coloring

and production of imdazole compounds was man.

nose :>glucose:> fructos巴. (Fig. 5 & Tab.1) 5. Production of imidazol巴 compounds in the

reaction mixtures were diminished by adding of

sodium bisulfite, but production of 4 (5)-(2, 3, 4-tri.

hydroxybutyI) imidazole was scarcely diminished.

(Fig. 5. a & b))

(Laboratory of Agricultural Manufacturing)

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