燃料被覆管材料の 酸化プロセスのモデル化 - 九州大...

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九州大学応用力学研究所「炉内構造物の経年変化に関する研究集会」 九州大学応用力学研究所中会議室(2階) 2012724日(火) 燃料被覆管材料の 酸化プロセスのモデル化 京大エネ理工研 森下和功 京大エネ科(院) 山本泰功 琉球大教育 岩切宏友 秋田高専 金田保則 原子力機構 渡辺淑之

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  • 九州大学応用力学研究所「炉内構造物の経年変化に関する研究集会」 九州大学応用力学研究所中会議室(2階)

    2012年7月24日(火)

    燃料被覆管材料の 酸化プロセスのモデル化

    京大エネ理工研 森下和功

    京大エネ科(院) 山本泰功

    琉球大教育 岩切宏友

    秋田高専 金田保則

    原子力機構 渡辺淑之

  • 安全=設計+検査+予測+対応

    機器の機能

    時間

    機能喪失

    検査

    劣化進展予測

    原子炉内での使用期間が長くなるほど,材料が劣化し(経年劣化),機器の機能が低下する.

    保全を行い,機能喪失が起こらない状態を維持する必要がある.

    原子炉の安全

    安全設計 検査(状態監視) 劣化進展予測,機能喪失予測 検査結果や予測に基づいて,判断・対応

    予測

    検査

    予測

    検査 設計

    劣化に よる機能 低下

    修正

    予測

    材料条件 (降伏応力等) 環境条件

    (荷重等)

    重なり部分→安全係数

    取替

    劣化 想定外 事象

    と世論や政治

  • 燃料リーク検出精度は高く,FPがリークすればすぐに検出.燃料被覆管にピンホールがあくことなどがリークの原因.

    保安規定で決められた炉水濃度よりもかなり低いリークレベルで,燃料交換等の対応が取られている.対応に幅をもたせるには,予測を充実させる必要がある.

    限られたリソース(コスト,時間,人員)をより重要度の高い保全活動に割り当てることが必要

    燃料の保全

    劣化予測

    圧力容器鋼 燃料被覆管材料

    検査 • 実物の超音波探傷 • サーベイランス試験片の破壊靭性試験

    • 定検時検査

    • 数日~1日に一度の炉水放射能(ヨウ素)濃度測定

    • 運転中検査

    予測 • 多くのデータと物理根拠に基づく脆化予測式

    • 二次破損進展への予測は実施しない.

    対応 • 検査と予測に基づき判断

    • 検査に基づき判断 (BWR出力抑制法,炉停止) • 原因を究明,報告(NUCIA)

    ハンドル

    外部スプリング

    燃料棒

    支持格子

    チャンネルボックス

    タイプレート

    燃料棒

    制御棒

    ウォーターロッド

    チャンネルボックス

    スプリング

    約10mm

    約10mm

    燃料被覆管(ジルコニウム合金)

    ペレット

    燃料棒

    A A'ペレット

    A~A'断面図

    約14cm

    約4.5m

  • ・塑性変形

    ・クリープ ・疲労 ・フレッティング摩耗

    ・応力腐食割れ

    ・水素脆化割れ

    材料劣化予測・機能喪失予測

    222 2HZrOO2HZr

    酸化脆化 水素脆化 水素爆発 酸化による発熱

    ジルコニウムの水側酸化

    機械的損傷

    複合要因

    ・脆化 ・過大腐食

    酸化による損傷

    機能喪失予測,材料劣化予測 • 通常使用条件等経験データが利用できる場合と,異常時挙動データ等統計量の少ない場合

    • 外挿が必要な条件での予測 • 余裕の評価/ストレステスト • メカニズム立脚のモデル化 Zr酸化速度 • 加速試験データ ミクロ組織のdpa/s依存性(Fe,W)

    • マルチスケールモデリングの視点(微視化してメカニズム究明,粗視化して予測)

    燃料の FP閉じ込め 機能喪失

    照射効果

    格納容器の閉じ込め 機能喪失

    冷却系 機能喪失

    停止系 機能喪失

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・ミクロ構造変化

    ・・・・ ・・・・

    (例 燃料損傷)

    損傷モード 環境条件

  • 軽水炉燃料被覆管の酸化

    Zr表面に酸化膜が形成される. Zrの酸化反応は金属と酸化膜の界面付近で起こるため,酸化反応が進行するためには,Zr酸化膜中を酸素が拡散する必要がある.

    拡散過程は原子レベルのプロセスであるので,原子レベルの解析が必要. 拡散律速過程では,膜厚∝t 1/2であるが,実測では1/3乗に比例. 金属-酸化膜の平衡体積差に起因して,酸化膜中では圧縮応力が働いている.

    被覆管酸化メカニズムを理解するために,第一原理計算によってZr酸化膜中の酸素拡散過程を理論的に評価した.

    Zr合金

    酸化反応

    22 O2HOH

    O2- H+ Zr酸化膜

    冷却水

    酸化膜厚∝t 1/3

    酸化膜

    時間,t

    遷移点

    酸化によるジルカロイの 重量増加曲線

  • 計算条件

    電子状態計算コード:SIESTA 基底関数:LCAO基底、DZP(split valence 基底関数系 + 分極関数系) (Zr: 5s, 5p, 4d, 4f O: 2s, 2p,3d,3f) 計算手法:DFT 交換相関汎関数:GGA-PBE 緩和計算:FIRE(Fast Inertial Relaxation Engine)

    ZrO2 正方晶 P42/nmc space group:137 格子定数: a=b=3.6382 (Å) c=5.2810 ユニットセル:原子6個(Zr:2, O:4)

    ZrO2 単斜晶 P21/c space group:14 格子定数 :a=5.1507 (Å) b=5.2028 c=5.3156 β=99.196(degree) ユニットセル:原子12個(Zr:4, O:8)

    :Zr :O

    a

    b c

  • 拡散係数の応力依存性の評価

    Monoclinic ZrO2 (m-ZrO2)

    Tetragonal ZrO2 (t-ZrO2)

    O2 vacancy

    酸素空孔を含んだ系を作成し、系のトータルエネルギーと応力の関係から拡散係数の応力依存性を評価した。

    kT

    EE

    D

    D mfv

    0

    exp

    応力が拡散係数に与える影響

    T

    E

    T

    EzD

    kexp

    kexp

    6

    1 mfv2

    空孔の存在確率 跳躍に必要なエネルギーを得る確率

    拡散係数(空孔拡散)

    よるエネルギー上昇応力がかかったことに

    状態での拡散係数応力がかかっていない

    数応力環境下での拡散係

    :

    :

    :

    0

    E

    D

    D

    *温度300℃で計算

    O1 vacancy

    Zr

    O

    Efv

    Emv

  • -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    ΔE (eV

    )

    Stress (GPa)

    0.53 0.54 0.55 0.56 0.57 0.58 0.59 0.60

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    ΔE (eV

    )

    Volume (nm3)

    エネルギーの応力依存性(静水圧)

    • 圧縮応力・引張応力ともに,全エネルギーは上昇する.

    単斜晶3配位 単斜晶4配位 正方晶

    ΔEfv 0.010eV 0.012eV 0.015eV Zr合金

    Zr酸化膜

    冷却水

    1GPa 1GPaの圧縮応力環境下(静水圧)におけるエネルギー上昇

    t-ZrO2

    m-ZrO2(O1)

    m-ZrO2(O2)

    正方晶

    単斜晶4配位

    単斜晶3配位

    体積を等方的に変化させ、 系のエネルギーと応力を算出

  • -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

    0.0

    0.2

    0.4

    0.6

    0.8

    1.0

    ΔE (eV

    )

    Stress (GPa)-10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0

    ΔE (eV

    )

    Stress (GPa)

    エネルギーの応力依存性(軸方向)

    単斜晶 3配位 a軸方向 b軸方向 c軸方向

    ΔEfv 0.012eV 0.011eV 0.032eV

    正方晶 a軸方向 c軸方向

    ΔEfv 0.011eV 0.006eV

    a

    bca

    c

    a b

    c a

    c

    単斜晶 4配位 a軸方向 b軸方向 c軸方向

    ΔEfv 0.016eV 0.010eV 0.022eV

    単斜晶ZrO2 正方晶ZrO2

    結晶のそれぞれの軸方向に体積を変化させ、 エネルギーと応力を算出.

    1GPaの圧縮応力環境下(軸方向)におけるエネルギー上昇

  • -0.25 0.00 0.25 0.50 0.75 1.00 1.25-0.5

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0

    3.5

    ΔE (

    eV

    )

    Normalized distance

    酸素空孔の移動エネルギーの応力依存性

    静水圧 a軸方向 b軸方向 c軸方向

    ΔEm 0.034eV 0.070eV 0.008eV 0.030eV

    D/D0 0.371 0.194 0.681 0.482

    a

    c b

    Diffusion path A

    周囲の原子の座標を固定し、酸素原子が空孔位置へ移動する際のエネルギー変化を算出した。

    1GPaの圧縮応力を作用させたときの移動エネルギー 変化と拡散係数への影響

    •酸素空孔の移動エネルギーは応力の方向依存性は大きい. •応力依存性が最も顕著な方位では,拡散係数をおよそ1/5にするほどの影響があった.

    kT

    EE

    D

    D mfv

    0

    exp

    *温度300℃で計算

    c軸方向

    Em=2.753eV

  • 0

    0.5

    1

    1.5

    2

    2.5

    0 50 100 150 200

    y = 0.17809 * x^(0.49522) R= 0.99914

    y = 0.21684 * x^(0.37208) R= 0.99629

    Thic

    kness

    of oxi

    de film

    m)

    Time (s)

    酸化膜成長速度に及ぼす影響

    <仮定> •応力は酸化膜厚さに比例. •酸化膜厚さが2μmのとき,1GPa

    0

    0.02

    0.04

    0.06

    0.08

    0.1

    0.12

    0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4

    ΔE

    fv+Δ

    Em 

    (eV

    )

    Compressive stress (GPa)

    y=0.08x

    a

    cb 拡散パスA

    正方晶ZrO2

    正方晶ZrO2のa軸方向圧縮応力が作用した際のエネルギー上昇

    kT

    EEDD mfv0 exp

    *温度300℃で計算

    応力によるエネルギー上昇を考慮することで,酸化膜の成長と共に拡散係数が低下し酸化膜の成長速度が1/3乗則に近づく.

    冷却水

    2O 2ZrO

    Zr

    O

    2

    2

    OO

    dx

    CdD

    dt

    dC

    50.0t

    37.0t

    応力あり

    応力なし

    Water

  • ・塑性変形

    ・クリープ ・疲労 ・フレッティング摩耗

    ・応力腐食割れ

    ・水素脆化割れ

    材料劣化予測・機能喪失予測

    222 2HZrOO2HZr

    酸化脆化 水素脆化 水素爆発 酸化による発熱

    ジルコニウムの水側酸化

    機械的損傷

    複合要因

    ・脆化 ・過大腐食

    酸化による損傷

    機能喪失予測,材料劣化予測 • 通常使用条件等経験データが利用できる場合と,異常時挙動データ等統計量の少ない場合

    • 外挿が必要な条件での予測 • 余裕の評価/ストレステスト • メカニズム立脚のモデル化 Zr酸化速度 • 加速試験データ ミクロ組織のdpa/s依存性(Fe,W)

    • マルチスケールモデリングの視点(微視化してメカニズム究明,粗視化して予測)

    燃料の FP閉じ込め 機能喪失

    照射効果

    格納容器の閉じ込め 機能喪失

    冷却系 機能喪失

    停止系 機能喪失

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・・・

    ・ミクロ構造変化

    ・・・・ ・・・・

    (例 燃料損傷)

    損傷モード 環境条件

  • 1. 加速照射を適切に実施するには, ● 加速照射条件と実機条件において,材料の損傷様式,損傷部位,および,損傷メカニズムに違いがないこと

    (確認するすべがない場合も…)

    ● 照射条件と損傷(劣化,寿命)の定量的関係が明らかであり,実機照射での材料挙動の適切な予測が可能であること

    が必要である.

    2.加速照射評価の一般論は存在しない.

    加速照射試験(1) 長時間必要な「材料信頼性実証試験」の不都合を克服するために,実際より厳しい照射条件で試験する.

    照射時間

    材料劣化 加速照射

    (既存の照射場)

    実機照射(未知の照射条件)

  • 加速照射試験(2) 長時間必要な「材料信頼性実証試験」の不都合を克服するために,実際より厳しい照射条件で試験する.

    3. 照射劣化の加速係数 f

    ・照射劣化の加速係数はどのようにとったらよいか?

    ・(定義)加速照射によってどの程度劣化を加速させたか?

    f = (加速試験での劣化速度)

    (実機試験での劣化速度)

    (加速試験での損傷速度,P (dpa/s))

    (実機試験での損傷速度, P(dpa/s)) f = ?

  • 10-18

    10-16

    10-14

    10-12

    10-10

    10-8

    10-6

    10-4

    10-2

    10-13 10-11 10-9 10-7 10-5 10-3H

    e g

    as p

    roduction r

    ate (

    ×10

    6H

    e/s)

    Damage rate, P (dpa/s)

    Ion acc.

    Fusion(14MeV neutron)

    HFIR

    JOYO(fuel area)JMTR

    KURJOYO

    (outer wall)

    Material: Fe

    各施設の照射能力

    ヘリウム生成率

    はじき出し損傷速度

    dpa/s = f(E)ds(E, Ep)

    dEp(Ep) dEp dE

    0 max,p

    E

    E

    中性子フラックス

    中性子エネルギー

    入射粒子エネルギースペクトル

    PKA数

    PKAエネルギー

    PKAエネルギースペクトル

    はじき出し欠陥数

    PKAエネルギー,Ep

    はじき出し損傷関数ν(Ep)

    EP

    EP

    集合体形成

    原子はじき出しEp

    拡散

    入射粒子 フラックスφ(E) エネルギーE

    はじき出し損傷速度

    照射場を定量化したパラメータがdpa/sである.

    =照射場指標

    dpa/sは,材料に対する“損傷”速度というよりは,各照射施設のはじき出し能力を示す「照射場指標」である.

  • ・劣化速度と損傷速度(dpa/s)の関係は?

    生成率

    dpa/s

    再結合率 (消滅率)

    欠陥反応率 (集合体形成率)

    V S I V V 2

    V V

    d

    d C KC C RC C D P

    t

    C

    拡散移行率

    S

    材料「劣化」を左右する ミクロ組織変化

    ps μs,ms

    欠陥反応速度式

    加速照射試験(3) 長時間必要な「材料信頼性実証試験」の不都合を克服するために,実際より厳しい照射条件で試験する.

    dpa/sは,材料に対する損傷速度というよりは,各照射施設のはじき出し能力を示す「照射場指標」である. 明らかに「劣化速度」ではない. (劣化=材料機能の喪失)

  • 原子空孔の流入

    原子空孔の流出

    ボイド

    材料中の照射組織(例:ボイド)を加速してつくるには? dpa/sベースで加速係数を考える.

    欠陥の流入と流出の差で核生成・成長が決まる.

    1個のボイドの流出入フラックスに注目して,dpa/sが10倍のとき,流入・流出フラックスがともに10倍になるなら,ボイド形成の加速係数は10になる(10倍速くボイドができる).

    dpa/sで決まる

    EbindとT で決まる (熱的安定性)

    (結論から言うと...) ●流入と流出のバランスがくずれる. ●熱的安定性 ・dpa/sとは無関係 ・温度,サイズ,組成などに依存

  • 欠陥集合体移動 (バブルマイグレーション)

    r

    UU=U(r)

    モンテカルロ法 (1)

    第一原理計算

    Interatomic

    potential

    (vacancy cluster)

    Vacancy

    V-absorption

    V-emission

    V-migration on void surface

    Void

    Surface migration

    Volume

    migration

    Multiple spherical voids

    Yoshida & Iwakiri

    クラスター核生成

    Defect production by displacement

    cascades )( pE

    OUT

    V

    IN

    V JJt

    n

    NET

    V

    OUT

    V

    IN

    V

    J

    JJt

    n

    Emv

    Vacancy

    欠陥エネルギー論

    欠陥集合体(ボイド)核生成のマルチスケールモデリング 照射相関構築は,材料のミクロマクロ問題そのものである.

    粗視化 微視化

    直接 比較

    欠陥生成 (カスケード損傷)

    分子動力学法 (MD)

    モンテカルロ法 (2)

    反応速度論

    0

    max,

    )(),(

    )()(p

    d

    E

    Epp

    p

    pdEdEE

    dE

    EEdEsdpaP

    sf

    はじき出し損傷関数

    欠陥集合体の核生成・成長

    VVIVV CKDCRCPt

    C

    Vacancy

    V-abs.

    V-emission

    Isolated spherical void

    欠陥集合体の形状 最密面で囲まれたボイド (bccでは,(110)面)

    欠陥濃度

    実験

    18

    時間

    空間

  • ボイド形成のKMCシミュレーション MD(欠陥エネルギー)+KMC(ボイド形成の

    キネティックス)+反応速度論(dpa/sとの関係)

    Time, t (s)

    Vo

    id s

    ize

    (N

    o. o

    f v

    ac

    an

    cie

    s in

    a v

    oid

    )

    0 20 60 80400

    2

    4

    6

    8

    10

    Incubation time

    Tungsten

    Temperature 900K

    Damage rate 10-6 dpa/s

    Sink strength 106 m-2

    Growth

    OUTSIA

    INSIA

    OUTV

    INV JJJJ

    dt

    dn

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    1400

    10-7dpa/s

    10-6

    10-5

    10-3

    10-4

    Material:WSink strength

    SIA:106(m-2)Vacancy:0.78×106

    (m-2)

    0

    100

    200

    300

    400

    Material:WSink strength

    SIA:1016(m-2)Vacancy:0.78×1016(m-2)

    500 600 700 800 900 1000 1100 1200 13000

    2

    4

    6

    8

    10

    Temperature, T (K)

    Material:WSink strength

    SIA:1018(m-2)Vacancy:0.78×1018(m-2)

    Norm

    aliz

    ed n

    ucle

    atio

    n ra

    te,I 1/P

    g

    n*size, n

    Nu

    clea

    tio

    n e

    ner

    gy

    embryo

    空孔1個あたりのdpa/sで規格化したボイド核生成率(dpa/s依存性がなければ,すべての曲線は重なる)

    W中のボイド核生成 ・流出入バランス ・温度依存性 ・dpa/s依存性

    シンク強度小

    シンク強度大

    SV∝P 1/2

    SV∝P 1

    タングステン

    dpa/s 大

    温度,T(K)

  • 10-9

    10-7

    10-5

    10-3

    10-1

    10-8

    10-6

    10-4

    10-2

    100

    Vacancy flux, DvCv(nm2/s)

    Nucle

    atio

    n r

    ate

    , M

    /C

    v (s

    -1)

    500K

    600K

    700K800K

    10-3dpa/s

    10-4

    10-5

    10-6

    10-7

    1000K

    1200K

    シンク強度:106(m-2)

    20

    空孔濃度空孔フラックス核発生率

    Mansur, 1987

    M .DVCV2= DVCV CV

    従来の定常核生成理論との比較

    従来の定常核生成のモデルが成り立つなら,傾きは1になる.

    従来理論

    高温ほど,Mansurの定常核生成理論を越えるモデルが必要

  • 10-42

    10-40

    10-38

    10-36

    10-34

    10-32

    10-30

    10-22

    10-20

    10-18

    10-16

    10-14

    10-12

    10-10

    転位ループ核生成 反応速度論解析

    Loop

    I I IM D C C

    転位ループ核生成 di-interstitial model

    核生成率 SIAフラックス SIA濃度

    DICI2 (m2/s)

    幅広い温度で、理論が成り立つ。 転位ループは、ボイドと比較して熱的安定性が高く、SIAの解離の 効果を無視できるため。

    10-3

    10-4

    10-5

    10-6

    10-7 dpa/s 700K

    1L

    oop

    Nu

    clea

    tion

    rate

    of

    loop

    s(s

    )M

    2Loop

    I IM D C

    21

  • 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 2010-20

    10-18

    10-16

    10-14

    10-12

    10-10

    10-8

    10-6

    Concentr

    atio

    n, C

    n

    Vacancy Cluster size, n

    10-3dpa/s

    10-5

    10-7

    Temperature : 500KDose : 10-4dpa

    Fe中の欠陥集合体形成の反応速度論計算 欠陥集合体蓄積のdpa/s依存性

    Fe, T=500K, Pt=10-4 dpa 反応速度論で,空孔集合体およびSIAループの蓄積をシミュレート.

    欠陥エネルギー論はMD(FSポテンシャル)によって取得されたものを使う.

    サイズ分布の損傷速度依存性(左図) • 損傷速度が速い照射では,過飽和度が高く核生成しやすい.また,他の損傷速度の場合と比べ,同じdpaでも照射時間が短くなるので,欠陥の拡散が進んでなく,サイズの小さい集合体の割合が大きくなる.

    • 損傷速度が遅い条件では,欠陥の流入フラックスが低いため,集合体の熱的解離が優勢となりサイズの大きい集合体があまり形成されない.

  • まとめ

    (1)酸化プロセスのモデル化

    • 第一原理計算によってジルコニウム酸化膜中の酸素の拡散係数に与える応力の影響を評価した。圧縮応力・引張応力共に系のエネルギーを上昇させ、拡散係数を低下させる。今回評価した拡散経路では、応力によって拡散係数が1/5程度まで減少した。

    • このような応力による拡散係数の低下を考慮することで、酸化膜の成長速度が1/3乗則に近づくことが示唆された。

    (2)損傷速度依存性

    • 欠陥集合体(ボイド,SIAループ)の形成プロセスは,点欠陥の流入と流出のプロセスがある.両方のプロセスを同じ程度に加速しないと,現象全体を加速したことにならない.dpa/sを増加させるなら,Tも増加させるべきである(特に高温において).

    • 種々の加速試験において,その現象に含まれるそれぞれのプロセスの加速の程度をはっきりさせる必要がある.SCCでは,温度,照射速度,腐食速度,引張速度等の加速の程度を同程度にさせるべき.

  • •Mansurの定常核生成モデルを使うなら,核生成率は, 低シンクで傾き1,高シンクで2 ・MC計算を行うと,それ以上に傾きは大きくなる.過飽和度SVや温度の違いに起因して,臨界核サイズが変わるためである.

    10-17

    10-15

    10-13

    10-11

    10-9

    10-7

    10-5

    10-11

    10-9

    10-7

    10-5

    10-3

    10-1

    101

    Nucle

    atio

    n r

    ate

    of void

    s p

    er

    unit v

    olu

    me

    , IC

    V

    Damage rate, P (dpa/s)

    傾き3

    傾き2

    KSI=106/m2

    KSI=1018/m2

    高シンク 濃度

    低シンク 濃度

    単位体積あたりのボイド核生成率

    Fe

    照射場指標dpa/s

    傾き1

    g

    n*size, n

    Nu

    cle

    ati

    on

    en

    erg

    y

    embryo

    •dpa/sで加速係数 f を表現す

    るのであれば(傾き1),例えば, P=10-7dpa/s, T=400K

    の加速照射条件は, P=5x10-4 dpa/s, T=500K とすべき.このときf =5000.

    照射場指標依存性

    Fe中のボイド核生成率のdpa/s依存性