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LHC‐ATLAS実験におけるLHC ATLAS実験におけるH→ZZ(*)→4lチャンネルを用いた
グ 粒 探索ヒッグス粒子の探索
織田勧、川越清以、東城順治 (九大理)他 ATLAS Collaboration
日本物理学会 2012年秋季大会 13pSK4
はじめに2/23
(*) l (l )• H ‐> ZZ(*) ‐> 4l (l=e, )– ヒッグス粒子がZボソン対に崩壊し、さ
らに電子対、ミューオン対(=合計4つのレプトン)に崩壊する過程
[GeV]HM
100 200 300 1000
BR
[pb]
× σ
-410
-310
-210
-110
1
10
LH
C H
IGG
S X
S W
G 2
012
= 8TeVs
μl = e, τν,μν,eν = ν
q = udscb
bbν± l→WH
bb-l+ l→ZH b ttb→ttH
-τ+τ →VBF H
-τ+τ
γγ
qqν± l→WW
ν-lν+ l→WW
qq-l+ l→ZZ
νν-l+ l→ZZ
-l+l-l+ l→ZZ
レプトン)に崩壊する過程
• 4つの終状態: 4e, 2e2, 22e, 4– Off‐shellのZ*からのレプトン対が後ろ
• ゴールデンチャンネル
[GeV]HM
100 200 300 1000
BR
[pb]
× σ
-410
-310
-210
-110
1
10
LH
C H
IGG
S X
S W
G 2
012
= 8TeVs
μl = e, τν,μν,eν = ν
q = udscb
bbν± l→WH
bb-l+ l→ZH b ttb→ttH
-τ+τ →VBF H
-τ+τ
γγ
qqν± l→WW
ν-lν+ l→WW
qq-l+ l→ZZ
νν-l+ l→ZZ
-l+l-l+ l→ZZ
ゴ ルデンチャンネル– 終状態の粒子を全てとらえられるため、
完全に再構成できる– とても良い質量分解能
[GeV]HM
100 200 300 1000
BR
[pb]
× σ
-410
-310
-210
-110
1
10
LH
C H
IGG
S X
S W
G 2
012
= 8TeVs
μl = e, τν,μν,eν = ν
q = udscb
bbν± l→WH
bb-l+ l→ZH b ttb→ttH
-τ+τ →VBF H
-τ+τ
γγ
qqν± l→WW
ν-lν+ l→WW
qq-l+ l→ZZ
νν-l+ l→ZZ
-l+l-l+ l→ZZ
– 高いS/N比
[GeV]HM
100 200 300 1000
BR
[pb]
× σ
-410
-310
-210
-110
1
10
LH
C H
IGG
S X
S W
G 2
012
= 8TeVs
μl = e, τν,μν,eν = ν
q = udscb
bbν± l→WH
bb-l+ l→ZH b ttb→ttH
-τ+τ →VBF H
-τ+τ
γγ
qqν± l→WW
ν-lν+ l→WW
qq-l+ l→ZZ
νν-l+ l→ZZ
-l+l-l+ l→ZZ
• しかし、断面積×分岐比は少ない。質量m 125 GeVの場合 √s 7 TeVで2 2 fb √s 8 TeVで2 8 fb– 質量mH=125 GeVの場合, √s=7 TeVで2.2 fb, √s=8 TeVで2.8 fb
• バックグラウンド– 減らしにくい: pp ‐> ZZ(*) ‐> 4l – 減らしやすい: Z+jets, ttbar
• 調べる質量の領域は110 GeVから600 GeVまで。
今回用いたデータ3/23
• 2011年の7 TeVのデータ全部– 5.3 fb‐1記録した内、検出器の状態の良い4.8 fb‐1
2012年の8 T Vのデ タの内 6月までの分• 2012年の8 TeVのデータの内、6月までの分– 6.3 fb‐1記録した内、検出器の状態の良い5.8 fb‐1
– 1バンチ交差当たりの衝突回数(パイルアップ)はデザインの25回を既に超えている。
– 検出器の性能を保つことと、シミュレーションで検出器の状態を再現することが重要。
イベントの選択4/23
• 軽い質量のヒッグス粒子に対して感度が向上するように、データのコントロール領域とシミュレーションを用いて調整した。
• 1レプトンもしくは2レプトンを要求するトリガーが鳴ったこと。
• 電荷の異なる同じフレーバーのレプトン(eか)の対が少なくとも2個あること。
• レプトンの横運動量の閾値: 20, 15, 10, 7(e)/6() GeV• Zボソンの質量に近い質量を持つレプトン対: 50 < m12 < 106 GeVZボソンの質量に近い質量を持つレプトン対: 50 < m12 < 106 GeV• そうでないレプトン対: m34
Threshold < m34 < 115 GeV• J/からのレプトンを除くため、同じフレーバーの電荷の異なる全てレプトンの
組み合わせに対して m >5 GeVを要求
今回
組み合わせに対して、mll>5 GeVを要求。
• R(l,l’) > 0.1 (0.2) を全ての同じ(異なる)フレーバーのレプトンの組み合わせに対して要求。
レプトンの周りに他の粒子が無いことを要求
ion
ance
今回これまで
• レプトンの周りに他の粒子が無いことを要求。
– R<0.2pT/pT < 0.15, R<0.2ET/ET < 0.3 (内部飛跡
検出器に入らないミューオンに対しては<0.15)
衝突点から来 る とを要求
Isolat
IP significa • 衝突点から来ていることを要求。
– |d0|/(d0) < 6.5(e)/3.5()
電子の再構成と識別5/23
• 制動輻射の光子も含めて再構成するようにアルゴリズムを変更して 再構成効率を向上させたて、再構成効率を向上させた。
• 2011年のデータも変更したアルゴリズムで処理し直した。
• 高い効率と除去能を持ち、パイルアップに依らない、識別方法を開発した。
ミューオンの再構成と識別6/23
• 内部飛跡検出器でのトラックのうち、ミューオン検出器でのセグメントと対応が付くものをミューオンとする。とする。
• ミューオン検出器が存在しない||<0.1では、内部
飛跡検出器のトラックとカロリメータ中でのエネルギー損失の情報を使って、ミューオンを識別する。ギ 損失 情報を使 、 オンを識別する。
– pT>15 GeV• 内部飛跡検出器が存在しない、2.5<||<2.7では、
ミューオン検出器でのセグメントを衝突点まで外挿ミュ オン検出器でのセグメントを衝突点まで外挿して、ミューオンとする。
検出効率のパイルアップ依存性は小さい。検出効率の イルアップ依存性は小さい。
質量分解能7/23
• 4レプトンの不変質量m4lの分解能高 を得
4e 補正なし 4補正なし
は高いS/N比を得るために重要。
• mH=130 GeVの場H 場合で、1.6%から2.1%と良い分解能。
補 あ 補 あ能。
• On‐shell Zからの
レプトン対の質量がm になるように
4e 補正あり 4補正あり
がmZになるように
補正を掛けると、さらに良い1.3%から1 9%の分解能ら1.9%の分解能が得られる。
バックグラウンドの推定8/23
• ZZ(*)– シミュレーションを使った。シミュレ ションを使った。
• PowHeg (qqbar‐>ZZ(*))とgg2ZZ (gg‐>ZZ(*))– 生成断面積はMCFMのNLOに基づく。
• Z+jets, ttbar– 低質量領域(m4l<2mZ)ではZZ*と同程度の量になる。
デ– データを使って推定した。• Off‐shell Z*に対するカットを緩めるか、反転させて、統計量を増やす。増 す
• バックグラウンドの成分を求める。
• シミュレーションに基づいて、信号領域へ外挿する。
軽い方のZ*のフレ バ によって 成分が違うので– 軽い方のZ*のフレーバーによって、成分が違うので、ll+eeとll+で別々に評価した。
ll+eeのバックグラウンドの推定9/23
• 以下の量に基づいて分類する。– 遷移輻射(transition radiation)– 内部飛跡検出器の最内層でのヒット数
• 3l+eを用いる方法– pTの一番低い電子のカットの
みを緩める。内部飛跡検出器の最内層でのヒット数
– 電磁カロリメータの1層目に付与されたエネルギーの割合
– 電磁カロリメータの2層目での横方向へ
– それぞれのカテゴリーの割合をフィットで求める。
のエネルギーの広がり
• カテゴリー– 電子と誤認されたジェット・ハドロン: F/f電子と誤認されたジ ット ド ン: F/f– Photon conversionによる電子: C/– 重クォーク崩壊による電子: E/Q
• Z+XXを用いる方法– Off‐shell Z*の電子対のカットを緩める。
– それぞれのカテゴリー(EE, EC, EF, …, pTが高い方が前
8 TeV→
そ ぞ ( , , , , pT 高者)に分類する。
– シミュレーションに基づいて、それぞれのカテゴリーを信号領域へ外挿する。
ll+のバックグラウンドの推定10/23
• m12分布をフィットする方法– Off‐shell Z*のミューオン対にisolation cutを掛けない。
– 少なくとも一方のミューオンはIP significance cutを通らないことを要求すsignificance cutを通らない とを要求する。
– Z+jetsとttbarの数をフィットにより求める。
• e±∓++‐を使う方法
ttbarのみに感度がある2011年7 T V
2012年8 T V– ttbarのみに感度がある。
– 50<me<106 GeV + 2つのミューオン
7 TeV 8 TeV
期待されるイベント数
11.0±0.6 18.9±1.1
– ミューオン対にはisolation cutもIP significance cutも掛けない
観測されたイベント数
8 16
バックグラウンドの推定のまとめ11/23
• 複数の方法で一致する結果が得られた。
• 赤線で囲んだものが最終結果に使ったもの• 赤線で囲んだものが最終結果に使ったもの。
7 TeV 8 TeV
コントロール領域でのデータとシミュレーションの一致の確認
12/23
シミュレ ションの 致の確認
• IsolationとIPZ+ee Z+
• IsolationとIP significanceのカットをoff‐shellのZ*(m34)に掛けな と
m12に掛けないことで、統計量を増やした。
• Z+jetsとttbarのバッ
12
Z+jetsとttbarのバッ
クグラウンドの量はデータに基づいた推定による推定による。
• データとシミュレーションは量と形状と
m34ションは量 形状もに一致している。
選択されたイベントの4レプトンの不変質量分布13/23
• m >160 GeVの領域で データはシミュレーションより20 30%多い• m4l>160 GeVの領域で、データはシミュレーションより20‐30%多い。
• これらはpp ‐> ZZ ‐> 4lイベントと考えられる。
• 独立な測定でも同じ結果が得られている。独立な測定でも同じ結果が得られている。
• 軽い(mH~125 GeV)標準模型ヒッグス粒子の探索に与える影響は小さい。
選択されたイベントの4レプトンの不変質量分布14/23
2011年 2012年 合計
m4l=125±5 GeVのイベント数
2011年7 TeV
2012年8 TeV
合計
期待されるSMヒッグスの信号
2.0±0.3 3.3±0.5 5.3±0.8ヒッグスの信号
期待されるバックグラウンド
2.1±0.3 2.9±0.4 5.1±0.8
• 2011年、2012年のデータ
観測数 4 9 13
年、 年 デ タともに、m4l=125 GeV付近で観測されたイベント数が、期待されるバックグラが、期待されるバックグラウンドのイベント数よりも多い。
m12とm34の2次元分布15/23
120<m4l<130 GeVのデータとmH=125 GeVの信号のシミュレーション
120<m4l<130 GeVのデータと120<m4l<130 GeVのバックグラウンド(ZZ*, Z+jets, ttbar)のシミュレーション
• m12にmZの補正を掛ける前の分布。
• 信号とバックグラウンドで分布はほぼ同じ。
• データの分布とシミュレーションの分布に大きな違いは見られない。
4eイベント m4l=124.6 GeV, m12=70.6 GeV, m34=44.7 GeV
16/23
2e2イベント m4l=123.9 GeV, m12=87.9 GeV, m34=19.6 GeV
17/23
4イベント m4l=125.1 GeV, m12=86.3 GeV, m34=31.6 GeV
18/23
断面積の上限値19/23
• 標準模型ヒッグス粒子の生成断面積に対する、信頼度95%での上限値。
標準模型 グ 粒 棄却領域• 標準模型ヒッグス粒子の棄却領域– 期待: 124‐164, 176‐500 GeV– 観測: 131‐162, 170‐460 GeV
120‐130 GeVで期待ほど棄却されていない観測: 131 162, 170 460 GeV ど棄却されていない。
バックグラウンドに対する超過の有意性20/23
• バックグラウンドしか無いという仮説に対するずれ。
• もし、標準模型ヒッグス粒子がmH=125 GeVに存在するなら、2011年と2012年のデータを合わせると2.7が期待される。
• 2011年のデータと2012年のデータともにmH=125 GeV付近でずれていて、
合わせると3.6のずれ。
• 高質量領域では、mH=260 GeV付近以外は、大きなずれは無い。高質量領域では、mH 260 GeV付近以外は、大きなずれは無い。
信号の強さ 21/23
• =1なら標準模型ヒッグス粒子と一致する量の信号がある。
• =0ならバックグランドしか無い。
• 試しにシミュレ ションでm 125 GeVの標準模型ヒッグス粒子を入れると• 試しにシミュレーションでmH=125 GeVの標準模型ヒッグス粒子を入れると、確かにmH=125 GeV付近で=1になる。
• データだとmH=125 GeVで、=1.4±0.6– 誤差の範囲内で、標準模型ヒッグス粒子で期待される信号の量と一致。
シミュレーション データ
信号の強さと質量22/23
• 2次元likelihoodフィットの結果
• 質量の最尤推定量はmH=125 GeV。
• 誤差の範囲内で、標模 グ 粒準模型ヒッグス粒子で
期待される信号の量(=1)と一致(=1)と一致。
• エネルギースケールの系統誤差の影響はの系統誤差の影響は大きくない。
まとめ23/23
• 解析の改善– パイルアップに強いレプトンの再構成と識別– 低質量領域での探索感度の向上低質量領域での探索感度の向上– 複数の方法によるバックグラウンドの評価
• H→ZZ*→4lの兆候年 と 年 デ タ両方ともに兆候– 2011年(7 TeV)と2012年(8 TeV)のデータ両方ともに兆候
– 有意度は3.6– 標準模型ヒッグス粒子での期待と一致する信号の量標準模型 ッグ 粒子での期待と 致する信号の量=1.4±0.6
– 質量の最尤推定量はmH=125 GeV
• 文献– Physics Letter B 716 (2012), 1‐29
• http://dx doi org/10 1016/j physletb 2012 08 020http://dx.doi.org/10.1016/j.physletb.2012.08.020
– ATLAS‐CONF‐2012‐092• https://atlas.web.cern.ch/Atlas/GROUPS/PHYSICS/CONFNOTES/ATLAS-CONF-2012-092/
予備スライド
24
予備スライド
これまでのATLASでの結果25
• Phys. Lett. B710 (2012) 383‐402– arXiv:1202.1415標準模型ヒッグス粒子を95%の信頼度で棄却した領域• 標準模型ヒッグス粒子を95%の信頼度で棄却した領域– 134‐156, 182‐233, 256‐265, 268‐415 GeV
• 2程度の超過をmH=125, 244, 500 GeVで観測した。