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Life Science News 2006 新春号 Contents 71-2498-01 2 3 社名変更のご案内 Innovations Forum 4 5 LC-MS/MS および DeCyder MS を用いたオリーブアレルゲンの検出・同定・定量 6 7 in vivo 蛍光イメージング装置 eXplore Optix を利用したガン組織の局在解析 Application Example 8 9 ÄKTAexplorer を用いたヒト IgG 糖鎖構造の解析 Customer's Voice 10 Ni Sepharose 6 Fast Flow /導入事例 : 大腸菌で発現させた Feo A の精製 My First Choice 11 12 製品のご紹介 : siRNA /ゲノム DNA 増幅/ mRNA 抽出・精製 Report 13 15 Amersham Biosciences Symposium 2005 Catalogues 16 おすすめカタログ

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Life Science News 2006年 新春号

Contents

71-2498-01

● 2~ 3 社名変更のご案内

● Innovations Forum 4~ 5 LC-MS/MSおよび DeCyder MSを用いたオリーブアレルゲンの検出・同定・定量 6~ 7 in vivo 蛍光イメージング装置 eXplore Optixを利用したガン組織の局在解析

● Application Example 8~ 9 ÄKTAexplorerを用いたヒト IgG糖鎖構造の解析

● Customer's Voice 10 Ni Sepharose 6 Fast Flow/導入事例 :大腸菌で発現させた Feo Aの精製

● My First Choice 11~ 12 製品のご紹介 : siRNA/ゲノム DNA増幅/mRNA抽出・精製

● Report 13~ 15 Amersham Biosciences Symposium 2005

● Catalogues 16 おすすめカタログ

アマシャム バイオサイエンス株式会社は、2006年1月より社名を

「GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社」に変更いたします。

人類のQuality of Lifeを大きく向上させるテクノロジーの筆頭として、

バイオテクノロジーの動向は常に注目されています。その進歩に国

境はなく、世界各地で医療・農業・環境をはじめとする広範な領域に

わたり、新しい知見と技術が次々に確立される時代になりました。

バイオテクノロジーに寄せられる期待やその役割がますます大き

くなってきていることは皆さまもご存知の通りです。

このようなバイオテクノロジーの多元的かつ急速な発展が求められている時代におい

て、創設者のトーマス・エジソン以来、常にテクノロジーとイノベーションに

よって成長を続け、幅広い産業・市場において世界をリードして

きたGEの力を得たことは私たちにとって大きな飛躍の

契機となりました。弊社の実験小動物用CTに代表さ

れるモレキュラーイメージング分野の製品はGEが

もつ医療用の技術を実験小動物向けに応用した

ものです。また、GEの金融サービスの強みを活か

し、リースサービスも実現することができました。

このたびの社名変更は、グローバル企業GEの一部門として

弊社がさらに飛躍し広くお客様のお役に立ちたいとの

願いを込めたものです。

「GEヘルスケア バイオサイエンス」社員一同、

バイオテクノロジーによる豊かな未来創出のため

皆さまの支援に力を尽くしてまいります。

今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。

社名変更のご案内

GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社

代表取締役社長

山田 和男

Whole Body生きたマウスやラット内の化合物の動

態、ガン細胞の局在、脳疾患などの幅

広い応用が可能な、試験研究用イメー

ジングシステムで、基礎研究の成果を

臨床応用へと確実に橋渡しすることが

可能となります。世界的にもまだ新しい、小動物のイメー

ジング分野に挑戦する研究者のみなさまを、GEのもつあらゆるソリューションをバックに強力にサポートします。

常に先進の技術を追求して

Genome核酸抽出・精製、PCRをはじめ、サザン/ノーザンブロッティング、マイク

ロアレイ解析など、ゲノム研究に欠か

せないさまざまな手法に対応する使い

やすい試薬をご提供しております。ま

た、近年、急速に浸透しつつある RNAiの分野でも、機能性と特異性を追求した高品質 siRNAを各種ご用意し、遺伝子ノックダウンの研究からさらに発展した、網羅的な生命現

象の解明を支援いたします。

Cell細胞内生体分子解析、代謝や疾患など

に関わるプロセスを解明するためのハ

イスループットシステムを開発してい

ます。この技術はドラッグディスカバ

リーや化合物ライブラリーのスクリー

ニングに重要な役割をもち、新薬のターゲット分子の発見

やリードの発見・最適化に貢献しています。

Proteomeタンパク質の生体機能における役割を

解明するプロテオミクスはバイオ創薬

のフロンティアです。1世紀におよぶタンパク質研究支援の実績とたゆまぬ

新技術への取り組みが、リサーチスケー

ルでのタンパク質の分離・精製・同定そして発現差異解析に

おけるトータルソリューションのご提供を可能にしました。

常に真摯なサービスを念頭に

Visiting製品・技術に精通したスタッフがラボ

をご訪問し、製品の説明やデモンスト

レーションを行います。

WebWEB実験手法ごとにFAQやマニュアル、アプリケーション例をまとめてご紹介

しています。eメールでのお問い合せや各種イベントのお申込みに便利なWEB会員システムをご利用ください。

Technical Support豊富な知識をもつスタッフが電話・

eメールでのご質問にお答えします。特定製品の使い方にとどまらず、実験

全般に関してもご提案できます。

Printing製品の広告からカタログ、マニュアル、

テクニカルハンドブックまで多種多様

の印刷物をご用意しています。

4

Innovations Forum:LC-MS/MS & DeCyder MS

Life Science News 2006年 (新春号)

Detection, Identification and Quantitation of an Olive Allergen using LC-MS/MS and DeCyder MSLC-MS/MSおよび DeCyder MSを用いたオリーブアレルゲンの検出・同定・定量John Flensburg 1, P. Brostedt 2, I. Holmquist 2 and J. Goscinski 11 GE Healthcare, Amersham Biosciences AB, SE-751 84 Uppsala, Sweden2 Pharmacia Diagnostics AB, Box 6460, SE-751 37 Uppsala, Sweden

はじめに

近年のクロマトグラフィーおよび質量分析計における技術の進歩によ

り、タンパク質やペプチドのプロファイリング実験で大量のデータが

簡単に得られるようになりました。しかし、データの解析はマニュア

ルで行われることが多く、数日~数週間かかります。これまで、こう

した大量のデータ解析に適したソフトウェアがないことが、LC-MSベースのプロテオミクスにおけるディファレンシャル解析の障害の一端に

なっていました。

DeCyder MS Differential Analysis Software (DeCyder MS)は LC-MSデータの可視化、検出、同定およびラベルフリーの相対的定量に適した新

しいツールです。大量の LC-MSデータセットを用いたペプチドおよびタンパク質の相対的定量が容易になります。 解析対象を相互確認(同時に生データのピーク検出や荷電を確認)しながら、完全自動化された

検出および比較を実現します。また、使用者の違いによる誤差を最小

にし、解析時間と手間の削減により研究者の生産性を数倍に伸します。

本報では、DeCyder MSを用い、オリーブ(Olea europaea)の花粉から抽出したアレルギー性のタンパク質を含む 2種のバッチOle_e1_"mer"と Ole_e1_"lite"の含有物質の相対量の比較を行いました。Ole e1はオリーブ花粉症に罹病した患者の 70 %以上に関係している感作物質です。このタンパク質は 145個のアミノ酸からなるポリペプチド単鎖(Mw 16.3 kDa)で、発芽時の花粉の水和反応に関与していると考えられています。Ole e1には複数のアイソフォームがあり、電気泳動法ではこれらの分離が困難です。したがって、LC-MS/MSと DeCyder MSを使用して、各バッチに含まれる Ole e1のアイソフォームの相対量を比較することにしました。DeCyder MSを用いたワークフローを図 1に示します。

まとめ

タンパク質アイソフォームの定量において、LC-MSと DeCyder MSの組合せによる解析が有効であることが示されました。操作が簡単でラ

ベルフリーの DeCyder MSによる相対定量法は LC-MSを用いたプロテオミクスのディファレンシャル解析ワークフローに有用です。

方法

タンパク質の分画

Superdex 75 10/300 GLによるゲルろ過を行い、2種のバッチOle_e1_"mer"と Ole_e1_"lite"をそれぞれ分離しました。Ole e1を含むゲルろ過画分(MALDI ToF MSにて確認)を集め真空乾燥後、アルキ

ル化し酵素消化しました。

LC-MS/MS解析消化後の画分を多次元クロマトグラフィーシステム Ettan MDLCとナノスプレーインターフェースにより接続したイオントラップ型質量分

析装置 Finnigan LTQ (Thermo Electron)を用いて nanoRPC(ナノフロー逆相)で分離しました。フルスキャンマススペクトルをプロファイル

モードで、MS/MSスペクトルをセントロイドモードで測定しました。DeCyder MSの自動モードで、フルスキャンマススペクトルの検出、プロファイルの比較、定量を行いました。ペプチドはMS/MSスペクトルと TurboSEQUESTTMにより同定しました。相互相関スコア(Xcorr)は 1価、2価、3価のペプチドについてそれぞれ 1.5、2.0、2.5のフィルターをかけました。

結果

Ole e1をゲルろ過クロマトグラフィー(Superdex 75カラム)で分離し、Ole e1含有フラクション(MALDI-Tof MSにて確認)を集めました(図1)。このフラクションを酵素消化でペプチドに断片化した後、ナノフロー LC-MS/MS解析を行いました。ペプチドの分離を示すベースピークイオンクロマトグラムを図 2に示します。横軸はリテンションタイム(溶出時間)、縦軸は質量分析計の相対イオン強度を表しています。

このクロマトグラムに相当する部分を、DeCyder MSで表示したシグナル強度マップを図 3に示します。DeCyder MSのシグナル強度マップは、横軸がリテンションタイム(溶出時間)、縦軸がm/z(質量電荷比)で表示されており、各スポットの濃淡は質量分析計で検出されたピー

クの強度を反映しています。DeCyder MSの PepDetectモジュールにより、このシグナル強度マップに対して 500個以上のペプチドを自動的に検出しました。

各スポットは PepMatchモジュールによって、Ole_e1_"mer"とOle_e1_"lite"間でのマッチングを行い、ペプチドの相対定量および統計解析を行いました(図 4, 5)。解析されたペプチドに対するタンパク質同定結果を表 1に、強度の比較結果を図 6に示します。ペプチド LGMYPPNMは Ole_e1_"mer"には Ole_e1_"lite"の約 3.8倍含まれていることがわかりました(図 4)。このペプチドは、すべての Ole e1アイソフォームに共通して見られ、つまり、Ole e1(アイソ フォーム合計量)は Ole_e1_"mer"において Ole_e1_"lite"の約 3.8倍含まれていることを意味しています。この結果は Superdex 75で分離された Ole e1の UVクロマトグラム(図 1)の結果(Ole_e1_"mer"には Ole_e1_"lite"の約 3.5倍の Ole e1を含有)とほぼ一致していました。一方、Ole e1の個々のアイソフォームについて、各アイソフォームに固有のペプチドに関して比較を行い、個々のアイソフォームの含有量

の差を明らかにすることができました(図 6)。

表1. DeCyder MSによるLC-MSデータ定量後のOle e1のペプチドリスト平均比は "mer" / "lite"で算出しました。リストの最後のペプチド LGMYPPNMはすべてのアイソフォームに共通しています。その他のペプチドは 6つの Ole e1アイソフォームに固有のペプチドです。

ペプチド MH+ 平均比 t検定;p値 タンパク質 登録番号 分子量

(Da) pI

TVNPLGFYK 1038.7 21.7 2.5E-4 Ole e1.0103 CAA73037.1 16421 5.71

DCDEIPIEGWAKPSLK 1858.31 4.5 1.0E-3 Ole e1protein CAA73036.1 16616 5.73

DCDEIPTEGWVKPSVK 1860.2 4.1 5.0E-4 Ole 9c C53806 16485 5.91

EDIPQPPVSQFHIQGQVYCITCR 2774.2 10.2 2.5E-3 AllergenOle e1 P19963 16330 6.18

AGFINELSEFIPGASVR 1807.5 14.1 1.6E-3Major

allergenOLE 19

F53806 15448 8.24

LGMYPPNM 922.5 3.82 2.4E-3 Main oliveallergen AAB32652.2 14585 7.73

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Innovations Forum:LC-MS/MS & DeCyder MS

図1. Superdex 75によるアレルゲンの分離を示す  クロマトグラム(波長215 nm)各バッチから 2 mgをカラムに添加し、流速 0.5 ml/min、80 mM 酢酸ナトリウム(pH 4.5)溶媒中で分離しました。A4~ A6画分を集めて酵素消化しました。この結果からOle_e1_"mer"には Ole_e1_"lite"の約 3.5倍の Ole e1を含有することがわかりました。

図3. DeCyder MSによるシグナル強度マップ500以上のペプチドが PepDetectモジュールで自動検出されました。図中MSデータは青枠で囲み、MS/MSデータは赤い×印で表示されています。

図5. DeCyder MSのPepMatchモジュール画面(2)Ole_e1_"mer"と Ole_e1_"lite"の間で DCDEIPIEGWAKPSLKペプチド(m/z 1858.3)の量に 4.5倍の差がみられたことを示しています。二次元画像や三次元画像は、2価のペプチドを示しています。解析の結果、このペプチドは Ole e1 protein [Olea europaea gi|2465131|emb|CAA73036.1|[2465131]に固有のペプチドと同定されました。

図2. ベースピークイオンクロマトグラムOle_e1_"lite"の Superdex 75画分 A4~ A6をトリプシン消化後、0.5 µgをMDLC-LTQにて nanoRPC-LTQ MS解析しました。0.075× 150 mm Zorbax C18カラム(アジレント)を使用し、流速 200 nl/minで分離しました。Eluent Aは 0.1 % ギ酸水溶液、Eluent Bは 0.1 % ギ酸、84 %アセトニトリルで、0~ 60 %B、50分間のリニアグラジエントをかけました。

図4. DeCyder MSのPepMatchモジュール画面(1)Ole_e1_"mer"および Ole_e1_"lite"画分の LC-MSデータを比較しています。nanoRPC-LTQ MS解析は 3回連続して行いました。Ole_e1_"mer"では LGMYPPNMペプチドが Ole_e1_"lite"の 3.8倍発現していることがわかります。このペプチドは、本実験で同定されたOle e1のすべてのアイソフォームに共通して存在していました。二次元画像や三次元画像では、1価の LGMYPPNMペプチドが黄色のボックスで示されています。

図6. DeCyder MSデータから抽出されたシグナル強度のグラフ2種の Ole e1バッチから得られた 7個のペプチドについてシグナル強度を比較しています。このうち 6つのペプチドは Ole e1ファミリーと異なるアイソフォームに固有のペプチドです。

www.jp.amershambiosciences.comトップページ ▼実験手法・テクニカル情報 ▼ LC-MS解析

↓ LC-MS、DeCyder MS解析の詳細については、Webカタログまたは下記ページが便利です。↓

Ole_e1_"lite"

Ole_e1_"mer"

Life Science News 2006年(新春号)

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Innovations Forum:モレキュラーイメージング

Life Science News 2006年 (新春号)

in vivo 蛍光イメージング装置eXplore Optixを利用したガン組織の局在解析― Herceptinによる HER-2タンパク質の検出 ―

はじめに

進行性の高い乳ガンや卵巣ガン、胃ガンなどで過剰発現している

HER-2 (Human epidermal growth factor receptor type2) は、ガン細胞の増殖因子の受容体としてはたらき、細胞のガン化を促進すること

が知られています。このHER-2の抗体として開発されたHerceptinは、HER-2への特異的な結合によりガン細胞の増殖を抑制することから、有効な抗ガン剤としてガン治療の現場で活用されています。

本報では、Herceptinと HER-2の抗体抗原反応を in vivo蛍光イメージング装置 eXplore Optixにて測定した実験例により、抗体医薬品の開発をはじめとする生体分子のスクリーニングにおける、イメージング

技術の有用性をご紹介します。

結果

FACS解析により、Herceptin結合細胞はコントロール抗体結合細胞よりも高い蛍光強度を示し、SKOv3細胞へ Herceptinが有意差を持って特異的に結合することが確認されました(図 1)。eXplore Optixを用いた解析においては、抗体の投与 48時間後での腫瘍部位における蛍光強度がコントロール抗体を投与したマウスよりも Herceptinを投与したマウスにおいて高く、Herceptinがコントロール抗体に比べてより強く腫瘍部位へ集積することが確認されました(図 2-B)。さらに Herceptin投与 72時間後のマウスの臓器をそれぞれ取り出して eXplore Optixでスキャンすると、腫瘍及び肝臓において抗体の集積が見られ、in vivoでの結果と一致していました(図 2-C)。 続いて、Herceptin投与後 48時間のマウスについて蛍光物質の状態を識別するライフタイム解析を行ったところ、腫瘍部位には単一の蛍光

物質、肝臓部位には 2つの蛍光物質が集積していることが確認されました(図 3)。このことは腫瘍部位には Herceptinに結合した Cy5.5が、肝臓部位には Herceptinに結合した Cy5.5及び投与後に分解され抗体から遊離した Cy5.5が集積していることを示唆しています。また、免疫組織染色を行うと肝臓には抗体の集積がほとんど見られず、eXplore Optixで得られた肝臓でのシグナルが遊離した Cy5.5のものであることが分かりました(図 4)。

方法

FACSによる解析HER-2を発現している細胞への、抗体抗原反応による Herceptinの集積を確認するため、 HER2を高発現している SKOv3細胞(ヒト卵巣ガン由来)をコントロール抗体および Herceptinとインキュベーションし、FACSによる解析を行いました。

eXplore Optixによる解析in vivoにおける Herceptinの腫瘍部位への集積を確かめるため、皮下に SKOv3細胞を移植して人工的に腫瘍を作らせたマウスに、コントロール抗体及び Herceptinを尾静脈から注入しました。抗体投与後、eXplore Optixを用いて in vivoでの抗体の挙動を経時解析し、その後摘出臓器に対する直接の解析も行いました。

免疫組織染色による解析

eXplore Optixによる解析後に摘出した臓器に対し、Herceptinを認識する抗ヒト IgG-POD抗体を反応させ組織染色を行いました。

図1. FACS による解析A. コントロール抗体とインキュベーションしたSKOv3細胞B. HerceptinとインキュベーションしたSKOv3細胞C. A 、 B の重ね合わせ

A B C

まとめ

本報では、マウス体内で起きている Herceptinと HER-2の抗体抗原反応を eXplore Optixを用いることで非侵襲的に観察できることを示しました。また、 eXplore Optix独自のライフタイム解析を活用した結合型 Cy5.5と遊離型 Cy5.5の局在の識別を通して、この技術がさらに高度な解析にも応用可能であることを示しました。

このようにモレキュラーイメージング技術は、現象の非侵襲的な視覚

化にとどまらず、同一個体の長期的な解析や in vivoでの蛍光物質の識別など、より複雑な解析にも対応することが可能です。モレキュラー

イメージング技術により、動物実験を多用し多大なコストと時間を要

する抗体医薬品の開発が大幅に効率化され、ひいては創薬のさらなる

活性化がすすむことが期待されます。

7

Innovations Forum:モレキュラーイメージング

Life Science News 2006年(新春号)

図2. eXplore Optixによる解析A. 腫瘍の位置B. 抗体投与後10分、48時間の生体イメージC. Herceptin投与72時間後の臓器イメージ

図3. Herceptin投与後48時間のマウスのライフタイム解析A. シグナル強度表示B. ライフタイム表示C. 腫瘍、肝臓部位のTCSPCグラフグラフ 1 : 腫瘍部位グラフ 2 : 肝臓部位

図4. Herceptin投与後のマウスの免疫組織染色A. 腫瘍部位(40倍)B. 肝臓部位(40倍)

A B

A

B

C

グラフ2

A B

グラフ2

グラフ1

コントロール抗体 Herceptin コントロール抗体 Herceptin コントロール抗体 Herceptin

10分後 48時間後

グラフ1

C

心臓

腎臓

肝臓

小腸

腫瘍

脾臓

本報において紹介した画像データは、藤田保健衛生大学 総合医科学研究所 黒澤良和教授よりご提供いただきました。これら画像データの無断転載等は堅く禁じられております。

8 Life Science News 2006年 (新春号)

Application Example

ÄKTAexplorerを用いたヒト IgG糖鎖構造の解析― Analog/Digital Converter AD-900を接続した             ÄKTAexplorerの機能拡張の検討―

IgGからの糖鎖の切り出しヒト IgG (I-4506 Sigma)5 mgを 0.01 M塩酸 100 µlに溶解し、95 ℃で 10分間脱シアル酸処理を行いました。これに、0.1 M Tris, 10 mM CaCl2, pH 8.2溶液 100 µlを混合し、トリプシンおよびキモトリプシンをそれぞれ 50 µg添加混合し、37 ℃で 16時間消化を行いました。消化終了後、100 ℃で 10分間加熱して酵素を失活後、0.5 Mクエン酸-リン酸緩衝液(pH 4)で溶液を pH 5に調整しました。さらに、グリコペプチダーゼ A(100676 生化学工業)0.2 mU添加混合後、37 ℃で 16時間糖鎖の切り出しを行い、100 ℃で 10分間加熱し、酵素を失活させました。

糖鎖の精製

調製した反応液から、糖鎖画分を精製するために、イオン交換ク

ロマトグラフィーにかけました。HiTrap SP FF, 5 mlと HiTrap Q FF, 5 mlを直接接続して ÄKTAexplorer 10Sにセットし、AD-900を介して RI(示差屈折率)検出器(島津製作所 RID-10A)を接続しました。280 nmの吸収とともに、RIのレスポンスをモニターしました。10 mM 重炭酸アンモニウム溶液をランニング緩衝液として、流速は1 ml/minで行いました。糖鎖は電荷を持たないため、両イオン交換担体には結合せず、素通り画分に RIのレスポンスとして検出され、この画分には 280 nmの吸収は見られませんでした(図 3)。RIで検出された画分をオルシノール-硫酸法で糖鎖画分である事を確認しました。

この画分を集め、濃縮乾固し、糖鎖画分としました。

はじめに

ÄKTAexplorerは低中圧のタンパク質精製クロマトグラフィー用装置として、また高圧分析用クロマトグラフィー用装置としても広い用途に

使用できる液体クロマトグラフィー装置です。特に ÄKTAexplorer 10Sは、25 MPaまでの耐圧があり、標準的な逆相クロマトグラフィー装置としても使用することができます。Analog/Digital Converter AD-900は、ÄKTAdesign用に開発された、外部モニターを接続するための装置で、アナログおよびデジタルの外部出力を持つ各種モニターを

ÄKTAexplorerに接続でき、UNICORNソフトウェアにクロマトグラムを取込み、ÄKTAexplorerに標準で装備されている可変 3波長 UV/VISモニター、コンダクティビティーモニター、pHモニターなどのクロマトグラムと同時にソフトウェア上に表示させることができます(図 1)。今回、AD-900を使用して、ÄKTAexplorer 10Sと各種モニターを接続し、ヒト IgGの糖鎖構造解析を行いました。ヒト IgGは、Fc画分の CH2領域 297番目のアスパラギンに糖鎖を持ちます。この糖鎖構造は図 2に示すように基本的には複合型 2本鎖ですが、末端ガラクトース、フコースあるいはバイセクティング N-アセチルグルコサミンを欠くというように著しい多様性が見られます

(図 2)。抗体医薬品の開発においては、この糖鎖構造と活性の相関が重要な因子であるとされています 1,2。

また、慢性関節リウマチ患者の原因の一つとして、IgGの糖鎖構造異常が指摘されています 3。このように、ヒト IgGの糖鎖構造の解析は、非常に重要であるといえます。糖鎖の切り出しおよび糖鎖の解析方法

は、文献 4の変法により行いました。

フラクション

コレクター

AD-900

ÄKTAexplorer

外部モニター

図1. Analog/Digital Converter AD-900を用いたÄKTAexplorerの拡張

図2. ヒト IgGの糖鎖の構造と多様性

Galβ1→ 4GlcNAcβ1→ 2Man1

Galβ1→ 4GlcNAcβ1→ 2Man1

±GlcNAcβ1→ 4Manβ1→ 4GlcNAcβ1→ 4GlcNAcβ

Fucα16 6

3

→→

A

B C D

E

F G H

I

J K L

M

N O P

図3. 280 nmの吸収とRI(示差屈折計)のレスポンス

ペプチド

示差屈折率(RI)280 nm吸収

糖鎖画分

(ml)

RI(

mV)

A280(

mAU)

Separation of oligosaccharides(SP-Sepharose/Q-Sepharose)

1M NaCl

9Life Science News 2006年(新春号)

Application Example

糖鎖解析

上記と同様に ÄKTAexplorer 10Sに蛍光モニターを接続し、逆相クロマトグラフィー担体である TSK-GEL ODS-80Ts(4.6× 250 mm)カラム(東ソー)を 55 ℃で加温し、PA化標識糖鎖を分析しました。流速は 1 ml/minで A液:10 mMリン酸液(pH 3.8)および B液:10 mMリン酸液(pH 3.8)、0.5 %ブタノールを用い、B液 20 %から 1時間で 50 %になるようなグラジエント条件で分離を行ないました。解析の結果、図 6に示されるように、各構造の糖鎖が分離されました。各ピークはMALDI-ToF MSで各構造の分子量を確認しました(データ未掲載)。

糖鎖の標識および精製

精製した糖鎖画分に 2-アミノピリジン溶液(1.8 g/ml 塩酸)40 µlを加えよく混合後、90℃で 10分間加熱しました(PA化)。これに、シアノボロヒドライド溶液(20 mg/12 µl)を 4 µl添加し、90 ℃で 1時間標識反応を行いました(図 4)。ÄKTAexplorer 10Sに AD-900を介して蛍光モニター(島津製作所 RF-550)を接続し、Sephadex G-15カラム(1× 30 cm)に全反応液を添加し、励起波長 320 nm、蛍光波長 400 nmでモニターしました(図 5)。ランニング緩衝液として、10 mM 重炭酸アンモニウム溶液を使用し、流速は 1 ml/minで行いました。PA化標識糖鎖画分を集め、解析用サンプルとしました。

まとめ

AD-900使用し、RI検出器および蛍光モニターを ÄKTAexplorer 10Sに接続し、IgGの糖鎖構造の解析を行いました。糖鎖切り出し後の精製では、RI検出器を使用することで、吸収を持たない糖鎖の画分を検出でき、また、PA化後の糖鎖の精製、および糖鎖構造の解析には蛍光モニターが応用でき、糖鎖構造の違いによる分離が可能でした。

ÄKTAexplorer 10Sと AD-900を使用し、各種モニターを接続することで、糖鎖調製から高圧条件下での逆相クロマトグラフィー解析まで 1台の装置で解析することが可能であることが示されました。今後、各種モニターとの接続により、ÄKTAexplorerの応用範囲がさらに拡大されていくことが予測されます。

参考文献

1. Kato, K. et al. J. Mol. Biol. 295, 213 (2000)

2. Takahashi, N. Gilycology 12, 507 (2002)

3. Parekh, R. B. et al. Nature 316, 452 (1985)

4. Tomiya N. et al. Biochemistry 27, 7146 (1987)

図5. PA化糖鎖の精製

図6. 各構造の糖鎖の分離

NNH

Galβ1→ 4GlcNAcβ1→ 2Man1

Galβ1→ 4GlcNAcβ1→ 2Man1

±GlcNAcβ1→ 4Manβ1→ 4GlcNAcβ1→ 4GlcNAcβ

Fucα1

6 63

→→

Purification of PA-oligosaccharides(Sephadex G-15, 1× 30cm)

Ex 320

nm

/Em

400

nm(

mV)

蛍光光度計(Ex 320 nm、Em 400 nm)280nm 吸収

A280(

mAU)

PA化糖鎖画分

図4. PA化糖鎖の構造

製品名 包装 コード番号 価格(円)

ÄKTAexplorer 10S(Fraction Collector Frac-950含む)

1式 問合せ 8,900,000

ÄKTAexplorer 10S(Fraction Collector Frac-920含む)

1式 問合せ 8,300,000

AD-900 converter 1 18-1148-62 78,200

HiTrap SP FF, 5 ml 5× 5 ml 17-5157-01 24,700

HiTrap Q FF, 5 ml 5× 5 ml 17-5156-01 24,700

Sephadex G-15 100 g 17-0020-01 26,100

Sephadex G-15 500 g 17-0020-02 107,400

Tricorn 10/600 column 10× 600 mm 18-1163-19 31,500

(ml)

Ex 320

nm

/Em

400

nm(

mV)

B液の濃度(

%)

A

C D

E

FG

HI L

M

NP

B

10

Customer's Voice

Life Science News 2006年 (新春号)

「Ni Sepharose 6 Fast Flow」についてNi Sepharose 6 Fast Flowは、バッチ法精製や HisTrap HPからのスケールアップに適した、金属イオン(Ni2+)プレチャージの担体です。金属イオン(Ni2+)

の漏れはほとんどなく、さまざまな還元剤や可溶化剤も使用できます(添加剤例:5 mM DTT、20 mM 2-メルカプトエタノール、8 M Urea他)。 ●平均粒子径 90 µmの担体はバッチ法や自然落下法(オープンカラム)に最適 ●金属イオン(Ni2+)の漏れが極微量のため目的タンパクの活性低下を防止

 ● 40 mg/ml gel以上の結合容量(43 kDaの(His)6-tagged proteinの場合) ● HisTrap HPからのスケールアップに最適

ご 所 属 :自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター

お 名 前 :吉岡 資郎 先生

ご研究内容 :新規な機能を有する金属タンパク質の構造と機能解析

実験方法

サンプルの調製

大腸菌を遠心分離で集菌後、Lysisバッファー(PMSFを含む)に懸濁後、超音波破砕した。これを 100,000× gで遠心分離後、

その上澄みをカラムに添加した。

カラムの洗浄を徹底的に行った後、溶出バッファーにて、

タンパク質を溶出した。

カラムにサンプルを添加し、タンパク質を含むフラクションを

得るまで、30分程度で終了した。

カラムを結合バッファーで念入りに洗浄後、溶出(上述)、

これを 1.5 mlずつ溶液を分取した。

フラクション 1~ 4について、SDS-PAGEを行った。

1

SDS-PAGE2鉄輸送に関与するタンパク質の Ni Sepharose 6 Fast Flowによる精製時の各フラクションの SDS-PAGE(15 % gel)

目的タンパク質

Fe2+の取込みに関与するといわれているバクテリア由来のタンパク質(略称:FeoA)、分子量 8,000程度。FeoAは Fe2+を自身に結合後、FeoBという膜タンパク質と何らかの相互作用をするものと考えている。大腸菌由来の FeoA、 FeoBについてはいくつかの研究があるが、詳細はあまり明らかにされていない。本実験のタンパク質は、Geobacter sulfurreducensと呼ばれる鉄還元細菌由来のものをクローニングし、大腸菌中で発現させた。

結果・コメント

フラクション2、3でほとんどのターゲットタンパク質が溶出している。透析でフラクション 3に含まれるイミダゾールを除去後、結晶化スクリーニングを行う予定。

また、Ni Sepharose 6 Fast Flowを用いて、別のタンパク質の精製も行っているが、カラムに 1回通すだけで、かなり高純度のタンパク質を得ることができている。

研究室紹介

■ 添加剤:なし■ 発現系:大腸菌(培養液 1.2 Lより)■ 方法:PD-10カラムに詰めて使用  結合バッファー:50 mM リン酸カリウム、20 mM イミダゾール、pH 7.5  溶出バッファー:50 mM リン酸カリウム、500 mM イミダゾール、pH 7.5 (注)NaClは含まず。

■ 収量:10 mg以上■ 精製度:95 %以上

M 1 2 3 4

30 kDa

Feo A

Ni Sepharose 6 Fast Flow導入事例:大腸菌で発現させた FeoAの精製

「Ni Sepharose 6 Fast Flow」のよいと感じている点● 結合バッファーのイミダゾール濃度を高い濃度に設定できるので、非特異的吸着を抑えることができる● 担体の洗浄も容易で、他社担体に比べて再利用時の再生能力が高い● PD-10空カラムと組み合わせた使用方法は、使いやすい● これまでに用いた同種のカラムに比べ、タンパク質の結合量が圧倒的に多い

11Life Science News 2006年(新春号)

RNAi、 siRNA、サイレンシング、ノックダウンといえば…

マイファーストチョイス-そこにはいつも GE Healthcare

RNAi(RNA干渉;RNA interference)とは二本鎖 RNA(dsRNA)によって配列特異的なmRNAの分解が引き起こされ、結果として遺伝子の発現が抑制される現象です。現在、医学・生物学・工学などのさまざまな分野において、生命現象や疾患にかかわる遺伝子の機能解析するための

ツールとして利用されているほか、疾患にかかわる遺伝子の機能を抑制する治療薬としての期待も高まっています。RNAiによる遺伝子ノックダウンの方法にはいくつかありますが、化学合成した siRNAを導入する方法は、簡単・迅速に結果が得られることから最も広く用いられています。その中でも、Dharmacon社の siRNAは、世界のスタンダード製品として実績があり、高効率かつ安定したノックダウンを実現します。

Dharmacon社 siRNA

そうだ! GEに聞いてみよう

必要な試薬 Dharmacon社製品(例)

11Life Science News 年(新春号)

www.jp.amershambiosciences.com

■ RNAiはじめてガイド

▼ ▼ ▼トップページ 実験手法・テクニカル情報 遺伝子機能解析 ● siRNA

Key Word

STEP 1 トランスフェクション試薬の選択 トランスフェクション試薬など DharmaFECT

STEP 2 ポジティブコントロールの選択 内在性の遺伝子やハウスキーピング遺伝子に対する siRNA

siCONTROL Cyclophilin Bなど

STEP 3 ネガティブコントロールの選択 siRNA+トランスフェクション試薬(siRNA導入の影響を調べる)

siCONTROL Non-Targeting siRNAシリーズRISC-Freeシリーズ

STEP 4 トランスフェクション効率の確認と条件の最適化 ポジティブコントロール(STEP 2)ネガティブコントロール(STEP 3)

DharmaFECT

STEP 5 本試験の実施目的の遺伝子を標的とする siRNAポジティブコントロール(STEP 2)ネガティブコントロール(STEP 3)

siGENOME

Dharmacon社の siRNAは

こ こ が ス ゴ イ !

■ 効果の高さ:SMARTselectionテクノロジーと SMARTpoolテクノロジーSMARTselectionは、siRNAの効果と配列の関係を分析し siRNAの効果に影響を与える要素を検討

して発見した 66もの基準を用いて効果の高い siRNAを設計する技術。また、SMARTpoolでは、

SMARTselectionにより設計した複数の siRNAを混合して効果を向上

■ 特異性の高さ:ON-TARGET修飾ON-TARGET修飾基が siRNAのセンス鎖に施されることにより、センス鎖の RISC内への取り込

みを抑制、センス鎖の OFF-TARGET効果を特異的に防止

Life Science News 2006年 (新春号)12

● 少量の出発材料 数 ngのゲノム DNAから数 µgの高分子量 DNAが調製可能

● さまざまなアプリケーションに使用可能 SNP解析、PCR、シークエンシング、Comparative Genome Hybridizationなどに対応

● 多検体処理にも対応 溶液を加え、インキュベーターにセットするだけの簡単操作 試薬調製の作業は、わずか 20分

● Phi 29 DNAポリメラーゼ使用● 至適化されたプロトコール 煩わしい条件検討は不要、出発材料が変わっても、基本的な プロトコールをそのまま使用

ゲノム DNA調製試薬

GenomiPhi DNA Amplification Kit

mRNAの精製、カラム精製といえば…

● Oligo (dT)-Cellulose Spun Columnにより 高純度の  mRNAを迅速に精製● total RNAを抽出する中間操作は不要● 簡単操作で貴重な時間を節約● さまざまな真核細胞や組織から精製可能

核酸精製シリーズ①:mRNA抽出/精製

※ キット付属の試薬を  赤字で表示しました。

* 必要に応じて増幅 DNAをエタノール沈殿により精製してください。

ゲノム DNA、簡易精製した血液、口腔粘膜、グリセロール保存した細菌などの少量の出発材料から、さまざまなゲノム解析法に対応した高分子量 DNAの大量増幅が可能になります。さらに、Phi 29は、高い校正活性を有するためエラー率が低くなります。

ゲノム DNA増幅、少サンプル(血液や口内粘膜など)、難培養性サンプルといえば…

マイファーストチョイス-そこにはいつも GE Healthcare

ゲノム DNA(1 µl)

Sample buffer(9 µl)

95℃、3分間の熱変性後、4℃で急冷

30℃にセット(16~ 18時間)65℃、10分間の熱変性

増幅 DNAは、次のアプリケーションへそのまま使用可能* 

reaction mix(10 µl)

Reaction buffer (9 µl)Enzyme mix (1 µl)

1

2

3

GenomiPhi完全テクニカルハンドブックも紹介!充実のWEBページをご利用ください。www.jp.amershambiosciences.com

▼ ▼ ▼

■ GenomiPhi簡易プロトコール

■ 核酸精製アプリケーションガイド

トップページ 実験手法・テクニカル情報 核酸増幅 ● ゲノム DNA増幅

Key Word

Key Word

QuickPrep Micro mRNA Purifi cation KitQuickPrep mRNA Purifi cation Kit

未反応ダイターミネーターの除去 ���産物の精製

未反応リンカー・アダプターの除去

プローブ精製

脱塩・バッファー交換

����精製

�����標識ヌクレオチドの精製

���精製 ����精製

※�各アプリケーションに適した製品をご用意しています。

13Life Science News 2006年(新春号)

シンポジウム報告

Amersham Biosciencesシンポジウム 2005シンポジウム 2005は二部構成で進行し、日経 BP社の宮田満氏の司会(東京会場)のもと数多くの面白いお話を伺うことがで

きました。

前半は注目を集めつつある新技術、モレキュラーイメージングの分野の先生お二人をお招きし、どこまで技術が進歩している

のか、今後どのような利用価値があるかなどのお話を伺いました。

後半はバイオで夢を咲かせましょうというテーマで三名の先生方にご自身の研究の話、今後の展望をお話しいただきました。

最後に行われたパネルディスカッションでは 10年後のバイオについて先生方の活発な意見交換が行われました。

盛況のうちに終了したシンポジウムの様子をご紹介します。

McCormack先生には、実験動物用 in vivo 蛍光イメージングシステム eXplore Optix を使用した血液性悪性腫瘍(AML) とアポトーシス細胞の in vivo イメージングおよび eXplore Optix が採用するタイムドメインの利点をお話しいただきました。

これまで、ガン治療のための化学療法薬の開発は白血病およびリンパ腫マウスを用

いてスクリーニングしていました。しかし、膨大な数の新薬の開発が臨床試験の最

終段階で中止されていることから、より予測に優れかつハイスループットな前臨床

動物モデルの開発が求められています。AMLのモデル系の開発では病因の検出・モニター・定量の限界が重大な障害となっており、今までに膨大な数の動物が犠牲に

されてきました。このような方法では、結果が直接数値化できないうえに、動物

愛護の精神に欠け、かつ時間と費用も必要とします。こうした点を克服するため、

AML モデル系の開発には、継続的・非侵襲的かつ定量性のある in vivo AML イメージングモダリティが不可欠となります。病気や治療計画の途上で複数のタイムポイ

ントにおいて動物を in vivo イメージングすることで、病理や治療への反応、薬物動態をより深く理解し、新薬候補を正確に予見する確率を高めることができます。現在、

さまざまな in vivo イメージング技術が利用されていますが、脊髄部分の in vivoイメージングには蛍光や化学発光などによるオプティカルイメージング技術が最良の

方法です。

終段階で中止されていることから、より予測に優れかつハイスループットな前臨床

動物モデルの開発が求められています。AMLのモデル系の開発では病因の検出・モ

愛護の精神に欠け、かつ時間と費用も必要とします。こうした点を克服するため、

AML モデル系の開発には、継続的・非侵襲的かつ定量性のある

態をより深く理解し、新薬候補を正確に予見する確率を高めることができます。現在、

方法です。

Emmet McCormack 先生

急性骨髄性白血病(AML)の in vivoイメージング-前臨床段階でのスクリーニングおよび分子治療法の開発

Institute for Internal Medicine, Medical Faculty, Haukeland University Hospital(ノルウェー)

2005年 6月 13日 ホテル海洋2005年 6月 14日 千里ライフサイエンスセンター

Life Science News 2006年 (新春号)

< Report> Amersham Biosciences シンポジウム 2005

14

百聞は一見にしかずということわざがありますが、さまざまな生命現象を日々解

明されている皆様の中には現象が目に見えたらどんなに楽だろうという思いをさ

れている方も多いのではないでしょうか。先生には生体物質を直接見るための新

技術についてお話しいただきました。

なぜヒトは死んでしまうのか、長生きするにはどうすればいいのかという疑問を

解くため、研究の道に入られた瀬藤先生。病気の細胞を顕微鏡で観察すると変性

したタンパク質が蓄積している様子がよく観察されるそうです。この現象は昔の

病理学者も確認していて蓄積物にレビー小体やピック小体といった名前をつけま

した。しかしこの蓄積物が何かということは顕微鏡で知ることはできません。物

質を特定するためにはやはり生化学的手法を用いる必要があります。

そこで先生は考えました。顕微鏡で見ている物質が直接何か分かれば !と。それには二つの方法があるだろうとのことでした。一つは電子顕微鏡の感度をさらに

上げて原子レベルで観察する方法です。この方法では、タンパク質のアミノ酸の

配列が目で見えるようになります。近年、先生のグループの永山國昭先生が開発

した『位相差電子顕微鏡』で無固定、無染色での微小管の観察に成功したそうです。

それでもまだ解像度が足りないため、多くのグループがしのぎを削って解像度を

上げるための技術打開を目指しているということでした。一番のネックは解像度

を上げるために電子線を強くすると細胞が焼けてしまうことだそうです。

もう一つは顕微鏡で細胞を見たときに物質に直接レーザーを当てて質量分析する手法です。この手法は数年前から瀬藤先生と島津製作所(株)

他が共同で開発中ということでした。これは、物質が同定できるだけでなく、逆にこの物質は細胞のどこに存在しているか ?ということまで分かってしまう画期的な手法です。お話を聞いているだけで製品化されるのが待ち遠しくなってしまいました。(本当は他社さんのお話なん

ですが。)そしてお話の最後に、皆さんも一緒に“わかる”顕微鏡作りに参加しませんか ?とお誘いいただきました。ご興味がある方は是非ご連絡を!

“わかる”顕微鏡を作って老化の謎を解こう

自然科学研究機構生理学研究所 岡崎統合バイオサイエンスセンター 戦略的方法論研究領域(ナノ形態生理)三菱化学生命科学研究所分子加齢医学グループ

百聞は一見にしかずということわざがありますが、さまざまな生命現象を日々解

れている方も多いのではないでしょうか。先生には生体物質を直接見るための新

技術についてお話しいただきました。

なぜヒトは死んでしまうのか、長生きするにはどうすればいいのかという疑問を

解くため、研究の道に入られた瀬藤先生。病気の細胞を顕微鏡で観察すると変性

病理学者も確認していて蓄積物にレビー小体やピック小体といった名前をつけま

質を特定するためにはやはり生化学的手法を用いる必要があります。

そこで先生は考えました。顕微鏡で見ている物質が直接何か分かれば !と。それ

上げて原子レベルで観察する方法です。この方法では、タンパク質のアミノ酸の

配列が目で見えるようになります。近年、先生のグループの永山國昭先生が開発

それでもまだ解像度が足りないため、多くのグループがしのぎを削って解像度を

上げるための技術打開を目指しているということでした。一番のネックは解像度

まず“低侵襲的イメージングモダリティ”とは何かご説明いただきました。「低

侵襲」は生体に苦痛を与えない、そして「イメージングモダリティ」は画像を撮

影する機械を意味します。つまり切らずに体内を見る装置と解釈することができ

ます。X線、エコー、CT、PET、MRIなどヒトの医療分野では既におなじみの領域です。この領域を実験動物に応用するのです。

次に先生が実際にお使いの実験動物用 CTと MRIの特徴、有効なアプリケーション例などを伺いました。CTは X線を組織に照射したときの透過度の差を画像にします。X線の透過度は CT値という数値で得られるため、定量解析や客観的な評価が可能です。骨、脂肪など X線の透過度に大きな差があるものや微小構造などの高い解像度が求められるものを画像化するのに適しているそうです。MRIは水素原子核の緩和時間や分子の拡散などのファクターから水分の分布度合いを画像化

します。肝臓、膵臓など組織によって緩和時間が異なるため、臓器の識別が可能

になります。どちらの技術も見られるものと利点が異なるので、できれば両方あ

ったほうがいいとのことでした。

そして、これらの手法を実験動物に適用するには今後いくつかの問題をクリアす

る必要がありそうです。まずは正常な状態とは何か ?病態モデルとは何か ?を定義していくということです。ヒトではデータが数多く蓄積されているため、医師

が画像を見ただけで正常あるいは病気だと判断がつきます。しかし、実験動物で

は正常・疾患ともにデータが少ないので画像を見ただけではこの判断がつきませ

ん。これは今後データが蓄積することで解決していくとのことでした。さらにデータの質と画像撮影のスピードとのジレンマの問題について

もお話しいただきました。解像度が高く、きれいな画像の撮影には時間がかかるため撮影できる個体数に限界が生じます。この技術革新は我々

メーカーの踏ん張りどころ、今後の開発に乞うご期待です。

動物実験医学領域における低侵襲的イメージングモダリティの有用性

慶應義塾大学 総合医科学研究センター : 財団法人 実験動物中央研究所 バイオメディカル研究部 画像解析研究室

侵襲」は生体に苦痛を与えない、そして「イメージングモダリティ」は画像を撮

影する機械を意味します。つまり切らずに体内を見る装置と解釈することができ

域です。この領域を実験動物に応用するのです。

次に先生が実際にお使いの実験動物用 CTと MRIの特徴、有効なアプリケーショ

高い解像度が求められるものを画像化するのに適しているそうです。MRIは水素原子核の緩和時間や分子の拡散などのファクターから水分の分布度合いを画像化

そして、これらの手法を実験動物に適用するには今後いくつかの問題をクリアす

義していくということです。ヒトではデータが数多く蓄積されているため、医師山田 雅之 先生

瀬藤 光利 先生

15

< Report> Amersham Biosciences シンポジウム 2005

Life Science News 2006年(新春号)

ご研究の苦労話だけでなく、大きなことをやり遂げるには小さなことからこつ

こつとの精神が重要であるという日々私たちが忘れがちな教訓もお話しいただ

きました。タンパク質ネットワークの解析概要は次の通りです。ヒト cDNAのフラグメントにタグをつけます。タグをつけたフラグメントをベイトタンパク

質として細胞内で発現させます。タグを餌に相互作用するタンパク質を釣りあ

げ、質量分析を行って同定します。使用されたヒトの cDNAは約 1,500種類ですから壮大なプロジェクトです。今では軌道に乗って 4,000種類の相互作用が新たに見つかっているそうですが、それまでの過程にはプロジェクト Xさながらのドラマがあったようです。

1,500種の cDNAを片っ端から解析していくのではなく、まず相互作用・局在が既に分かっている 10種類のタンパク質を用いて 100%の精度で同定できるように精製用ビーズやそのコ̶ティング、タグの選択など、15のパラメータをチューニングしたそうです。その工程では驚くことなかれ、12,000回の解析、24,000,000回の MS/MSをこなしたとのことです。そして 10種類から、150、1,500種類と数を増やして徐々にスケールアップしていったそうです。

次に先生が目指したのは高感度化です。電気泳動を経ると稀少サンプルの濃度

が薄まるため、MSに直接インジェクションしてロスを防ぎました。インジェクション前の濃縮、脱塩のため Online Nano LCのカラムを独自に開発、さらに高耐圧・低デッドボリュームの流路を設計して、インジェクション前の工程

を極力最小量化されたそうです。インジェクション量を少なくするとなぜ高感度化するかについては、プールより風呂桶の中の 10円玉のほうが見つけやすいという分かりやすい例を挙げて説明していただきました。

このような飽くなき高感度化への追求を行い、いざ質量分析したところ同定されたのはヒトケラチン、ヒトケラチン、ヒトケラチンの山だっ

たころもありました。作業するヒトの皮膚などが混入したのです。ところがその中に 1種類だけウールケラチンが含まれていました。これは何を意味するのでしょうか。「その日たまたまウールのセーターを着てきたメンバーがいたということが分かったんです。」高感度が実現して

もノイズが多く、目的のサンプル同定にはまだまだ障壁があったというエピソードを面白おかしくお話しいただきました。

完全長ヒト cDNA を用いた大規模蛋白質ネットワーク解析

産業技術総合研究所生物情報解析研究センター 蛋白質ネットワーク解析チーム

夏目 徹 先生

喘息の発作は朝 4時に起きやすい、自然分娩は深夜 12時に起きやすいということが統計的に知られています。なぜ決まった時間に起こるのか、それは生体

内に備わっている体内時計が 24時間周期のリズムを作り出すからなのだそうです。体全身の一つ一つの細胞の中に体内時計が備わっていて、脳内にある視

交叉上核という組織がオーケストラの指揮者のような役割をして、毎日時が奏

でられているのだそうです。

体内時計システムの解明に向け、17名のスタッフとともに日々奮闘されているというお話でした。Wet(実験系)のメンバーが 2/3、Dry(In Silico)のメンバーが 1/3という内訳でこのバランスがとてもいい具合だそうです。なんでも、DryのデータはWetの 2倍のスピードで出てくるからだとか。このメンバーで体内時計のシステムを同定・解析し、どのようなメカニズムで制御されているか解

明し、将来的には体内時計システムを人工的に組み立てるという目標を設定さ

れているそうです。マイクロアレイを使ってマウスの組織を調べて、500ぐらいの遺伝子が 24時間周期で増減することが分かったそうで、さらにこれらの遺伝子の共通性を見てみると朝・昼・夜に遺伝子が作られる仕組みがわかり、

体内時計遺伝子のネットワークが大分判明したとのこと。他にも、体内時刻を

測るために発明した方法について話をされていました。体内時刻測定法ができ

れば体内時計を制御する薬剤の開発やリズム障害の診断への応用などが期待さ

れます。今後の先生とスタッフの皆様のご活躍がとても楽しみです。

生命システムを分ける・測る・操る・創る :体内時計を例に理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター システムバイオロジー研究チーム 機能ゲノミクス・サブユニット

上田 泰己 先生

予算申請用カタログ2005-200671-0375-06

弊社の試薬・小型機器を価格別に掲載したカタログです。予算申請などの資料としてお使いください。

システムカタログ2005-200671-0374-09

Molecular Imagingをはじめ、Proteomics、Genomics、Cell Analysisに必須のシステムを紹介しています。

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掲載されている製品は、試験研究用以外には使用しないでください。掲載されている内容は、予告なく変更される場合がありますのであらかじめご了承ください。掲載されている社名や製品名は、各社の商標または登録商標です。この印刷物は、再生紙を使用し大豆インキにて印刷しています。

2006年 1月完成予定

● ご興味のあるカタログがありましたら弊社代理店または  バイオダイレクトラインまでお知らせください 

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05.12.320(SZ)