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ローカライズプロセスの標準化 デビッド・キム ローカライズ プロデューサー ソニー・オンライン・エンターテインメント

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GDC10のローカリゼーションサミットで行われたSOEの講演「Standardizing the localization process」内で用いられたスライドの日本語参考訳です(翻訳:IGDA日本、SIG-Glocalization)

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Page 1: Localization in SOE

ローカライズプロセスの標準化

デビッド・キム

ローカライズ プロデューサー

ソニー・オンライン・エンターテインメント

Page 2: Localization in SOE

概要

ソニーオンラインエンターテインメント国際事業・開発(2001年発足)

現行ローカライズプロジェクトエバークエスト2、プラネットサイド、Pirates of the Burning Sea、 Free Realms、The Agency、DC Universe Online、Legend of Norrath、Free Realms TCG、Match Attax、 Station.com

年間仕事量アップデート数:50-60新規英単語数:~200万総翻訳単語数:~850万

翻訳メモリ(TM)総単語数英単語:~1500万総翻訳単語数:~6000万

Page 3: Localization in SOE
Page 4: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)概要

Capability(能力)Maturation(成長)Model (モデル)Integration(組織化)

カーネギーメロン大学SEIにより考案されたソフトウエア品質向上のステップアップモデル

ソフト開発の世界基準として広く使われている施行モデル

組織の運用方法とレベルアップの為必要な要素を解明する近道として活用

Page 5: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)第一段階

初期予測がしづらく、管理も行き届いていない。状況に対し反応する受動的な体制

• 第一段階はInitial(初期)と呼ぶ

• プロセスが一定しておらず、プロジェクトにより、作業手順や方式が大きく異なってしまう

• 上記の理由により管理が難しく、作業労力、時間、人員などの予測が困難

Page 6: Localization in SOE

• プロジェクト単位で小規模な作業方法が確立、体系化する

• 方式や手順が安定するが、プロジェクトへの要求に対し、受動的に反応する必要性が残る

Capability Maturation Integration Model (CMMI)第二段階

マネージド(管理化)

初期

プロジェクトをプロセス化。受動的体制

予測がしづらく、管理も行き届いていない。状況に対し反応する受動的な体制

Page 7: Localization in SOE

• 組織全体で作業手順を体系化

• 問題を事前に察知して、能動的対処が可能になる

• 管理の視野が広がる

Capability Maturation Integration Model (CMMI)第三段階

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

組織をプロセス化。能動的対処体制

プロジェクトをプロセス化。受動的体制

予測がしづらく、管理も行き届いていない。状況に対し反応する受動的な体制

Page 8: Localization in SOE

• 作業プロセスの基準点を設定し、客観的に良し悪しの判断が可能となる

Capability Maturation Integration Model (CMMI)第四段階

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

組織をプロセス化。能動的対処体制

プロジェクトをプロセス化。受動的体制

予測がしづらく、管理も行き届いていない。状況に対し反応する受動的な体制

数値化プロセス性能を測り、数値化して管理する

Page 9: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)最終段階

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

組織をプロセス化。能動的対処体制。

プロジェクトをプロセス化。受動的体制。

予測がしづらく、管理も行き届いていない。状況に対し反応する受動的な体制

数値化プロセス性能を測り、数値化して管理する。

最適化プロセスの改善を重視する。

Page 10: Localization in SOE

無標準化

• 翻訳エンジンが使用されずに、効率が悪い

• 対訳ID振り分けが無く長期的な語彙や訳文の統一性が無い

• 標準化された翻訳データ共有フォーマットが無く、翻訳者の共同作業にならない

• アドホック(その場限りの)ローカライズ

標準化

• 翻訳エンジンが組織化される

• 英語対訳に個別なID

が振り分けられ、翻訳の共同資産として蓄積される

• 標準共有データ形式により、情報が共有

• これらにより、ワークフローがスムーズに流れ、問題対処も容易になる

最適化

• 翻訳エンジンが検索データを蓄積する

• 翻訳ストリングが状態を示す

• 文脈に対する文章コンテキストデータの共有

• ワークフロー自動化、そしてフィードバックの体系化

ローカライズ標準化の進化

Page 11: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)

デフアィンド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

数値化

最適化

CMMI第一段階のおさらい。初期段階では作業方式が

安定しておらず、そのため作業管理が困難である点がめ

だつ。ローカライズ環境も統一されておらず、何か問題

がおきても、場当たり的に解決せざるを得ない。

Page 12: Localization in SOE

具体的な問題初期

• 違うグループ、違う担当者、違う内容。それぞれの対応に追われる

– ファイル形式

– ファイルの交換方法(こっちはFTP,そちらはネットワークのシェア等)

• 実際の翻訳より、問題解決と火消しに追われる時間が多い

• 膨大な資料から翻訳を必要とする部分を人力で探す

• 翻訳者も何を翻訳しているのか理解できない

– ゲーム内でどう組み込むのかイメージができない

• 例)英語には無い女性と男性の言葉遣いの違い。キャラクター別口調の変化等

– 「GO!」:男性「行け!」女性:「お行きなさい!」

– 他の翻訳者の作業が確認できないので、経験の蓄積が偏り、遅い。

Page 13: Localization in SOE

初期段階で目立つ欠落

初期

問題の予測がしづらく、管理も困難

状況に対し絶えず反応する受動的な体制

翻訳エンジンの欠如

対訳IDの欠如

その場限りの翻訳データ形式

その場限りの翻訳ワークフロー

初期段階で大きく目立つのが、この四つの要素。

これらは、それぞれトラブルの種になる恐れがあ

るうえに、問題を場当たり的にしか解決できない。

Page 14: Localization in SOE

標準化が無い環境

問題:変化する文章へ対応ができない結果:翻訳クオリティの低下

問題:英語を元に検索することに結果:原文の些細な変化で対訳が見つからない

問題:毎回データ形式が変化してしまう。結果:ファイル紛失、データ破損、ユーザミス多発

問題:翻訳データベースの欠如結果:効率の低下、スケジュールの遅延

翻訳エンジンの欠如

対訳IDの欠如

その場限りの翻訳データ形式

その場限りの翻訳ワークフロー

それぞれの要因を掘り下げて調べてみる。翻訳エンジンにより、文章の変化に的確に対応できる。対訳IDの組み込みで、些細な変化(「Go!」から「Go!!」等)を察知して、自動的に対処できる。

Page 15: Localization in SOE

標準化の欠落による経済損失

6~12人月 エンジニアリング修正

不要な再翻訳:数万ドル追加費用

12~18人月 翻訳修正

過剰な人員要求とエラー頻発

翻訳エンジンの欠如

対訳IDの欠如

その場限りの翻訳データ形式

その場限りの翻訳ワークフロー

Page 16: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)

デフアィンド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

数値化

最適化

作業を管理化することで、プロジェクト内の作業を

一定した物にできる。問題対処はまだ場当たり的だ

が、作業の流れを区切る事で、明確に作業の問題点

を発見できる。

Page 17: Localization in SOE

初期ローカライズプロセスの流れ

新しいコンテンツ

データの目測

データ仕分けと送信

翻訳と質問・回答

QAとデバッグ

組み込みとデバッグ

コンテンツ更新

Page 18: Localization in SOE

初期状態からステップアップ

• まずは混乱の収縮から。ローカライズプロセスのそれぞれの段階で現場のノウハウ蓄積により、自然と上手な手段が構築される

• いつかは混乱の限界に到達する(混沌と管理能力の均衡)

• この時点で標準化のワンステップを踏む

– プロセスの標準化

– データ形式の標準化

– ツール群の標準化

• SCEは標準化のツールに「LAMS」,SOEは「C*STAR」を使っています。

Page 19: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

数値化

最適化

管理化を導入する事でプロジェクト単位の混乱が収束

できる。次のステップは各プロジェクトを受け入れる

ローカライズ体制を整備し、足場を固める事にある。

これによりプロジェクトごとに蓄積したデータ、経

験、ノウハウが次に生かせるようになる。

Page 20: Localization in SOE

標準化の導入

翻訳エンジンの欠如

対訳IDの欠如

その場限りの翻訳データ形式

その場限りの翻訳ワークフロー

組織化した

翻訳エンジン活用

対訳ID導入

標準翻訳データ形式

高効率、高水準の翻訳プロセス

Page 21: Localization in SOE

標準化の恩恵

ダイナミック文法により、より高いクオリティ

原文英語の変化を追跡

データの相互交換簡略化

翻訳データベース・ツール群の管理

組織化した

翻訳エンジン導入

対訳ID導入

標準翻訳

データ形式

高効率、高水準の翻訳プロセス

Page 22: Localization in SOE

新規コンテンツ

部分的翻訳(50% Disc)

完全一致(70% Disc)

外部翻訳

公開(15% Disc)

標準化による仕事量変化

仕事量の60%

仕事量の25%

仕事量の25%

Page 23: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

数値化

最適化

定義化を導入する事で一貫した翻訳体制を構築でき、プロェ

クト単位でのノウハウが共有できる。次に数値化を導入する

ことでローカライズのクオリティを測定し、結果をフィード

バックさせられる。このことで全体のシステムがさらに改善

できるようになる。

Page 24: Localization in SOE

最適化への道

プロジェクトごとの標準化•データ形式と方式の標準化

•XLIFF,JAVAプロパティ、XMLスキーマ

•ツールの標準化•プロセスの標準化

定義化

次のステップは標準化の数値化とその最適化•数値化のスケール、基準点を設ける•内部でクオリティを測定、フィードバックするシステムの構築•能動的にプロセスの改善、ノウハウ蓄積を共有する

数値化

•目標は全ての分野において改善を続ける事•コスト低減•クオリティ向上•作業速度向上、グループの対応力向上

最適化

Page 25: Localization in SOE

Capability Maturation Integration Model (CMMI)

デファインド(定義化)

マネージド(管理化)

初期

数値化

最適化

Page 26: Localization in SOE

標準化の最適化

翻訳エンジン検索履歴保存

ステータス履歴付き対訳ID

データベース

コンテキスト情報交換

作業自動化とフィードバック応答

組織化した

翻訳エンジン活用

対訳ID導入

標準翻訳データ形式

高効率、高水準の翻訳プロセス

Page 27: Localization in SOE

最適化したワークフロー

中核ツール

PMチーム

翻訳・QA

CS・コミュニティゲームデザイン(新規コンテンツ)

公開

Page 28: Localization in SOE

まとめ:結論

• 標準化=効率化– 翻訳の40%が内部ツールで処理

– 一つのMMOにつき、1人年のエンジニアリング時間節約

– 毎日更新しつつ、新規ビルド無しで10日で10.5万単語を処理

• 最適化=クオリティ– 正しい文法

– 文脈、発言キャラクターなど、コンテキストの充実による翻訳クオリティ向上

– QAの速度と生産性向上