mono 「atari/アタリ」の社員であった スティーブ …stay hungry, stay foolish 」...

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mono APPLE ●[アップル] SINCE1977 ~ VOL.117 1984「ATARI/アタリ」の社員であった スティーブ・ジョブズが そのATARIよりも電話帳で前に来るようにと 命名したのがAPPLEの社名の由来。 自分たちの発明がやがて、そんな電話帳が 不必要な時代を作り上げていくとは 当初は思っていなかったのかもしれない。 Photo/Apple Tomoaki Tsuruda(WPP) Text/Teruhiko Doi 写真:AP/アフロ 109 108

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Page 1: mono 「ATARI/アタリ」の社員であった スティーブ …Stay hungry, stay foolish 」 という一文。2005年6 リカの精神が見えてくる。言葉から1970年代アメまま言い表したようなこのアップルの企業理念をそのツイートで世界中に拡散。としてリツイートに次ぐリーチは〝伝説のスピーチ〞用した。その

monoAPPLE●[アップル]SINCE1977~

VOL.117

いまの十代にアップルという

会社のファウンデーションが

コンピュータであるという

認識はどのくらい

あるのだろうか。

アップルは、スマホやタブレット、

音楽事業だけの

メーカーではない。

その歴史の始まりは

マイクロコンピューター

「AppleⅠ」からのスタート

であるし、1984年に発売された

初代「Macintosh」もまた

コンピュータであった。

以降、アップル製コンピュータの

愛称が「Mac/マック」となった

ことも含めて、コンピュータこそ

アップルの根幹に位置する

製品カテゴリーなのである。

コンピュータは万能の

マシーンではない。

当然、人間の感性を表現できる

ものでもない。しかしマックは

それを操作する人間の

文脈を読み取り、

他のコンピュータにはない

個性を持ち続けている。

どこか人間臭いその個性こそが

人を夢中にさせる魅力なのだ。

「ATARI/アタリ」の社員であったスティーブ・ジョブズがそのATARIよりも電話帳で前に来るようにと命名したのがAPPLEの社名の由来。自分たちの発明がやがて、そんな電話帳が不必要な時代を作り上げていくとは当初は思っていなかったのかもしれない。

Photo/Apple    Tomoaki Tsuruda(WPP)Text/Teruhiko Doi

写真:AP/アフロ

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Page 2: mono 「ATARI/アタリ」の社員であった スティーブ …Stay hungry, stay foolish 」 という一文。2005年6 リカの精神が見えてくる。言葉から1970年代アメまま言い表したようなこのアップルの企業理念をそのツイートで世界中に拡散。としてリツイートに次ぐリーチは〝伝説のスピーチ〞用した。その

1998年の初登場から20年、

ディスプレイ一体型デスクトップ機「iMac」は

まったく新しいプロダクトライン

『iMac Pro』として、Mac史上最も進んだ

グラフィックスを始め、

ワークステーションクラスのパフォーマンスを

実現したマシンで脚光を浴びている。

プロのユーザーのためにデザインされた

このハイエンド機には、最大18コアの

Xeonプロセッサ、最大22テラフロップスの

グラフィックス処理などを搭載。

最も進んだグラフィックスと称賛される。

ディスプレイは27インチの

Retina®5Kディスプレイを採用し、

シームレスなガラスとアルミニウムで

形成された筐体の、シンプルで

スタイリッシュなフォルムの中に

Mac史上最高のパワフルさを

秘めているモデルとなった。

mono

iMac Pro/3.2GHz 8コアIntel XeonWプロセッサ。27inch Retina 5K P3ディスプレイ。価格60万3504円

ストロークの感覚まで計算し尽されたデザイン。アップル製品全般に共通するインターフェイスの気持ち良さ。

リアルタイムの3Dレンダリング、同じく4K及び8Kビデオ編集などもこなす、驚愕のパフォーマンスを実現。

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Page 3: mono 「ATARI/アタリ」の社員であった スティーブ …Stay hungry, stay foolish 」 という一文。2005年6 リカの精神が見えてくる。言葉から1970年代アメまま言い表したようなこのアップルの企業理念をそのツイートで世界中に拡散。としてリツイートに次ぐリーチは〝伝説のスピーチ〞用した。その

コンピュータに人格のような感性を与えてくれた

アップル・マッキントッシュへの変わらぬ愛

mono

 

アップルの歴史については数多く

の記録、出版物、映像などがあり、こ

こでそのすべてを語ることにあまり

大きな意味はない。ただ、ジョブズ

とウォズニアックという二人のス

ティーブが1976年に開発した

「Apple

Ⅰ」、その後の「App

le

Ⅱ」を経て、1984年に発表

した初代「Macintosh」の

発売以降、人類史に残るスピードで

さまざまなテクノロジーが進化した

ことは確かだ。すべての進化がMac

によるものと断言するわけではない。

しかしながら、その契機になったこ

とは確かだろう。

 

道具が道具たる所以は人間が行う

作業を手助けする存在であるという

こと。指先や爪といった人間の作業

の延長線上に道具があり、そして人

間が行う作業には必ず目的が存在す

る。その目的は仕事、趣味、創造活

動といった生産性を伴ったものであ

ったが、コンピュータという道具は、

そこに〝遊び〞や〝娯楽〞という一

面を持たせたことで、まったく新し

い道具の価値観を生み出したのだっ

た。同時にコンピュータは、あらゆ

る可能性が無限であることを、われ

われに教えてくれた。アップルのコ

ンピュータは、そうしたコンピュー

タの道具としての意義、あるべき姿

を、最も魅力的に示してくれた存在

なのである。筐体のフォルム、オー

ディオを始めとしたサウンドデザイ

ン、操作性、インターフェイスとい

ったエモーショナルデザインは、コ

ンピュータだけではなくアップル製

品全体の特長的な構成要素となった。

機能と同時に、あらゆる面でのデザ

インの重要性が検証され続けている

のが、創業当時から変わらぬアップ

ル製品の特長なのである。

 

アップデートが繰り返されるこの

世界で、いま一番新しいマックの魅

力をひと言でいえばシンプル&スタ

イリッシュ。コンピュータという道

具を上手く使いこなすのに必要なの

は、難解なプログラミング言語や知

識ではなく、好奇心とそれに伴う習

熟度。考えてみれば、単純な工具類

も使いこなすのには習熟度が必要と

なる。そして自分の手になじんで使

い慣れた道具は、もう手放すことが

出来ない存在となる。その伝で言え

ば、昨年6月に発売された最新の

「iMac」や「MacBook

pro」

は、コンピュータが最終的に到達す

べき未来の姿を示唆しているので

はないだろうか。何が出来るかでは

なく、何を感じるか。マックはそう

いうスタンスで向き合いたいコン

ピュータである。

もうその現物はほとんど存在しないと言われるほど希少な「Apple Ⅰ」。すべてはここから始まった。写真:Science & Society Picture Library/アフロ

Macintosh「128K」。アップルコンピューターが創業して、最初に発売されたMacintoshパーソナルコンピュータ。写真:AP/アフロ

最新の「MacBook Pro」。画面サイズ13インチと15インチの2モデル。タッチバーとタッチID搭載モデルもラインナップ。

オールドファンにとって、アップルといえばロブ・ジャノフがデザインしたこのマーク。1977年~1998年。写真:ロイター/アフロ

ホールアースカタログと

スティーブ・ジョブズ

 

1968年に創刊された

「ホールアースカタログ」。

当初はヒッピーコミュー

ンで発売されていた雑誌

だったが、やがてさまざま

な方面に影響力を及ぼし

た。1974年の最終巻、最

後のページに記されたのは

「Stay hungry, stay foolish

という一文。2005年6

月にスタンフォード大学卒

業式に招かれたスティー

ブ・ジョブズは、講演の最

後にこの一文をそのまま引

用した。その感動的なスピ

ーチは〝伝説のスピーチ〞

としてリツイートに次ぐリ

ツイートで世界中に拡散。

アップルの企業理念をその

まま言い表したようなこの

言葉から1970年代アメ

リカの精神が見えてくる。

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Page 4: mono 「ATARI/アタリ」の社員であった スティーブ …Stay hungry, stay foolish 」 という一文。2005年6 リカの精神が見えてくる。言葉から1970年代アメまま言い表したようなこのアップルの企業理念をそのツイートで世界中に拡散。としてリツイートに次ぐリーチは〝伝説のスピーチ〞用した。その

MacBook Pro(13インチ)/2.3GHzプロセッサ128GBストレージ価格15万4224円、2.3GHzプロセッサ256GBストレージ価格17万7984円、Touch BarとTouch ID&3.1GHzプロセッサ256GBストレージ価格21万4704円、Touch BarとTouch ID&3.1GHzプロセッサ512GBストレージ価格23万8464円。MacBook Pro(15インチ)/Touch BarとTouch ID&2.8GHzプロセッサ256GBストレージ価格27万9504円、Touch BarとTouch ID&2.9GHzプロセッサ512GBストレージ価格32万7024円、Touch Barなし2.2GHzプロセッサ256GBストレージ価格21万4704円

製品に関するお問い合わせは●アップルジャパンhttps://www.apple.com/jp

東大とMac東京大学は2016年2月に学内の教育用計算システム刷新に伴い、新しいiMacを1341台導入。Macの導入は2004年から4期連続。東大で最も多く使われているコンピュータはMacである。生協推奨PCは学生主導でMacBook ProとMacBookが採用された。

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