mr. bassman (ベースマン列伝) vol. evans trio (サウンドヒルズ: fscd-2038)...

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The Walker's 24 The Walker's 24 Mr. Bassman Vol.8 Scott LaFaro Profile Rocco Scott LaFaro LA NY LA R&B LA p LA Ed Dephouren http://www.geocities.com/chuck_ralston/ _slf.htm Chuck Ralston Helene The Walker's Photo by Mr. Ed Dephoure

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Page 1: Mr. Bassman (ベースマン列伝) Vol. Evans Trio (サウンドヒルズ: FSCD-2038) Kamuca-Feldman-Tjader Featuring Scott LaFaro Richie Kamuca/Victor Feldman/Cal Tjader (ヴァンテージ・レコード:

The Walker's 24The Walker's 24

Mr. Bassman (ベースマン列伝)  Vol.8ジャズにおいてベース弾きとは、 縁の下の力持ち、 水先案内人といったやや日陰の存在。 おまけに、 ウッドベースなら持ち運びも大変・・・。

だが、 黙々とベースをウォーキングさせ、 バンドをスイングさせることに魂を注ぐベースマンが、 一度化けの皮を剥ぐともの凄い名演・名盤が

生まれるのだ。 このコーナーでは、 そんなジャズ ・ベースマンの偉業を称えるとともに、 ジャズ ・ベースの素晴らしさを伝えていきたい。

Scott LaFaro 【スコット ・ ラファロ】

Profile1936 年 4 月 3 日ニュージャージー州ニューアーク生まれ。 本名は Rocco Scott LaFaro。 父親はヴァイオリニスト。 5歳の時に一家でニューヨーク州ジェネヴァに移住。 10 歳からピアノのレッスンを受け、14歳でバス・クラリネット、高校入学前後からテナー・サックスを始める。 高校卒業後にベースに転向。 その後、 イサカ音楽院で音楽理論を学び、 55 年秋にバディ ・ モロウ楽団に雇われ、 アメリカ ・ ツアーに同行。 翌 56 年にチェット ・ ベイカーのグループに参加。 57 年 5 月に同グループ脱退後の 12 月にシカゴで数週間パット ・ モラン等と活動。 58 年から 59 年春にニューヨークに進出するまでは、 ウエスト ・ コーストで腕を磨き、 天才的なプレイで頭角を現す。 ニューヨークでベニー ・ グッドマン楽団に参加した後、 59 年秋に、 ビル ・ エヴァンス ・ トリオに参加。その後、 オーネット ・ コールマンのグループでも活動するが、 同トリオでレコーディングした 「リヴァーサイド四部作」 は、 ジャズ史に残る伝説の名盤となり、 ビル ・ エヴァンスとのインタープレイ、 独特のビート感や斬新なベース・ラインで、 アコースティック・ベースの世界に革命をもたらした。 その 「四部作」 のうちのライヴ盤 『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』 『ワルツ・フォー ・ デビー』 2 作品がレコーディングされた 1961 年 6 月 25日から僅か 11日後の 1961年 7月 6日、“ニューポート・ジャズ・フェスティバル ”出演後、ニューヨークに帰る途中のハイウェイで、自らが運転する車を大木に激突させる自動車事故を起こし急死。享年 25歳。 遺体はジェネヴァのグレンウッド墓地に埋葬された。

25歳で夭逝した伝説の天才ベーシスト

≪ウエスト ・ コースト、 LA で開花したインクレディブル ・ジャズ ・ベース≫

 ニュージャージー州ニューアークで生まれ、 常に NY 進出後のビル ・ エヴァンス ・ トリオでのプレイにばかりスポットが当たるスコットだが、 彼の才能が開花したのはウエスト ・ コースト、 LA の土壌だ。 高校時代までテナー ・ サックスとバス ・ クラリネットを吹いていたが、 在学中にバスケットボールで唇に怪我を負い、 その頃に地元のクラブで偶然リロイ ・ ヴィネガーのベースを耳にする。 それが 1953 年の終わり頃。 リロイのベースに感銘を受けたスコットは、 卒業後にベーシスト転向を決意する。 その後、 R&B バンド~バディ ・ モロウ楽団~チェット ・ ベイカー ・ グループに参加するチャンスを得るが、 自分のテクニックに不満を抱いていたスコットは 1957 年 5 月にチェット ・ ベイカーのグループを離れ、 LA にあるロレイン ・ ゲラー (p) の別荘に半年近く立て篭もって猛練習の日々を送る。 その後のバーニー・ケッセル・グループやライトハウス・オールスターズへの参加。サンフランシスコで実現し、多大な影響を受けたソニー・ロリンズとの共演やハロルド・ランド・グループへの加入等、ウエスト・コーストでの一連の活動で、 あの脅威のベース ・ プレイが養われたのだ。 LA の土壌からは、 リロイ ・ ヴィネガー、 カーティス ・ カウンスやレッド・ミッチェルをはじめ、スコットと同じく 25歳で夭逝したアルバート・スティンソン、ボブ・ウィットロック、一時期スコットと同居していたチャーリー・ヘイデン、 ゲイリー・ピーコックなど、 多くの個性的で素晴らしいベースマンたちが輩出されている。

≪ビル ・エヴァンスの苦悩≫ ≪スコット ・ラファロ物語≫

“ 神の演出 ” と言われるビル ・ エヴァンスとスコットの出会い。

ポール ・ モチアンを加えたトリオで、 ピアノ ・ トリオの新境地を

開いた 「リヴァーサイド四部作」 (右頁参照) はジャズ史に残

る永遠の名盤。1961年7月6日、スコットの突然の死によるビル・

エヴァンスの落胆ぶりは言葉では表せない。 その後も何とか復

帰し、 チャック ・ イスラエル、 エディ ・ ゴメスなどスコットと似た

タイプのベーシストを雇うなど、 多くの素晴らしいアルバムを作

り出したが、 ドラッグに溺れるなど、 まるでスコットの死のショッ

クを引きずるかのような寂しげな晩年の姿は痛々しくもあった。

左上の Ed Dephouren 氏による写真は、 1961 年 7 月 2 日、

スタン ・ゲッツ ・カルテットで 『ニューポート ・ジャズ ・フェスティ

バル』 に出演した際のもので、 この 4 日後に亡くなったスコッ

トのおそらく最後の雄姿であろう。 この写真の件でも協力して

頂いたスコットに関するあらゆる情報を網羅した素晴らしいサイ

ト (http://www.geocities.com/chuck_ralston/08_slf.htm)

を立ち上げている米国在住の Chuck Ralston 氏は、 スコットの

実の姉 Helene さんとスコットに関する書籍を執筆中とのこと。

The Walker'sでも追って詳細をお伝えします。乞うご期待!

Photo by Mr. Ed Dephoure

Page 2: Mr. Bassman (ベースマン列伝) Vol. Evans Trio (サウンドヒルズ: FSCD-2038) Kamuca-Feldman-Tjader Featuring Scott LaFaro Richie Kamuca/Victor Feldman/Cal Tjader (ヴァンテージ・レコード:

The Walker's 25The Walker's 25

SL's Leader & Featured Album

SL's Support Album

本当の意味で、 単独名義のリーダー作は残されてはおらず、 25 歳という若さでこの世を去ったため

参加した作品数も多くはないが、この若き天才が弾くベースのインパクトは強烈! 正に伝説です!!

ハンプトン・ホーズ 『フォー・リアル』、 ブッカー・リトル 『ブッカー・リトル』、 オーネット・コー

ルマン 『フリー・ジャズ』 等、 ラファロの最高のベースが唸る他の作品も聴いてみて欲しい!

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��������四部作��超人気盤

伝説�������������

��

音源�厳選�収��国内企画盤!

�����������������

The Legendary Scott LaFaroScott LaFaro(Audio Fidelity: UXP-106) [LP]* 現在廃盤

this is Pat MoranPat Moran(ヴィーナスレコード : TKCZ-36002)

The Arrival Of Victor FeldmanVictor Feldman(ビクターエンタテイメント: VICJ-41698)

Kuhn with LaFaro 1960Steve Kuhn(P.J.L./ ポリスター: MTCJ-3024)

Memories For ScottyDon Friedman/Scott LaFaro( インサイツ:CMJD-20001)*現在廃盤

GypsyHerb Geller(ワーナーミュージック ・ジャパン: WPCR-25157)

The 1960 Birdland SessionsBill Evans Trio(サウンドヒルズ: FSCD-2038)

Kamuca-Feldman-Tjader Featuring Scott LaFaroRichie Kamuca/Victor Feldman/Cal Tjader(ヴァンテージ・レコード: NLP-5007) [LP]

Waltz For Debby+4Bill Evans Trio(ビクターエンタテイメント: VICJ-61321)

Pat Moran (p), Scott LaFaro (b),Johnny Whited (ds)

Richie Kamuca (ts), Victor Feldman (p, vib), Cal Tjader (vib), Carl Perkins, Vince Guaraldi (p), Leroy Vinnegar, Scott LaFaro (b), Tony Bazley, Stan Levey (ds), etc

Bill Evans (p), Scott LaFaro (b),Paul Motian (ds)

1957 年、 チェット ・ ベイカーのグループを離れ、 LA にあるロレイン ・ ゲラーの別荘に半年近く立て篭もって猛練習の日々を送った後の同年12月に、シカゴに赴き女性ピアニスト、パット ・ モランとドラマー、 ジョーニー ・ ホワイテッドのトリオで録音した音源だが、 実際には 『ディス ・ イズ ・ パット ・ モラン』 (下記参照) に収録のナンバーからパット ・ モランのソロ ・ピアノ曲をカットする等、 ジャケットをスコットの写真に差し替えたもの。「Onilisor」や 「Blues」 等で聴かせるスコットのベースはビル ・ エヴァンス ・ トリオ在籍時とは異なるむき出しのパワーを感じさせる。 スコットのベースも最高で、 このジャケットのデザインだけでもどうにかして手に入れたいアルバムだが、 残念ながら現在は廃盤となっている。

リッチー ・ カミューカ (ts)、 ヴィクター ・ フェルドマン (p, vib)、 カル ・ ジェイダー (vib)それぞれのグループの音源から、 スコット ・ラファロが参加した音源を集め、 スコットをフィーチャーして制作された国内企画盤。 全12 曲収録で、 A 面 1~3 のカミューカのカルテットによる音源のみベースはリロイ ・ ヴィネガーが弾いている (1957 年録音)。 他の9 曲は全てスコットがベースを弾いており、1958 年に録音されたものだ。 A 面 4~6 はカミューカのクインテット、 B 面 1~3 はフェルドマンのトリオ、 B 面 4~6 はジェイダーのクインテットによる音源。 A 面のピアノは全てカール ・ パーキンスで、 リロイとスコットのベースが同時に味わえるのも嬉しい限り。 現在入手困難だが、是非とも CD 化を願いたい!

スコット ・ ラファロといえば、 一般的にはまずドラムのポール ・ モチアンを加えたビル ・ エヴァンスのピアノ ・ トリオでのプレイが挙げられ、『ポートレイト ・ イン ・ ジャズ』 『エクスプロレイションズ』 『サンデイ ・アット ・ザ ・ヴィレッジ ・ヴァンガード』 『ワルツ ・ フォー ・ デビー』 の所謂 「リヴァーサイド四部作」 で繰り広げたビル ・ エヴァンスとのインタープレイは伝説の名演と称される。 四部作の中でも、この 『ワルツ・フォー ・ デビー』 は王道的名盤で、 1961 年 6月 25 日のこのライヴから 11 日後にスコットが亡くなったことも伝説化に拍車をかけた。 冒頭の 「マイ ・ フーリッシュ ・ ハート」 から 「ワルツ・フォー・デビー」 への流れは鳥肌もの。 「ワルツ ・フォー ・デビー」 のベース & インタープレイを聴かずしてスコット・ラファロは語れない。

女性ピアニスト、 パット ・ モラン ・ トリオ名義の作品で、 斬新なジャケット ・ デザインと共に、 スコットのベース音が最大限にフィーチャーされたことでも有名な人気盤。CD再発が期待される。1957年録音。

イギリスから移民したビクター ・ フェルドマン (vib, p) が、 若きスコットとスタン ・リーヴィー (ds) を従えて吹き込んだ米国デビュー盤。 スコットの魂のベースがビュンビュン唸りを上げる! 1958 年録音。

スティーブ ・ キューン (p)、 ピート ・ ラロカ (ds) とスコットのトリオによる幻のスタジオ音源。 録音は 1961年で、あのビル・エヴァンス ・ トリオ 「リーヴァーサイド四部作」の谷間に録音された貴重な記録!

ハンク (p)、 サド (tp)、 エルヴィン (ds) のジョーンズ 3 兄弟など豪華メンバーを従え、ハーブ ・ ゲラー (as) が人気ミュージカルに取り組んだ名盤。 本作が唯一のスコットとエルヴィンの共演は興奮もの! 1959年録音。

エヴァンス、 スコット、 モチアンの伝説のビル・エヴァンス・トリオによる NY の 「バードランド」 での貴重なライヴ ・ セッションを収めた記録。 3 人の勢いが凄まじい!録音は 1960 年 3月 12日~ 4月 19日。

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収��幻&伝説����録音!

���������初期�����

スコットの親友でもあったドン ・ フリードマン (p) が 1961 年にスコットと録音したナンバーと、 スコットを追悼して 1985 年に録音したナンバーを収録した幻の自主制作盤。 ドン ・ フリードマンのピアノが美しい。

[Side-1] 1. Making Whoopee 2. In Your Own Sweet Way 3. Onilisor 4. Come Rain or Come Shine[Side-2] 1. Blackeyed Peas 2. I Could Have Danced All Night 3. Yesterdays 4. Blues

[Side-A] 1. Too Closer For Comfort 2. What's New3. Just Friends 4. Cherry 5. Deep In Dream6. Chart Of My Heart [Side-B] 1-6

1. My Foolish Heart 2. Waltz For Debby (Take2) 3. Detour Ahead (Take2) 4. My Romance (Take1) 5. Some Other Time 6. Milestones 7. Waltz For Debby (Take1) 8. Detour Ahead (Take1) 9. My Romance (Take2) 10. Porgy (I Loves You, Porgy)