multi-agent simulation · multi-agent simulation の特徴 モデルリング方法...
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Multi-Agent Simulation 知的都市基盤工学5月30日(水)5限(16:30~18:10)
Contents
1. Multi-Agent Simulation の概要
2. 既存の Multi-Agent Simulation研究
• Replicator Dynamics
• Artificial Society
1. Multi-Agent Simulationの概要
Contents1. Multi-Agent Simulationの背景
• 第三モードの科学研究法
2. Multi-Agent Simulation の特徴
• トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ
3. ロトカ・ボルテラ競争系に基づく比較
•トップダウンモデルのデモ
• ボトムアップモデルのデモ
背景 1
シミュレーションの必要性
第三モードの形成 (1980~): Doing Science in the Third Mode
コンピュータ シミュレーション
理論的手法、実験的手法に続く第三の科学的手法
• 実験的手法の限界
• 理論的手法の限界
手続きが分かっていても実際的に分析不可能な数式計算、証明
時間、費用により実験不可能な事象
特定の状況において追跡、分析可能
形成の要因
シミュレーションにより再現可能
背景 2
シミュレーション導入による影響
理論 実験
実験結果に基づく理論の構築
理論 実験
シミュレーション
実験に基づくシミュレーションの
施行
シミュレーションに基づく実験の施行
理論の検証のためのシミュレーションの
施行
シミュレーションに基づく理論の構築
理論の検証のための実験の施行
第三モード(シミュレーション)の実用化
(1980~)
理論、実験では回避不可能な欠落を補完する可能性
Multi-Agent Simulation の特徴
モデルリング方法
トップダウン・アプローチ と ボトムアップ・アプローチ
マルチエージェントモデル=ボトムアップ・アプローチ
エージェント…システムの意思決定主体の最小単位
e.x.) システムダイナミクス
システムの最もマクロ的な状況のモデリングからはじまり、そのマクロモデルの各要素をさらに分割して、基本的な要素に帰着させる
トップダウン・アプローチ従来の微分方程式モデル
e.x.) マルチエージェントモデルボトムアップ・アプローチ
システムの最もミクロな要素の記述からはじまり、それぞれの相互作用を積み上げてよりマクロな状況を記述していく。最終的に目的のシステム全体としてのモデリングをおこなう
Multi-Agent Simulation の適用 1
社会科学全般の目的
巨視的な秩序と個人の行動の関連性についての仮説の検証
• 特定のルールに従う個人の集合 → 社会全体としても固有の性質の形成
• マクロレベルの秩序や挙動 → ミクロな構成要素の振舞や相互作用に影響
• 合理的行為者の仮定
• 個人の異質性の抑制
従来のモデル
サブ個体群に所属するメンバーは区別不可
完全情報と無限の計算能力を所有
変化のない外生的な効用関数を最大化
• 時系列的なダイナミクスの欠如
• 空間的要素の欠如
ゲーム理論や一般均衡理論の扱う静的平衡
Multi-Agent Simulation の適用 2
• 社会的に悪影響のある実験は禁止
• 履歴現象により繰り返し実験が不可能
従来の社会科学研究の問題点
• 合理的行為者の仮定
• 個人の異質性の抑制
• 空間的要素の欠如• 時系列的なダイナミクスの欠如
意思決定主体をシステムの最小単位として扱う
• ルールに従った個人が人工環境の中で演じる行動の相互作用
集合的な構造をボトムアップに育成
基礎的な社会構造や群行動が創発され得るようなモデル
• 各個人の情報と計算能力に依存した限られた範囲のルール
=
マルチエージェントシミュレーションが有効
問題点克服に必要とされる要素
トップダウンと ボトムアップの比較
シミュレーション結果を比較
それぞれのアプローチの長所、短所を比較
システム : ロトカ・ボルテラ捕食系
トップダウン・アプローチでモデリング
捕食者と被食者(餌生物)の個体数の動態
ボトムアップ・アプローチでモデリング
ロトカ・ボルテラ捕食系
捕食者と被食者(餌生物)の個体数の動態
e.x.) キツネとウサギ、サメとサカナ
• 捕食者:被食者を捕食して増殖
捕食成功→増殖 捕食失敗→餓死
• 被食者:捕食せずに増殖可能
予想されるシナリオ
被食者の増加
餌が十分 捕食者の増加
餌の過剰消費
被食者の減少捕食者の減少
モデリング方法
捕食者と被食者の個体数の動態
ボトムアップ・アプローチ
捕食者と被食者の各個体の増殖ルール、その他の行動ルールを記述
捕食者と被食者の相互関係(捕食ルール)を記述
ミクロレベルの構成要素間の振る舞いや相互作用に着目
捕食と被食
トップダウン・アプローチ
捕食者と被食者の数の関係を平均増殖速度、平均捕食速度、
平均死亡率等のマクロ係数を用いて記述
マクロレベルの秩序や挙動に着目
トップダウン・アプローチ 1
捕食者と被食者の個体数の動態を微分方程式で記述
axyrxdtdx
−= cybxydtdy
−=
:被食者の平均増加速度
x:被食者の数
:被食者の増加数dtdx
y:捕食者の数
axy
rx
:被食者の平均捕食速度
dtdy
bxy
cy
:捕食者の増加数
:捕食者の平均増加速度
ランダムに出会った場合に
:餌がないときの
• 想定する領域内では捕食者と被食者は均一に分布
• 全ての被食者、捕食者は同質
前提条件
ある割合で食べられる
(指数増殖)(指数増殖)
捕食者の平均死亡率
トップダウン・アプローチ 2
)1()1( hxaxyKxrxdtdx
+−−= cyhxbxydtdy
−+= )1(
x:被食者の数 y:捕食者の数
rx axy bxy
環境収容力の限界
捕食速度の減少捕食速度:被食者の増加と共に増加
拡張
上限 を設定…食べきれなくなるために飽和
捕食者がいないときでも被食者は無限大に増殖しない
環境収容力K に収束
ha
変更 変更 変更
トップダウン・アプローチ 3
• Demo
トップダウン・アプローチ 4
=ar
4000=bc
トップダウン・アプローチ 1 トップダウン・アプローチ 2
各ケースの軌道
7000
1000 60002000
0 100000
10000
100000
0
10000
3333
x:被食者の数
y:捕食者の数
x:被食者の数
y:捕食者の数
y:捕食者の数
x:被食者の数
平衡点
平衡点
ボトムアップ・アプローチ 1
被食者捕食者
増殖ルール
移動ルール
捕食ルール
• 想定する領域内では捕食者と被食者は移動可能(重複不可)
• 全ての被食者、捕食者は同質
前提条件
捕食者と被食者の増殖ルール、捕食ルール、移動ルールを記述する
1グリッドに1エージェント
上下左右の4近傍に空いたグリッドがあれば、そこに子供を産む
上下左右の4近傍に被食者が
いれば捕食可能
上下左右の4近傍の空いたグリッドに移動可能
入力情報
A上下左右の4方向距離2のグリッドの状況
ボトムアップ・アプローチ 2
• Demo
ボトムアップ・アプローチ 3
拡張被食者の移動ルールの変更
被食者は移動できない
被食者の移動ルール上下左右の4近傍の空いた
グリッドに移動可能
ボトムアップ・アプローチ 4
• Demo
ボトムアップ・アプローチ 3
各ケースの5回分(5000~5200)に基づく軌道
ボトムアップ・アプローチ 2
1000000
10000
1000
1000 4000
x:被食者の数
y:捕食者の数
トップダウン・アプローチ 1
1000000
10000
1000
1000 4000
y:捕食者の数
x:被食者の数
比較
エージェント数多少複雑な行動
比較的単純な行動510 710~210 410~
計算機の有効桁数
プログラム
ボトムアップ・アプローチトップダウン・アプローチ
解析
拡張
係数
大域的な挙動がパラメータの変化に基づいて数学的に解析可能
比較的簡単
微分方程式に対する理解がないと困難
比較的簡単
乱数を使用しているので統計的な処理が必要
モデル化 比較的簡単
微分方程式に対する理解がないと困難であり、モデル化できない場合もある
比較的簡単 煩雑
微分方程式に対する理解がないと困難であり、拡張範囲も限定