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化学I
第2章
原子の電子構造と元素の周期律(7)
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補講の予定
6月18日(金)4限(118M講義室)7月 2日(金)3限(115M講義室)7月16日(金)3限(118M講義室)7月23日(金)3限(118M講義室)
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授業計画
1回 物質観の進歩と自然科学の発展
2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-
3回 水素原子の電子スペクトル
4回 Bohrの水素原子模型
5回 物質の波動性
6回 量子数
7回 原子の電子配置と周期律表
8回 化学結合 ―イオン結合―
9回化学結合 ―共有結合―
10回 化学結合 ―分子軌道法―
11回 分子の構造―共有結合の方向性―
12回 配位結合
13回 金属結合,多重結合
14回 水素結合
15回 期末試験
授業計画1回 物質観の進歩と自然科学の
発展
2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-
3回 水素原子の電子スペクトル
4回 Bohrの水素原子模型
5回 物質の波動性
6回 量子数
7回 原子の電子配置と周期律表
8回 化学結合 ―イオン結合―
9回化学結合 ―共有結合―
10回 化学結合 ―分子軌道法―
11回 分子の構造―共有結合の方向性―
12回 配位結合
13回 金属結合,多重結合
14回 水素結合
15回 期末試験
シュレディンガーの波動方程式
“波の立場からの電子の分布を記述する式”
E: 電子の全エネルギーV : ポテンシャルエネルギー
j : 波動関数 (orbital)→ 粒子の位置を表す直交座標系(x,y,z)の関数
jj
j
Er
e
zyxm
h
0
2
2
2
2
2
2
2
2
2
48
•電子が空間の微小体積dxdydz中に存在する確率をj2dxdydz で表すことができる.つまり、電子がかなりの確率で存在する場所を計算できる.
•計算結果は三次元で示せる.
量子数(電子の運動状態やエネルギー状態を示す)
①主量子数(principal quantum number):
n = 1, 2, 3, 4・・・
②方位量子数(azimuthal quantum number) :
l = 0, 1, 2, ・・, n-1
③磁気量子数(magnetic quantum number):m = 0, ±1, ±2, ・・, ± l
④スピン量子数(spin quantum number):s = ±1/2
主量子数と方位量子数
②方位量子数 : l = 0, 1, 2, ・・, n-1
電子の軌道の形を規定し、主量子数よりさらに電子のエネルギーを細分化(s軌道、p軌道、d軌道、f軌道…)。
①主量子数: n = 1, 2, 3, 4・・・電子のエネルギー状態や軌道の広がりのかなりの部分を決める。
n 1 2 3 4 5 6 7
電子核の記号 K L M N O P Q
l 0 1 2 3
記号 s p d f
軌道の形(電子雲の形)
s軌道:球面の軌道
p軌道:px, py, pzがそれぞれx軸、y軸、z軸方向に膨らんだ方向性をもつ軌道
d軌道:より複雑な5つの軌道
f 軌道:より複雑な7つの軌道
s: sharp
p: principal
d: diffuse
f: fundamental
磁気量子数とスピン量子数
③磁気量子数(magnetic quantum number):m = 0, ±1, ±2, ・・, ± ℓ
(2p では2px, 2py, 2pz)
負電荷を帯びた電子が正電荷を帯びた原子核の周りを回っていることによって生じる磁場によって分裂した軌道を規定し、軌道の広がる方向を示す。
スピン量子数
④スピン量子数(spin quantum number):s = ±1/2 [↑(up), ↓(down)]
電子の自転の方向を記述
(各軌道には、スピン量子数に応じて電子は最大2つずつ入り得る。右、左周りに対応。)
軌道と電子数
殻 K L M
主 量 子 数 n 1 2 3
軌 道 名
1s 2s 2p
2px 2py 2pz
3s 3p
3px 3py 3pz
3d
3dxy 3dyz 3dzx 3dz2 3dx2-y2
収 容 で き る電 子 数
2 2 6 2 6 10
nの値における最大電子数(2n2)
2 8 18
各軌道のエネルギー準位
1s < 2s < 2p < 3s < 3p < 4s < 3d < 4p < 5s < 4d
< 5p < 6s < 4f < 5d < 6p < 7s < 5f < 6d
主量子数が同じであれば、方位量子数の大きな軌道のエネルギー準位が高い.
同じ方位量子数の軌道を比較すると,主量子数の大きな軌道のエネルギー準位が高い.
授業計画1回 物質観の進歩と自然科学の
発展
2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-
3回 水素原子の電子スペクトル
4回 Bohrの水素原子模型
5回 物質の波動性
6回 量子数
7回 原子の電子配置と周期律表
8回 化学結合 ―イオン結合―
9回 化学結合 ―共有結合―
10回 化学結合 ―分子軌道法―
11回 分子の構造―共有結合の方向性―
12回 配位結合
13回 金属結合,多重結合
14回 水素結合
15回 期末試験
電子配置(その1)
○軌道:電子の入れ物
軌道に電子をつめてゆくこと→ 電子配置
最もエネルギーが低くなるように電子を詰めた電子配置(つめ方)→ 基底状態(ground state)
それ以外のエネルギーの高い配置(つめ方)→ 励起状態(excitation state)
電子配置(その2)
○基底状態の原子内の電子配置の仕方→ ただ一つ
①電子はエネルギー準位の低い軌道から順番に入ってゆく。
②電子はスピン(↑,↓)ができるだけ平行になるように軌道に入る。
(フントの法則)
③同一原子内には4種類の量子数がまったく同じである電子は存在しない。
(パウリの排他原理)
実際の電子のつめ方(その1)
①最初の電子は、エネルギー準位の最も低い1s 軌道に入る。
② 2番目の電子は、電子のスピン(自転)を逆にして同じく1s 軌道へ
③ 3番目の電子は、1sよりエネルギー準位の高い2s 軌道へ
実際の電子のつめ方(その2)
④ 2s 軌道が2つの電子で満たされていると5,6,7番目
の電子はフントの規則に従ってスピンが平行(すべて↑)になるように2p軌道(2px, 2py, 2pz)に入る。
⑤ 8番目から10番目の電子は逆スピンになって順次2p軌道に入る。
実際の電子のつめ方(その3)
・化学結合を決めるのは、最も外側の軌道を回っている最外殻電子。
・典型元素(typical element):s軌道またはp軌道に電子が順に配置されている元素
・遷移元素(transition element):d軌道またはf軌道に電子が配置されている元素
(s軌道やp軌道の電子は、(多くの場合)最外殻電子となり化学結合を決める。しかし、電気的特性(伝導度、磁気的性質)はd軌道やf軌道の電子が決めることが多い。)
基底状態の電子配置と表記法
元素 1s 2s 2p 記号
1H (1s)1
2He (1s)2
3Li (1s)2(2s)1
4Be (1s)2(2s)2
5B (1s)2(2s)2(2p)1
6C (1s)2(2s)2(2p)2
7N (1s)2(2s)2(2p)3
8O (1s)2(2s)2(2p)4
9F (1s)2(2s)2(2p)5
10Ne (1s)2(2s)2(2p)6
基底状態の電子配置と表記法
元素 1s 2s 2p 3s 3p 3d 4s
19K
20Ca
21Sc
22Ti
23V
24Cr
25Mn
26Fe
27Co
28Ni
29Cu
30Zn
2.10元素周期律の発見
18世紀以降 多数の元素が発見⇒ 19世紀に入って、元素を分類する試み
1810年 Berzelius 元素を電気的に陽性のものと陰性のものとに分類
1817年 Döbereiner 三つ組元素を提唱
Li Na K Cl Br I Fe Co Ni
7 23 39 36 80 127 56 59 59
1862年 de Chancourtois
1863年 Newlands 元素を原子量の順番に並べると周期的に性質の似た元素が並ぶことを指摘
メンデレーエフ
1869年 メンデレーエフ(ロシア)
•当時発見されていた63種類の元素を原子量の順
に並べると、元素の性質が系統的かつ周期的に変化することを見いだした。
•表の中で欠けている元素の存在を予言し、性質を予想。
•後に、メンデレーエフが予言した元素が発見されたことによって、周期表の評価が高まった。
当時はまだ原子、電子、電子軌道などという概念なし。
⇒ どのような周期性が現れるのであろうか?
メンデレーエフ手書きの周期律表
Mendeleevの周期表
Reihen
Gruppe 1
–
R2O
Gruppe 2
–
RO
Gruppe 3
–
R2O3
Gruppe 4
RH4
RO2
Gruppe 5
RH3
R2O5
Gruppe 6
RH2
RO3
Gruppe 7
RH
R2O7
Gruppe 8
–
RO4
1 H=1
2 Li=7 Be=9.4 B=11 C=12 N=14 O=16 F=19
3 Na=23 Mg=24 Al=27.3 Si=28 P=31 S=32 Cl=35.5
4 K=39 Ca=40 – = 44 Ti=48 V=51 Cr=52 Mn=55Fe=56 Co=59
Ni=59 Cu=63
5 (Cu=63) Zn=65 – = 68 – = 72 As=75 Se=78 Br=80
6 Rb=85 Sr=87 ?Yt=88 Zr=90 Nb=94 Mo=96 – = 100Ru=104 Rh=104
Pd=106 Ag=108
7 (Ag=108) Cd=112 In=113 Sn=118 Sb=122 Te=125 J=127
8 Cs=133 Ba=137 ?Di=138
9 (–) – – – – – – – – – –
10 – – ?Er=178 ?La=180 Ta=182 W=184 –Os=195 Ir=197
Pt=198 Au=199
11 (Au=199) Hg=200 Tl=204 Pb=207 Bi=208 – –
12 – – – Th=231 – U=240 – – – – –
メンデレーエフの予言と発見された元素の比較
元素の性質メンデレーエフの予言(エカシリコン)
実際に発見されたゲルマニウムの価
差
原子量 72 72.59 0.59
原子価 4 4 的中
密度 (g/cm3) 5.5 5.23 0.27
色 灰色 灰色 的中
融点 (℃) 高い 937.4 ほぼ的中
酸化物 RO2 GeO2 的中
塩化物 RCl4 GeCl4 的中
塩化物の融点 (℃) 90 84 6