nmrデヸタ処理の流れ【delta版】analysis.sci.osaka-u.ac.jp/dl/delta_pro.pdfdeltaを使った1d,2dデヸタの処理については,それぞれ,p.15~,p.33~...

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- 1 - NMRタ処理の流れ【Delta版】 新規ザ向け 始めてNMRタの処理をするときは,次の手順を参考に行うとよい タ処理ソの選定 ソのイス,セア NMR測定タの取得 1Dタ処理,2Dタ処理 タ処理果の出力(PDF) PDFタの集 → ソへ貼りけ タ処理ソの選定 NMR測定用PC(NMR分光計と通信して測定制御するためのPC)外の個所有あるいは研究室所 有のPCやMacでNMRタの処理を行うとなれば,独自にソを準備しなければならない. タ処理ソはいくつか存在するが,理分析機器測定室NMR室(,NMR室)の推奨は,現在 「ALICE2 Ver.6」(「ALICE2」)と「Delta Ver.5」(「Delta」)である(いずれも日本 電子(JEOL)社製).者はそれぞれ記の特徴があるので,ザは,自身の業環境を考慮して選定 するとよい (1) ALICE2 MS-Windowsで動する. 有償であるが,NMR室のザは,NMR室で手配している クイセス版の「NetALICE2」(現行は「Network ALICE2 Client Version 6.1」)を利用す ることができる 10イセス版のNetALICE2(最大同時利用者は10名)が,”化学高分子ク”の サPCにイスされているので,これにアクセスすることで,ザは単な初期設定で同 クにつながったPCならどこででもALICE2を使用できるようになる 対応OS: MS-Windows 95 / 98 / Me / NT4.0 / 2000 / XP ⇒ Windows VISTA / 7 および Mac OS,Linux には非対応 ※ 部機能に具合が出る.XPでは正常動する ⇒ クイセス版なので”化学高分子ク”のアクセス環境で ないと利用できない (2) Delta 対応(MS-Windows / Mac OS X / Linux)で多言語イタェイス(日 本語, 英語, )の無料試用版(現在の最新ジは Version 5.0.2)が,単なザ登録,イ セス登録をするだけで利用できるようになる. JEOL機でNMR測定する場合に使用するソ の”NMR data processing only”版である 対応OS: MS-Windows XP / Vista / 7,Mac OS X 10.3降,Linux ⇒ MS-Windows XP Home Edition / Vistaではイスが正常に動し ない場合がある

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Page 1: NMRデヸタ処理の流れ【Delta版】analysis.sci.osaka-u.ac.jp/dl/delta_pro.pdfDeltaを使った1D,2Dデヸタの処理については,それぞれ,p.15~,p.33~ の別篨にある箎易

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NMRデータ処理の流れ【Delta版】

~ 新規ユーザ向け ~

始めてNMRデータの処理をするときは,次の手順を参考に行うとよい

1 データ処理ソフトの選定

2 ソフトのインストール,セットアップ

3 NMR測定データの取得

4 1Dデータ処理,2Dデータ処理

5 データ処理結果の出力(PDF)

6 PDFデータの編集 → ワープロソフトへ貼り付け

1 データ処理ソフトの選定

NMR測定用PC(NMR分光計と通信して測定制御するためのPC)以外の個人所有あるいは研究室所

有のPCやMacでNMRデータの処理を行うとなれば,独自にソフトを準備しなければならない. デー

タ処理ソフトはいくつか存在するが,理・分析機器測定室・NMR室(以下,NMR室)の推奨は,現在

「ALICE2 Ver.6」(以下「ALICE2」)と「Delta Ver.5」(以下「Delta」)である(いずれも日本

電子(JEOL)社製).両者はそれぞれ下記の特徴があるので,ユーザは,自身の作業環境を考慮して選定

するとよい

(1) ALICE2

MS-Windows上で動作する. 有償であるが,NMR室のユーザは,NMR室で手配しているネット

ワークライセンス版の「NetALICE2」(現行は「Network ALICE2 Client Version 6.1」)を利用す

ることができる

10ライセンス版のNetALICE2(最大同時利用者は10名)が,”化学・高分子ネットワーク”上の

サーバPCにインストールされているので,これにアクセスすることで,ユーザは簡単な初期設定で同ネ

ットワークにつながったPCならどこででもALICE2を使用できるようになる

対応OS: MS-Windows 95 / 98 / Me / NT4.0 / 2000 / XP

⇒ Windows VISTA / 7

および Mac OS,Linux には非対応

※ 一部機能に不具合が出る.XPモードでは正常動作する

⇒ ネットワークライセンス版なので”化学・高分子ネットワーク”のアクセス環境で

ないと利用できない

(2) Delta

マルチプラットホーム対応(MS-Windows / Mac OS X / Linux)で多言語インターフェイス(日

本語, 英語, 他)の無料試用版(現在の最新リビジョンは Version 5.0.2)が,簡単なユーザ登録,ライ

センス登録をするだけで利用できるようになる. JEOL機でNMR測定する場合に使用するソフト

の”NMR data processing only”版である

対応OS: MS-Windows XP / Vista / 7,Mac OS X 10.3以降,Linux

⇒ MS-Windows XP Home Edition / Vistaではインストーラが正常に動作し

ない場合がある

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2 Deltaのインストール,セットアップ

Version 5の最新リビジョンのインストールは,JEOL NMRサポートサイト

(http://nmrsupport.jeol.com/Default.aspx)でユーザ登録してダウンロードし,セットアップする

セットアップ後に,同じサイトでライセンス登録(→ ユーザ登録とは別物)して,ライセンスキー(1

0桁の英数字)の発行手続きをし,キーを取得することが必要である(キーを取得してソフト側で登録

入力しないと,起動するごとに15分間の利用時間制限がかかる). なお,キー登録入力は1回行えば

その後は不要.

①①①①ユーザユーザユーザユーザ登録登録登録登録

②②②②ユーザユーザユーザユーザ登録後登録後登録後登録後にににに,,,,改改改改めてめてめてめて

元元元元のサイトへのサイトへのサイトへのサイトへ戻戻戻戻りりりり,,,,Log InLog InLog InLog In

サイトへサイトへサイトへサイトへ行行行行くくくく

③③③③ Log In Log In Log In Log In してダウンロードしてダウンロードしてダウンロードしてダウンロードサイトへサイトへサイトへサイトへ

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前頁のサイトでLog Inし,下図の「License Keys」タブ,または「Obtain a Licence Key」のリン

クをクリックし,発行手続きをすすめる

※ 「Delta Machine ID」には,[Delta

Console]ウィンドウで,メニュー

バー[Options]→[License Key]を

選択し,立ち上がる[Delta License

Key]ダイアログBOXに記載された

10文字の文字列を入力する

サイト上でライセンスキーが付与

されたら,先の[Delta License Key]

ダイアログBOXの入力BOXに与えら

れた10桁のキーを入力し, Save

Keyボタンをクリックする

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3 NMR測定データの取得

理・NMR室でNMR測定したデータは,”化学・高分子ネットワーク”を介して手元の自身の端末へ

FTPダウンロードすることでも取得できるので,簡易でフリーなFTPクライアントソフトを紹介してお

サーバのアドレスやログイン名,パスワードなどは,NMR室へ照会すること

(1) FFFTP

作業環境が,MS-Windowsであれば,NMR室の[ダウンロード]サイトか

ら「FFFTP.zip」をクリックしてダウンロードし,それをクリックして解凍し,

インストーラ「ffftp-1.96d.exe」でインストールする

その後FFFTPを起動し,メニューバーの[接続]→[設定 ▶]→[設定をファイルから復元]を選択して,

解凍先のフォルダ内にある「FFFTP.reg」を[開く].

[レジストリエディタ]ウィンドウが立ち上がるので,[はい]の方をクリックして,続いて,[OK]をク

リックする

さらに,FFFTPの再起動を求められるので,

[OK]をクリック

これで,再起動すればセットアップ完了である

FFFTP は,よくある三面分割型(3PANE 型)

の GUI,左側がローカル(クライアント側),右

側がリモート(サーバ側),下側に作業履歴が表

示される.

NMR 室からダウンロードした場合は,NMR

各室のサーバへのアクセス設定などがあらかじ

めされているので(先述の「FFFTP.reg」),

セットアップ後にすぐに使い始めることができ

(2) Cyberduck

対応OSは, Mac OS X 10.5以降.

ダウンロードは,http://cyberduck.ch/ から.

初回のみ[新規接続] をクリックして,[サーバ],[ユー

ザ名],[パスワード]を入力し,接続をクリックする

メニューバーで[ブックマー

ク]→[ブックマークを表示/隠

す]を選択し,左下隅の + ボタ

ンを押して,今の設定結果に[ニ

ックネーム]を付けて保存して

おけば,次回からは[クイック接続]プルダウンリストから選択することで接

続できる

なお,このソフトは3PANEではないので,ローカルとリモートの両方を

同時に表示することはできないが,ダウン

ロードには,デスクトップ等へのドラッグ

&ドロップが効く

CyberduckCyberduckCyberduckCyberduck のスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショット

FFFTPFFFTPFFFTPFFFTP のスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショット

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(3) その他

Linuxなら「gFTP」 がある

その他に,マルチプラットホーム(Windows XP,Vista,7

とMac OS X 10.5以降およびLinuxに対応)の「FileZilla Client」

がある

もし普段使っているブラウザがFirefoxなら,「FireFTP」

のアドオンを入れるだけで,ブラウザにFTPクライアント機能を

付加できる(Firefoxのタブ内だけでFTP作業が完結

→ https://addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/fireftp/)

4 1Dデータ処理,2Dデータ処理

Delta を使った1D,2D データの処理については,それぞれ,p.15~,p.33~ の別紙にある簡易

マニュアルを参考にすること

5 データ処理結果の出力(PDF)

データ処理の結果で解析するだけなら,紙への印刷でよいが,レポートなどへ仕上げるため

にワープロソフトへ NMR スペクトルを貼り付けるような場合には,PDF ファイルとして出力

したものを介することになる

6 PDF データの編集 → ワープロソフトへ貼り付け

PDF 出力されたスペクトルはベクトルデータなので,Adobe Illustrator などのドロー系ソ

フトで線やテキスト・フォントを編集できる。(バージョン4ではポストスクリプトプリンタ

限定であったため PDF 化の前に変更することができたが,バージョン5からインクジェットプ

リンタ等に対応したことによりこれができなくなった)

NMR スペクトルを,ビットマップ画像(ラスタ画像)としてではなくベクトル画像として認

識し編集できるソフトであれば,スペクトルを任意に拡大しても,それによってスペクトル形

状の精緻さが画像劣化することはない

※ テキストのフォント変更,色変更,サイズ変更,加筆・変更・削除など

NMR スペクトルの範囲拡大,線種変更,線幅変更,線色変更,積分領域の塗り潰しなど

別添の【参考資料】に,一例として,フリーソフトの Inkscape による NMR スペクトル・チ

ャートの編集を説明してあるので,SVG 形式や PDF 形式でワープロソフトに貼り付けること

ができる

以上

gFTPgFTPgFTPgFTP のスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショットのスクリーンショット

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【参考資料】

NMRスペクトルPDFチャートの編集

【 「Inkscape」 】

Inkscape は,アドビシステムズ社のIllustrator,コーレル社のCorelDraw,あるいは英Xara Group

社のXara Xと同種の機能を持つ,W3C (World Wide Web Consortium) 標準のScalable Vector

Graphics (SVG)ファイル形式を使用したオープンソース・ベクターグラフィックエディタである

(2003年に Sodipodi のフォークとしてスタートした)

クロスプラットフォームで,UNIX系OS,Mac OS X,MS-Windows で動く

【SVG】 コンピュータで扱われる画像の種類は,ビットマップ画像(ラスタ画像)とベクトル画像

に大別される.ビットマップ画像は,画像を色情報を持たせた「画素」を並べて表現したも

ので,これに対してベクトル画像は,円弧,直線などの要素を位置,色,形態などを指定す

ることにより表現したものであり,SVGファイルとは,ベクトル画像を扱うことができるも

のである. SVG形式は広くグラフィックソフトで使用されているオープンな標準であり,

XMLを基準としているので,これを基準としたあらゆるテキストエディタやXMLエディタ

で編集ができる

ベクトル画像は,点や線や色などのデータを数値で記録しているので,拡大縮小しても画像劣化がな

い.SVG ファイルを扱えるソフトとしては前述の Illustrator などが高名だが,Inkscape は無料で使え

るメリットがある

以下に,次の手順で,InkscapeによるNMRスペクトルPDFチャートの編集について概説する

1 PDFデータのインポートと,ホットキー,ツール

2 選択ツール

3 テキストの編集

4 スペクトルの編集

5 保存

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1 PDFデータのインポートと,ホットキー,ツール

http://inkscape.org/ (またはそのミラーサイトなど)で

「公式リリースパッケージ」の Inkscape をダウンロード・イ

ンストールする(2012 年 4 月現在,安定版リリースは,0.48.2.

MS-Windows 版,Mac OS X 版を選択する. インストール

時に特に注意するべき点はない)

デスクトップに作成されるアイコン で起動し,[ファイ

ル]→[ドキュメントの設定]を選択して立ち上がる[ドキュメン

トの設定]ダイアログBOX(右図)の[ページ]タブで,[ページ

サイズ]を[A4]に,また [方向:]を[横]に,それぞれあらかじめ

選択しておく

【注意】 Inkscapeを含めグラフィックソフトを使用するには,PC

の処理能力は高い方がよい(特にメモリ量. メモリが載っ

ているのに動作が重たければCPU性能が不足)

なお,メモリの使用状況は,[ヘルプ]→[メモリ情報]で表

示される(右図)

次に,ウィンドウ右下隅にある[Z:][ズーム]入力BOX(右下図の赤丸

○○○○位置)で,新規キャンバスを適当に拡大縮小しておく ※ 左側の縦

ツールバーにある[ズームツール] で,マウスカーソルでドラッグした

範囲をズームすることも出来る(「ラバー

バンド拡大)という)

【ホットキー】

・・・・ Ctrlキー ○+ 矢印キー

・・・ キャンバスのスクロール

・・・・ Shiftキー ○+ 矢印キー

・・・ 選択(→後述)されているオブ

ジェクトのスクロール

・・・・ +,-キー

・・・ ズームイン,ズームアウト

この他にも,Inkscapeはほ

とんどの操作をキーボード操

作だけで行うことができる.詳

しくは,[ヘルプ]→[キーとマ

ウスのリファレンス]( ⇒

Webページが開く),あるい

は,[ヘルプ]→[チュートリア

ル] ( ⇒ SVGファイルのチ

ュートリアルが開く)などを参

考にするとよい(右図)

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[ファイル]→[インポート]で,目的

のPDFファイルを開くと,[PDFイン

ポート設定]のダイアログBOXが立

ち上がるので,[テキストをテキスト

としてインポート]が選択されている

ことを確認して,OKボタンをクリッ

クする

【ツール】

ツールバー:::: 描画ならびに編集のツール

コマンドバー:::: 一般的なコマンドボタン

ツールコントロールバー:::: 各ツール固有の入力BOX表示

ステータスバー:::: 作業に応じた有用なヒントとメッセージの表示

ツールツールツールツールコントロールコントロールコントロールコントロールバーバーバーバー

コマンドコマンドコマンドコマンドバーバーバーバー

ステータスステータスステータスステータスバーバーバーバー

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2 選択ツール

ツールバーの[選択ツール] でオブジェクトを選択する

と,矢印型の8個のハンドルがその回りに表

示されるので(前頁図),これを使って,移動(Ctrlキー押下併用で,水平移動,鉛直移動に限定可)や

拡大縮小(Ctrlキー押下併用で,元の縦横比を維持可)が出来る

※ オブジェクトの複数選択は,Shiftキーの押下を併用する

(これはMS-Windowsの標準操作である)

あるいは,何もオブジェクトの無いところからドラッグを

始めて,目的のオブジェクトを囲むように範囲指定しても

複数選択が可能(「ラバーバンド選択」という)

今一度,オブジェクトをクリックすると,8個のハンドルの

向きが変わる(右図). ※ この両モードのクリックによる切

替えはトグルになっている(トグルとは,同じ操作によって2

つの状態を交互に切り替える仕組みのこと)

この状態では,回転(Ctrlキー押下併用で,15度ごとに限定可)や剪断変形(Ctrlキー押下併用で,

変形を15度ごとに限定可)が出来る

なお,このオブジェクト[選択]の状態で,ツールコントロールバーの入力BOXに数値入力することに

よってオブジェクトの正確な[X],[Y]位置とサイズ([幅]と[高さ])を決定することが出来る

【参考】 ([X],[Y])=(0,0)の座標は,キャンバスの左下隅の位置(下図の赤丸○○○○の位置)

また,A4横サイズは,[幅] 297mm × [高さ] 210mmである

pxpxpxpx →→→→ mmmmmmmm にしておくとにしておくとにしておくとにしておくと

よいよいよいよい

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3 テキストの編集

ズームツール を使って,編集したいテキスト周辺を拡大表示しておく

テキストツール をクリックして,マウスカーソルを編集したいテキスト近傍へ移動させると,目的

のテキストが青枠 で囲まれるので(下図),その枠の内側でクリックする

あるいは,まったく新規にテキストを追記したい場合は,目的の位置付近で,テキストが何も無い点

をクリックする

コマンドバーの ボタンをクリックすると,[テキストとフォント]ダイアログBOXが立ち上がるので,

その[フォント]タブで所望の[フォント],[スタイル],[レイアウト]を選択する

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続いて,[テキスト]タブでテキストを編集,追記,削除して適用ボタンをクリックすると,ドキュメン

トに反映される

なお,フォント色の変更は,このダイアログBOXではなく,ウィンドウ下部にあるカラーピッカーか

ら選択することで行う

【フィルとストローク】 ステータスバーの左端に,現在選択されているオブジェクトの情報が表示される

・ フィル ・・・ 内部の塗り

・ ストローク ・・・ 輪郭

4 スペクトルの編集

スペクトルの拡大部分を編集す

るのを例に解説する. NMRスペ

クトルチャートの罫線や枠線,メー

カCMロゴの削除など,他のオブジ

ェクトの編集もこれに倣えばよい

まず,スペクトルの拡大をラバー

バンド拡大で行うと,スペクトルを

描いている線の太さ(線幅)がウィ

ンドウに対して相対的に太くなる

のは必定である(右図)

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【参考】 ベクトル画像は,ビットマップ画像と違い,拡大処理を繰り返しても,それによってスペ

クトル形状の精緻さが画像劣化していくことはない

コマンドバーの ボタンをクリックすると,[フィル/ストローク]ダイアログが立ち上がるので(下

図),[ストロークのスタイル]タブを選択し,スペクトル線を[選択ツール]で選択する

一番上の[幅]の入力BOXに,より小さな値を入力すればよい(下例では,[幅] = 0.38mm→0.1mm

に変更してみた)

【参考】 ステータスバーにその都度表示される有用なヒントやメッセージの表示を活用せよ

[ストロークの塗り]タブで,

Shiftキーを押下しながら下部

のカラーピッカーの所望の色を

クリックすることで,スペクト

ル線の色を変更することもでき

る(右例では,赤色を選択して

みた)

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※ 次例では,スペクトル線は黒色のまま,積分領域を赤色で塗り潰してみた

※ 次例では,少し画面を拡大して,スペクトルのルーラー部(ppm軸)を表示させ,それを[選択ツ

ール]で選択して,その[幅]を0.38mm→0.2mmにしてみた

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※ 次例では,前例から,さらに,色を黒から青に変え(⇒ カラーピッカー),フォントも変えてみ

5 保存

そのまま保存するとSVG形式になる. [ファイル]→[名前を付けて保存]でPDF形式を選択すれば,

PDFファイルとしても保存できる

以上

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NMR1次元測定データの処理

Delta V5.0(日本電子)

日本電子(JEOL)製NMRの測定・データ処理・解析統合ソフトDelta V5.0は,自社製NMRの測定

データだけでなく,他社製のファイル形式も処理出来るマルチデータフォーマット,マルチプラットホ

ーム対応(MS-Windows,

/MacOS X)のフリー・ソフト(ただし,要登録)である

また,JEOL機で測定した場合には,測定終了後に,一定の自動処理が施された後のスペクトル・チャ

ートが自動的に立ち上がってくる

以下に,次の手順で,データ処理について概説する

※ MS-WindowsXP Home Edition ではインストールが正常に動作しない場合がある

各ウィンドウとその構成,各部の名称

1-1 [Delta Console]ウィンドウ

1-2 [File Browser]ウィンドウ

1-3 [1D Processor]ウィンドウ

1-4 [Data Slate]ウィンドウ

プロセスリスト

2-1 Processing Tools

プロセス(データ処理)

2-2 FT前の処理(PreTransform)

① DC Balance

② Window Function

③ ゼロフィル

Outputデータ部での処理

2-3 ホットキー

2-4 FT後の処理(PostTransform)

④ 位相補正

⑤ ベースライン補正

⑥ 軸の単位

⑦ リファレンス設定

⑧ ピーク検出

⑨ 積分

⑩ 波形分離

印 刷

3-1 印刷の設定

3-2 Page Layout Editor

3-3 出力のPDF化

参 考 [Data Slate]ウィンドウ

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各ウィンドウとその構成,各部の名称

1-1 [Delta Console]ウィンドウ

Delta V5.0(以下,Delta)アイコン

を起動すると,[Delta Console]ウィンドウ

が立ち上がる(右図)

【参考】 周期律表

同ウィンドウのメニューバーで[Tools]→[Periodic Table]を選択すれば,周期律表ウィン

ドウが立ち上がるので,利用するNMR機の1H核の基準周波数を入力BOXに入力すれば,そ

のNMR機での各核種の観測周波数などの情報が確認できる

⇒⇒⇒⇒

1-2 [File Browser]ウィンドウ

データファイルを開くには,[Delta

Console]ウィンドウで[File

Browser]アイコン をクリックす

るか,あるいは,メニューバーの[File]

→[File Browser]を選択すれば,[File

Browser]ウィンドウが立ち上がるの

で目的のファイルを選択して, をク

リックする(右図)

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【参考】 データ表示ボックスの内容

【参考】 他社製機でのNMR測定データの

インポートも,開き方は同じ(右図

では,Varian社製NMR機での測定

データを開こうとしている)

※ Varian 形式のデータは,1ファイルでは

なく1ディレクトリの下に散らばってい

る(データファイル,パラメータファイル,

他). 開く際には,ディレクトリ下

の”fid”ファイルを指定して する

上記で, ボタンだけでなく,[information]ボタン も表示されていれば,それをクリックするこ

とで,選択したファイルのデータ情報を示す[File Information]ウィンドウが立ち上がる(下図) ※

[Class]プルダウンは[All]を選択するとよい

⇒⇒⇒⇒

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1-3 [1D Processor]ウィンドウ

データ処理に使う

JEOL社製NMR機で測定した場合に,

( にチェック✓✓✓✓

が入っていれば,)測定後に自動的に立ち上

がるウィンドウでもある

[Delta Console]ウィンドウのメニュー

バーの[Process]→[Process 1D]を選択

すれば,[1D Processor]ウィンドウが立ち

上がる

そのメニューバーで[File]→[Open]を選択して立ち上がる[Open Data for 1D Processor]ウィンド

ウで目的のファイルを選択し, をクリックして開く

【各部の名称】

1-4 [Data Slate]ウィンドウ

既にデータ処理済みのスペクトル・データのビュー

ワである. 複数のスペクトルを表示することもでき

る(例:下左図(横並び表示)と下右図(オーバーレ

イ表示))

[Delta Console]ウィンドウのメニューバーで[View]→[Data Slate]を選択すれば,[Data Slate]ウ

ィンドウが立ち上がるので,そのメニューバーの[File]→[Open ▶▶▶▶]→[Open]を選択して立ち上がる

[Open file]ウィンドウで所望のファイルを選択し, をクリックする等して開く

※ 詳細は,後述の 参考 「[Data Slate]ウィンドウ」を参照

InputInputInputInput データデータデータデータ

OutputOutputOutputOutput データデータデータデータ

パネルパネルパネルパネル部部部部

ツールバーツールバーツールバーツールバー

ポインタバーポインタバーポインタバーポインタバー

Page 19: NMRデヸタ処理の流れ【Delta版】analysis.sci.osaka-u.ac.jp/dl/delta_pro.pdfDeltaを使った1D,2Dデヸタの処理については,それぞれ,p.15~,p.33~ の別篨にある箎易

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プロセスリスト

2-1 Processing Tools

[1D Processor]ウィンドウは,上部のInputデータ

に対して,プロセスリストのデータ処理を施した

Outputデータが,下部に表示される

【例】 [fft](高速フーリエ変換)がリストに無け

れば,Outputデータ部にもリスト内の処理を

施されたままのFIDが表示され,スペクトルは

表示されない

プロセスリストには,各種データ処理の処理内容と処

理条件が,処理が行われる順番通りに記述されている

処理条件は,各プロセスの[▶▶▶▶]記号をクリックし,展

開する([▼]記号に変わる)と入力できるようになる

代表的な測定シーケンスには標準プロセスリストが

設定されていて,測定完了後にはこの自動処理が行われ

るので,必要があれば,各自 変更や削除・追加を行う

こと

【注意】 他社製機でのNMR測定データに対しては(インポート),標準リストが用意されていない

場合もあり,その場合は,一から自分で処理していくなり,標準的なリストを呼び出して(後

述)それを修正していくなりする

【各ボタンの説明】 各ボタンの上で右クリックすればそのボタンの概説が出るので参考にせよ

①①①① ②②②② ③③③③ ④④④④ ⑤⑤⑤⑤

⑥⑥⑥⑥ ⑦⑦⑦⑦ ⑧⑧⑧⑧ ⑨⑨⑨⑨ ⑩⑩⑩⑩

①①①① プロセス:::: プロセスの適用実行.プロセスを変更する度に要クリック

【注意】 最下行[display/phase]以外のプロセス行が緑転表示されている場合は,処理さ

れていないプロセスが存在するので,このボタンをクリックする

②②②② 逐次プロセス:::: ①と違い,変更箇所への処理が1つ1つ適用される

③③③③ 自動プロセス:::: トグルボタン.押下状態では,プロセスを追加・削除・編集するごとに

自動的に適用を行う ※ CPUが占有され,PC処理は重くなる

④④④④ ロード:::: プロセスリストの呼び出し

※ PC/Macのデスクトップ上の別の処理ウィンドウからプロセスを読み込むに

は,ウィンドウ間でドラッグ&ドロップすることでペーストされる ※ マウス

の右ボタンで!

⑤⑤⑤⑤ セーブ:::: プロセスリストの保存

【参考】 多核測定で内部標準が無い場合など,外部標準のリファレンスを保存するとき

プロセスプロセスプロセスプロセス

切替切替切替切替タブタブタブタブ

プロセスリストプロセスリストプロセスリストプロセスリスト部部部部

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などにも用いる

⑥⑥⑥⑥ 展開全取り止め:::: 全てのプロセスの展開を一気に隠す

⑦⑦⑦⑦ 全展開:::: 全てのプロセスを一気に展開する(右図)

※ 処理条件が網羅的に確認,変更できるように

なる

⑧⑧⑧⑧ 付加:::: 押下状態では,プロセスが末尾行に追加される

⑨⑨⑨⑨ 挿入:::: 押下状態では,現在選択されている行の一つ前の行に

プロセスが追加される

⑩⑩⑩⑩ 交換:::: 押下状態では,現在選択されている行のプロセスと

追加プロセスが交換される

⑪⑪⑪⑪ ⑫⑫⑫⑫ ⑬⑬⑬⑬ ⑭⑭⑭⑭ ⑮⑮⑮⑮

⑪⑪⑪⑪ カット:::: 選択しているプロセスのカット

⑫⑫⑫⑫ ペースト:::: カット・バッファの貼り付け

⑬⑬⑬⑬ デリート:::: 現在選択されている行のプロセスの削除

⑭⑭⑭⑭ クリア:::: プロセスの全削除

⑮⑮⑮⑮ リストア:::: 標準プロセスリストの復活

プロセス(データ処理)

2-2 FT前の処理(PreTransform)

① DC Balance :::: DCオフセットの除去

[Data Slate]ウィンドウシグナルに直流成分が乗る

と,FIDの中心がゼロからずれ,これをFTして得

られるスペクトルには,観測中心周波数の位置に鋭く

高い偽シグナルピークが現れてしまう.これを削除す

るためにこの処理をする

② Window Function:::: 窓関数処理

見かけ上のS/Nを向上させたり,スペクトルの分離をよくしたりするために,FIDに窓関数(ウィ

ンドウ関数)をかけた結果を離散FTする

メニューバーの[Windows]で必要なウィンドウを選択し実行する

※ ツールバーの[Window]ボタン をクリックすると,そのボタンに登録された内容で処理がなさ

れる

DCオフセット

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[[[[S/N向上]]]]

◎ 指数関数 f(t)=exp(-πbt) パラメータ b:ブロードニングファクタ(BF)[Hz]

= 0~大 ⇒ BFが大きいほど早く減衰する(= 0 は,

ウィンドウをかけていないのと同義である)

【参考】 FIDのシグナル強度は時間と共に減衰するが,ノイズ成分は減衰しないので,FID

の後ろにいくほど相対的にノイズの寄与が大きくなる

特に,感度の悪い13Cスペクトルでは重要

【注意】 BFが大きすぎると,ノイズ成分だけでなくシグナル成分も減衰させられ,スペクトル

のピーク線幅(=半値幅)が広がり過ぎになり(積分値は同じだから,ピーク高さは下が

る),逆にS/Nが低下してみえる(「広がる」=” Broadening”)

ピークの半値幅程度のBFを掛けるのが適切である(例えば,半値幅が0.2Hz程度なら,

BFも0.2Hz)

【参考】 Deltaでは,Single Exponential:::: sexp(Width=BF値[Hz], shift値[s])

◎ 台形関数 trapezoid(P1[%], P2[%], P3[%], P4[%])

【参考】 (1) FIDが十分減衰した後もデータ取り込みを

続けた場合は,後ろの部分はずっとノイズとい

うことになり,この成分を切り落とす(下左図)

(2) FIDが完全に減衰しきる前に取り込みが打ち切られると,FTした後のピークのす

そが小さく波打つ(トランケーション). これを人為的に小さくする(下右図)

※ もちろん,再測定した方がよい

[[[[スペクトルの分離を良くする]]]]

◎ sine-bell 関数

右図で,上から順に,

・・・・ sine-bell

・・・・ sine-bell (order 2)

・・・・ shifted sine-bell

【参考】 FID初期部分の減衰の早いブロードな成分を抑え,

中間部分のシャープな成分を強調する

【注意】 FIDの初期部分の強度を落とすため,ピーク強度は

低下し,定量性を損なう

1 0

BF

P1 P2

P3 P4

1

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【参考】 Deltaでは,

Sinebell:::: [Shift]値と[Size]値を指定

Sinebell(order 2):::: 同上

Sinebell(order 4):::: 同上

Sinebell Shift:::: [π/n]値を指定して,N shifted Sinebellを適用する

③ ゼロフィル:::: Zerofill

デジタル分解能を上げたい場合に用いる. 入力は,データ数の倍率

で指定し,2のべき乗とする(1, 2, 4, 8,,,)⇒ FFT. ※ 「1」が

入力されている場合,ゼロフィルは行われていないのと同義である

FIDの末端からゼロのデータポイントを足してデータポイントを

2倍にすると,それらの点は,FTの後に,元のポイントとポイントの

間に入る点となる

メニューバーの[PreTransform]→[Zerofill]を選択し,実行する

【注意】 ウィンドウ関数によってFIDの末端部分をゼロにしてお

なお,計算量はデータ数の2乗で増えるので,FT処理時

間は急激に増える

【参考】 1次元データにおいて,挿入するゼロの個数を無尽蔵に増やしても,スペクトルが滑らか

にはなるが,真の分解能が2倍以上にはなることはない(4倍以上のゼロフィルは三角関数

による単なる補間にしかならない).これは,元々

のFIDのデータ点2N個のうち,使われない虚

部のデータN個分を補間する以上のことは原理

的に出来ないためである.したがって,1次元デ

ータにおいては,2倍のゼロフィルは,それ以上

のゼロフィルとは違い,特別な意味がある

2次元データにおいては,F1側のデータポイ

ント数を, F2軸(直接観測軸)側のデジタル分

解能と等しくなるよう(ポイント数が同じになる

よう)ゼロフィルを行う

Outputデータ部での処理

2-3 ホットキー

Outputデータ部では,ポインタバーで選択されているモ

ード毎にユニークな[Key Shortcuts]が割り当てられてお

り,モード毎で ボタンをクリックすれば総覧できる

また,キーボードのAlt キー,Shift キーにも,モード毎

に固有のキー押下時のアサインがなされるので, 表示

を参考にせよ

0

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【参考】 Alt キー ○+ n で,FID/FTスペクトルの ライン表示 ⇔ ドット表示 のトグル切替えになる

【参考】 縦軸のabundanceの目盛を消すには,マウス右ボタン長押しで表示されるコンテキストメニ

ューの[Options]→[Ruler]→[Y Ruler]の ✓✓✓✓ をはずせばよい

なお,各モード共通で,

スペースキーを押下しながら範囲指定

⇒ ポインタバーのモードに関わらず,スペクトルの範囲拡大

Homeキー ※ Macキーボードでは,Fn ○+ ←

⇒⇒⇒⇒ 全表示に戻る

―キー ⇒⇒⇒⇒ 一つ戻る

Endキー ※ Macキーボードでは,Fn ○+ →

⇒⇒⇒⇒ Y軸を,最大強度ピーク高さで自動調整

Apple Keyboard配列

ポインタバーは,各ボタンの上で右クリック押下すればそのボタンの概説が出るので参考にせよ

【拡大処理】 拡大処理した状態でスペクトル保存するには,スペクトルの表示領域でマウスの右ボタ

ンを長押しした時に表示されるコンテキストメニューで[Save Current View]を選択する

と,その操作をおこなった時点で,新しいバージョン番号でデータ保存される. なお,

その後で[File]→[Save As…]による別名保存をしても,拡大は反映されない. もし,別

名で保存したデータに拡大を適用したい場合は,別名保存したデータを開き、改めて拡大

してから[Save Current View]を実行する. あるデータの拡大情報を他のデータに反映

したい場合,データ間でZoomポインタでドラッグ&ドロップすればよい

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2-4 FT後の処理(PostTransform)

④ 位相補正

◎ [Machine Phase] :::: スペクトルのピークの線形によらず,測定条件に基づいた計算だけか

ら位相を求めているため,[Single Pulse]系統以外のシーケンス測定は

サポートしていない ※ [Single Pulse]系統であってもアレイ測定に

は対応できない

◎ [AutoPhase] :::: スペクトル上のピークの線形から位相を求めているので,幅広いパルスシ

ーケンスをサポートしているが,精度を高めるには手動による微調整が必

要になる場合が多い

【注意】 プロセスリスト中に複数の[phase]処理が

設定されてしまうと,それぞれの[Φ0],[Φ

1]の値を加算した値で処理されてしまう.削

除せよ

【注意】 [AutoPhase]を使用する場合は,

[Machine Phase]は削除する(か,あるいは

入れ替える)

◎ 手動位相補正:

パネル表示切替ボタンの[▶▶▶▶Phasing]をクリック

し,[Phasing Tools]パネルを表示させる

ポインタバーを[Phase]モード にすると,現

在の[Φp](Pivot Point:位相補正の軸点)位置に

ラインが出現する(下図)ので,そのラインをポイ

ンタでドラッグ&ドロップすることにより,強度が

できるだけ大きいピークの位置へ移動させる(観測

範囲中の[%]age 位置で数値表示される)

そのPivot Point付近で[Φ0]を調整して0次の位相のずれを補正する

次に,観測範囲でPivot Pointからできる限り遠い位置で[Φ1]を調整して1次の位相のズレを補

正する

【参考】 [Φ0],[Φ1]

[Φ0]は,スペクトル全体に亘って一様に補正をかける(磁化の初期位相とレシーバに入る基

準信号の位相との差に由来するズレの補正であるため)

[Φ1]は,周波数依存的に補正をかける(遅延時間に起因する位相のズレに由来するズレの補

正であるため)

[Φp]ライン

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⑤ ベースライン補正 :::: Baseline Correction

◎ 自動ベースライン補正

ツールバーで[Base Correct]ボタン をクリックしてプロセスリストに組み込み,プロセスボ

タン をクリックして実行する

◎ 手動ベースライン補正

[PostTransform] → [Baseline Correction]

→ [Base Correct (Interactive)]を選択してプロセ

スリストに組み込み,プロセスボタン をクリッ

クして実行する

[iBase Correct]ウィンドウ(右図)が立ち上が

るので,ベースポイントの補間法[Fit]の中から適当

なもの選択し,パラメータ値[Order]と[Ave Pnts]

(=ベースポイントの強度をその左右の値で平均化

計算するためのポイント数)を設定する ※ 分か

らなければそのままでもよい

ポインタバーを[Create cursor]ボタン モー

ドにし,ポインタでシグナルのない部分(=ベースライン)を何点かクリックする(最大32ポイン

ト)

Previewボタンをクリックして仕上がり確認.ダメならEditボタンをクリックしてやり直し,良

ければAcceptボタンをクリックして終了する

【参考】 ベースラインにうねりが生じる場合は,後

方線形予測(Backward Linear Prediction)も利用

される(FIDの後ろの方の正常なデータから,取込み

直後の異常データポイント部分を計算予測して,それ

で置き換える処理)

⑥ 軸の単位:::: PPM ⇔ HZ

FFT直後はHz表示であり,プロセスリストにPPM

表示 を組み込んで実行することでPPM表示にな

る(自動処理)

Hz表示に戻すには,このプロセス行を削除してリ

ストを適用実行すればよい

※ Outputデータ部で右クリックして出てくるポ

ップアップメニューから[Display Units]→[Hertz]

を選択した方が手っ取り早い(この場合,プロセスリ

ストの内容は一時的に無視される)

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⑦ リファレンス設定

ポインタバーを[Reference]モード にする

パネル表示切替ボタンの[▶▶▶▶Optiions]をクリックし,

[Options]パネルを表示させて,[X ref]欄に基準値

[ppm]を入力する

基準とするピークの頂点でポインタをクリックする

※ プロセスリストに組み込まれる(下図)

【注意】 リファレンス設定をしない場合は,Delta

プログラムでは,溶媒ごとのロック信号の

観測周波数を基に計算した値を使っている

(「Nativeスケール」という)

【参考】 1Hの基準は,CDCl3で無限希釈したTMSを20℃で測定したピークの化学シフト値が0ppm

⑧ ピーク検出 :::: Peak Pick

ツールバーで[Compute and Show Statics]ボタン をクリックすると,ピークスレッショルドレ

ベル,ノイズスレッショルドレベル,ベースプレーンレベルの3つのマーカが,一旦 自動計算された位

置に表示される

ポインタバーを[Peak]モード にする

ピークスレッショルドマーカ上にポインタを持っていくと,ポインタがピークスレッショルドアイコ

ンに変化し,ドラッグ&ドロップすることで移動できるようになる

ノイズスレッショルドマーカ,ベースプレーンレベルマーカについても同様.(ポインタのアイコン

もそれぞれで変化する)

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最後に,ツールバーの[Auto Peak Pick]アイコン をクリックすると,ピークマーカが表示される

◎ ピークの選択

ポインタバーを[Select]モード にし,選択したいピークマーカをクリックする

複数選択の場合は,キーボードのShiftキーを押しながらクリックする

◎ ピークの削除

消したいピークマーカを選択して,キーボードのBackspaceキーを押す ※ Macでは,Delete

キー

◎ ピークの追加

ポインタバーを[Peak]モード にし,ポインタを追加したいピークのトップ付近でクリックす

る(ピークトップが自動検出される)

【注意】 ピークスレッショルドより高いピークでないと,無視する旨のダイアログボックスがポ

ップアップする

なお,Shiftキーを押しながら上記操作をすると,その位置が強制指示されたピークマーカができ

◎ ピーク間のJ値の表示

2つのピークを複数選択して, を押し,プルダウンメニューから[J coupling]を選択する

⑨ 積分 :::: Integrate

◎ 自動積分

ツールバーの[Auto Integration]ボタン をクリックする

◎ 手動積分

ポインタバーを[Integral]モー

ド にし,積分範囲の左端から

右端でポインタをドラッグ&ド

ロップする

積分範囲の修正や積分曲線表

示の拡大・縮小等は,該当の積分

を選択し,4辺に出現するグロー

ブボックス □□□□ の内の適当なも

のをドラッグ&ドロップする

積分の削除や追加は,ピークの

項と同様

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◎ 積分基準値の設定

パネル表示切替ボタンの[▶▶▶▶Optiions]をクリックし,

[Options]パネルを表示させて,[Normal]欄に基準値を入力す

基準とする積分を選択して, を押し,プルダウンメニュ

ーから[Normalize]を選択する

【参考】 積分基準値

分からなければ,まずは最も小さいものを1にして

みる

⑩ 波形分離:::: DECONVOLUTION

信号が重なって積分(積分比)を別々にとること

が難しいときに利用する

波形分離を行いたい領域のピーク検出(ピーク数,

ピーク位置の情報)を済ませておき,その領域を拡

大する

スペクトル上で右クリックして出てくるポップ

アップメニューから[Options]→[Peaks]→

[Deconvolve]に✓する

ポインタバーを[Peak]モード にし, を押し,プルダウンメニューの中から適当なピーク波形

を選択する([Fit Lorentzian],[Fit Gaussian],[Fit Mixed]のいずれか)

【参考】 溶液の場合は,ローレンツ型(か混合型)

【参考】 ピーク検出の結果表示

[2D Viewer]または[Data Slate]ウィンドウで,メニューバ

ーの[Analyze]→[ Peak Spreadsheet]を選択すると,

[Spread Sheet]ウィンドウが立ち上がる

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印 刷

3-1 印刷の設定

ツールバーの[Print Processed Data]ボタン をクリックする

印刷の詳細設定をしたければ,[Print]ウィンドウの[Delta]タブで行う(上図:Windows,下図:Mac)

なお,印刷基本設定は,[Delta Console]

ウィンドウで[Options]→[Preferences]を

選択して立ち上がるウィンドウの[Printing]

タブで変更出来る

【例】 枠を印刷しないようにするには,[Plot

Page Border]の ✓✓✓✓ をはずせばよい

(一時的なら,マウス右ボタン長押しで

表示されるコンテキストメニューの

[Options]→[Display]→[Plot Border]

の ✓✓✓✓ をはずす)

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3-2 Page Layout Editor

メニューバーの[Tools]→[ Page Layout Editor]を選

択して立ち上がるウィンドウを使用して印刷すれば,フォント

サイズは変更できる

立ち上がったウィンドウで,メニューバーの[Template]で

所望のテンプレートを選び、<empty>になっているボックスに

印刷したいデータを読み込む(Deltaお得意の”フィンガリン

グ” で読み込める)

フォントサイズの変更については,サイズを変更したいボッ

クスを選択した上で(赤枠で表示される),メニューバーの

[Box]→[Attributes...]を選択して立ち上がるダイアログBOX

の[Size]入力BOXでできる(デフォルト値は13だが,この

値 は , [Delta Console] ウ ィ ン ド ウ で [Options] →

[Preferences]を選択して立ち上がるウィンドウの[Tools]タ

ブの中で設定されている(下図))

3-3 出力のPDF化

MS-WindowsにおいてDeltaをインスト

ールすると,「JEOL PDF」という名のPDF

プ リ ン タ ド ラ イ バ ソ フ ト ( 実 体 は

「novaPDF」)が同時にインストールされ

るので,MacOS X ならずとも出力をPDFエ

クスポートできる ※ もちろん,Adobe

Acrobat があれば必要ない

【参考】 このPDF化ソフトをDelta以外の

ソフトでの出力で使用すると,下記

のメッセージがページ下部に貼り付

いて出力される

「Create PDF files without this message by purchasing novaPDF printer (http://www.novapdf.com)」

以上

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参 考 [Data Slate]ウィンドウ

参-1 処理データを別のジオメトリー(=表示領域)に追加表示する方法

まず,最初のデータを[Data Slate]ウィンドウに表示させる(⇒ 1-4参照). 次に,追加表示さ

せたいデータを[Data Slate]ウィンドウ,あるいは[1D Processor]ウィンドウなどで表示させる

[Open Data By Fingering Geometry]ボタン をクリック,[Open Data to THIS Tool]ボタン

もクリックし,[Open Data File]ボタン をクリックすると,マウスポインタが指形に変化するので,

そのポインタで追加表示したいデータの表示領域をクリック選択すると,追加表示される

・ 横並び表示にするには,メニュー

バーで [Options]→ [Horizontal]

を選択する

・ 縦並び表示にするには,[Options]

→[Vertical]を選択する

・ 表示場所を入れ替えるには,

[Options]→[Swap]を選択し.マ

ウスポインタが指形に変わるので,

入れ替えたい表示データを両方ク

リックする

・ 不要なジオメトリーを削除するに

は,そのジオメトリーをクリック選

択して,[Close]ボタン をクリ

ックする

・ すべてのジオメトリー間で,横方

向 の 拡 大 を 同 じ に す る に は ,

[Options]→[Connect X]を選択

し適当なジオメトリーで拡大操作

する. 縦・横両方の場合には,

[Options]→[Connect All]を選択

して同様に操作する. 詳細設定は,

[Tools] → [Geometry Tools ▶▶▶▶ ]

→[Connection Tool]を選択して

立ち上がる[Connect Geometries]ダイアローグBOXでできる

参-2 処理データを1つのジオメトリーに重ねて追加表示(オーバーレイ)する方法

4-1で,ボタン の代わりに[Open Data

as Overlay]ボタン をクリックすればよい

最初のデータが緑色で,追加したデータは黄

色→橙色の順で表示されていく

それぞれのデータの選択は,タグで行う(右

図の赤枠部)

選択したデータの削除は,[Remove]ボタン

をクリックする

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【色の変更】

Deltaでは,画面表示色と印刷される色は原則として

同じ色になる.変更は,[Delta Console]ウィンドウ

で[Options]→[Preferences]を選択して立ち上がる

ウィンドウの[Colors]タブで出来る

追加データのY軸方向の表示位置を変えるには,そのデ

ータを選択して(→タグ選択),ポインタバーで[Pan or

Slide]ボタン をクリックし,AltキーとShiftキーを同時

に押下しながら追加データをY軸方向に上下させる

※ 最初に表示したデータ(緑色のスペクトル)の位置変

更はできない

この操作のやり直しは,[key command display]ボタン

を押下し,プルダウンから[Recenter]や[Recenter

All]などを選択すればよい(右下図)

備 考

[1D processor] や [Data Slate] ウ ィ ン ド ウ に は ,

[picture-in-picture](PIP)ボタン がある(次図参照)

【マルチビュー(PIP)内のフォントサイズ】

デフォルトでは,マルチビュー外の半分の大きさだ

が、この縮小率は[Delta Console]ウィンドウで

[Options]→[Preferences]を選択して立ち上がるウ

ィンドウの[Geometry]タブにある[PIP Font Scale]

で変更出来る

その他,[Data Slate]ウィンドウには,[Create region]

ボタン もある(右図参照)

以上

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NMR2次元測定データの処理

Delta V5.0(日本電子)

日本電子(JEOL)製NMRの測定・データ処理・解析統合ソフトDelta V5.0による2次元データ処理

について,以下の手順で概説する.なお,同ソフトでの1次元測定データ処理が出来ることを前提にし

ている

ウィンドウ構成と各部の名称

1-1 [nD Processor]ウィンドウ

1-2 [Data Slate]ウィンドウ

1-3 [2D Viewer]ウィンドウ

プロセスリスト

2-1 Processing Tools

2-2 プロセスの読み込み・保存

2-3 プロセスリストの実行

絶対値(absolute-value)モードと位相検波(phase-sensitive)モード

3-1 ゼロフィル

3-2 ウィンドウ関数

3-3 2次元位相検波データの位相補正

その他のプロセス(データ処理)

3-4 対称処理

2次元NMRスペクトル表示後の処理

3-5 等高線表示レベルの調整

3-6 リファレンス設定

3-7 ハイレゾ1次元NMRスペクトルの貼り付け

3-8 モノクロプリンタでの負の等高線の印刷

参 考 Varian形式2Dデータの取込みについて

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ウィンドウ構成と各部の名称

1-1 [nD Processor]ウィンドウ

2次元データ処理(~8次元)に使う

JEOL機で2次元測定した場合に,

にチェック✓✓✓✓が入

っていれば,測定後に自動的に立ち上がるウ

ィンドウでもある

[Delta Console]ウィンドウのメニュー

バーの[Process]→[Process nD]をクリッ

クすれば,[nD Processor]ウィンドウが立

ち上がるので,そのメニューバーで[File]→

[Open]をクリックして立ち上がる[Open

Data for Process nD]で目的のファイルを

選択して, をクリックする

※ [File]→[File Browse]で立ち上がる

[File Browser]ウィンドウで選択しても

よい

【参考】 他社製機でのNMR測定データの

インポートも,開き方は同じ(マル

チデータフォーマット)

【注意】 Varian機測定2Dデータの取込

みについては,後述の 参考 を参

【各部の名称】

ツールバーツールバーツールバーツールバー

XXXX 軸軸軸軸

((((直接観測軸直接観測軸直接観測軸直接観測軸))))のののの

プロセスリストプロセスリストプロセスリストプロセスリスト部部部部

YYYY 軸軸軸軸

((((間接観測軸間接観測軸間接観測軸間接観測軸))))のののの

プロセスリストプロセスリストプロセスリストプロセスリスト部部部部

プロセスリストプロセスリストプロセスリストプロセスリスト制御制御制御制御ボタンボタンボタンボタン

トグルボタントグルボタントグルボタントグルボタン

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トグルボタン をクリックすると,プロセス処理が

実行され,その結果が2D出力される

[nD Processor]では,プロセスリストとそのプロセ

ス処理結果の表示をこのボタンによって切替える

※ [1D Processor]では1枚のウィンドウの右部が

プロセスリスト,左上部がFID,左下部がプロセス処理

結果であり,プロセスボタン をクリックすること

でプロセスを適用実行したが,[nD Processor]では,

トグルボタン がこれに相当する. 1D処理の場合

と同様,最下行[transpose]以外のプロセス行が緑転表

示されている場合は,処理されていないプロセスが存在

するので,このボタンをクリックすれば適用実行される

1-2 [Data Slate]ウィンドウ

既にデータ処理済みのスペクトル・データ

のビューワである. 複数のスペクトルを表

示することもできる

データの次元にかかわらず使える

開き方は1D処理のマニュアルを見よ

1-3 [2D Viewer]ウィンドウ

既にデータ処理済みの2次元データの表示に使う

開く操作は,[Data Slate]ウィンドウと同様.

トグルトグルトグルトグルボタンボタンボタンボタン

ツールバーツールバーツールバーツールバー

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Page 36: NMRデヸタ処理の流れ【Delta版】analysis.sci.osaka-u.ac.jp/dl/delta_pro.pdfDeltaを使った1D,2Dデヸタの処理については,それぞれ,p.15~,p.33~ の別篨にある箎易

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プロセスリスト

編集したい方の軸([X] (t2)軸⇔[Y] (t

1)軸)を

クリック選択してから処理をするところは,1Dデ

ータ処理にはない違いの一つである

現在選択されている方の軸は,リスト部に青枠が

表示される(右図の例では[Y]軸が選択されている)

これは,マウスでの領域内クリック操作によりト

グル的に切替えられる

各軸のリストはすべて [transpose]コマンドで

終わる(※ 1Dのリストの[display/phase]コマ

ンドに相当する)

2-1 Processing Tools

制御ボタン類は,1D処理の場合と基本的に同じで,各ボタンの上で右クリックすればそのボタンの

概説が出るので参考にせよ

各プロセスのパラメータ値の変更方法も1D処理の場合と同じである

2-2 プロセスの読み込み・保存

1D処理の場合と同じ

2-3 プロセスリストの実行

トグルボタン をクリックして,プロセス処理を実行し,結果出力表示に切替える

再度トグルボタン をクリックすればプロセスリストに表示が戻る

ツールバーの中の次の3個のボタンから,適当なボタンをクリックしても2D表示される

①①①① ②②②② ③③③③

①①①① Process File and Put in 2D Phaser::::

測定データが2次元位相検波モード(後述)の場合,プロセスリスト処理後に,[Phase

2D]ウィンドウに移る ⇒ 後述の 3-3 を参照

②②②② Process File and Put in Data Slate::::

プロセスリスト処理後に,[Data Slate]ウィンドウに移る

③③③③ Process File and Put in Data Viewer::::

プロセスリスト処理後に,[2D Viewer]ウィンドウに移る

青枠青枠青枠青枠

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絶対値(absolute-value)モードと

※※※※

位相検波(phase-sensitive)モード

位相検波位相検波位相検波位相検波モードモードモードモードでは,[X]軸,[Y]軸のそれぞれに位相情報を持つ(実部と虚部が適切に取り込まれる)

ので.それぞれの軸で位相補正が必要である(吸収波形のみを解析に使う)

絶絶絶絶対値対値対値対値モードモードモードモードでは,[Y]軸のFIDには虚部が存在せず,FFT後に絶対値処理(メニューバーで

[PostTransform]→[abs]を選択しプロセスリストへ挿入 ※ 下図例参照)を行って2次元スペクトル

を得るため,位相補正の必要がない(吸収波形と分散波形の混じった絶対値処理)

代表的な絶対値モードのパルスシーケンスは,

・・・・(普通の)COSY(HH相関)

・・・・ G - COSY(同,グラジエント利用)・・・・・・”cosy.jxp”

・・・・ G - HMBC(CH相関,グラジエント利用)・・・”hmbc.jxp”

の3つ(”G -“は,Gradient(磁場勾配)利用の略) (注) (普通の)HMBCは,位相検波モードである

【参考】 磁場勾配パルスを利用したパルスシーケンスがある場合は,そちらの方が短時間できれい

なスペクトルを得ることができる.また,位相回しが不要になるために積算(4回を1単位

ではなく)1回を単位とした測定が可能になる

【図】 G-COSYのプロセスリストの例

両モードには,プロセスデータ処理に違いがある

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【図】 同種核 絶対値モード のデータのプロセスリストの例(前頁図参照)

・・・・・・”global/process_lists/2d_homo2d_abs.list”

【図】 同種核 位相検波モード のデータのプロセスリストの例

・・・・・・”global/ process_lists/2d_homo2d_phase.list”

【注意】PN / SHR

P-type,N-type を交互に測定する特殊な位相検波

モードで測定されたデータはStatus変換する必要があ

る. X軸側のプロセスリストの”FFT”の前に,適切

な処理を選択して挿入し実行せよ(右図)

3-1 ゼロフィル ・・・・・ メインメニュー[PreTransform]→[Zerofill]

通常,2次元データでは,[Y]軸のポイント数を,[X]軸のポイント数とお

なじになるようにゼロフィル処理する

【参考】 両軸のポイント数は,例えば[Console]ウィンドウのインフォ

メーション履歴からも確認できる(右図の例では,[X points :

2048],[Y points : 256]と確認できる)

あるいは,[nD Processor]ウィンドウでドメインボタン部の

[X]や[Y]の文字上でマウスを右クリックしても確認できる(下図

の例では,[X 2048 data points],[Y 256 data points]と

確認できる)

【注意】 FT処理の計算量はデータ数の2乗で増えるので,FT処理時間は急激に増える(CPUが

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占有され,PC処理が重くなる)

絶対値モードでは,[Y]軸では虚部のデータを取り込まないので,同じ積算回数での測定時間は位相検

波モードの半分ですみ,FIDのデータサイズも半分ですむ

例えば,絶対値モードでは512ポイントで測定したら(例: G-COSY),位相検波モードでは256ポイ

ントで測定した(例: TOCSY)という場合であれば,[X]軸が仮に1k(=1024)のデータポイント数であっ

たとすれば,[Y]軸側に対して,絶対値モードでは2倍の,位相検出モードでは4倍の,それぞれゼロフ

ィル処理をするというふうにする

【参考】 位相検波モードでは,位相を変化させて2回測定するため,積算時間が長くなり,また,

データ処理の際に位相調整も必要になるが,シグナルの分離は良くなる

3-2 ウィンドウ関数 ・・・・・ メインメニュー[Window]→ から選択

位相検波モードでは,1D処理と同じ指数関数型等を基本とするのに対して,絶対値モードは,信号

の裾野が大きく広がるため,FIDの初期部分の寄与を抑えるサイン型を掛ける(sinbell)

各ウィンドウ関数のパラメータ値が最適かどうかは,目的のドメインを選択して,観測軸セクション

の アイコンをクリックして展開し,スライス位置を指定して,[1D]ボタン をクリックすること

で,1Dスライスが[1D Processor]ウィンドウへ表示されるので確認できる([1D Processor]ウィン

ドウを閉じると,自動的にプロセスリストにパラメータ設定が挿入される)

【例】 先頭のXスライスデータを呼び出す場合は,[X]ドメインを選択し,Yドメインのスライス位置

パラメータに1[pnt]と入力して,[1D]ボタン をクリックする

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3-3 2次元位相検波データの位相補正

[Process File and Put in 2D Phaser]ボタン をクリ

ックし,[Phase 2D]ウィンドウを立ち上げ,ポインタバー

で[Cursor]モード を選択する

次に,高磁場側,低磁場側の順に,対角的にできるだけ離

れた位相の合っていないピーク2点を選択した後,[Display:

Slice]ボタン をクリックする

表示が切り替わるので,続いて,[Phase]モード を選

択し,[X]軸,[Y]軸のPivot Pointを1D処理と同様に,マ

ウス操作で[Φp]ラインを左右することで設定する([X Φp],

[Y Φp]入力BOXの値が変わるはず)

まず高磁場側のスペクトルを見ながら0次位相[X Φ0]を

合わせ,次に低磁場側で1次位相[X Φ1]を合わせる(合わせ

方は1D処理と同様)

同様のことを[Y]軸側でも行う

[Apply]ボタン をクリックすると,適用される

([Phase 2D]ウィンドウを閉じると,自動的にプロセスリ

ストに位相処理設定が挿入される)

[Φp]ライン

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【参考】 このあと,両軸とも1本目のスライスデータに対して,ベースライン補正を行うとさらによ

い(特にY軸側)

その他のプロセス(データ処理)

3-4 対象処理:::: symmetrize ・・・・・ メインメニュー[PostTransform]→[Symmetrize]

HH相関2次元スペクトルでは相関信号に対象性があることによるノイズ低減処理である

対称なすべての信号対の強度を比較して,強度の大きい方を小さい方で置き換えて同じにする

この処理がプロセスリストに入っていれば,削除することを推奨する

2次元NMRスペクトル表示後の処理

3-5 等高線表示レベルの調整

等高線表示レベルの調整をするには,[nD Processor]ウィンドウや[2D Viewer],[Data Slate]ウ

ィンドウなどの2Dスペクトル領域内で右クリックしてプルダウンメニューを表示させ,[Level Tool

[\] ]を選択して,[Level Tool]ダイアログBOXを立ち上げて行う

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【各部】

①①①① 等高線の本数

②②②② 押下により表示するレベルを

指定

③③③③ 等高線の最高強度

④④④④ 等高線の最低強度

⑤⑤⑤⑤ 等高線の表示の間隔設定

上部に移動させると,信号強度

の低い位置に多くの等高線を

引く.下部移動はその逆.

⑥⑥⑥⑥ 自動設定される

⑦⑦⑦⑦ 自動設定される.2Dピーク

ピック処理にも使う

⑧⑧⑧⑧ ベースライン

⑨⑨⑨⑨ クリックで再描画

レベル調整の手順

a. とりあえず,+ボタンと-ボタ

ンを押下し,プリセットボタン

(①)の24もクリックする

b. Bottomスライダ(④)とTopスライダ(③)

の調整

c. Biasスライダ(⑤)調整と,改めて等高線の本

数(①)決定

e. [Apply]ボタン(⑨)をクリック

【注意】 位相検波データの場合で,正ピークだけ,負ピークだけを表示したい場合には,+ボタン

または-ボタンの押下を外す

【指針】 Bottomスライダ(④)が見るべきシグナルよりも高いと,そのシグナルは表示されない

ノイズが表示されないように気を配る余り,必要なシグナルが現れなくなるような設定は

しないこと(目的のシグナルを見落とさない)

左の等高線レベルボタン列が負(谷)の,

右列が正(山)の表示レベル

※ したがって,COSY など絶対値モー

ドの測定データでは,左のボタン列に

は意味がない(-ボタンの押下には意

味が無い)

①①①①

④④④④

⑤⑤⑤⑤

⑥⑥⑥⑥

⑨⑨⑨⑨

⑧⑧⑧⑧

⑦⑦⑦⑦

②②②②

③③③③

+ button - button

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3-6 リファレンス設定

リファレンスの設定は, [2D Viewer]または[Data Slate]ウィンドウで,

まず,設定したいピークを拡大表示しておき,メニューバーで[Options]→

[Show Option Bar]にチェック✓✓✓✓する

ウィンドウ下部に[Option Bar]が現れるので,[Reference]入力BOX

に[X]軸,[Y]軸の基準値を入力する

最後にポインタバーの[Reference]モード を選択し,マウスポインタ

をリファレンス位置へ移動してクリックする

3-7 ハイレゾ1次元NMRスペクトルの貼り付け

[2D Viewer]ウィンドウで,高分解能1Dスペクトルを貼り付けるには,まず,貼り付けるべき1D

データを[1D Processor]ウィンドウで開き表示させておく(2D側,1D側ともにリファレンスも済ませ

ておく)

[2D Viewer]ウィンドウで,[Fingering]ボタン をクリックし,メニューバーで[Layout]→[Load

1D]→[Load X Projectin]を選択すると,マウスポインタが指形に変わるので,それで先ほど開いてお

いた1Dスペクトル領域内をクリックする

[Y]軸側についても同様である

指型指型指型指型ポインタでこのポインタでこのポインタでこのポインタでこの領域内領域内領域内領域内をををを

クリッククリッククリッククリック

オプションバーオプションバーオプションバーオプションバー

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【参考】 上記は,異なるデータ(2次元データと1次元データ)を同時に表示させているだけなので、

貼付けた状態でのデータ保存はできない

3-8 モノクロプリンタでの負の等高線の印刷

位相検波データの場合で,モノクロプリンタの使用時に負の等高線を破線プロットするためには,

[Print]ウィンドウの[Delta]タブにおいて,[Color]グループBOXで[Black and White]に,[Printing]

グループBOXで[Print Negative Contour as Grey]に,それぞれチェック✓✓✓✓して印刷する(上図:

MS-Windows, 下図:Mac OS X)

以上

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参 考 Varian 形式 2D データの取込みについて

Varian 形式のデータは,1ファイルではなく1ディレクトリの下に散らばっている(データ

ファイル,パラメータファイル,他). 開く際には,ディレクトリ下の”fid”ファイルを指

定して をクリックする

ところで,例えば,1H -1H 相関 Gradient-COSY の 2D データを取り込むような場合に,

Y 軸側のドメインの核種が,正しい 1H 軸ではなく 13C 軸として認識される場合がある

⇒⇒⇒⇒

この不具合を修正するには,次

の手順でデータを取り込む前の

下準備をしておく

ま ず , 同 じ デ ィ レ ク ト リ

に”procpar”ファイルがある

ので,これをエディタで開く

(MS-Windows なら,「ワード

パッド」,Mac なら「テキストエ

ディット」でよい)

※ あらかじめコピーを残してお

いた方がよい

エディタの grep や検索ツール

で「dn」(→ デカップル核の意)

という文字列を検索すると,ヒッ

トするものの中に,そのパラメー

タ値として「C13」が記述されて

いる行があるはずなので,ここを「H1」と修正する

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次に,「reffrq」(基準共鳴周波数の

意)という文字列を検索すると,このパ

ラメータ値を記述する行に 1H の基準

共鳴周波数を示す内容の行があるはず

なので,その値をクリップボードにコピ

ー し て お く ( 右 図 の 例 は ,

Varian600MHz 機 の 測 定 デ ー タ

の”procper”ファイルの中身であり,

「599.351057832」がこれに該当

する数値である). 続いて,「dfrq」

(デカップル照射周波数の意)という文

字列を検索すると,上記の 1H の

「reffrq」のパラメータ値の 1/4 程度の周波数(13C に

該当する)を示す内容の行がヒットするはずなので,先ほ

どコピーした値で,この値を上書きする(例では,

「150.7227676」を「599.351057832」と修正す

る)

以上修正した後,これを上書き保存して,改めて”fid”

ファイルを取り込めば,下図のように Y 軸側も正しく表示

されるはずなので,あとはリファレンスすればよい

以上