no. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、...

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商号等/豊証券株式会社 金融商品取引業者 東海財務局長(金商)21 加入協会/ 日本証券業協会 2019.1.1 新春特大号 NO.1001 マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、転換点が予感される年 マーケットニュース 「改元」、30年ぶりに実施へ 産業ニュース 部品・素材系各社が注力する自動車向け設備投資 船舶燃料SOx規制のインプリケーション 19-20 年の商用サービス開始が見込まれる5G 拡大が予想されるサイバーセキュリティ市場 労働生産性改善に資するRPAの普及が進む 2025 年に向けた大阪再開発 普及が期待されるスマホ決済 企業ニュース (東証1部:1963)日揮 (東証1部:3092)ZOZO (東証1部:4004)昭和電工 (東証1部:4452)花王 (東証1部:6594)日本電産 (東証1部:6981)村田製作所 (東証1部:7211)三菱自動車 (東証1部:7735)SCREENホールディングス パフォーマンス一覧 №993 参考銘柄 5 社平均の高値騰落率は 17.5% コシダカ、サインポストの高値騰落率が 20%超を達成 ゆたか証券 マーケットウィークリー

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Page 1: NO. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘 2019年は「己亥 (つちのとい)」

商号等/豊証券株式会社 金融商品取引業者 東海財務局長(金商)第 21号

加入協会/ 日本証券業協会

2019.1.1

新春特大号

NO.1001

マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、転換点が予感される年

マーケットニュース 「改元」、30年ぶりに実施へ

産業ニュース 部品・素材系各社が注力する自動車向け設備投資

船舶燃料SOx規制のインプリケーション

19-20年の商用サービス開始が見込まれる5G

拡大が予想されるサイバーセキュリティ市場

労働生産性改善に資するRPAの普及が進む

2025年に向けた大阪再開発

普及が期待されるスマホ決済

企業ニュース

(東証1部:1963)日揮

(東証1部:3092)ZOZO

(東証1部:4004)昭和電工

(東証1部:4452)花王

(東証1部:6594)日本電産

(東証1部:6981)村田製作所

(東証1部:7211)三菱自動車

(東証1部:7735)SCREENホールディングス

パフォーマンス一覧 №993参考銘柄 5社平均の高値騰落率は 17.5%

コシダカ、サインポストの高値騰落率が 20%超を達成

ゆたか証券 マーケットウィークリー

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘

2019年は「己亥

(つちのとい)」

世界経済拡大の

持続性が問われ

る年

企業業績は堅調

も 19年度後半は

20年度の減益リ

スクに注意

株価の材料とな

る政治日程

消費税増税の克

服は課題に

十干十ニ支からなる干支(えと)で見ると、2019年は「己亥(つちのと

い)」。東洋哲学者・安岡正篤氏の「干支の活学」(プレジデント社刊

行)を紐解くと、己(つちのと)には乱れを正しておさめる意味がある。

前年の戊(つちのえ)は茂で紛糾と衰退を意味しており、己はその後

をうけて道筋をはっきり通すことである。また亥という文字は核であ

り、エネルギーを凝縮、蓄積している様子を示す。天変地異や人災、

革命などと縁がある年とも言われる。様々な先行き不安を抱える世界

経済の現状を考えれば、大きな転換点になる年となるのかもしれない。

19年は世界経済拡大の持続性が問われる年となろう。世界経済の成

長率は鈍化局面で、米中貿易摩擦は懸念要因だが、米国の減税効果や

中国の経済対策、国内では五輪特需や消費税の引き上げによる景気減

速をにらんだ対策などで拡大基調を維持できよう。一方、欧州政治不

安の高まりや、中立金利に近づいた米国の金融政策引き締めの加速懸

念が市場の波乱要因として意識される。株価水準は、参議院選挙もか

らみ政策期待が高まる4-6月に2万4,000円程度の高値を想定するが、

7-9月以降は消費税引き上げの影響を意識せざるを得ない。7月以降は2

万1,000円から2万3,000円程度のボックス圏推移を想定する。

証券系3社の12月調査の企業業績見通し(除く金融)によると18年度

予想は前年度比3.7%~6.7%増収、同8.9%~9.8%経常増益となった。

四半期ベースの伸びでは第2四半期にかけて減速したが、第3四半期以

降は自然災害からの挽回生産などで持ち直している。19年度予想は、

年度前半に伸び率をやや高め、前年度比2.3%〜3.4%増収、同7.8%〜

9.7%経常増益。ただ外需は厳しい局面が継続する可能性もある。国内

もコスト増要因などから、19年度の伸び率の加速は望みにくい。特に

年度後半は、米国での減税効果の剥落などで減速リスクが強まる点に

は注意したい。現段階では20年度の企業業績には減益リスクもあろう。

株価の材料となりそうなのが、4月の統一地方選、7月の参院選など

の政治日程である。13年参院選では自民党が圧勝したがその任期満了

を迎える。さすがに自民党が同程度の議席数を維持するにはハードル

が高い。過去の例からは、消費税引き上げ前の選挙は与党に不利に働

く。ただ安倍首相の悲願である改憲の発議に必要な議席を獲得するた

め、公共投資や増税軽減策といった経済対策以外にも様々な支持率上

昇のための手立てを動員する可能性があろう。5月の新天皇の即位によ

る祝賀ムードも、国内景気に対して好影響をもたらそう。また6月のG

20でのプーチン大統領の訪日などを考えると、日露平和条約交渉とか

らめて、その是非を問う衆参同日選挙の可能性もあるとみられている。

選挙前の政策期待の高まりは株式市場にとってプラス材料になろう。

ただ7月参院選後は、19年10月の消費税の引き上げがテーマとなろ

う。税率の引き上げは10月からだが、心理的な影響は夏以降には表れ

よう。食品などへの軽減税率の導入や教育無償化による影響緩和など

経済対策による押し上げも図られるが、10-12月の景気指標の悪化は避

けられないだろう。また米国など世界景気の減速感の強まりと重なる

と、株価の下振れを強めることにもなるので注意したい。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

地固めの年にし

たい2019年

十二支にちなんだ相場の格言に「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下

がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)

固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)

跳ねる」がある。2018年・戌年の株式市場は「戌(いぬ)笑い」が示す

ように、2017年からの良好な流れを受けて上昇、VIXショックなど

はあったが、10月2日には2万4,270.62円の高値をつけた。ただ米中貿

易摩擦の激化、米国の利上げなどを材料に、ヘッジファンドなど短期

筋からの利益確定売りなども顕著となって、株価変動が大きくなり、

株式市場は上昇局面からボックス圏・もみ合い局面へとステージを変

化させた。過去の亥年を振り返ると、「亥(い)固まる」とあるよう

に、「地固め」の年になると言われる。1949年5月の東証での取引再開

以来の過去5回の日経平均パフォーマンスは平均上昇率で+16.2%と

悪くない。その意味で1月から始まる日米貿易交渉や、2月末が期限と

される米中貿易交渉、3月29日の英国のEU離脱などが、地固めのきっ

かけとなり、大きな転換点となる可能性もあり注視したい。

◇CAMの株価・金利・為替予測 項 目 2018年12月14日実 18年12月予 19年1月予 19年2月予

日経平均株価 円 21,374.83 21,000~22,500 21,500~23,500 21,500~23,500

TOPIX 1,592.16 1,560~1,670 1,590~1,740 1,590~1,740

10年国債利回り % 0.025 0.000~0.200 0.000~0.200 0.000~0.200

為 替 (円/ドル) 113.55~113.56 110~114 112~116 112~116

23.8

▲ 6.3

1.8

16.4

28.0

13.4

▲ 5.0

7.9 8.8

15.7

7.2

16.2

▲ 10

▲ 5

0

5

10

15

20

25

30

子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥

◇十二支と日経平均騰落率%

(注)1949年5月16日の取引所再開から2018年12月14日までの年間騰落率を干支で集計

(出所)CAM作成

▲ 0.90

3.00

▲ 0.72

1.591.36 1.37

2.03

▲ 3.37

0.48

▲ 4

▲ 3

▲ 2

▲ 1

0

1

2

3

4

◇実質GDP・前期比年率(%)

(出所)ESPフォーキャスト調査・11月調査

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

マーケットニュース 2019年の政治・経済スケジュール

2019年の主要スケジュール 月 国内イベント 海外イベント

1月

・安倍首相訪ロ

・日米通商交渉開始

・日銀金融政策決定会合(22-23日)

・通常国会召集(下旬)

・米国議会開始(3日)

・ECB理事会(24日)

・FOMC(29-30日)

・IMF世界経済見通し(下旬)

・米大統領一般教書演説

2月 ・日欧EPA発効(1日)

・沖縄県民投票(24日)

・トランプ大統領が2019年会計年度予算教書

提出(中旬)

・米中貿易交渉(90日期限・2月末)

3月 ・日銀金融政策決定会合(14-15日)

・大手企業ベア集中回答

・19年度予算成立

・中国・全人代開幕

・米国・連邦債務上限引き上げ期限(1日)

・ECB理事会(7日)

・FOMC(19-20日)

・英国がEU離脱(29日)

4月 ・大企業へ残業規制導入(1日)

・新入管法施行(1日)

・統一地方選挙(7、21日)

・日銀金融政策決定会合(24-25日)

・新元号公表(観測)

・GW10連休(4/27−5/6)

・ECB理事会(10日)

・米国・財務省半期為替報告書(中旬)

・IMF世界経済見通し(中旬)

・FOMC(4/30-5/1日)

5月 ・新天皇即位(1日)

・成長戦略・骨太方針

・欧州議会選挙(23-26日)

6月 ・日銀金融政策決定会合(19-20日)

・通常国会会期末(下旬)

・大阪G20サミット(28-29日)

・ECB理事会(6日)

・FOMC(18-19日)

・OPEC総会

7月 ・参議院選挙

・日銀金融政策決定会合(29-30日)

・IMF世界経済見通し(中旬)

・ECB理事会(25日)

・FOMC(30-31日)

・中国・北戴河会議(7月下旬-8月中旬)

8月 ・米国・ジャクソンホール会合

9月 ・日銀金融政策決定会合(18-19日)

・ラグビーワールドカップ(9/20-11/2日)

・ECB理事会(12日)

・FOMC(17-18日)

10月 ・消費税率10%に引き上げ

・幼児教育・保育無償化開始(1日)

・楽天が携帯電話事業参入

・日銀金融政策決定会合(30-31日)

・IMF世界経済見通し(中旬)

・ECB理事会(24日)

・FOMC(29-30日)

・ドラギECB総裁任期満了

12月 ・日銀金融政策決定会合(18-19日)

・FOMC(10-11日)

・ECB理事会(12日)

(注)スケジュールは確定したものではなく変更になる可能性があります。 (出所)CAM作成

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇改元に伴う特需などが予想される業種など

業種・業界 コメント

印刷、出版業界 教科書、公文書、カレンダーなど商業印刷特需期待

IT業界 システム改修、データベース再構築などの特需期待

サービス関連 休日増加に伴い、レジャー・サービス業に恩恵も

機械メーカー 紙幣・貨幣の変更予想あり、金銭識別機の需要期待

(出所)各種資料よりCAM作成

マーケットニュース 「改元」、30年ぶりに実施へ 作成者:兵藤三郎

新天皇即位に伴

い、30年ぶりに改

元される

新元号の発表時期

は19年4月の説が

有力

2019年5月1日、皇太子様が新天皇として即位される。今上天皇の4月30日退位に

伴うもの。天皇陛下の生前退位は従来想定されておらず、1817年の光格天皇の退

位以来のこととなる。2016年に表明された陛下の「お気持ち」を受け、ご高齢と

なられた今上天皇の負担軽減などを考慮し成立した、特別法(退位特例法)に基

づき行われる。新天皇即位に伴い元号は現在の「平成」から新たなものに変更さ

れる。

元号はある時点から起算して年数を計算するための称号で、「明治」以降は天

皇陛下の践祚(せんそ)に伴い改められる(改元)ことになった。元号は日本独

特のものだが(昔は中国をはじめ東南アジア地域で広く使われていた)、「大化

(645~650年)」より使われ、現在でも公文書での年記には用いられる。国民生

活に対する改元の影響は大きく今上天皇の生前退位の検討と共に、新元号の発表

時期が模索されている。当初は2018年秋ごろが想定されていたようだが、公表か

ら改元までの期間が長いことのデメリットも指摘され、最終決定には至っていな

いが、現在では「2019年4月」の説が有力になっている模様。

印刷・IT業界に

は特需期待もあろ

即位日の祝日化で

10連休の長期連休

一方長期の市場休

場には注視が必要

改元は公的な書類などの変更、システムの改修等の需要を引き起こそう。貨幣

なども切り替えられるケースも想定される。雑誌などのデジタル化に伴う部数激

減など厳しい環境下にあった印刷関連業界には、特需をもたらす可能性もあろう。

足元ではメガバンク向けなどのシステム統合案件で潤っていたIT業界にも、シ

ステム改修やデータベースの再構築案件などが期待でき、受注案件一巡などの懸

念は回避できよう。

新天皇が即位される5月1日は、「即位の日」として休日(国民の祝日の扱い)

となる(10月22日の「即位礼正殿の儀が行われる日」も休日)。2019年は5月1日

の祝日化により4月30日及び5月2日も休日となり、4月27日(土)~5月6日(月、

振替休日)が10連休となるケースも生じる。人材確保などの課題はあるが、祝賀

ムードも加わりレジャー・旅行産業などには特需の期待も高い。ブライダルビジ

ネスにも期待できよう。

一方、長期休暇に伴う株式市場の混乱には注意したい。4月末から5月上旬は3月

決算期の決算発表時期と重なる。決算発表企業の集中による混乱も懸念されよう。

また、その間国内のマーケットは開かれず、通常スケジュールで動いている国際

マーケットとのギャップも生じかねない。特に為替変動などには注視したい。ア

ノマリーだが、「セルインメイ」との格言が示すように株式市場は5月以降軟調な

相場展開を示すことが多く、今回の長期市場休場がリスクオフの動きを引き起こ

す懸念には注意したい。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇主な注目関連銘柄 (単位:円、倍)

銘柄 コード 株価 PER コメント

帝人 3401 1,850 7.6 自動車向けCFRPに注力

旭化成 3407 1,145.0 10.0 中計で自動車用途を最重点分野に設定、電池材料にも強みを持つ

日電産 6594 13,800 27.6 車載用を成長の中心に据えるモーターメーカー

ソニー 6758 5,855 10.5 CMOSセンサー最大手、能力増強投資にも注力

村田製 6981 16,050 16.3 MLCC世界最大手、能力増強投資にも注力

(注)株価は12月14日終値、PERは今期予想 (出所)CAM作成

産業ニュース 部品・素材系各社が注力する自動車向け設備投資 作成者:兵藤三郎

電子部品や素材メ

ーカー、自動車向

け設備投資に注力

CASEをキーワ

ードに変革期にあ

る自動車業界

軽量化、CFRP

の製造コスト低減

に期待

日本の電子部品メーカーや素材系メーカーは、スマートフォンやAV機器向け

の黒子役として業績を伸長させてきた。これら各社は、現在自動車向けに注力し、

部品や素材の供給能力増強に取り組んでいる。背景にはスマートフォンの需要拡

大が頭打ちとなる一方、世界の自動車生産が堅調に推移していることがある。さ

らに、各国・各地域の規制強化に伴い軽量化や低燃費化のニーズは高まり、Io

Tの進展に伴い自動運転も視野に入ってきている。従来とは違う部品や素材の需

要も高まっており、新規参入をもくろむメーカーも多い。

2017年の世界全体の自動車生産台数は9,729万9,000台(日本自動車工業会)、

台数ではスマートフォン生産量の1割にも満たないが、部品や素材の総使用量・面

積では凌駕している状況にあろう。自動車業界は「CASE(コネクティビティ、

オートノマス、シェアード、エレクトリック)」をキーワードに大きな変革期に

ある。軽量化、低燃費化、電装化は今後も大きく進捗すると考えられよう。

自動車の軽量化では鋼材の代替としてアルミ、炭素繊維複合材(CFRP)、

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)などが検討されている。シャーシ(車

台)への採用となれば軽量化は一気に進もう。飛行機用途で進捗しているCFR

Pが本命と考えられようが、依然価格がネックとなっている模様。東レ(3402)、

三菱ケミHD(4188)、帝人(3401)が主要メーカー、能力増強などにより製造

コスト低減が図られることを期待したい。

エンプラ、ゴム素

材、エアバッグの

需要も拡大

MLCCはサイズ

大型化もあり需要

はひっ迫

センサー、リチウ

ムイオン電池材料

も需要拡大

機構部品などでは、耐熱性の高いプラスチック(エンジニアリングプラスチッ

ク)の利用拡大が期待できよう。大手化学メーカー等が強みを持つ。その他、低

燃費タイヤ用ゴム素材、塩ビや人工皮革等の内装材なども能力増強投資がみられ

る分野である。安全規制強化の面ではエアバッグなどの需要拡大も見込めよう。

電装化の進捗に伴い、電子部品メーカーの車載用途への注力も進捗している。

汎用性の高いMLCC(積層セラミックコンデンサ)などは需要拡大が見込める

代表的な電子部品。車載用途としてより安全性高信頼性が追求されるため、微細

化を追求したスマホ向けより大型サイズが使われ、需給はひっ迫する傾向にあろ

う。村田製(6981)、TDK(6762)がMLCCの大手メーカー。

CASEの観点からはセンサーなどの車載用半導体にも注目したい。センサー

ではソニー(6758)の積極投資がみられる。電動化の流れでは車載用モータ、リ

チウムイオン電池材料なども需要拡大が見込めよう。電子ミラーやヘッドアップ

ディスプレイなど次世代自動車で想定される装備の多くは電子部品につながって

いる。自動運転に不可欠なAIには半導体が必要である。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇主なSOx規制関連企業 (単位:円、倍)

銘柄 コード 株価 PER コメント

昭和シェル 5002 1,580 7.4 出光と統合予定、IMO規制への対応はほぼ完了済み

富士石油 5017 303 2.5 現状顧客需要がなければC重油の生産をゼロにすることは可能

出光興産 5019 3,690 5.3 昭和シェルと統合予定、IMO規制への対応はほぼ完了済み

JFE 5411 1,886.5 6.2 脱硫装置メーカー、需要増期待

三菱重 7011 4,246 17.8 脱硫装置メーカー、需要増期待、新造船にも期待

(注)株価は12月14日終値、PERは今期予想 (出所)CAM作成

産業ニュース 船舶燃料SOx規制のインプリケーション 作成者:兵藤三郎

2020年より船舶燃

料規制導入、今年

中に対応が必要

燃料規制によりコ

ストは増加、転嫁

が課題に

船舶燃料に対する硫黄酸化物(SOx)排出規制が2020年1月に導入され、現在

船舶燃料の主流である硫黄分を多く含む重油(C重油)が使えなくなる。貿易の

要である海運への支障回避のため、2019年中に対応が必要となる。船舶燃料SO

x規制は2019年の相場テーマの一つで、今回はそのポイントなどをまとめてみた。

船舶燃料規制は国連の専門機関の一つであるIMO(国際海事機関)が定める

もので、段階的に規制が強化され、2020年1月より一般海域での燃料油の硫黄分含

有率の上限が0.5%となる。新造船だけでなく既存船も対象となる。対応策として

は①燃料をC重油(硫黄分質量3.5%以下)からA重油(1号、同0.5%以下)に切

り替える、②脱硫装置(スクラバー)を設置する、③LNG/LPGなど代替燃料

を使用するなどが考えられよう。いずれもコスト増となり、海運会社には運賃や

貸船料の引き上げ、荷主には貨客への転嫁が課題となろう。

C重油需要減は、

装置負担増や軽質

油の価格上昇に

BTXを原料とす

る誘導品の生産に

も影響しよう

厳しい事業環境だ

が過剰船腹問題解

消の期待もある

脱硫装置メーカー

などには需要増加

の期待もあろう

C重油は原油の精製工程の中で生じ(原油の品質による違いはあるがほぼ1割弱

と推定)、船舶燃料の他発電用燃料などに使われる。A重油などへ切り替えると

C重油の生産量を減らす必要が生じ、装置性能などの引き上げや脱硫装置による

硫黄分の除去が必要となる。高硫黄原油などの投入・処理量を減らすという選択

肢もあろう。装置負担増や軽質油の価格上昇などが懸念されよう。軽質油の価格

上昇は、海運以外の運輸業界へも悪影響が懸念される。

高硫黄原油の処理量減少はBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン、共に炭素

を多く含む芳香族化合物)を多く含む重質ナフサの供給減につながる可能性があ

ろう。BTXを原料とする誘導品(ポリエチレンなどの原料となるスチレンモノ

マーやナイロン原料のカプロラクタムなど)の生産に影響しよう。特に海外事業

において、原料などを外部調達しているプラントへの影響は注意したい。

SOx規制により予想される装置コスト増、燃料価格上昇に加え、海運業界に

はバラスト水処理装置の搭載義務化などの対応も必要となる。厳しい事業環境で、

荷主などへの一部転嫁が必要となろう。転嫁率、進捗度に注目したい。一方、老

朽船などのスクラップが進捗すれば、過剰船腹問題の解消にもつながり、高効率

な大型船を保有する大手業者には有利な展開も期待できよう。

脱硫装置などを製造する機械メーカーには需要増が期待できよう。処理能力増

強投資は必要となろうが、石油精製メーカーには軽油留分の販売増につながりマ

ージンの拡大が期待できよう。一部メーカーでは対応も進捗している模様。化学

メーカーでもBTXの価格上昇影響は一部の海外プラントなどに限定され、総じ

て影響は軽微と考えられる。年後半にかけての各社の対応を注視していきたい。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇主な関連銘柄と株価 (単位:円、%、倍)

銘柄 コード 株価 12/14

予想経常

増益率

予想 PER

コメント

コムシスHD 1721 2,720 12 11.4 小型基地局の設置工事など 協エクシオ 1951 2,636 23 5.9 小型基地局の設置工事など 古河電工 5801 2,859 ▲15 10.1 北米光ファイバ、光伝送部品 NEC 6701 3,580 ▲42 37.2 5G基地局の開発で韓国サムスン電子と提携 アンリツ 6754 1,670 52 41.7 5G対応の通信計測器 ソニー 6758 5,855 39 10.5 ゲーム、各種映像コンテンツ アドテスト 6857 2,076 124 8.7 ロジックテスター 村田製 6981 16,050 67 16.3 高周波部品、電圧制御用積層セラミックコンデンサ NTTドコモ 9437 2,559.0 ▲12 13.7 各種新サービスの立ち上げ、料金体系にも注目 カプコン 9697 2,161 8 19.7 ストリートファイターなどeスポーツタイトル コナミ 9766 4,820 10 20.4 eスポーツタイトル、プロ野球eリーグ開催 (注)予想はNECを除き今期会社計画、NECは日経予想 (出所)CAM作成

産業ニュース 19-20年の商用サービス開始が見込まれる5G 作成者:奥村義弘

19-20年の商用サ

ービス開始が見込

まれる5G

高速大容量、低遅

延、多接続性が特

様々な企業にビジ

ネスチャンス

5G(第5世代移動通信システム)とは、4GとよばれるLTEやLTE-Advanced

の後継の次世代モバイル通信技術である。世界各国の標準化団体が参加する3GP

P(3rd Generation Partnership Project)と呼ばれる活動で仕様が検討されて

いたが、2018年6月に標準仕様「5G New Radio(NR)」がまとまった。これを受け

て世界各地で商用サービスの開始に向けた動きが強まっている。米国通信大手ベ

ライゾンと韓国サムスン電子は、18年12月に米国で19年上期(1-6月)に5G向け

スマホを発売すると公表した。2020年には日本でも商用化の予定で、大手キャリ

アも動きを活発化させている。

5Gは、国内で主流のLTE(Long Term Evolution)と比較して実質的な速度

が約100倍(10~20Gbps(ギガ・ビット毎秒))となる「高速大容量」という特徴

を持つ。二つ目の特徴は、ネットワーク遅延が1ミリ秒(1000分の1秒)以下と非

常に小さく、遠距離でもずれが生じにくい「低遅延」である。緻密な動きが求め

られる遠隔医療や自動運転を可能にする。三つ目の特徴は「多接続性」で、1平方

キロメートル当たり100万台以上の機器を同時に通信回線に接続できる。IoT

(Internet of Things)の普及に合わせ、多くの機器から同時に回線に接続して

も、通信負担に耐えられる仕組みが用意される。本格的なIoT時代の情報通信

技術の基盤となることが期待される。

基地局の工事も20.3期より本格化しよう。これまで4Gに割り当てられていた投

資が5Gにシフトすると推測され、投資急増は期待できないが、通信工事会社やネ

ットワーク機器を手掛ける関連企業に商機があろう。通信機器の検査装置への需

要も高まろう。NTTドコモ(9437)はラグビーワールドカップが開幕する2019

年9月に「プレサービス」を始め、2020年春から「商用サービス」をスタートする

予定。高精細画像を使ったスポーツ観戦や競技場間の自動運転輸送など、様々な

サービスが提供されよう。また5G環境下でのコネクテッドカーの実現には、通信

する基地局を安定的に切り替える技術や、電波が弱い地域でのデータ送受信性を

確保する技術が必要となる。自動車メーカーと通信・半導体企業など様々な協業

が進もう。ゲームでは多人数が同時参加できるオンラインゲームのタイトルが増

えよう。五輪を前にスポーツ熱の高まりはeスポーツへの関心を高める可能性が

ある。またVR動画の配信、遠隔高度医療システム、建機の遠隔操作、ドローン

操作など様々な実証実験が進められている。ビッグデータ解析用のデータセンタ

ーへの需要も高まろう。高性能な半導体、電子部品への需要も期待できよう。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

5,563

4,892

0

3,000

6,000

9,000

12,000

2014 2015 2016 2017 2018

◇サイバーセキュリティ市場規模セキュリティサービス セキュリティツール

(億円)

(注)2017年度は見込み、2018年度は予測値

(出所)JNSA資料よりCAM作成(年度)

◇関連銘柄の株価、予想PER、コメント等 (単位:円、倍)

銘柄名 コード 株価

(12/14)

予想

PER

コメント等

デジアーツ 2326 6,260 43.5 情報漏えい防止フィルタリングで国内最大手

ソリトン 3040 801 38.5 ネットワーク認証アプライアンスで高シェア

ラック 3857・JQ 1,348 19.8 国内最大級の監視センターを持つ

DIT 3916 1,637 37.7 Web改ざんの修復・復旧ソフトを手掛ける

トレンド 4704 6,300 30.9 世界シェア3%程度の国内最大手

(注)コード横のJQは東証ジャスダックスタンダード、その他東証

(出所)CAM作成

産業ニュース 拡大が予想されるサイバーセキュリティ市場 作成者:村上大志

サイバーセキュリ

ティ市場は拡大が

予想される

標的型攻撃やランサムウェア(身代金要求型ウィルス)、DDos攻撃※など

のサイバー攻撃の脅威は深刻化しており、サイバーセキュリティの重要性は高ま

っている。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)によると、国内のサ

イバーセキュリティ市場規模は2014年

度の8,428億円から2017年度は9,965億

円まで拡大した模様であり、2018年度

は1兆455億円が見込まれている。

※特定のネットワークやコンピューターに大

量のデータを送り、サーバーをダウンさせる。

国内最大手トレン

ドの世界シェアは

3%程度

サイバーセキュリティ業界の世界最大手はシマンテック(米国)で2015年の世

界シェアは10%程度。国内最大手はトレンド(4704)で同シェアは3%程度であ

る。同社は1988年に設立された総合セキュリティベンダー。法人、個人向けに展

開するエンドポイント(ネットワーク端末)セキュリティ「ウイルスバスター」

シリーズが主力。M&Aによる製品ラインナップの強化でネットワークセキュリ

ティも手掛けている。足元では、IoTデバイス向けセキュリティの取り組みも

始めており、さらなる事業領域の拡大が期待される。

特定の分野で高い

シェアを誇る企業

に注目

総合的なサービスではトレンドが強いが、サイバー攻撃の種類は多岐に渡るた

め、対応するセキュリティサービス別である程度すみ分けがされている。そのた

め、特定の分野で高いシェアを獲得している企業が存在している。情報漏えい防

止フィルタリングで国内最大手のデジアーツ(2326)、ネットワーク認証機器で

高シェアのソリトン(3040)、不正アクセスによるWeb改ざんを検知し修復・

復旧する自社製ソフト「WebARGUS」を提供するDIT(3916)、国内最

大級の監視センターを持つラック(3857・JQ)などが挙げられる。各企業が得

意とするサイバー攻撃が行われた際には関心が集まろう。

サイバーセキュリ

ティへの投資は優

先順位が高い

サイバー攻撃の脅威は高まっており、企業のサイバーセキュリティへの投資は

増加していくことが予想される。特に手薄になっている工場内のIoT向けやス

マート家電向けが増加しよう。中期的には車載IoT向けの市場も立ち上がって

くることが想定される。IT投資の中でもサイバーセキュリティへの投資は優先

順位が高いと考えられ、サイバーセキュリティ市場は今後も成長が続こう。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇関連銘柄の株価、予想PER、コメント等 (単位:円、倍)

銘柄名 コード 株価

(12/14)

予想

PER

コメント等

アンビション 3300・東マ 990 10.3 不動産事業者へのRPAサービス提供を目指す

LTS 6560・東マ 1,676 37.5 事業の一部でRPAサービスを展開

RPA 6572・東マ 3,580 187.6 RPAの国内リーディングカンパニー

NTTデータ 9613 1,322 20.6 自社製RPAツールを所有

NSW 9739 2,082 14.9 自社サービスと組み合わせ付加価値向上を図る

(注)コード横の東マは東証マザーズ、その他東証

(出所)CAM作成

産業ニュース 労働生産性改善に資するRPAの普及が進む 作成者:村上大志

RPAの普及が進

RPA(Robotic Process Automation)の普及が進んでいる。RPAとはソフ

トウェア型ロボットを使って事務作業を自動化する技術で、PCを使用したルー

チンワークが対象である。主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務に適

用できるため、企業の労働生産性改善につながり収益性の向上に寄与する。2025

年には国民の約30%が65歳以上の高齢者となり、労働人口の減少が見込まれる日

本において必須の技術といえよう。

国内の代表企業R

PA

RPAの国内代表企業としてRPA(6572・東マ)が挙げられる。同社は定型

業務が多くRPAと親和性の高い金融機関を中心に幅広い業界へRPAソリュ

ーションを展開している。ソフトウェア型ロボットがAI(人工知能)や機械学

習等の技術を活用して学習することで、作業工程を記録し人間の業務を代行す

る。RPAへの需要は高く19.2期の会社計画を2度上方修正しており、業績は好

調に推移している。

同社と業務提携している企業としてNSW(9739)とアンビション(3300・東

マ)が挙げられる。NSWは自社のAI・ITソリューションと組み合わせて提

供することでサービスの付加価値を高めている。賃貸管理事業を展開するアンビ

ションは、同社のRPAソリューションを自社活用しており、中期的には全国の

不動産業者向けにサービスの展開を目指している。

大手SIはシェア

向上のきっかけと

してRPAを活用

国内大手SI(システムインテグレーター)の多くは大手RPAツールの販売

代理店としてビジネスを手掛けているが、NTTデータ(9613)は自社製RPA

を所有している。しかし、RPAは定型業務のみを自動化するものが多く単体で

は差別化に乏しいことから、大手SIはRPAの導入をきっかけにシステム案件

の開発の獲得につなげ、顧客内シェアを高めるために活用しているようである。

RPA市場の伸び

代は大きい

RPAはAIや機械学習等を含む認知技術を活用することで、これまで人間の

みが対応可能と想定された作業、もしくはより高度な作業を代行するツールにな

りつつある。RPAは人間を補完し業務を遂行することから仮想知的労働者(デ

ジタルレイバー)と呼ばれ、マッキンゼー・グローバル・インスティチュートに

よると、2025年までに全世界の1億人の知的労働者もしくは知的労働者の3分の1

の仕事がRPAに置き換わり、市場規模は6兆7,000億ドル(1ドル=103円)に達

すると推定されている。国内では大手企業を中心に導入例が増加しているが導入

率は14%程度と低く、市場としての伸び代は大きいと考えられよう。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇関連銘柄の株価、予想PER、コメント等 (単位:円、倍)

銘柄名 コード 株価

(12/14)

予想

PER

コメント等

大林組 1802 1,050 7.7 関西に強みを持つ大手ゼネコンの一角

五洋建 1893 670 10.6 埋立工事に強み

きんでん 1944 1,839 15.3 関西地盤の電気設備工事大手

京阪HD 9045 4,690 23.9 夢洲への鉄道延伸を検討、ホテルも展開

乃村工芸社 9716 2,896 27.3 ディスプレイ大手、万博実績あり

(注)予想PERは今期会社予想(出所)CAM作成

産業ニュース 2025年に向けた大阪再開発 作成者:荒木晶子

2025年の万博開

催地が大阪に決

2025年の万博の開催地が大阪に決定した。大阪での開催は、1970年以来55年ぶ

り、2回目となる。今回のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。高齢化

や環境汚染などの社会問題を、人口知能や仮想現実を使ってどう解決するかを探

る、未来社会の実験場がコンセプトである。来場者数は約2,800万人、経済効果

は約2兆円と試算されており、2020年に開催予定の東京オリンピック・パラリン

ピック後、日本経済を盛り上げるイベントとして期待されている。

大阪のインフラ

整備加速が期待

される

会場建設費は1,250億円程度とされている。その他、夢洲への鉄道延伸などの

工事が必要となる。夢洲はIR(統合型リゾート)の候補地にもなっており、今

回の万博開催地が大阪に決定したことで、IR誘致にも優位性が高まったとみら

れる。これらを背景に、大阪のインフラ整備の加速が期待されている。

関西エリアに強

みのある建設企

業に恩恵

建設関連ではゼネコン全般においてポジティブであろうが、特に関西地区に強

みを持つ大林組(1802)、奥村組(1833)、電気設備工事のきんでん(1944)な

どが注目されよう。夢洲の埋立工事が必要となるため、五洋建(1893)も恩恵を

受けよう。また、施設内のディスプレイを担う企業として、前回の大阪万博での

実績がある乃村工芸社(9716)や丹青社(9743)などへの受注増が期待される。

夢洲への鉄道路

線延伸

夢洲は、現在鉄道アクセスがないため、鉄道路線の延伸が必要となる。大阪市

は地下鉄の延伸計画を進めているが、JR西日本(9021)への延伸要望も多いよ

うだ。IRの開催が決まれば、民鉄の京阪HD(9045)も延伸に乗り出すとみら

れる。また、イベント開催に向けて訪日旅行客の増加が予想され、関西空港のア

クセス線であるJR西日本や南海電(9044)の利用者増が期待できよう。

不動産関連の企

業にも注目

訪日旅行客の増加に対応するため、宿泊施設が増加するとみられる。ホテル事

業者はもちろん、南海電、京阪HDなどの民鉄各社もホテルを展開しており、恩

恵があろう。また、大阪駅周辺の再開発も活発になるとみられる。大阪駅北側の

再開発エリア「うめきた2期地区」は、2024年の街開きを計画している。大規模

な再開発であり、開発事業者である菱地所(8802)、積ハウス(1928)などが注

目されよう。

関西経済成長の

起爆剤になるよ

う期待

インフラ整備の加速には、IRの設置場所となることが不可欠であると考えら

れるため、今後のIR誘致の動きには注目が集まろう。今回の大阪万博開催決定

が、関西経済成長の起爆剤となることを期待したい。

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

◇関連銘柄の株価、予想PER、コメント等 (単位:円、倍)

銘柄名 コード 株価

(12/14)

予想

PER

コメント等

LINE 3938 3,610 ― コミュニケーションツールとしての強みを生かす

ヤフー 4689 296 15.0 ペイペイに出資、自社でもヤフーウォレットを展開

楽天 4755 845 10.6 楽天経済圏の拡大を図る

NTTドコモ 9437 2,559.0 13.7 携帯電話料金合算払いで若年層にアピール

SBG 9984 8,496 9.3 グループ力を結集してペイペイをサポート

(注)予想PERは日経予想、NTTドコモは会社予想(出所)CAM作成

産業ニュース 普及が期待されるスマホ決済 作成者:荒木晶子

スマホ決済の普

及がキャッシュ

レス決済比率上

昇の鍵

政府は、2016年時点で約20%だったキャッシュレス決済比率を、2025年までに

40%にするという目標を掲げており、利用者や店舗に対して様々な支援を行う方

針である。現在、日本のキャッシュレス決済のほとんどはクレジットカードや電

子マネーだが、昨今はQRコードやバーコードを使ったスマホ決済への参入が相

次いでいる。国内でも訪日外国人の増加や加盟店導入コストの低さを背景に、普

及が進むと期待されている。

異業種からの参

入が相次ぐ

スマホ決済は、これまで決済サービスの中心であった銀行やクレジットカード

会社に限らず、異業種からの参入がみられる点が特徴だ。SBG(9984)とヤフ

ー(4689)が共同出資した「ペイペイ」は、SBGとヤフーの顧客基盤、SBG

が出資しているインドのスマホ決済サービス企業のノウハウを強みとしている。

LINE(3938)の「LINEペイ」は、加盟店の情報をユーザーに提供するな

ど、メッセンジャーアプリとしての特性を生かしている。NTTドコモ(9437)

の「d払い」は、同社ユーザーであれば携帯電話料金と合算が可能であり、クレ

ジットカードを持たない若年層を中心に取り込みを図る。

利用者獲得のた

めの各社の施策

利用者を増やすため、各社は特典やキャンペーンを実施している。楽天(4755)

の「楽天ペイ」は、利用者にポイントを付与している。貯まったポイントは楽天

ペイの加盟店の他、自社ECモールの楽天市場などでも利用可能であり、顧客の

囲い込みが進むとみられる。ペイペイは、利用者に代金の一部を還元するキャン

ペーンを行った。還元金が総額100億円に達したら終了するとしていたが、利用

者が急増し、同キャンペーンはわずか10日間で終了した。「オリガミペイ」は即

時割引クーポンを配信するなど、利用者がわかりやすい特典を付与している。

特典による加盟

店の囲い込みも

重要

加盟店の増加も普及のポイントとなろう。LINEペイは、自前の端末に店舗

用のアプリを入れて利用する加盟店には、2021年の7月末まで決済手数料を無料

にするキャンペーンを行っている。また、ペイペイは、加盟店契約の先着30万店

舗に関して、2019年1月末まで決済額の1%を還元するとしている。加盟店にとっ

ては、いかに低コストで導入できるかが選別の重要なポイントとなり、利用者の

獲得と同様に各社の囲い込みの施策が強化されると考えられる。

安全性向上への

取り組みも選別

のポイント

スマホ決済の普及には課題も多い。特に、個人情報の取り扱いなどのセキュリ

ティ面や、システムダウンで決済ができなくなる点などが不安視されており、安

全性向上への取り組みも選別の大きなポイントとなろう。

Page 13: NO. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘 2019年は「己亥 (つちのとい)」

マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 日揮 (東証1部:1963)http://www.jgc.com 作成者:奥村義弘

世界屈指のエンジニアリングコンストラクター

1928年設立。世界各地で石油、天然ガス、石油化学

などのオイル&ガス分野を中心に、発電プラント、非

鉄金属プラントなどのエネルギー・産業インフラ分野、

医薬品工場、環境施設などの社会インフラ分野に至る

幅広い分野でプラント・施設の建設を手掛ける。19.3

期・第2四半期累計の売上高構成比は総合エンジニアリ

ング91%、機能材製造8%、その他1%。世界のトップ

エンジニアリングコンストラクターであるベクテルの

4兆円規模、フルアの2兆円規模、テクニップ、CBI、

サイペンの1.5兆円規模の売上高に肩を並べるべく、17.3期~21.3期の新中計では21.3期の売上

高1兆円以上、当期純利益600億円、ROEは10%以上の継続などを目標に掲げている。

受注環境は明るい。良好なプロジェクト管理能力を発揮

19.3期・第2四半期(4-9月)の連結業績は、受注高が1,760億円、前年同期比50%減、売上高

が2,783億円、同19%減、営業利益が103億円、同24%減。大幅な減収減益だが想定済みで、ネガ

ティブサプライズではない。一部中東の案件などの遅れで通期の売上予想を下方修正したが、第

2四半期時点の粗利益率は7.4%、同0.2ポイント改善した。通期の受注予想額は1兆円だが、目標

達成が視野に入っている。第3四半期にLNGカナダの受注6,300億円が計上される見通し。その

他約500億円の受注も足元までで固めており、計画に対して残り約1,500億円となっている。また

これまで、競合他社にあったような多額の追加損失の発生はない模様で、LNGカナダの案件は

成功に向けてリスク管理を徹底している。イクシスやヤマルの経験者を投入し、アジア圏で超大

型モジュールを建造することで現地工事を極小化している。他の案件は選別受注で対応している。

20.3期に向けても北米のLNGや化学、中東のLNGやガス処理、石油精製、アフリカのLNG、

東南アジアの石油精製、化学、LNG受入基地、火力発電、空港、国内では化学、医薬・医療、

太陽光発電、バイオマス発電、風力発電など豊富な案件を有している。

[株価動向・投資判断]

株価は競合他社のトラブルもあり連れ安したが、良好な受注環境や徹底した収益管理体制など

業績の安心感は高い。先行きの需要環境も良好で評価が高まる動きに期待したい。

石油・ガ

ス・資源開

25%

石油精製

10%

LNG

27%

化学

14%

発電・原子

力・新エネ

ルギー

15%

その他

9%

◇分野別受注残高(19.3期・第2四半期)

(出所)日揮公表資料よりCAM作成

<1963 日揮 業績:日本基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 経常利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 693,152 ( ▲ 21 ) ▲ 21,496 ( - ) ▲ 15,215 ( - ) ▲ 22,057 ( - ) ▲ 87.4 30.00

18.3 722,987 ( 4 ) 21,495 ( - ) 24,927 ( - ) 16,589 ( - ) 65.8 25.00

19.3 予 640,000 ( ▲ 11 ) 22,000 ( 2 ) 29,000 ( 16 ) 10,000 ( ▲ 40 ) 39.6   12.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 1,627 円

年初来高値(高値日) 2,739

同 安値(安値日) 1,582

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 1.03 倍

予想配当利回り 0.74 %

(1株当たり配当金年12.00円)

ROE(18.3) 4.3 %

発行済み株式数 25,905 万株

円(18/5/1)

円(18/12/10)

1,585.6

41.1

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

2,400

2,600

2,800

3,000[週足]

13週平均

26週平均

Page 14: NO. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘 2019年は「己亥 (つちのとい)」

マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース ZOZO (東証1部:3092)https://corp.zozo.com/ 作成者:荒木晶子

2018年10月、スタートトゥデイから現社名に変更

1998年設立。衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」

を運営している。2018年1月、プライベートブランド(P

B)「ZOZO」の販売を開始した。従来は、採寸用ボ

ディスーツ(ZOZOSUIT)で計測したデータを基

に商品を製造・販売する仕組みであったが、収集したデ

ータを活用し、一部の商品は注文時に身長・体重・年齢

などの基本情報を入力するだけで購入が可能となった。

これに伴い、ZOZOSUITの配布計画は600~1,000

万枚から最大300万枚に修正した。販売計画に対する進

捗は遅れているようで、収益貢献には時間がかかりそう

だ。一方、主力のZOZOTOWN事業のてこ入れを計

画しているようで、同事業は成長の再加速が期待される。

下期のZOZOTOWN事業てこ入れに期待

19.3期・第2四半期累計(4-9月)の連結業績は、売上高が538億円、前年同期比26%増、営業

利益が101億円、同27%減。EC(電子商取引)事業の販売額に当たる商品取扱高は1,412億円、

同18%増。営業利益は計画を下回った。PBの先行費用や配達運賃の上昇などにより、商品取扱

高に対する営業利益率は7.1%、同4.5ポイント悪化した。第2四半期(7-9月)のPBの販売計画

は15億円だったが、生産工程の一部不具合で納期の遅延が発生し、発送実績は5億円に留まった。

19.3期の通期会社計画は、売上高が1,470億円、前期比49%増、営業利益が400億円、同22%増。

通期計画は据え置いたが、計画に対する営業利益の進捗率は25%であり、達成は容易ではなさそ

うだ。ZOZOTOWN事業は、販売促進の施策を予定しており、商品取扱高の増加が期待でき

よう。PBは納期遅延が解消され、ZOZOSUITの配布計画の変更で30億円のコストダウン

が見込まれる。今後は取り扱いアイテムの増加や計測データの精度向上などが課題となろう。

[株価動向・投資判断]

株価は通期計画の未達を織り込んで下落しているとみられる。主力事業に関してはEC市場の

拡大を背景とした成長余地が大きいと考えられ、株価の再評価に期待したい。

10

10.5

11

11.5

12

12.5

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

15.3期 16.3期 17.3期 18.3期 19.3期(予)

◇商品取扱高と営業利益率の推移商品取扱高(左軸)

営業利益率

(対商品取扱高、右軸)

(出所)ZOZO資料よりCAM作成

(億円) (%)

<3092 ZOZO 業績:日本基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 経常利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 76,393 ( 40 ) 26,284 ( 48 ) 26,442 ( 48 ) 17,035 ( 42 ) 54.7 36.00

18.3 98,432 ( 29 ) 32,669 ( 24 ) 32,740 ( 24 ) 20,156 ( 18 ) 64.7 29.00

19.3 予 147,000 ( 49 ) 40,000 ( 22 ) 40,000 ( 22 ) 28,000 ( 39 ) 91.7   36.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 2,544 円

年初来高値(高値日) 4,875

同 安値(安値日) 2,133

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 45.48 倍

予想配当利回り 1.42 %

(1株当たり配当金年36.00円)

ROE(18.3) 57.4 %

発行済み株式数 31,164 万株

円(18/7/18)

円(18/11/21)

55.9

27.7

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000[週足]

13週平均

26週平均

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 昭和電工 (東証1部:4004)http://www.sdk.co.jp 作成者:兵藤三郎

国内大手化学メーカー

国内大手化学メーカー。1926年に日本沃度として設立(後に日本電

気工業に改称)。1939年に昭和肥料と合併し現在の名称となった。ヨ

ードと化学肥料の製造から、電気化学の技術を基に事業を進化発展さ

せてきた。幅広い領域に事業展開(右図参照)していることに加え、

高シェア製品や独自の製造技術、高い競争力を持つ製品を多く持つ。

世界No.1の販売シェアを持つ製品としては、高品質大口径黒鉛電極、

電子材料用高純度ガス、アルミ電解コンデンサ用高純度アルミ箔、外

販ハードディスクなどがある(HP参照)。2018年12月11日、今期よ

り始まる3カ年の新中期経営計画「The TOP 2021」を発表し

た。計数目標は売上高(3年累計)3兆4,000億円(前中計比1.4倍)、

営業利益(同)4,800億円(同1.66倍)、ROA(期間中の単純平均:営業利益ベース)12.6%

(同3.1ポイント増)、ROE(同)19.5%(同4.9ポイント増)。

中期経営計画は保守的、成長けん引役の育成にも期待

18.12期の連結業績は売上高が9,850億円、前期比26%増、営業利益が1,700億円、同119%増の

会社計画を上回って着地したと推定する。PC向け数量が減少したHD(エレクトロニクス)、

大型定期修繕の影響を受けたオレフィン(石油化学)などの減益要因はあったが、黒鉛電極(無

機)の伸長が業績をけん引し大幅増収増益を達成した模様。

19.12期業績の市場コンセンサス予想(QUICKコンセンサス)は、売上高が1兆876億円、

前期の会社計画比10%増、営業利益が2,125億円、同25%増。足元兆候が見え始めている黒鉛電

極市況の軟化に伴うスプレッドの縮小はある程度織り込むが、石油化学の反動増や足元のナフサ

価格下落に伴う原材料コスト低減などが増益インパクトとなろう。黒鉛電極事業の収益貢献の継

続、半導体製造の高水準な稼働に裏付けられた高純度ガスの堅調な需要など足元の状況を勘案す

れば、中期経営計画は上振れ余地のある保守的な計画であろう。改善投資、成長投資、M&Aの

投資額増強も中期的な成長けん引役の育成につながろう。

[株価動向・投資判断]

中期的に成長が期待できる銘柄として注目したい。2月上旬に決算発表の予定で、足元の事業

環境の再確認と共に、株価水準の見直しに期待したい。

◇17.12期売上高構成比

(出所)昭和電工資料よりCAM作成

石油化学

31%

化学品

17%エレクト

ロニクス

16%

無機

8%

アルミニ

ウム

12%

その他

16%

<4004 昭電工 業績:日本基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 経常利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

16.12 671,159 ( ▲ 13 ) 42,053 ( 26 ) 38,690 ( 21 ) 12,305 ( 1,236 ) 86.3 0.00

17.12 780,387 ( 16 ) 77,818 ( 85 ) 63,962 ( 65 ) 33,470 ( 172 ) 234.8 80.00

18.12 推 985,000 ( 26 ) 170,000 ( 119 ) 167,000 ( 161 ) 115,000 ( 244 ) 774.3   120.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 3,790 円

年初来高値(高値日) 6,470

同 安値(安値日) 3,545

予想PER(18.12推) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 1.22 倍

予想配当利回り 3.17 %

(1株当たり配当金年120.00円)

ROE(17.12) 10.4 %

発行済み株式数 14,971 万株

円(18/10/2)

円(18/12/11)

3,116.7

4.9

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

5,500

6,000

6,500

7,000[週足]

13週平均

26週平均

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 花王 (東証1部:4452)https://www.kao.com/jp/ 作成者:荒木晶子

新技術が中期経営計画の達成をけん引

1887年創業の日用品メーカー。2017~2020年度の中期

経営計画「K20」では「利益ある成長」にこだわり、営

業利益率15%の達成、過去最高益更新の継続を目指す。

18.12期は、化粧品事業の構造改革に取り組み、順調に

利益を積み上げた一方、日用品は市場競争の激化や原材

料価格の上昇などにより苦戦した。2018年11月27日、新

技術「ファインファイバー」の開発を発表した。極細繊

維を肌に直接噴きつけることで、肌の表面に自然な積層

型極薄膜を作る技術であり、化粧品における新たな提案

や、治療への応用を視野に入れている。2019年度中に製

品化を計画しているようで、中期経営計画の達成をけん

引する材料となろう。

第3四半期は化粧品事業の収益性改善で増収増益

18.12期・第3四半期累計(1-9月)の連結業績は、売上高が1兆978億円、前年同期比2%増、営

業利益が1,422億円、同3%増。化粧品事業の収益性改善が奏功した。ベビー用紙おむつ「メリー

ズ」は、中国における現地メーカーの攻勢や値下げ圧力などの影響で前年同期比減収となった。

また、洗濯用洗剤や掃除用品などのファブリック&ホームケア事業は、マーケティングコストの

効果が乏しかったことや原材料価格の上昇で、利益率が低下した。

18.12期の通期会社計画は、売上高が1兆5,400億円、前期比3%増、営業利益が2,150億円、同5%

増だったが、第3四半期までの実績を踏まえて、営業利益は計画線で着地したと推定する。18.12

期は化粧品事業の構造改革に成果がみられた。引き続き、同事業の業績貢献が期待できよう。ま

た、19.12期には新技術を応用した商品の発売も計画されており、中期経営計画の達成に向けた

取り組みは着実に進んでいると考えられる。

[株価動向・投資判断]

19.12期は化粧品事業のさらなる成長や新技術の実用化による業績貢献が期待できよう。また、

配当性向40%を目標とした積極的な株主還元の姿勢が、株価を下支えしよう。

化粧品18%

スキンケア・

ヘアケア23%

ヒューマン

ヘルスケア18%

ファブリック

ホームケア22%

ケミカル19%

セグメント別売上高構成比

(18.12期・第3四半期累計)

(出所)花王資料よりCAM作成

<4452 花王 業績:IFRS>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 税引前利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

16.12 1,457,610 ( ▲ 1 ) 185,571 ( 11 ) 183,430 ( 10 ) 126,551 ( 20 ) 253.4 94.00

17.12 1,489,421 ( 2 ) 204,791 ( 10 ) 204,290 ( 11 ) 147,010 ( 16 ) 298.3 110.00

18.12 推 1,540,000 ( 3 ) 215,000 ( 5 ) 215,000 ( 5 ) 152,000 ( 3 ) 312.4   120.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 8,117 円

年初来高値(高値日) 9,387

同 安値(安値日) 7,020

予想PER(18.12推) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 4.96 倍

予想配当利回り 1.48 %

(1株当たり配当金年120.00円)

ROE(17.12) 19.8 %

発行済み株式数 48,870 万株

円(18/10/2)

円(18/10/25)

1,636.7

26.0

6,500

7,000

7,500

8,000

8,500

9,000

9,500[週足]

13週平均

26週平均

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 日本電産 (東証1部:6594)http://www.nidec.com/ja-JP/ 作成者:村上大志

車載向けに注力し、売上高2兆円を目指す

1973年、設立。世界シェア80%のHDD用モータを筆頭

に、「省エネ・長寿命・低騒音」という特性を持つブラシ

レスDCモータを中心に事業を展開する。「世界No.1」

を追求するというアイデンティティの下、海外代理店網の

展開、精密小型モータにおける数々の技術革新、積極的な

M&A等で事業を拡大してきた。特にM&Aを成長の原動

力として戦略的に活用、国内外で60社以上のM&Aを実施

し、買収後のマネジメント力も非常に高い。中期戦略目標

「Vision2020」では、21.3期の連結売上高2兆円(新規M&A約5,000億円含む)のうち車

載売上高7,000億円~1兆円、連結営業利益率15%以上、ROE18%以上を目標に掲げる。

収益性の改善が進む

19.3期・第2四半期累計(4-9月期)の連結業績は売上高が7,776億円、前年同期比9%増、営業

利益が982億円、同20%増。HDD用モータはPC向けが減少も、クラウドの利用増加でニアラ

インドライブ向けが伸長した。車載向けではEPS(電動パワーステアリング)用モータやEV・

PHEV用のトラクション(駆動部)用モータの売上が順調に拡大した。営業利益率は12.6%、

同1.2ポイント改善。車載や家電・商業・産業用の増収効果が寄与した。

19.3期の通期会社計画は売上高が1兆6,000億円、前期比8%増、営業利益が1,950億円、同17%

増。貿易摩擦の影響でトップラインの伸び率鈍化には留意が必要だが、収益性の改善は順調に進

んでいる。車載向けで単価の高いパワートレイン用のトラクション用モータの販売が増加してい

ることや、IoT化の進展で冷却ファンの需要拡大が継続している。世界経済の鈍化や米中の貿

易摩擦の長期化が懸念され事業環境に不透明感が出てきているが、同社は逆境時に買収や積極投

資などを行い事業拡大に成功してきた。足元の事業環境をビジネスチャンスと捉えており、M&

Aや設備投資の増強、積極的な人材採用など次の一手に期待感が高まろう。

[株価動向・投資判断]

為替前提は1米ドル=100円、1ユーロ=125円と保守的な計画に変更はない。増収効果や生産性

向上で利益率も上昇しており、会社計画の上振れに期待したい。

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500

1,000

1,500

2,000

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8,000

12,000

16,000

20,000

15.3期 16.3期 17.3期 18.3期 19.3期(予)

◇売上高・営業利益の推移

売上高(左軸)

営業利益(右軸)

(億円) (億円)

(出所)日本電産資料よりCAM作成

<6594 日電産 業績:IFRS>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 税引前利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 1,199,311 ( 2 ) 139,366 ( 18 ) 141,313 ( 21 ) 111,007 ( 23 ) 374.3 85.00

18.3 1,488,090 ( 24 ) 167,637 ( 20 ) 164,460 ( 16 ) 131,434 ( 18 ) 443.9 95.00

19.3 予 1,600,000 ( 8 ) 195,000 ( 17 ) 187,500 ( 15 ) 147,000 ( 12 ) 498.6   105.00(注)19.3予の伸び率は企業結合に係る暫定的な処理の確定を行い、取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額で算出。

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 13,800 円

年初来高値(高値日) 18,525

同 安値(安値日) 13,370

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 4.02 倍

予想配当利回り 0.76 %

(1株当たり配当金年105.00円)

ROE(18.3) 14.8 %

発行済み株式数 29,814 万株

円(18/1/25)

円(18/10/30)

3,434.8

27.6

12,000

13,000

14,000

15,000

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000[週足]

13週平均

26週平均

Page 18: NO. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘 2019年は「己亥 (つちのとい)」

マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 村田製作所 (東証1部:6981)http://www.murata.com/ 作成者:村上大志

総合電子部品メーカー大手

1944年創業。電気の蓄積や流れを整える働きをし、電子回

路には欠かせない積層セラミックコンデンサ(以下MLCC)

で世界シェア約40%の総合電子部品メーカー大手。MLCC

以外では、無線信号の中から必要な信号だけ取り出す表面波

フィルタの同シェア約50%、無線通信によるインターネット

へのアクセスを可能にするコネクティビティモジュールの

同シェアは約55%。材料から製品までの一貫生産体制を構築

し、セラミック材料などの電子部品材料をはじめ、高周波や

回路設計、薄膜・微細加工技術などのプロセス技術、製品の分析・評価等の基盤技術を独自に開

発・蓄積していることが強み。目標とする経営指標は、売上高年成長率5-10%及び新製品売上高

比率40%、営業利益率20%以上(為替水準1米ドル=115円)。

高単価MLCCの構成比上昇で製品ミックスが改善

19.3期・第2四半期累計(4-9月期)の連結業績は、受注高が8,589億円、前年同期比27%増。

売上高が7,884億円、同27%増、営業利益が1,394億円、同39%増。主力のMLCCはカーエレク

トロニクスやスマートフォン(以下スマホ)、PC向けなど幅広い用途で好調に推移した。需要

拡大による操業度益の増加や原価低減が奏功し、営業利益率は17.7%、同1.5%ポイント改善。

受注残高は3,505億円、同26%増。MLCCを中心に順調に積み上がっている。

19.3期の通期会社計画は売上高が1兆6,200億円、前期比18%増、営業利益が2,750億円、同68%

増。通期計画を売上高で450億円、営業利益で350億円の上方修正を行った。自動車の電装化の進

展やスマホの高機能化などで電子部品の需要は強い状況が続いている。高い操業度は継続してお

り、受注残高は高水準を維持している。主力のMLCCは需給ひっ迫状況が継続しており、主に

車載向けの高性能・高価格帯の販売が増加している。さらに、1月から値上げを実施、第4四半期

よりその効果が表れよう。新製品のメトロサークは来期以降の黒字化定着に期待したい。

[株価動向・投資判断]

事業環境は良好で、MLCCのミックス改善と値上げ効果で利益率の改善に期待できる。ハイ

エンドスマホの需要鈍化の影響を受けるも、MLCCの好調で十分カバーできよう。

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3,000

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3,000

6,000

9,000

12,000

15,000

18,000

15.3期 16.3期 17.3期 18.3期 19.3期(予)

◇売上高・営業利益の推移売上高(左軸) 営業利益(右軸)

(億円) (億円)

(出所)村田製作所資料よりCAM作成

<6981 村田製 業績:米国基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 税引前利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 1,135,524 ( ▲ 6 ) 201,215 ( ▲ 27 ) 200,418 ( ▲ 28 ) 156,060 ( ▲ 23 ) 733.9 220.00

18.3 1,371,842 ( 21 ) 162,146 ( ▲ 19 ) 167,801 ( ▲ 16 ) 146,086 ( ▲ 6 ) 685.9 260.00

19.3 予 1,620,000 ( 18 ) 275,000 ( 68 ) 280,000 ( 67 ) 210,000 ( 44 ) 984.7   280.00

(注)19.3予の伸び率は「期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示改善」の適用に伴い前期実績を組み替えて算出。

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 16,050 円

年初来高値(高値日) 20,255

同 安値(安値日) 13,680

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 2.20 倍

予想配当利回り 1.74 %

(1株当たり配当金年280.00円)

ROE(18.3) 10.4 %

発行済み株式数 22,527 万株

円(18/7/18)

円(18/3/26)

7,285.0

16.3

12,000

13,000

14,000

15,000

16,000

17,000

18,000

19,000

20,000

21,000[週足]

13週平均

26週平均

Page 19: NO. ゆたか証券マーケット展望 2019年は“己亥(つちのとい)”、 転換点が予感される年 作成者:奥村義弘 2019年は「己亥 (つちのとい)」

マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース 三菱自動車 (東証1部:7211)https://www.mitsubishi-motors.com/jp/ 作成者:奥村義弘

日産自、ルノーとアライアンスを組む

1970年設立。2016年10月に日産自が筆頭株主(当社

株式を34%保有)となり、日産自とフランスのルノー

と共に、ルノー・日産・三菱アライアンスを構成して

いる。18.3期~20.3期までの中計では年間販売台数と

年間売上高を17.3期比30%以上増の130万台、2.5兆円

とすることを目指す。設備投資は同年間60%増の1,370

億円、研究開発費は同50%増の1,330億円とし、3年間

で6,000億円以上の投資とする。期間中毎年フリーキャ

ッシュフローの黒字を確保する。SUV・4WDやピ

ックアップトラックなど当社が得意とするラインアッ

プを強化、新型「エクスパンダー」、新型「エクリプス クロス」など11モデルを投入する。

アセアンを中心に良好な販売が継続

19.3期・第2四半期累計(4-9月)の連結業績は売上高が1兆1,693億円、前年同期比23%増、営

業利益が569億円、同29%増。グローバル販売台数は59.4万台、同19%増。主力地域とするアセ

アンと豪州・ニュージーランドが同26%増。日本も同12%増と回復感が出ている。西日本豪雨の

影響で当社の生産にも1万台以上の影響が出たが、これを吸収した。新車販売ではクロスオーバ

ーMPV・エクスパンダーの拡販効果が大きかった。市況変動によるコスト増や成長投資による

費用増、広告宣伝費は膨らんだが、アライアンスのシナジー効果を含めた資材費低減が順調に進

んだ。一方、為替は資源国や新興国の通貨安が減益要因となった。

19.3期の通期会社計画は、売上高が2兆4,000億円、前期比9%増、営業利益が1,100億円、同12%

増。グローバル経済の不透明感の強まりや、新興国通貨安の影響から計画を据え置いた。4月よ

りアセアン各国へ輸出を開始したエクスパンダーは19.3期の生産台数を10万台から12万台へ引

き上げた。21.3期には年間16万台へ引き上げる。販売は好調が続こう。11月にタイでピックアッ

プトラック・新型トライトンを発表、国内ではモデルチェンジしたデリカD:5が好評である。

[株価動向・投資判断]

アジアのSUV市場やPHEV(プラグインハイブリッド車)に強みを持ち、良好な販売動向

が続き好感できよう。足元はゴーン後のアライアンス新体制の行方が注目されよう。

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35,000

16.3実績 17.3実績 18.3実績 19.3予想

売上高:左軸

営業利益:右軸

◇売上高、営業利益の推移(億円) (億円)

(出所)三菱自動車資料よりCAM作成

<7211 三菱自 業績:日本基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 経常利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 1,906,632 ( ▲ 16 ) 5,118 ( ▲ 96 ) 8,944 ( ▲ 94 ) ▲ 198,524 ( - ) ▲ 164.1 10.00

18.3 2,192,389 ( 15 ) 98,201 ( 1,819 ) 110,127 ( 1,131 ) 107,619 ( - ) 72.2 17.00

19.3 予 2,400,000 ( 9 ) 110,000 ( 12 ) 125,000 ( 14 ) 110,000 ( 2 ) 73.9   20.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 672 円

年初来高値(高値日) 934

同 安値(安値日) 648

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 1.23 倍

予想配当利回り 2.98 %

(1株当たり配当金年20.00円)

ROE(18.3) 14.6 %

発行済み株式数 149,028 万株

円(18/7/24)

円(18/12/11)

547.2

9.1

600

700

800

900

1,000[週足]

13週平均

26週平均

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

企業ニュース SCREENホールディングス (東証1部:7735)http://www.screen.co.jp/ 作成者:兵藤三郎

大手半導体洗浄装置メーカー

1937年に石田旭山印刷所の写真製版用ガラススクリーン研究部門が

独立し、大日本スクリーン製造所として設立、1943年に大日本スクリ

ーン製造、2014年に現社名に変更した。国内大手半導体製造メーカー。

半導体製造装置事業(SE)は洗浄装置で高いシェアを持つ。グラフ

ィックアーツ機器事業(GA)はCTP(Computer to Plate)装置や

デジタル印刷機などを製造。ディスプレイ製造装置および成膜装置事

業(FT)はフラットパネルやリチウムイオン電池の製造装置を製造。

プリント基板関連機器事業(PE)はプリント基板の製造装置などを

製造する。世界シェアトップの製品としては半導体向け枚葉式洗浄装

置(2017年世界シェア39%)、同バッチ式洗浄装置(同49%)、同ス

ピンスクラバー(同69%)、CTP装置(同33%)、フラットパネル

向けコーターデベロッパー(同69%)などがある(シェアなどはHP掲載資料より)。

SE、2020年の市場再成長を予想

18.3期・第2四半期(4-9月)の連結業績は売上高が1,701億円、前年同期比11%増、営業利益

が152億円、同10%減。SEがメモリー向けに伸長し増収も、自然災害などの影響もあり変動費

率が上昇し減益となった。一時的な調達の混乱なども収益を圧迫した。第1四半期決算では上期

業績予想を売上計上などで前倒しが想定されるとして上方修正したが、一転未達となった。SE

の受注状況は高水準であった前下期比較では減少したが、7-9月期実績は580億円、前年同期比48

億円増、前四半期(4-6月)比74億円増と高水準を確保している。

19.3期の会社計画は売上高が3,740億円、前期比10%増、営業利益が435億円、同2%増。上期

計画に対する実績などを勘案し、従来計画から売上高で100億円、営業利益で95億円の下方修正。

メモリ中心に投資計画の延伸などで、主要製造装置メーカーで下方修正が続いているが、当社は

メモリー最大手向けの比率は低く、その影響は同業他社より軽微と想定できよう。業界団体が12

月11日に発表した半導体製造装置市場予測は2020年は20.7%増と過去最高を再び更新する。

[株価動向・投資判断]

受注状況、2020年の市場予想などから業績の再拡大を期待したい。株価は昨年度末の水準から

半値以下に下落、底打ち反転が期待できよう。

◇18.3期売上高構成比

(出所)SCREENホールディングス

資料よりCAM作成

SE67%

GA16%

FT13%

PE4%

<7735 スクリン 業績:日本基準>      [今期予想の配当金は発行会社予想]

売上高 営業利益 経常利益 当期利益 1株利益 1株配当

百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 百万円 (伸び率) 円 円

17.3 300,233 ( 16 ) 33,731 ( 43 ) 32,019 ( 38 ) 24,168 ( 28 ) 512.0 87.00

18.3 339,368 ( 13 ) 42,725 ( 27 ) 41,329 ( 29 ) 28,507 ( 18 ) 608.6 110.00

19.3 予 374,000 ( 10 ) 43,500 ( 2 ) 42,000 ( 2 ) 30,500 ( 7 ) 653.8   155.00

[主要株価指標] (売買単位:100株)

株価(2018/12/14) 4,945 円

年初来高値(高値日) 10,700

同 安値(安値日) 4,840

予想PER(19.3予) 倍

1株株主資本(PBR算出用) 円

PBR 1.31 倍

予想配当利回り 3.13 %

(1株当たり配当金年155.00円)

ROE(18.3) 18.2 %

発行済み株式数 5,079 万株

円(18/3/13)

円(18/12/14)

3,761.8

7.6

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000[週足] 13週平均

26週平均

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マーケットウィークリー・1001号 2019.1.1

パフォーマンス一覧 №993参考銘柄 5社平均の高値騰落率は17.5%

コシダカ、サインポストの高値騰落率が20%超を達成

(注1)基準日株価は各マーケットウィークリー発刊日の終値、高値は基準日以降の高値 (注2)銘柄の網掛けは高値で10%以上上昇した銘柄

(注3)対日経平均相対パフォーマンスは基準日からの各銘柄の騰落率から同日経平均の騰落率を引いたもの

(注4)ファンケルの株価は、11月27日以前を1:2で分割調整済み

【重要開示事項】

■ 本資料は、ちばぎんアセットマネジメント株式会社(以下「CAM」と略す。)調査部が投資判断の参考と

なるよう情報提供のみを目的として作成したものです。

■ 執筆アナリストは、本資料に掲載されている企業の証券を保有しておりません。

■ 顧客資産の運用において、本資料に記載されている証券の売買を指図することがあります。

■ また、本資料はCAMが信頼できると考える情報源から得た上記日時現在の各種データなどに基づいて作成

されていますが、その情報の正確性および完全性についてCAMが保証するものではありません。

■ 加えて、本資料に記載されたCAMの意見ならびに予測は、予告なしに変更することがあります。

■ 本資料はCAMの著作物であり、著作権法によって保護されております。CAMの事前の承認なく、本資料

の全部もしくは一部を引用または複製、転送等により使用することを禁じます。

■ なお、投資に関する最終決定は、お客様御自身の判断でなさるようお願いいたします。

■ また、掲載した企業について株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投資元本を割り込むおそれが

ありますのであらかじめご了承下さい。

掲載 執筆者 基準日 基準日 高値 18.12.14NO. 銘柄 株価 高値日 騰落率 終値 騰落率

日経平均 18.10.26 21,184.60 22,698.79 18.12.3 7.1 21,374.83 0.9TOPIX 18.10.26 1,596.01 1,696.14 18.12.3 6.3 1,592.16 -0.2

993 5社平均値 17.5 -0.4(対日経平均相対パフォーマンス) (10.4) (-1.3) コシダカホールディングス 2157 荒木 18.10.26 1,287 1,559 18.11.29 21.1 1,428 11.0(対日経平均相対パフォーマンス) (14.0) (10.1) ジンズ 3046 荒木 18.10.26 6,170 7,120 18.12.3 15.4 6,380 3.4(対日経平均相対パフォーマンス) (8.3) (2.5) サインポスト 3996 村上 18.10.26 4,360 5,620 18.11.9 28.9 4,605 5.6(対日経平均相対パフォーマンス) (21.8) (4.7) 竹内製作所 6432 奥村 18.10.26 2,150 2,546 18.11.8 18.4 1,985 -7.7(対日経平均相対パフォーマンス) (11.3) (-8.6) 島津製作所 7701 兵藤 18.10.26 2,803 2,903 18.11.2 3.6 2,406 -14.2(対日経平均相対パフォーマンス) (-3.5) (-15.1)

994 野村総合研究所 4307 村上 18.11.2 5,180 5,300 18.11.9 2.3 4,775 -7.8 塩野義製薬 4507 兵藤 18.11.2 7,181 7,796 18.11.26 8.6 7,036 -2.0 日立製作所 6501 村上 18.11.2 3,533 3,635 18.11.8 2.9 3,252 -8.0 富士通 6702 奥村 18.11.2 6,930 7,281 18.12.13 5.1 7,106 2.5 乃村工藝社 9716 荒木 18.11.2 2,531 3,195 18.12.5 26.2 2,896 14.4

995 信越化学工業 4063 兵藤 18.11.9 10,145 10,395 18.12.3 2.5 9,047 -10.8 ファンケル 4921 荒木 18.11.9 2,650 3,155 18.12.4 19.1 2,907 9.7 アンリツ 6754 奥村 18.11.9 1,863 1,922 18.12.4 3.2 1,670 -10.4 京セラ 6971 村上 18.11.9 6,076 6,399 18.11.29 5.3 5,760 -5.2 三菱商事 8058 兵藤 18.11.9 3,127 3,171 18.12.14 1.4 3,146 0.6

996 富士フイルムホールディングス 4901 兵藤 18.11.16 4,562 4,618 18.12.3 1.2 4,445 -2.6 トヨタ自動車 7203 奥村 18.11.16 6,591 7,097 18.12.3 7.7 6,829 3.6 カチタス 8919 荒木 18.11.16 3,055 3,435 18.12.3 12.4 2,944 -3.6 ヤマトホールディングス 9064 荒木 18.11.16 2,856.0 3,166.0 18.12.13 10.9 3,030.0 6.1 富士ソフト 9749 村上 18.11.16 5,160 5,270 18.12.3 2.1 4,590 -11.0

997 ハウス食品グループ本社 2810 兵藤 18.11.22 3,875 4,065 18.12.14 4.9 4,035 4.1 ビックカメラ 3048 奥村 18.11.22 1,529 1,724 18.12.11 12.8 1,612 5.4 エーザイ 4523 兵藤 18.11.22 9,817 10,570 18.12.3 7.7 9,617 -2.0 グレイステクノロジー 6541 村上 18.11.22 2,331 2,590 18.12.4 11.1 2,226 -4.5 西武ホールディングス 9024 荒木 18.11.22 2,157 2,171 18.11.26 0.6 2,086 -3.3

998 不二製油グループ本社 2607 兵藤 18.11.30 3,630 3,730 18.12.5 2.8 3,695 1.8 セリア 2782 荒木 18.11.30 4,825 4,825 18.11.30 0.0 4,090 -15.2 イー・ガーディアン 6050 村上 18.11.30 2,675 2,759 18.12.4 3.1 2,395 -10.5 アマダホールディングス 6113 村上 18.11.30 1,232 1,273 18.12.3 3.3 1,014 -17.7 西尾レントオール 9699 奥村 18.11.30 4,145 4,200 18.12.3 1.3 3,705 -10.6

999 大林組 1802 荒木 18.12.7 1,088 1,094 18.12.13 0.6 1,050 -3.5 明治ホールディングス 2269 兵藤 18.12.7 8,990 9,000 18.12.14 0.1 8,830 -1.8 三菱ケミカルホールディングス 4188 兵藤 18.12.7 868.0 868.0 18.12.7 0.0 844.6 -2.7 ダイキン工業 6367 奥村 18.12.7 12,270 12,810 18.12.14 4.4 12,395 1.0 TDK 6762 村上 18.12.7 8,190 8,190 18.12.7 0.0 7,790 -4.9

1000 日本触媒 4114 兵藤 18.12.14 7,110 7,110 18.12.14 0.0 7,110 0.0 竹本容器 4248 奥村 18.12.14 3,010 3,010 18.12.14 0.0 3,010 0.0 三和ホールディングス 5929 荒木 18.12.14 1,290 1,290 18.12.14 0.0 1,290 0.0 オークマ 6103 村上 18.12.14 5,180 5,180 18.12.14 0.0 5,180 0.0 ピジョン 7956 荒木 18.12.14 4,900 4,900 18.12.14 0.0 4,900 0.0

(単位:円、%)