タイの投資環境

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地域編①：バンコク首都圏

地域概要

概要

①バンコク首都圏のタイにおける経済的地位

バンコクはタイの首都であり、政治・経済の中心地である。その経済的地位は非常に高く、バ

ンコク首都圏の 2017 年の名目 GDP は 2,112 億ドルで、タイ全体の 46％を占める。1 人あたり GDP

は 13,255 ドルで、自動車をはじめとする製造業が集積する東部地方の 14,752 ドルに次ぐ高い水準

である。バンコク市内には高級ブランドが入居する百貨店やショッピングモールも多く、消費の

活発さを象徴している。

図表 25-1 バンコク首都圏の位置

46 ナコンパトム Nakhon Pathom

47 ノンタブリー Nonthaburi

48 パトゥムターニー Pathum Thani

53 バンコク Bangkok

54 サムットサーコン Samut Sakhon

55 サムットプラカーン Samut Prakan

バンコク首都圏

第 25 章 地域編①：バンコク首都圏

195

図表 25-2 バンコク首都圏概要

（注）為替レートは 2017 年平均を採用 （出所）National Economic and Social Development Board、Department of Provincial Administration より作成

図表 25-3 バンコク首都圏の産業構成

（出所）National Economic and Social Development Board より作成

②工業団地・日系企業進出動向

バンコク首都圏の主要な工業団地は 15 ヵ所ある。内訳は、バンコク市内には 6 ヵ所、パトゥム

ターニー県に 3 ヵ所、サムットサーコン県に 3 ヵ所、サムットプラカーン県に 3 ヵ所となってい

る。パトゥムターニー県のナワナコン工業団地は 1971 年、サムットプラカーン県のバンプー工業

団地は 77 年、バンコクのラッカバン工業団地は 78 年の設立で歴史が長く、日本企業も多く進出

している。

No 県名 （英語名） 人口 1人あたり 名目GDP

[2017年] GDP [2017年] [2017年]

（1,000人） （ドル） （100万ドル）

バンコク首都圏 Bangkok & Vicinities 15,931 13,255 211,171

53 バンコク Bangkok 8,751 16,910 147,968

55 サムットプラカーン Samut Prakan 2,089 10,112 21,127

54 サムットサーコン Samut Sakhon 968 12,119 11,730

48 パトゥムターニー Pathum Thani 1,495 7,502 11,217

46 ナコンパトム Nakhon Pathom 1,079 9,080 9,801

47 ノンタブリー Nonthaburi 1,549 6,023 9,329

No 県名 産業構成比

第1次 第2次 第3次

鉱業 製造業 公益業 卸売/ 運輸/ 宿泊/ 通信 金融 不動産 教育/ 防衛/ その他

小売 倉庫 飲食 科学技術 公的部門

バンコク首都圏 0.8% 26.1% 0.0% 22.1% 3.9% 73.2% 20.0% 7.9% 6.6% 4.4% 11.0% 2.2% 5.2% 10.5% 5.4%

53 バンコク 0.0% 15.3% 0.0% 11.9% 3.4% 84.7% 22.0% 7.4% 8.9% 5.6% 13.8% 2.0% 5.9% 13.3% 5.7%

55 サムットプラカーン 0.3% 44.3% 0.0% 40.7% 3.6% 55.4% 15.0% 22.8% 1.5% 0.8% 3.7% 2.1% 1.5% 4.8% 3.2%

54 サムットサーコン 4.8% 71.5% 0.2% 66.8% 4.5% 23.7% 14.0% 1.3% 0.2% 0.6% 2.2% 1.4% 0.6% 1.8% 1.6%

48 パトゥムターニー 1.6% 59.4% 0.0% 53.3% 6.1% 38.9% 17.2% 2.2% 1.2% 1.1% 4.0% 3.5% 3.9% 3.2% 2.6%

46 ナコンパトム 5.9% 59.1% 0.6% 52.9% 5.6% 34.9% 12.3% 2.2% 0.5% 0.6% 3.5% 1.3% 10.4% 2.3% 1.8%

47 ノンタブリー 1.7% 23.7% 0.0% 16.8% 6.8% 74.6% 18.5% 3.0% 2.1% 6.9% 9.6% 4.8% 3.8% 8.3% 17.6%

タイの投資環境

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図表 25-4 バンコク・周辺部に進出した場合のメリットと留意点

（出所）現地調査より作成

進出日系企業から見た事業・生活環境やコスト

①インフラ・物流

【道路】

道路距離は 6 万 7,300km、道路舗装率は 98.1％と、100％近い水準に達している（2010 年）。国

内には 6 本のアジアハイウェイ路線が通っており、隣国のマレーシア、カンボジア、ミャンマー、

ラオスへと陸路で繋がっている。U. N. ESCAP のデータ（2017 年 9 月時点）に拠ると、タイ国内

のアジアハイウェイの総延長は 5,522km、うち自動車専用道路が 572km、4 車線以上の高速道路が

4,075km、2 車線の高速道路が 848km、2 車線の狭い高速道路（資金や土地収用でやむを得ない場

合の規格）が 27km である。

バンコク市内の移動はスカイトレイン（BTS）や地下鉄（MRT）の開通で便利になっているが、

車での移動には依然として時間がかかり、目的地への到着時間が予測できないこともしばしばで

ある。

バンコク中心部から離れると、交通渋滞は少なくなる。バンコク外環道路やモーターウェイ等、

バンコク市内を避ける道路や東部地域へ向かう高速道路は比較的流れがスムーズである。但し、

朝夕は従業員や私立校に通う生徒の送迎、家路につく通勤者のラッシュが重なるので、時間に余

裕を持って移動した方が良い。

【港湾・空港】

チャオプラヤ川を 28km 遡ったところにバンコク港（クロントイ港）があり、1951 年の開港以

来、バンコクの港として利用されてきた。しかし、水路が狭く水深が浅いため、大型船は入港で

きない。

空港については、タイ 大の空港であるスワンナプーム国際空港がサムットプラカーン県にあ

り、バンコク市内から東方に約 30km と便利な立地にある。同港は、バンコクから北に 20km のド

メリット 留意点

人口が集中しており、生活水準の高い層が多く消費意

欲が旺盛なため、市場として魅力的

最低賃金が高い上、ワーカーの数が逼迫しているため、

人件費の上昇が他の地域より顕著

高等教育機関も多く、優秀な人材の確保が可能マネージャーの賃金は国際水準となる。高待遇を求め

て転職も頻繁に行われる

ドンムアン国際空港、スワンナプーム国際空港、

バンコク港等、インフラへのアクセスが良いバンコク市内の交通渋滞がひどく、物流効率が悪い

日本食を豊富に揃えた大規模な百貨店や高級デパート

があり、様々な品物が手に入る。娯楽施設も充実

粘土層なので、かなり深く杭打ちする必要あり。地盤沈

下の問題がある

第 25 章 地域編①：バンコク首都圏

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ンムアン空港（現在は主に国内線やローコスト・キャリアが就航）のキャパシティが逼迫したこ

とに対応し、2006 年に開港した。貨物ターミナルは総面積 19 万 m2、国際貨物ターミナル、国内

貨物ターミナル、郵便センター、オペレーションセンターの 4 つの施設があり、貨物ターミナル

はさらに 4 つ（特急貨物エリア、タイ航空専用エリア、その他航空会社エリア、ペリシャブル専

用エリア）に分かれる。また、4 つの倉庫を有する免税ゾーンもある。年間 300 万トンに対応可

能とされている。

【電力】

バンコク市内では、停電することはまずない。それ以外の地域でも電力供給は安定しているが、

雨季には月数回程度の停電が発生する場合がある。工業団地には自家発電設備を有するところが

多いが、瞬時に自家発電に切り替わるわけではないため、瞬間停電が生産や設備に影響を及ぼす

場合は、無停電電源等の用意が必要となる場合もある。

【通信】

固定電話、携帯電話、インターネット環境とも水準は高い。特に携帯電話については、タイの

3 大キャリアと呼ばれる AIS、DTAC、TRUE はいずれも 4G 通信を提供している。タイ政府は 2020

年内の 5G の商業利用開始を目標としている。但し、通信各社は 4G 導入時の巨額の債務によって

資金余力が低下しているため、実際に 5G の商業利用が政府の計画通りのタイミングで始まるか

を判断することは難しい。政府は通信各社に対し、4G 向けの事業権料の支払期限を 5 年延長する

措置を講じているが、このような政策が通信会社の投資意欲を高められるかがカギとなろう。

【不動産】

不動産価格の高騰が続いているため、工業団地やオフィス賃料は上昇している。立地に優れ、

設備の良い工業団地では殆ど空きのないところもある。他方、個人向けではマンション（コンド

ミニアム）投資が活発であるが、タイ中央銀行は投機の過熱と不動産ローンの不良債権拡大抑制

を図り、不動産価格に対するローンの比率に上限を設定した（2019 年 4 月）。尚、不動産取引で

は日本人をねらった詐欺（利回り保証を謳って投資させ、その後業者が倒産する等）も発生して

いる。

ひとくちメモ 17： バンコク住宅事情

東京カンティの調べを基にすると、2018 年の新築マンションの平米単価（平均）は首都圏で約 95 万

円、近畿圏で約 70 万円、中部圏で約 60 万円だった。日本とタイとの物価格差は賃金格差（約 6 倍、製

造業の一般工職の場合）ほどの印象はないが、不動産となるとその差は更に縮小していそうである。

バンコクでのヒアリングに拠ると、日本人や欧米人の駐在員が多く住む住宅街エリアであるトンロー

やエカマイ等の地区では、平米あたり 20 万バーツ（約 70 万円）の物件が多いそうである。

但し、その殆どが床面積 30 ㎡の単身用のワンルームで、平日はこのようなワンルーム・マンション

（コンドミニアム）で過ごし、週末は郊外の自宅に戻るビジネスマンが増えているようだ。

タイの投資環境

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【水】

バンコクにはチャオプラヤ川という豊かな水源があり、水不足になることはまずない。むしろ、

土壌が粘土質で水はけが悪いこともあり、雨季に大量の雨が降った場合には、バンコク市内でも

道路が水浸しになるのはよくあることである。2011 年にはバンコクから北のアユタヤで大規模な

洪水が発生し、工業団地が水没したため多くの日系企業が被災した。この地域の工業団地は洪水

の経験を踏まえ、堤防の建設や排水処理の強化などの対策を講じている。

②労働事情

【人材】

バンコクとその周辺にはチュラロンコン大学をはじめ、タイの中でトップクラスの教育機関が

あり、人材の質は相対的に高いと言える。このため、マネージャーやエンジニアの採用について

は、他の地域に比べると容易である。但し、現地日系企業へのヒアリングに拠ると、エンジニア

の技術力は必ずしも日本企業の期待に応えるほどの十分な水準ではないようだ。

このような中、2006 年には泰日工業大学が設立され、19 年には日本の高専機構が協力し、キン

グモンクット工科大学ラカバン校に付属校として KOSEN-KMITL（タイでの高専の第一号校）が

設立されるなど、技術者を養成する教育機関も創設されており、長期的には、技術力の高いエン

ジニアが多く育っていくことに期待がかかる。

【賃金】

バンコク周辺はタイ経済の中心ということもあり、賃金は他の地域に比べると高めである。2018

年 4 月に改定された 低賃金は 308 バーツから 330 バーツの 7 段階が設定されているが、バンコ

ク首都圏は全域で 2 番目に高い 325 バーツが適用されている。タイは失業率が低く、若い層を中

心にワーカーの採用が逼迫しているため、工業団地内でワーカーの取り合いになっている。ワー

カーは給与が少しでも良い工場を求め頻繁に転職する傾向が強く（賃金の高い大手企業について

は例外あり）、工業団地内で労働争議に発展する場合もあるため、賃金上昇圧力は強い。マネージ

ャーやエンジニアについても給与面の要求は高く、数年で転職していく人が多い。

図表 25-5 バンコク首都圏の県別 低賃金

（出所）Ministry of Labor “New Minimum Wage Rate Table Under the National Wage

Committee’s Nofication on Minimum Wage Rate (No.9)”より作成

県名最低賃金

（日額、バーツ）県名

最低賃金（日額、バーツ）

バンコク 325 パトゥムターニー 325サムットプラカーン 325 ナコンパトム 325サムットサーコン 325 ノンタブリー 325

第 25 章 地域編①：バンコク首都圏

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③生活環境

【気候】

日本の気象庁のデータによると、平年値では、バンコクの月平均気温で も高いのは 4 月の 30.9

度、 も低いのは 12 月の 26.6 度である。また、タイ気象局の 1951 年から 2018 年の 68 年間のデ

ータでは、この期間の実測値で も気温が高かったのは 2013 年 3 月 26 日の 40.1 度、 も低かっ

たのは 1955 年 1 月 12 日の 9.9 度である。一方、降水量は雨季のピークを迎える 9 月と 10 月で

も多く、月間降水量が 360～390mm に及ぶ（日本の梅雨は、平年 200mm 前後）。

【教育】

バンコクには、泰日協会学校（バンコク日本人学校）がある。同校は 1926 年創立の盤谷日本尋

常小学校を前身とする、世界的にも長い歴史のある日本人学校である。小学部と中学部があり、

2019 年 4 月時点、小学部は 70 クラス 2,101 名、中学部は 17 クラス 527 名の計 2,628 名、教員数

221 名で、世界で も規模の大きい日本人学校となっている。

【医療】

バンコクの医療水準は高く、市内の私立総合病院には日本の大病院と比べても遜色のないレベ

ルの医師、設備を備えた病院がある。日本の医学部への留学や病院での研修を受けたタイ人医師

（日卒医と呼ばれる）が勤務する病院もある。公立病院でも大きいところは、分野によって高度

な医療が受けられる場合があるが、駐在員とその家族等、長期滞在している日本人の多くは、殆

どの場合、私立病院を利用しているようである。

外務省の「海外安全ホームページ」上で各国の医療事情についての情報を公開している。タイ

のページ（https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/thailand.html）では、バンコク周辺の病院情

報として、10 病院が紹介されている（その内 3 病院はスワンナプーム空港内の病院、2 病院はド

ンムアン空港内の病院）。バンコク市内の病院としては、バンコク病院やバムルンラード病院など

私立病院 5 病院が紹介されている。

【治安】

治安は悪くはない。しかし、バンコクでは政情不安によるデモがたびたび発生してきた。この

ため、デモが行われる場所（ルンピニ公園等、決まった場所で行われ、大抵は事前に知らされる）

には近づかないほうがよい。夜間外出禁止令が発令されると、配達車が出せない、夜勤の従業員

が移動できない等の影響があるものの、生産活動に大きな影響は及ぼさないようである。

タイの投資環境

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ひとくちメモ 18： 便利になったタクシー移動

かつて、バンコクのタクシーといえば、「乗車拒否された」、「料金を多く払わされた」、「領収書が出

ない」、「現金しか受け付けてくれない」といった不満が多く聞かれた。これらはタクシーのドライバー

によっては対応可能なのかもしれないが、特に短距離の移動では嫌がられることが多い。

しかし、スマートフォンと配車アプリによって、短距離のタクシー移動がしやすくなった。シンガポ

ールを拠点とする「Grab」は 2013 年にタイでサービスを開始し、2018 年には競合の「Uber」から東南

アジア事業を買収したことで、タイでの存在感を一層高めている。

「Grab」のアプリケーションをダウンロードし、事前に支払方法にクレジットカードを登録しておけ

ば、降車時に代金を支払う必要はなく、またメールを登録しておけば当該メールアドレスにレシートが

送付される。そして、何よりも価格が事前に分かるので、ドライバーと料金のことで揉めることもない。

2019 年 8 月時点の同社ウェブサイトに拠ると、タクシーも一般車も配車の対象となっており、それ

ぞれ 7人シートタイプの車種も選択できるようになっている。このような「Grab」のサービスは、これ

までのタクシー利用者の不満を逆手にとったものであり、利用者の評判も上々のようである。

【住居】

住居は、他の地域と比較すると割高であるが、多様なサービスアパートメントが用意されてい

る。地域により異なるものの、セキュリティー等が完備した住居であれば、日本人が多いと言わ

れるスクンビット地域の家族向け住居の場合、家賃の相場は、 低でも月額 50,000 バーツ（約 17

万円）程度である。

【日本食】

バンコクは ASEAN 諸国の中では日本食や日本食材を入手しやすい都市である。バンコク市内

には、日本食を扱うスーパーマーケットの「フジスーパー」が 4 店舗あり、2019 年 2 月には「ド

ン・キホーテ」を展開するパシフィック・インターナショナルホールディングスが、生鮮（青果・

鮮魚・精肉・惣菜）をはじめとした食品や日用消耗品を扱う「DON DON DONKI トンロー店」を

オープンした。また、イオンはタイ国内に 79 店舗を構え（2019 年 3 月時点）、中でも店舗面積が

300m2 以下の「マックスバリュータンジャイ」を 46 店舗、バンコクを中心に展開している。

バンコク市内の DON DON DONKI トンロー店（左）と

小売店のラビットカード決済端末（右）

第 25 章 地域編①：バンコク首都圏

201

また、外食では、バンコクに住むタイ人も日本食を好むため、「大戸屋」、「丸亀製麺」、「すき家」

など日系の外食チェーンの進出も多い。バンコク市内の大型ショッピングモールのフードコート

には、殆どの場合日本食を提供する店が入居している。

ひとくちメモ 19： 外食文化から中食文化にシフト？

タイといえば、屋台に代表されるように外食文化が浸透している。バンコク市内の新築マンション（コ

ンドミニアム）でも、キッチンが狭く、お湯を沸かす程度しかできないところもある位である。

しかし、所得水準が上昇したことで「健康」や「安心・安全」にお金を支払う余裕ができた人々が増

えたこともあり、屋台の存在も以前よりは目立たなくなってきているようである。

代わって台頭してきたのが、バイクでのデリバリーサービスである。例えば、Foodpanda 社が提供す

る「ピンクのパンダ」のサイト（https://www.foodpanda.co.th/ja/?r=1）には、飲食サービスを提供

する各社ページがあり、顧客は好きな商品を注文することができる。このサイトは日本語対応がされて

おり、現地の駐在員の利用も多いようである。また、タイでは LINE も同様のサービスを提供している。

日本では「Uber Eats」が同様のサービスを行っているが、タイにはもともとバイクタクシーがあっ

たことから営業エリアを広げやすいようで、普及スピードは速い。

【金融】

バンコクには、日本のメガバンク 3 行（三菱 UFJ 銀行20、三井住友銀行、みずほ銀行）や三井

住友信託銀行の支店があり、主に日本企業や現地の大手企業、国際的に事業を展開する欧米企業

のタイ子会社向けに、融資や為替などの法人業務を行っている。また、地方銀行や信用金庫がバ

ンコクに駐在員事務所を設立するケースも多い。駐在員事務所の場合は情報提供サービスが中心

だが、タイに進出している各行の取引先に日系企業間の情報交換の場を提供することでビジネス

につなげることを目的とした交流会も行っている。2019 年 5 月には、バンコクに拠点を有する地

方銀行 20 行の共催で 4 回目となる「タイ日系企業ビジネス交流会」が開催され、取引先に情報交

換やマッチングの機会を提供している（※地銀 20 行＜五十音順＞：足利銀行、大垣共立銀行、京

都銀行、群馬銀行、山陰合同銀行、滋賀銀行、清水銀行、十六銀行、千葉銀行、中国銀行、八十

二銀行、広島銀行、百五銀行、福井銀行、福岡銀行、北都銀行、北洋銀行、北陸銀行、北國銀行、

横浜銀行）。

他方、個人向け業務では、三菱 UFJ 銀行の場合、2013 年に買収したアユタヤ銀行（クルンシィ）

で口座開設ができ、日本語サービスも提供されている。また、三井住友銀行は 2016 年にバンコク

銀行と業務提携し、三井住友銀行のバンコック支店に口座を持つ顧客であれば、バンコク銀行の

支店から三井住友銀行の（バンコック支店）口座に預金することが可能となっている。地場銀行

では、カシコン銀行に日本語サポートデスクが設置されている。

20 三菱 UFJ 銀行は、2013 年にアユタヤ銀行を買収し、2015 年に三菱東京 UFJ 銀行バンコック支

店（当時）との統合を完了している。

タイの投資環境

202

主要工業団地

No. 工業団地名 所在地 総開発面積

1 Bangchan Industrial Estate 60 Moo 14, Seri Thai Soi 87, Seri Thai Road, MinBuri, Bangkok 10510 124ha

2 Gemopolis Industrial Estate 38 Soi Sukapibhan 2 Soi 31 Dokmai, Pravet,Bangkok 10250 27.7ha

3 Jongsatit Industrial Park 34 Moo 1, Chaithalae Rd., Bangkunthian,Bangkok 240ha

4 Laｔ Krabang Industrial Estate 40 Soi Chalongkrung 31, Lamplathiew, LatKrabang, Bangkok 10520 409ha

5 Panthong Kasem Industrial Estate 41/8 Rama III Rd. Soi 59 Chongnonthri,Yannawa, Bangkok 10120 n.a.

6 Thapaya International Industrial City 468 T.C.I. Tower , SiprayaRd., Bangrak , Bangkok 104ha

7 Bankadi Industrial Park 159 Moo.5, Tivanon Rd., Bangkadi, Pathumthani12000 188ha

8 Nava Nakorn Industrial Zone Pathumthani 999 Moo 13 Phaholyothin Rd., Klongnueng,Klongluang,, Khlong Luang, Pathumthani 12120 1,039ha

9 Thailand Science Park 111 Phaholyothin Rd., Klong 1,　Klong Luang,Pathumthani 12120 32ha

10 Maharajnakorn Industrial Estate Bangkrajao, Muang, Samut Sakhon 74000 22.4ha

11 Samut Sakhon Industrial Estate 39/5 Moo 2, Bangkrajao, Muang, Samut Sakhon74000 233ha

12 Sinsakhon Industrial Estate 30/1 moo 2 Chetsadawithi Road, Khok Kham,Muang, Samutsakhon 74000 134.4ha

13 Bangplee Industrial Estate 136/2 Moo 17, Thepharak Road, Bang SaoThong Samut Prakan 10540 161ha

14 Bangpoo Industrial Estate 649 Moo 4, Sukhumvit Road, Praeksa Muang,Samut Prakan 10280 875ha

15 Asia Industrial Estate Suvarnabhumi 88 Moo 3 Khlong Suan, Bang Bo, Samut Prakan,10560 Thailand 645ha