なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …p.4...

20
P1 なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほんま コンサルティング事業部 本間 峰一 E-Mailm.hommambf.nifty.ne.jp URL:https://www.homma-consulting.jp/ Webセミナー(ウェビナー)体験版

Upload: others

Post on 23-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.1

なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか

(株)ほんま コンサルティング事業部

本間 峰一

E-Mail:m.homma@mbf.nifty.ne.jp

URL:https://www.homma-consulting.jp/

Webセミナー(ウェビナー)体験版

Page 2: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.2

自己紹介にかえて

中堅企業・大企業を中心にした工場の生産管理システムの活用コンサルティングを専門としています。

代表的な著作物

Page 3: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.3

情報システム導入で管理スタッフの仕事が前よりも増えている気がする

以前よりも在庫が増えたり、欠品が増えている気がする

従来のような自由な業務運営ができなくなった

いろいろな集計数字はでてくるが、どうやって見たらいいのかわからない?

情報システムの導入費用や維持費用が高すぎるのでは?

生産管理システムの運用自体が、大きな手間とムダを生んでいる

経営に対して生産管理システムの導入効果を明示できない

システムベンダに活用方法を聞いても教えてもらえない

昔のシステムの方が、費用も安くかつ機能も使いやすかった

結果的に経営者からムダ金使い?といわれている?

生産管理パッケージを導入した企業からの相談が急増している

Page 4: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.4

システムベンダは活用方法までは教えてくれない?

生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

1. コンピュータを活用して間接作業工数を減らす

① 二重入力、転記、手作業、過剰なExcel利用など

2. 納期(リードタイム)管理や在庫管理を強化する

① 製造工程の進捗管理をタイムリーに行い、納期遅れをなくす

② ムダな計画や作業で溜まった過剰在庫を削減する

3. 生産性(一人あたり付加価値)を伸ばして利益をだす

① 工程負荷を調整して付加価値(スループット)を創出する

② 情報の共有により需要変動への対応力を高める

③ ただし原価(コスト)管理を強化しても利益は増えていかない

生産管理システムを活用して効率のよい生産を実現する

Page 5: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.5

実際のシステム利用は生産伝票発行機でとまっている

受注(計画)入力

部品展開(MRP計算)

製造指示 部品払出指示 部品在庫 部品発注

製造作業

製造完了入力

製品出荷指示

売上計上

名前だけMRP?

生産管理は「工程追っかけマン」が走り回って支えている

Page 6: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.6

高度成長時代 生産量を増やすことが何よりも重要とされた

工場には管理能力にたけた熟練工がいて自立管理が進んでいた

外注会社が系列化され、納期指示通りに納品された

低成長時代 高度成長時代の惰性で運営され、工場の目標がはっきりしない

社内、外注ともに生産余力があり、部品調達できれば製造できた

海外調達の拡大により部品調達の納期管理が難しくなった

人手不足の時代 生産能力不足で生産指示通りに作れない工程(外注)が続出

熟練工がいなくなり、現場の工程管理が弱体化している

生産管理担当者が納期管理に追われ、生産管理知識の勉強不足

➡ 生産管理システムには生産指示を効率よく出すことが重視された

➡ 生産管理システムの中心は部品調達の管理だった

➡ 生産計画策定や生産進捗を支援するシステムが必要になった

事業業環境変化によって生産管理システムの役割が変化した

生産伝票発行機では時代の変化についていけない

Page 7: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.7

過去の外注会社に対するイメージ

• 外注会社は納期を守ってくるのが当然だ

• 外注会社が生産を断ってくることはない

• 代替外注会社はいくらでもみつかる

• 納期が厳しければ外注会社が在庫しているはず

現在の外注会社問題

• 人手不足は大企業よりも中小外注会社の方が深刻

• 外注会社の経営者は常に廃業や転売を視野に入れている

• リストラによって急な発注への対応力がなくなっている

• 安定発注してあげなければ外注の経営が維持できない

• 技術力のある外注会社は強気の交渉をしてくる

外注 の顕在化

外注会社のスタンスが大きく変化した

外注会社が指定納期に納品してくれるかどうかわからない

Page 8: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.8

大半の生産管理パッケージは40年前のMRPがベース

生産指示タイプ

補充生産タイプ

製番(製造番号)管理

製造ロット番号管理

発注点管理

MRPシステム

かんばん(TPS)

流動数曲線(追番)管理

主な生産管理方式

計画生産に多い

受注生産に多い

繰返し生産に多い

個別生産

に多い

日本の製造業者は受注生産が中心なのにMRPシステムが多い

Page 9: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.9

販売計画

所要量展開 部品構成表 部品引当

部品手配

部品受入

製造

出荷

製品在庫

製品生産計画

製品引当

払出し

確定注文

部品在庫

確定受注

(内示情報)

部品展開 部品構成表 部品引当

部品手配 部品受入

部品受入 製造

出荷

在庫部品

払出し

受注生産フロー

計画生産フロー

受注生産と計画生産の違い

部品補充手配

Page 10: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.10

MRP計算の考え方 ➡ 部品展開に必要時期を加えて所要量計算する

③ 必要時期からリードタイム分だけさかのぼって着手時期を算出する

時間

MRP計算結果 1週 2週 3週

製品A 2

ユニットB 4

部品C 8

部品D 4 6

B(2)

C(2) D(1)

D(3)

① 構成部品表(BOM)を使って部品展開を行う

部品着手

ユニット完成

最終製品完成

② 最終製品、ユニット、部品の必要時期を定める

ユニット着手

部品完成

最終製品着手

1週目 2週目 3週目

工程順でツリー構造を作るケースもある

MRPロジックに気を付けよう

Page 11: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.11

■ MRP計算は各部品の必要時期を個別に計算し、調達リードタイムをさかのぼった時点で発注する

■ このことにより次のような効果が得られるはず ① 前倒し納入を防げるので余分な在庫の発生を抑制できる

② 発注日までは変更が発生しても注文はでないので(変更可能期間)、変更による混乱を抑制できる

■ ところが、

① 手配時にインプットする必要時期の精度が悪く、必要時期の変更が頻繁に起こる

② 調達リードタイムの精度が低く、必要時期に調達できないことがある

③ 製造工程の能力と負荷状況によってリードタイムは変化するがそれが考慮されていない

④ MRPのタイムバケット(日単位)では粗すぎて使えない

■ この状態ではMRPは機能しないので、MRPの仕組みを殺し、手配日に一律リードタイムで一斉発注する

もしくはMRPは内示計画の作成だけに用いて、手配は別の仕組みを使う(Excelやかんばんなど)

必要時期 発注日 手配日

調達リードタイム 変更可能期間

MRPシステムはなぜうまく動かないのか

結局生産管理システムは伝票発行が中心。生産調整は手作業で管理する

Page 12: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.12

• MRPでは引当時に部品が一つでも欠品すると対象製品の生産すべてが生産できない

• さらに不足部品の追加補充オーダが乱発されて、手配が混乱する可能性もある

製品A 製品B

部品a 部品b 部品c

×3個 ×2個

×5個 ×10個 ×5個 ×10個

部品必要数

部品在庫数

部品不足数

10個 40個 30個

15個 35個 30個

0個 -5個 0個

製品Aも製品Bも生産できない

そもそもMRPは部品が欠品すると生産できない?

この問題は次にあげるATO生産で致命傷になりやすい

Page 13: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.13

出荷 組立 部品手配 設計

製品在庫

注文

注文

注文

注文

製品在庫生産

(MTS)

繰返し受注生産

(MTO)

受注設計生産

(ETO)

受注組立生産

(ATO) 部品在庫

MTSは在庫リスクが大きくなり、ETO・MTOはリードタイムが長くなりやすいため、今日、多くの製造業がATOをめざしている

取引先からの短納期要求にあわせてMTOからATOへ変えざるを得なくなっている企業が増えている

造船、金型

機械部品

産業機械

パソコン

家電品

Engineering To Order

Make To Order

Assemble To Order

Make To Stock

デルではATOをBTOと呼んでいる

ATO化する受注生産企業

Page 14: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.14

第一工程 (3日間)

第二工程 (2日間)

第四工程 (3日間)

第三工程 (1日間)

完成納期

製品在庫 仕掛在庫 仕掛在庫 仕掛在庫

3日前に補充生産指示

4日前に補充生産指示

6日前に補充生産指示

9日前に補充生産指示

補充生産は欠品や納期遅れが発生した時のリカバリーが難しい

MRPは日単位での日程計画が基本となる

MRPによる工程補充生産は混乱を増幅する

しかも補充生産方式のままでは生産スケジューラも使えない

Page 15: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.15

余裕 実時間 余裕 実時間 余裕 実時間

実時間 実時間 実時間 余裕

生産スケジューラは余裕時間のためにリードタイムが長くなりやすい

突発対応や変更対応のために各工程のリードタイムには余裕をもつ

現場に任せる場合は余裕時間をなくせるので早く作ることができる

そもそも現場がスケジューラの指示通りに作っているかわからない

スケジューラは標準時間よりも余裕時間の設定の方が難しい

スケジューラに活路を見出そうとする工場も増えている

結果的にせっかくのスケジューラが埃を被ってしまっている

Page 16: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.16

計画待ち 時間

ワーク待ち 時間

工程待ち 時間

運搬 時間

段取り 時間

正味製造時間

バッファ時間

製造リードタイム

• 計画待ち時間:次の計画期間を待っている時間

• ワーク待ち時間:製造に用いるワークの到着を待っている時間

• 工程待ち時間:製造工程が空くのを待っている時間

• 運搬時間:工程間のワークの運搬時間

• 段取り時間:機械などのセットアップ時間

• 正味製造時間:実際に製造している時間

• バッファ時間:リードタイム変動リスクに対応するための余裕時間

製造リードタイムのほとんどは想定外の待ち時間だ

正味製造時間はリードタイムの10から30%程度で大半が待ち時間

最初に製造リードタイムの実態を分析しよう

Page 17: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.17

製造リードタイム分布分析で見つかった問題事例

• 実績データの入力漏れやミスが放置されていた

• 別のオーダ番号の伝票を先に処理していた

• 製造指示書が放置され忘れられていた

• 現場が製造指示を無視して勝手に製造順を変更していた

• 不良品、製造停止品などの処理が適切に行われていなかった

• 納期遅れ対策のための先行投入品が途中で滞留していた

• 内示と確定の差が大きく先行手配した内示品が滞留していた

• 特定工程の能力が不足していたが、今まで気づかなかった

• 特急品優先が増えすぎて、通常品が後回しになっていた

• 複数工程の同期対策が不十分であった

• 補充生産手配がうまく機能せず、欠品が多発していた

• 外注会社や部品会社の納期遅れが急に増えた

現場が指示通りに動いてくれなければ機能しない

Page 18: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.18

部品表(BOM)データの精度が悪く、部品展開ができない

必要とする時期に部品表(BOM)が間に合わない

手配後の設計変更が多発し、オーダー発行が混乱する

取引先や営業が納期変更を行うので、製造現場に不信感が漂っている

在庫精度が悪く、引き当てた現物がないことがある

マスタデータの数字が実態とあわない(リードタイム、ロット数など)

納期遅れが多発し、データ変更が追い付かない

オペレータの入力ミスが残っている

担当者が運用時にサバ読みするので、システム通りに生産できない

生産管理システムはユーザが積極関与しないと構築は難しい

生産管理システム活用の難しさ

これが販売管理システムと生産管理システムの違い

生産管理システムが効果を生み出さない理由としては、情報システムそのものの設計よりも運用やマスタ設定に問題があることが多い

Page 19: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.19

コンサルティングプロジェクトではPDCA改善で成果を導いていく

関連部門を集めた改善検討会を定期的(月1~2回)に実施し、試行錯誤で改善を進める

現状分析 ➡ 仮説計画 ➡ 実行 ➡ 結果確認 ➡ 現場改善 ➡ 仮説計画

(Analysis) (Plan) (Do) (Check) (Act) (Plan)

コンサルティングプロジェクトでは何をしているのか?

最初に改善目標数字を設定し、改善プロジェクトを立ち上げる

業務改善や現行情報システムの活用で直せるところから直していく

製造現場の仕掛(滞留状況)を調査・分析したうえで対策を実施する

製造現場主体で直せることを明確にし、現場主体で直していくよう働きかける

営業部門や外注会社などとの連携で直す部分を明確にし、働きかける

プロジェクトだけでは直せない部分を明確にする

この改善活動は生産管理システム稼働後に実施することも多い

Page 20: なぜ生産管理システム活用相談が増えているのか (株)ほん …P.4 システムベンダは活用方法までは教えてくれない? 生産管理システムの導入目的ははっきりしていましたか

P.20

さらにお知りになりたい方は

2.定期的に集合研修を実施しています

(日刊工業新聞社殿、日本情報システムユーザ協会殿、日本テクノセンター殿ほか)

3.遠方の方のためのWeb研修も定期的に実施しています。

➡ 今後の研修予定をお知りになりたい方は、

弊社サイトの研修案内をご覧ください

https://homma-consulting.jp/business/seminar/

1.冒頭で紹介した本をお読みください