市区町村社協経営指針 第 本文・解説比較表 序章 · 2020.3.2 ver 3 現行...
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市区町村社協経営指針 第 2次改定(案) 本文・解説比較表 ※赤文字(下線付き)は現行指針からの変更箇所
現行 変更(案)
序章
市区町村社協経営指針(以下、経営指針)は、これまでの市区町村社会福祉協議会が取り組んできた経
験と実績を踏まえながら、時代の変化に合わせ、未来を見据えた目標を定め、具体的な戦略をもって経営
活動に取り組むための組織経営の方向性を示したものである。
市区町村社会福祉協議会は、経営指針の内容を踏まえ、これからの組織の進むべき方向を役職員が十
分理解し、自らの経営理念、ビジョン、経営計画、行動計画を策定し、具体的な戦略をもって組織経営を行
う必要がある。
これまで市区町村社会福祉協議会は、地域福祉を推進する中核的な組織として、より多くの住民の主体
的参加を求めながらさまざまな事業・活動に取り組んできた。今日、地域社会に貢献する社会福祉法人とし
て、また地域共生社会の実現に向けた協働の中核を担う組織として、その役割と機能を発揮することがより
強く求められる。
今後の市区町村社協の経営においてポイントになるのが、内部組織に関しては、①部門間連携の強化とと
もに必要に応じた組織機構の再編であり、外部との環境に関しては、②多機関協働による包括的な支援体
制づくり、③市区町村圏域を越えた広域的な事業・活動の連携・協働の推進である。
基本的な考え方
組織内部
① 部門間連携の強化 革新的な問題解決力の向上に向けて、部門間で生じる
葛藤をなくし、相互作用による効果を生み出すための信頼
感の強い協働関係をつくるための組織機構の再構築を行
う。
組織外部
② 多機関協働による包括的な支
援体制づくり
福祉ニーズの多様化・複雑化を踏まえ、地域における外
部資源を活用しなければ地域生活課題は解決できない。
いわゆる「制度の狭間」の課題の解決を図る観点から、多
機関協働による複合的な課題を抱える者等に対する包括
的な支援システムの構築が必要になる。
③ 市区町村圏域を越えた広域的
な事業・活動の連携・協働の推
進
社会経済情勢の急速な変化に対応しながら、限られた人
的・財政的な組織体制のなかで、いかに必要な事業・活動
を展開するか、その方法を模索する必要がある。
そこで、大規模・広域を含む市区町村社協間における協
働体制とともに、広域での共通課題を解決するための議論
の場づくりがポイントになる。
団塊ジュニア世代が70歳を超える年であり現役世代の減少が顕著になる2040年に向けて、国は社会保
障・働き方改革をすすめている。人口減少が進展する日本は、市場全体が縮小していくこととなり、「効率的な
労働」のみを用いて「物的生産性」を上げるだけでは組織は淘汰される時代になる。生産性の向上が求められ
ているポイントは、組織がつくり出しているモノやサービスにどれだけの価値があるのか、出せるのか、付加価値
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第1章 市区町村社会福祉協議会の使命・経営理念
<使命>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉を推進する中核的な団体として、誰もが安心して暮らすことが
できる福祉のまちづくりを推進することを使命とする。
<経営理念>
○ 市区町村社会福祉協議会は、この使命を達成するために、以下の経営理念に基づき事業を展開する。
① 住民参加・協働による福祉社会の実現
② 地域における利用者本位の福祉サービスの実現
③ 地域に根ざした総合的な支援体制の実現
④ 地域の福祉ニーズに基づく先駆的な取り組みへのたゆみない挑戦
<組織運営方針>
○ 市区町村社会福祉協議会は、「社会福祉を目的とする事業を経営する者」と「社会福祉に関する活動
を行う者」が参加する公益性の高い非営利・民間の福祉団体として、その使命と経営理念を実現するため
に、以下により組織運営を行う。
① 地域に開かれた組織として、運営の透明性と中立性、公正さの確保を図るとともに、情報公開や
説明責任を果たす。
② 事業の展開にあたって、住民参加を徹底する。
③ 事業の効果測定やコスト把握などの事業評価を適切に行い、効果的で効率的な自律した経営を
行う。
④ 全ての役職員は、高潔な倫理を保持し、法令を遵守する。
<解説>
(地域福祉の推進と社協の使命)
〇 社会福祉法では「個人の尊厳の保持」「福祉サービス利用者の自立支援」「個人の選択に基づく福祉」とともに、法第 4 条
における生産性向上であり、このことは福祉業界を含めたすべての組織共通の経営能力・経営戦略の問題と
なる。
今後、市区町村社協の経営において従来と同じ考え、かたちを繰り返すことは、大きなリスクであり、時代
の変革に合わせた新たな戦略が必要になる。その際、まず確認し、明確にしておくことは、各社協の価値観、
大切にしているもの、そして強みは何かである。
多様で複雑になった地域生活課題の対応に向けて、市区町村社協が行政、社会福祉法人、NPO、企業
等と協働で取り組む目的や方向性は同一になるが、社協の立ち位置は他の組織と同じではない。住民主体
の理念を掲げ地域福祉の推進に取り組んできた市区町村社協は、これまでの実績と特性を生かし、協働の
中核とともに、セーフティネットの最後の砦の役割を果たす組織として付加価値を生み出す経営が求められ
る。
第1章 市区町村社会福祉協議会の使命、経営理念、基本方針
<使命>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉を推進する中核的な団体として、地域生活課題の解決に取り
組み、誰もが支え合いながら安心して暮らすことができる地域づくりを推進することを使命とする。
<経営理念>
○ 市区町村社会福祉協議会は、この使命を達成するために、以下の理念に基づき、事業を展開する。
① 住民を主体とし多様な関係機関の参加・協働による地域共生社会の実現
② 住民ニーズに即した福祉サービスの実現
③ 地域に根ざした包括的な支援体制の構築
④ 地域の福祉ニーズに基づく先駆的・開拓的な福祉サービス・活動のたゆみない創出
⑤ 持続可能で責任ある自律した組織経営
<基本方針>
○ 市区町村社会福祉協議会は、「社会福祉を目的とする事業を経営する者」と「社会福祉に関する活動
を行う者」が参加する公益性の高い非営利・民間の福祉団体として、上記経営理念に基づく組織経営を
以下の基本方針により行う。
① 地域に開かれた組織として、運営の透明性と中立性、公正さの確保を図るとともに、情報公開や説
明責任を果たす。
② 事業の展開にあたって、協議体組織(プラットフォーム)としての役割を十分に発揮し、地域住民や
関係機関・団体等、あらゆる関係者の参加と協働を徹底する。
③ 事業の効果測定やコスト把握などの事業評価を適切に行い、効果的で効率的な自律した経営を
行う。
④ すべての役職員は、高潔な倫理を保持し、法令を遵守する。
<解説>
(地域福祉の推進と社協の使命)
〇 社会福祉法では「個人の尊厳の保持」「福祉サービス利用者の自立支援」「個人の選択に基づく福祉」とともに、法第 4 条
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に「地域福祉の推進」を社会福祉の基本理念としている。
〇 法第 4 条では、地域福祉の目的を「福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営
む」こと、「社会・経済・文化その他あらゆる分野の活動に参加できるようにすること」としている。すなわち、差別や排除のな
い地域づくり、社会参加とノーマライゼーションに基づく福祉社会づくりをめざし、福祉を基盤にしたまちづくりをすすめていくこ
とが地域福祉推進の目的と言える。
〇 こうした地域福祉推進の目的を具体化するために「誰もが安心して暮らすことができる福祉のまちづくり」を推進していくこと
を市区町村社協の使命とした。
(住民参加・協働による福祉社会の実現)
〇 住民参加・協働による福祉社会の実現とは、地域住民、民生委員・児童委員、社会福祉施設、ボランティア及び市民活動
団体や福祉サービスを提供する事業者など地域のあらゆる団体・組織の相互理解と協働によって市民参画型の福祉社会
を実現することである。
○ 法第 4 条では、地域福祉推進の主体として、①地域住民、②社会福祉に関する活動を行う者、③社会福祉を目的とする
事業を経営する者を位置づけていることから、福祉のまちづくりは、地域住民や地域のあらゆる団体・組織が協力、参加し、
すすめるものとされている。
〇 特に、地域福祉が社会福祉の理念のひとつとされたことは、社会福祉関係者にとって大きな意味を持つ。社会福祉施設や
民生委員・児童委員は、地域住民の立場に立って地域の福祉課題を共有しながら、主体的に住民の福祉課題に対応する
援助や支援活動を積極的に行うことが求められる。
〇 また、地方分権化の潮流の中で、近年のNPO法人をはじめとする市民活動が、市町村行政とのパートナーシップにより、地
域の多様な課題の解決や福祉サービスの提供にあたるなど、住民参加・協働による新しい公共づくりの取り組みが広がって
いる。これらの活動は、教育や環境などの幅広い地域課題に対する自主的なものであるが、福祉課題は、それぞれの分野
に共通する課題であり、こうした団体が福祉のまちづくりのための取り組みに参加することを促進することが重要である。
〇 こうした点を踏まえ、住民参加や協働にもとづいた福祉コミュニティづくりやそれを通じた市民参画型福祉社会の実現を、社
協の経営理念として位置づけた。
(地域に根ざした利用者本位の福祉サービスや総合的な支援体制の確立)
〇 「地域における利用者本位の福祉サービスの実現」とは、地域において、誰もが地域社会の一員として尊厳をもった生活が
送れるよう自立支援や利用者本位の福祉サービスを実現することであり、「地域に根ざした総合的な支援体制の実現」と
は、地域の福祉ニーズに対して、多様な公私の福祉サービスや福祉活動(インフォーマルなサービスや活動を含む)と、保
健、医療、教育、交通、住宅、就労などのあらゆる生活関連分野の活動が連携し、身近な地域で総合的かつ効果的に展開
される支援体制を整備することである。
〇 地域福祉推進の目的を達成するには、①福祉サービスが自立支援や利用者の立場に立った質の高いものであると同時
において「地域福祉の推進」を社会福祉の基本理念としている。
〇 法第 4 条では、地域福祉の目的を「福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営
む」こと、「社会・経済・文化その他あらゆる分野の活動に参加できるようにすること」としている。また、支援を必要とする住民
(世帯)が抱える多様で複合的な地域生活課題について、住民や福祉関係者による①把握及び②関係機関との連携等に
より解決を図るという地域福祉推進の理念が明記されている。このことは、すなわち、人としての尊厳が守られ、一人ひとりが
その人らしく生きられるようなソーシャルインクルージョンとノーマライゼーションの理念に基づく地域づくりをすすめていくことが
地域福祉推進の目的であることを示している。
〇 こうした地域福祉推進の目的を実現するために、住民主体の理念に基づき、「地域生活課題の解決に取り組み、誰もが支
え合いながら安心して暮らすことのできる地域づくり」を推進していくことを市区町村社協の使命とした。
(住民を主体とし住民及び関係機関との参加・協働による地域共生社会の実現)
〇 住民を主体とし多様な関係機関の参加・協働による地域共生社会の実現とは、地域住民、民生委員・児童委員、社会福
祉法人・福祉施設、ボランティア及び市民活動団体や福祉サービスを提供する事業者など地域のあらゆる団体・組織の相
互理解と協働によって市民参画型の福祉社会を実現することである。
○ 法第 4 条では、地域福祉推進の主体として、①地域住民、②社会福祉を目的とする事業を経営する者、③社会福祉に関
する活動を行う者を位置づけていることから、地域福祉の推進は、地域住民や地域のあらゆる関係者が協力、参加し、すす
めるものとされている。
〇 市区町村社協は、協議体組織(プラットフォーム)の役割を十分に発揮し、地域のあらゆる関係者の参加と協働のもとに、
地域住民の立場に立って地域生活課題を共有しながら、地域住民が主体的に地域生活課題について考え、できるだけ身
近な地域のなかでそれを解決できる体制や仕組みをつくっていくことが求められる。
〇 また、福祉教育等を通じ、すべての人がかけがえのない存在として尊ばれ、差別や排除されたりすることなく社会生活のな
かでともに支え合い、一人ひとりが生きる喜びを感じることができるよう、「共に生きる力」を育むこと、そして地域福祉の人材
を育成していくことが求められる。
〇 さらに、誰もが安心して暮らすことができる地域づくりと、人口減少や雇用の減少などさまざまな課題に取り組む地方創生
は、決して別々のものではない。地域社会が持続可能であることが地域福祉の基盤として不可欠であり、地域福祉の推進に
よって生活の質の向上や地域の活性化につながる。市区町村社協は、行政とのパートナーシップを築きながら福祉以外のさ
まざまな分野(医療・保健、教育、労働、まちおこし、商工、農林水産、土木、防犯・防災、環境、交通、都市計画等)との連
携を図り、地域のすべての住民が役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる地域づくりをすすめることが重要である。
〇 こうした点を踏まえ、住民や関係機関との協働に基づいた地域づくりやそれを通じた地域共生社会の実現を、社協の理念
として位置づけた。
(住民ニーズに即した福祉サービスの実現と地域に根ざした包括的な支援体制の構築)
〇 「住民ニーズに即した福祉サービスの実現」とは、地域において、誰もが地域社会の一員として尊厳をもった生活が送れる
よう、支援を必要とする方々の顕在化している生活状況や思いを把握するとともに、潜在化しがちな狭間にあるニーズもくみ
取った福祉サービスを実現することである。「地域に根ざした包括的な支援体制の構築」とは、複合化・多様化した生活課題
に総合相談として受け止め、地域住民の主体的な取り組みと、医療、保健、就労、住まい、司法、産業、教育、権利擁護、
多文化共生などの多機関の連携による取り組みが協働する支援体制を整備することである。包括的な支援体制の整備に
おいては、「協働の中核を担う機能」が必要とされており、市区町村社協は、これまで以上に地域福祉の推進役としてその中
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に、②地域住民に密着したところでの「福祉の総合化」を図ることが必要である。さらに、その取り組みを通じて地域住民の福
祉意識の醸成を図ることが重要である。
〇 こうしたことを踏まえ、「地域における利用者本位の福祉サービス」や「地域に根ざした総合的な支援体制の実現」を社協の
経営理念として位置づけた。
(福祉課題の把握と先駆的事業の開発へのたゆみない挑戦)
〇 「地域の福祉ニーズに基づく先駆的な取り組みへのたゆみない挑戦」とは、制度の谷間にある福祉課題や低所得者、社会
的支援を要する人々への対応に重きをおき、常に事業展開を通じて地域の福祉課題をとらえ直し、地域住民やあらゆる団
体・組織に働きかけ、新たな福祉サービスや活動プログラムの開発にたゆみなく挑戦することである。
〇 市区町村社協は、これまでも福祉ニーズに基づいて、ホームヘルプサービスや毎日型の食事サービス、ふれあいいきいき
サロンなど先駆的な福祉サービスや活動プログラムを開発してきた。こうした先駆的な取り組みは、日頃の活動を通じて福祉
課題を把握するとともに、地域全体の課題として提起し、多様な事業展開に結びつける努力が不可欠である。特に、最近
は、ホームレス問題や児童虐待の問題、複雑な福祉課題を抱える世帯への対応などいわば制度の谷間にある課題に取り
組むことが求められている。
〇 こうした点を踏まえて、「福祉課題の把握と先駆的事業の開発へのたゆみない挑戦」を社協の経営理念に位置づけた。
(組織特性に基づく組織運営)
〇 市区町村社協は、「社会福祉を目的とする事業を経営する者」と「社会福祉に関する活動を行う者」が参加する公益性の
高い非営利・民間の福祉団体であり、こうした組織特性に基づく組織運営が求められる。
〇 したがって、組織運営にあたっては、第1に、地域に開かれた組織として社協運営の透明性と中立性、公正さの確保を図
り、事業や財務内容の公開を積極的に行うとともに、説明責任を果たすことが求められる。
〇 第2に、事業の実施にあたって、地域の広範な団体と協働し、徹底した住民参加によりすすめることが求められる。
〇 第 3 に、経営について責任ある組織的な判断を可能とするために、事業の効果測定やコスト把握などを行い、適切に事業
評価を行うことが求められる。
核を担うことが求められる。
〇 地域福祉推進の目的を達成するには、①福祉サービスが個人の尊厳の保持を基盤とした自立支援や利用者の生活状況
等に合わせた質の高いものであると同時に、②地域住民により身近な圏域において、地域の生活課題を包括的に受け止め
ることが必要である。さらに、その取り組みを通じて地域住民の福祉意識の醸成を図ることが重要である。
〇 こうしたことを踏まえ、「地域における住民ニーズに即した福祉サービス」や「地域に根ざした包括的な支援体制の構築」を
社協の経営理念として位置づけた。
(地域の福祉ニーズに基づく先駆的・開拓的な福祉サービス・活動のたゆみない創出)
〇 「地域の福祉ニーズに基づく先駆的・開拓的な福祉サービス・活動のたゆみない創出」とは、生活困窮者、社会的支援を
要する人々への対応とともに、制度の狭間にある課題も含めて常に事業展開を通じて地域生活課題をとらえ直し、地域住
民やあらゆる団体・組織に働きかけ、新たな福祉サービスや活動プログラムの開発、必要となるネットワーク構築にたゆみな
く挑戦することである。
〇 市区町村社協は、これまでも福祉ニーズに基づいて、ホームヘルプサービスや毎日型の食事サービス、ふれあいいきいき
サロンなど先駆的な福祉サービスや活動プログラムを開発し、必要となるネットワーク構築に取り組んできた。こうした先駆的
な取り組みは、日頃の活動を通じて福祉課題を把握するとともに、地域全体の課題として提起し、多様な事業展開に結びつ
ける努力が不可欠である。特に、近年は、ダブルケア、8050 問題、子どもの貧困、虐待問題、性的指向により生きづらさを
抱える人たちへの対応、依存症の課題、ひきこもり等、経済的な困窮と社会的孤立を共通の背景とする複雑・多様な課題
を抱える生活困窮世帯への対応などいわば制度の狭間にある課題に取り組むことが求められている。
○ そのためには、福祉分野だけで課題解決に向けて取り組むのではなく、多分野・多機関等と連携し、協働することが求めら
れる。
〇 こうした点を踏まえて、「地域の福祉ニーズに基づく先駆的・開拓的な福祉サービス・活動のたゆみない創出」を社協の理
念に位置づけた。
(持続可能で責任ある自律した組織経営)
○ 「持続可能で責任ある自律した組織経営」とは、変化の激しい時代環境のなかで、地域社会に責任をもって貢献していくた
めに、組織の理念、目的、目標、体制、規範を整え、持続可能な組織経営をしていくことである。
○ 「地域共生社会の実現」をめざし、地域づくりが主要な政策課題の時代となった今、社協のガバナンスを高め、組織基盤や
財政基盤をより強化し自律した法人経営を行うことが求められる。
○ こうした点を踏まえて、「持続可能で責任ある自律した組織経営」を社協の理念に位置づけた。
(経営理念に基づく組織経営の基本方針)
〇 市区町村社協は、「地域住民」とともに、「社会福祉を目的とする事業を経営する者」と「社会福祉に関する活動を行う者」
が参加する公益性の高い非営利・民間の福祉団体であり、理念に基づく組織経営が求められる。
〇 したがって、組織経営にあたっては、第1に、地域に開かれた組織として透明性と中立性、公正さの確保を図り、事業や財
務内容の公開を積極的に行うとともに、説明責任を果たすことが求められる。
〇 第 2 に、事業の実施にあたっては、協議体組織(プラットフォーム)として役割を発揮し、地域住民や関係機関・団体等、あ
らゆる関係者の参加と協働を徹底していくことが求められる。
〇 第 3 に、責任ある組織的な判断に基づく経営を可能とするために、環境の変化に対応し、計画的に事業を展開するととも
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〇 第4に、全ての社協の役職員は、高い倫理意識を保持し、日頃から、法令などを遵守してルールを守った活動を行うことが
必要である。いわゆる「法令遵守」とは、法律や政・省令に加え、通知や条例、諸規則、各種規程類のほか、倫理、社会規
範、モラル、マナーなど、社協が社会的な評価・信頼を得るために必要なルールすべてを、日常のあらゆる活動において役
職員が遵い守ることを指す。法令遵守は地域からの信頼を得るために最も重要な事項である。
第2章 市区町村社会福祉協議会の事業
<事業展開の基本的考え方>
○ 市区町村社会福祉協議会は地域住民の個々のニーズに応え個々の生活を支えること、さらに地域の福
祉課題の解決を図ることを目的に、具体的な事業展開を図る。
<部門の構成>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域の実情に応じて、①法人運営部門、②地域福祉活動推進部門、③
福祉サービス利用支援部門、④在宅福祉サービス部門による事業体制を確立する。
○ 事業体制の確立にあたっては、地域福祉推進部門を中核としながら、各部門に相応しい事業と財源、
人材、施設・設備を確保し、事業の推進は各部門間の相互連携を十分に図る。
<解説>
(事業展開の基本的な考え方)
〇 社会福祉法では、市区町村社協を「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」として位置づけ、さらに、その事業とし
て、①「社会福祉を目的とする事業の企画・実施」、②「社会福祉に関する活動への住民の参加への援助」、③「社会福祉
を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成」、④「その他社会福祉を目的とする事業の健全な発
達を図るために必要な事業」を実施するものとしている。
〇 市区町村社協は、元来住民主体の理念に基づき、地域の様々な福祉課題を地域社会全体の問題としてとらえ、住民をは
じめとするあらゆる関係者と協力し、問題解決のために活動を計画的に展開してきた。さらに近年は、事業型社協をめざし、
総合相談活動、ホームヘルプサービスなどの公的在宅福祉サービス、さらに食事サービスなど住民参加型の多様な福祉サ
ービスを積極的に行うとともに、さまざまなボランティア活動、小地域ネットワーク活動、「ふれあいいきいきサロン」などの地域
での住民の主体的な活動を支援し、誰もが安心して生活できるまちづくりの取り組みにつなげている。
〇 さらに、社会福祉法の理念である利用者主体の福祉サービスを実現するうえで、地域福祉権利擁護事業や苦情解決とい
った利用者保護の活動、情報提供活動、また、きめ細かな日常生活の支援なども市区町村社協の事業として大きな期待
が寄せられている。
〇 これらのフォーマル、インフォーマルな事業が、事業のための事業としてではなく、「地域の住民の個々のニーズに応え個々
の生活を支えること」に焦点をあわせ、開発・実施されていく必要がある。
に事業の効果測定やコスト把握などを行い、適切に事業評価を行うことが求められる。
〇 第 4 に、すべての社協の役職員は、高い倫理意識を保持し、日頃から、法令などを遵守してルールを守った活動を行うこ
とが必要である。いわゆる「法令遵守」とは、法律や政・省令に加え、通知や条例、諸規則、各種規程類のほか、倫理、社会
規範、モラル、マナーなど、社協が社会的な評価・信頼を得るために必要なルールすべてを、日常のあらゆる活動において
役職員が遵い守ることを指す。法令遵守は地域からの信頼を得るために最も重要な事項である。
第 2章 市区町村社会福祉協議会の事業
<事業展開の基本的考え方>
○ 市区町村社会福祉協議会は協議体として地域住民の多様な生活課題や潜在的ニーズを受け止め、地
域を基盤にして解決につなげる支援やその仕組みを多様な地域関係者と協働してつくることを目的に、具
体的な事業展開を図る。
<部門の構成>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域の実情に応じて、①法人経営部門、②地域福祉活動推進部門、③
総合相談支援部門、④生活支援部門による事業体制を確立する。
○ 事業体制は、住民のあらゆる相談を組織として受け止め、生活支援を実施する体制として、各部門に相応し
い事業と財源、人材、施設・設備等を確保し、各部門間の相互連携を確立させる。
<解説>
(事業展開の基本的な考え方)
〇 社会福祉法では、市区町村社協を「地域福祉の推進を図ることを目的とする団体」として位置づけ、さらに、その事業とし
て、①「社会福祉を目的とする事業の企画・実施」、②「社会福祉に関する活動への住民の参加への援助」、③「社会福祉
を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成」、④「その他社会福祉を目的とする事業の健全な発
達を図るために必要な事業」を実施するものとしている。
〇 市区町村社協は、元来住民主体の理念に基づき、地域のさまざまな生活課題を地域社会全体の問題としてとらえ、住民
をはじめとするあらゆる関係者と協力し、問題解決のために活動を計画的に展開してきた。さらに近年は、総合相談・支援活
動、生活困窮者自立支援事業の取り組みをはじめ、地場産業と結びつき社会参加や雇用の機会を創設するなど、「地域創
生」にまで発展している例も見られる。従前からの取り組みとして、食事サービスや買い物・移送支援、介護予防・生活支援
サービスなどの住民参加の多様な福祉サービスを積極的に行うとともに、さまざまなボランティア活動、小地域ネットワーク活
動、「ふれあいいきいきサロン」などの地域での住民の主体的な活動を支援し、誰もが支え合いながら安心して生活できるま
ちづくりの取り組みにつなげている。
〇 さらに、社会福祉法の理念である利用者本位の福祉サービスを実現するうえで、日常生活自立支援事業や苦情解決、成
年後見制度における権利擁護の活動、情報提供活動、また、きめ細かな日常生活の支援なども市区町村社協の事業とし
て大きな期待が寄せられている。
〇 これらのフォーマル、インフォーマルな事業が、事業のための事業としてではなく、「地域の住民の個々のニーズに応え個々
の生活を支えること」に焦点をあわせ、開発・実施されていく必要がある。
〇 住民が互いに生活の支え手となる互助活動、地域で支え合う仕組みづくりがすすんでおり、公的サービスの拡充とともに、
あらためて住民による「共に支え合う地域づくり」の中身が問われている。そこでは、住民側の主体性の確立が求められる。
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(部門構成の基本的な考え方)
○ 従来の市区町村社協の事業体制は、経理や庶務を担当する「総務部門」、地域福祉活動計画の策定や見直し、行政や
他機関との連絡・調整等を行う「組織部門」、在宅福祉サービス事業や総合相談事業をはじめとする事業・活動を企画、実
施する「事業部門」を基本としてきた。
○ これからの市区町村社協は、経営管理(マネジメント)を行う「法人運営部門」を確立し、地域福祉推進の中核的な役割を
果たす「地域福祉活動推進部門」をベースにしながら、「福祉サービス利用支援部門」と「在宅福祉サービス部門」の事業
推進体制を整備する。
○ 事業規模に応じて、「地域福祉活動推進部門」と「福祉サービス利用支援部門」を統合することも考えられる。
○ 「福祉サービス利用支援部門」と「在宅福祉サービス部門」は、利益相反の恐れもあることから、部門を明確に区分する必
要がある。事務局体制のみならず、福祉サービス利用支援部門には、第三者性の運営・監視の体制が必要である。
(相互連携の重要性)
〇 部門間の連携の焦点は、地域福祉活動推進部門と在宅福祉サービス部門の関係にある。現状では、双方の部門がバラ
バラに動いている社協が少なくない。各事業の目的は、前述のように、「地域住民の個々のニーズに応え個々の生活を支え
ること、さらに地域の福祉課題の解決を図ること」であるが、一般に、在宅福祉サービスを支えるケアワークやソーシャルワー
クは「地域住民の個々のニーズに応え個々の生活を支えること」が中心になり、一方、地域福祉活動を支えるコミュニティワ
ークは「地域の福祉課題の解決を図ること」ととらえられており、なかなか両部門の仕事が交錯しない。
〇 しかし、ふれあいのまちづくり事業のように、総合相談と支援を結びつけ、個別の福祉課題への徹底した対応と、その取り組
みを通して、地域における課題解決の手法・仕組みをつくることも実際に経験してきている。また、近年の宅老所や地域密着
型サービスのような、フォーマルであるが地域住民との関係を重視するものや、一方で、小地域ネットワークやふれあい・いき
いきサロンのようなインフォーマルであるがシステムを必要とするものなど、公的サービスと住民の福祉活動の融合や協働が
クローズアップされてきている。両部門がこのような問題意識を共有しながら、すすめていくことが重要である。
〇 さらに、地域共生社会の実現に向けた市町村における包括的な支援体制の整備に向けては、社協が有する中間支援組
織としての機能を発揮し、幅広い関係者と地域生活課題について話し合い、連携・協働する場(プラットフォーム)をつくり、協
働の中核を担うことが求められる。
(部門構成の基本的な考え方)
〇 近年は、複雑・多様化した地域生活課題への対応や、介護保険事業、生活困窮者自立支援事業等によりさまざまな生活
支援や相談事業が行われてきている。各自治体の置かれている状況とともに、市区町村社協の規模もさまざまであり、それ
ぞれの状況と地域特性等に応じた組織構成がされており、そのあり方も多様である。
○ これらの状況をふまえたうえで、全世代・全対象型の総合相談・生活支援を実施するためには、部門間連携を行うことが必
須であり、前提となるが、組織の全体構成の大枠として、経営管理(マネジメント)を行う「法人経営部門」を確立し、地域福
祉推進の中核的な役割を果たす「地域福祉活動推進部門」、「総合相談支援部門」、「生活支援部門」の事業推進体制を
整備する。
○ 事業規模に応じて、「地域福祉活動推進部門」と「総合相談支援部門」を統合することも考えられる。
○ 「総合相談支援部門」と「生活支援部門」は、利益相反の恐れもあることから、部門を明確に区分する必要がある。事務局
体制のみならず、総合相談支援部門には、第三者性の運営・監視の体制が必要である。
(相互連携の重要性)
〇 地域住民や、多機関・多職種との連携・協働を図るためには、社協内の部門間連携と社協が有する資源やネットワークを
活かしながら、社協の総合力を発揮することが必要である。
〇 社協の総合力は、事業担当による「縦割り」の対応ではなく、社協内の各部署が有機的につながりながら支援を展開してい
くことが求められる。さらに、住民からの相談を受け止め、支援を行う総合相談支援部門と、地域支援や生活支援を行う地
域福祉活動推進部門や生活支援部門とが連携し、組織全体で受け止め円滑に対応できる体制を構築し、局内連携体制を
確立させることが重要である。あわせて、部門の統合化やプロジェクトチームの設置等を行いながら新たな生活支援サービス
が開発できる体制について検討していくことも必要である。
○ また、地域共生社会を実現していくためには、地域社会全体のエンパワメントを推進し、社会参加と活躍の場づくりが
求められる。
① 法人運営部門:適切な法人運営と効率的な事業経営を行うための業務を担当し、財務・人事管理をはじめ、組
織全体にかかわる企画・調整等を行う部門。
② 地域福祉活動推進部門:地域に発生しているさまざまな福祉課題を調査・分析し、地域住民やボランティア、
各種団体・機関と協働・連携して、解決にむけた取り組みを組織的・計画的に推進し、必要に応じて地
域福祉型福祉サービスを創出する部門。
③ 福祉サービス利用支援部門:高齢者や障害者等を支援することを目的に総合相談や資金貸付、手続代行、情報
提供等の業務を通じて、福祉サービスの利用援助および生活支援を促進する部門。
④ 在宅福祉サービス部門:介護保険や支援費制度による事業展開のほか市町村からの受託による在宅福祉サービ
スなどを、法令や契約に基づき運営する部門。
① 法人経営部門:適切な法人運営と効率的な事業経営を行うための業務を担当し、財務・人事管理をはじ
め、組織全体にかかわる企画・調整等を行う部門。
② 地域福祉活動推進部門:地域に発生しているさまざまな福祉課題を調査・分析し、地域住民やボランティ
ア、各種団体・機関と協働・連携して、解決にむけた取り組みを組織的・計画的に推進し、
必要に応じて地域福祉型福祉サービスを創出する部門。
② 総合相談支援部門:高齢者、障害者、生活困窮者等を支援することを目的に総合相談や資金貸付、手続代
行、情報提供等の業務を通じて、権利擁護、福祉サービスの利用援助及び総合相談支援体制
を推進する部門。
④ 生活支援部門:介護保険法や障害者総合支援法による事業展開のほか、市町村からの受託による在宅福祉サ
ービスなどを法令や契約に基づき運営し、制度狭間などの地域生活課題にも対応する部門。
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現行 変更(案)
1 法人運営部門
○ 法人運営部門は、適切な法人運営や事業経営を行うとともに、総合的な企画や各部門間の調整など
を行う社協事業全体の管理(マネジメント)業務にあたる。
○ 法人運営部門においては、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・理事会等の運営
・財務管理
・職員の採用や研修・能力開発、人事考課などの人事管理
・所轄庁への届出や対外的な法的対応を行う法務に関する業務
・発展・強化計画の策定などの将来ビジョンの検討 など
<解説>
(法人運営部門の確立)
〇 今後、市区町村社協の事業内容は、介護保険事業も含めて多角化され、事業規模が拡大する中にあっては、法人として
の経営管理が重要となってくる。従来の庶務・経理といった意味での総務部門ではなく、事業全体の管理や総合的かつ計
画的な事業執行を行うための組織管理(マネジメント)部門として「法人運営部門」を確立する必要がある。
○ これらの業務にあたっては、それぞれの専門知識などが必要になるため、必要な人材を確保したり、顧問弁護士の委嘱や
外部監査、専門職によるコンサルテーションの実施など社協経営に必要な専門家とのネットワークを図ることが重要である。
こうしたネットワークが単独の社協で構築できない場合は、近隣社協との共同体制や都道府県社協の支援などにより体制を
整備することが必要である。
(社協事業全体のマネジメントと社協発展・強化計画の策定)
○ 法人運営部門においては、特に、各部門相互の事業展開の総合的な調整や、社協発展・強化計画の策定等法人として
の将来ビジョンを検討するなど、組織全体の企画・調整の役割を果たすことが重要である。
○「社協発展・強化計画」とは、「地域福祉を推進する中核的な団体として事業運営(経営)のビジョンや目標を明確にし、その
実現にむけた組織、事業、財務に関する具体的な取り組み」を明らかにしたものである。
○ 社会福祉諸制度、地域の福祉課題の現状、福祉サービスの整備状況、住民参加の取り組みの状況などの外部環境や社
協の組織の体制、事業の内容、職員等の事業推進体制、財務状況を十分把握し検討したうえで「社協発展・強化計画」を
1.法人経営部門
○ 法人経営部門は、適切な法人運営や事業経営を行うとともに、総合的な企画や各部門間の調整など
を行う社協事業全体の組織管理(マネジメント)業務にあたる。
○ 法人経営部門においては、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・理事会、評議員会等の運営
・財務運営・管理
・計画的な採用・異動・人事考課などの人事管理
・研修・能力開発など計画的な人材育成
・労働法制に基づいた労務管理
・所轄庁への届出や対外的な法的対応を行う法務に関する業務
・社協発展・強化計画の策定などの将来ビジョンの検討と進行管理
・災害時のBCP計画の策定
・広報活動・広報戦略 など
<解説>
(法人経営部門の確立)
〇 今後、市区町村社協の事業内容は、部門横断的な事業も増え、事業規模が拡大する一方、人材確保が困難度を増し、
介護報酬単価の切り下げ等が行われる中にあっては、法人としての経営管理が重要となってくる。従来の庶務・経理といっ
た意味での総務部門ではなく、事業全体の管理や総合的かつ計画的な事業執行を行うための組織管理(マネジメント)部門
として「法人経営部門」を確立する必要がある。
○ これらの業務にあたっては、それぞれの専門知識などが必要になるため、必要な人材を確保したり、顧問弁護士の委嘱や
外部監査、専門職によるコンサルテーションの実施など組織経営に必要な専門家とのネットワークを図ることが重要である。
こうしたネットワークが単独の社協で構築できない場合は、近隣社協との共同体制や都道府県社協の支援などにより体制を
整備することが必要である。また、情報公開による透明性の確保や積極的な情報発信等に努める必要があり、その際は個
人情報の取扱いに十分に留意する。
(社協事業全体のマネジメントと社協発展・強化計画の策定)
○ 法人経営部門においては、特に、各部門相互の事業展開の総合的な調整や、「社協発展・強化計画」の策定等の法人と
しての将来ビジョンを検討するなど、組織全体の計画的な企画・調整の役割を果たすことが重要である。
○「社協発展・強化計画」とは、「地域福祉を推進する中核的な団体として事業運営(経営)のビジョンや目標を明確にし、その
実現にむけた組織、事業、財務に関する具体的な取り組み」を明らかにしたものである。
○ 社会福祉諸制度、地域生活課題の現状、福祉サービスの整備状況、住民参加の取り組みの状況などの外部環境や社協
の組織の体制、事業の内容、職員等の事業推進体制、財務状況などの内部環境を十分把握・検討したうえで「社協発展・
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策定することが必要である。
2 地域福祉活動推進部門
○ 地域福祉活動推進部門は、住民参加や協働による福祉活動の支援、福祉のまちづくりや福祉コミュニテ
ィづくりなどを展開し、地域福祉推進の中核的な役割を果たす。
○ 地域福祉活動推進部門においては、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・福祉課題の把握、地域福祉計画策定への参画、地域福祉活動計画の策定、提言・改善運動
・住民、当事者、社会福祉事業関係者の連絡調整
・地区社会福祉協議会活動の推進・支援
・ボランティア活動や市民活動の推進・支援
・小地域ネットワーク活動、ふれあい・いきいきサロン等の推進・支援
・住民参加型在宅福祉サービスの推進・支援
・その他種々の住民の福祉活動の推進・支援
・福祉教育・啓発活動
・地域福祉財源の造成、助成事業
・当事者組織・団体、社会福祉関係諸団体の支援
・共同募金・歳末たすけあい運動への協力 など
<解説>
〇 地域福祉活動推進部門は、地域住民や地域のあらゆる団体・組織と協働して地域の福祉課題を把握し、その解決にむけ
た地域福祉の取り組みを計画的、総合的に推進する部門である。その事業は多様であり、それらを総合的に展開するため
に、「福祉のまちづくりセンター」や「ボランティア・市民活動センター」を設置するとともに、福祉活動専門員やボランティアコ
ーディネーターなどの専門性をもった職員を確保する。
〇 ボランティアセンターについてはその設置を行っている社協が多いが、NPOなどの活動の活性化を踏まえ、「ボランティア・
市民活動センター」という名称ですすめることが適切である。
〇 「福祉のまちづくりセンター」は、地区社協や小地域ネットワーク活動など、従来、社協の基礎的な活動と位置づけすすめて
強化計画」を策定し、進行管理を行うことが必要である。
○ 加えて、災害発生時の各種事業の実施の判断や、サービス量の増減、サービスに従事する職員の配置等について BCP計
画の策定をすることも重要である。
○ また、地域の福祉関係諸団体の事務局機能については、市区町村社協として一定の役割を果たすことが必要であるが、
当該団体と業務内容や責任体制を明確にするために、契約書や覚書などを取り交わし、これに基づいて運営するものとす
る。特に経理処理に関する事務体制については慎重かつ適切に行うことが必要である。
2.地域福祉活動推進部門
○ 地域福祉活動推進部門は、住民参加や協働による福祉活動の支援、まちづくりや福祉コミュニティづくり
などを展開し、地域福祉推進の中核的な役割を果たす。
○ 地域福祉活動推進部門においては、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・他部門との連携に基づく福祉課題の把握、地域福祉計画策定への参画、地域福祉活動計画の
策定
・提言・改善運動
・住民、当事者、社会福祉事業関係者の連絡調整、事務局支援
・地域福祉推進基礎組織(地区社会福祉協議会、学区社会福祉協議会、校区福祉委員会、自治
会福祉部等さまざまな名称がある)における地区社会福祉協議会(以下、総称して「地区社協等」
という)活動の推進・支援
・ボランティア活動や市民活動の推進・支援
・災害に備える活動及び災害時の対応、災害ボランティアセンターの運営
・小地域ネットワーク活動、ふれあい・いきいきサロン等の推進・支援
・生活支援体制整備事業の受託
・その他種々の住民の福祉活動の推進・支援
・福祉教育・啓発活動
・地域福祉財源の造成、助成事業
・当事者組織・団体、社会福祉関係諸団体の支援
・共同募金・歳末たすけあい運動への協力(法人経営部門との連携)と、配分金を活用した活動の
推進 など
<解説>
〇 地域福祉活動推進部門は、地域住民や地域のあらゆる団体・組織と協働して地域の福祉課題を把握し、その解決にむけ
た地域福祉の取り組みを計画的、総合的に推進する部門である。その事業は多様であり、それらを総合的に展開するため
に、「福祉のまちづくりセンター」や「ボランティア・市民活動センター」を設置するとともに、福祉活動専門員やボランティアコ
ーディネーターなどの専門性をもった職員を確保する。
〇 また、近年は、福祉サービスだけでは解決できない複合的な生活課題を抱えるケースが増え、支援のニーズが広がってお
り、地域包括ケアや生活困窮者対策等、住民とともにすすめる地域づくりが期待されている。専門職や専門機関等と、住民
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現行 変更(案)
きた住民の福祉活動全般を推進するセンターであり、その機能を住民に分かりやすくした名称である。
〇 ボランティア・市民活動センターについては、運営委員会を設けている例が多いが、地域福祉活動全体について、住民組
織や民生委員・児童委員、社会福祉施設、福祉活動・福祉サービスを実施する市民活動団体や民間事業者、共同募金
関係者、その他地域のあらゆる団体・組織によって地域福祉推進会議(仮称)等を組織することも考えられる。また、ボラン
ティア・市民活動センターについては、センター長を外部から招聘することも、地域福祉を協働で展開する体制を整備する
一環として考慮する。
○ なお、地域の福祉関係諸団体の事務局機能については、市区町村社協として一定の役割を果たすことが必要であるが、
当該団体と業務内容や責任体制を明確にするために、契約書や覚書などを取り交わし、これに基づいて運営するものとす
る。特に経理処理に関する事務体制については慎重かつ適切に行うことが必要である。
3 福祉サービス利用支援部門
○ 福祉サービス利用支援部門は、福祉サービス利用者等のサービス利用の援助や地域での生活支援
に向けた相談・支援活動、情報提供・連絡調整を行う部門である。
○ 福祉サービス利用支援部門は、以下の事業を実施する。
<具体的な事業>
・地域総合相談・生活支援事業
・地域福祉権利擁護事業
・生活福祉資金貸付事業
・在宅介護支援センター事業
・障害者生活支援センター事業
・社会福祉事業者等の研修・教育事業 など
<解説>
がともに共生の地域づくりに取り組む横断的・総合的な取り組みが必要である。
〇 コミュニティソーシャルワーカー・地域福祉コーディネーターの配置や地域支援事業における生活支援体制整備事業によっ
て生活支援コーディネーターが配置され、その役割を担うことも増えてきている。
〇 地域によっては社協内でエリア担当制等を敷いているところもあり、エリアにアウトリーチをしてニーズを把握し、潜在化してい
る地域の生活課題を掘り起こすことが、より求められている。
〇 また、より身近な圏域において住民が主体的に地域生活課題を把握して解決を試みる包括的な支援体制づくりにむけて
は、特に小地域における地域福祉活動計画の策定が重要である。地域福祉活動計画の策定にあたっては、その策定段階
から評価段階まで地域住民が参加することで、地域住民が自らの地域のことを考え、住民相互の絆を深めることにつなが
る。社協職員は、協議の場の設定を行い、地域住民が自らの地域の生活課題を発見できるよう支援するとともに、住民自身
による気づきの促しを行いながら、住民の主体性をはぐくむことが重要である。見守り・支えあい活動などはその典型的な例
である。
〇 ボランティアセンターについてはその設置を行っている社協が多いが、NPOなどの活動の活性化を踏まえ、「ボランティア・
市民活動センター」という名称ですすめることが適切である。
〇 ボランティア・市民活動センターについては、運営委員会を設けている例が多いが、地域福祉活動全体について、住民組
織や民生委員・児童委員、社会福祉法人・福祉施設、福祉活動・福祉サービスを実施する市民活動団体や民間事業者、
共同募金関係者、その他地域のあらゆる団体・組織によって地域福祉推進会議(仮称)等を組織することも考えられる。
〇 災害時は、職員とその家族等の安否確認、安全確認を速やかに行い、その後、要援助者や社協が実施するサービスの利
用者に対して、安否確認を行う。地域の要援助者の安否確認は民生委員・児童委員との連携が不可欠である。社協として
は、要援助者の避難支援に限定せず、日頃の地域福祉実践のなかに防災・減災活動を位置づけていくことが必要である。
3.総合相談支援部門
○ 総合相談支援部門は、地域住民のあらゆる生活課題を受け止め、必要な支援につなぐとともに、「断
らない」という総合相談支援を念頭に、福祉サービス利用者だけに留まらず、サービス利用の援助や地
域での生活支援に向けた相談・支援活動、情報提供・連絡調整を行う部門である。
○ 総合相談支援部門は、以下の事業等を地域の状況に応じて実施する。
<具体的な事業>
・総合相談事業
・生活困窮者自立支援事業
・日常生活自立支援事業
・成年後見制度に関する事業(成年後見センター・権利擁護センターの運営など)
・生活福祉資金貸付事業
・地域包括支援センター事業
・障害者基幹相談支援センター事業
・社会福祉事業者等の研修・教育事業 など
<解説>
〇 総合相談支援部門は、地域住民の生活課題を受け止め、必要な支援につなぐ。その際は、組織内調整にとどまらず、組
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現行 変更(案)
〇 福祉サービス利用支援部門は、福祉サービス利用者や地域住民の立場に立ち、福祉サービスの利用や地域生活の支援
に向けた相談・支援活動、地域全体の介護サービスや福祉サービスの水準の向上に向けた福祉サービス提供機関をはじ
めとする多様な社会資源の情報提供・連絡調整を行う。
○ 市区町村社協の新しい役割として地域福祉権利擁護事業や在宅介護支援センターなど福祉サービス利用者を支援し、ま
た地域全体の介護サービスや福祉サービスの水準を向上させる事業を実施することが期待されている。これらの事業はき
わめて公共性が高く、中立公正な事業体制を確立する必要がある。さらに、様々な住民の生活課題を受け止めるとともに、
福祉サービスの情報提供や苦情相談などにも対応できるよう総合相談事業や生活福祉資金貸付事業を含め、地域住民の
福祉サービス利用の援助や地域生活を支援する「福祉サービス利用支援部門」を確立することが必要である。
○ 具体的には、在宅福祉サービス部門とは明確に事業実施体制を分離し、さらに第三者性のある運営委員会や監視委員会
などを設置することが必要である。
○ また、事業の推進にあたっては、弁護士や専門相談員(消費生活相談員等)など各種の専門職との連携が重要である。さ
らに、医療系専門職である保健師や看護師、あるいは相談援助技術をもつ社会福祉士等を確保することが必要である。
○ 地域型在宅介護支援センターは、居宅介護支援事業とあいまって事業実施することが一般的であるが、公共的な役割を
踏まえ、「在宅福祉サービス部門」ではなく、「福祉サービス利用支援部門」として実施することが望まれる。
4 在宅福祉サービス部門
○ 在宅福祉サービス部門は、介護サービスなどの多様な在宅福祉サービスを提供する部門である。
○ 在宅福祉サービス部門は、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・ホームヘルプサービス事業
・デイサービス事業
・居宅介護支援事業
・食事サービス事業
・外出支援事業 など
<解説>
〇 在宅福祉サービスは、今後、市町村の受託事業ではなく介護保険制度や支援費制度の中で実施主体として経営責任をも
って事業を行う必要がある。そのため採算状況やサービス提供状況について明確にし、状況に応じた経営判断や事業主体
としての利用者の保護などを適切に行うことが求められる。こうしたことを踏まえ、介護サービスをはじめとする在宅福祉サー
織外との調整も行う。
〇 福祉サービス利用者や地域住民の立場に立ち、福祉サービスの利用や地域生活の支援に向けた総合相談・支援活動、
地域全体の介護サービスや福祉サービスの水準の向上に向けた福祉サービス提供機関をはじめとする多様な社会資源の
情報提供・連絡調整を行う。
○ 市区町村社協では、日常生活自立支援事業や地域包括支援センターなど福祉サービス利用者を支援し、また地域全体
の介護サービスや福祉サービスの水準を向上させる事業を実施してきた。これらの事業はきわめて公共性が高く、中立公正
な事業体制を確立する必要がある。さらに、さまざまな住民の生活課題を受け止めるとともに、福祉サービスの情報提供や
苦情相談などにも対応できるよう総合相談事業や生活困窮者自立支援事業、生活福祉資金貸付事業等を含め、地域住
民の福祉サービス利用の援助や地域生活を支援する「総合相談支援部門」を確立することが必要である。
○ 具体的には、直接的な生活支援を行う生活支援部門と、事業の実施体制整を明確に分離して実施するが、密接な連携
体制をとることが必要である。さらに第三者性のある運営委員会や監視委員会などを設置することが必要である。
○ また、事業の推進にあたっては、弁護士や専門相談員(消費生活相談員等)など各種の専門職との連携が重要である。さ
らに、医療系専門職である保健師や看護師、あるいは相談援助技術をもつ社会福祉士等を確保することが必要である。
○ 地域型在宅介護支援センターは、居宅介護支援事業とあいまって事業実施することが一般的であるが、公共的な役割を
踏まえ、「生活支援部門」ではなく、「総合相談支援部門」として実施することが望まれる。
4.生活支援部門
○ 生活支援部門は、介護サービスや障害者支援などの多様な生活支援サービスを提供する部門であ
る。
○ 生活支援部門は、以下の事業を実施する。
[具体的な事業]
・介護保険法に基づく事業
・障害者総合支援法に基づく事業
・住民参加型在宅福祉サービス事業
・児童福祉法に基づく事業
・食事サービス事業
・外出支援事業
・通院・買い物支援事業
・一時宿泊支援(シェルター)事業
・物品支援事業 など
<解説>
〇 生活支援サービスの実施においては、その拡充に向けて自主財源の確保等について検討し、共同募金等の民間財源の積
極的な活用を図る。
〇 在宅福祉サービスは、介護保険制度や障害者総合支援法、児童福祉法の中で実施主体として経営責任をもって事業を
行う必要がある。そのため採算状況やサービス提供状況について明確にし、状況に応じた経営判断や事業主体としての利
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現行 変更(案)
ビス事業の実施にあたっては「在宅福祉サービス部門」として確立することが必要である。
○ 在宅福祉サービスの実施にあたっては、利用者の立場に立った高品質なサービス、低所得者や困難ケースなどへの対応
に積極的に取り組む。また、サービス提供を通じて地域の福祉課題を把握し、新たなサービス開発につなぐなど、地域の福
祉サービス水準の向上につながる社協らしい事業運営を行う。
○ 運営基準などの各種法令を遵守し、適切に事業を運営するとともに、一定の採算性をもった効率的な運営が求められるこ
とから、リアルタイムで事業経営状況を把握し、必要な判断を適切に行うために、担当役員制の導入や経営会議の設置を
行う。
○ 事業者情報の開示、苦情解決における第三者委員の設置など利用者保護への対応、第三者評価の受件などを積極的に
行い、地域住民から信頼される公共性の高い経営を行う。
○ 請求事務等の事務処理業務については、事業規模に応じて「在宅福祉サービス部門」の中に事務部門を確立したり、その
一部の外部委託(アウトソーシング)や近隣の社協との共同実施など、効率化を試みることが必要である
第3章 市区町村社会福祉協議会の組織及び組織運営
Ⅰ 位置づけ・構成
1.市区町村社会福祉協議会の位置づけ
<社会福祉協議会の基礎単位としての市区町村社会福祉協議会>
○市区町村社会福祉協議会は、市区町村を単位に設置され、社会福祉協議会の基礎的な単位である。なお、
市区町村社会福祉協議会には、複数の市区町村を区域とする広域圏の市区町村社会福祉協議会(以下「広域
圏社会福祉協議会という」)も含まれる。
<住民参加の基礎単位としての地区社会福祉協議会>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉の推進への住民参加の基礎単位として「地区社会福祉協議会(地
区社協)」を設置し、その活動を支援する。
<解説>
(社会福祉協議会組織の基礎単位としての市区町村社会福祉協議会)
○ 社会福祉法では、社協の設置要件を、都道府県、市町村、指定都市の区を区域とし、その区域における社会福祉事業及び
更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものと規定している。市区町村社協は、その中にあって、指定都市を除く
市、町村、指定都市の区及び特別区を単位に設置されたものを指し、社会福祉協議会の基礎単位となる。
○ 市区町村社協が、社協の基礎的な組織であるという意味は、市区町村が、住民の福祉ニーズを汲み取り、それを解決してい
く能力・資源をあわせもつことができる地域福祉圏として概ね考えられるからである。
用者の保護などを適切に行うことが求められる。こうしたことを踏まえ、介護サービスをはじめとする在宅福祉サービス事業の
実施にあたっては「生活支援部門」として確立することが必要である。
○ 在宅福祉サービスの実施にあたっては、利用者の立場に立った高品質なサービスを提供し、低所得者や困難ケースなど
への対応に積極的に取り組む。
○ また、地域福祉活動推進部門や総合相談支援部門と連携・連動しながら、サービス提供を通じて地域生活課題を把握す
る。専門性を活かし新たな社会資源やサービス開発、インフォーマルな生活支援活動と連動して、専門職や住民と協働した
地域づくりにつなぐなど、包括的な支援体制をめざし地域の福祉サービス水準の向上につながる社協らしい事業運営を行
う。
〇 さらに、地域福祉推進の協働のパートナーである社会福祉法人・福祉施設と連携・協働し新たな生活支援サービス等を開
発し、実施していくことが重要である。
○ 運営基準などの各種法令を遵守し、適切に事業を運営するとともに、一定の採算性をもった効率的な運営が求められるこ
とから、リアルタイムで事業経営状況を把握する。必要な判断を適切に行うために、法人経営部門と連携・連動しながら担
当役員制の導入や経営会議の設置を行う。
○ 事業者情報の開示、苦情解決における第三者委員の設置など利用者保護への対応、第三者評価の受件などを積極的に
行い、地域住民から信頼される公共性の高い経営を行う。
○ 請求事務等の事務処理業務については、事業規模に応じて「生活支援部門」の中に事務部門を確立したり、その一部の
外部委託(アウトソーシング)や近隣の社協との共同実施など、効率化を試みることも必要である。
第3章 市区町村社会福祉協議会の組織及び組織運営
Ⅰ 位置づけ・構成
1.市区町村社会福祉協議会の位置づけ
<社会福祉協議会の基礎単位としての市区町村社会福祉協議会等>
○ 市区町村社会福祉協議会は、市区町村を単位に設置され、社会福祉協議会の基礎的な単位である。な
お、市区町村社会福祉協議会には、複数の市区町村を区域とする広域圏の市区町村社会福祉協議会(以
下「広域圏社会福祉協議会という」)も含まれる。
<地域福祉を推進する基盤となる組織としての地区社会福祉協議会等>
○ 市区町村社会福祉協議会は、住民に身近な圏域において、住民が主体的に地域生活課題を把握し、解決を
試みることができる組織的基盤として「地区社協等」を設置し、その活動を支援する。
<解説>
(社会福祉協議会組織の基礎単位としての市区町村社会福祉協議会等)
○ 社会福祉法では、社会福祉協議会の設置要件を、都道府県、市町村、指定都市の区を区域とし、その区域における社会福
祉事業及び更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものと規定している。市区町村社協は、その中にあって、指定
都市を除く市、町村、指定都市の区及び特別区を単位に設置されたものを指し、社会福祉協議会の基礎単位となる。
○ 基礎的自治体の圏域である市区町村社協が、社協の基礎的な組織であるという意味は、市区町村が、住民の福祉ニーズを
くみ取り、それを解決していく能力・資源をあわせもつことができる圏域として概ね考えられるからである。
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現行 変更(案)
○ 市区町村社協に期待される役割、事業を推進し、民間団体としての自律性をもつために、その組織は、社会福祉法人である
ことを原則とする。
(複数の市区町村を圏域とした広域圏社会福祉協議会)
○ 社会福祉法では、市区町村社協が、同一都道府県・指定都市内において複数の市区町村を区域とすることを認めており、こ
れを「広域圏社会福祉協議会」と位置づけた。これは、地域福祉を推進するうえで必要な一定の社会資源が単一の市区町
村では確保できない、あるいは複数の市区町村を圏域とした方が効果的な事業展開が期待される地域では、複数の市区町
村圏域をひとつの地域福祉圏としてとらえ、そこに社協を設置するという考え方によるものである。
○ 法制度上では、同一都道府県・指定都市内であれば、地域特性に応じて複数の市区町村を圏域とする活動や事業を展開
するために、市区町村を単位とした市区町村社協の他に、複数の市町村を区域とする広域圏社協を設置することや、それぞ
れの市区町村社協の意思決定により社会福祉法人格を合併することも可能となっている。
○ いずれにせよ広域圏社協は、市区町村社協の一形態であり、市区町村社協と同様の組織構成や組織運営を確保することが
求められる。
(福祉区等の日常生活圏域を単位にした住民組織としての「地区社協」)
○ これまで市区町村社協では、地域福祉推進への住民参加の基礎単位として小学校区などを区域にした「地区社会福祉協議
会(地区社協)」(学区社協、小地域社協、校区福祉委員会等様々な名称があるが、以下これらを総称して「地区社協」とい
う)を市区町村社協の主要な構成員組織に位置づけ、その活動を支援してきた。
○ 「地区社協」における日常生活圏域の地域住民の主体的な福祉活動の支援や条件整備は、コミュニティワークに代表される
社協活動の主要な実践のひとつであり、福祉コミュニティづくりに大きな役割を果たすことから、今後とも取り組みを強化してい
く必要がある。さらに、地域福祉計画や地域福祉活動計画の策定にあたっては、「地区社協」の圏域を住民参加による地域
福祉を推進するうえでの基礎圏域(「福祉区」)として明確に位置づけることも重要である。
○ 一方、福祉コミュニティとは、多様な地域住民が福祉活動に参加し、地域の福祉課題を共有化し、互いに協働して解決にあ
たる中で形成されるものであり、「地区社協」が単なる地域の諸団体を網羅するだけの形式的な組織になったり、いわゆる上
意下達の受け皿にならないように十分認識する必要がある。
○ 近年の「地区社協」は、地域福祉推進の大きな担い手となる中で行政から直接事業委託を受けたり、車両等の財産を有した
りするなど、地域の社会資源として大きな役割や力量を持つ例も見受けられる。しかし、「地区社協」は、社会福祉法上に規
定はなく、市区町村社協を構成する住民組織としての位置づけであることに留意しておく必要がある。
(地域福祉圏等を単位にした社協活動・事業を担う「地区社協」)
○ 大都市部あるいは市町村合併を行った市区町村社協では、市区町村内の行政圏域や旧市町村を区域に地区社協(日常生
活圏域に地区社協がある場合にはその上位の地区社協)を設置している場合がある。
○ こうした圏域では、行政の出張所や福祉サービス等の社会資源についても一定程度整備されている場合が多く、地域福祉を
推進するうえでの一定の基盤がある「地域福祉圏域」としてみることができ、ボランティアセンターや総合相談窓口、あるいは
○ 市区町村社協に期待される役割、事業を推進し、民間団体としての自律性をもつために、その組織は、社会福祉法人である
ことを原則とする。
(複数の市区町村を圏域とした広域圏社会福祉協議会)
○ 社会福祉法では、市区町村社協が、同一都道府県・指定都市内において複数の市区町村を区域とすることを認めており、こ
れを「広域圏社会福祉協議会」と位置づけた。これは、地域福祉を推進するうえで必要な一定の社会資源が単一の市区町
村では確保できない、あるいは複数の市区町村を圏域とした方が効果的な事業展開が期待される地域では、複数の市区町
村圏域をひとつの地域福祉圏としてとらえ、そこに社協を設置するという考え方によるものである。
○ 法制度上では、同一都道府県・指定都市内であれば、地域特性に応じて複数の市区町村を圏域とする活動や事業を展開す
るために、市区町村を単位とした市区町村社協の他に、複数の市町村を区域とする広域圏社協を設置することや、それぞれ
の市区町村社協の意思決定により必要に応じて社会福祉法人格を合併することも可能となっている。
○ いずれにせよ広域圏社協は、市区町村社協の一形態であり、市区町村社協と同様の組織構成や組織運営を確保することが
求められる。
(住民に身近な圏域を単位にした住民組織としての「地区社協」)
○ これまで市区町村社協では、住民の主体的な福祉活動の組織化・支援をすすめるための基礎単位としてとして小学校区など
を区域にした地区社協等を市区町村社協の主要な構成員組織に位置づけ、その活動を支援してきた。
○ 総合相談・生活支援体制構築の目的は、個別の生活課題を解決するとともに、地域において住民の支え合いや専門職と住
民の福祉活動のネットワークを広げ、できるだけ身近な地域の中でさまざまな生活課題を解決できる仕組みをつくっていくこと
にある。地域共生社会の実現に向けても、より身近な圏域において住民が主体的に地域生活課題を把握して解決を試みる
体制づくりが求められており、このことは、社協が従来から取り組んできた住民主体の地域づくりそのものであり、地区社協等は
その活動の基盤となる。
○ 地区社協等における地域住民の主体的な福祉活動の支援や条件整備は、コミュニティワークに代表される社協活動の主要
な実践のひとつであり、福祉コミュニティづくりに大きな役割を果たすことから、今後とも取り組みを強化していく必要がある。さら
に、地域福祉計画や地域福祉活動計画の策定にあたっては、「地区社協等」の圏域を住民参加による地域福祉を推進する
うえでの基礎圏域として明確に位置づけることも重要である。
○ 一方、福祉コミュニティとは、多様な地域住民が福祉活動に参加し、地域の福祉課題を共有化し、互いに協働して解決にあ
たる中で形成されるものであり、「地区社協等」が単なる地域の諸団体を網羅するだけの形式的な組織になったり、いわゆる上
意下達の受け皿にならないように十分認識する必要がある。
○ 近年の「地区社協等」は、地域福祉推進の大きな担い手となる中で行政から直接事業委託を受けたり、車両等の財産を有し
たりするなど、地域の社会資源として大きな役割や力量を持つ例も見受けられる。しかし、「地区社協」は、社会福祉法上に規
定はなく、市区町村社協を構成する住民組織としての位置づけであることに留意しておく必要がある。また、住民自治を推進
する地域内分権組織として「地区住民自治協議会」等が設置されている市区町村では、「地区社協」との協働が必要となる。
(大都市部あるいは市町村合併を行った市区町村社協における「地区社協等」)
○ 大都市部あるいは市町村合併を行った市区町村社協では、市区町村内の行政圏域や旧市町村を区域に地区社協(日常生
活圏域に地区社協や支部社協(住民に身近な圏域に地区社協等がある場合にはその上位の地区社協)を設置している場合
がある。
○ こうした圏域では、行政の出張所や福祉サービス等の社会資源についても一定程度整備されている場合が多く、地域福祉を
推進するうえでの一定の基盤がある圏域としてみることができ、ボランティアセンターや総合相談窓口、あるいは在宅福祉サー
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現行 変更(案)
在宅福祉サービス等の社協事業の拠点を設置し、事業を展開している例がある。
○ 〇 なお、合併にあたって、本会では、実情に応じて旧市町村社協を「支部社協」のかたちで残すことを提案している。ただ、
「支部社協」は、旧市町村社協をそのまま残すのではなく、福祉に関わる住民組織(住民・当事者を中心としてボランティア関
係者、福祉関係者等が当該地域の地域福祉推進のために集まる組織)としての面を明確に残した組織として位置づける。支
部社協も地区社協であるが、合併時の対応であることを明確にするためにこの用語を使用している。
(図表1)福祉区・地域福祉圏域と社協活動
2.構成員・会員
<市区町村社会福祉協議会の構成員の基本的な考え方>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉の推進に参加・協働する地域のあらゆる団体・組織を構成員とし、地
域社会の総意を結集することが重要である。構成員は、住民組織、社会福祉に関する活動を行う団体、公私
の社会福祉事業者および社会福祉関係団体等、地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体を基本に、地
域の実情に応じて考える。
<会員制度の整備>
○ 市区町村社会福祉協議会は、それぞれの地域の実情に応じて会員規程などによって会員を規定し、会員制
度を整備する。
・住民会員制度
・構成員組織(団体)会員制度
・賛助会員制度(特別会員)
ビス等の社協事業の拠点を設置し、事業を展開している例がある。
○ なお、合併にあたって、本会では、実情に応じて旧市町村社協を「支部社協」のかたちで残すことを提案している。ただ、「支部
社協」は、旧市町村社協をそのまま残すのではなく、地域自治の観点から福祉に関わる住民組織(住民・当事者を中心として
ボランティア関係者、福祉関係者等が当該地域の地域福祉推進のために集まる組織)としての面を明確に残した組織として
位置づける。支部社協も地区社協であるが、合併時の対応であることを明確にするためにこの用語を使用している。
2.構成員・会員
<市区町村社会福祉協議会の構成員の基本的な考え方>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉の推進に参加・協働する地域のあらゆる団体・組織を構成員とし、
地域社会の総意を結集することが重要である。構成員は、住民組織、公私の社会福祉事業者及び社会福祉
関係団体、社会福祉に関する活動を行う団体等、地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体を基本に、
地域の実情に応じて考える。
<会員制度の整備>
○ 市区町村社会福祉協議会は、それぞれの地域の実情に応じて会員規程などによって会員を規定し、会員制
度を整備する。
・住民会員制度
・構成員組織(団体)会員制度
・賛助会員制度(特別会員)
福 祉 区=日常的な生活圏域(小学校区・中学校区・町内会など)を単位にし、公民館など住民の主体的な福祉活動や住民参加の取り組み
をすすめるうえでの基礎となる社会資源がある区域
地域福祉圏=一定の公的福祉サービス、住民の福祉活動への支援や福祉サービス利用者支援のため、ボランティアセンターや相談窓口などの
公的な社会資源が整備され、地域福祉の推進体制が整っている圏域。固定的なものではなく、地域性や福祉サービスの種類や支
援体制の内容によって異なる。
=支部社協
B市=B市社協(地域性により複数の地域福祉圏をもつ)
地域福祉圏域
=社協支所
地域福祉圏域=社協支所
福祉区
福祉区 福祉区
福祉区
福祉区
福祉区
福祉区 福祉区
福祉区
地域福祉圏域=社協支所
福祉区 福祉区 福祉区 福祉区 福祉区 福祉区
C村=C村社協 D村=D
村社協
E町=E町社協
広域圏社協(共同事業)(3町村で地域福祉圏を構成し、広域圏社協を構成)
大都市部・
市町村合併
小規模な市町村
A市=A市社協
市でひとつの地域福祉圏
福祉区
福祉区 福祉区
地区(学区)社協
※ 同一の市町村内に複数の地域福祉圏域があると考えられる場合。
※ 単一の市町村では、地域福祉圏域が成立しないと考えられる場合
福祉区
出典:厚生労働省「これからの地域福祉のあ
り方に関する研究会報告書」 より一部加筆
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現行 変更(案)
<解説>
(構成員の基本的な考え方)
○ 市区町村社協の構成員は、地域福祉推進を図る中核的な団体として地域社会の総意を結集するものとなるよう、地域の実
情に応じて検討し、また事業や活動を通じて地域のあらゆる関係者に働きかけ、その具体化を図るものであるが、社会福祉法
の主旨等を踏まえ、その考え方の整理を行った。
○ 特に、近年の福祉サービスの供給主体の多様化やNPO法人などの市民活動団体の活躍などを背景に、社会福祉法におい
て区域内の社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者の社協参加が明記されたことか
ら、多様な介護・福祉サービスを提供する民間企業やNPO法人などを構成員として明確に位置づける必要がある。
○ さらに、今後の地域福祉の領域は、従来の福祉施策の分野にとどまらず、制度のすきまにある社会的援護を要する人々への
支援やきめ細かな生活上のニーズに応えるものとして位置づけられたことから、保健・医療、教育、労働等の分野にとどまら
ず、環境や住宅、まちづくりなどの生活関連領域や法曹関係者、金融関係者などとのつながりも求められる。
○ 具体的には、以下のような団体や組織等が考えられる。
① 住民組織
ア.住民会員、地区社会福祉協議会、住民自治組織等
イ.当事者等の組織
② 社会福祉に関する活動を行う団体※1
ア.ボランティア団体
イ.NPO法人など市民活動団体※2
ウ.その他の社会福祉に関する活動を行う団体※3
③ 公私の社会福祉事業者および社会福祉関係団体等
ア.民生委員・児童委員またはその組織
イ.社会福祉施設・社会福祉団体
ウ.更生保護事業施設・更生保護事業団体
エ.福祉(介護・保育)サービス事業者※4
オ.社会福祉行政機関
カ.保健・医療、教育等の関係機関・団体※5
④ 地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体※5
ア.まちづくり、住宅、環境、労働、経済などの生活関連領域の関係団体
イ.その他法曹、金融関係など地域福祉推進に必要な団体など
<下線部は、現行の新・基本要項との比較で加えたもの>
※1 従来ボランティア団体など地域で福祉活動を行う団体は住民組織として位置づけてきたが、社
会福祉法での表記を踏まえ「社会福祉に関する活動を行う団体(あるいは住民組織)」をひとつの
領域として独立させる。
※2 新たに加える。
※3 農協、生協は基本的にはこれに該当する。
※4 民間企業の介護サービス事業者等を含む。
※5 従来関連領域として位置づけた保健・医療、教育の分野は、社会福祉関係者に位置づけた。そ
の上で、まちづくり、住宅などの生活関連領域の関係団体などについては、地域福祉推進に必要
な団体として整理した。また地域福祉権利擁護事業やリバースモーゲージなどの地域住民の経
済生活などの支援に備え、法曹関係者や金融関係者を関係団体の中に位置づけた。
<解説>
(構成員の基本的な考え方)
○ 市区町村社協の構成員は、地域福祉推進を図る中核的な団体として地域社会の総意を結集するものとなるよう、地域の実
情に応じて検討し、また事業や活動を通じて地域のあらゆる関係者に働きかけ、その具体化を図るものである。
○ さらに、経済的な困窮に限らず、複雑・多様な課題を抱える生活困窮世帯への対応などいわば制度の狭間にある課題に取り
組むことが重要であり、その解決には従来の福祉、医療・保健、教育、労働等の分野にとどまらず、まちおこし、商工、農林水
産、土木、防犯・防災、環境、交通、都市計画などの生活関連領域や司法関係者、金融関係者等と連携・協働し、地域にお
ける課題の共有を行うとともに、お互いの強みを活かしながら具体的な解決策等を検討していく必要がある。市区町村社協
は、中間支援組織としての広範・多岐にわたるネットワークを活かし、協働の中核としての役割を果たすことが重要である。
○ ここでいう中間支援組織とは、行政と地域の間にたってさまざまな活動を支援する組織のことを意味する。
○ 構成員は、具体的には、下のような団体や組織等が考えられる。
① 住民組織
ア.住民会員、地区社会福祉協議会、住民自治組織等
イ.当事者等の組織
② 公私の社会福祉事業者及び社会福祉関係団体等
ア.民生委員・児童委員またはその組織
イ.社会福祉法人・福祉施設、社会福祉団体
ウ.更生保護事業施設・更生保護事業団体
エ.福祉(介護・保育)サービス事業者
オ.社会福祉行政機関
カ.保健・医療、教育等の関係機関・団体
③ 社会福祉に関する活動を行う団体
ア.ボランティア団体
イ.NPO法人など市民活動団体
ウ.その他の社会福祉に関する活動を行う団体※
④ 地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体
ア.まちづくり、住宅、環境、労働、経済などの生活関連領域の関係団体
イ.その他法曹、金融関係など地域福祉推進に必要な団体など
※ 農協、生協は基本的にはこれに該当する。
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現行 変更(案)
<参考:現「新・基本要項」>
① 住民組織
ア.地区社会福祉協議会、住民自治組織又は住民会員
イ.当事者等の組織
ウ.ボランティア団体
② 公私の社会福祉事業関係者および関連分野の関係者
ア.民生委員・児童委員またはその組織
イ.社会福祉施設・社会福祉団体
ウ.更生保護事業施設・更生保護事業団体
エ.社会福祉行政機関
オ.保健・医療、教育、労働その他関連分野の機関・団体
③ その他地域福祉推進に必要な団体
(住民組織)
○ 住民組織は、地区社協、自治会・町内会、当事者組織などが考えられ、社協が住民参加によって事業をすすめるうえで重要
な基盤となり、不可欠な構成員となる。また地域の福祉サービスの利用者でもある当事者あるいは家族、その代弁者の組織
加入も重要である。
(社会福祉施設・福祉サービス事業者)※比較のため、現行のものと順序を入れ替えています。
○ 社会福祉法において社会福祉の基本理念のひとつとして地域福祉の推進が位置づけられたことから、社会福祉施設は、地
域の社会資源として地域福祉の推進に大きな役割を果たすことが一層求められる。なお、社会福祉法では、社協の設置要
件として「社会福祉事業及び更生保護事業を経営する者の過半数の参加」が求められているが、この「参加」は「経営する者
=法人」の参加ととらえるのではなく、個々の社会福祉施設が地域福祉の推進や福祉のまちづくりに役割を果たす観点から市
区町村社協との協働の取り組みなどに参加するという意味であると考えられる。
○ 介護・保育サービスを経営する民間企業等についても、社会福祉法において「社会福祉を目的とする事業を経営する者」の
参加が明文化されたことから福祉サービス事業者として社協への参加を促進していくことが必要である。このような新たに社協
に参加する民間企業などの多様な福祉サービス事業者に対しては、市区町村社協が単なる競合する「介護事業者」や、いわ
ゆる地域の「事業者団体」ではなく、地域福祉の推進を図る団体としての社協組織の役割を十分理解してもらうことが重要で
ある。
(社会福祉に関する活動を行う団体)
○ ボランティア団体や市民活動団体も広い意味では住民組織と言えるが、一方でこれらの団体が多様な福祉サービスの担い
手として地域で活躍しており、また社会福祉法において「社会福祉に関する活動を行う者」の社協への参加が明文化されたこ
(住民組織等)
○ 住民組織は、地区社協、自治会・町内会、当事者組織などが考えられ、社協が住民参加によって事業をすすめるうえで重要
な基盤となり、不可欠な構成員となる。また地域の福祉サービスの利用者でもある当事者あるいは家族、その代弁者の組織
加入も重要である。
○ 地域共生社会の実現に向けては、小地域活動等の住民のより身近な圏域を基盤にした福祉活動や住民参加の取り組みがま
すます重要となっており、自治会等の住民組織、地縁団体等の連携や協働は不可欠であるが、これに限らず、「このまちを良
くしたい」という思いのある地域住民等の確保・育成、組織化等の取り組みも重要である。
(社会福祉法人・福祉施設、福祉サービス事業者)
○ 社会福祉法では、社協の設置要件として「社会福祉事業及び更生保護事業を経営する者の過半数の参加」が求められてい
るが、この「参加」は「経営する者=法人」の参加ととらえるのではなく、個々の社会福祉施設が地域福祉の推進を行っていく
役割を果たす観点から市区町村社協と協働のパートナーであるという意味であると考えられる。
○ 社会福祉法において、社会福祉法人の地域における公益的な取り組みが責務とされた。市区町村社協は、自らが地域にお
ける公益的な取り組みをすすめるとともに、地域におけるプラットフォームとしての役割を果たすために、地域生活課題やニー
ズを把握・協議、または提供する場を設けるなど、社会福祉法人・福祉施設とのネットワークを構築し、連携・協議をすすめる
ことが求められる。
○ 介護・保育サービスを経営する民間企業等についても、福祉サービス事業者として社協への参加を促進していくことが必要で
ある。特に、新たに社協に参加する民間企業などの多様な福祉サービス事業者に対しては、市区町村社協が単なる競合す
る「介護事業者」や、いわゆる地域の「事業者団体」ではなく、地域福祉の推進を図る団体としての社協組織の役割を十分理
解してもらうことが重要であり、地域の福祉ニーズや課題により効果的に対応するため、ともに地域における公益的な取り組み
をすすめる必要性を十分に伝えていく必要がある。
(社会福祉に関する活動を行う団体)
○ 身近な圏域における地域住民同士の支え合う関係やつながりの再構築に向けては、ボランティアや市民活動団体と連携する
とともに、多様な主体が協働して地域生活課題の解決をめざしていくことが重要であり、市区町村社協における重要な構成員
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現行 変更(案)
とから、構成員の領域として「福祉活動を行う団体」に位置づけた。
○ 各市区町村社協では、既存のボランティア団体だけでなく、NPO法人などの幅ひろい市民活動団体の地域福祉や社協への
参加を働きかけることが必要である。
(社会福祉行政機関)
○ 社会福祉行政機関については、従来、地域の「社会福祉事業を経営する者」のひとつとして参加を求めてきたが、地域福祉
計画の策定などにあたって市町村福祉行政と社協との連携がさらに強く求められており、今後とも社会福祉行政は、社協の
主要な構成員として位置づけることが必要である。
(プラットフォームとしての役割)
○ また、市区町村社協は、「地域住民」「社会福祉に関する活動を行う者」「社会福祉を目的とする事業を経営する者」を構成メ
ンバーとしており、いわば地域福祉推進のプラットフォームとして役割を果たすことが求められている。すなわち、地域の福祉活
動や福祉サービスに取り組む団体や住民を支援するとともに、地域の福祉課題に対してその理解を広め、解決策を話し合
い、新たな福祉サービスや活動プログラムを開発し、地域協働で取り組むことが求められている。
(住民会員制度)
○ 住民会員制度は、社協事業を地域住民の参加・協力・支持によってすすめるために必要な基本的制度として推進を図るもの
で、市区町村を問わず約9割の市区町村社協で実施している。
○ 住民会員制度について次の2つの形態が考えられる。
ア 地区社協などの「住民組織」の基礎会員として位置づけ、社協との関係では間接的な参加の形態をとる場合。
イ 住民個々が社協に直接的な参加の形態をとる場合。
○ 社協組織との関係でみると、アの場合は「住民組織」と社協との関係を明確にする必要性があり、イの場合は、住民会員の理
事・評議員の選出等社協運営への参加のあり方が課題となる。
○ いずれにせよ、社協(社会福祉法人)における会員とは、会費の納入によって資格・権利を生ずるものとされる社団法人にお
ける「社員」とはその性格は異なるが、会員となることを通して、地域福祉の推進や社協事業への参加を意思表示していただく
ものである。
○ したがって、住民会員制度が賛助会員的性格を有するという意味では、地域住民の自覚にもとづく加入を基本として整備を
図る必要があり、一律・機械的なものではなく、自覚ある加入を広げるなかで、いわゆる「全戸加入」をめざすことが必要であ
る。
○ さらに、地域住民に対する情報提供、相談、機材の提供、市区町村社協事業への参加や意見を反映できる機会の提供(部
会委員の公募など)などを通じて、市区町村社協への住民参加を大きくすすめ、住民会員の増強を図っていくことが望まれ
る。
○ 会費の額については、長年の間、年額 1,200 円以上を当面の目標としてきたが、現在、1,200 円以上の会費を徴収している
社協は、住民会員制度を整備している社協の約8%にすぎない。今後とも継続した課題となると考えられる。
(構成員組織(団体)会員制度)
○ 市区町村社協は地域の福祉関係組織・団体の協議体としての性格を有していることから、構成員とされる組織(団体)を市区
町村社協の会員制度の中に位置づける必要があり、これを構成員会員制度とする。さらに、構成員組織(団体)会員の合意
である。各市区町村社協では、既存のボランティア団体だけでなく、NPO法人、一般社団法人などの幅広い市民活動団体の
地域福祉や社協への参加を働きかけることが必要である。
(行政機関)
○ 社会福祉法では、地域福祉計画は、福祉分野の上位計画として位置づけられ、各自治体における計画策定が求められた。
地域福祉を推進していくうえでの共通理念と具体的な施策に関する基本計画となるため、その見直し・策定作業にあたって
は、市町村行政と社協との連携がさらに強く求められており、今後とも行政は、社協の主要な構成員として位置づけることが必
要である。
(プラットフォームとしての役割)
○ また、市区町村社協は、「地域住民」「社会福祉に関する活動を行う者」「社会福祉を目的とする事業を経営する者」を構成メ
ンバーとしており、いわば地域福祉推進のプラットフォームとして役割を果たすことが求められている。すなわち、地域の福祉活
動や福祉サービスに取り組む団体や住民を支援するとともに、地域の福祉課題に対してその理解を広め、解決策を話し合
い、新たな福祉サービスや活動プログラムを開発し、必要となるネットワークを構築し、地域協働で取り組むことが求められてい
る。
(住民会員制度)
○ 住民会員制度は、社協事業を地域住民の参加・協力・支持によってすすめるために必要な基本的制度として推進を図るもの
である。
○ 住民会員制度について次の2つの形態が考えられる。
ア 地区社協などの「住民組織」の基礎会員として位置づけ、社協との関係では間接的な参加の形態をとる場合。
イ 住民個々が社協に直接的な参加の形態をとる場合。
○ 社協組織との関係でみると、アの場合は「住民組織」と社協との関係を明確にする必要性があり、イの場合は、住民会員の理
事・評議員の選出等社協運営への参加のあり方が課題となる。
○ いずれにせよ、社協(社会福祉法人)における会員とは、会費の納入によって資格・権利を生ずるものとされる社団法人にお
ける「社員」とはその性格は異なるが、会員となることを通して、地域福祉の推進や社協事業への参加を意思表示していただく
ものである。
○ したがって、住民会員制度が賛助会員的性格を有するという意味では、地域住民の自覚にもとづく加入を基本として整備を
図る必要があり、一律・機械的なものではなく、自覚ある加入を広げるなかで、いわゆる「全戸加入」をめざすことが必要であ
る。
○ さらに、地域住民に対する情報提供、相談、機材の提供、市区町村社協事業への参加や意見を反映できる機会の提供(部
会委員の公募など)などを通じて、市区町村社協への住民参加を大きくすすめ、住民会員の増強を図っていくことが望まれ
る。
○ 一方で、住民会員制度については、会費の徴収を自治会に依頼している場合も多い。会費の使途等については明確に住民
に説明していくことが重要である。
(構成員組織(団体)会員制度)
○ 市区町村社協は地域の福祉関係組織・団体の協議体としての性格を有していることから、構成員とされる組織(団体)を市区
町村社協の会員制度の中に位置づける必要があり、これを構成員会員制度とする。さらに、構成員組織(団体)会員の合意
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現行 変更(案)
のもとに理事及び評議員の選出についての規定を設け、構成員組織と社協の法人組織との関係を明確にすることが求められ
る。
○ 構成員組織(団体)会員制度の実施率は、2003年度社協活動実態調査によると約 40%である。
(賛助会員制度)
○ 賛助会員制度は、住民会員制度や構成員組織(団体)会員制度とは別に、多様な組織や団体に対して地域福祉への関心や
社協事業への参加意識の醸成、さらに一定の民間財源を確保する観点から社会福祉協議会活動や事業を特に財政的に支
援する制度として整備をすすめる。
Ⅱ 組織体制(役員、評議員、部会・委員会等)
1.組織体制の基本的な考え方
○ 市区町村社会福祉協議会は、民間団体としての主体的な経営判断を行い、かつ地域に開かれた組織体制
を確立し、公共性と民間性をあわせ持つ地域福祉をすすめる団体として地域住民から信頼される組織づくりを
めざす。
○ そのために、事業全般に係わる地域住民の参画を促すとともに、的確な経営判断と経営責任の負える役員体
制を確立し、地域に開かれた仕組みを構築する。
<解説>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉を推進する社会福祉法人として、地域全体に責任を持つ公共性と民間性、自発性
を兼ね備えた組織であり、地域住民との信頼関係の強化が何よりも重要視される。
○ 市区町村社協は、社会福祉法の成立や介護保険制度の施行の中で地域福祉推進の中核的機関として、地域福祉権利擁
護事業や介護サービス事業の実施をはじめ様々な役割が期待され、急速に事業規模が拡大している。こうした中で、市区町
村社協の社会的責任は大きくなっており、地域住民からの評価を常に意識し、事業を展開することが必要である。
○ また、これからの地域福祉の推進は、様々な福祉活動を行う団体や地域住民と市町村行政が協働して進めていくことが強く
求められている。近年は、地域住民と役割や責任を分担する協働型あるいはパートナーシップ型の行政施策に取り組む市町
村行政も多い。そのため市区町村社協は、地域の様々な福祉活動を行うボランティア団体や市民活動団体等と連携や支援
をしながら、民間の立場からこうした協働を促進する大きな役割をもっており、地域におけるより高い調整能力が求められてい
る。
○ しかし、市区町村社協は、役職員等の人材や事業展開において行政との関係が強く、行政との区別がつきにくいため、こうし
た民間の立場からの協働や調整を推進する役割を担えないのではないかという指摘も一部にある。
○ 一方で、介護サービスをはじめとする福祉サービスの経営は、利用者がサービスを選択しその対価によって事業運営を行うこ
とになり、法人として主体性をもった事業経営を行う必要がある。
○ こうしたことを踏まえ、社協自身が主体的な経営判断ができ、しかも地域に開かれた組織体制を確立し、地域住民から公共
性と民間性をあわせ持つ地域福祉をすすめる団体として信頼されることが強く求められている。そのためには事業に係る意志
決定や事業執行について責任を負う理事会や役員体制の活性化をはじめ、地域住民の参画や理解が得られる組織体制を
のもとに理事及び評議員の選出についての規定を設け、構成員組織と社協の法人組織との関係を明確にすることが求められ
る。
(賛助会員制度)
○ 賛助会員制度は、住民会員制度や構成員組織(団体)会員制度とは別に、多様な組織や団体に対して地域福祉への関心や
社協事業への参加意識の醸成、さらに事業・活動の内容や規模に応じて多様な資金を多用な手法により調達するファンドレ
イジングの観点から特に財政的に支援する制度として整備をすすめる。
Ⅱ 組織体制(役員、評議員、部会・委員会等)
1.組織体制の基本的な考え方
○ 市区町村社会福祉協議会は、民間団体としての主体的な経営判断を行い、かつ地域に開かれた組織体制
を確立し、公共性と民間性をあわせ持つ地域福祉の推進を図る団体として地域住民から信頼される組織づく
りをめざす。
○ そのために、事業に係る意思決定や、事業執行に責任を負う理事会等の役員体制の活性化を図るとともに、
事業全般に係わる地域住民の参画を促し、地域に開かれた仕組みを構築する。
<解説>
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域福祉を推進する社会福祉法人として、地域全体に責任を持つ公共性と民間性、自発性
を兼ね備えた組織であり、地域住民との信頼関係の強化が何よりも重要視される。
○ 市区町村社協は、地域福祉推進の中核的機関として、住民主体による福祉活動の推進・支援や、日常生活自立支援事業
等の権利擁護事業、生活困窮者自立支援制度による自立相談支援機関等各種相談、介護サービス事業等生活支援サー
ビスの実施などさまざまな役割が期待され、事業規模が拡大している。こうした中で、市区町村社協の社会的責任は大きくな
っており、事業の可視化と地域の生活課題等の発信に努め、地域住民からの評価を常に意識し、事業を展開することが必要
である。
○ また、地域福祉の推進においては、さまざまな福祉活動を行う団体や地域住民と市町村行政が協働してすすめていくことが
重要である。そのため市区町村社協は、地域のさまざまな福祉活動を行うボランティア団体や市民活動団体、社会福祉法
人・福祉施設等との連携・協働の拠点(プラットフォーム)としての大きな役割をもっており、地域におけるより高い調整能力が
求められている。
○ 一方で、介護サービスをはじめとする福祉サービスの経営は、利用者がサービスを選択しその対価によって事業運営を行うも
のである。このため、法人として常に変化する外部環境を認識し、戦略と戦術を持って継続的に市場に働きかけていくととも
に、社協としての事業目的に最適な組織へと内部環境を組み替える等、主体性をもった事業経営を行う必要がある。
○ こうしたことを踏まえ、社協自身が主体的な経営判断ができ、しかも地域に開かれた組織体制を確立し、地域住民から公共
性と民間性をあわせ持つ地域福祉をすすめる団体として信頼されることが強く求められている。そのためには事業に係る意思
決定や事業執行について責任を負う理事会や役員体制の活性化をはじめ、地域住民の参画や理解が得られる組織体制を
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現行 変更(案)
つくることが重要である。
○ 三位一体改革や地方分権化が進むと、社会福祉とりわけ地域福祉の水準や内容は市町村独自で決定することになるため、
従来からの事業の取捨の判断や経営的な部面での判断がますます重要になる。そのようなことを踏まえ、組織体制・役員体
制の強化は今後とも一層重要になる。
2.役員体制
<理事>
○ 市区町村社会福祉協議会の理事(役員)は、主要な構成員組織・団体から選出される理事(構成員理事)、
会長、常務理事、事業担当理事などの社協経営に専念する理事(経営管理理事)及び行政職員等によって
構成することを原則とする。
○ 理事(役員)は、事業執行の決定にそれぞれの立場から積極的に参画し、地域福祉の推進役としての社会福
祉協議会の事業の発展に寄与し、理事(役員)としての責務を果たす。
<会長>
○ 市区町村社会福祉協議会の会長は、理事の中で唯一法人全体の代表権を有し、事業執行上の経営責任を
包括的に担う。したがって、会長は、民間人であることとし、中立公正な立場や地域全体の代表者的性格を持
つばかりではなく、できる限り社協事業の経営に専念しうる適任者を地域の中から選出する。
<代表権を有する事業担当理事>
○ 市区町村社会福祉協議会は、事業規模や事業体制に応じて、一定の事業について代表権を有する理事の
選任を検討する。
<監事>
○ 市区町村社会福祉協議会の監事は、社協活動や社会福祉法人会計を理解し、その事業を客観的に評価し
うる人材を適切に選出する。
<解説>
(理事の構成について)
○ 市区町村社協は地域福祉をすすめる地域の中核的な組織であり、地域社会全体の総意の中で事業を展開することを基本
的な考え方としているところから、地域の社会福祉関係者、社会福祉に関する活動を行う団体の関係者、行政、住民組織な
どの構成員の中から理事を適切に選び、それぞれの立場から地域福祉の推進のあり方や社協事業の経営について幅広く議
論し、法人経営を進めることが原則である。
○ しかし、こうした構成団体から選出される理事があて職となっている場合が多く、任期ごとに変わることもあり、理事としての継
続性に欠ける場合も多い。そのため、事業経営上の判断や事業経営上の問題が生じた場合、法人当事者としての責任が果
たせないことが課題となっている。
○ また、現在社協に求められている様々な社会的責任を果たすためには、地域福祉や社会福祉に関する専門性とともに、事業
経営の判断にあたって財務、労務、法務、リスクマネジメントなどの事業経営上必要な専門性が求められる。
○ こうしたことを踏まえると構成団体から選出した理事と行政職員のみの役員体制では社会的責任を果たすことは不可能であ
つくることが重要である。
2.役員体制
<理事>
○ 市区町村社会福祉協議会の理事(役員)は、主要な構成員組織・団体から選出される理事(構成員理事)、
会長、常務理事、事業担当理事などの社協経営に専念する理事(経営管理理事)及び行政職員等によって
構成することを原則とする。
○ 理事(役員)は、事業執行の決定にそれぞれの立場から積極的に参画し、地域福祉の推進役としての社会福
祉協議会の事業の発展に寄与し、理事(役員)としての責務を果たす。
<会長>
○ 市区町村社会福祉協議会の会長は、理事の中で唯一法人全体の代表権を有し、事業執行上の経営責任を
包括的に担う。したがって、会長は、民間人であることとし、中立公正な立場や地域全体の代表者的性格を持
つばかりではなく、できる限り社協事業の経営に専念しうる適任者を地域の中から選出する。
<業務執行理事>
○ 市区町村社会福祉協議会の業務執行理事は、理事の中で法人の業務を執行する役割があり、必要に応じて
専任・配置する。
○ なお、実務上、業務全体の執行状況を把握している事務局長を業務執行理事とするなど、事務局職員の理
事への参画についても検討する。
<監事>
○ 市区町村社会福祉協議会の監事は、社協活動や社会福祉法人会計を理解し、その事業を客観的に評価し
うる人材を適切に選出する。
<会計監査人>
〇 特定社会福祉法人の場合は、公認会計士、または監査法人から会計監査人を選出する。
<解説>
(理事の構成について)
○ 市区町村社協は地域福祉をすすめる地域の中核的な組織であり、地域社会全体の総意の中で事業を展開することを基本
的な考え方としているところから、地域の社会福祉関係者、社会福祉に関する活動を行う団体の関係者、行政、住民組織な
どの構成員の中から理事を適切に選び、それぞれの立場から地域福祉の推進のあり方や社協事業の経営について幅広く議
論し、法人経営をすすめることが原則である。
○ しかし、こうした構成団体から選出される理事があて職となっている場合が多く、任期ごとに変わることもあり、理事としての継
続性に欠ける場合も多い。そのため、事業経営上の判断や事業経営上の問題が生じた場合、法人当事者としての責任が果
たせないことが課題となっている。
○ また、現在社協に求められているさまざまな社会的責任を果たすためには、地域福祉や社会福祉に関する専門性とともに、
事業経営の判断にあたって財務、労務、法務、リスクマネジメントなどの事業経営上必要な専門性が求められる。
○ こうしたことを踏まえると構成団体から選出した理事と行政職員のみの役員体制では社会的責任を果たすことは不可能であ
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現行 変更(案)
り、社協事業の経営に専念する会長、常務理事、事業担当理事などを「経営管理理事」として一定程度配置する必要があ
る。
○ 市町村行政職員については、地域福祉計画の策定・実施など今後とも地域福祉推進の基盤整備にあたって大きな役割を果
たすとともに、社協が地域福祉の推進を図る団体として公民の調整役を果たすという意味においても、理事(役員)として社協
経営に参画することが必要である。
(理事の責務)
○ 理事は、社協役員としてその責務を理解し、事業執行を通じて役割を果たすことが肝要である。具体的には、理事がもつ専門
的知識や選出経緯を踏まえ、業務ごとの担当制をとることも考えられる。なお、理事に対して、勤務実態に応じた一定の役員
報酬の支給を検討することも必要である。
○ 理事定員は、平成12年12月の定款準則の見直しにより、理事数は6名以上でその上限は撤廃されたが、実質的に社協経
営について判断や議論ができうる定数を社協の事業規模に応じて検討することが必要である。
市区町村社協の理事構成のイメージ(※は関係通知により必須)
構成員理事 ―社協の構成員団体から適切な人材を選出する
・住民組織の代表者
※ボランティア活動を行う代表者(社会福祉に関する活動を行う者)
・当事者団体の代表者
※社会福祉施設等の社会福祉事業を経営する団体の役職員
・民生委員・児童委員
・その他社会福祉及び関連分野の代表者 等
経営管理理事 ―原則として社協事業経営に専念する者を選出する
※会長
・常務理事
・○○事業担当理事 等
その他 -市町村行政職員
学識経験者(事業経営や社会福祉の専門家)等
社協理事の責務
1 事業執行の決定に参画すること。
2 事業執行が法令や定款に適合しているかどうかを判断すること。
3 善管注意義務(善良なる管理者として要求される注意義務)
4 職務遂行義務(理事に期待されている社協事業の推進や発展の立場からの参画)
5 競合避止義務(競合する事業を兼務する場合に事前に評議員会や理事会に申し出、了解を求める。
また理事として知り得た情報や資源を兼務する事業で活用しない。)
(会長)
○ 市区町村社協の会長は、従来どおり民間人であることが望ましい。その際、今後の社協にもとめられる社会的責任を踏まえた
経営判断をすすめられるよう、中立公正な立場や地域の代表者的な役割だけではなく、社協の経営管理理事として強いリー
り、社協事業の経営に専念する会長、常務理事または事業担当理事・業務執行理事などを「経営管理理事」として一定程度
配置する必要がある。
○ 市町村行政職員については、地域福祉計画の策定・実施など今後とも地域福祉推進の基盤整備にあたって大きな役割を果
たすとともに、社協が地域福祉の推進を図る団体として公民の調整役を果たすという意味においても、理事(役員)として社協
経営に参画することが必要である。
(理事の責務)
○ 理事は、社協役員としてその責務を理解し、事業執行を通じて役割を果たすことが肝要である。具体的には、理事がもつ専門
的知識や選出経緯を踏まえ、業務ごとの担当制をとることも考えられる。なお、理事に対して、勤務実態に応じた一定の役員
報酬の支給を検討することも必要である。
○ 理事定員は、2000 年12月の定款準則の見直しにより、理事数は6名以上でその上限は撤廃されたが、実質的に組織経営
について判断や議論ができうる定数を社協の事業規模に応じて検討することが必要である。
市区町村社協の理事構成のイメージ(※は関係通知により必須)
構成員理事 ―社協の構成員団体から適切な人材を選出する
・住民組織の代表者
※ボランティア活動を行う代表者(社会福祉に関する活動を行う者)
・当事者団体の代表者
※社会福祉施設等の社会福祉事業を経営する団体の役職員
・民生委員・児童委員
・その他社会福祉及び関連分野の代表者 等
経営管理理事 ―原則として社協事業経営に専念する者を選出する
※会長
・常務理事等
その他 -市町村行政職員
学識経験者(事業経営や社会福祉の専門家)等
社協理事の責務
1.事業執行の決定に参画すること。
2.事業執行が法令や定款に適合しているかどうかを判断すること。
3.善管注意義務(善良なる管理者として要求される注意義務)
4.職務遂行義務(理事に期待されている社協事業の推進や発展の立場からの参画)
5.競合避止義務(競合する事業を兼務する場合に事前に評議員会や理事会に申し出、了解を求める。
また理事として知り得た情報や資源を兼務する事業で活用しない。)
(会長)
○ 市区町村社協の会長は、従来どおり民間人であることが望ましい。その際、今後の社協にもとめられる社会的責任を踏まえた
経営判断をすすめられるよう、中立公正な立場や地域の代表者的な役割だけではなく、社協の経営管理理事として強いリー
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現行 変更(案)
ダーシップが発揮できる会長を選出する必要がある。そのためには、できるだけ社協事業の経営に専念し、事業経営上の判
断を常時行うことのできる適任者を地域の中から選出することが重要である。さらに、一定の役員報酬を支給することも合わ
せて検討することが必要である。
○ なお、会長を首長とする市区町村社協は、次第に減りつつあるが依然として約32%にのぼる。しかし、行政の首長は介護保
険の保険者のトップであることもあり、特に介護保険事業を経営する社協の会長が首長である場合は、民間人の登用を早急
にすすめる必要がある。
(代表権を有する事業担当理事)
○ 市区町村社協の事業規模が大きくなり、またそのことによって経営責任も大きくなっている。社会福祉法人定款準則の改訂を
踏まえ、法人社協モデル定款では代表権の分掌を可能としている。これは、包括的な代表権は会長が有しながら、会長以外
に特定の事業や業務について代表権を有する理事を置くことができるというものである。
(監事)
○ 定款準則では、監事は2名以上とし、当該法人の役職員との兼務はできず、うち1名は、社会福祉法人会計基準に基づく財
務諸表を監査しえるものとされている。
○ 社協事業が広がり、財務会計が高度化する中で、外部監査なども含め、社協事業を客観的に評価しうる人材を適切に選ぶ
必要がある。
3.評議員会
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域社会の総意をもって地域福祉を推進するために、構成員組織などから構
成される評議員会を設置し、法人にとって重要な事項を決定する。
<解説>
(評議員の構成について)
○ 法人社協モデル定款では、社協の評議員会は、他の社会福祉法人と異なり、「法人の重要な事項についての議決機関」とし
ての性格をもつものとされている。これは、市区町村社協が地域社会の総意をもってその事業をすすめていくために、法人にと
って重要な事項は、構成員の決定によってすすめることにしているからである。こうした意味で、社協は「社団法人的」な性格
を有していると考えられる。したがって、評議員を構成員組織(団体)から適切な選出過程を経て選出することを明確にするた
めに選出規程を定める必要がある。
ダーシップが発揮できる会長を選出する必要がある。そのためには、できるだけ社協事業の経営に専念し、事業経営上の判
断を常時行うことのできる適任者を地域の中から選出することが重要である。さらに、一定の役員報酬を支給することも合わ
せて検討することが必要である。
(業務執行理事)
○ 会長(理事長)以外にも社会福祉法人の業務を執行する理事として、業務執行理事を理事会で選定することができる。業務
執行理事は、理事長と違い代表権はないため、対外的な執行する権限はない。
○ 事務局長が理事として参画する場合は、業務の進捗状況を一番把握しているものと考えられる。よって業務執行理事として
業務の執行管理報告を適宜実施することが求められる。
○ なお、業務執行理事の選任・配置については各市区町村社協の任意であるため、必須ではない。
(監事)
○ 定款準則では、監事は2名以上とし、当該法人の役職員との兼務はできず、うち1名は、社会福祉法人会計基準に基づく計
算書類を監査しえるものとされている。
○ 社協事業が広がり、また、事業の透明性やガバナンス強化が求められるなかにあっては、外部監査なども含め、社協事業を
客観的に評価しうる人材を適切に選ぶ必要がある。
(経営責任)
○ 社会福祉法で、理事、監事、評議員または会計監査人は、社会福祉法人に対し、その任務を怠ったことにより生じた損害を
賠償する責任を負うことになった。
○ 理事、監事、評議員または会計監査人と法人の関係は、委任に関する規定に従うため、「任務を怠った」とは、法人に対する
善管注意義務違反にあたる。
○ しかし、評議員には、業務執行権がなく、評議員会という会議体の構成員としての任務を行うものであることから、個々の評議
員の任務懈怠により法人に直接損害が発生することは少ないと考えられる。
3.評議員会
○ 市区町村社会福祉協議会は、地域社会の総意をもって地域福祉を推進するために、構成員組織などから構
成される評議員会を設置し、法人にとって重要な事項を決定する。
<解説>
(評議員の構成について)
○ 法人社協モデル定款では、社協の評議員会は、他の社会福祉法人と異なり、「法人の重要な事項についての議決機関」とし
ての性格をもつものとされている。これは、市区町村社協が地域社会の総意をもってその事業をすすめていくために、法人にと
って重要な事項は、構成員の決定によってすすめることにしているからである。
○ 評議員会は、「協議体」としての社協の使命、役割を具体化するもので、他の社会福祉法人と異なり、社団法人的性格を持
つ社協の特性を明確化するうえで重要な意味を持っている。したがって、その構成や定数を検討するにあたっては、こうした
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現行 変更(案)
○ 社会福祉法に「社会福祉に関する活動を行う者」の参画が明記されたことから、ボランティア団体、市民活動団体から積極的
に評議員を選出することが必要である
○ 法人の執行機関としての理事会と議決機関としての評議員会は性格を異にし、一定の緊張関係をもつことが必要であること
から、理事と評議員を兼任することは望ましくない。
(評議員会の運営について)
○ 社協の事業や業務の状況を地域住民に広く周知するために、一定のルールを設けて評議員会を公開することを検討する必
要がある。具体的に、傍聴手続き・方法や審議内容についてホームページ上で公開すること、また評議員会の検討事項に関
してパブリックコメントを実施することなどが考えられる。
○ 評議員会のもとに、各種委員会や部会を設置し、評議員会を活性化させることも考えられる。
評議員構成のイメージ
① 住民組織/地区社会福祉協議会、住民自治組織など
② 当事者等の組織/老人クラブ、障害者団体、介護者の会など
③ 社会福祉に関する活動を行う団体/ボランティア団体、NPO法人など市民活動団体、農協・生協など
④ 民生委員・児童委員またはその組織
⑤ 事業者関係/社会福祉施設・社会福祉団体、更生保護事業施設・更生保護事業団体、福祉(介護・保育)サービス
事業者
⑥ 保健・医療、教育等の関係機関・団体/医師会、医療・保健機関、学校、教育委員会等
⑦ 社会福祉行政機関
⑧ 地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体/まちづくり、住宅、環境、経済団体など
⑨ その他/学識経験者(社会福祉、法務、税務、事業経営等の専門家)
4.部会、連絡会、委員会等
○ 市区町村社会福祉協議会は、事業の推進にあたって、地域のあらゆる立場の意見を反映し、住民参加・協働
による地域福祉を推進するために、部会や連絡会、課題別委員会等を設置する。
<解説>
○ 市区町村社協における部会や連絡会、課題別委員会等は、地域のより幅広い立場の団体や地域住民、専門職が地域福祉
の推進や社協事業に参画する場として、地域の実情や社協の事業内容に応じて柔軟に設置されている。
○ 社協がより一層地域に開かれたものとなるためには、様々な関係者の意見や発想も取り入れ、様々な団体が協働して地域福
「協議体」としての機能が損なわれることのないよう、関係者と十分に協議し、慎重に行うことが必要である。そのため、評議員
を構成員組織(団体)から適切な選出過程を経て選出することを明確にするために選出規程を定める必要がある。
○ また、諮問機関としての従来の位置づけとは異なり、社会福祉法における評議員会は、社会福祉法及び定款に記載された事
項のみを決定することとなっている。ただし、それ以外の事項についても、評議員会において協議を行うことは可能であり、法
人にとって重要な事項については引き続き、評議員会を構成する組織の意見が反映されるような措置を講ずることが必要で
ある。
(評議員会の運営について)
○ 社協の事業や業務の状況を地域住民に広く周知するために、一定のルールを設けて評議員会を公開することを検討する必
要がある。具体的に、傍聴手続き・方法や審議内容についてホームページ上で公開すること、また評議員会の検討事項に関
してパブリックコメントを実施することなどが考えられる。
○ 評議員会のもとに、各種委員会や部会を設置し、評議員会を活性化させることも考えられる。
○ 事業の透明性やガバナンス強化に対応すると同時に、社協の経営ならびに事業・活動に対する地域の住民や福祉関係者の
理解、参画をこれまで以上にすすめ、地域福祉を推進する中核的な組織として体制を強化していく契機とすることが重要であ
る。
○ その意味では、外形的に組織体制を整えるというだけではなく、同時に、社協の目的の実現に向けて、理事会、評議員会のあ
るべき姿を検討し、機能強化や活性化に向けて継続的な取り組みを行うことが必要である。
評議員構成のイメージ
① 住民組織/住民会員、地区社会福祉協議会、住民自治組織など
② 当事者等の組織/老人クラブ、障害者団体、介護者の会など
③ 社会福祉に関する活動を行う団体/ボランティア団体、NPO法人など市民活動団体、農協・生協など
④ 民生委員・児童委員またはその組織
⑤ 事業者関係/社会福祉法人・福祉施設・社会福祉団体、更生保護事業施設・更生保護事業団体、福祉(介護・保
育)サービス事業者
⑥ 保健・医療、教育等の関係機関・団体/医師会、医療・保健機関、学校、教育委員会等
⑦ 社会福祉行政機関
⑧ 地域福祉推進に必要な地域の主要な諸団体/まちづくり、住宅、環境、経済団体など
⑨ その他/学識経験者(社会福祉、法務、税務、事業経営等の専門家)
4.部会、連絡会、委員会等
○ 市区町村社会福祉協議会は、事業の推進にあたって、地域のあらゆる立場の意見を反映し、住民参加・協働
による地域福祉を推進するために、部会や連絡会、課題別委員会、事業の運営委員会等を設置する。
<解説>
○ 市区町村社協における部会や連絡会、課題別委員会等は、地域のより幅広い立場の団体や地域住民、専門職が地域福祉
の推進や社協事業に参画する場として、地域の実情や社協の事業内容に応じて柔軟に設置されている。
○ 社協がより一層地域に開かれたものとなるためには、さまざまな関係者の意見や発想も取り入れ、さまざまな団体が協働して
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現行 変更(案)
祉の推進・充実に向けて福祉サービスや活動プログラムの企画・開発に取り組むことが強く求められている。
○ また、各種部会・委員会の内容によっては、公募委員なども積極的に取り入れ、様々な地域住民が社協事業に直接参加で
きる仕組みをつくっていくことが必要である。
○ その一方で、社協の事業経営判断を行う場や第三者性が強く求められる委員会なども事業の推進上必要であり、その部会
や委員会等の性格を踏まえ適切に運営することが重要である。
ア.地域の多様な意見や参画が求められる委員会等
① 地域福祉の諸活動の活性化や福祉サービス開発
・課題別の部会(老人福祉部会、障害者部会、児童部会…)
・プラットフォーム型サービス提供システム企画委員会 など
② 社協事業への住民参加・協働
・社協事業企画委員会
・ボランティアセンター運営委員会
・ふれあいのまちづくり事業推進会議
・総合相談事業運営委員会 など
③ 社会福祉関係団体や専門職等の連絡・連携
・施設部会
・介護サービス事業者連絡会
・ボランティア団体連絡会
・ 介護支援専門員連絡会 など
イ.社協事業経営の判断が求められる委員会等
○ 介護サービス経営など、社協事業経営の判断に必要な財務や事業運営のあり方などを検討するために、経営管理理事や外
部の専門家、担当職員などを委員とし、クローズで運営する委員会
・社協経営委員会
・介護サービス事業経営委員会
ウ.第三者性が求められる委員会等
○ 福祉サービス利用支援部門の事業など公益性の高い事業を中立公正に運営するための委員会等。委員の選出過程につい
て、地域住民に開示する必要がある。
地域福祉の推進・充実に向けて福祉サービスや活動プログラムの企画・開発に取り組むことが強く求められている。
○ また、各種部会・委員会の内容によっては、公募委員なども積極的に取り入れ、さまざまな地域住民が社協事業に直接参加
できる仕組みをつくっていくことが必要である。
○ その一方で、社協の事業経営判断を行う場や第三者性が強く求められる委員会なども事業の推進上必要であり、その部会
や委員会等の性格を踏まえ適切に運営することが重要である。
○ 社会福祉法人・福祉施設と連携・協働し、地域生活課題や地域のニーズを把握・協議、または提供する場を設けるなど、とも
に地域生活課題の解決をすすめる。その際は、施設協議会の連絡会などの組織を活用すること等が考えられる。
○ また、民生委員・児童委員協議会や各種種別協議会の運営支援等を通じ、福祉関係者、関係団体の活動を支援することも
必要である。
○ このように、地域の福祉活動や福祉サービスに取り組む団体や住民を支援するとともに、地域の福祉課題に対してその理解
を深め、解決策を話し合い、新たな福祉サービスや活動プログラムを開発し、地域協働で取り組むという、地域におけるプラッ
トフォームとしての役割を果たすことが重要である。
ア.地域の多様な意見や参画が求められる委員会等
① 地域福祉の諸活動の活性化や福祉サービス開発
・課題別の部会(老人福祉部会、障害者部会、児童部会…)
・プラットフォーム型サービス提供システム企画委員会 など
② 社協事業への住民参加・協働
・社協事業企画委員会
・地域福祉活動計画策定委員会
・ボランティア・市民活動センター運営委員会
・ふれあいのまちづくり事業推進会議
・総合相談事業運営委員会 など
③ 社会福祉関係団体や専門職等の連絡・連携
・施設部会
・介護サービス事業者連絡会
・ボランティア団体連絡会
・介護支援専門員連絡会
・社会福祉施設等連絡会 など
イ.社協事業経営の判断が求められる委員会等
○ 介護サービス経営など、社協事業経営の判断に必要な財務や事業運営のあり方などを検討するために、経営管理理事や外
部の専門家、担当職員などを委員とし、クローズで運営する委員会
・社協経営委員会
・介護サービス事業経営委員会
ウ.第三者性が求められる委員会等
○ 福祉サービス利用支援部門の事業など公益性の高い事業を中立公正に運営するための委員会等。
エ.事業評価委員会
○ 実施地域や領域を限定して開始した特定のモデル事業の進捗管理、課題の整理、今後の展開や拡大の方向性等の事業評
価を行うための委員会
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現行 変更(案)
Ⅲ 組織運営(財源、事務所、職員体制等)
1.財源及び財務運営
<財源>
○ 市区町村社会福祉協議会は、構成員会費、住民会費、寄付金、共同募金配分金、基金財源などの「民間財源」、補助
金収入、委託費収入などの「公費財源」、介護報酬などの「事業収入財源」を財源とし運営する。
<財務運営>
○ 継続的に適切な事業評価やコスト把握のうえに立った中長期的な財政計画を策定し、公費確保のルール化や自主財源
の確保など安定的な財務運営につとめる。
<解説>
(財源構成)
○ 各部門に係る財源構成の考え方は以下の通りである。
・ 法人運営部門は、各部門からその比重に応じて負担する。したがって、公費、民間財源、事業収入で構成されるのが基
本となる。ただし、現状では、各部門の事業への委託金・補助金を抑えて、法人運営部門にまとめて経常経費補助を出
す仕組みになっている場合もあるので、社協の収支全体を見渡して整理していく必要がある。
・ 地域福祉活動推進部門は公費が基本となるが、住民自身の活動であることから、共同募金や自らの負担によりすすめ
る。福祉サービス利用支援部門も公費が基本となるが、先駆的な事業については民間財源もあり得る。
部 門 事業の性格 民間財源 公 費 事業収入
法人運営部門 各部門を支える ○ ○ ○
地域福祉活動推進部門 公益性が高い。同時に民間性が強い。 △ ○
福祉サービス利用支援部
門 公益性が高い。 △ ○
在宅福祉サービス部門
(介護保険・支援費制度)
介護保険事業・支援費事業等事業収
入で行う事業。自治体からの委託・補
助で行うその他公的サービス。先駆的
事業、独自事業(「横だし」等)に分かれ
る。
※
(過疎地等) ○
在宅福祉サービス部門
(介護保険・支援費制度
以外)
△ ○
Ⅲ 組織運営(財源、事務所、職員体制等)
1.財務運営・管理
<財源>
○ 市区町村社会福祉協議会は、構成員会費、住民会費、寄付金、共同募金配分金、地域福祉基金等各種基金など
の「民間財源」、補助金、委託費、指定管理料などの「公費財源」、介護報酬などの「事業収入財源」を財源とし運営
する。
○ 継続的・安定的に事業が継続できるよう自治体との間で補助・委託先の決定等公費確保のルール化を図る。
○ 地域の実情に応じた多様な財源(民間財源、公費財源等)の確保・活用(ファンドレイジング)を検討・実施する。
<会計管理・財務管理>
○ 社会福祉法、社会福祉法人会計基準、社会福祉協議会モデル経理規程等会計に関する法令に基づき、適正に計
算書類を作成し、公表する。
〇 内部けん制体制を構築し、日常の経理事務を適切に行い、不祥事を防止する。
〇 計算書類の構造と機能を理解し、計算書類を用いた持続可能で自主的な事業経営のための意思決定を行う。
<解説>
(財源構成)
○ 各部門に係る財源構成の考え方は以下の通りである。
・ 法人経営部門の管理職員・事務職員の給与費(間接人件費)、光熱水費、減価償却費等は、各部門の事業実態に応
じて適切に按分し負担させる。したがって、法人経営部門は、民間財源、公費財源、事業収入財源で構成されるのが基
本となる。
・ 地域福祉活動推進部門の人件費等の事務費は公費財源が基本となるが、地域住民や社会福祉法人、企業等と協働
して行う制度外の活動の事業費は、会費や共同募金助成金、寄付金等の民間財源のほか、活動者自らの拠出によりす
すめる。総合相談支援部門も公費が基本となるが、先駆的な事業については民間財源もあり得る。
部 門 事業の性格 民間財源 公費財源 事業収入財源
法人経営部門 各部門を支える ○ ○ ○
地域福祉活動推進部門 公益性が高い。同時に民間性が強い。 ○ ○ △
総合相談支援部門 公益性が高い。 △ ○ △
生活支援部門(介護保険・
障害福祉サービス等)
介護保険・障害福祉サービス等事業収
入で行う事業。自治体からの委託・補助
で行うその他公的サービス。先駆的事
業、独自事業(「横だし」等)に分かれる。
※
(過疎地等) ○
生活支援部門(介護保険・
障害福祉サービス等以外) △ ○ △
2020.3.2 Ver
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現行 変更(案)
・ 介護保険・支援費制度の在宅福祉サービス部門は、事業収入だが、過疎地等であることにより採算が合わない地域は
公費補助も必要となる。
・ 介護保険・支援費制度外の在宅福祉サービス部門も公費委託で行われる場合も多いが、社協独自で行う先駆的事
業、横だし事業は民間財源を充てる。
(適切な在宅福祉サービス事業の運営)
○ 介護保険事業等の在宅福祉サービスの実施にあたっては、事業としての採算性の確保に努力し、適切な運営に努める。事
業収入によって得た収益については、社協が実施する福祉サービス事業の開発に結びつけることが重要である。また在宅福
祉サービス事業経費において、法人運営部門の事業経費の一部を適切に按分し、事業の管理費として負担するものとする。
(関係団体事務等の業務の受託と委託契約の締結)
○ 関係団体の事務等の業務を受託するときは、業務委託契約を当該団体と締結することとし、あわせて事務費経費を含め、必
要な経費を確保できるルールを確立する。
(事業安定資金(留保金)の設置)
○ 事業収入等から事業を継続的かつ安定的に実施するために必要な程度を、事業運営安定資金などとして留保しておくこと。
なお、留保金(減価償却や退職金引当金などに相当する資金は除く)は、一事業年度における事業経費(管理費を含む)の
おおよそ 3分の1程度を目安とする。
(助成事業や地域福祉財源としての基金)
○ 地域福祉財源として社協が管理している基金は、事業安定資金としての留保金と明確に分けておく必要がある。この使途に
ついては、理事会や評議員会だけではなく第三者性をもった配分のための委員会等を設置し、検討すべきである。
・ 介護保険・障害福祉サービス等の生活支援部門は介護報酬等事業収入だが、過疎地等であることにより採算が合わな
い地域は自治体による公費補助も必要となる。
・ 介護保険・障害福祉サービス等以外の生活支援部門も公費財源で行われる場合も多いが、社協独自で行う先駆的事
業、横だし事業は事業収入財源のほか、民間財源も充てる。
(適切な在宅福祉サービス事業の運営)
○ 介護保険事業等の在宅福祉サービスの実施にあたっては、事業としての採算性の確保に努力し、持続可能な経営に努め
る。事業収入によって得た収益については、地域福祉活動や制度外のサービスの事業費に充てることが重要である。また在
宅福祉サービス事業経費において、法人経営部門の事業経費の一部を適切に按分し、事業の管理費として負担するものと
する。
(関係団体事務等の業務の受託と委託契約の締結)
○ 関係団体の事務等の業務を受託するときは、業務委託契約を当該団体と締結することとし、あわせて事務費経費を含め、必
要な経費を確保できるルールを確立する。
(事業継続、事業再生産に必要な内部留保の確保)
○ 事業継続、事業再生産に必要な内部留保は、社協発展・強化計画などの経営計画に基づき適切に算定し確保する必要が
ある。
○ 一方、2017年の改正社会福祉法の施行により、社会福祉法人は、社会福祉法第 55条の2(社会福祉充実計画の承認)の
規定に基づき毎会計年度社会福祉充実残額を算定することが義務化され、社会福祉充実残額が生じる場合には、社会福
祉充実計画を策定し、所轄庁の承認を得ることが求められている。
○ しかし、事業継続、事業再生産に必要な内部留保は、社会福祉法第 55 条の2(社会福祉充実計画の承認)に規定する「控
除対象財産」に限られるものではないことに留意する必要がある。
(助成事業等の用に供する積立資産)
○ 控除対象財産に該当する地域福祉基金等国や自治体からの補助や第三者からの寄付等によって使途・目的等が明確に定
められている基金等は、他の内部留保と区別して管理する。
○ なお、助成事業の原資として控除対象財産に該当する積立資産の要件は、①法人の定款において、助成事業を行うことが
規定されるとともに、②個別の助成事業の実施に係る要綱等が作成され、現に当該積立資産が助成事業の原資として活用
されていることが明確になっていることが必要である。
(自治体からの委託事業者・指定管理者等の決定にあたってのルール化)
○ 事業の質の維持等の観点から、自治体が委託事業・指定管理者等を決定するにあたって、単に価格のみで評価を行うので
はなく、事業の内容・経験・実績を中心とした総合的な評価による決定が行われるようルール化の交渉をしたり、複数年にわ
たる委託契約となるよう働きかける。
○ また、補助事業も含めて事務経費(一般管理費)を確保できるようにルール化していく必要がある。
(提言・改善活動による公的財源の確保)
○ 地域のさまざまな生活課題の解決や、公的な制度の創設・運用の改善等に向けて、住民や社会福祉関係者等と連携しなが
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2.事務所の確保
○ 社会福祉協議会は、地域福祉を推進する民間組織としての機能を発揮するために独立した事務所を確保する。
○ このほか、人口規模や地域の実情に応じて、支部社協・地区社協の事務局等の機能や役割を果たす支所、在宅福祉サ
ービス事業の事業所、福祉センターなどの拠点事務所を設ける。
<解説>
(事務所の確保)
○ 事務所を確保する方策として、総合福祉センター、地域福祉センター、デイサービスセンター、老人福祉センター等の運営、
各種の行政財産等の貸与等が考えられる。ただし、介護保険事業等の事業所の場合には、賃借料・光熱水費などの負担が
必要となる。
(支所や拠点の整備)
○ 地域福祉推進にあたっては、地域と密着したところでの事業展開が重要であり、大都市部などでは、地域の実情に応じて支所
等の拠点を整備し、住民組織の連絡調整や総合相談窓口等の機能を充実することが考えられる。公民館や空き家、空き店
ら、提言・改善活動(ソーシャル・アクション)を実施し、公的財源の確保に努めていく必要がある。
(ファンドレイジングの検討・実施)
○ 社会福祉協議会の事業・活動の財源は、民間財源、公費財源、事業収入等を適切に組み合わせることが必要であり、当該
事業・活動の内容や規模等により、どのような資金をどのように調達するかファンドレイジングの視点が重要となる。
○ 賛助会費や特別会費などの積極的募集のほか、共同募金によるテーマ型募金 や市町村共同募金委員会の活用・推進、
一般寄付、相続寄付、遺贈などの地域福祉の推進を目的とした多様な寄付の呼びかけなど各市区町村社協における取り組
みの余地が大きい。
(適正な計算書類の作成、公表)
○ 社会福祉法人である社会福祉協議会には、法令に基づき適正に計算書類を作成することが求められている。平成 29 年の
改正社会福祉法の施行により、備置き・閲覧の対象となる書類や閲覧請求者の拡大、計算書類(貸借対照表、資金収支計
算書、事業活動計算書)の公表が義務化されている。
(適切な経理事務の遂行と不祥事の防止)
○ 社会福祉協議会においては経理規程等に基づき適切な経理事務を行うことが求められる。特に、日常の経理事務において
は、1つの仕事を1人の職員で完遂させないよう内部けん制の働く体制を設計し、実施することが重要である。
○ 不祥事の発生は、社会福祉協議会の信用を著しく失墜させるものでその防止に努めなければならない。全社協による「改訂:
市区町村社協事務局長の出納業務に関する10のチェックポイント」や「受託事務団体の出納業務や利用者等からの預かり
金品の管理等に関する6のチェックポイント」等を活用し、組織的に不詳事の防止に努める必要がある。
(健全な経営のための財務管理)
○ 適切な財務管理により問題を早期に発見し、適切に対応できるよう、計算書類に基づき、月次、四半期、半期、年次ごとに収
支の状況、経営成績及び財政状態を把握し、持続可能で自主的な事業経営のための意思決定を行う。
2.事務所の確保
○ 社会福祉協議会は、地域福祉を推進する民間組織としての機能を発揮するために独立した事務所を確保する。
○ このほか、人口規模や地域の実情に応じて、支部社協・支所等の事務所、在宅福祉サービス事業の事業所、住民の福
祉活動拠点など必要な事務所を設ける。
<解説>
(事務所の確保)
○ 事務所を確保する方策として、総合福祉センター、地域福祉センター、デイサービスセンター、老人福祉センター等の運営、
各種の行政施設等の指定管理等が考えられる。なお、介護保険事業等の事務所スペースに係る経費は、賃借料・光熱水
費など事業の規模等により適切に按分し負担する。
(支所や拠点の整備)
○ 地域福祉推進にあたっては、地域と密着したところでの事業展開が重要であり、大都市部などでは、地域の実情に応じて支所
等の事務所を整備し、住民組織の連絡調整や総合相談窓口等の機能を充実することが考えられる。公民館や空き家、空き
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舗などの地域の社会資源を活用した地区社協の活動拠点の確保について協力・支援する。
3.職員体制の確保
○ 市区町村社会福祉協議会は、事務局長、福祉活動専門員のほか、事業を推進するうえで必要な専任の職員体制を確
立する。
○ 地域福祉にかかわる専門性と熱意をもった職員を得られるよう、処遇等の条件整備を図る。
<解説>
(職員の資質)
○ 職員は、それぞれの事業に必要な専門性もった職員を配置する必要があるが、とりわけ地域福祉推進の中核的団体の職員
として育成をしていくことが必要である。すべての社協職員は、以下のような基本的な態度をもち、福祉コミュニティの形成や
福祉のまちづくりを共通の理念として業務をすすめなければならない。
① 福祉サービス利用者に対する尊厳の尊重(人権感覚、守秘義務)
② 地域住民(活動・事業者団体などを含む)や行政との協働の推進(パートナーシップ)
③ 地域住民の主体性を引き出す(エンパワーメント)
④ 自らの業務についての説明責任を持つ。(説明責任・情報公開)
⑤ 地域の社会資源や地域の実情の把握と施策の理解(地域に根ざした活動の展開)
⑥ 地域住民や支援を必要とする人と地域とのつながりをつくる視点をもつ。(ネットワーキング)
⑦ 事業の効率性や評価に対する意識づけ(コスト意識)
○ なお部門ごとの事業体制の確立については先述したが、こうした体制はセクショナリズムを生む可能性をもっており、各部門間
において相互連携を図ることが重要である。
○ そのためには、日常的に部門間の相互連携を図ることが必要であり、各部門が合同してケース検討会や、福祉課題、社会資
源を把握するための地域診断などを実施するとともに、社協の総合力が必要な地域福祉活動計画策定などについては、プロ
ジェクト方式などをとり入れ、職員全体が協働で事業を推進することが重要である。
(事務局長の指導性)
○ 特に事務局長の指導性は重要であり、適切な業務管理を行うとともに、リーダーシップを発揮し、上記の社協職員としての基
本的な態度について意識づけを図ることが重要である。また、近年は、行政職員の公益法人への派遣が見直される中で、社
協職員が経営管理(マネジメント)能力の向上を図ることが求められる。
(職員育成・労務管理の充実)
○ 職員育成を行うために職場研修体制を確立する。また適切な労務管理とともに、人材をより活性化するために、職員の希望
や専門性、資質などをふまえながら各部門間での人事異動を図るなど人事管理体制を強化する。
店舗などの地域の社会資源を活用した住民の福祉活動の拠点の確保について協力・支援する。
3.職員体制の確保、人事・労務管理
<職員体制の確保>
○ 市区町村社会福祉協議会は、事務局長をはじめ各部門の事業を推進するうえで必要な専任の職員体制を確立する。
〇 社会福祉協議会組織がめざす方向、職員への期待値を明確にして全職員に徹底する。
<人事・労務管理制度の構築>
〇 採用・配置、評価、処遇、育成からなる人事管理制度の一体的な運営をめざす総合的なシステムの構築を図る。
○ 適切な労務管理を実施し、すべての職員が働きやすい環境を整える。
<解説>
(専門性の高い職員配置)
○ 事務局長をはじめとした職員は、それぞれの部門が行う事業に必要な専門性もった職員を配置する必要があるが、加えて社
会福祉協議会の目的が地域福祉の推進であり、住民や関係機関・団体との協働が基本であることを踏まえれば、各部門に
配属される職員に地域を基盤としたソーシャルワークの価値規範、知識、技術が求められる。
○ 社会福祉協議会の事業領域の拡大に伴い、社協職員としての価値観や基本的考え方を共有することが難しくなっており、社
協職員のアイデンティティの揺らぎが指摘されている。このため地域福祉推進委員会では 2011 年に、めざすべき社協職員
像を明らかにして行動に結びつけるため、「社協職員行動原則」を定めている。この行動原則を全役職員に徹底する。
○ また、日々の実践においては、具体的な実践を高める観点と職員育成の観点から、OJT、Off-JT の仕組みの充実、事
業・活動のマネジメントとスーパービジョン体制を構築することが相談支援の包括化や地域力強化への対応等には不可
欠である。
(多様な職員の採用体系をつくる)
○ 専任職員の採用にあたっては、公募を原則とし、その実施にあたっては、都道府県福祉人材センターと共同して実施するなど
より幅広く質の高い職員を効果的に得られるようさまざまな工夫を行うことが重要である。また、持続可能な組織体制とするた
めに適切な人員構成のバランスに配慮する。さらに、終身雇用的な常勤職員だけでなく、たとえば地域福祉活動計画づくりな
どの一定のプロジェクトを実施するために、年限を限って専門性の高い職務にあたる職員を採用するなど、多様な採用体系を
検討すべきである。
(事務局長のマネジメント)
○ 特に事務局長の指導性は重要であり、適切な業務管理を行うとともに、リーダーシップを発揮し、上記の社協職員としての基
本的な態度について意識づけを図ることが重要である。また、近年は、行政職員の公益法人への派遣が見直される中で、社
協プロパー職員が事務局長の職を担うことが増えており、経営管理(マネジメント)能力の向上を図ることが不可欠となってい
る。
○ また、事務局から理事として参画している場合は、組織運営にかかる課題・問題点や事業の新たな展開などの情報提供を行
うとともに、理事会への執行報告を行う。
(トータルな人事管理制度の構築)
○ ①採用・配置(採用・配置・異動・昇給昇格等)、②評価(人事考課)、③処遇(給与等の報酬、その他の労働条件)、④能力
開発・育成からなる組織の人事管理システムについて、トータルな制度を構築し、人事管理全体を一体的に運営する。
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○ 特に、在宅福祉サービス部門では、非常勤職員中心の職員構成になっている場合も多く、社協職員としてのモラールの維持
などを含む非常勤職員に対する人事管理体制を強化する必要がある。
(行政職員との人事交流・出向の取扱いについて)
○ これまで市区町村社協は、事務局体制を強化するために行政職員の派遣を受ける場合が多かったが、近年は市区町村社
協の職員規模も拡大し、行政職員との人事交流を行う場合も増えている。このような人事交流は、社協職員が多様な経験を
もつ機会である。また、行政職員が社協事業を理解することにもつながり、積極的に検討することが必要である。
○ 行政職員の派遣や人事交流を実施する場合は、双方の業務の水準や職員の資質の向上に資するものとするために、対等の
立場から、業務内容や派遣期間、給与負担、派遣や出向される職員について十分協議することが重要である。なお、実施に
あたっては、関係法令に基づき契約により行うものとする。
(多様な職員の採用体系をつくる)
○ 専任職員の採用にあたっては、公募を原則とし、その実施にあたっては、都道府県社協と共同して実施するなどより幅広く質
の高い職員を効果的に得られるよう様々な工夫を行うことが重要である。さらに、終身雇用的な常勤職員だけでなく、たとえば
地域福祉活動計画づくりなどの一定のプロジェクトを実施するために、年限を限って専門性の高い職務にあたる職員を採用す
るなど、多様な採用体系を検討すべきである。
(図表2)市区町村社協の職員体制のイメージ
(適切な労務管理の実施)
○ 働きやすい職場環境をつくるためには、労務管理を適切に行う必要がある。
○ 労務管理の要素には、①採用管理(労働契約の締結、労働条件の明示、記録の作成・保存)、②就業規則による管理(就業
規則の作成・届出・周知・変更)、③労働時間管理(労働時間、休憩、休日、休暇)、④賃金管理、⑤安全衛生・福利厚生な
どがある。
○ 特に福祉の職場である社協においては、非正規職員の労務管理と女性職員の労務管理が重要になる。あわせて国では、
2019 年度より労働時間法制の見直しや公正な待遇の確保を内容とする働き方改革を実施しており、正規、嘱託、アルバイ
ト・パートなどさまざまな雇用形態で事業運営している社協として適切な対応が必要である。あわせて、処遇改善のための財
源の確保を図る。
(行政職員との人事交流・出向の取扱いについて)
○ 近年は、行政職員との人事交流を行う場合も増えている。このような人事交流は、社協職員が多様な経験をもつ機会となり、
行政職員が社協事業を理解することにもつながることから、行政と協議のうえ、必要に応じて実施する。
○ 行政職員の派遣や人事交流を実施する場合は、双方の業務の水準や職員の質の向上に資するものとするために、対等の立
場から、業務内容や派遣期間、給与負担、派遣や出向する職員について十分協議することが重要である。なお、実施にあた
っては、関係法令に基づき契約により行うものとする。
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4.組織(法人)管理体制の確立
○ 市区町村社会福祉協議会は、社会的な責任をもつ社会福祉法人として、①法令遵守、②適切な財務管理、③福祉
サービス利用者に対する権利保護の仕組み、④財務諸表や事業内容の情報公開、⑤個人情報の保護、⑥リスクマネ
ジメントなどの組織管理体制を確立する。
<解説>
○ 市区町村社協が社会的に責任をもった法人として適切に組織運営を行うためには、少なくとも以下のことに留意すべきであ
る。
① 法令遵守
地域住民や社会から信頼される社協作りに向け、規程や行動基準、マニュアルの作成、システムづくりといった法令遵守の体制
づくりに取り組む必要がある。ただ、法令遵守を徹底させるために、それが実践されてはじめて意義のあるものとなるのであり、社協
職員一人ひとりの倫理観とそれを社協活動に反映させる行動力が重要となる。
② 適切な財務管理
社会福祉法人会計基準や社協経理規程に則り、内部牽制をルール化し、適切に経理処理や財務諸表の作成を行う。また、各
種地域の団体の経理事務を受託する場合も、出納業務に関しては、社協の経理規程に基づく内部牽制などのルールに則るもの
とする。
③ 福祉サービス利用者に対する権利保護の仕組み
第三者委員や苦情受付窓口などを整備し、サービス利用者の権利保護を十分に行うとともに、利用者アンケートやモニター制度
を実施し、住民の立場からのサービスの評価を受けたり、第三者評価等を積極的に活用し、外部からの評価も受け、その結果を
公表することが必要である。
④ 財務諸表や事業内容の情報公開
財務諸表については、地域住民に対して閲覧ができるよう対応するとともに、その概要について広報誌等に掲載する。また、ホー
ムページの設置や委員会の傍聴など、事業内容について公開が可能となるよう諸規程等の整備を図る。
⑤ 個人情報の保護
市区町村社協がもつ地域住民や福祉サービス利用者の幅広い個人情報について、法令等に基づき規程を設け保護すること。特
に、職員に対して守秘義務を徹底するとともに、個人情報は、業務に必要な最小限度の収集に留める。
⑥ リスクマネジメント
業務マニュアルの作成などを通じて、業務内容を明らかにするととともに、リスクについて対応マニュアル等(事故対応マニュアル
等)を作成することが必要である。
4.内部管理体制の整備
○ 市区町村社会福祉協議会は、法人業務の適正を確保するため、リスク管理に関する体制、コンプライアンスに関する管
理体制などの内部管理体制を整備する。
<解説>
○ 市区町村社協が社会福祉法人として適切に法人運営を行うために、以下の内部管理体制を整備する。
1.経営に関する管理体制
① 理事会は、定時に開催するほか、必要に応じて臨時に開催し、法令・定款、評議員会の決議にしたがい、業務執行上の重
要事項を審議・決定するとともに、理事の職務執行を監督する。
② 「理事会運営規則」及び「評議員会運営規則」に基づき、理事会及び評議員会の役割、権限及び体制を明確にし、適切な
理事会及び評議員会の運営を行う。
③ 業務を執行する理事等で組織する経営戦略等に関する会議体(以下「経営会議等」という。)を定期的又は臨時に開催し、
業務執行上における重要事項について機動的、多面的に審議する。
④ 「理事職務権限規程」に基づき、業務を執行する理事の担当業務を明確化し、事業運営の適切かつ迅速な推進を図る。
⑤ 職務分掌・決裁権限を明確にし、理事、職員等の職務執行の適正性を確保するとともに、機動的な業務執行と有効性・効
率性を高める。
⑥ 評議員会、理事会、経営会議等の重要会議の議事録その他理事の職務執行に係る情報については、定款及び規程に基づ
き、適切に作成、保存及び管理する。
⑦ 業務執行機関からの独立性を有する内部監査部門を設置し、業務の適正及び効率性を確保するため、業務を執行する各
部の職務執行状況等を定期的に監査する。
2.リスク管理に関する体制
① リスク管理に関し、体制及び規程を整備し、役割権限等を明確にする。
② 「個人情報保護方針」及び「個人情報保護に関する諸規程」に基づき、個人情報の保護と適切な管理を行う。
③ 事業活動に関するリスクについては、法令や法人の規程等に基づき、職務執行部署が自律的に管理することを基本とする。
④ リスクの統括管理については、内部監査部門が一元的に行うとともに、重要リスクが漏れなく適切に管理されているかを適宜
監査し、その結果について業務を執行する理事及び経営会議等に報告する。
⑤ 法人の経営に重大な影響を及ぼすおそれのある重要リスクについては、経営会議等で審議し、必要に応じて対策等の必要
な事項を決定する。
⑥ 大規模自然災害、新型インフルエンザその他の非常災害等の発生に備え、対応組織や情報連絡体制等について規程等を
定めるとともに、継続的な教育と定期的な訓練を実施する。
3.コンプライアンスに関する管理体制
① 理事及び職員が法令並びに定款及び法人の規程を遵守し、確固たる倫理観をもって事業活動等を行う組織風土を高める
ために、コンプライアンスに関する規程等を定める。
② 法人のすべての役職員のコンプライアンス意識の醸成と定着を推進するため、不正防止等に関わる役職員への教育及び啓
発活動を継続して実施、周知徹底を図る。
③ 法人の内外から匿名相談できる通報窓口を常設して、不正の未然防止を図るとともに、速やかな調査と是正を行う体制を推
進する。コンプライアンスに関する相談又は違反に係る通報をしたことを理由に、不利益な取扱いは行わない。
④ 内部監査部門は、職員等の職務執行状況について、コンプライアンスの観点から監査し、その結果を経営会議等に報告す
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Ⅳ 広域圏での地域福祉の推進(市町村合併・広域事業等)
○ 市区町村社会福祉協議会は、市町村合併をはじめとする地方分権や地域の再編の状況を十分に把握
し、近隣の市区町村社協と相互協力して、広域での地域福祉の推進のあり方を検討し、具体的な事業
や取り組みを行う。
○ 特に、市町村合併にあたっては、当該社会福祉協議会は相互に連携し、新しい地域福祉圏域での福祉
サービスの水準や住民参加による福祉活動の取り組みのあり方を、住民や福祉サービス利用者の立場
に立って検討し、法人合併を含む組織体制の再編を行う。
○ さらに、必要に応じて複数の市町村を区域とした事業を実施するために、広域圏社会福祉協議会の設
置や広域事業を実施することを検討する。
<解説>
(広域的な地域福祉の推進)
○ 地方分権に伴い市町村合併の論議が全国的に進んでいる。昭和30年前後の「昭和の大合併」以来の大規模な自治体の再
編成とも言われる。市区町村社協は、市区町村にひとつ設置されるものとして社会福祉法に規定されているところから、市町
村合併に伴い法人を合併する必要があり、社協の組織・事業にとっても大きな影響を受けることが予想される。
○ また、過疎地域や山間部等においても、道路網の充実による交通手段の発達やインターネットの普及などによる情報手段の
発達により、地域住民の生活圏や経済圏は、大きく広がる一方で、こうした生活圏をひろげる手段にアクセスしにくい高齢者や
障害者の地域での生活が困難になっている状況もある。
○ こうした中で市区町村社協が地域の再編の状況や地域住民の生活課題を踏まえ、広域の視点から地域福祉のあり方を検討
し、具体的な事業を展開することも重要な役割である。
(市町村合併と市区町村社協)
○ 市町村合併が行われる場合、市区町村社協も法人合併等の組織の再編を行う必要がある。これは、市区町村は、地域福
祉を推進するうえでの有効な圏域(地域福祉圏)であり、社協の基礎単位としてとらえることを社協組織の基本的な考え方とし
る。理事等は、当該監査結果を踏まえ、所要の改善を図る。
4.監査環境の整備(監事の監査業務の適正性を確保するための体制)
① 監事は、「監事監査規程」に基づき、公平不偏の立場で監事監査を行う。
② 監事は、理事会等の重要会議への出席並びに重要書類の閲覧、審査及び質問等を通して、理事等の職務執行についての
適法性、妥当性に関する監査を行う。
③ 監事は、理事会が決定する内部統制システムの整備について、その決議及び決定内容の適正性について監査を行う。
④ 監事は、重要な書類及び情報について、その整備・保存・管理及び開示の状況など、情報保存管理体制及び情報開示体
制の監査を行う。
⑤ 監事の職務を補助するものとして、独立性を有するスタッフを配置する。
⑥ 理事又は職員等は、法人に著しい損害を与えるおそれのある事実又は法令、定款その他の規程等に反する行為等を発見し
た時は、直ちに理事長、業務執行理事並びに監事に報告する。
⑦ 理事及び職員等は、職務執行状況等について、監事が報告を求めた場合には、速やかにこれに応じる。
⑧ 会長は、定期的に監事と会合を持つなどにより、事業の遂行と活動の健全な発展に向けて意見交換を図り、相互認識を深
める。
Ⅳ 広域圏での地域福祉の推進(広域事業、都道府県社協との連携等)
○ 中山間地・過疎地等の資源の乏しい市区町村では対応が困難な課題や、単独の市区町村では解決が
難しい専門的な支援を必要とする課題については、近隣の市区町村社会福祉協議会が共同で広域事
業として実施したり、当該市区町村社会福祉協議会とともに都道府県・指定都市社会福祉協議会が、
連携して対応する。
○ 今後の少子高齢、人口減少社会を見据え、市区町村社会福祉協議会は複数市区町村域におけるサ
ービス提供、事業実施の検討・準備をすすめる。
<解説>
(広域的な地域福祉の推進)
○ 過疎地域や中山間地域、離島などの福祉サービス等の社会資源が十分でない地域や、各種社会参加の活動が広域でない
と成り立たない地域などでは、地域福祉の推進にあたって広域の視点を持たざるを得ない。
○ 社協の強みは、社協相互のネットワークがあることであり、単独の市区町村では経営が困難である事業や十分な人員配置が
できない事業についての共同事業や広域事業の実施、共同での地域福祉活動計画の策定を行い、住民相互の交流を図る
など、広域的な福祉活動や事業をそれぞれの地域福祉活動計画の中に位置づけることも考えられる。
○ 過疎地域や中山間地域等に限らず人口減少が続く地方部において、専門職等資源の確保が個々の市区町村社協では困
難であったり、事業によっては対象者の数がそもそも少なく、経営が困難な場合もある。このため、個々の市区町村社協が資
源を持ち寄り連携して事業を実施したり、サービスを提供することが求められている。
○ 実際に、日常生活自立支援事業や成年後見センターの運営、生活困窮者自立支援法による自立相談支援機関の運営等
においては、複数市区町村社協によるものや、都道府県社協が実施する事業に町村部が協力して事業を実施する例が見ら
れるようになってきた。
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ているからである。したがって、市町村合併にあたっては、従来の事業や活動の継続性を考慮に入れながらも、新しい地域福
祉圏域での地域福祉の推進をどのように図っていくかを関係者が十分検討し、その共通認識をつくることが最大の課題であ
る。
○ したがって、当該社協間での十分な連携は言うまでもないが、特に事業内容や財務状況などについては、早い段階から相互
に情報を共有しておく必要がある。当然行政が市町村合併の取り組みをリードしていくことになるが、その状況を踏まえつつも
社協のネットワークで新しい地域福祉のあり方を構想する視点で、地域住民の意見などをも十分に配慮しながら、取り組むこと
が重要である。
○ そのためには、合併前の段階から地域福祉活動計画を協働で策定することや、相互の地域福祉活動計画をすり合わせる作
業を行い、社協職員や住民自身の交流を図る取り組みを積極的に行う必要がある。
○ 具体的には、当該市区町村社協の役職員等による社協としての合併協議会を必ず設置して十分な検討を図り、その結果を
協定書等で取り交わし、合併にむけた事務手続きをすすめる。
○ また、合併によって住民参加の福祉活動が空洞化しないように、拠点を一本化せずに支所を設置するなど、社協活動が住民
に身近なものであり続けるための対応を検討しておく必要がある。
○ さらに、市町村合併の方向性がおおよそ決まっているのであれば、合併を見越して広域圏社協の設置などもふくめた広域事
業の展開を実践していくことも考えられる。
○ また、合併後の継続的な社協事業を展開するために、それまで補助金や委託事業などについて十分に協議することが重要
である。
○ そのほか、社協の合併に際しては、以下のような点を検討課題としておくことが重要である。
<合併への検討課題>
①互いの地域福祉活動計画の内容をすり合わせるなど、合併地域の社会資源や住民参加の活動、生活圏域等を踏まえ、支所
の設置など新しい圏域における地域福祉推進を構想化する。
②各社協の会員構成や住民組織の状況の把握と合併後の組織構成のあり方の検討
③各社協の事業内容、財源状況の把握と合併後の事業体制の検討
④各社協の職員処遇等の把握と合併後の処遇や職員配置の検討
(広域事業の検討)
○ 社会福祉法では、複数の市区町村を区域とした市区町村社協(広域圏社協)の設置や区域外での事業実施が規定された。
このことにより、市区町村社協は、広域での様々な事業を実施することが可能となっている。
○ 特に、過疎地域や山間部、離島などの福祉サービス等の社会資源が十分でない地域や、各種社会参加の活動が広域でな
いと成り立たない地域などでは、地域福祉の推進にあたって広域の視点を持たざるを得ない。
○ 社協の強みは、社協相互のネットワークがあることであり、在宅福祉サービスやボランティア市民活動センターなど、単独の市
町村では経営が困難である事業や十分な人員配置ができない事業についての共同事業や広域事業の実施、地域福祉活動
計画の策定を協働で行い、住民相互の交流を図るなど、広域的な福祉活動や事業をそれぞれの地域福祉活動計画の中に
位置づけることも考えられる。
○ 単独の市区町村では解決が難しい専門的な支援を必要とする医療的ケア児、難病・がん患者や、身近な地域では特段の配
慮が必要となるドメスティックバイオレンス(DV)、刑務所出所者等に対する支援を行うために、体制整備やネットワークの構築
を、市区町村社協は都道府県・指定都市社協と連携して計画化し、実施していくことも必要となる。
○ 今後、少子高齢、人口減少社会を迎える地域の状況や地域住民の生活課題を見据え、市区町村社協は広域の視点から地
域福祉のあり方を検討・計画化し、具体的な組織基盤の整備や事業展開を図ることが求められる。
○ さらに、事業の実施に限らず、共同による社協職員の人材育成、採用、人事交流等について検討することも必要である。
○ 社会福祉法では、複数の市区町村を区域とした社協(広域圏社協)の設置や区域外での事業実施が規定されており、市区
町村社協は、広域でのさまざまな事業を実施することが可能となっている。