医療衛生学に費やし、公衆衛生の発展に尽力した...

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  • 毎年、看護管理者として 6 月に開催される日本看護協会通常総会に長崎県看護協会理事として参加し、最新の

    看護界の情報を提供してきました。しかし、今年度は、理事および代議員も“新型コロナウイルス感染症”に対

    する不要不急の集まりは避けるとのこと総会の縮小が決定し、議決権行使書を提出しました。よって、通常総会

    資料からの抜粋と、今年 5 月 12 日に生誕 200 周年を迎えた“ナイチンゲール”について情報を提供します。

    フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale、1820 年 5 月 12 日~1910 年 8

    月 13 日)は、ヴィクトリア時代の英国で看護婦としてばかりではなく優秀な教育学者と

    しても活躍し、近代看護教育の母と呼ばれます。裕福な家庭に生まれながらクリミア戦争

    に看護師として従軍し、負傷兵たちを献身的かつ進歩的な方法で介護するほか、統計に基

    づく医療衛生改革でも大きな評価を受けました。

    ナイチンゲールの有名な著作の中に、『看護の覚え書き(南 裕子監修)』があり、第二

    章の“家屋の健康”の中で“感染”について「真の看護は、感染はそれを予防すること以外は顧みない。真の看

    護婦が問いかけ、あるいは必要としている唯一の防御策は、清潔さ、開け放たれた窓からの新鮮な空気、そして

    患者さんへの絶え間ない気遣いである。」と述べています。2019 年末から世界各国で重要課題とされている「新

    型コロナウイルス感染症」でも、「予防・換気・寄り添う看護」は、200 年前の真の看護と一緒です。

    日本看護協会は、ナイチンゲール生誕 200 年である 2020 年末まで、「看護職が持つ可能性を最大限に発揮し、

    人々の健康向上に貢献するために行動する『Nursing now 看護の力で健康な社会を』」スローガンに、世界保

    健機関(WHO)および国際看護協会(ICN)が賛同する世界的なキャンペーンに取り組んでいます(通常総会資

    料より一部抜粋)。なぜ今、新型コロナウイルス感染症の全世界的な拡大・蔓延の長期化なのか、もしかすると、

    未知のウイルスと対峙する医療従事者に対して、感染管理の礎を築いたナイチンゲールから、「看護職は専門職

    として自信と誇りをもって感染管理に立ち向かいなさい」と背中を押されているような気がします(私見)。

    国内では、新型コロナウイルス感染症の第1波が去り、先日緊急事態宣言が全国で解除されました。第 1 波で

    は緊急で対応されたことが多かったことと思います。各施設内での感染防止はもとより、自身が感染する、感染

    の媒介者になるかもしれない不安を感じながら 職務にあたっている医療従事者の安全と健康に気配りしながら、

    対応しなければなりません。緊急で対応してきた教訓を踏まえて、第 2 波に備えなければなりません。

    私が常に考えている看護の管理について紹介します。『看護覚え書き(林章夫ほか訳)』の『小管理』の中に、

    「優れた看護の効果もすべて、たった一つの欠陥から、損なわれたり、完全にだいなしになってしまったりする

    ことがあります。すなわち、それはほんのささいな管理上の欠陥で、言い換えれば、あなた方がその場にいると

    きにしていることを、不在の際にも行われるように計らう術を心得ていない場合のことを指します」と述べてい

    るように、看護は一人では完結しない。誰もが同じように行えるような手順書が必要で、患者さんの健康向上を

    医療従事者全員で考えていかなければいけないチームでの考えが必要で、一人として、欠陥があってはいけない

    と深く感じています。それは今回の新型コロナウイルス感染症への看護も一緒で、誰もが同じように手順書を用

    いて看護を提供する、医療従事者が一丸となって予防・対応に立ち向かうことが必須だと感じています。

    最後に、日夜、感染予防や診療などに最善を尽くし地域医療を支えている

    看護職をはじめ、医療関係者の皆様に敬意を表します

    (通常総会資料より一部抜粋)。

    作成・承認:認定看護管理者 横山 藤美

    2020 年 06 月発行

    医療衛生学に費やし、公衆衛生の発展に尽力したナイチンゲール生誕 200周年