合成化合物の構造解析を効率化。advion社製小型...

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2018 ユーザーレポート「九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室」 ― まずCMSをお知りになった経緯と購入の決め手をお伺いさせてください。 槇田先生 : 一年半ほど前に研究室で質量分析装置(MS)の購入を検討することにな りました。当時、精密質量分析は依頼分析で実施しており、それよりはTLCのように手軽 に使えるMSを購入すべく情報を収集していました。そこにタイミングよく代理店経由で予 算内に収まるADVION社CMSを紹介されました。 当初は懸濁液のようなサンプルを手軽に測定できるDART-MSを考えていましたが予算的に合わず、同じように使 えるASAPがオプションであるCMSに決めました。予算内に収まりましたしね。(笑) ― タイミングは重要ですね。現在はどのような用途で使用されていますか。 槇田先生 : 主に反応生成物の構造解析をするための指標として使っています。反応開発という研究テーマです ので生成物は多岐にわたります。その構造を早く知ることはとても重要です。 ― CMS導入前はそのワークフローはどのようにされていましたか。 槇田先生 主にGCとNMRを用いて検証していました。しかしそれだけではどうしても時間がかかることも多く、MS の情報を是非プラスしたいと考えていました。通常の反応は目的物が予想しやすいこともあり、GC+NMRで問題な いこともおおいですが、予想外の反応が起きたとき、やはりMSの情報は欠かせません。 ― なるほど、情報が多いほど解析には有利ですよね。では実際にCMSを使っての感想はい かがでしょうか。 槇田先生 : やはりASAPは便利です。サンプルをそのまま測定できるのでDARTと同じように 九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室 合成化合物の構造解析を効率化。ADVION社製小型質量 分析装置expression ® CMSで手軽に質量情報をゲット! ―手軽なMS検出器としてADVION CMS を導入。TLC代わりに FIA,ASAPを用いて構造確認プロセスの時間短縮に大活躍― 九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室では新規有 機合成反応の開発に取り組んでおられ、特に遷移金属錯体を 触媒とする反応の開発に注力されています。今回、 ADVION社製小型四重極質量分析装置CMS-SプラスASAP を導入されておられる槇田祐輔先生にお話を伺いました。 CMSを導入し時短達成! ASAPの簡便さ!

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Page 1: 合成化合物の構造解析を効率化。ADVION社製小型 …...FIA,ASAPを用いて構造確認プロセスの時間短縮に大活躍― 九州大学大学院理学研究院化学部門

2018

ユーザーレポート「九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室」

使えます。あと毎日使うわけではないので、装置の立ち上げが30分でできるのは助かります。必要な時だけ起動させることができるのはいいですね。

― 立ち上げたち下げの速さもこの装置の特徴の一つですので、そこを評価していただけるのはうれしいです。今お使いの測定以外にやってみたい使い方などはありますか。

槇田先生 : 反応の追跡などは実はGCで行うことが多く、CMSはその用途には使っていません。現在扱っているサンプルがGCとの相性が良いのと内標準物質をもちいたメソッドが確率しているからなのですが、そのGCにCMS付けられると面白いですね。GC-MS的に。

― GCとの接続事例はないのですが、vAPCIという呼気を直接測定するオプションがあります。それをうまく利用すると可能かもしれません。またご相談させてください。

槇田先生 : 通常のガラスカラムでのフラッシュ精製を行っていますが、それとうまく連携できませんか。

― 中圧精製はご存知のように弊社ではIsoleraシリーズを販売しております。こちらとでしたらシステマチックにFlash-MSとして使用できます。私としてはこちらをお勧めしますが、ガラスカラムでの精製ですと溶出フラクションをASAPで短時間で確認することをお勧めします。またASAP(APCI)で検出できないサンプルはESIでの分析になりますが、最新オプションとしてASAPのESIバージョンともいえるOPSIというキットが発売されました。ESIに対して液体をシリンジレスにて導入できるキットなので、一度試していただきたいですね。

槇田先生 : それは面白そうですね。

― もし先生がCMSを勧めるとしたらポイントはどこですか?

槇田先生 : やはり測定時間が早いということはいいですね。あとはメンテナンスがほとんどいらないということでしょうか。実際、導入後1年半ですが、ほとんどメンテナンスらしきことをやっていませんが、問題なく動いています。

― メンテナンスに関して質量分析装置は維持が大変と思ってしまいがちなので、手間がかからない点をもっとアピールしていきたいと思います。

本日はお忙しい中ありがとうございました。〈インタビュー実施:2018年5月11日〉

― まずCMSをお知りになった経緯と購入の決め手をお伺いさせてください。

槇田先生 : 一年半ほど前に研究室で質量分析装置(MS)の購入を検討することになりました。当時、精密質量分析は依頼分析で実施しており、それよりはTLCのように手軽に使えるMSを購入すべく情報を収集していました。そこにタイミングよく代理店経由で予算内に収まるADVION社CMSを紹介されました。

当初は懸濁液のようなサンプルを手軽に測定できるDART-MSを考えていましたが予算的に合わず、同じように使えるASAPがオプションであるCMSに決めました。予算内に収まりましたしね。(笑)

― タイミングは重要ですね。現在はどのような用途で使用されていますか。

槇田先生 : 主に反応生成物の構造解析をするための指標として使っています。反応開発という研究テーマですので生成物は多岐にわたります。その構造を早く知ることはとても重要です。

― CMS導入前はそのワークフローはどのようにされていましたか。

槇田先生 : 主にGCとNMRを用いて検証していました。しかしそれだけではどうしても時間がかかることも多く、MSの情報を是非プラスしたいと考えていました。通常の反応は目的物が予想しやすいこともあり、GC+NMRで問題ないこともおおいですが、予想外の反応が起きたとき、やはりMSの情報は欠かせません。

― なるほど、情報が多いほど解析には有利ですよね。では実際にCMSを使っての感想はいかがでしょうか。

槇田先生 : やはりASAPは便利です。サンプルをそのまま測定できるのでDARTと同じように

九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室

合成化合物の構造解析を効率化。ADVION社製小型質量分析装置expression® CMSで手軽に質量情報をゲット!

―手軽なMS検出器としてADVION CMS を導入。TLC代わりにFIA,ASAPを用いて構造確認プロセスの時間短縮に大活躍―九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室では新規有機合成反応の開発に取り組んでおられ、特に遷移金属錯体を触媒とする反応の開発に注力されています。今回、ADVION社製小型四重極質量分析装置CMS-SプラスASAPを導入されておられる槇田祐輔先生にお話を伺いました。

CMSを導入し時短達成!

ASAPの簡便さ!

Page 2: 合成化合物の構造解析を効率化。ADVION社製小型 …...FIA,ASAPを用いて構造確認プロセスの時間短縮に大活躍― 九州大学大学院理学研究院化学部門

2018

ユーザーレポート「九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室」

CMSの拡張性!

導入製品

九州大学の理学部は1939年に物理学科、化学科、地質学科の3学科で創設されました。現在の組織は、学部教育組織の理学部(5学科;物理学科、化学科、地球惑星科学科、数学科、生物学科)、大学院教育組織の大学院理学府(3専攻;物理学専攻、化学専攻、地球惑星科学専攻)、および教員組織の大学院理学研究院(4部門;物理学部門、化学部門、地球惑星科学部門、生物科学部門)から構成されています。

導入機関

九州大学大学院理学研究院化学部門 桑野研究室 伊都キャンパス

シングル四重極マルチユース質量分析計

ASAP:固体測定用プローブ

シングル四重極マルチユース質量分析計ADVION expression® CMS:URL: http://www.biotage.co.jp/advion_expression_cms

使えます。あと毎日使うわけではないので、装置の立ち上げが30分でできるのは助かります。必要な時だけ起動させることができるのはいいですね。

― 立ち上げたち下げの速さもこの装置の特徴の一つですので、そこを評価していただけるのはうれしいです。今お使いの測定以外にやってみたい使い方などはありますか。

槇田先生 : 反応の追跡などは実はGCで行うことが多く、CMSはその用途には使っていません。現在扱っているサンプルがGCとの相性が良いのと内標準物質をもちいたメソッドが確率しているからなのですが、そのGCにCMS付けられると面白いですね。GC-MS的に。

― GCとの接続事例はないのですが、vAPCIという呼気を直接測定するオプションがあります。それをうまく利用すると可能かもしれません。またご相談させてください。

槇田先生 : 通常のガラスカラムでのフラッシュ精製を行っていますが、それとうまく連携できませんか。

― 中圧精製はご存知のように弊社ではIsoleraシリーズを販売しております。こちらとでしたらシステマチックにFlash-MSとして使用できます。私としてはこちらをお勧めしますが、ガラスカラムでの精製ですと溶出フラクションをASAPで短時間で確認することをお勧めします。またASAP(APCI)で検出できないサンプルはESIでの分析になりますが、最新オプションとしてASAPのESIバージョンともいえるOPSIというキットが発売されました。ESIに対して液体をシリンジレスにて導入できるキットなので、一度試していただきたいですね。

槇田先生 : それは面白そうですね。

― もし先生がCMSを勧めるとしたらポイントはどこですか?

槇田先生 : やはり測定時間が早いということはいいですね。あとはメンテナンスがほとんどいらないということでしょうか。実際、導入後1年半ですが、ほとんどメンテナンスらしきことをやっていませんが、問題なく動いています。

― メンテナンスに関して質量分析装置は維持が大変と思ってしまいがちなので、手間がかからない点をもっとアピールしていきたいと思います。

本日はお忙しい中ありがとうございました。〈インタビュー実施:2018年5月11日〉

― まずCMSをお知りになった経緯と購入の決め手をお伺いさせてください。

槇田先生 : 一年半ほど前に研究室で質量分析装置(MS)の購入を検討することになりました。当時、精密質量分析は依頼分析で実施しており、それよりはTLCのように手軽に使えるMSを購入すべく情報を収集していました。そこにタイミングよく代理店経由で予算内に収まるADVION社CMSを紹介されました。

当初は懸濁液のようなサンプルを手軽に測定できるDART-MSを考えていましたが予算的に合わず、同じように使えるASAPがオプションであるCMSに決めました。予算内に収まりましたしね。(笑)

― タイミングは重要ですね。現在はどのような用途で使用されていますか。

槇田先生 : 主に反応生成物の構造解析をするための指標として使っています。反応開発という研究テーマですので生成物は多岐にわたります。その構造を早く知ることはとても重要です。

― CMS導入前はそのワークフローはどのようにされていましたか。

槇田先生 : 主にGCとNMRを用いて検証していました。しかしそれだけではどうしても時間がかかることも多く、MSの情報を是非プラスしたいと考えていました。通常の反応は目的物が予想しやすいこともあり、GC+NMRで問題ないこともおおいですが、予想外の反応が起きたとき、やはりMSの情報は欠かせません。

― なるほど、情報が多いほど解析には有利ですよね。では実際にCMSを使っての感想はいかがでしょうか。

槇田先生 : やはりASAPは便利です。サンプルをそのまま測定できるのでDARTと同じように