中学校が直面する諸課題に関する資料...2016/05/31 · 少人数指導 tt その他...
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中学校が直面する諸課題に関する資料
平 成 2 8 年 5 月 1 9 日
教 育 課 程 部 会中 学 校 会
資料3
男子:昭23と平25との間の変化を比較すると、身長の伸びの大きい時期が早まっている。14~15歳 → 12~13歳
女子:昭23と平25との間の変化を比較すると、身長の伸びの大きい時期が早まっている。11~13歳 → 10~11歳
男女児童の身長・体重平均値の推移
(出典)昭和23年(1948年)度 及び 平成25年(2013年)度 学校保健統計調査より
【男子】伸び(cm)
身長(cm) 【女子】
伸び(cm)
身長(cm)
【男子】増加(kg)
体重(kg)
男子:昭23と平25との間の変化を比較すると、体重の伸び
の大きい時期が早まっている。14~16歳 → 12~15歳
女子: 昭23と平25との間の変化を比較すると、体重の伸び
の大きい時期が早まっている。12~15歳 → 11~12歳
【女子】増加(kg)
体重(kg)
◆子供の身体的成長(身長・体重)は幼児期から約2歳早くなっている。
1
児童生徒のメンタルヘルス
気分の落ち込みのせいで、何もする気にならないことがある 集中したり、すばやく考えたりできないことがある
メンタルヘルスの自覚症状については中学生→高校生と上がるにつれて高く、男子より女子のほうが高いことが示されている。
公益財団法人学校保健会 平成24年度「児童生徒の健康状態サーベイランス」事業報告書(調査期間 平成25年1~3月、調査対象 小・中・高校生12270人) より 2
10.4 24.8 32.9 17.3 8.9 5.6
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
学校の授業時間以外に,普段(月~金曜日),1日あたりどれくらいの時間,勉強をしますか
3時間以上 2時間以上、3時間より少ない 1時間以上、2時間より少ない30分以上、1時間より少ない 30分より少ない 全くしない
5.6 12.0 23.5 26.9 20.8 11.1
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
土曜日や日曜日など学校が休みの日に,1日あたりどれくらいの時間,勉強をしますか
4時間以上 3時間以上、4時間より少ない 2時間以上、3時間より少ない1時間以上、2時間より少ない 1時間より少ない 全くしない
普段、学校外での学習時間が1時間未満の生徒の割合は約30%。
文部科学省「平成26年度全国学力・学習状況調査」 3
学習習慣(中学校3年生)
4
各学校における個に応じた指導の実施状況(公立小・中学校)
個に応じた指導を実施する学校の割合
個に応じた指導の実施内容
少人数指導 TT その他 実施校数
小学校 67.4% 81.0% 58.0% 94.2%
中学校 67.4% 83.3% 50.2% 96.4%
補充的な学習を取り入れた指導を実施
発展的な学習を取り入れた指導を実施
課題別、興味・関心別の指導を実
施
その他
小学校 92.0% 42.5% 12.3% 4.1%
中学校 84.7% 40.1% 11.4% 7.0%
92.0%
42.5%
12.3%
84.7%
40.1%
11.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
中学校
小学校
補充的な学習を取り入れた指導を実施
発展的な学習を取り入れた指導を実施
課題別、興味・関心別の指導を実
施
その他
小学校 92.2% 26.2% 12.1% 3.5%
中学校 88.9% 23.0% 11.4% 4.8%
TTを実施する場合の実施内容少人数を実施する場合の実施内容
92.2%
26.2%
12.1%
88.9%
23.0%
11.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
中学校
小学校
課題別・興味関心別の指導
発展的な学習
補充的な学習
課題別・興味関心別の指導
発展的な学習
補充的な学習
(出典)文部科学省「平成27年教育課程の編成・実施状況調査」
主体的・対話的で深い学びの実現(「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善)について(イメージ)(案)
○「論点整理」におけるアクティブ・ラーニングの視点
【深い学び】習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程
が実現できているかどうか。【対話的な学び】
他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか。
【主体的な学び】子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主
体的な学びの過程が実現できているかどうか。
【深い学び】習得・活用・探究の見通しの中で、教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせて思考・判断・表現
し、学習内容の深い理解につなげる「深い学び」が実現できているか。
【対話的な学び】子供同士の協働、教師や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自
らの考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
【主体的な学び】学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら、見通しを持って
粘り強く取組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
平 成 2 8 年 5 月 9 日
教 育 課 程 部 会高 等 学 校 部 会
資料8
総則・評価特別部会及び各教科等WGの議論を踏まえ、以下のように整理できるのではないか
5
第2 各活動・学校行事の目標及び内容〔学級活動〕(1)学級や学校の生活づくり
ア 学級や学校における生活上の諸問題の解決イ 学級内の組織づくりや仕事の分担処理ウ 学校における多様な集団の生活の向上
(2)適応と成長及び健康安全ア 思春期の不安や悩みとその解決イ 自己及び他者の個性の理解と尊重ウ 社会の一員としての自覚と責任エ 男女相互の理解と協力オ 望ましい人間関係の確立カ ボランティア活動の意義の理解と参加キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成ク 性的な発達への対応ケ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
(3)学業と進路ア 学ぶことと働くことの意義の理解イ 自主的な学習態度の形成と学校図書館の利用ウ 進路適性の吟味と進路情報の活用エ 望ましい勤労観・職業観の形成オ 主体的な進路の選択と将来設計
現行の中学校学習指導要領(特別活動)
総則の構成や社会の要請などを踏まえて整理すべき視点(例)
中学校特別活動の内容の構成(学級活動)について(イメージ案)
食育の視点
心身の健康、安全・防災等の視点
社会参画の視点
キャリア形成の視点
主体的な学びの視点
改善のイメージ案
(1)学級や学校における集団生活の形成、参画(仮)
⇒主として自発的・自治的な集団生活の形成や運営に関わる内容であり、集団としての議題の選定や話合い、合意形成を大事にする活動
例)学校における多様な集団生活の向上、学級や学校における生活上の諸問題の解決、学級内の組織づくりと役割分担など、校内におけるよりよい集団生活の形成や運営、向上に関する内容
※日々の学級経営との関連を図る
(2)一人一人の適応や成長及び健康安全な生活の実現(仮)
⇒主に個人が現在直面する生活における適応や成長、自律等に関わる内容であり、一人一人の理解や自覚等を大事にする活動
例)男女相互の理解と協力などの多様性を尊重した望ましい人間関係の形成や、思春期の不安や悩みの解決や性的な発達への対応、食育の視点や学校給食、食習慣の形成など、生徒個人の適応や成長及び健康安全に関する内容※関係教科、個別の生活指導や生徒指導との関連を図る
(3)一人一人のキャリア形成と実現(仮)
⇒主に将来に向けた自己の実現に関わる内容であり、一人一人の主体的な意思決定を大事にする活動
例)学校図書館の利用など、学びと社会生活・職業生活の接続と振り返り(ポートフォリオ)、ボランティア活動の充実や勤労観・職業感の育成を含むなど、自己のキャリア形成と実現に関する内容*高等学校においては、社会的移行への対応を含む
※個に応じた学習の支援や進路指導との関連を図る
(学級活動の改善の方向性)特別活動で育成すべき資質・能力の3つの視点(人間関係、社会への参画、自己実現)や、総則の構成や社会の要請などを踏まえて整理すべき視点など、教育課程全体における特別活動の役割も踏まえて、各活動の内容構成の構造を整理し、趣旨を明確化する
社会参画・自治の視点◇○□◇○□◇○□
◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□
◇○□◇○□◇○□◇○□◇○□
◇○○
◇○
□◇ □○□
◇◇○□□□□
○□□□
○□○□
学校段階間の接続の視点
多様性を尊重する社会の視点
生活指導、生徒指導と関連する視点
個に応じた学習の支援や進路指導と関連する視点
学級経営と関連する視点
3つの視点
3つの視点との関係は、主として関わる視点を共闘して示しているが、それ以外の視点とも相互に関わりあっている。ここでは、指導にあたって特に意識すべきと考えられる視点を記している。
※本資料は、個別具体的にどういった言葉を入れるかというものではなく、特別活動の基盤となる学級活動の意義、趣旨が明確になるようにするためにはどのような構成とすべきかを議論するためのイメージである。
平成2 8年5月13日特 別 活 動 W G
資料5-1
6
学校間や教師間の差が大きく、例えば次のような課題が見られることも。■ 「道徳の時間」は、各教科等に比べて軽視されがち■ 読み物の登場人物の心情理解のみに偏った形式的な指導■ 児童生徒に望ましいと思われる分かりきったことを言わせたり書かせたりする授業
教育再生実行会議の提言や中央教育審議会の答申を踏まえ、「道徳の時間」(小・中学校で週1時間)を「特別の教科 道徳」(「道徳科」)(引き続き週1時間)として新たに位置付ける学習指導要領の一部改正
☑ 道徳科に検定教科書を導入☑ 内容について、いじめの問題への対応の充実や発達の段階をより一層踏まえた体系的なものに改善・「個性の伸長」「相互理解、寛容」「公正、公平、社会正義」「国際理解、国際親善」「よりよく生きる喜び」の内容項目を小学校に追加
☑ 問題解決的な学習や体験的な学習などを取り入れ、指導方法を工夫☑ 数値による評価ではなく、児童生徒の道徳性に係る成長の様子を把握
※私立小・中学校はこれまでどおり、「道徳科」に代えて「宗教」を行うことが可能
「考え、議論する」道徳科へ質的に転換
平成27年度から、一部改正学習指導要領の趣旨を踏まえた取組可能
道徳教育について道徳の時間の課題例
具体的なポイント
<検討の方向性>■ 改正小・中学校学習指導要領の着実な実施のための方策。■ 改正小・中学校学習指導要領の趣旨を踏まえた高等学校における道徳教育の在り方。
※検討に当たっては、公民科等における内容の改善と併せて検討。7
現状
【高等学校】○目標:コミュニケーション能力を養う○授業は英語で行うことが基本
【中学校】
教科型を通じた4技能の総合的育成○目標:コミュニケーション能力の基礎を養う○前回改訂で週3⇒週4に増
【小学校高学年】
○目標:「聞く」「話す」を中心としたコミュニケーション能力の素地を養う
○学級担任を中心に指導
年間35単位時間 ※
【小学校中学年】
○目標:「聞く」「話す」を中心としたコミュニケーション能力の素地を養う
○主に学級担任がALT等を一層積極的に活用したT・Tを中心とした指導年間35単位時間(週1コマ程度)年間35単位時間(週1コマ程度)
【小学校高学年】
目標例:例えば、馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや、家族、一日の生活などについて、友達に質問したり質問に答えたりできるようにする
○ 「聞く」「話す」に加え、「読む」「書く」の育成も含めたコミュニケーション能力の基礎を養う。
○ 学級担任が専門性を高め指導、併せて専科指導を行う教員を活用、ALT等を
一層積極的に活用
年間70単位時間 ※
CEFR
B2
B1
A2
A1
英語教育の抜本的強化のイメージ
全国的な英語
4技能学力調査
高等学校基礎学力
高等学校基礎学力
テスト(仮称)
高校卒業レベルで3000語
※具体的な小学校の授業時数については、年内~年明けを目途に教育課程全体の構成とともに検討を進め、 一定の方向性を提示
教科型
教科として系統的に学ぶため、効果的な「繰り返し学習」としてモジュール学習も活用
活動型外国語活動が成果を上げ、児童の「読む」「書く」も含めた系統的な学習への知的欲求が高まっている状況
活動型
年間140単位時間(週4コマ程度)年間140単位時間(週4コマ程度)
国の目標(英検3級程度等50%)→現状35%・言語活動が十分でない
国の目標(英検準2~2級程度等50%)→現状32%
・生徒の学習意欲、「書く」「話す」に課題・言語活動が十分でない
【高等学校】
目標例:例えば、ある程度の長さの新聞記事を速読して必要な情報を取り出したり、
社会的な問題や時事問題など幅広い話題について課題研究したことを発
表・議論したりすることができるようにする
○ 授業を英語で行うことを基本とするとともに、①4技能を総合的に扱う言語活動、②特に、課題がある「話すこと」、「書くこと」において発信力を強化する言語活動を充実(発表,討論・議論,交渉等)
【高等学校】
目標例:例えば、ある程度の長さの新聞記事を速読して必要な情報を取り出したり、
社会的な問題や時事問題など幅広い話題について課題研究したことを発
表・議論したりすることができるようにする
○ 授業を英語で行うことを基本とするとともに、①4技能を総合的に扱う言語活動、②特に、課題がある「話すこと」、「書くこと」において発信力を強化する言語活動を充実(発表,討論・議論,交渉等)
【中学校】
目標例:例えば、短い新聞記事を読んだり、テレビのニュースを見たりして、その概要を
伝えることができるようにする
○ 身近な話題について理解や表現、情報交換ができるコミュニケーション能力を養う。
互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う対話的な言語活動を重視した授業を英語で
行うことを基本とする
【中学校】
目標例:例えば、短い新聞記事を読んだり、テレビのニュースを見たりして、その概要を
伝えることができるようにする
○ 身近な話題について理解や表現、情報交換ができるコミュニケーション能力を養う。
互いの考えや気持ちなどを英語で伝え合う対話的な言語活動を重視した授業を英語で
行うことを基本とする年間140単位時間
新たな英語教育
大学や海外、社会で英語力を伸ばす基盤を確実に育成
改善のためのPDCA
サイクル
改善のためのPDCA
サイクル
成熟社会にふさわしい我が国の価値を海外展開したり、厳しい交渉を勝ち
抜く人材の育成
年間35単位時間
【小学校】
高で1800語
中で1200語
※CEFRとは、シラバスやカリキュラムの手引きの作成、学習指導教材の編集のために、透明性が高く分かりやすく参照できるものとして、20年以上にわたる研究を経て、2001年に欧州評議会(Council of Europe)が発表。
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幼稚園、小学校、中学校、高等学校等における特別支援教育について
特別支援教育部会に
おける検討事項
特別支援教育部会における主な意見
① 各教科等の目標
を実現する上で
考えられる困難
さに配慮するた
めに必要な支援
の改善・充実。
【現状】
・学習指導要領の総則において「個々の児童の障害の状態等に応
じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと」
と規定。
・学習指導要領解説(総則編)において、障害別の配慮を例示。
【主な意見】
各教科等の目標を実現するとともに、児童生徒の障害の状態や
学習の過程で考えられる困難さに配慮した指導ができるよう、
○総則だけではなく、各教科等においても配慮の例を示すことが
必要ではないか。
○総則及び各教科等において示す際には、障害別の配慮のみなら
ず、学習の過程で考えられる困難さに対する配慮の例を示すこ
とが考えられるのではないか。
○また、困難さを克服するとともに、得意な分野を伸ばすことへ
の配慮も示していく必要があるのではないか。
② 通級による指導
や特別支援学級
の意義、それらの
教育課程の取扱
いについての改
善・充実。
【現状】
≪通級による指導、特別支援学級ともに≫
・通級による指導や特別支援学級の目的や内容については、別途、
学校教育法施行規則及び文部科学省告示で規定。(このため、学
習指導要領では、通級による指導や特別支援学級の教育課程の
取扱い等に関する規定は設けられていない。)
≪通級による指導≫
・文部科学省告示において、障害に応じた特別の指導は、障害の
状態の改善又は克服を目的とする指導と規定。
・学習指導要領解説において、指導に当たっては、特別支援学校
における指導領域「自立活動」を参考として、個々の児童生徒
の障害の状態等に応じて目標・内容を定め、学習活動を実施す
ることを記述。
特別支援教育部会における検討状況(第 6 回まで)
10
・高等学校における指導については、現在、「高等学校における特
別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」において検討
を行っており、この検討経過を踏まえ、特別支援教育部会、高
等学校部会や総則・評価特別部会において、単位認定・学習評
価の在り方、高等学校教育における共通性と多様性のバランス
を踏まえた単位数の在り方などの論点について、教育課程全体
の改訂の議論の中で検討を行う予定。
≪特別支援学級≫
・文部科学省通知及び学習指導要領解説において、特別支援学級
における指導に当たって、特別の教育課程を編成する場合は、
必要に応じて、特別支援学校小・中学部学習指導要領を参考と
して、実情に合った教育課程を編成することを記述。
(学習指導要領解説で示している例)
・特別支援学校の「自立活動」を取り入れる
・各教科の目標・内容を下学年の教科の目標・内容に替える
・特別支援学校(知的障害)の各教科の一部又は全部に替える
など
【主な意見】
≪通級による指導≫
通級による指導の充実を図るとともに、通級による指導と各教
科等の指導との関連が明らかになるよう、
○学習指導要領の総則において、通級による指導の目標・内容や、
教育課程の構造等、配慮事項等を示すことが必要ではないか。
≪特別支援学級≫
小・中学校教育の目標や内容を達成するとともに、学級の実態
や児童生徒の障害の程度等を踏まえた、実情に合った教育課程が
編成できるよう、
○学習指導要領の総則において、特別支援学級における教育課程
の基本的な考え方や編成の方針等を具体的に示すことが必要で
はないか。
11
③ 合理的配慮の提
供も含めた「個別
の教育支援計画」
や「個別の指導計
画」の位置付け並
びに作成・活用の
方策についての
明確化。
【現状】
≪合理的配慮※の提供≫
・障害者の権利に関する条約(平成 19 年 9 月日本国署名)を踏
まえ、中央教育審議会初等中等教育分科会報告「共生社会の実
現に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援
教育の推進」(平成 24 年 7 月)において、合理的配慮の観点(3
観点 11 項目、参考資料P11 参照)を示し、各学校における合
理的配慮の提供を周知。
・障害者差別解消法の施行(平成 28 年 4 月)に伴い、合理的配
慮の提供について、国や地方公共団体は法的義務、民間事業者
は努力義務が課される。 ※権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対
し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現
に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合におい
て、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害す
ることとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理
的な配慮を行うことを求めている。
≪個別の指導計画、個別の教育支援計画≫
・学習指導要領総則において、障害のある幼児児童生徒などに対
して、個々の幼児児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容や
指導方法の工夫を計画的、組織的に行うことが例示されている。
・作成する必要がある幼児児童生徒に対する作成状況は、小・中
学校においては作成が進んでいたが、幼稚園、高等学校におい
ては作成状況に課題。
【主な意見】
≪合理的配慮の提供≫
○合理的配慮の考え方(合理的配慮の観点、意思の表明から提供
までの留意点など)を示す必要があるのではないか。
○合理的配慮が継続的に提供できるよう、「個別の指導計画」や「個
別の教育支援計画」を作成する際にも、合理的配慮の提供につ
いて記述することが必要ではないか。
≪個別の指導計画、個別の教育支援計画≫
○通級による指導を受ける児童生徒及び特別支援学級に在籍する
児童生徒については、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計
画」を全員作成することとしてはどうか。
12
○「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・活用の
留意点(実態把握から評価改善など)を示すことが必要でない
か。
④ 特別支援教育コ
ーディネーター
を中心とした校
内体制の確立等
の観点等の明確
化。
【現状】
・学習指導要領総則において、個々の幼児児童生徒の障害の状態
等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行う
こととし、学習指導要領解説において、特別支援教育コーディ
ネーターを中心とした校内体制の在り方を示している。
・校内委員会の設置状況及び特別支援教育コーディネーターの指
名状況は小・中学校ではおおむね100%(幼稚園での設置・
指名はそれぞれ約 60%、高等学校では約 85%)。
【主な意見】
特別支援教育に係る組織的な対応が一層充実されるよう、
○特別支援教育コーディネーターの役割は不可欠となっており、
特別支援教育コーディネーターを中心とする校内体制等の在り
方(特別支援教育に係る校内委員会の設置、教務や生徒指導等
との連携など)を示す必要があるのではないか。
⑤ 共生社会の形成
に向けた障害者
理解の促進、交流
及び共同学習の
一層の充実。
【現状】
・総則において、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習
や(中略)を設けることと規定。
・幼稚園、小・中・高等学校及び特別支援学校において、それぞ
れの学校の教育課程に位置付け、計画的な交流及び共同学習を
実施。
【主な意見】
○学習指導要領総則の一般方針において、共生社会の形成に向け
た障害者理解の促進を示す必要があるのではないか。
※交流及び共同学習の理念や取組を共有すること(事例集等の作
成など)や、交流及び共同学習を通して育む力と教育課程との
関係、特別支援教育コーディネーターを中心とした実施体制の
在り方等について、引き続き、特別支援教育部会で検討する必
要。
13
特別支援学校における教育について
特別支援教育部会に
おける検討事項
特別支援教育部会における主な意見
⑥ 幼児児童生徒の発達の段階に応じた自立活動の改善・充実。
【現状】
・個々の幼児児童生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生
活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、
態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を養うこ
とを目的に、「自立活動の時間」を中心に、学校の教育活動全体
で指導。
・高等部段階の生徒数が増加し、社会に出てからも、自己理解し、
得意不得意を伝えることが苦手だったり、進路先で人間関係を
築く力などが十分に育っていない、などの課題が指摘。
・児童生徒の実態把握から導かれた指導目標と到達状況の乖離。
・通級による指導や特別支援学級で学ぶ児童生徒の増加により、
「自立活動」を行う場が拡大。
【主な意見】
特別支援学校学習指導要領において、
○自己の理解や感情を高めるような内容の整理、主体的に学ぶ意
欲の一層の伸長など、発達段階を踏まえた自立活動の内容の改
善・充実が必要ではないか。
○実態把握、指導目標の設定、項目の選定、具体的な指導内容の
設定までのプロセスを結ぶ要点をわかりやすく記述ことが必要
ではないか。
○自立活動における多様な評価方法をわかりやすく記述すること
が必要ではないか。
小・中・高等学校学習指導要領において、
○自立活動の目的、内容などを記述することが必要ではないか。
⑦ 知的障害のある児童生徒のための 各 教 科 の 改善・充実。
【現状】
・知的障害のある児童生徒の学習上の特性(学習によって知識や
技能が断片的になりやすく、実際の生活の場で応用されにくい
ことなど)を踏まえた内容で構成。
・一人一人の児童生徒の障害の程度などに応じた教育課程が編成
できるよう、学習指導要領においては、段階別に、各教科の目
14
標及び内容を大綱的に示している。
・各教科等を合わせた指導を行う場合、各教科の目標・内容を関
連づけた指導及び評価の在り方が曖昧になりやすく、学習指導
の改善に十分に生かしにくい、という指摘がある。
・特別支援学級(小・中学校)において、一部又は全部を、特別
支援学校(知的障害)の各教科に替えて指導する場合の教育課
程編成上の留意点がわかりにくい、という指摘がある。
など
【主な意見】
次のような改善が必要。
○小学校等との各教科を通して育成される資質・能力と知的障害
のある児童生徒のための各教科を通して育成される資質・能力
は同じものとして、小学校等の各教科の目標・内容と関連付け
て整理することが必要ではないか。
○例えば、中学部・高等部社会科において、政治的主体、経済的
主体、法的主体となることの重視や、グローバル化を踏まえた、
我が国及び外国の歴史や生活・文化の理解など、社会の変化に
対応した各教科の内容や構成の充実が必要ではないか。
○中学部の段階について、小学部の段階や高等部の段階とのつな
がりを整理することで、各学部・段階の連続性のある学習内容
を設定し、学部間等の円滑な接続を図ることが必要ではないか。
○各教科等で求められる資質・能力を育成することを、各教科等
を合わせた指導を行う場合において明確にすることが必要では
ないか。
○知的障害のある児童生徒が質の高い深い学びを実現するために
必要な指導方法の充実が必要ではないか。
○各教科の評価の観点による学習評価を導入し、学習評価をもと
に、教育課程の PDCA サイクルを確立することが必要ではない
か。
○特別支援学級(小・中学校)における取扱い、小・中・高等学
校の各教科との関連の可視化する必要があるのではないか。
など
※幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等との間で、子供たち一人
一人の学びの連続性を実現するための教育課程の円滑な接続の実現については、今後、特別支援教育部会で検討した上で、総則・評価特別部会において検討を行う予定。