同志社大学工学部における グリッドコンピューティ...

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大学 における グリッドコンピューティング 大学 システムデザイン システム 大学 システムデザイン システム にグリッド において グリッドコンピューティングに する っている. システムデザイン にそ す. 1 ネットワーク構成 1 にスーパー SINET から システムデザイン サブネットワークま す.1 Cisco12406 (NIIにあるスーパー SINET ノード あり,そこから メディアコンバータを して 大学 ネットワークに 1Gbps されている.Alpine3804 大学 システム にあるが,ブリッジ 割を たしているだけ あり,グリッド より システムデザイン ポイント して割り てられている IP アドレス(172.22.4.10Linux router られている.Linux router システムデザイン ある.Linux router 1 インタフェースに 172.22.24.1 IP アドレスを ち, システムデザイン する 8 ノード PC クラスタに 172.22.24.0/24 ネットワーク じて されている.Cisco12406 から PC クラスタま 1Gbps っている.一 Cisco12406 120GbpsAlpine3804 L2 にて)32Gbps スイッチング っており,いずれ リンク スループット以 している. 1: ネットワーク Linux router Cisco12406 172.22.4.8/29 ネットワークを して MPLS grid-1 され, 大学 172.22.4.0/29 ネットワークに されている(MPLS grid-1 172.22.4.9172.22.4.1 インタフェース る.). MPLS grid-1 Subnet A ゲート ェイ・アドレス して 172.22.0.11 っている. 大学 ,学 キャンパスグリッド TitechGrid)をスーパー SINET するため,172.22.4.2 アドレスを Summit5i にて,172.22.4.0/29 TitechGrid ネットワーク ある 172.17.0.0/16 ルーティングを っている.4 MPLS grid-1 す. 1

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Page 1: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

同志社大学工学部におけるグリッドコンピューティングへの取り組み

同志社大学工学部・知的システムデザイン研究室・材料システム研究室

同志社大学では,工学部・知的システムデザイン研究室・材料システム研究室を中心にグリッド研究部会において

グリッドコンピューティングに関連する研究を行っている.本稿では,知的システムデザイン研究室が取り組んでき

た研究活動を中心にその成果を示す.

1 ネットワーク構成

1にスーパーSINETから知的システムデザイン研究室のサブネットワークまでの物理構成を示す.1中のCisco12406は国立情報学研究所 (NII)の管理下にあるスーパー SINETのノードであり,そこから光メディアコンバータを経由して同志社大学内のネットワークに 1Gbpsの回線で接続されている.Alpine3804は同志社大学情報システム課の管理下にあるが,ブリッジの役割を果たしているだけであり,グリッド研究部会より知的システムデザイン研究室への

接続ポイントとして割り当てられている IPアドレス(172.22.4.10)は Linux routerに振られている.Linux router以降は,知的システムデザイン研究室の管理である.Linux routerはもう 1つのインタフェースに 172.22.24.1の IPアドレスを持ち,知的システムデザイン研究室が所有する 8ノードの PCクラスタに 172.22.24.0/24のネットワークを通じて接続されている.Cisco12406から PCクラスタまでの回線は全て 1Gbpsの理論性能を持っている.一方,Cisco12406は 120Gbps,Alpine3804は(L2にて)32Gbpsのスイッチング能力を持っており,いずれも接続リンクの合計スループット以上を保持している.

図 1: 物理ネットワーク構成

Linux router は Cisco12406 との間で 172.22.4.8/29 のネットワークを形成して MPLS grid-1 に接続され,東京工業大学の 172.22.4.0/29のネットワークに接続されている(MPLS grid-1では同志社大側は 172.22.4.9,東工大側は 172.22.4.1 のインタフェースとなる.).同時にMPLS grid-1は,Subnet Aへのゲートウェイ・アドレスとして172.22.0.11を持っている.東京工業大学では,学内のキャンパスグリッド網(TitechGrid)をスーパー SINETに接続するため,172.22.4.2のアドレスをもつ Summit5i上にて,172.22.4.0/29と TitechGridのネットワークである172.17.0.0/16のルーティングを行っている.4にMPLS grid-1の構成を示す.

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Page 2: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

図 2: MPLS grid-1の構成

2 OGSAに基づく最適設計支援システム

近年の広域ネットワーク性能の劇的な向上を背景に,複数の拠点に存在するスーパーコンピュータや大規模クラ

スタなどの計算資源,高性能なアプリケーションや大規模なストレージなどの情報資源,さらには人や組織を仮想

的に統合し,利用するための基盤技術であるGridが高い注目を集めている.Gridに関する研究はすでに数多く存在し,Gridで利用できるアプリケーションを作成するための数々のミドルウェアが開発されている.特に最近では,ビジネス分野でのGridの利用から,Grid技術とWebサービス技術との融合が検討されている.ここでは,Webサービスの標準技術を Gridに適合するように拡張した Gridサービスを定義しており,この定義に OGSA (Open GridServices Architecture)が用いられる.Webサービスは,アプリケーションに対するアクセス手法を標準化し,アプリケーションを相互に連携することを目標に設計されているが,Gridサービスではアプリケーションだけでなく,分散したすべての計算資源を仮想化し,統合して利用できることを想定している.また,この動きは今後,さらに加速

し発展していくことが予想される.

一方で,このような Gridに関する種々の研究は,より大規模で複雑な最適化問題における,効率的な問題解決の可能性を示している.一般に大規模で複雑な最適化問題の解法には,複数の計算資源を用いた分散並列処理のみなら

ず,高性能な最適化や解析のためのアプリケーションが必要であり,これら計算資源と情報資源の統合的な利用が不

可欠である.このため,Grid技術を利用した最適化計算システムの開発は,非常に有意義なものであると言える.本研究ではこのような背景から,OGSAに基づく最適設計支援システムを提案する.提案システムでは,Gridサー

ビスのサービスデータと非同期通知機能を用いて,サービス間の連携を実現する.サービス利用者は解きたい最適化

問題にあわせて,サービス間の連携を構成し,最適化計算システムの構築を行う.また提案システムでは,GlobusToolkit 3の提供するGSI (Grid Security Infrastructure) や情報サービス,データ管理サービスなどを用い,より信頼性と利便性の向上を図っている.

3 OGSAとGridサービス

3.1 Grid

近年,複数の拠点に存在する計算資源と情報資源,人や組織を仮想的に統合し,利用するための基盤技術である

Gridが高い注目を集めている.Grid技術の発達により,多地点のスーパーコンピュータや PCクラスタなどの計算資源を用いた分散並列処理,大規模なストレージやデータベースに格納された情報資源を結びつけた様々なサービス

の構築,また多地点の遠隔テレビ会議システムなどが容易に実現できると考えられている.

一方で,これら Gridを実現する上では,ユーザの認証や認可,セキュリティの確保,情報サービスやディレクトリサービス,ジョブのスケジューリングやフォールトトレランスなど,多岐に渡る問題を克服する必要がある.その

ため,これらの問題を解決するための Gridミドルウェアが既に数多く開発されており,最も代表的な Gridミドルウェアとして,Globus Allianceで開発されているGlobus Toolkit (Globus Metacomputing Toolkit) が挙げられる.

Page 3: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

またその他にも,Gridミドルウェア構築のためのツールを提供する Legion,Gridにおける動的なスケジューリング機能を提供するAppLeS (Application-Level Scheduling on the Computational Grid)や Condor,Grid RPCに基づくシステムである NetSolveや Ninf,Ninf-Gなども代表的なミドルウェアとして挙げられる.これらGridに関する様々な技術は,主に GGF (Globus Grid Forum)で標準化がはかられている.

3.2 OGSA

現在GGFにおいて,サービスやリソースに対するアクセス手法を統一化しようという動きがあり,OGSA (OpenGrid Services Architecture) が提案され,検討されている.OGSA は Web サービスを拡張して設計された Gridサービスを利用し,Gridを実現するための上位のサービスを提供する.またOGSAは,その下位層にOGSI (OpenGrid Services Infrastracture)を利用し,Gridサービスを記述する.Webサービスではサービスの入出力を,XML(eXtensible Markup Language) に基づく記述言語であるWSDL (Web Service Description Language) を用いて表現し,SOAP (Simple Object Access Protocal) を用いてそれらを呼び出したり,連携を行う.そのためOGSAにおいても,WSDLや SOAPといったWebサービスの枠組を統一的なプロトコルとして利用する.これら OGSAおよび OGSIをもとに,現在 Globus Allianceでは Globus Toolkitのバージョン 3を開発してい

る.Globus Toolkit 3は,OGSI仕様の完全な実装であり,OGSAで定義された Gridサービスを,Globus Toolkit3を用いて実現することができる.そのため,本研究で提案する OGSAに基づく最適設計支援システムの実装にも,Globus Toolkit 3を用いることを想定している.

3.3 Gridサービス

OGSAは,Webサービスを拡張して設計されたGridサービスを定義する.GridサービスはWebサービスを拡張した以下のような特徴を持つ.

• 状態を持つインスタンスの生成

• サービスデータ (情報モデル)

• 非同期通知機能

• サービスグループ

• portTypeの継承機能

• ライフサイクル管理

• Gridサービスハンドルと Gridサービス参照

このうち,状態を持つインスタンスの生成,サービスデータと非同期通知機能,ライフサイクル管理について以下

で詳しく述べる.

3.3.1 状態を持つインスタンスの生成

Webサービスでは一般に,内部的に状態を保持することができない (Stateless).そのため,関連のある複数の処理で構成される一連のタスクは,その実現が非常に困難である.またWebサービスでは,永続的で唯一のサービスが全てのサービス利用者に提供されているため,サービス利用者ごとに提供するサービスの状態を切り分けることが

できない.

これらの問題を解決するため,Gridサービスでは内部的に状態を持つ (Stateful),動的かつ一時的なサービスの生成と消滅を実現している.サービス利用者は最初に,永続的で唯一のサービスであるファクトリに対して,インスタ

Page 4: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

ンスの生成を依頼する.その後,各サービス利用者ごとに生成されたインスタンスに対し,提供されるサービスの実

行を要求する.その際,各インスタンスにおいては内部的に状態を保持し,サービス利用者が以前に行った処理結果

を,次の処理で利用することが可能となる.また,各サービス利用者ごとにインスタンスを生成しているが,1つのインスタンスを複数のサービス利用者で共有することも可能である.

3.3.2 サービスデータと非同期通知機能

サービスデータはあらゆる Gridサービスに対し,構造的なデータセットを付加することのできる枠組みである.これにより,システム情報やサービス実行の中間結果などの付加的なデータセットを,サービス自体に追加して保持

することができる.

また非同期通知機能は,あるサービスインスタンスにおいてサービスデータの変更があった際に,その変更をサー

ビス利用者や他のサービスに通知する機能である.非同期通知機能を実現するにはまず,あるサービスインスタンス

に対し,サービス利用者や別のサービスインスタンスが,サービスデータの変更を通知するよう依頼 (Subscribe) する.その後,なんらかの処理によりサービスデータに変更が加えられた際には,依頼のあった全てのサービス利用者

やサービスインスタンスに対してサービスデータの変更を通知 (Notify)する.この非同期通知機能により,複数のサービス利用者やサービスインスタンス間において,処理の連鎖を実現することができる.

3.3.3 ライフサイクル管理

Grid サービスではインスタンスの生成と消滅に付随し,インスタンスのライフサイクルを詳細に規定することができる.処理の規定を行えるライフサイクルには,インスタンスの生成前 (preCreate),インスタンスの生成後(postCreate),インスタンスの消滅前 (preDestroy) などに加え,メソッドの実行前 (preCall),メソッドの実行後(postCall)などが挙げられる.また,インスタンスがある一定期間アイドル状態にある場合,インスタンスをメモリ上から退避させる機能などもあり,その際の処理も記述することができる.

3.4 OGSAに基づく最適設計支援システムの概要

 本研究で提案する最適設計支援システムの概要を図 3に示す.提案システムでは最適化計算システムの構築を行うサービス利用者の他に,サービス利用者の代理となる Proxy Service,サービス間でやりとりされるファイルの第3者転送機能を提供する RFT Service,サービスデータを収集し,他のサービスに提供する Index Service,そして最適化計算に用いられる複数の最適化および解析サービスで構成される.

 提案システムにおいてサービス利用者はまず,Index Serviceを通じ現在利用可能なサービス情報や,サービスの入出力ファイルの情報を得る.その後,解きたい最適化問題にあわせ必要な初期設定ファイルを用意し,利用する

サービスに入力ファイルの転送を行う.その後,サービス間の連携を指示し,最適化計算を実行する.ここで,サー

ビス利用者からのファイル転送やサービス間の連携の処理要求は全て,Proxy Serviceを経由して実行される.これは,Proxy Serviceにおいてサービス利用者の認証と認可を行い,不正な利用者を排除するためである.また,GSIが提供するシングルサインオン機能により,Proxy Service上で認証を受けたユーザは,どの計算機上でもサービスの利用が可能となる.また RFT Serviceは,提案システム上で発生する全てのファイル転送要求を仲介し,信頼性のあるファイル転送機能を提供する.

3.5 サービス連携

 サービス利用者は利用するサービス間の連携を,サービスデータの変更通知による処理の連鎖と,その際のファ

イル編集もしくはファイルの送受信により指示する.ここでは前者について詳細を述べる. 提案システム上の各

サービスは全て, 2つのサービスデータ「Result」および「Parameter」を持つ.1つ目のサービスデータResultは,サービスの実行が完了した際に更新されるサービスデータである.また 2つ目のサービスデータ Parameterは,サー

Page 5: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

User

IndexService

RFTService

Proxy

Service

Request

Result

Request

Infomation

File Transfer Request

Optimizer

Analyzer

図 3: 提案システムの概要

ビスアプリケーションがサービス実行中に,任意のタイミングで更新するサービスデータである.提案システムで

は,各サービスが持つ共通のサービスデータに対し,各サービス間で更新の通知を依頼しあうことで,最適化計算シ

ステム構築のための処理の連鎖を実現する.図 4に,最適化サービスとして遺伝的アルゴリズム,解析サービスとして構造解析を選択した場合,エンドユーザが指示する最も単純なサービス間の更新通知依頼について示す.

Result Result Result

Parameter Parameter Parameter

Proxy

Service

図 4: エンドユーザが指示するサービス間の通知予約

更新通知依頼の指示後,サービス利用者はProxy Serviceに対し,Proxy ServiceのサービスデータParameterの更新を指示する.これにより,遺伝的アルゴリズムにサービスデータの変更が通知され,最適化計算が実行される.最

適化計算実行中に遺伝的アルゴリズムにおいて解析計算が必要な際には,Parameterサービスデータが更新され,それにより構造解析サービスへサービスデータの変更が通知され,解析計算が実行される.その後,構造解析のResultサービスデータに結果が格納されることで遺伝的アルゴリズムに解析結果が通知される.これを繰り返すことにより

最適化計算が完了し,最終的にサービス利用者まで最適化計算結果が伝えられる.提案システムではこのようにシス

テム利用者が更新通知依頼を指示することによって,任意の最適化計算システムを構築できる.

Page 6: 同志社大学工学部における グリッドコンピューティ …tomo/paper/2005/ssinet04doshisha.pdf図2: MPLS grid-1 の構成 2 OGSAに基づく最適設計支援システム

4 まとめ

一般に大規模で複雑な最適化問題の問題解決には,大規模な計算資源と,高性能な最適化および解析のためのアプ

リケーションが必要であり,これら計算資源と情報資源の統合的な利用が必要不可欠である.一方で最近の Gridに関する研究では,サービスやリソースに対するアクセス手法を統一化しようという動きがあり,OGSAが提案され,GGFにおいて標準化が検討されている.本研究ではこのような背景から,OGSAを積極的に用いた最適化計算システムが,最適化計算の抱える問題を解決できると考え,OGSAに基づく最適化計算システムを提案した.提案システムでは,Gridサービスのサービスデータと非同期通知機能を用いて,サービスを相互に連携させるこ

とができ,サービス利用者は解きたい最適化問題にあわせて,サービス間の連携を構成して最適化計算システムの構

築を行う.また提案システムでは,Globus Toolkit 3の提供する GSIを用いてセキュリティを確保し,情報サービスである Index Serviceや,データ管理サービスである RFT Serviceなどを用いて利便性の向上を図っている.今後の課題としては,提案システムの評価および解析処理の並列実行機能などが挙げられる.