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コンチネンタル国際行政書士事務所 制度調査レポート
2019 年 2 月 1 日【改訂版】
Copyright 2018 Continental Immigration & Consulting All right reserved.
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Continental Immigration & Consulting 村井 将一 代表行政書士兼チーフ・コンサルタント +81-3 6403-9897 [email protected] https://continental-immigration.com/
Continental Report
新しい在留資格「特定技能」をかんたんに解説。 各省庁の実施する試験合格組と技能実習2号から試験免除組の2つのルート
特定技能の創設の背景 l 新しい在留資格「特定技能」の創設は、「中小企業や小規模事業
者などの人手不足が、特に特定の分野においては、経済や社会基
盤の持続可能性を阻害する可能性が生じるまで深刻化している、
といった政府認識が背景となっています。
l 他方、現在の入管法は、専門的な知識や実務経験を持つ外国人を
専門的な職業でのみで受け入れるとしていますので、専門的な職
種に限らず幅広く外国人材を受け入れる仕組みを作り、深刻な人
手不足を解消したいというものです。
特定技能の概略 l 「特定技能」は、一定の技能を要する業務に従事する「特定技能
1号」と、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する
「特定技能 2号」の2つに分類されます。
l その受入れ対象分野は、生産性の向上や国内人材確保の取組みを
してもなお外国人材が必要な業種とし、1号は介護や建設など1
4業種、2号ではそのうち建設業等5業種を対象としています。
l 在留資格を取得するためには、それぞれの業種を所管する省庁が
定める日本語能力と技能水準を測る試験(技能実習2号を修了し
た人は試験を免除)に合格するなどの必要があります。
l なお、制度の詳細については明らかでないことも多く、本レポー
トにおいて随時アップデートをしていく予定です。
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に基づいて作成されていますが、当事務所
はその正確性、完全性を保証するものでは
なく、利用に際してはお客様ご自身でご判
断くださいますようお願い申し上げます。
巻末に重要な注意事項を記載していますの
でご参照ください。
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新しい在留資格「特定技能」とは
新しい在留資格「特定技能」創設の背景
今般の新しい在留資格「特定技能」創設は、「中小企業や小規模事業者をはじめ
とした人手不足が深刻化しており、それは介護や建設現場など特定の分野では特
に深刻で、ついには日本経済と社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が生じて
いる」というところまできている、という政府の認識が背景となっています。
2018 年 9 月の職業別有効求人倍率(常用・パート含む)を見ると、全職業で
1.48 倍となっており、これは 148 人の企業からの求人の募集に対して、働きた
いという人が 100 人しかいない計算になります。そして、これが建設関連だと
499 人の求人募集に働いても良いという人が 100 人しかいないことになります。
一方で、働く人たちに人気のあるオフィスでの事務職は 100 人の働きたい人に対
して 49 人しか求人がない状態ですので、いかに職種によってバラツキがあるか
わかるかと思います。
しかしながら、現在の日本の入管法では、「技術・人文知識・国際業務」や「技
能」など専門的技術的な知識や実務経験などを持っている外国人材だけを専門的
な職業で受け入れる(=肉体労働や単純労働とみなされる職種は受け入れない)
という政策をとっています。
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そこで、入管法を改正して、専門的・技術的な知識や素養を活かして働く一部の
専門的な職業以外(=肉体労働や単純労働とみなされる職種)でも、幅広く外国
人材を受け入れていく仕組みを作り、深刻な人手不足を解消していこうというの
が今回の新しい在留資格創設の流れです。
新しい在留資格「特定技能」の創設
新しい在留資格「特定技能」は、一定の技能を要する業務に従事する「特定技能
1号」と、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する「特定技能 2
号」の2つに分類されます。
(1)特定技能の受入れ対象分野
新しい在留資格「特定技能」の受入れ対象の分野は、生産性の向上や国内人材確
保のための取組みを行ってもなお、その分野の存続のために外国人材が必要と認
められるような逼迫した業種とされています。
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具体的には、特定技能 1号が「介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品
製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設
業、造船舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業(14業種)」を、特定技能
2号では、「そのうち建設業、造船舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業
(5業種)」を対象とするとしています。
なお、これらの対象業種に関しては、その産業を所管する省庁の大臣が、人材不
足が解消された場合などは、必要に応じて受け入れ停止の措置を取るとされてい
ます。そして、また労働力不足になったときには、受け入れを再開することがで
きるとされています。
(2)「特定技能1号」と「特定技能2号」
新しい在留資格「特定技能」は、一定の技能を要する業務に従事する「特定技能
1号」と、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する「特定技能 2
号」の2つに分類されます。
「特定技能1号」の解説
(求められる技能水準と日本語能力)
特定技能1号に求められる「一定の技能水準」とは、受入れる分野で即戦力とし
て活動するために必要な知識や経験を有することとし、各事業の所管省庁が定め
る試験等によって確認されます。
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例えば、特定技能(外食)では、所管する農林水産省の実施する「外食技能測定
試験(仮称)」に、特定技能(宿泊)では、国土交通省が実施する「宿泊業技能
測定試験(仮称)」に合格する必要があります。
また、日本語能力水準は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能
力を有することを基本としつつ、受入れ分野ごとに業務上必要な能力水準を考慮
して定める試験等によって確認するとしています。
例えば、特定技能(外食)では、所管省庁の農林水産省が実施する日本語能力判
定テストに合格するか、または日本語能力試験 N4以上、の日本語能力が求めら
れます。ちなみに、介護のように特別に、介護業務に関連する日本語テストを課
す分野もあります。
なお、特定技能では、現在の技術・人文知識・国際業務ビザや技能ビザで求めて
いるような職務内容と関連する実務経験の年数や関連する学歴などは求めていま
せん。
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(その他の要件)
その他①外国人本人が18歳以上であることや、②外国人本人の保護の観点から
紹介業者等から保証金の徴収等をされていないこと、が上陸基準省令に盛り込ま
れる予定です。
【特定技能1号の申請に必要な資料(例)】
1. 特定技能所属機関の概要を明らかにする資料
2. 活動の内容,期間,地位及び報酬を証する文書
3. 特定技能所属機関による申請人に対する支援に係る文書
4. 日本語能力を証する資料
5. 従事する業務に関して有する技能を証する資料
6. 特定技能雇用契約の締結に関し仲介した者がある場合は,当該仲介の概要
在留期間と在留期間の更新
1 号特定技能外国人の在留期間は通算で最長 5年です。
そして、1 回当たりの在留期間(更新可能)は,1 年,6か月又は 4か月です。
技能実習生からの在留資格の変更
技能実習 2号を修了した人は,上記の「技能水準」と「日本語能力」に関する試
験は免除されます。従って、この制度は現在技能実習2号で在留している外国人
材が特定技能へ在留資格を変更して働くことも想定しています。
家族帯同
「特定技能 1号」家族の帯同を基本的に認められません。なお、許可された活動
の範囲内で転職が認められる予定です。そして、「特定技能 1号」は業種毎の所
管省庁が定める一定の試験に合格すること等で「特定技能 2号」へ移行すること
が可能とされています(特定技能2号では家族の呼び寄せが認められることが検
討されています)。
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永住申請できるか
特定技能 1号の在留期間は通算 5年で、特定技能1号で働いた期間は永住申請の
要件にとなる就労期間から除外する方向で議論がされているようです。ただし、
特定技能 2号への変更の後は、在留期間の更新及びその他の永住資格の要件を満
たすことによって永住申請をできるようになることも検討されています。
受入人員の規模(政府試算)
政府は、上記の14業種に限定した「特定技能1号」については受入人数を試算
しています。初年度の19年度に最大4万7550人、以後5年間の累計で最大
34万5150人の受け入れを想定しています。
なお、19年度はその約6割が現在の技能実習生から特定技能1号に移行した外
国人労働者となる見通しで、5年後も45%を占めると推定されています。
一方で、新制度は「移民政策ではない」と位置づけられていることから、受け入
れ人数には「上限」が設けて運用される予定です。上限に近づいた場合、業種ご
とに受け入れを停止すべきかどうかを判断するようです。なお、国別に受け入れ
枠を設けない方針です。
政府試算によると、上記14業種は合計で初年度で58万6400人の人手不
足。5年後には145万5千人に膨らむ見通しで、5年間で最大34万人の外国
人労働者を受け入れても、埋め合わせできるのは約2割に留まる計算です
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「特定技能 2 号」の解説
特定技能 1号からの変更
その業種ごとの所管省庁が定める試験に合格することなどで「特定技能 1号」か
ら「特定技能 2号」へ移行できます。
在留期間・家族帯同
在留期間は特定技能 1号の通算 5年のように上限を設けず、技術・人文知識・国
際業務や技能の在留資格ように一定期間ごとに更新されていくこと、家族の滞在
も可能とすることが検討されています。
その場合に、他の就労系の在留資格のように永住申請の要件(10年以上引き続
き日本に在留しそのうち5年以上就労できる在留資格で働いていた場合など)を
満たすことができるようにすることなども議論されています。
3.特定技能の取得の流れ
特定技能1号の取得には、①技能実習2号を修了した人が試験免除を受けて特定
技能1号に移行する流れと、その他の外国人の方が日本語能力や技能水準につい
て各業界の監督省庁が定めた試験などを受けて取得する流れが想定されます。
また、特定技能1号から同じく業界ごとに定める試験を受けて合格した人は、特
定活動2号へ移行されることになります。
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4.受入れ機関と登録支援機関
外国人材は出入国管理庁長官に対して「特定技能」の在留資格についての届出を
行い、出入国管理庁長官から認可を受けた受入れ機関(企業)と雇用契約や派遣
契約を結んで働くことになります。
外国人材が日本で安定的にそして円滑に活動を行うことができるようにするため
の日常生活や職業生活上の支援を、受入れ機関(勤務先の企業)または登録支援
機関(勤務先の企業に代わって外国人材を支援する機関)が行います。
出入国管理庁長官は受入れ機関と登録支援機関に対し、しっかりそれらが運用を
しているかどうかを調査する権限や指導助言、改善命令などの権限を持ちます。
受入れ機関と登録支援機関には、労働関係法令、社会保険関係法令の遵守や、適
切に支援が行える能力や体制についての基準が定められます。また、関係行政機
関が連携して、悪質な仲介業者などの介在の防止策を講じることにも言及してい
ます。
【特定技能所属機関(受入れ機関)】とは、実際に外国人材が契約を結び働く企
業です。原則として直接雇用することが想定されていますが、業種や分野によ
っては派遣契約の形態も可能とされています。外国人と締結する契約(特定技
能雇用契約)において、日本人と同等額以上の報酬を支払うことや、労働法関
係法令・社会保険関係法令の遵守、外国人支援計画の実施が求められます。ま
た、入管当局に対して、特定技能で働く外国人について定められた点を届け出
る義務があります。
【登録支援機関とは】外国人材を受け入れる企業に代わって、外国人材の支援
計画を作成したり、実際に生活ガイダンスや日本語教育などの支援を実施する
機関で、外国人材を支援するための能力や体制などを満たした民間団体や社労
士などの専門家などが想定されています。
出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、五年ごとに更新が必要とな
ります。なお、入管法や技能実習法、社会保険制度に関わる法律に悪質に違反
する事業者などの登録拒否事業者が設定されており、それに該当した場合に
は、出入国在留管理庁長官が登録を拒否する制度となっています。
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受入れ機関・登録支援機関の外国人材支援(特定技能1号のみ)
日本での社会生活に未だ不慣れなことが想定される特定技能 1号の外国人材が、
安定的・円滑な活動を行うことができるようにするための日常生活上、職業生活
上又は社会生活上の支援を、受入れ機関または登録支援機関が行うこととされ
ています。
支援の内容は以下の(1)から(8)までの入国前の生活ガイダンスや住宅の確
保、日本語習得支援、自己都合退職でない場合の転職支援などが含まれていま
す。近日、参考となる支援の内容のモデル案が当局より示されるようです。
なお、現在、国や企業に外国人への日本語教育を責務とする「日本語教育推進法
(仮)」の制定も、本制度に併せて検討されています。
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【外国人材支援の内容】
(1)入国前の生活ガイダンスの提供
(2)外国人の住宅の確保
(3)在留中の生活オリエンテーションの実施
(4)生活のための日本語習得の支援
(5)外国人からの相談・苦情への対応
(6)各種行政手続についての情報提供
(7)非自発的離職時の転職支援
(8)その他
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5.最後に
特定技能の在留資格の具体的な仕組みはまだ明らかでないことも多くあります。
このレポートでは、随時情報をアップデートしていく予定です。引き続き、何
卒、宜しくお願い申し上げます。
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