化学環境学専攻 - 東京工業大学 ·...

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東京工業大学大学院総合理工学研究科 化学環境学専攻 2010年度 Department of Environmental Chemistry and Engineering 専攻ホームページ http://www.chemenv.titech.ac.jp

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Page 1: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

東京工業大学大学院総合理工学研究科

化学環境学専攻2010年度

Department of Environmental

Chemistry and Engineering

専攻ホームページ http://www.chemenv.titech.ac.jp

Page 2: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

新しい環境化学を目指す総合理工学

大学 農学部 生物系 生化学系

大学 理学部 化学系 生化学系

大学 工学部 化学系

化学工学系

エネルギー 環境

資源

生命

反応

生物 プロセス

設備

材料

化学環境学専攻Environmental Chemistry and Engineering

本専攻は、自然環境と調和の取れた豊かな人間社会を作るために大切な、資源・エネルギーを高度に活用

できる研究者や技術者の養成を目指しています。限りある資源・エネルギー源を有効に利用するために、効

率の良い生産プロセスの開発や資源の再利用を考え、同時に環境における物質循環機構の解明と環境汚染の

少ない物質の開発による循環システムの構築を目標にしています。本専攻では、化学の原理を基礎にして、

環境・資源・エネルギー・生物・生命・反応・材料・設備・プロセスなどに関する最新の知識を学ぶことが

できます。

The Department of Environmental Chemistry and Engineering was established at April 1974 and reformed in April 1998, to conduct unique education research in a unified field ofecology, chemistry, and chemical engineering by using interdisciplinary and multidisciplinaryapproaches to solve chemical problems of the earth scale environment and develop new compatible chemical processes and eco-materials.

The Department offers fundamental courses such as Chemical Resources, EnvironmentalMicroorganisms, Analysis of Chemical-eco Systems, and also advanced topics such as Recycles Processes of Resources, and Process Design and Control. Emphasis is placed ondeveloping the student's ability to find and solve problems especially through Special Exercise in Environmental Chemistry and Engineering, where all the students visit the environmentalprocess plants, discuss the problems, and prepare a poster paper about his or her own reseachtopics.

Page 3: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

講 座 一 覧 ・ 目 次

講座名 教授 准教授 講師 助教

1.研究紹介

基幹講座環境解析構築(化学生態システム解析分野、再生産システム分野)……………………… 2

渡辺隆行 森貞真太郎環境プロセス化学(省エネルギー分野、環境調和化学分野)……………………………… 5

馬場俊秀 本倉 健  宮地輝光

協力講座*

環境分子変換[新金属資源部門]……………………………………………………………… 8小坂田耕太郎 竹内大介 田邊 真

須崎裕司化学プロセス計画[有機資源部門]…………………………………………………………… 10

岩本正和 石谷暖郎 田中大士秋山勝宏

高分子プロセス[高分子材料部門]…………………………………………………………… 12池田富樹 宍戸 厚 木下 基

間宮純一化学環境プロセス設計[化学システム構築部門]…………………………………………… 14

山口猛央 竹下健二 田巻孝敬環境調和分子設計[無機機能化学部門]……………………………………………………… 16

山元公寿  成毛治朗 今岡享稔 環境微生物工学[資源循環研究施設]………………………………………………………… 18

久堀 徹 菅野靖史 紺野宏紀環境材料化学[スマートマテリアル部門]…………………………………………………… 20

穐田宗隆 高尾昭子小池隆司

講座外教員*……………………………………………………………………………………… 21機能性材料開発[共通] 吉沢道人

基幹-連携教員環境解析構築(極微量物質分野)

清田佳美環境プロセス化学(環境分解化学分野)

畑中重人 坂本康治大河内直彦

併任講座*

社会環境(環境理工学専攻創造専攻基幹講座)……………………………………………… 22#吉田尚弘 豊田 栄

山田桂太環境化学システム(環境理工学創造専攻協力講座)[プロセスシステム工学分野]…… 23

*仲 勇治 関 宏也 田中裕之、星野智史

理研連携講座 …………………………………………………………………………………… 25#侯 召民

2.授業科目 …………………………………………………………………………………… 263.入学案内 …………………………………………………………………………………… 304.修了後の進路 ……………………………………………………………………………… 31

*協力講座、講座外教員、併任講座名の[ ]内は、原籍である資源化学研究所の部門名である。

-1-

Page 4: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

渡辺研究室の方針

自然界は物質とエネルギーの循環の場であり、地球

上においては、光や熱といった様々な形態のエネルギ

ー循環系の中で、生物による物質生産、化学反応によ

る物質変換、濃縮分離が行われている。人類は、この

地球環境で起こっている物理・化学的プロセスおよび

生物を介したプロセスの利用とその恩恵を受けつつ、

自らの生産システムを構築し、生活環境の改善を図っ

てきた。これからは、自然界のプロセスと人類が考案

した生産プロセスおよび廃棄プロセスとの調和を図る

物質循環システム、環境調和型システムの研究開発を

推進していくことが重要である。

このような観点に立って、渡辺研究室では環境解析構築に関するナノ構造材料の合成と新しい化学プロセッシングの開発を目的とし

たシステム論的および移動論的な研究を行っている。環境化学と工学の視点から、プラズマやゲルを用いた新しい化学反応場を研究対

象とし、新規な機能性材料合成プロセッシングの開発、重金属・有害化学物質等を効率良く除去する環境保全型濃縮・分離プロセスの

開発を行っている。さらに、物質のミクロあるいはマクロ構造によって発現する物理・化学的機能の特性を、化学工学の知見(物質移

動及びエネルギー移動)に基づいて解析し、分子レベルの設計からシステムの構築まで設計方法の確立を目指した総合的な研究に取り

組んでいる。なお、詳細については、http://www.chemenv.titech.ac.jp/watanabe/を参照のこと。

1.熱プラズマによるナノ材料の合成

ナノ粒子は、粒子を構成する金属やセラミックスの性質を強め、新しい機能を備え

ていることから、さまざまな応用が可能になると期待されている。ナノ粒子を合成す

る方法のうち、熱プラズマを使う方法はナノ粒子を高速で製造できるため大量生産に

向いており、さらに準安定相や非平衡組成の生成が可能であることに特徴がある。

熱プラズマを用いるナノ粒子合成のプロセシングでは、2つのプロセスを制御する

ことが重要である。つまり、10,000℃程度のプラズマの高温領域における原料の蒸発プ

ロセスと、下流の低温領域で1000℃程度まで急冷することによって起きる均一核生成

プロセスである。ナノ粒子合成プロセスは、急冷過程においてマイクロ秒オーダーで

起こる核生成や凝縮、クラスター間の凝集が重要であり、このプロセスを制御するこ

とが熱プラズマプロセシングの利点を活かすことになる。この特色を活用するによっ

て、従来にはない形態、結晶構造、化学組成のナノ材料を合成することが可能となる。

我々は、酸化物系ナノ粒子、LaB6等のホウ化物系ナノ粒子、金属間化合物系ナノ粒

子を合成し、その工業的応用に成功している。さらに、省資源・省エネルギー・低環

境負荷の観点に立ち、電気二重層スーパーキャパシター、次世代水素吸蔵材料、白金

代替触媒など高機能性炭素材料を高速・1段階プロセスで作製することも進めている。

-2-

環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野)

准教授 渡辺隆行(G1-316, Tel. 045-924-5414)

([email protected])

連携准教授 清田佳美(G1-212, Tel. 03-3508-8891)

(財)エネルギー総合工学研究所,主幹研究員([email protected]

熱プラズマを利用したナノ粒子合成

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2.液相還元法による金属ナノ粒子の合成

ナノ粒子合成法の一つである液相還元法では、合成時の反応場(基質濃度、保護剤、温度など)が得られるナノ粒子の性状、すなわ

ちサイズや形態に大きな影響を及ぼす。そのため、反応場と得られるナノ粒子の性状との関係性を詳細に検討し、ナノ粒子形成メカニ

ズムを把握することが、高精度・高効率なナノ粒子合成プロセスの構築には不可欠である。我々は、液相還元法における保護剤の影響

について特に着目しており、これまでに感温性高分子を保護剤として用いること

でナノ粒子の形態を制御することに成功している。現在は、その形態制御メカニ

ズムの解明とさらなる高効率制御を目指して研究を行っている。

3.熱プラズマによる新規ガラス溶解技術の開発

我が国のガラス産業は全産業の約1%に相当するエネルギーを消費するエネルギ

ー多消費型産業である。特にガラス溶融工程に必要なエネルギーコストの削減の

必要性が強く認識されているが、従来型のガラス溶解炉の高効率化だけではエネ

ルギーコストの削減には限界がある。これからの低炭素社会に対応するには、新

しいガラス製造方法の開発が必須である。

我々は新規のガラス溶融技術としてインフライト溶融技術の開発研究を行って

いる。これはガラス微粉原料を造粒し、それを高温気中で瞬時に溶融する方法で

ある。この技術は未だかつて何人も試みたことはなく幾多の困難が予想される反

面、成功すれば大半のガラス製造プロセスに適用され、溶融炉の大幅な小型化と

消費エネルギーの大幅な削減が期待できる。インフライト溶融法は、そのような

背景のもと、NEDOエネルギーイノベーションプログラム「革新的ガラス溶融プロ

セス技術開発」として技術関発を進めている。

4.大気圧プラズマによる廃棄物処理プロセスの開発

環境問題の解決のための先端基盤技術のひとつとして熱プラズマ技術がある。

熱プラズマ技術はPCBやフロンなどの特殊な産業系廃棄物、および灰溶融などの大

規模な一般廃棄物処理に適用されている。我々は従来のプロセスでは処理できな

い難分解物質を熱プラズマによって処理する方法を開発している。特にオゾン層

破壊物質および地球温暖化物質であるフロンやハロンを水蒸気プラズマによって

分解するシステムの開発を行っている。

我々が開発したフロンやPCBの分解処理システムは、プラズマガスとして水蒸気

のみを用いてアークを発生し、プラズマの高温領域にフロンやPCBを直接噴射して

分解を行う方法である。水蒸気プラズマの生成は、フロン分解において大きな利

点となる。つまり、高温で分解されたフロンがCF4などの副生成物を低温領域で合

成することを抑制できる。水蒸気プラズマは経済的にも安全的な観点からも魅力

的であり、水蒸気プラズマを用いた新しい廃棄物処理プロセスの開発を目的とし

ている。

5.熱プラズマのモデリング

材料プロセシングにおいて熱プラズマを有効に活用するには、数値シミュレー

ションを用いて熱プラズマの温度や速度分布を解析することが重要である。特に

プラズマ中の化学反応を考慮した数値解析により、新しいプラズマトーチの開発、

プラズマ中の化学種の挙動の解明、ナノ粒子やナノチューブの生成機構の解明を

行っている。

熱プラズマによるナノ粒子合成プロセスは、電磁流体としてのプラズマ流の複

雑性が原因となり、計測による熱流動場の把握には限界がある。また急冷状態に

おけるナノ粒子の合成プロセスは核生成、凝縮、粒子間の凝集などのプロセスが

マイクロ秒オーダーで同時に起こるので、その観測も極めて難しい。よってプロ

セスの物理・化学的な現象を把握するには、プロセス全体にわたるモデルを導入

し、数値解析を用いて理論的にアプローチすることが有効な手段となる。流体力

学のみならず、電磁気学、伝熱学、反応速度論など多岐に渡るモデルをナノ粒子

の生成プロセスとして体系化し、プラズマプロセッシングの開発に役立てている。

-3-

革新的ガラス溶融プロセス

プラズマによる廃棄物処理システム

熱プラズマの温度のモデリング

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6.両親媒性分子水溶液の分子シミュレーション解析

界面活性剤や両親媒性高分子といった両親媒性分子は溶液中において自己組

織化する性質を有し、液滴の乳化剤や微粒子の分散剤・凝集剤として種々の工

業プロセスで利用されている。これらの工業プロセスの高精度化、高効率化に

は両親媒性分子の自己組織化現象を分子レベルから理解する必要がある。分子

シミュレーションは溶質の挙動を分子レベルから理解する有効な手段である

が、現在の計算機能力でも両親媒性分子水溶液の定量的自己組織化シミュレー

ションは困難である。そこで我々は、系の大部分を占める溶媒分子をあらわに

は取り扱わず、その影響として溶質間相互作用に溶媒の微視的影響まで含んだ

平均力ポテンシャルを適用した上、各溶質の環境に応じて相互作用に修正を加

えたモデルを開発することで両親媒性分子水溶液の半定量的・大規模シミュレ

ーションの実現に成功している。このモデルを用い、種々の溶液条件における

両親媒性分子の挙動について検討を行っている。

7.月資源利用技術の開発

月面での活動が宇宙開発のステップアップには欠かせないものであることか

ら、宇宙開発計画において重要な位置を占めている項目の一つに、月面基地建

設がある。将来、人類が月面活動を行うときには、水と酸素は必要不可欠であ

るが、それらを地球から輸送するのは大変コストがかかるので、経済的な月面

活動を実現するためには、月資源を利用した水および酸素製造が有効であると

考えられている。

我々は月面における月土壌の水素還元による水製造加熱反応炉およびその製

造プロセスの開発を目的とし、特に水素還元反応における反応工学的研究を行

っている。月土壌の水素還元により水を生成する反応器を完成させ、月土壌シ

ミュラントを用いて実際に水を製造することに成功した。様々なプロセスが考

えられている月土壌からの酸素製造において、FeOを多く含むガラス質、ある

いはイルメナイトの水素還元は酸化物からの酸素の抽出・分離が容易で、かつ

還元剤である水素を再利用できるという点から効率的である。

8.天然由来高分子ゲル吸着剤による貴金属の吸着・分離・回収プロセスの構築

自然界に豊富に存在する水溶性の縮合型ワットルタンニンは、多数のポリフ

ェニル基を有することから、種々の金属イオンに対して高い親和性を示す。

我々は、このタンニン分子を不溶化することで、安価である上、C、H、Oのみ

から構成される低環境負荷型の吸着剤を開発し、貴金属や重金属の吸着分離に

ついて検討を行っている。特に現在は、廃電子部材や廃触媒からの貴金属回収

への応用を目指し、タンニンゲルの官能基を改質することで強酸性条件下でも

吸着特性が低下しない吸着剤の開発を進めている。さらには、開発したタンニ

ンゲル吸着剤を用いた吸着・分離プロセスの検討も行っている。

T. WATANABE : 熱プラズマプロセスによるナノ粒子合成, 応用物理学会誌, 77, p.1098-1102 (2008)

大気圧プラズマ-基礎と応用-, 日本学術振興会プラズマ材料科学第153委員会編, オーム社(2009)

Numerical Investigation of Cooling Effect on Platinum Nanoparticle Formation in Inductively Coupled Thermal Plasmas, J.

Applied Physics, 103, 074913(2008)

Characteristics of Multi-Phase Alternating Current Arc for Glass In-Flight Melting, Plasma Chem. Plasma Processing, 29,

p.333-346(2009).

Y. SEIDA: 刺激応答型高分子ゲルの相・機能制御における物性, 実用分離プロセスにおける物性集覧, 分離技術会編, (2007)

Sorption and Retardation Processes of Cs in Granite under Ground Water Conditions, Scientific Basis for Nuclear Waste

Management, 1124, p.549-554(2009)

Influence of Network Structure and Hydration on Viscoelastic Behavior of N-isopropylacrylamide Gel, J. Chem. Eng. Jpn., 42,

p.531-537(2009)

-4-

タンニンゲルによる貴金属の吸着分離

ナノ粒子/両親媒性高分子/電解質水溶液の分子シミュレーション

月土壌から酸素を製造するシステム

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環境プロセス化学講座(省エネルギー分野、環境調和化学分野、環境分解化学分野)

教授 馬場俊秀(G1-312, Tel. 045-924-5480)([email protected]

研究室ホームページURL

http://www.chemenv.titech.ac.jp/lab/index.html

環境問題に挑戦する新規な反応とそれを支える触媒の開発を本研究室の中心課題としています。触媒は新し

い反応経路を提供するため、環境問題の解決に本質的な役割を演じることができます。そこで、環境問題を本

質的に解決できる新しい反応を生み出す固体触媒や生体触媒の開発に挑んでいます。

触媒によって新しい反応が生み出されれば、有害な副生成物を出さず、激しい反応条件も必要とせずに、有

用な化学工業原料やファインケミカルズを合成できるようになります。また、環境問題を引き起こす有害物質

を直接、有用な物質へ変換できる可能性も出てきます。これらの反応では触媒を改良することで100%収率・選

択率の達成を目指すことができます。

学生は、これら一連の研究を行う中で、次の新しい研究への足掛かりを得、そこから新たな原動力を生み出

します。さらに、研究を通じて幅広い分野の学問を学び、自分とは異なる様々な分野の研究者と交流し、

自分の専門分野を一層深めていきま

す。研究者との交流は、日本人とば

かりではなく、海外の研究者との間

でも芽生えます。こうした研究活動

を通じて、学生は研究者・技術者と

してより成長していくと思っていま

す。

このような考えを基にしている当

講座では、学生のもつ様々な能力を

生かした指導を心掛けています。

当講座での研究生活を通じて、こういった人材へと成長し、社会で活躍して欲しいと考えています。

触媒を用いる環境調和型の物質変換

講師 本倉健(G1-402, Tel. 045-924-5417)

[email protected]

Page 8: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

-6-

■主な研究例

(1)メタンとエチレンからの選択的プロピレン合成

メタンとエチレンからのプロピレン合成反応に挑戦

しています。この反応は、ゼオライトなどのナノ細孔

反応場に存在する銀イオンクラスターといった金属イ

オン種で、触媒的に進行します。

こうした研究から、これまでにない新しいプロピレ

ン合成法が出現する可能性があります。実際、プロピ

レンの新しい合成法に示すように、ゼオライトのよう

な規則性細孔内の酸性プロトンによって、エチレンや

メタノールからプロピレンを合成する経路を開発して

います。

これら触媒の反応機構や金属イオン種の性質は、赤

外分光法やMAS NMR などの表面測定法によって調べ

ています。こういった分析によって、メタン転化反応

においてより高活性を示す触媒の開発、新しい反応の

開発へと挑戦が続きます。

(2)選択性の鍵を握るゼオライトの細孔容積

ゼオライトの細孔入り口径が“分子ふるい効果”によ

って触媒反応生成物の選択性を向上させることは良く知

られていました。しかし、上記のプロピレン合成反応における選択性は、同じ細孔入り口径の触媒を用いても大きく

異なっていました。即ち、プロピレンの選択性を向上させるには“分子ふるい効果”のみを考慮するだけでは不可

能でした。

私たちは研究を進めていく中で、ゼオライトの細孔容積が反応選択性を制御していることを発見しました。反応遷

移状態を形成するカチオンの体積とゼオライトの細孔容積がフィットしたときに、プロピレンの選択性が向上してい

たのです。“細孔入り口径”に加えて、新たに“細孔容積”を考慮することで、さらなる高選択性を示す触媒を開発

できる可能性があります。

(3)常温常圧でのアルカンからの選択的アルコール合成

酵素メタンモノオキシゲナーゼは、常温常圧条件下、メタンからの選択的メタノール合成反応に活性を示し

ます。この酵素によるメタンからのメタノール合成

反応機構の解明に挑戦しています。これまでに私た

ちは、銅イオンが結合したメタンモノオキシゲナー

ゼを微生物から分離する手法を確立しました。さら

に、メタンモノオキシゲナーゼにおいて銅イオンが

結合する部分のみを遺伝子工学的手法で人工的に合

成する手法も確立しました。これらタンパク質を用

いて、メタンモノオキシゲナーゼが如何にして穏和

な条件でメタンからメタノール合成するかを明らか

にしていきます。ここから、省エネルギーなメタン

転化反応触媒の開発へと展開します。

メタン活性化 ~固体触媒と生体触媒によるアプローチ~

プロピレンの新しい合成法

メタンからメタノールを合成する生体触媒

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メタン以外の種々炭化水素を酸化して選択的にアルコール

やエポキシドを合成する反応にも取り組んでいます。種々ア

ルカンおよびアルケンの酸化反応に活性を示す生体触媒を天

然から分離、あるいは遺伝子工学的手法で合成し、炭化水素

の酸化反応における生体触媒の基質特異性や生成物選択性を

発現する原理を明らかにします。

(4)二酸化炭素の有用物質への変換

二酸化炭素は地球上に無尽蔵に存在する、極めて安価な炭

素資源です。工場などから排出される二酸化炭素をその場で

有用物質へ変換できれば、二酸化炭素の排出削減にもつながります。

研究室では二酸化炭素から有用物質への変換反応を進行させる触媒の開発を行っています。四級アンモニウ

ム塩とシリカから調製される触媒を用いると、二酸化

炭素とエポキシドから環状カーボネートを合成するこ

とができます。環状カーボネートは自動車のバンパー

や携帯電話などに用いられるポリカーボネートの原料

となります。カーボネート合成反応だけでなく、二酸

化炭素の精密化学品への新たな変換反応を進行させる

触媒の開発も目指しています。

(5)固体酸を用いる液相有機合成

ゼオライトなどの固体酸触媒とオレフィンを反応させると、プロトン化によってカルボカチオンが生成する

ことが知られています。この特徴を液相での精密有機合成に応用すると、これまでの均一系触媒では不可能だ

った新たな反応を進行させることができます。

例えば、活性メチレン化合物の求核付加反応では、求電子剤として使用可能な化合物はカルボニル基などの

ヘテロ原子を含む分極の大きい官能基を有している必要があります。しかしながら、固体酸触媒を用いるとオ

レフィンからもカルボカチオンを発生さ

せ、求核剤(Nu-H)を付加させることが

できます。さらに固体表面の形状を変化さ

せることで、酸強度の制御や、立体選択性

の発現も期待できます。

“Key role of the pore volume of zeolite for selective production of propylene from olefins”Phys. Chem. Chem. Phys.(2010)in press.

“Influence of Si Distribution in Framework of SAPO-34 and Its Particle Size on Propylene Selectivity and Production Rate for Conversion

of Ethylene to Propylene”Phys. Chem. Chem. Phys. 11, 9268-9277(2009).

“Catalytic Transformation of Methane over In-loaded ZSM-5 Zeolite in the Presence of Ethene”J. Phys. Chem. B 109, 4263-4268(2005).

“Hydrogen Peroxide as an Effecter on the Inhibition of Particulate Methane Monooxygenase under Aerobic Conditions”J. Mol. Catal. B, 57, 211-215(2009).

“Silica-Supported Aminopyridinium Halides for Catalytic Transformations of Epoxides to Cyclic Carbonates under Atmospheric Pressure

of Carbon Dioxide”Green Chem. 11, 1876-1880(2009).

オレフィンからのカルボカチオン生成を経る求核付加反応

触媒を用いる二酸化炭素からのカーボネート合成

遺伝子工学的手法を用いたタンパク質合成

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環境分子変換講座[資源化学研究所・新金属資源部門]

教授 小坂田耕太郎(Prof. Kohtaro Osakada)(R1-714, Tel 045-924-5224)

(E-mail: [email protected]

准教授 竹内 大介(Assoc. Prof. Daisuke Takeuchi)(R1-716, Tel. 045-924-5231)

(E-mail: [email protected]

有機合成化学、高分子化学、超分子化学やこれらに関連するソフトマテリアルの分野で、有機金属化合物は重要

な役割を果たしています。多彩な金属と配位子とからなる有機金属化合物は、物質合成の鍵を握る一方で、その光

化学、電気化学などでは新機能材料として限りない可能性をもっています。本講座では、有機化合物、高分子化合

物の「かたち(構造)」、「うごき(動的挙動から反応)」「はたらき(機能)」のすべてに興味をもち、有機金属化合

物を基軸にする研究を総合的におこなっています。

常に新しいものづくりをめざし、楽しくかつ集中して研究することが何にもまして重要であるとのモットーのも

とに日々活動しています。下に示す1-4を含めて多くの新しい課題に挑戦しています。

1.14属元素配位子をもつ単核、多核遷移金属錯体の化学-Chemistry of mono- to multi-metallic complexes with

14 group element ligand-

有機ケイ素、ゲルマニウム化合物は遷移金属錯

体で活性化され、変換されます。パラジウム、白

金、ロジウムなどを用いて、1)単核、二核錯体に

よるSi-Si, Ge-Ge, Si-Ge 結合形成反応、及びこれに

基づく高分子の新合成反応の開発、2)四核以上の

平面コアを有する錯体を基盤とする結合から反応

までの理解、をめざしています。Pd4Si3型の錯体

はカップリングにより八核錯体に変化する、多彩

な反応性を示しヨウ化銅の付加によって五核錯体

へと変換される他、ブレンステッド酸との反応に

より可逆に鎖状錯体へ変化する、有機ジスルフィ

ドのS-S結合を活性化する、などのまったく新し

い反応性を示します。

2.有機金属超分子の合成と機能-Synthesis and

functions of organometallic supramolecules

with novel properties-

遷移金属錯体の特徴ある反応性を活かし、錯体

の特長を活かした超分子を独自の方法で合成して

います。フェロセンを軸または環分子に導入する

ことによって容易に得られるロタキサンは、これ

ら有機金属分子がインターロックした構造をも

パラジウム-ケイ素新錯体の結合、構造、反応

含鉄錯体(フェロセン)ロタキサン 含金属ミセルと含金属ロタキサンの構造変換反応

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ち、フェロセンのレドックス活性、多数の芳香環の配置による結晶の光学的性質など、有機金属化合物の特色を活

かした超分子が多数得られています。単結晶の相転移によってその性質が大きくスイッチングするロタキサンを発

見しました。これは分子運動を示す世界で始めてのロタキサン結晶であり、科学、技術両方の面から将来の可能性

が注目されています。

3.新しいシークエンス構造を有する高分子の精密合成-Synthesis of polymers with novel sequence structure-

遷移金属錯体の特徴ある反応性

を活かし、錯体触媒でなければつ

くることのできない高分子を合成

し、その各種機能を探索していま

す。α,ω-ジエンやシクロペンテン

などの新しくデザインされた単量

体を立体選択的に連結させること

によって、精密に繰り返し構造が

制御された高分子を多数合成して

います。最近見出したパラジウム

錯体触媒により得られる官能性置換基のシークエンスの制御された高分子は、これまで有効な合成法がなかったも

のです。この反応を利用することにより、従来ほとんど例のなかった液晶性ポリオレフィンの合成も可能となりま

した。高分子鎖上に多様な機能団を組み込むことも可能であり、新しい機能性高分子としての可能性が期待されま

す。

4.新しい大環状化合物の合成と機能開拓 -Precise

synthesis of macrocyclic compounds and their

functional properties-

機能性部位の組み込まれた大環状化合物を、高選択的

かつ高収率で合成する方法を探索しています。ビスイミ

ノピリジン骨格の組み込まれた大環状化合物は、鉄やコ

バルトなどをはじめとして様々な金属の配位子となり、

複核金属錯体を与えます。得られた複核錯体は、エチレ

ンの重合などに活性を示すことが明らかとなり、しかも

単核錯体に比べて生成ポリマーの分子量が大きく向上す

ることが分かりました。複核錯体を利用した高分子合成はまだまだ未開拓の分野であり、高性能触媒に向けた分子

デザインが期待されます。ジイミノビフェニル骨格の組み込まれた大環状化合物については、その環構造を立体選

択的に変換させることが可能であり、それにより蛍光発光性を示すことが明らかとなっています。

K. OSAKADA Planar Tetranuclear and Dumbbell-shaped Octanuclear Pd Complexes with Bridging Silylene Ligands,

Angew. Chem. Int. Ed. 48, 568-571(2009).

A Crystalline Supramolecular Switch: Controlling the Optical Anisotropy via the Collective Dynamic Motion

of Molecules Angew. Chem., Int. Ed. 46, 4983-4986(2007).

D. TAKEUCHI Isomerization Polymerization of 4-Alkylcyclopentenes Catalyzed by Pd Complexes: Hydrocarbon Polymers

with Isotactic-Type Stereochemistry and Liquid-Crystalline Properties.

J. Am. Chem. Soc. 131, 10852-10853(2009)

Cyclopolymerization of 9,9-Diallylfluorene Promoted by Ni Complexes. Stereoselective Formation of Six-

and Five-Membered Rings during the Polymer Growth. Macromolecules 42, 5909-5912(2009)

パラジウム錯体により合成される液晶性ポリオレフィン

パラジウム錯体によるシークエンスの制御された高分子の合成

蛍光発光性を示す大環状化合物

Page 12: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

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化学プロセス計画講座[資源化学研究所・有機資源部門]

講師 石谷暖郎(Associate Prof. Haruro Ishitani)(R1-410, Phone 045-924-5236)(e-mail: [email protected]

教授 岩本正和(Prof. Masakazu Iwamoto)(R1-412, Phone 045-924-5225)(e-mail: [email protected]

研究テーマ:地球環境改善のための触媒化学

現在、地球環境問題やエネルギー問題を解決し、持続可能な新しい化学工業体系を構築することが大きな課題になっています。当研究室では、地球に対する負荷を軽減し、最小のエネルギーで最大の効率を発揮させるため以下の三つの観点から研究を行っています。まず、現行プロセスで排出されている種々の有害物質を効率的に除去する技術の開拓です。次に、すべての化学反応を高効率固体触媒反応に置き換える方法論の開拓です。これらの研究では、これまでとは異なる観点から新しい触媒反応系を開拓し、廃棄物のないエネルギー利用効率100%のプロセスを実現することを目指しています。三つ目は、埋蔵量や二酸化炭素発生の点で問題を抱えている化石資源の使用量を減らすため、バイオマス資源を有効利用する触媒反応の開拓です。本研究室では、これらの地球環境改善触媒として規則性ナノ空間物質が極めて有効であることを明らかにしています。

1.新しい地球環境改善触媒化学の開拓(岩本教授、田中助教)

第一番目の項目は有害廃棄物の選択的な除去法の開発です。私達は、自動車エンジン等の排出ガスに含まれる窒素酸化物の効率的触媒除去技術の開発、水中に溶存している有害金属成分の選択除去に取り組んでいます。前者では、ニオブやセリウムを添加したシリカナノ多孔体に白金を担持すると、窒素酸化物を極めて効率的に選択還元できることを見いだしています。後者ではナノ構造体の壁イオン交換法が極めて有効に機能すること等を明らかにしています。これらの成果はいずれも企業が注目するところとなり、共同研究を推進中です。現在、ナノテクノロジーという言葉は流行語のようになっています。しかしほとんどの場合、この言葉が意味するものはナノメートルオーダーで集合したもの、つまりナノの「固まり」の作り方や使い方と考えてよいでしょう。私達はこれとは逆に、あらかじめよく規定されたナノ空間を創り、その空間をうまく使えばこれまでに知られていない機能を発現させることができると考えています。上記の反応に活性を示す触媒はまさにこのナノ空間触媒なのです。

2.規則性ナノ空間触媒を用いる高効率有機合成化学の展開(岩本教授、石谷講師)

現在の石油化学プロセスでもっとも大きなエネルギーが必要なところは、反応そのものではなく、分離や蒸留等のプロセスです。固体触媒を用いて収率100%を達成し、容易な分離を実現できれば、地球環境に対する負荷を大きく低減できます。当研究室では、シリカナノ多孔体による固体酸触媒反応や金属イオン担持体による不斉合成の実現に力を入れています。従来、シリカは酸触媒能に乏しく、有機合成に無力であると考えられてきました。これに対し私達は、シリカナノ多孔体が高効率かつグリーンな固体酸触媒として機能し、選択的アセタール化能、カルボン酸によるフリーデルークラフツ アシル化能、エポキシドの水和で均一系と逆の立体選択性を与える能力等を持っていることを見出しました。シリカナノ多孔体の不思議な能力が当研究室で発見されました。現在、この触媒作用をさらに展開する研究を行っています。また、このナノ多孔体中に金属イオンを植え付けると配位子の共存下、スルフィド等の不斉酸化等が可能であることを世界で初めて実証しました。現在、均一系を上回る不斉収率の実現、固体でしか発現しない不斉触媒活性の実現を目指しています。

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3.バイオマス資源を有用な化学物質に転換する新しい接触反応系の開発(岩本教授、秋山助教)

人類が長い年月にわたって地球上で暮らしていくためには、原油等の化石資源の消費量をできるだけ減らし、再生可能なバイオマス資源を原料とする化学工業体系を新たに築く必要があります。本研究室では以前、ニッケルイオン担持シリカメゾ多孔体がエチレンを選択的にプロピレンへ転換できることを発見しました。次いで、エタノールをエチレンへ転換する触媒も見いだしました。私達はこの二つのプロセスを結びつけ、バイオエタノールを選択的に低級オレフィンに転換するプロセスの開発に成功しました。これは、バイオマス資源から選択的にバイオプラスチックが生産できることを意味しており、平成20年度スタートの国家プロジェクトに採用されました。さらに、バイオエタノールから選択的に水素を製造する触媒、植物由来のリグノセルロースをエタノール等に直接転換する触媒発酵プロセスについても研究し、画期的な新触媒系を発見しています。当研究室では、将来の化学工業の中心はバイオマスであると考え、その根幹を形成する触媒反応系について研究を推進しています。

M. Iwamoto Remarkable Effect of Pore Size on the Catalytic Activity of Mesoporous Silica for the Acetalization of Cyclohexanone

with Methanol, J. Am. Chem. Soc., 125, 13032(2003).

H. Ishitani Friedel-Crafts Acylation of Anisole with Carboxylic Anhydrides of Large Molecular Sizes on Mesoporous Silica

Catalyst, Catal. Lett. 120, 14(2008).

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Page 14: 化学環境学専攻 - 東京工業大学 · 環境解析構築講座(化学生態システム解析分野、再生産システム分野、極微量物質分野) 准教授 渡辺隆行

高機能・高性能高分子材料を創製するため、その基本となる分子設計・合成および物性評価・機能評価の各プロセスを有機的に相関させながら、素子の作製までを一貫して行っている。高い機能や性能を高分子材料に発現させるためには、一次構造のみならず高次構造の制御が必要であるとの観点から、自己配向能をもつ液晶高分子材料の研究や、ナノ規則性高分子材料の研究などを鋭意進めている。また、機能としては光に着目し、新規光機能性化合物の合成、基礎光物性・光プロセスの解明や素子作製・評価などさまざまな段階で研究に取り組む。同一講座内でありながらあえて合成から素子作製まで手掛けることにより、自ら分子設計した材料の性質・性能に関する知見を直ちに得られるだけでなく、これが次の研究アイデアとテーマ立案に効果的にフィードバックされ、新たな原動力を生みだすと考えている。学生にとっては、幅広い分野の学問・研究に携わるだけでなく、さまざまなバックグラウンドをもつ学生・研究者との交流で視野を広げる機会がある。池田・宍戸研究室のホームページは:http://www.res.titech.ac.jp/polymer

1.架橋フォトクロミック液晶高分子を用いた光運動材料の開発

Photomobile polymer materials based on crosslinked liquid-crystalline polymers

フォトクロミック分子であるアゾベンゼンの光異性化反応と液晶の協同現象を組み合わせることにより、巨視的な分子配向変化を光で誘起できる。アゾベンゼンが架橋部位に配置された自己支持型の架橋フォトクロミック高分子フィルムを作製し、紫外光を照射したところフィルムが光照射に伴い屈曲することを見いだした。可視光を照射すると、架橋高分子フィルムは元の状態に戻り、屈伸運動を繰り返し誘起できることがわかった。配向処理を施さない架橋高分子フィルムでは、入射直線偏光の偏波面に対応して屈曲方向も変わり、高分子フィルムをあらゆる方向に曲げることができた。積層化により回転・歩行など多様な運動モードへ展開している。

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高分子プロセス講座[資源化学研究所・高分子材料部門]

教授 池田富樹(Prof. Tomiki Ikeda)(R1-812, Tel. 045-924-5240)

(e-mail: [email protected]

准教授 宍戸 厚(Assoc. Prof. Atsushi Shishido)(R1-810, Tel. 045-924-5242)

(e-mail: [email protected]

架橋フォトクロミック液晶高分子フィルムのロボットアーム 光プラスチックモーター 光尺取り虫

液晶モノマーの構造

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2.フォトクロミック液晶高分子の開発と書換え型ホログラムへの展開

Photochromic liquid-crystalline polymers for holographic materials

これまでにフォトクロミック分子であるアゾベンゼンを液晶形成部位とする液晶高分子が、広い温度範囲でネマチック液晶相を示し、ピコ秒レーザーパルスを照射すると液晶相―等方相相転移が数百ナノ秒で誘起されることを見いだしている。さまざまなアゾベンゼン液晶高分子を検討した結果、電子供与基と電子吸引基を有する構造では光誘起分子配向変化が高速化されることや、トランを組み込んだ液晶高分子が高い複屈折を示すことを明らかにしている。最近では、アゾベンゼン液晶高分子がもつ高い屈折率変調度、高い光感度および材料性を生かして、ホログラム材料への展開を図っている。アゾベンゼン液晶高分子フィルムに二光束のレーザー光を照射した結果、干渉縞の明部でのみ分子配向変化が起こり、周期的な屈折率変調に基づくホログラムを形成できることがわかった。アゾベンゼンの光応答性を利用すれば、一般的なフォトポリマーでは不可能な記録情報の書き換えも可能である。

3.新規光機能材料の開発

Synthesis of novel photofunctional materials

新規光機能材料を創製すべく、種々の光機能性を有する化合物の合成についても検討している。新たに設計・合成したπ電子が非局在化したチオフェン液晶は、光による構造変化を起こさないにも関わらず、ネマチック液晶に少量ドープすることによりホスト液晶の配向変化を効率良く誘起することを見いだした。光重合と組み合わせることにより偏光選択性マイクロレンズの作製を検討している。また、一分子内に正孔輸送・電子輸送・発光の機能をもたせた新規液晶高分子では、電界発光性(EL)を確認している。

T. IKEDA Photochemical Switching of Polarization in Ferroelectric Liquid-Crystal Films, Nature, 361, 428(1993); Optical

Switching and Image Storage by Means of Azobenzene Liquid-Crystal Films, Science, 268, 1873(1995);Photomodulation of Liquid Crystal Orientations for Photonic Applications, J. Mater. Chem., 13, 2037(2003);Directed Bending of a Polymer Film by Light, Nature, 425, 145(2003); Photomechanics of Liquid-Crystalline

Elastomers and Other Polymers, Angew. Chem. Int. Ed., 46, 506(2007); Photomobile Polymer Materials - Towards

Light-Driven Plastic Motors, Angew. Chem. Int. Ed., 47, 4986(2008); Photomobile Polymer Materials - Various

Three-Dimensional Movements, J. Mater. Chem., 19, 60(2009).A. SHISHIDO Formation of Bragg Gratings with Large Angular Multiplicity by Means of Photoinduced Reorientation of

Azobenzene Copolymers, Langmuir, 23, 320(2007); Bragg-type Polarization Gratings Formed in Thick Polymer

Films Containing Azobenzene and Tolane Moieties, Langmuir, 23, 332(2007); Well-Defined Liquid-Crystalline

Diblock Copolymers with an Azobenzene Moiety: Synthesis, Photoinduced Alignment and their Holographic

Properties, Macromolecules, 41, 7959(2008).

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高複屈折トラン含有アゾベンゼン液晶高分子

物体像 再生像

ホログラム記録

電界発光性液晶

励起状態を利用した光応答型チオフェン液晶 偏光選択性マイクロレンズアレイ

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環境問題、エネルギー・資源枯渇問題など地球規模の問題の解決、豊かな生活持続のための医療・医薬技術の進展、リサイクル技

術など、どの分野でも新しい機能材料・プロセスの開発が必要不可欠です。これらの分野では、単純でなく精緻で複雑な機能を示す

材料デバイス及びプロセスが要求されています。材料自身をシステムとしてとらえ、複数の素材を有機的に結びつけ、新機能を発現

する材料へと発展させる。これが我々の研究室が提唱している”機能材料システム”の考え方です。さらに、燃料電池、バイオマテ

リアルの創製から、持続発展可能な地球環境保全技術へと展開できます。ここでは、偶然に頼らず、予めそれぞれの素材の機能・物

性を理解し、システムを構築して新規で有用な材料・プロセスを設計します。

1.新規燃料電池材料システムの設計・開発(山口)

固体高分子形燃料電池は、水素燃料を用いた自動車などの移動用、家庭用などの定置型電源として注目されています。例えばガソ

リンからのエネルギー変換効率が13%程度の現状の自動車を、燃料電池を用いて変換効率を80%にすれば、CO2の排出量が激減しま

す。また、携帯機器だけでなくロボットを含むコードレス型未来デバイスへの応用が必要不可欠になっています。しかしながら、そ

の場しのぎの開発が多く、一般に普及するには数十年かかると言われています。このままでは、地球温暖化に歯止めをかけるには遅

すぎます。

我々は世界で初めて、数十nmの多孔膜細孔中に電解質ポリマー

を充填すると新しい構造、機能が発現することを発見しました。こ

の膜は、国内メーカー数社において実用化が始まろうとしています。

皆さんの卒業研究が社会で応用される実例として、期待されていま

す。また、研究室では次世代の膜開発がすでに始まっています。

燃料電池には膜だけでなく、触媒層などもあり、機能が分担・連

携しています。用途に合わせて、膜・触媒を含む電池全体をシステ

ムと考え、設計・開発します。この考えから、触媒カーボン担体へ

のグラフト重合、ナノ粒子キャッピング手法、燃料電池状態での触

媒表面解析など、世界でも例をみないナノレベルからの新しい発想

や化学合成手法が生まれています。また、バイオマス燃料電池、グ

ルコースなど生体内物質を生体膜と同様にエネルギーへと変換する

バイオ燃料電池など、さらに未来の技術開発に向かっています。燃料電池技術の普及を早め、地球環境を維持するために、皆さんと

一緒に材料システムの概念を適用し、世界の燃料電池研究をリードする新規概念、新電池開発を行っていきます。

2.生体システムから発想した新規刺激応答材料システム(バイオマテリアル)の構築(山口)

従来の人工材料では分離・反応など一定の機能を定常的に示しますが、生体では時間・環境によって同じ細胞や生体膜が異なる機

能を示します。生体自身を人工的に作ることは困難ですが、生体の持つシステムから発想して新しい人工材料を作ることは可能です。

特定物質シグナルを認識し、必要な機能を必要なときにだけ示すことによりシステム全体の恒常性を保つ材料を構築するのです。未

来の人工臓器、薬物送達システム、医薬品合成のためのマイクロリアクタを考えると、この生体システムは良い見本となります。

我々は超分子による物質認識機能、環境応答ポリマーによるアクチュエータ機能をナノ多孔体内部で協調的に組み合わせ、様々な

材料システムを開発しています。情報伝達物質だけを認識して膜細孔の開閉を行う分子認識ゲート膜、材料が自律的に特定物質だけ

を認識して捕捉・離脱する分離材料、分子を認識すると細孔を自律的に開閉し透過性能を振動させる膜などの開発に成功しています。

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化学環境プロセス設計講座[資源化学研究所・化学システム構築部門]

教授 山口猛央(Prof. Takeo Yamaguchi)(R1-611, Tel. 045-924-5254)

(E-mail: [email protected]

准教授 竹下健二(Assoc. Prof. Kenji Takeshita)(R1-610, Tel. 045-924-5255)

(E-mail: [email protected]

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さらに、膜上に細胞を培養し、死んだ細胞から放出されるシグ

ナルを認識し、死細胞だけを選択的に系から除去する人工新陳

代謝材料システムも開発しています。また、細胞を模倣したマ

イクロカプセルリアクタなど、独自の発想で研究が進んでいま

す。さらに生体システムを模倣し、細胞、組織、器官へと発展

させた材料システムの構築を目指しています。まだ始まったば

かりの研究領域ですが、システム化の概念を用い、誰も実現で

きなかった新しい科学技術分野を開拓しましょう。

3.環境保全・資源保全を目指した無廃棄物型有価金属リサイ

クル技術開発(竹下)

工業プロセスでは一般に目的物質の分離・回収に大量の化学

物質が使用され、それらはいずれ廃棄物として処分されていま

す。化学物質の環境放出に伴う生態系への影響を軽減するため

には、化学プロセスからの化学物質の放出低減化が必要であり、

廃棄物発生量の少ない環境保全型への転換が強く望まれていま

す。竹下研究室ではナノスケールの分離場に化学プラントの機

能を集約した「ナノファクトリー」の構築を目指しています。

ナノ空間の小さな分離場で、熱、光、音(超音波)、磁場など

の外部エネルギーを利用して原料の製品化を行うために、廃棄

物という概念すらも存在しない「究極の無廃棄物型化学プロセ

ス」が構築できます。このコンセプトに基づいて、「光応答抽

出法による貴金属回収プロセス」を開発しています。このプロ

セスではアゾピリジン系抽出剤を用いてUV・可視光照射によ

る貴金属類の分離・回収が達成されており、「電子基板からの

貴金属の一括回収」に本技術の適用が検討されています。

4.高速増殖炉燃料サイクル技術開発(原子燃料サイクルプロ

ジェクト)(竹下)

竹下研究室では、地球温暖化の抑制及び資源エネルギー問題

解決のための一つのソリューションとして原子力利用の推進を

掲げています。安全かつ経済的に原子力エネルギーを利用する

ための核燃料サイクル技術開発を進めています。この研究は東

工大統合研究院の主力プロジェクトに昨年採用され、「原子燃

料サイクルプロジェクト」(http://www.iri.titech.ac.jp/iri/

project_09.html)として内外の大学・関連機関と連携して研究を進めています。使用済原子燃料の再処理工程で発生する高レベル廃

液から長半減期元素や高毒性元素を回収するための分離・材料技術を研究しており、分子設計合成、金属錯体の構造解析、連続高濃

縮装置の開発、燃料サイクルのLCA(ライフサイクルアセスメント)解析など化学、化学工学、機械工学、システム工学分野に及ぶ

広範な研究が展開されています。21世紀後半に予想される資源エネルギー問題の解決を志す若い学生諸君、あなた方の熱い情熱を

我々と一緒にこの研究にぶつけてみませんか。

T. Yamaguchi: N. Hara, H. Ohashi, T. Ito, T. Yamaguchi, Rapid proton conduction through unfreezable and bound water in a wholly

aromatic pore-filling electrolyte membrane, J. Phys. Chem. B., 113, 4656(2009)

B.N. Nair, R.P. Burwood, V. J. Goh, K. Nakagawa, T. Yamaguchi, Lithium Based Ceramic Materials and Membranes for

High Temperature CO2 Separation, Progress in Materials Science, 54, 511(2009)

K. Takeshita: K.Takeshita., T. Matsumura, Y.Nakano Separation of Americium(III)and Europium(III)by thermal-swing extraction

using thermosensitive polymer gel. Prog. Nucl. Energy, 50, 466(2008)

K.Takeshita, Y.Okada, Optical-Response Extraction of Au(III)with Bis(2,2'-dipyridyl-6-yl)diazene and Octanoic Acid,

J.Chem. Eng. Japan, 41, 470(2008)

光応答抽出による貴金属回収

原子燃料サイクル

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巧妙な生命機能を司る金属タンパク質に代表される有機-金属ハイブリッドナノ材料は金属と有機物とで無限の組み合わせがあり、金属の特性と自在な設計が可能な有機骨格の特長を活かして多重機能の発現が期待されています。無機元素は110種類近く有りながら、未だに無機・金属を自在に組み立てる事が極めて困難な状況です。種類豊富な無機元素を原料に精密にナノ構造体を自在に組み上げる方法の確立が、未知の次世代ナノ材料の誕生に繋がる事は言うまでもありません。革新的な機能材料を目指し、精密無機機能化学からのアプローチは次の重要なナノテクの戦略として強く望まれています。本講座では精密無機機能化学を基盤として新しい領域を拓くための新概念の創出を目指し、あわせて、環境、生体機能、

エネルギー科学などに波及する革新的な機能を持つ未来ナノ材料の創製に挑戦しています。

1.金属集積の自在制御(山元)

我々は幾何学的に枝の数が密度勾配をもつ樹状構造体(デンドリマー)には分子内ポテンシャル勾配が存在すると予想し、金属集積部位としてアゾメチンを有する新しいタイプの樹状のπ共役高分子に着目しました。金属イオンは統計的にランダムに配位するとする従来の常識を覆し、分子の内側から外側に向けて放射状にしかも段階的に金属イオンが規則正しく集積される現象(多段階放射状錯形成)を世界で初めて発見しました[Nature, 415, 509(2002)]。この新現象を基盤に、金属の数と位置を決めて精密にしかも自在に飾り付けできる従来に無いメタロデンドリマーの創製に成功しています(図1)。多種金属を精密にしかも自在に原子レベルで集積できる画期的な方法として世界的にも注目されています。

2.精密金属ナノ材料の創製(山元)

我々のデンドリマーを利用した精密金属集積は、精密無機合成への新しいアプローチとなります。この独自の金属精密集積法を駆使して、金属元素の原子数や配合比を精密かつ自在に制御し、従来合成のできなかった単分散でサブナノオーダーの金属、半導体、酸化物、多元素合金などの新しいクラスター、いわゆる「精密金属ナノ材料」の創製を展開しています(図2)。例えば、燃料電池触媒の白金クラスターの合成に応用し、原子数12個の白金サブナノクラスターの生成に成功しました。わずか12個の白金原子で従来の白金触媒(3nm)を大きく上回る酸素還元触媒能を見出しました。さらに、チタン錯体の精密集積へも展開し、酸化チタンの最小のサブナノドットを得る事に成功し、量子サイズ効果を世界で初めて実証できました。

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環境調和分子設計講座[資源化学研究所・無機機能化学部門]

准教授 成毛治朗(Assoc. Prof. Haruo Naruke)(R1-710, Tel 045-924-5271)

(e-mail: [email protected]

教授 山元公寿(Prof. Kimihisa Yamamoto)(R1-712 Tel 045-924-5260)

(e-mail: [email protected]

図1 精密金属集積メタロデンドリマー

図2 精密金属集積を利用した精密金属ナノ材料の創製

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3.エレクトロニクスデバイスへの展開(山元)

メタロデンドリマーを有機薄膜デバイスのホール輸送材料として利用しました。有機EL素子及び色素増感太陽電池を組み上げ、高輝度発光と高エネルギー変換効率を達成しました(図3)。デンドリマーを利用した有機太陽電池の初めての例となります。この他、デンドリマーをナノカプセルと見立て、鉄イオンの個数を決めて内包/放出を精密に制御することに成功しました。フェリチンタンパクに比べ50倍近く小さいカプセルで同様の金属運搬貯蔵機能を再現したもので、新しい薬剤運搬材料(DDS)として期待されています。

4.金属酸化物クラスター(ポリ酸)の設計と機能(成毛)

ポリ酸はNb, V, Mo, Wなどの金属イオンと酸化物イオンが規則的に配列したクラスターイオンであり、構成元素や分子構造により様々な物理化学特性を示す無機機能分子として注目されています。われわれは、単一機能分子としてのポリ酸の設計と合成、機能を調べています。最近では、光学活性分子の分晶に成功し(図4)その配位化学を調べています。一方、高温を必要とせず水溶媒で合成できるポリ酸の特長に着目し、従来の金属酸化物材料に替わる、水でリサイクル可能な低環境負荷型機能材料を目指した応用法を探索しています。これまでにポリ酸透明薄膜法の開発(図5左)や、高イオン導電性を示すポリ酸の作製(図5右)に成功しています。

5.近赤外光の有効利用に向けた新機能材料(成毛)

太陽光や白熱灯の光は可視光以外に多量の赤外~近赤外光を含みます。また、近赤外用半導体レーザは可視光レーザより安価で高出力です。しかし近赤外光は光通信やレーザ加工などの目的以外は有効に利用されていません。われわれは、太陽電池の効率改善や新規表示材料を目指し、近赤外光を赤・緑・青の可視光に効率よく変換する技術を研究しています。この中で、励起光のパルス幅で発光色が変化する材料(図6左)や、高輝度青色発光材料(図6右)を見出しました。

K.YAMAMOTO Size-specific Catalytic Activity of Platinum Clusters Enhances Oxygen Reduction Reactions, Nature Chemistry, 1,

397-402(2009) ; Quantum Size Effect in TiO2 Nanoparticles Prepared by Finely Controlled Metal Assembly on

Dendrimer Templates, Nature Nanotechnology, 3, 106-111(2008); Stepwise Radial Complexation of Imine

Groupes in Phenylazomethine Dendrimers, Nature, 415, 509-511(2002)H. NARUKE Structure Dependence of Near-infrared Stimulated Blue Emission in Polycrystalline Ln2(WO4)3(Ln= Gd and Lu)

Doped with Tm and Yb, J. Lumin., 129, 1132-1136(2009); Synthesis and Structural Investigation of Sandwich

Polyoxotungstates Containing Cerium(III/IV)and Mono-lacunary Keggin Tungstophosphate Units, Inorg. Chim.

Acta,(2010)in press, DOI: 10.1016.

図3 有機-無機ハイブリッドデバイス(太陽電池、EL素子)

図4 光学活性をもつポリ酸分子図5 ガラス上のポリ酸透明薄膜(左上)と

発光(左下)。Anderson型ポリ酸結晶を加圧成型したアルカリイオン伝導体ペレット(右)。

図6 アップコンバージョンによる発光色制御(左)と青色蛍光(右)。

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環境微生物工学講座[資源化学研究所・資源循環研究施設]

(http://www.res.titech.ac.jp/~junkan/hisabori/index-j.htm)

地球上の生命を支えているのは、太陽光エネルギーです。植物に代表される光合成生物は、光エネルギーを私たち全ての生

物が利用できる化学エネルギーに変換しています。つまり、光合成生物が地球上のエネルギーの流れの底辺を支えているわけ

です。地球の歴史を考えると、水を分解し酸素発生を行う光合成微生物が出現したことで、大気中の酸素濃度が上昇しました。

その結果、呼吸という新たなエネルギー代謝経路を持った生物が出現し、生物の爆発的な繁栄につながったと考えられていま

す。私たちは、この光合成生物のエネルギー変換機構とその調節機構を理解し、生産性の効率向上などの応用研究に役立てる

ことを目指しています。また、目立たないながらも地球上の生態系で重要な役割を果たしている微生物の機能にも注目してい

ます。そこで、私たちの研究室では、光合成微生物を中心に微生物の機能に関する生理・生化学的な研究を行っています。

1.光合成生物のATP合成酵素の調節機構の解明

Regulation of ATP synthase of photosynthetic organism

ATP合成酵素は、分子モーターとしても知られている生体に必須のエネルギー変換装

置で、細菌、動植物など真核生物のミトコンドリア、植物の葉緑体で、呼吸や光合成で

得られるエネルギーをATPの化学結合のエネルギーに変換しています。ATPの供給は、

生命を維持するために非常に重要なものですが、中でも葉緑体のATP合成酵素は、昼間、

光合成反応が起こるときだけしか働くことができないので、その機能が精密に制御され

ています。制御機構としては、阻害サブユニットの構造変化や光合成と連動して酵素が

働くように調節するレドックス制御が知られていますが、これは言うなればモータータ

ンパク質に回転を制御するスイッチがついているようなものです。私たちは、ATP合成

酵素がこれらの制御機構によって、どのようなときにどのように調節されるのかを、分

子レベルで解明しようと研究を進めています1)。また、制御方法を理解することによって、

新たなスイッチをつけて分子モーターを自在に操ることも夢見ています。

2.光合成生物のレドックス制御機構の解明 Redox regulation network in photosynthetic organisms

レドックス制御は、光合成反応で生じる還元力を

利用していろいろな酵素分子が持っているジスルフ

ィド結合を還元することでその機能を制御する機構

です。この制御は、ジチオール-ジスルフィド交換反

応によって還元力の受け渡しをするチオレドキシン

という小さなレドックスタンパク質が主として行っ

ていることがわかってきました。細胞内には、上の

ATP合成酵素のようにチオレドキシンに調節を受け

る様々な酵素があり、これらは一般にチオレドキシ

ン標的酵素と呼ばれています。つまり、生体内には、

教授 久堀 徹 (Prof. Toru Hisabori)(R1A-209, Phone: 045-924-5234)

(e-mail: [email protected])

准教授 菅野靖史(Assoc.Prof. Yasushi Sugano)(R1A-215, Phone: 045-924-5235)(e-mail: [email protected]

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還元力の受け渡しを行うレドックスネットワークという情報伝達システムがあって、いろいろな代謝系が協調して働いている

わけです2)。また、細胞内では過剰な電子が活性酸素を発生して他のタンパク質システムを攻撃したり、これを防御するために

還元力が働いたりしていることもわかってきました。私たちは、このようなレドックスネットワークの全体像をプロテオミク

スの手法と生化学的な手法を併用して分子レベルで理解することで、将来、光合成生物の機能をうまく制御し利用出来るよう

になるものと期待しています。

3.環境調和型の微生物工学を目指して To achieve the environment-conscious biotechnology with microbes

~微生物のタンパク質分子を生かす取り組み

微生物は、地球上の生態系の土台を形作っている重要な役割も持っています。

生態系は、微生物の働きがなければ成り立ちません。日頃意識していませんが、

私たち人類も常に微生物に接して生きています。実際、私たちは、微生物から

様々な恩恵を受けていますが、時には猛々しい牙を向けられることもあります。

私たちは、このような微生物の機能をタンパク質分子レベルで解明することに

取り組んでいます。最近、ある種のカビが生産する酸化酵素 DyP が、これま

で知られていなかった新規なペルオキシダーゼで、しかも生体異物を排除する

ために重要な役割を果たしている事を明らかにしました3, 4)。また、バクテリア

を使って、重要な資源である高純度のセルロースを効率よく生産することに成

功し5)、現在、その合成ユニットである膜タンパク質の解析に取り組んでいま

す。私たちは、これらの研究を着実に積み重ねて、21世紀にふさわしい環境調

和型の微生物工学の実現を目指しています。

参考文献1)久堀徹・島袋勝弥・三留規誉、“ATP合成酵素の機能を可能にする巧みな複合体構造”、蛋白質核酸酵素、50(10)、1151-1159

(2005);2)本橋健・久堀徹、“酸化還元に制御されるチオレドキシン標的タンパク質の探索”、細胞工学、25(4)、409-413

(2006);3)Y. Sugano DyP-type peroxidases comprise a novel heme peroxidase family. Cell. Mol. Life Sci., 66, 1387-1403(2009).;4)Y.

Sugano, et al. Degradation pathway of an anthraquinone dye catalyzed by a unique peroxidase DyP from Thanatephorus cucumeris Dec 1.

Biodegradation, 20, 433-440(2009).;5)菅野靖史、“バクテリアセルロース高生産の鍵となる均一培養状態の実現”、Cell. Comm.

15, 168-172(2008).

T. Hisabori Structural and functional analysis of the intrinsic inhibitor subunit epsilon of F1-ATPase from photosynthetic organisms.

Biochem. J. 425(1), 85-94(2010)

Regulation of translation by the redox state of elongation factor G in the cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. J.

Biol. Chem. 284(28), 18685-18691(2009)

Roles of thioredoxins in the obligate anaerobic green sulfur photosynthetic bacterium Chlorobaculum tepidum. Molecular

Plant 2(2), 336-343(2009).

Molecular processes of inhibition and stimulation of ATP synthase caused by the phytotoxin tentoxin. J. Biol. Chem. 283

(36), 24594-24599(2008)

Y. Sugano DyP-type peroxidases comprise a novel heme peroxidase family. Cell. Mol. Life Sci. 66, 1387-1403(2009)

Degradation pathway of an anthraquinone dye catalyzed by a unique peroxidase DyP from Thanatephorus cucumeris Dec 1.

Biodegradation 20, 433-440(2009)

Purification and characterization of two DyP isozymes from Thanatephorus cucumeris Dec 1 specifically expressed in an

air-membrane surface bioreactor. J. Biosci. Bioeng. 107(2), 113-115(2009)

Efficient dye decolorization and production of dye decolorizing enzymes by the basidiomycete Thanatephorus cucumeris

Dec 1 in a liquid and solid hybrid culture. J. Biosci. Bioeng. 106(5), 481-487(2008)

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環境材料化学講座[資源化学研究所・スマートマテリアル部門]

遷移金属化合物の構造・反応性に関する錯体化学的・有機化学的研究基盤に立脚して新しい機能を持った材料の開発をめざして研究を行っています。吉沢准教授(講座外)と共同して研究室を運営しています。

1.環境応答型金属錯体系の開発 Development of transitionmetal systems responsive to the environment環境変化に応答して触媒機能などを発現するシステムを金属

錯体をベースにして構築するために、熱・光・pH変化などの外部からの刺激に応答する有機分子を金属錯体系に組み込むことによって、環境変化によって誘起される有機分子部分の大きな構造変化をトリガーとして金属錯体部分で機能発現させることを目標として研究を進めています。またこれと平行して光エネルギーを捕集して反応エネルギーに変換するシステムについても研究を行っています。

2.金属-炭素集合体の化学 Chemistry of metal-carbon hybrid炭素原子の集合体はπ共役系を含み、これを金属錯体と複合化させると、金属のd軌道にまで共役が広がった新しいタイ

プの化合物を創成することができます。一次元構造の化合物は情報伝達素子(分子ワイヤー)としての機能を果たしうることが確認されており、現在二次元・三次元構造にわたる炭素集合体を含む多核金属錯体への拡張および多機能化をはかり、金属と炭素の相互作用について分子論的立場から研究を進めています。

3.新しい多核金属錯体系の構築 Studies on new polymetallic systems金属-金属結合によって保持されない新しい多核金属錯体系の他、触媒反応活性種に関連した錯体化学の研究を行っています。

M. Akita Organometallic Chemistry of Polycarbon Species: From Clusters to Molecular Devices, Dalton Trans. 2008, 3523-3530.

Visible-light Promoted Bimetallic Catalysis, Coord. Chem. Rev. 2010, 254, 印刷中Photochromic Organometallics with a Dithienylethene(DTE)Bridge, M-CC-DTE-CC-M[M=MCp*(dppe)], Chem.

Eur. J. 2010, 16, 印刷中

教授 穐田宗隆(Prof. Munetaka Akita)(R1-220, Phone 045-924-5230)(e-mail: [email protected]

(http://www.res.titech.ac.jp/~smart/smartj.html)

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講座外 機能性材料開発[資源化学研究所・共通]

私達は、芳香環に囲まれたナノサイズの分子空間の精密構築とその空間を活用した特異反応や物性の開発を行っています。

独自のナノ空間による、従来の溶液や固体中とは異なる新しい化学環境場の創出を目指して、穐田宗隆教授(環境材料化学

講座)と共同で研究室を運営しています。

1.芳香環ナノ空間の構築と反応開発 Development of unique

phenomena within nano-sized aromatic cages

生体内の酵素は、タンパク質に囲まれたナノサイズの空間を利用

して高効率・高選択的な化学反応を達成している。そこで私達は、

そのエッセンスを抽出し、複数の芳香環に囲まれた人工的なナノ空

間を構築することで、従来の溶液中や固体中とは異なる新規な反応

の開発を行っています。これまでにナノ空間内でのみ特異的に進行

するDiels-Alder反応(右図)や光環化反応を見出しました。現在、

独自のナノ空間設計による、新しい化学環境場の創出と環境調和型

の反応系の構築を目指しています。

2.芳香環ナノ集積体の構築と物性誘起 Construction of nano-sized discrete aromatic stackings

ある種の芳香族分子は集積することで、分子単独では示さない興

味深い性質を発現することが知られている。そこで私達は、ナノ空

間を活用して、本来集積しない芳香族分子や平面状の金属錯体を簡

便かつ精密に集積することで、特異な物性の誘起を目指しています。

これまでに、芳香族分子の7、8、9重集積体の選択的な構築に成

功しました(左図)。現在、新たな芳香環集積体の合成とそれを利

用した機能性材料の開発を行っています。

M. Yoshizawa 1)Minimal Nucleotide Duplex Formation in Water through Enclathration in Self-Assembled Hosts, Nature

Chemistry, 1, 53-56(2009); 2)ひとりでに積み重なる分子 ―次世代ナノテクノロジーへの新たな挑戦―,

現代化学(東京化学同人)12月号, 52-56(2008); 3)Engineering Stacks of Aromatic Rings by the

Interpenetration of Self-Assembled Coordination Cages, J. Am. Chem. Soc., 130, 5832-5833(2008); 4)Porphine

Dimeric Assembly in Organic-Pillared Coordination Cages, Angew. Chem. Int. Ed., 46, 1803-1806(2007); 5)

Diels-Alder in Aqueous Molecular Hosts: Unusual Regioselectivity and Efficient Catalysis, Science 312, 251-254

(2006).

准教授 吉沢道人(Assoc. Prof. Michito Yoshizawa)(R1-218, Phone: 045-924-5284)

(e-mail: [email protected])(http://www.res.titech.ac.jp/~smart/smartj.html)

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環境理工学創造専攻・社会環境講座(都市圏大気環境分野)(併任)

教授 吉田尚弘 (Prof. Naohiro Yoshida)(G1-914, Phone & Fax: 045-924-5506)(e-mail: [email protected])

概要:教授、連携教員、助教、PD、秘書などスタッフ約10名と院生・卒研生など学生25名ほど、国外からはこれまで、露、中、印、タイ、アルゼンチン、スイス、デンマーク、米、カナダ国籍の人が参加する、1998年度開設の研究室である。環境理工学創造、化学環境学と地球惑星科学科に所属する学生の指導に加え、国内外の大学・研究所および企業の研究者・学生と交流のある、開かれた研究室である。環境物質の循環を理解するために、地球化学的な解析による教育・研究を行っている。地球環境に影響を与える大気、海洋、陸域の水・物質循環の変動と変化を、環境物質の化学組成、安定同位体・アイソトポマー組成などの質的情報を得て、定量的に解析している。グローバルCOE環境班代表として、地球初期から現在、環境-食品-生体を貫く物質循環を追跡している。ホームページはhttp://nylab.chemenv.titech.ac.jp。

主要研究テーマ:1 環境に存在する物質のアイソトポマー計測法の開発と、その応用による物質循環の定量的解析2 O2、H2O、CO2、CH4、N2O、CO、NMHCs、VOCs、SO2、COSなど大気成分の循環の同位体地球化学3 水、大気、バイオマーカーなどの地球史プロクシを用いた地球環境変動・変化の同位体地球化学4 アイソトポマーの応用としての環境―食品―生体を貫く物質循環の解析

研究内容:包括的な1のテーマで1996-2007年、科学技術振興機構(JST)戦略的基礎研究(CREST)、同基礎的発展研究(SORST)プロジェクトを研究代表として推進してきたので、主にそのコンセプトを示す。環境に存在する物質・分子には、同位体の組合せにより、多数の異なるアイソトポマー(isotopomer;同位分子、図1に模式的に環境物質・分子として示した。)が存在する。環境物質の起源・循環に関する質的情報を定量的に読みとる新しいコンセプトの物質解析法を提案している。この方法論の創出のために、図2に示したような新たな計測法を開発し、それらを実際の環境に適用し、現象解明する解析法を共同研究者とともに開発している。環境物質のアイソトポマーを計測・解析し、起源を正確に推定する方法論を確立し、物質循環を定量的に記述することにより、環境変化の将来予測と削減方策に貢献することを目指している。環境変化を引き起こす物質循環の変化を理解するには、環境物質の質的情報を知ることが重要である。環境物質の主要構成成分

である生元素には、1H, 2H, 12C, 13C, 14N, 15N, 16O, 17O, 18O, 32S, 33S, 34S, 36S, 35Cl, 37Clなど種々の安定同位体と、3H, 14Cなどの宇宙線起源放射性同位体がある比率で存在している。アイソトポマーとはこれらの中で、主に安定同位体を含む分子種であり、元素や分子内位置の組合せによって、温室効果ガスでは10種程度あり、生物起源有機物のような高分子ほど指数関数的に多種存在する。アイソトポマーは環境物質の質的情報、即ち、起源物質はどのような自然物質、人工物質、あるいは化石燃料であるか、どのような過程・環境で生成されたか、生成後にどのように変質したか、どのような過程・環境で消滅しているのか、といった複雑な履歴を記録している。環境物質分子について、アイソトポマーを精密に計測して、その豊富な履歴情報のほとんど全てを引き出す新しい方法論を創出し、地球系、生態系、生体から分子に至る様々なスケールの環境において物質循環システムの解析を行っている。

研究対象・試料・方法:国内外の気球、航空機、研究船、および地上観測で得た南極アイスコア、アフリカ沖海底、Biosphere 2、イギリス・ドイツ草地、インド、オーストラリア、タイ熱帯林、太平洋、大西洋、インド洋、南極海、アドリア海、シベリア、オホーツク、アラスカ、スウェーデン、成層圏などの大気、海水、陸水、生物試料、土壌・堆積物などの環境試料、自然・人工ソースおよびシンク、食品などを対象としている。また、環境物質の循環過程における同位体分別など、反応機構に関する知見を得るために物理化学的・微生物学的な室内・室外模擬実験を行い、観測結果を解析している。さらに、これらの観測、模擬実験に加えて、全球規模から生体内スケールまでの物質循環のシミュレーションと化学輸送過程を組み込んだ全球大循環気候モデルによるモデリングを行っている。

N. YOSHIDA: Geological sulfur isotopes indicate elevated OCS in the Archean atmosphere, solving faint young Sun paradox, PNAS, 106,14784-14789(2009); Evidence from fluid inclusions for microbial methanogenesis in the early Archaean era, Nature, 440,516-519(2006), Homogeneous climate variability across East Antarctica over the past three glacial cycles, Nature, 422,509-512(2003); Hydrogen and Oxygen Isotopes in Hydrology, UNESCO(2002); 温室効果気体、秋元肇他編「対流圏大気の化学と地球環境」, 学会出版センター(2002)

図1:環境物質・分子アイソトポマーの模式的解析(上)

図2:新たな計測法と解析対象(右)

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環境理工学創造・環境化学システム講座[資源化学研究所・プロセスシステム工学部門]

教授 仲 勇治Yuji Naka, Ph.D., Professor

R1-614Phone: 045-924-5248

E-mail: [email protected]

准教授 関 宏也Hiroya Seki, Ph.D., Assoc. Professor

R1-616Phone: 045-924-5258

E-mail: [email protected]

当研究室では、環境や安全を守りながら、市場の環境が様々に変わっても高度な生産活動が維持できるような次

世代生産システムに関する研究を行っています。 また、プロセスシステム工学を、循環型社会の構築に代表される

ような環境と人間社会の調和のために、積極的に役立てようと考えています。 環境・エネルギー問題と製品の設

計・生産・処理技術、あるいはライフサイクル工学と情報工学の関係など「全体と個」の関係に注目し、問題の全

体構造、要素間の相互関係に着目しながら、システム思考をもった研究を進めています。

1.社会技術システムの計画・運用のための技術情報基盤

物質、製品の循環系ネットワークを

プロダクトライフサイクルエンジニア

リングの視点から評価しています。原

料から成形加工、市場、回収、再利用/

最終処分に至るまでの環境影響、安全

性、エネルギー消費、コストなどの評

価を行うためのデータモデル・共有化

技術構築(=技術情報基盤)の研究を

行っています。これまで、PETボトル

のリサイクルの問題、廃棄物・バイオ

マスの資源化の問題などに取り組んで

きました。

2.製造システムのライフサイクルにわたる高度管理技術の技術情報基盤

化学、石油化学、石油精製システム、電子材料製造システム、製薬製造システムなどの設計から運転・保全のラ

イフサイクルにわたってリスクを管理しながら、サプライチェーンを推進する仕組みを構築しています。具体的な

研究テーマには次のようなものがあります。

(1)物質生産における安全管理システムの構築

物質の安全性や、機器の信頼性を向上させて安全を確保する考え方は、以前から行われてきました。しかし、生

ホームページ:http://www.res.titech.ac.jp/~pse/

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産工程における安全性は、物質安全性や機器の安全性だけでは無く、操作の問題が入ってくるために、経験的な要

素に支えられているところがたくさんありました。化学プラントのスタートアップ、シャットダウン、異常時など

の操作設計をHAZOP(HAZard and OPerability analysis)などとリンクさせて行うなどして、合理的かつ体系的に

プロセス安全管理を進めて枠組みについて研究しています。

(2)プラントワイドコントロール

大規模な連続型の化学プロセスを対象とし、個別のユニットの部分最適化ではなく、プラント全体を考慮した全

体最適が実現できるようなプロセス制御系の設計方法について研究を行っています。数学的には、系全体を1つの

システムとみなして、集中的な制御系を構成するのが最適ですが、ロバスト性(耐故障性)、メンテナンス性など

の実運用における様々な面を考慮して、PID制御、モデル予測制御、RTO(Real Time Optimization)などをうまく

組み合わせた実用性の高い制御系の設計法について検討しています。

また、化学プロセスのように複

数のユニットからなるシステム

は、個別のユニットの非線形性は

弱くとも、ユニット間の干渉や相

互作用により、系全体として、多

重平衡点をもつなどの興味深い特

性をもつようになります。このよ

うな非線形特性について解析し、

いかに簡単な方法で制御するかと

いった問題に取り組んでいます。

(3)バッチプロセスの最適運転・制御手法の開発

近年、市場の要求に柔軟に応えられるように、多品種少量の生産形態としてバッチ式の生産がその重要性を増し

てきました。バッチ式の化学品製造プロセスでは、医薬品、食品やファインケミカルズに見られるように、高度な

品質管理を要求されます。ところが、バッチプロセスの運転は、品質を絶対的に保証するために保守的になりがち

で、必ずしも、最適化されているわけではないという現状があります。本研究では、バッチプロセスの運転をより

効率的かつ確実に行う手法の開発に取り組んでいます。運転操作プロファイルと品質の関係を定量的に把握し、セ

ンサ精度と状態・パラメータ推定の関連を確率的に考慮するなど、バッチプロセスに特有な諸事情を考慮しながら、

実用的な運転・制御法の実現を目指しています。

“Evolutionary algorithms approach for integrated bioenergy supply chains optimization”, N. Ayoub, E. Elmoshi, H. Seki, Y.

Naka, Energy Conversion and Management, Vol.50, 2944-2955(2009)

“Superstructure-based design and operation for biomass utilization networks”, N. Ayoub, H.Seki, Y. Naka, Computers and

Chemical Engineering, Vol.30, 1770-1780(2009)

“Retuning oscillatory PID control loops based on plant operation data”, H. Seki and T. Shigemasa, Journal of Process Control,

vol. 20, 217/227(2010)

“Plantwide control system design of the benchmark vinyl acetate monomer production plant”, H. Seki, et al., Computers and

Chemical Engineering,(in press http://dx.doi.org/10.1016/j.compchemeng.2009.11.022)

図.プラントワイド制御のベンチマークプロセスの例

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理研連携講座

私たちは、有機金属化学、錯体化学を基盤として、新しい分子触媒、特に有機希土類金属錯体触媒をデザインして創製し、

それを活用した新しい有機合成反応や重合反応の開拓を行っています。

1.高機能ポリマーの創製を目指した新規精密重合触媒の開発 

-New Catalysts for Regio- and Stereospecific Polymerization-

私たちは、従来合成・単離が困難とされてきた、ハーフサンド

イッチ型・非メタロセン型など、様々な希土類ジアルキル錯体の

合成を達成しました。これらの錯体は[Ph3C][B(C6F5)4]等の

助触媒と組み合わせることで従来の遷移金属触媒には見られない

特異な重合活性を示すことを明らかにしました。

2.高効率・高選択的な有機合成を目指した新規有機金属触媒の開発 

-New Catalysts for Efficient Organic Synthesis-

従来の遷移金属触媒では困難な非対称内部アルキン、内部アルケンの位置

選択的メチルアルミ化反応に希土類触媒が有効であることを明らかにしまし

た。また、アルキンの選択的二量化反応などを開発し、これを用い、単一有

機分子発光材料としては初めての白色発光有機ELデバイスの作成に成功しま

した。

3.多核希土類ポリヒドリド錯体の創製と反応基質に対する多点協同活性化

-Polynuclear Rare Earth Metal Polyhydride Complexes Showing

Cooperative Effects-

四核希土類ポリヒドリドクラスターの合成と構造解析を初めて達成しまし

た。これらのポリヒドリドクラスターは種々の不飽和化合物に対し特異な反

応性を示し、一酸化炭素からエチレンを生成したり、金属カルボニル錯体と

反応し、異種多核金属メチル/オキソ錯体等を与えたりすることを明らかに

しました。

Zhaomin Hou “Alternating and Random Copolymerization of Isoprene and Ethylene Catalyzed by Cationic Half-Sandwich Scandium

Alkyls”, J. Am. Chem. Soc. 131, 13870-13882(2009).

“Scandium-Catalyzed Regio- and Stereospecific Methylalumination of Silyloxy/Alkoxy-Substituted Alkynes and

Alkenes”, J. Am. Chem. Soc. 131, 18266-18268(2009).

“Reduction of Transition-Metal-Coordinated Carbon Monoxide by a Rare-Earth Hydride Cluster”, Angew. Chem. Int.

Ed. 48, 7888-7891(2009).

教授 侯 召民(Prof. Zhaomin Hou)(RIKEN, Phone: 048-467-9393)

(e-mail: [email protected], URL: http://www.riken.jp/lab-www/organometallic/index.html)

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授 業 科 目 (平成22年度)

本専攻の学習課程として、下記のような授業科目が時間割表に組まれています。本専攻は新しい学問体系を目指す化学系環境学としての性質を持つものであり、(1)化学環境学、(2)環境反応学、(3)環境エンジニアリング、の各分野の授業科目が用意されています。

科 目 名 担 当 教 員 開講時期

(1)化学環境学に関連した講義化学環境学特論第一 馬場、宍戸、本倉 前期化学環境学特論第二 穐田、山口、竹内、石谷 後期リーダーシップ論O 専攻長 後期エネルギー化学環境学特論; 馬場、他

エネルギー最前線 前期機器分析特論# 成毛、他 前期環境微生物 久堀、菅野 前期微生物工学特論 久堀、菅野 後期Material Cycle Analysis* 吉田 後期

(2)環境反応学に関連した講義環境調和化学論 馬場、本倉、吉田 前期物理化学特論(総) 岩本、石谷 前期有機化学特論(総) 小坂田、竹内 前期無機化学特論(総) 山元、成毛 前期高分子化学特論(総) 池田、宍戸、間宮 後期化学反応速度論*O 馬場 後期環境分解化学論 馬場、本倉、畑中+、坂本+

大河内+ 後期無機機能材料特論* 山元、成毛 後期錯体分子機能論* 穐田、吉沢 後期触媒化学特論# 辰巳、野村、馬場、岩本、穐田 前期有機金属化学# 田中、小泉 前期

(3)環境エンジニアリングに関連した講義化学生態システム解析 渡辺、竹下 前期反応モデリング論* 山口 前期プロセス平衡論* 竹下、渡辺 前期環境知識システム論E 竹下、渡辺 後期極微量物質論 渡辺、清田+ 後期プロセス計画・設計論 竹下、渡辺 後期社会技術システム計画#O 仲、関 後期プロセス安全管理工学特論#E 関、仲 後期

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グローバルCOE化学に関連した講義グローバルCOE化学・ 安藤、跡部、他 後期化学産業ものづくり特論#*

グローバルCOE化学・ 岡本、小坂田、他 前期環境安全教育#

グローバルCOE化学・ 植草、腰原、辰巳、高橋、森 前期特別コロキウム1,3,5#*

グローバルCOE化学・ 植草、腰原、辰巳、高橋、森 後期特別コロキウム2,4,6#*

グローバルCOE化学・ 森、腰原、原 前期特別講義#*

グローバルCOE地球たちに関連した講義GCOE地球たちコロキウム# 井田、大森 後期GCOE地球たちステータスリポート# 井田、大森 後期GCOE地球たちインターンシップ# 井田、大森 後期GCOE地球たち特別講義1,3,5# 井田、丸山、太田、他 前期GCOE地球たち特別講義2,4,6# 吉田、永原、池内、他 後期GCOE地球たち国際講義1# 未定 前期   GCOE地球たち国際講義2# 未定 後期GCOE地球たち国際講義3# 未定 未定GCOE地球たち国際講義4# 未定 未定GCOE地球たちインターナショナル# 中本、大森 後期GCOE地球たちチュートリアル# 井田、大森 後期GCOE地球たちアウトリーチ# 井田、大森 後期

グローバルCOEエネルギーに関連した講義グローバルCOEエネルギー  野崎、平井、山田、伊原 前期エネルギー・アナリシス$

グローバルCOEエネルギー  野崎、小長井、山田、菅野、花村、 前期エネルギー・デバイス$ 伊原、小原、小酒グローバルCOEエネルギー  野崎、小長井、山口、山田、半那、 後期エネルギー・マテリアル$ 丸山、谷岡、斎藤、山中、西方

特別講義、インターンシップ等の講義化学環境学特別講義第七 目、松本 前期化学環境学特別講義第八 中田 前期化学環境学特別講義第九 今村、藤原 後期化学環境学専攻インターンシップ 専攻長 前・後期第一 A, B化学環境学専攻インターンシップ 専攻長 前・後期第二 A, B化学環境学専攻インターンシップ 専攻長 前・後期第三 A, B

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*易しい英語による国際大学院授業も兼ねる。 E西暦偶数年開講。 O西暦奇数年開講。 +連携客員教員。 #関連分野の専攻(物質電子化学・環境理工学創造・応用化学・地球惑星科学)指定科目。 *グローバルCOE化学の授業科目であり該当分野に参加する6専攻を横断した授業である。受講者には特に深い専門性および幅広い関連知識による高度専門能力が要求される。このため履修予定者は受講資格(別途通知)が必要となる。 $関連分野の14専攻を横断した授業。科目指定。

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大学院生活のひとコマ

化学環境学特論第二(植生調査)

キャンパス内の樹木の計測をし、過去のデータと

の比較から環境の変化について考察します。

化学環境学特論第二(中間発表)

研究内容についてポスター発表をします。優秀者

には表彰があります。

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入 学 案 内

本専攻の平成21年度(22年度入学)の募集実施状況は以下の通りであった。

募集人員    修士 34名   博士 16名

筆答試験の試験科目

課程 科 目 出題範囲 試験時間

外国語 英語 1時間

専門科目(午前) 数学、物理、化学、生物(選択) 2時間30分修士

専門科目(午後) 物理化学、有機化学、無機化学2時間30分

生物工学、化学工学(選択)

博士 外国語 英語(科学論文等の読解、作文) 1時間

・詳細は募集要項で確認してください。・平成18年度より、多様化する21世紀の状況に柔軟かつ着実に対応できる化学・環境・エネルギー問題に関連した高度な知識・企画力・実践力を備え、国内外の場で指導的な立場で活躍できる人材を養成することを目的として博士一貫教育プログラムが開設されました。これは4年をめどに修士・博士課程を修了するコースです。入学後、改めて博士一貫教育コースへの編入希望者を募集します。

<照会・募集要項の請求先>〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1 W8-103

東京工業大学学務部入試課入試実施グループ(大学院)電話03-5734-3020

(郵送により募集要項を請求する場合には返信用封筒が必要になるので、封筒のサイズ、返信用切手等について問い合わせてください)

<オープンキャンパス>平成22年5月7日(金)・8日(土)このほかにも専攻説明会を予定しています。詳細はホームページを参照してください。

<問い合わせ先>【平成22年度化学環境学専攻長】

〒226-8503 横浜市緑区長津田町4259-G1-14東京工業大学 大学院総合理工学研究科化学環境学専攻教授 馬場 俊秀電話 [email protected]

専攻ホームページ http://www.chemenv.titech.ac.jp

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修了後の進路本専攻の修士および博士課程修了者の主な就職先

[一般企業]

平成21年度

ニチレイロジグループ本社、東京ガス、半導体エネルギー研究所、トヨタ自動車、電源

開発、三木証券、東芝、日本原燃、NTTコムウェア、大日精化工業、いすゞ自動車、日

立化成工業、曙ブレーキ工業、富士ゼロックス、新日鉄、横浜油脂、日本触媒、スズキ、

東京電力、大日本印刷、花王、アデカ、高畑精工、明治製菓、天昇電気工業、千代田化

工、住友化学

平成20年度

旭化成、出光興産、キヤノン、黒崎播磨、サカタインクス、サッポロビール、昭和シェ

ル石油、住友化学、住友スリーエム、大王製紙、大気社、大日本印刷、大和製罐、チッ

ソ、東京海上日動システムズ、東芝、東芝松下ディスプレイテクノロジー、東レ、東邦

化学工業、東洋エンジニアリング、凸版印刷、日清紡、日本原燃、ハイテック、半導体

エネルギー研究所、日立製作所、フクビ化学工業、富士ゼロックス、富士通マイクロソ

リューションズ、ブリヂストン、本田技研、三井化学、三菱樹脂

平成19年度

旭化成、アクセンチュア、石川島播磨重工業、出光興産、オルガノ、花王、カネカ、関

西ペイント、京セラ、栗田工業、光陽国際特許法律事務所、コニカミノルタHD、サッポ

ロビール、シチズンテクノロジーセンター、昭和シェル石油、昭和電工、住友化学、住

友スリーエム、住友ベークライト、ソニー、第一三共、大日本インキ、太平洋セメント、

デュポン、東京瓦斯、東京放送、東芝、東邦化学工業、東レ、凸版印刷、トヨタ自動車、

日揮、日東電工、日本たばこ産業、日本電気、日本ユニシス、日立化成工業、ブリヂス

トン、本田技研、三菱東京UFJ銀行、ヤクルト

[官庁、公務員]

厚生労働省、農林水産省、消防庁、国立印刷局、東京都環境保全局、神奈川県、埼玉県

庁、広島県教員

[大学、研究機関]

東京工業大学、東京大学、神奈川大学、Univ. of California at Berkley、茨城高専、理化学

研究所、科学技術振興機構博士研究員、日本学術振興会特別研究員、日本原子力研究開

発機構、(財)産業創造研究所、(財)食品薬品安全センター、(財)日本食品分析センタ

ー、(財)微生物化学研究会、(財)野口研究所、(財)国民生活センター

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交通機関案内

すずかけ台キャンパスまでの主な経路(平均的乗換え時間を含む所要時間)

*新横浜駅から,長津田駅(JR 横浜線)経由,東急田園都市線 すずかけ台駅下車(30分)* 東京駅から,渋谷経由(JR 山手線),東急田園都市線 すずかけ台駅下車(75分)* 小田原駅から,相模大野(小田急小田原線),中央林間(小田急江ノ島線)経由,東急田園都市線 すずかけ台駅下車(90分)

東京工業大学 大学院総合理工学研究科 化学環境学専攻 2010年度

発行日  平成22年 3 月 1 日問い合せ先 【平成22年度化学環境学専攻長】東京工業大学 大学院総合理工学研究科 化学環境学専攻教授 馬場俊秀(電話 045-924-5480)〒226-8502 横浜市緑区長津田町 4259-G1-14

新宿

渋谷

目黒

五反田

品川

浜松町

東京

中央線 山手線

大井町

代々木

新玉川線

大岡山

大岡山 キャンパス 旗

の台

小田急線

田園調布 多摩川園

二子玉川 田園都市線

蒲田

羽田空港

東京モノレール

池上線

菊名

東神奈川 横浜

新横浜

新幹線

東横線

目蒲線

横浜線

長津田

町田

京浜東北線

中央林間

田町キャンパス

田町 大井町線 石川台

すずかけ台 キャンパス

自由が丘

すずかけ台