地熱と地中熱の活用...1.はじめに 地球の体積の93%以上は1000...

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地熱と地中熱の活用 1.はじめに 2.地熱発電 3.地中熱利用システム 4.震災復興に向けて 東北大学-産業技術総合研究所合同セミナー 震災復興に向けての産学官連携の取り組み地圏資源環境研究部門 安川香澄・内田洋平

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Page 1: 地熱と地中熱の活用...1.はじめに 地球の体積の93%以上は1000 以上です。中心温度は6000 に達します。 地球内部の熱は,絶え間なく地上へ流れ出し,私たちの利用を待っています。「地熱エネルギー入門」Mary

地熱と地中熱の活用

1.はじめに

2.地熱発電

3.地中熱利用システム

4.震災復興に向けて

東北大学-産業技術総合研究所合同セミナー―震災復興に向けての産学官連携の取り組み―

地圏資源環境研究部門 安川香澄・内田洋平

Page 2: 地熱と地中熱の活用...1.はじめに 地球の体積の93%以上は1000 以上です。中心温度は6000 に達します。 地球内部の熱は,絶え間なく地上へ流れ出し,私たちの利用を待っています。「地熱エネルギー入門」Mary

1.はじめに地球の体積の93%以上は1000℃以上です。中心温度は6000℃に達します。地球内部の熱は,絶え間なく地上へ流れ出し,私たちの利用を待っています。

「地熱エネルギー入門」Mary H. Dickson, Mario Fanelli 著・日本地熱学会訳 より

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主な地熱利用法

1)地熱発電 2)直接利用 3)地中熱利用システム

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2.地熱発電地熱発電は、“地球の水循環”と“天然のボイラー”を使った再生可能エネルギー

生産井

還元井

還元井

セパレーター タービン

発電機コンデンサー

冷却塔

蒸気

熱水

マグマだまり

地表水

大気中の水蒸気

貯留層

(天然のボイラー)

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速報!東日本大震災後も地熱発電所は全て無事だった!

森地熱発電所1982.11~50,000kW

大沼地熱発電所1974.6~9,500kW

澄川地熱発電所1995.3~50,000kW

松川地熱発電所1966.10~23,500kW

葛根田地熱発電所Ⅰ.1978.5~

50,000kW

Ⅱ.1996. 3~30,000kW

鬼首地熱発電所1975.3~15,000kW

柳津西山地熱発電所1995.5~65,000kW

八丈島地熱発電所1995.5~3,300kW

上の岱地熱発電所1994.3~28,800kW

M9.0震源地

福島第一原子力発電所

Sapporo

Sendai

Tokyo

Osaka

Fukuoka

マグニチュード9.0を記録した2011年3月11日の東日本大震災後も、東日

本の全ての地熱発電所は、震災前のレベルで安全に発電を続けている。

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速報!東日本大震災後も地熱発電所は全て無事だった!

大沼地熱発電所1974.6~9,500kW

澄川地熱発電所1995.3~50,000kW

松川地熱発電所1966.10~23,500kW

葛根田地熱発電所Ⅰ.1978.5~

50,000kW

Ⅱ.1996. 3~30,000kW

鬼首地熱発電所1975.3~15,000kW柳津西山地熱発電所

1995.5~65,000kW

上の岱地熱発電所1994.3~28,800kW

M9.0震源地

福島第一原子力発電所

Sapporo

Sendai

Tokyo

Osaka

Fukuoka

東北地方の地熱発電所の多くは3月11日の地震の際、

一旦送電を自動停止。安全確認後、数時間~数日で送電を再開。送電停止中も、出力を落とした発電が続けられ、所内電源は確保されていた。

一方、福島県の柳津・西山発電所は、地震計の常時観測値より安全と判断され、地震直後も停止することなく送電を続けた。

復興に向けてのポイント1

•地熱発電所は、地震の際も安全に稼働。

•山間部の自治体などで地熱発電所を持てば、災害時に送電網が切断されても、ベース電力を確保できる!

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地熱発電のしくみ(蒸気発電)

生産井から取り出された、高温高圧の地熱流体(蒸気と熱水の二相流)を

低温低圧状態に開放すると、高速の蒸気流がタービンを回し、発電ができる。地熱流体の温度は、200℃程度以上が必要。

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地熱発電のしくみ(バイナリー発電)

地熱流体の温度が150℃程度の場合、地熱流体そのものはタービンを回

す原動力とならないが、低沸点の2次流体と熱交換し、2次流体を気化させてタービンを回すことができる。

通常、バイナリー発電では、2次流体にペンタン等の炭化水素を用いる(有機ランキンサイクル)。

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地熱発電のしくみ(温泉発電)

2次流体に水とアンモニアの混合物を用いるカリーナサイクルでは、100℃未満(85℃<程度)でも発電が可能。

温泉源

浴用温泉へ

送電線または自家電力へ

(低温バイナリー発電)

復興に向けてのポイント2

高温の温泉では、泉源の熱湯を発電に利用し、適温に下がってから浴用に使う、温泉発電が可能。

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地熱発電の特徴

高いエネルギー収支比(電力生産量/投入エネルギー)

地熱(31) ,水力(50) , 石油火力(21) , 原子力(24) , 石炭火力(17)

内山(電中研):発電システムのライフサイクル分析, 1995.

少ないCO2排出量

地熱(13),水力(11) ,原子力(20) g-CO2/kWh

(電中研:日本の発電技術のライフサイクルCO2排出量評価, 2010)

高い年間設備利用率地熱(72%)⇔原子力(71%) (共に2009年度)

安定電源

昼夜, 季節による変動が殆ど無い

優れた特徴地熱エネルギーは、ベース電源として稼働率が高く、 CO2排出量が少ない豊富な国産エネルギー。いま、その力をどうやって引き出すかが問われている。

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各国の地熱資源量は、火山の個数にほぼ比例。日本の地熱資源量は23,470MW と推定されており(産総研,2008)、世界の三大地熱資源保有国の一つ。

国名活火山数(個)

地熱資源量(MWe)

2010年の地熱発電量(GWe時)

米国 160 30,000 16,603

インドネシア 146 27,790 9,600

日本 119 23,470 3,064

フィリピン 47 6,000 10,311

メキシコ 39 6,000 7,047

アイスランド 33 5,800 4,597

ニュージーランド 20 3,650 4,055

イタリア 13 3,270 5,520

基盤深度(3km深程度)までに蓄えられている資源量

世界有数の地熱保有国日本

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各国の地熱資源量は、火山の個数にほぼ比例。日本の地熱資源量は23,470MW と推定されており(産総研,2008)、世界の三大地熱資源保有国の一つ。

世界有数の地熱保有国日本

復興に向けてのポイント3

日本の豊かな地熱資源の多くが東北地方に腑存する。それを有効活用すれば、電源確保と共に、産業の活性化や新たな町づくりが可能。

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14'000

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1998

2000

2002

2004

2006

2008

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cit

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MW

)

クリーン電源として世界の地熱発電量は上昇中で、火山国でないドイツ、オーストラリア等は、4~5km深の井戸に高温岩

体技術を応用した地熱発電プロジェクトを展開。一方日本では、2000年以降新しい地熱発電所の建設なし。 なぜ?

世界の地熱発電設備容量(10MW)

日本の地熱発電設備容量(10MW)と地熱発電量(100GWh)

800

600

400

200

(10MW)

世界で地熱発電が増加する中、日本は?

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地熱発電のコスト:キロワットあたり単価が火力や原子力に比べ高いとされる ※日本では諸外国に比べ高コスト

日本で地熱発電開発が進まなかった理由

国立公園内の資源賦存:資源の80%以上が国立公園内にあり、開発不可

温泉との対立:地元の温泉事業者の理解が得られず、開発中止になった例も

・・・・・・と言われている。が、それが本当の理由?

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日本で地熱発電開発が進まなかった本当の理由

これらは全て原子力と共通の特徴。

原子力促進政策の中、地熱開発に不利な法制度等が野放しになっていたことが最大の問題・・・

電力会社にとっては、地下リスクがある上、スケールメリットがない地熱開発は積極的に進めなかった。

復興に向けてのポイント4

政策が最大の問題ならば“地熱特区”の指定等で法制度の欠陥を補えば、東北地方での地熱開発のスピード化が可能。

高いエネルギー収支比(電力生産量/投入エネルギー)

地熱(31) ,水力(50) , 石油火力(21) , 原子力(24) , 石炭火力(17)

少ないCO2排出量

地熱(13),水力(11) ,原子力(20) g-CO2/kWh

高い年間設備利用率地熱(72%)⇔原子力(71%) (共に2009年度)

安定電源

昼夜, 季節による変動が殆ど無い

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日本地熱学会による報告書「地熱発電と温泉利用との共生をめざして」

唯一、法制改革だけでは片付かない問題:

地熱と温泉との共生

地熱発電の温泉への影響を危惧する温泉事業者が一部にいるが、多くは理解不足や誤解によるもので、適正規模の開発ならば地熱発電と温泉の共生は可能。

・天然の熱と水の供給量と、温泉、地熱発電での利用量の収支バランスが合えば、問題ない。・温泉源と地熱貯留層の間に遮蔽層(水の流れを遮断する地層)があれば、問題ない。

(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門では、「温泉共生型地熱貯留層管理システム実証研究」を実施中(H22~24年度、環境省予算)。

※温泉系の科学的理解を深めて、永続的に温泉利用するためにも、こういった調査は必要。

復興に向けてのポイント5温泉と地熱開発との共生により、より豊かな温泉地作りを目指せる。

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地熱エネルギーのカスケード利用

復興に向けてのポイント6

発電のみならず、熱を有効に利用した新たな都市計画という観点が必要。熱利用による新たな産業も!

地熱エネルギーは、発電に限らず熱利用の用途も広い。

カスケード利用:温度の高いほうから低いほうへ何段階にも渡って熱利用する方法。

カスケード利用により、熱効率もコスト効率も挙がり、単独では採算性のない熱利用法も実現可能となる。

(工場排熱等とも併せた検討を)

常温

地熱の温度別利用法

Lindal(1973)に加筆

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3.地中熱利用システム

地中熱利用の概念図

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① 省エネ、節電

② 化石燃料ボイラーからの置き換えでCO2排出削減

③ ヒートアイランド対策:大気に熱放出しない(冷房時)真夏のピークカットに効果的!

④ デフロスト運転不要(暖房時)

地中の温度は年間を通してほぼ一定なため、夏は外気より冷たく、冬は外気より暖かい。この温度差を利用し,地中熱をヒートポンプの熱源とするシステム(成績係数3.5<)

エネルギー消費量GJ/年

46%削減 !

地中熱HPの省エネ効果弘前市の地中熱冷暖房・融雪設備の2004-08年の稼働実績(石上ほか, 2010)

在来システム

地中熱

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世界の地中熱利用ヒートポンプシステムの設備容量

各国の地中熱ヒートポンプ普及状況(Lund,2010)米国の設備容量12,000MWtは同国家庭用(12kWt)100万台に相当日本は2009年までの累積で,設置件数580件(環境省,2010)

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2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,0000�Ý�õ�e�Ê(MWt)

米国中国

スウェーデン

ノルウェー

ドイツ

日本(44MWt)※MWt(メガワットサーマル)は、熱量でのメガワット数

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000

設備容量(MWt)

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クローズド方式とオープン方式

クローズド方式(地中熱交換井を利用)

揚水規制を受けず,基本的にどこでも利用可能

場所によっては熱交換効率の差異が生じる

オープン方式(地下水を汲上げ、利用後に還元)

揚水規制のある地域では利用不可

帯水層の存在が必須

最低二坑井が必要なため,小型システムの場合は掘削費が割高

地下水の熱を直接利用するため,クローズド方式より高効率で運転コストが低く,制約さえクリアすれば大規模な開発に向いている。

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クローズド方式 オープン方式

コンパイルした水理地質情報に対し,各評価指標(透水係数、地下水位、地下水流速等)を用いて,62か所の地下水盆毎の合計評価点を求め,合計評価点による各方式の適地マップを作成。

産総研での研究:地中熱利用システム適地マップ

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NPO法人地中熱利用促進協会(2011)

地中熱利用システムを取り入れた省エネルギー・スマートコミュニティ構想

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NPO法人地中熱利用促進協会(2011)

地中熱利用システムを取り入れた省エネルギー・スマートコミュニティ構想

復興に向けてのポイント7

熱を有効に利用した都市計画の中に、地中熱利用も加えるべき。必要な地下データも揃いつつある。

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4.震災復興に向けて

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地熱利用のポイント

1. 地熱発電所は、大地震の際も安全に稼働。山間部の自治体等で地熱発電所を持てば、災害時に送電網が切断されても、ベース電力を確保可能。

2. 高温の温泉では、泉源の熱湯を発電に利用し、適温に下がってから浴用に使う温泉発電が可能。

3. 日本の豊かな地熱資源の多くが東北地方に腑存する。それを有効活用すれば、電源確保と共に、産業の活性化や新たな町づくりが可能。

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4.震災復興に向けて

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地熱・地中熱利用のポイント

4. 政策課題が地熱開発上の最大の問題ならば、“地熱特区”の指定等で法制度の欠陥を補えば、東北地方での地熱開発のスピード化が可能。

5. 温泉と地熱開発との共生により、より豊かな温泉地作りを目指せる。

6. 発電のみならず、熱を有効利用した新たな都市計画が必要。熱利用による新たな産業も。

7. 熱を有効に利用した都市計画中に、地中熱利用も加えるべき。必要な地下データも揃いつつある。