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「液状化現象」

サンプルページ

この本の定価・判型などは,以下の URL からご覧いただけます.

https://www.morikita.co.jp/books/mid/048581

※このサンプルページの内容は,初版 1 刷発行時のものです.

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i

はじめに

地震が起こるたびに液状化による被害が発生している.これは,人工の構造物である建物や土木構造物は強くできるし,また,過去の地震の教訓を生かして,設計指針が強化されてきたのに対して,地盤は自然が作ったものであり,何らかの対策を行わないかぎり弱ければその弱い状態が維持されるからである.また,近年の都市の発展に伴い,従来は構造物を作ることを避けてきた悪い土地にも構造物が作られるようになったこと,さらに,埋立地など,液状化しやすい土地が作られてきたことも液状化被害が多くなっている原因である.そのため,液状化解析に対するニーズも増えてきた.しかし,一方では,大学の講義でも液状化の詳細を教える時間はほとんどないので,多くの技術者は社会に出てから液状化に関する知識を勉強するのが現状であろう.現在では,液状化の解析は,設計指針に書かれている簡易法だけでは十分ではなく,有効応力地震応答解析までが要求されるようになっている.また,設計指針にしても,多くの設計指針で方法が示されているが,定義などは同じではなく,簡易法から一歩外れて少し詳細な解析を行おうとすると,背景となる知識などが必要になる.そのようなときに役立つのが,本書である.また,液状化解析のプログラムを作る人だけでなく,市販のプログラムを使うときにも理論の詳細がわかっていないと現象の理解が十分できないので,そのような面からも役立つ内容である.建築出身で学位論文も鉄骨筋かいの弾塑性挙動1)である私が液状化の研究を始めるきっかけとなったのは,当時在籍していた佐藤工業が受託していた,ある原子力発電所の設計で,取水した海水の砂を沈殿させるための沈砂池の液状化検討をするように言われたことである.岩盤上に作られた沈砂池であるが工事のために開削し,その後岩砕で埋め戻した部分があり,これが液状化し,沈砂池に流れ込んで水路を止めないかというのが課題であった.まったく起こりそうにない話であるが,原子力発電所ではそこまでありそうにないことを検討するのかと驚いた記憶がある.自分ではまったく解決できそうになかったので,東京大学の石原研而先生に相談に行き,当時助手をしておられた東畑郁生先生の作られた YUSAYUSA2)という液状化解析のプログラムを紹介していただいた.これをきっかけに先生とのおつきあいが始まり,厚かましくも地震の被害調査にご一緒させていただいたり,相談をさせていただいたりした.その後,石原先生の紹介で,液状化解析の先端を走っておられたカナダ・ブリティッシュコロンビア大学(UBC)のW.D.L. Finn先生のところに,1985~1986年の間 Post-Doctoral Fellowとして勉強させていただく機会を得て,本格的に地盤の地震時挙動,液状化の研究をするようになった.UBCでは,当時 Finn先生が開発していたTARA3)という 2次元,有効応力地震応答解析プログラムを完成させる仕事をした.なお,YUSAYUSAはその後私が手を加えたものを,私の開発した他のプログラムとともに,基礎地盤コンサルタンツのご厚意で同社のサイトより公開している(https://www.kiso.co.jp/yoshida/).YUSAYUSAは何度かの修正を経て,現在ではYUSAYUSA-2となっている(ただし,本書ではYUSAYUSAの名前で統一している).私は主として解析を通して液状化と関わってきた.先に述べたTARA以外にも,いまでも日本や世界中で広く使われている液状化解析プログラムDESRA4),YUSAYUSA5)の改良に携わった経験もあるし,自身でも,解析プログラムを作ってきた.また,地盤工学会や土木学会の多くの

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ii はじめに

液状化に関する委員会にも関わってきた.これらを通して,液状化の解析というのは単にプログラムがあれば正しい答えが得られるというわけではなく,技術者が考えるべきことがたくさんあるということがわかってきた.液状化の研究はいくつかの世代に分けることができる.第一世代は 1964年に液状化被害が発

生し,そのメカニズムなどを研究した世代,第二世代はこれを設計指針に取り入れてきた世代,そして第三世代は有効応力地震応答解析などの解析法を作ってきた世代である.第三世代は同時に液状化に伴う流動現象が話題になった時期と重なる.私は第三世代に属する.本書を執筆するにあたって,第一,第二世代の研究については,かなり調査したつもりであるが,すべてを網羅したとはとてもいえない.また,最近は関係する国際会議,雑誌も増え,これらのすべてに目を通すことも不可能になってきている.見落としや私の能力不足ゆえの誤解があるかもしれないことをお詫びしておく.液状化の研究が進んでくるにつれて,多くの要因に対する研究が行われている.これらのすべ

てを本書で紹介することはほとんど不可能である.液状化に関してはこれまでにも多くの本が出版されている(たとえば,文献 6),7),8),9),10),11)).また,文献 12),13)には,現象としての液状化が多くの事例と共に示されている.構成モデルについては,文献 14),15)などによくまとめられている.より深く学びたい読者はこれらの本を参照されたい.液状化はよくわかっている現象というわけではなく,研究はいまでも進行中である.しかし,あ

まりに先端の研究を追いかけても,実務では扱えないことも多い.そこで,本書では,実務技術者が知っておいたほうがよいと考えられる事項に的を絞って,あまり複雑なもの,実務では考慮するのがたいへんなものはあえて無視することにした.第三世代の研究者として,普段は第一,第二世代の研究者を「先生」の敬称をつけてよんでい

る.本書を書くに際しても,つい,「先生」と書いてしまうことが多かったが,一般的には敬称は省略するというのが約束事であるので,心苦しく思いつつも本文では敬称はすべて外させていただいた.私の液状化とのつきあいは,30歳を過ぎてから始まったもので,現在まで多くの方にお世話に

なった.とくに,先に書いた石原先生,Finn先生にはいろいろなことを教えていただいた.両先生とも工学的なセンスに優れた方で,私の工学的なセンスは両先生の教えのおかげである.また,年代が近いこともあり,液状化研究の先輩である元東京電機大学・安田進博士には液状化研究の初期の話,設計指針の話,試験の話などを,元関東学院大学・若松加寿江博士からは地形地質といういまでも数値に乗りにくいことを教えていただいた.さらに,前田建設工業の三上武子博士は実験のプロで解析屋としての私のいろいろな疑問について丁寧に答えていただいた.また,本書を執筆するに際して,疑問に思ったこと知らないことは名前を挙げることができないくらい多くの人にお伺いした.最後に,港湾空港技術研究所の大矢陽介博士,前述の三上武子博士には本書の原稿を読んでいただき,実務的な観点から多くの意見をいただいた.また,森北出版の福島崇史氏には出版物としての構成に関して多くの意見を,加藤義之氏には文章を詳細にチェックしていただいた.これにより読みやすい構成になったと考えている.これらの諸氏に深く感謝する.なお,地盤の全応力地震応答解析については前著16)で示したので,ここでは,液状化に関する

ことに限定し,前著との重複をなるべく避けることにした.本書の図面などはすべてオリジナルの論文から書き直した.ただ,論文の複写時に図面がひず

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はじめに iii

んだりするので,精度には十分注意して描いたつもりであるが,100%完全というわけではない.細かいところが気になる読者はオリジナルの論文を参照されたい.また,図を描く際,凡例の位置,記号の種類などは適当に編集したりしているが,本質ではないと考えられるので,一々は断っていない.

2020年 6月著 者 

参考文献

1) 吉田望:筋かい材の弾塑性性状に関する研究,京都大学学位論文,1984

2) Ishihara, K. and Towhata, I.: One-dimensional Soil Response Analysis during Earthquake

Based on Effective Stress Method, Journal of the Faculty of Engineering, Vol. XXXV, No. 4,

The University of Tokyo, pp. 656-700, 1980

3) Finn, W.D.L., Yogendrakumar, M., Yoshida, N. and Yoshida, H.: TARA-3, A computer pro-

gram to compute the response of 2-dimensional embankment and soil-structure interaction

systems to seismic loading, Soil Dynamic Group, University of British Columbia, 1986

4) Finn, W. D. L., Byrne, P. L. and Martin, G. R.: Seismic response and liquefaction of sands, J.

GT, ASCE, Vol. 102, No. GT8, pp. 841-856, 1976

5) 吉田望,東畑郁生:YUSAYUSA-2,理論と使用法,https://www.kiso.co.jp/yoshida/Japanese 02.html,2017.

6) 安田進:液状化の調査から対策工まで,鹿島出版会,243pp.,1988

7) 吉見吉昭:砂地盤の液状化(第二版),技報堂出版,182pp.,1991

8) 液状化対策工法,地盤工学・実務シリーズ 18,地盤工学会,513pp.,2004

9) 地盤の動的解析—基礎理論から応用まで—,地盤工学・基礎理論シリーズ 2,地盤工学会,152pp.,2007

10) 石原研而:地盤の液状化—発生原理と予測・影響・評価—,朝倉書店,108pp.,2017

11) 岡二三夫:地盤液状化の科学,近未来社,176pp.,2001

12) 国生剛治:液状化現象 巨大地震を読み解くキーワード,山海堂,269pp.,2005

13) 国生剛治:地震地盤動力学の基礎,鹿島出版会,384pp.,2014

14) 構成モデルの特性が数値解析に及ぼす影響に関する研究委員会:夏の学校テキスト,構成モデルの特性が数値解析に及ぼす影響に関する研究委員会,地盤工学会,2001

15) 土の弾塑性構成モデル編集委員会:土の弾塑性構成モデル,地盤工学・基礎理論シリーズ 3,2009

16) 吉田望:地盤の地震応答解析,鹿島出版会,256pp.,2010

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iv

目  次

第 I部 液状化の理解 1第 1章 液状化研究の歴史 2

1.1 液状化研究の始まり 3

1.2 1964 年以前の研究 4

1.3 黎明期の液状化研究 8

1.4 それ以後の流れ 10

第 2章 液状化により生じる現象 152.1 噴砂,噴水 15

2.2 沈下,不同沈下 16

2.3 浮き上がり 19

2.4 地盤変状に伴う被害 20

2.5 液状化に伴う流動(側方流動) 21

2.6 過剰間隙水圧消散後の沈下 23

2.7 液状化の地震記録 24

第 3章 液状化現象の理解のために必要な基本用語と知識 453.1 土の変形挙動 45

3.2 室内試験と原位置の挙動 58

3.3 そのほかの諸量 63

3.4 液状化に関係する用語 72

第 4章 液状化のメカニズムと力学特性 784.1 液状化ひずみ 78

4.2 弾性係数 79

4.3 繰返しせん断特性 81

4.4 液状化強度 87

4.5 液状化発生前後の砂の挙動 111

4.6 上下動による液状化 121

4.7 液状化した土は液体か固体か 122

4.8 過剰間隙水圧の消散 127

4.9 液状化に伴う流動 138

4.10 浮き上がり 149

第 II部 設計指針に基づく液状化予測とその背景,拡張利用 159

第 5章 液状化の発生予測 1605.1 設計指針,簡易法による解析の流れ 160

5.2 FL 値による液状化判定 163

5.3 N 値に基づく液状化判定 197

5.4 海外の設計指針 200

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目  次 v

第 6章 液状化の発生を考慮した設計 2146.1 地中構造物に作用する力 214

6.2 液状化に伴う力学特性の変化 215

6.3 液状化時の地盤変位と地盤の流動 218

6.4 浮き上がり 225

6.5 液状化被害予測 226

第 III部 液状化の数値解析 233第 7章 地震応答解析の流れ 234

第 8章 有効応力地震応答解析に用いる力学モデル 2368.1 全ひずみモデルによる非線形特性 236

8.2 ダイレイタンシーモデル 248

8.3 弾塑性モデル 260

8.4 ジョイント要素 271

8.5 引張破壊 275

8.6 過剰間隙水圧の消散と地盤の沈下 278

第 9章 液状化解析手法 2859.1 液状化解析の基礎式 285

9.2 有限要素法への定式化 296

9.3 境界条件 316

9.4 各種手法の適用性と比較 322

9.5 体積ロッキングとその回避 328

9.6 減衰特性 335

9.7 解析上のいくつかの注意 338

9.8 液状化に伴う流動の解析 345

第 10章 数値解析例と精度 35510.1 精度評価の方法 355

10.2 一斉解析,ブラインドテストによる比較 358

10.3 比較解析の評価 366

索  引 371

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vi 記号一覧

記号一覧本書ではなるべく,一般的に用いられる記号を使うことにしているが,以下に示す点は本書を

書くに際して考えたところである.

•同じ文字(変数)を異なる意味で使っているところはあるが,それらについてはそれぞれのところで定義しているので,混乱はないと考えている.

•重力加速度はGで表されることも多いが,本書ではGはせん断係数として用いることから,小文字で gと表現している.

•単位はすべて SI単位になるように,実験式などの係数は変換した.単位系の変換では,たとえば 1 kgf/cm2 は計算式では 98 kPa(kN/m2)を使ったが,図を複写するときには,100 kPa

とすることも多かった.応力の単位は kN/m2 の代わりに kPaを用いた.Paは SI単位では応力を表すときにのみ許容されている単位である.

•本書では多くの実験式を示す.実験式の中には単位系にかかわらず成立するものもあるが,多くの実験式は特定の単位系を用いている.これらはなるべく SI単位に変換した.SI単位以外で式の中に現れる特定の変数を示すときは,(A: lb)のように表示する.Aという変数の単位は lb(ポンド)ということである.

•記号「N」は,実務では繰返し回数とN 値の両方に使われている.そこで,繰返し回数にはNc

の記号を用いることにする.•液状化強度にはいろいろな用語や記号が使われる.液状化強度曲線の結果は繰返しせん断応力比 σd/2σ

′c(三軸試験),τd/σ′

c(中空ねじり,単純せん断試験)として試験法の区別をした.また,そのような区別がない,ないしはわからないときには,単に τ を用いた.設計指針ではR20,RL,RL20 のような表現が用いられるが,それぞれの場所で説明している.

以下に共通的に使われる記号を示すが,それ以外では出てくるところで説明している.

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記号一覧 vii

主要記号表

B 1 次元膨潤係数 u 過剰間隙水圧,変位c 粘着力 z 地表から測った深さcw 地震動による補正係数 [B] B マトリックスD50 平均粒径 [C] 減衰マトリックスDA 両振幅(主として三軸試験の軸ひずみ) [D] 接線剛性マトリックスDr 相対密度 {I} クロネッカーの δ に対応するベクトル(法e 間隙比   線成分が 1,せん断成分が 0)E ヤング係数 [K] 剛性マトリックスf 振動数,周波数 [L] 微分オペレータFc 細粒分含有率 [M ] 質量マトリックスFL 液状化に対する抵抗率,安全率 [N ] 補間関数,変位関数,形状関数g 重力加速度 {u} 変位,土骨格の変位G せん断剛性(割線剛性) {U} 間隙水の変位G0 せん断弾性係数 {w} 間隙水の土骨格の変位に対する相対変位h 減衰定数,減衰比,全水頭  hmax 最大減衰比 αmax 最大加速度i 動水勾配 ε ひずみ,伸縮ひずみk 透水係数,ばね定数 εv 体積ひずみK 体積弾性係数 εa 三軸試験の軸ひずみK0 静止土圧係数 εr 三軸試験の側方ひずみKw 間隙水の体積弾性係数 θ 内部摩擦角L せん断応力比 γ せん断ひずみ(工学ひずみ)M 地震のマグニチュード γw 水の単位体積重量N 標準貫入試験の N 値 γt 土の単位体積重量N1 換算 N 値 µ 粘性係数Na 補正 N 値 ν ポアソン比N60 エネルギー効率 60%の N 値 ρ 質量密度Nc 繰返し回数 ρf 間隙水の質量密度p 過剰間隙水圧 σ 応力,直応力p′ 平均応力 σm 拘束圧PL 液状化指数 σa 三軸試験の軸応力rd せん断応力の深さ方向の補正係数 σd 三軸試験の軸差応力rn マグニチュードに関する補正係数 σr 室内試験時の側圧R 液状化強度 σc 初期拘束圧(主として試験)RL 液状化強度 σv 上載圧RL20 20 回の繰返しで液状化する際の液状化強度 τ せん断応力R## ##回の繰返しで液状化する際の液状化強度 τd 中空ねじり試験のせん断応力振幅Pa 大気圧

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viii 記号一覧

組織名の省略形AIJ:Architectural Institute of Japan

ASCE:American Society of Civil Engineers

JGS:Japanese Geotechnical Society

JSCE:Japan Society of Civil Engineers

JAEE:Japan Association of Earthquake Engineering

NCEER:National Center for Earthquake Engineering Research, USA

EERC:Earthquake Engineering Research Center, University of California, USA

雑誌名称の省略形ICSMFE:International Conference of Soil Mechanics and Foundation Engineering

J. GT:Journal of the Geotechnical Engineering Division, Proceedings of the American

Society of Civil Engineers (~1982);Journal of Geotechnical Engineering, ASCE

(1983~1997);Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering, ASCE

(1998~)

J. SM:Journal of the Soil Mechanics and Foundations Division, Proceedings of the Amer-

ican Society of Civil Engineers

J. EM:Journal of the Engineering Mechanics Division, Proceedings of the American So-

ciety of Civil Engineers (~1982);Journal of the Engineering Mechanics, ASCE

(1983~)

SF:Soil and Foundation (~1967);Soils and Foundations (1968~).なお,Soils and Foun-

dationsは日本語版と英語版があり,日本語は土質工学論文報告集(Journal of the Japanese

Society of Soil Mechanics and Foundation Engineering)が正式名称であるが,本書ではすべて SFで表した.

SDEE:Soil Dynamics and Earthquake Engineering

SMFE:Soil Mechanics and Foundation Engineering

WCEE:World Conference on Earthquake Engineering

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15

第 2 章

液状化により生じる現象

液状化の研究のきっかけは,地盤が液体のようになり,支持力が失われる現象であったことはすでに説明した.しかし,液状化に伴って発生する現象はさまざまである.解析する場合には,タイプによって解析の方法が異なることもあるので,解析者は現象を十分理解する必要がある.そこで本章では,液状化に伴って発生する現象,すなわち,噴砂,沈下,不同沈下,浮き上がり,地盤変状に伴う被害,液状化に伴う流動,過剰間隙水圧消散後の沈下を紹介する.また,最後には過去の地震で得られた液状化サイトの地震記録と,解析に重要な地盤データを紹介する.

2.1 噴砂,噴水

地震により液状化が発生した明瞭な証拠は,図 2.1に示すような噴砂である.図 2.2は噴砂が発生している瞬間を撮影したものである.このほか,1964年新潟地震の際に写真家の弓納持氏によって砂と水が吹き上がる様子が撮影され1),テレビなどでもよく放映されている †.実際,液状化発生の有無は噴砂によって判断され,噴砂があれば液状化,なければ液状化していないと判断される.ただし,噴砂がなくても,他のメカニズムでは説明できない現象の場合は,液状化と判定されることもある.たとえば,1995年兵庫県南部地震の際,神戸市の

図 2.1 噴砂の例4)

 図 2.2 噴砂の瞬間(1983年日本海中部地震,能代

市落合三面球場,松森尚文氏提供)

† この動画のオリジナルはカラーフィルムであったが,当時はカラーフィルムを現像できるのは関東では足柄にあった東洋現像所しかなく,それでは当日のニュースに間に合わないということで,白黒で現像されている.

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第I

液状化の理解

16 第 2 章 液状化により生じる現象

多くの護岸が海側に大きく変位したが,その周辺では噴砂が見られていない(図 2.24参照).また,1993年釧路沖地震を初めいくつもの地震で 1m以上マンホールが浮き上がった事例があるが,マンホールの周辺も噴砂は見られていない(図 2.13参照).これらについてはそれぞれの事例のところでくわしく説明するが,どちらも液状化と判断されている.噴砂は,液状化が発生したという重要な証拠であるが,噴砂は液状化被害を意味するものではない.1964年新潟地震の影響が大きかったためか,液状化=大被害という印象が多くの技術者や一般人にも植え付けられてしまった.しかし,液状化が起こったからといってつねに大きな被害が発生するわけではない.極端な事例を挙げると,雨が降った翌日に地震が起こると,金網のフェンス基礎を設置するために掘った小さい埋戻し部でも液状化する.図 2.3は,地震のマグニチュードと震央距離の関係を示したものである2).図では,栗林・龍岡3)による 32の地震より求めた限界距離(点線)が示され,さらに,若松により行われた再調査により新たに見つかった遠い液状化地点と別の 35地震の震央から最も遠い液状化発生地点が示されている.ここで,新しいデータに基づく線は破線と実線の二つで示されている.実線は液状化発生の限界距離で,噴砂は見られたが被害の報告がないケース,破線は液状化発生の限界距離で液状化に伴い被害が発生したケースである.これからもわかるように,液状化が発生したといって必ずしも構造物被害に結びつくわけではない.

図 2.3 震央から最も遠い液状化発生地点までの距離2)

2.2 沈下,不同沈下

液状化被害のうち最も代表的なものは,図 1.1に示したような構造物の沈下,不同沈下である.これは,地盤が液体状になることにより支持力が失われ,構造物が沈下したためと考えられる.ただ,新潟地震による液状化は,液状化層厚が非常に厚いなどの特徴があったが,その後の地震では,新潟地震のように広範囲に大きな沈下が見られる例は少ない.若松5)は,日本の 4大液状化として,1964年新潟地震,1995年兵庫県南部地震,2011年東北地方太平洋沖地震,2016年熊本地震が挙げているが,新潟地震以外ではこれほど多くの沈下,不同沈下は見られていない.筆者が液状化の研究をするようになっても,新潟地震の被害に相当する被害はなかなか見られなかったが,1999年フィリピン・ルソン島地震の際にダグパン(Dagupan)市で起こっ

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2.2 沈下,不同沈下 17

第2章

液状化により生じる現象

た液状化で同様な被害を見る機会を得た.ダグパン市は,Pantal川の運んできた砂が厚く堆積した上に作られた町で,18世紀にはラグーンであったものが埋め立てられて市街地になった.市の周辺には養魚池が非常にたくさんあり,埋立て前の様子が推測される.図 2.4は市の中心通りである Perez通りの状況である.右の建物は最大で約 1.5m不同沈下しているほか,通りに面した多くの建物が沈下,傾斜している.図 2.5の RC建物は,重量の重い 4階建ての部分が低層部を押し潰すように沈下している.このほか,ダグパン市内では市により65のビルが強制的に解体撤去された6).被害は液状化地域に限られ,2~4階建ての建物が多かったが,階高の高いものほど沈下量が多いなどの特徴があった6).

図 2.4 ダグパン市 Perez 通りの建物沈下(1990 年フィリピン・ルソン島地震)

図 2.5 建物の沈下7)(1990 年フィリピン・ルソン島地震・ダグパン市)

その後も,多くの地震で同様の被害が発生している.とくに,古い建物や木造の住宅などの軽微な構造物で被害が発生している.たとえば,図 2.6は 2011年東北地方太平洋沖地震の際の住宅の沈下である.このような被害は,液状化した地域で多く見られた.ただ,最近では実務で設計の対象となるような規模の大きい構造物では,液状化の可能性がある場合は杭基礎にするなどの対応をするため,図 1.1のような被害は日本では見られなくなっている.また,これまで図 1.1などで示したのはRC造であり,その場合には,沈下,傾斜するとはいえ,構造要素の被害はほとんどないケースも多い.木造家屋でも,べた基礎などで基礎がしっかりしていれば,建物が沈下傾斜しても基礎を持ち上げて復旧させることが可能である.2011年の地震の際に,浦安市で大規模な液状化が発生し,住民が宅造業者を訴えたことがあるが,宅造業者は当時の液状化の権威である吉見に相談し,べた基礎を採用していたとして,住民が敗訴した.その際の吉見の意見は,べた基礎であれば液状化で不同沈下しても上部構

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214

第 6 章

液状化の発生を考慮した設計

液状化に対して構造的対策,すなわち液状化が発生することを許容し,構造物側で対応する場合には,液状化後の地盤の力学特性を評価する必要がある.液状化に対する考え方は,地震中と地震後に分けることができる.地震中では地震動による変位を設定すること,液状化に伴う地盤物性の劣化を設定することが重要である.一方,地震後には液状化に伴う流動が問題になる.ただし,地震中に発生したとしても,液状化に伴う流動の量は小さいことが多く,指針でそこまで明瞭に区別されているわけではない,このため,技術者の判断が必要であろう.

6.1 地中構造物に作用する力

常時,地中にある構造物に作用する力には,静水圧と土圧がある.地震時にはこれに加えて,地盤が動くことにより地中構造物に力が作用する.これは動的な土圧であるが,その大きさは地盤の変形の程度により異なるので,いわゆる土圧としては扱われないで,応答変位法のように地盤ばねを介して地盤の変位を作用させるような方法で解析される.地盤ばねの大きさなどは地盤反力係数から求められるが,液状化を考慮する方法は 6.2節で示される.また,液状化に伴う流動については指針による流動力として外力で与える方法と,地盤変位として与える方法がある.後者の場合にはやはり応答変位法で解析することになる.このほか,杭や埋設管のような地中線状構造物では構造物自体の慣性力も作用するが,その影響はほとんどないので(たとえば,吉田ら1))通常は考慮されない.ただし,地下鉄,共同溝といった大規模な地中構造物に対しては考慮したほうが良いかもしれない.鉄道構造物等設計指針2)

では考慮することになっている.設計指針では,液状化したからといって抵抗力がまったく 0になるとは考えていない(くわしくは 6.2節参照).もし完全に液体として挙動するとすれば,土は泥水として考える必要があり,静止土圧係数も泥水の値を使って計算する必要があるが,その代わり土圧は不要になる.また,液体中を構造物が振動するときには泥水圧が作用する.泥水圧の算定にはウエスターガード(Westergaard)の式3)がよく用いられる.すなわち,深さ z の位置の動水圧pd(z)は次式で表される.

pd(z) =7

8γwkhs

√Hz (6.1)

ここで,H は水深,khsは構造物の水平震度である.また,γw はオリジナルの論文では水の

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6.2 液状化に伴う力学特性の変化 215

第6章

液状化の発生を考慮した設計

単位体積重量であるが,ここでは液状化して泥水になったときの単位体積重量を用いる.

6.2 液状化に伴う力学特性の変化

工学的に重要なのは液状化の発生ではなく,それに伴って構造物に被害が発生することである.土構造物では,液状化の発生と被害とはほとんど同義語のようなものである.それ以外の構造物では液状化が発生して支持力が小さくなるに従って地盤に大きな変位が発生し,それによって構造物に外力が作用する.この評価をするためには,地盤の変位や変形を予測するだけでなく,液状化に伴う力学特性の変化も把握する必要がある.一番簡単な方法は,地盤の現象だけで構造物被害を推定する方法である.過去の被害事例や数値計算,さらには設計では安全側の評価もふまえているので,このような方法も不可能ではない.実際,多くの設計手法ではこのような考えを背景として液状化の定義などを決めているように思われる.

6.2.1 道路橋示方書道路橋示方書では,液状化すると判定された層では,液状化に対する抵抗率 FL の値に応じて土質定数を低減させる.地盤反力係数,地盤反力の上限値,最大周面摩擦力などが低減の対象となる.なお,レベル 2地震動では,タイプ I地震動とタイプ II 地震動のそれぞれに対して低減すべき係数DE が定義できるがそのうち小さいほうを用いる.旧示方書(1980年版)には,「液状化と判定されたときに土層の支持力を完全無視すると

FL = 1を境に基礎構造物の諸元が著しく異なった設計となる場合がある.また,FL が 1.0

以下である場合でも,0.9と 0.5ではその意味するところは異なるものと考えられる」とあり,表 6.1(レベル 1地震動の部分)を設定している.これは,明瞭な裏付けがあってのことではないと考えられる.その後,振動台実験が行われ4),そこでは,地盤反力係数と過剰間隙水圧比の関係としてデータが整理され,さらに,FLと過剰間隙水圧比の関係を用いることによって,図 6.1に示されるように,表 6.1(レベル 1地震動の部分)が実験値の中央を通っていることが示された.

表 6.1 土質定数の低減係数 DE

FL 深さ x [m]レベル 1 地震動 レベル 2 地震動

R ≤ 0.3 0.3 > R R ≤ 0.3 0.3 > R

FL ≤ 1/30 ≤ x ≤ 10 1/3 0 1/6

10 < x ≤ 20 2/3 1/3 1/3

1/3 < FL ≤ 2/30 ≤ x ≤ 10 1 1/3 2/3

10 < x ≤ 20 1 2/3 2/3

2/3 < FL ≤ 10 ≤ x ≤ 10 1 2/3 1

10 < x ≤ 20

1/6

2/3

2/3

1

1

1 1 1 1

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第II

設計指針に基づく液状化予測とその背景,拡張利用

216 第 6 章 液状化の発生を考慮した設計

図 6.1 地盤反力係数の低減と過剰間隙水圧比

6.2.2 建築基礎構造設計指針建築基礎構造設計指針では,土質定数ごとに低減すべき係数が決まっている.直接基礎の沈下量,地震応答解析を用いた地盤変形予測に必要な地盤剛性は,次の方法を用いて算出する.

1⃝液状化層の剛性低下は,図 6.2(a)より各層のひずみ,Na より求める.2⃝ FL が 1より大きいときには図 6.2(b)または,

ru = F−7L (6.2)

を用い,剛性が有効応力の 0.5乗に比例するとする.ここで,ruは過剰間隙水圧比である.

なお,地震応答解析では線形の材料が得られた剛性をもつとして扱う.ちなみに,地震の最初から低減した線形材料として地震応答解析を行うと,振動系の振動特性そのものが変わってしまう可能性があるので,慎重に行うべきと筆者は考えている.次に,杭の水平抵抗の検討に用いる水平地盤反力係数 khl は,次式により低減する.

khl = βkh0 · y1/2r , pyl = αpy0 (6.3)

モデルを図 6.3(a)に示す.低減係数の β は図(b)より求める.ここで,α,β は低減係数

Na 30

Na 10

図 6.2 液状化の考慮方法

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6.2 液状化に伴う力学特性の変化 217

第6章

液状化の発生を考慮した設計

図 6.3 地盤反力係数の低減

表 6.2 水平地盤反力係数に乗じる低減係数(1998 年版基礎構造設計指針)

FL の範囲 地表面からの 水平地盤反力係数に乗じる低減係数深さ z [m] Na ≤ 8 8 < Na ≤ 14 14 < Na ≤ 20 20 < Na

FL ≤ 0.50 ≤ z ≤ 10 0 0 0.05 0.1

10 < z ≤ 20 0 0.05 0.1 0.2

0.5 < FL ≤ 0.750 ≤ z ≤ 10 0 0.05 0.1 0.2

10 < z ≤ 20 0.05 0.1 0.2 0.5

0.75 < FL ≤ 1.00 ≤ z ≤ 10 0.05 0.1 0.2 0.5

10 < z ≤ 20 0.1 0.2 0.5 1.0

で β = αとする.また,yr は杭と地盤の相対変位,py は地盤反力である.図 6.3(a)の背景を調べようとしたが,基礎構造設計指針で引用している「建築基礎の設計施工に関する研究資料 4」5)には対応した図は見つけられなかった.一方,図(b)は時松15)

が引用されているが,ここでは建築耐震設計における保有耐力と変形性能6)が引用されている.ただし,引用されている 713頁にはこの図は見つけられないが(713pp.と書くべきところを p.713と書いた誤りと考えられる),134頁に対応する図があった.この部分の説明によると図 6.3(b)の点線は表 6.2に示す 1988年版の基礎構造設計指針で示される値で,図の実線はそれをなめらかになるように引いた線である.ただし,式は示されていなかったので,数式化されていない.また,具体的な低減法は示されていないものの,液状化層上部の非液状化層は液状化層の影響を受けて変形が大きくなるので,地盤反力係数が低下するとして,液状化層の液状化の定義に応じて地盤反力係数の低減も考慮するという,計算にとって重要な方針が示されている.さらに,1988年版基礎構造設計指針によると,表 6.2は図 5.23(a)(のオリジナル)と図

6.4より大胆に求めたとある.指針の図 6.4には時松・吉見7)が引用されていたので,それを見ると,表 6.2は道路橋示方書の低減率(表 6.1のレベル 1地震動の部分)を参考にしたとある(1988年版にはGL-10mまでは表の値,それ以深はその倍とあるので,8 < Na ≤ 14,FL ≤ 0.5およびNa ≤ 8,0.5 < FL ≤ 0.75の 10m以深だけ違っている).そこでは,図 6.4

について文献 8)が引用されている.ここには出典として Seed (1984)の記述があったが,参

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第II

設計指針に基づく液状化予測とその背景,拡張利用

218 第 6 章 液状化の発生を考慮した設計

図 6.4 残留せん断強度と N 値の関係

考文献のリストには対応する論文は示されていなかった.ということで,この図の出典はわからないが,「建築基礎の設計施工に関する研究資料 4」5)では同じ図に対して Seed9)が引用されているので,この文献による図は図 4.69で示されている領域とは幅が異なるもののほぼ同じ図と考えられる.地中構造物に対して実務的に多く用いられるのは地盤の変位を求め,その変位を外力として構造物に作用させるという分離法で,応答変位法とよばれる方法である.応答変位法では地盤の変位を地盤ばねとよばれるばねを介して構造物に作用させる.地盤の変位は構造物が存在しない条件で求める.また,杭では地盤の変位以外に上部構造物の慣性力も作用させる.

6.3 液状化時の地盤変位と地盤の流動

液状化する地盤の地震時の変位の原因としては,地震による地盤の振動と,地震時に起こるであろう地盤の流動がある.当然,このうち大きいのは液状化に伴う流動による変位であるが,流動が発生するのは護岸の近傍,傾斜した地盤など特定の場所に限られている.また,流動は設計指針では変位で与えられるケースと力(流動力)で与えられるケースがある.

6.3.1 道路橋示方書道路橋示方書では,地震時変位は与えられていないので,設計では地盤の地震応答解析などを行い地盤変位を求める必要がある.ただし,橋脚などについては,地震時にも土圧,動水圧の規程があるので,これに従えば地震時変位の計算は不要である.一方,液状化に伴う流動については,流動力が与えられている.図 6.5に流動力の与え方を示す.液状化に伴う流動により地盤が水平方向に変位すると,液状化層,およびその上にある非液状化層から構造物に力が作用すると設定する.流体として構造物に作用する力は流動圧とよばれ,道路橋示方書では流動圧 qLは次のようにして求めている.

qNL = cscNLKpγNLx (0 ≤ x ≤ HNL)

qL = cscL{γNLHNL + γL(x−HNL)} (HHL < x ≤ HNL +HL)

}(6.4)

ここで,各変数は次のとおりである.

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6.3 液状化時の地盤変位と地盤の流動 219

第6章

液状化の発生を考慮した設計

図 6.5 液状化に伴う流動の考慮

qNL:非液状化層で作用する流動力qL:液状化層に作用する流動力cs:護岸からの距離による補正係数(表 6.3参照)cNL:非液状化層中の流動力の補正係数(表 6.3参照)で,液状化指数 PL(式 (6.1)参

照)の関数cL:流動下層中の流動力の補正係数で 0.3

Kp:受働土圧係数(常時)γNL:非液状化層の平均単位体積重量γL:液状化層の平均単位体積重量x:地表面からの深さHNL:非液状化層厚HL:液状化層厚

表 6.3 補正係数

補正係数 cs 補正係数 cNLs [m] PL [m2]

s ≤ 50 1.0 PL ≤ 5 0

50 < s ≤ 100 0.5 5 < PL ≤ 20 (0.2PL−1)/3

100 < s 0 20 < PL 1

注) s は護岸からの距離.

道路橋示方書では,護岸背後地盤が護岸の変位により発生する場合を扱い,流動の影響を力として与えているのが特徴である.式 (6.4)は,1995年兵庫県南部地震の際の杭の被害をもとに逆解析された値であるが,その後に行われた振動台などの実験によれば,大きめの評価となっているようである10).杭は地震動の作用中にも被害を受けるので,流動時にはより小さい力で被害を受けることになる11).しかし,式 (6.4)は地震被害を受けていないとして計算されたと聞いている.もちろん,地震時の被害程度評価は困難であろうから,安全側の評価であるとはいえる.構造物がすべて地中にあれば,流動圧は構造物の被害に大きく寄与する.しかし,多くのケースでは構造物の一部は非液状化層にある.たとえば,杭では先端は非液状化層に根入れされているし,地表近くでは上部の非液状化層の中にある.そして,上部の非液状化層は液状化層の変形に伴い変位する.この際,上部の非液状化層が構造物に作用する力は受働土圧

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第II

設計指針に基づく液状化予測とその背景,拡張利用

220 第 6 章 液状化の発生を考慮した設計

より大きくなることはないので,非液状化層では受働土圧を加えている.ただし,非液状化層の崩壊が 3次元的に起こるとすれば,見つけ面積に作用する受働土圧より大きくなる可能性がある.

6.3.2 建築基礎構造設計指針(1) 地震時変位建築基礎構造設計指針では,動的水平変位(本書でいう地震時変位の水平成分),残留水平変位,沈下量,液状化程度と動的水平変位の予測は適当な動的解析によるとされている.ここで,残留水平変位とあるので,SHAKE12)のような等価線形解析は残留変位が残らないことから,適切な応答解析には含まれていないと考えられる.応答解析を行わない場合には,図 6.6を用いる方法が示されている.図は各層の繰返しせん断ひずみ γcy を求めるものであり,地震時の最大ひずみと考えられる.γcy が同一方向に発生すると仮定すれば,水平変位の深さ方向分布が求められる.ただ,指針では鉛直方向分布にまでは言及しておらず,得られた地表面変位を 6.5.2項で示すDcy を求める方法として示しているだけである.しかし,杭の地震時応力を応答変位法で求める際に,最大変位分布を用いるのはよく使われる方法であることから,この方法を深さ方向分布として使うことに大きな問題があるとは考えにくい.なお,この図の背景などについては疑問があるが,それは,6.5.2項で示している.地盤の沈下量については,図 6.6の γcy を沈下時の体積ひずみ εv と置き換えればよいとされている.

図 6.6 補正 N 値,せん断応力比,せん断ひずみの関係

(2) 流動時の変位護岸付近や緩斜面で液状化に伴う流動が起こる場合には,有効応力地震応答解析や,地盤の剛性低下を考慮した静的変形解析から直接求める方法などに加え,簡易的な方法として次の方法が提案されている.まず,護岸近傍の変位は護岸の変位Dw と地震後の流動地盤の残留水平変位 Dmax の小さいほうとして求める.ここで,Dmax は,各層の限界残留せん断ひずみ γmaxを図 6.7から読み取り,これを深さ方向に積分することにより求める.次に,護岸の変位D0 =min(Dw,Dmax)に伴う背後地盤への影響範囲 Lとして図 6.8(a)に示すデータを元に

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285

第 9 章

液状化解析手法

液状化の詳細な解析は有効応力地震応答解析で行われるが,その内容は多岐にわたっている.本章では最初(9.1~9.3節)にプログラムを自分で作ろうという場合のために基礎式から有限要素法に至るまでの定式化を説明する.9.4節では,9.1~9.3節で示した手法の使い分け方,適用性などを説明する.また,9.5~9.7節では液状化解析を理解するのに必要な事項をまとめる.これらはプログラムを作ろうとする人だけではなくプログラムを使う人にとっても重要である.9.8節では液状化に伴う流動を扱う.

9.1 液状化解析の基礎式

地盤材料は,土と水の混合体として扱われることから,圧密解析や液状化解析のように土と水を別々に扱う式は二相系の式とよばれる.多次元の場におけるこのような定式化は最初Biotによって行われたので,二相系の式はビオ(Biot)の式ともよばれる.また,土が本質的には多孔質の材料でできていることから,多孔質の式とよばれることもある.ここでは,Biotの式を,式の展開の過程がわかるように,途中の展開もなるべく省略せずに示す.また,この種の式では,表現上はテンソル表示をすると美しいが,一方ではこの表現は初学者が理解するときの障害になることも多々ある.そこで,ここでは,マトリックス型ですべての式を表すことにし,かつ,ベクトルとテンソルや 2次元のマトリックスを明瞭に区別できるような記述を採用する.最近では,Biotの式以外に,間隙の変化や間隙物質として間隙水と空気の両方を考慮した基礎方程式なども提案されている(たとえば,Bowen1))し,解析例もないわけではない(たとえば,松村・渦岡2))が,実務で使うところにはないと考えるので,それらについては紹介しない.

9.1.1 支配微分方程式土と水の混合体に対し,現在のような数学的な扱いをはじめて行ったのは Terzaghiで,彼は,粘性土を多孔質体と非圧縮性流体としての混合体と考え,1次元圧密の式を導いた3).彼の導いた式は,いまでも Terzaghiの圧密理論として用いられている.しかし,彼の理論は,2次元,3次元への適用には無理があった4).これに対し,Biot5~8)は,多次元解析に適用される一般的な式を導いた.Biotの式はこれ

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第III

液状化の数値解析

286 第 9 章 液状化解析手法

まで多くの研究者により利用されてきた9~21).本章では,これらを包括するような基礎式を示す.

(1) 応力とひずみ応力とひずみはすでに定義しているが,3次元を扱うことから,再定義する.3次元状態における応力とひずみをマトリックス表示で次のように表す.これらは列ベクトルであるのでベクトルの表示の最後に転置を表す T(transpose)がつけられている.

{σ} ={σx σy στxy τxy τyz τzx

}T

:応力ベクトル (9.1)

{ε} ={εx εy ετxy γxy γyz γzx

}T

:ひずみベクトル (9.2)

これまでどおり,直応力は「′」をつけることによって有効応力を表していることになる.なお,γ が使われているので,ひずみは工学ひずみである.次に土骨格に作用する有効応力は

{σ′} = {σ} − {I} p (9.3)

と表せる.ここで,

{I} ={

1 1 1 0 0 0}T

(9.4)

であり,ベクトル {I} は 8.3.1項(1)でも用いたクロネッカーの δに対応するベクトルで,また pは間隙水圧(porewater pressure†)である.ベクトル {I}を用いれば,拘束圧 σm,有効拘束圧 σ′

m,体積ひずみ εv はそれぞれ次のように表せる.

σm =1

3{I}T {σ} =

1

3{σ}T {I}

σ′m =

1

3{I}T {σ′} =

1

3{σ′}T {I}

εv = {I}T {ε} = {ε}T {I}

(9.5)

なお,ここでは,土質力学で一般的に用いられている,圧縮を正とする表示をしている(3.1.1

項参照).

(2) 構成則液状化解析では,土粒子,土骨格,水と三つの異なる挙動をする材料を扱うので,それぞれを分けて定義する必要がある.それぞれに対する構成則を次のように表す.

1⃝土粒子  土粒子そのものの剛性は無限大,すなわち土粒子は変形しないものとする.したがって,土の変形はすべて土骨格の変形,すなわち粒子配置が異なるものだけである.

† 間隙水の英語は porewater,pore water の両方が可能である.筆者は,先生である Finn 氏から一語で表すように言われたのでそれに従っている.

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9.1 液状化解析の基礎式 287

第9章

液状化解析手法

2⃝土骨格  土骨格の構成則は,非線形でも使うことができるように,増分形で次の形で表す.

{dσ′} = [D] {dε} (9.6)

ここで,[D]は接線剛性マトリックスである.ダイレイタンシーによる体積ひずみを分離して求める構成則では,式 (9.6)の代わりに増分形で次のように表される.

{dσ′} = [D] ({dε} − {dεd}) (9.7)

しかし,上式は最終的には式 (9.6)の形にできる.ダイレイタンシーを別途定める構成則では,{dεd} = {1/3 1/3 1/3 0 0 0}T

dεvdと表される.dεvdはひずみ増分の関数として表されているので,これを式 (9.6)

に組み込めばよい.しかし,そのためには,式中の {dεd}に実験式などを代入し,ひずみの関数に直す必要があるが,これは非常に困難である.したがって,この項を別途計算し,既知量として右辺に移動させ,式 (9.7)に適用するのが一般的である.また,8.6節で示した問題もある.

3⃝間隙水  間隙水はせん断変形に抵抗しない材料として扱う.すると,構成則として必要なのは間隙水の体積ひずみ εwv と間隙水圧 pの関係式で,次のように表される.

p = Kwεwv (9.8)

ここで,Kw は水の体積弾性係数である.

(3) ひずみ –変位関係式ひずみを微小ひずみとすると,ひずみ –変位関係式は,マトリックス表示で次のように表される.

{ε} = − [L] {u} (9.9)

ここで,[L]は微分オペレータで,次のようになる.

[L] =

∂x0 0

0∂

∂y0

0 0∂

∂z∂

∂y

∂x0

0∂

∂z

∂y

∂z0

∂x

(9.10)

{u} = {ux uy uz}T :変位ベクトル (9.11)

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第III

液状化の数値解析

288 第 9 章 液状化解析手法

ux,uy,uz:x,y,z 方向への変位

なお,式 (9.9)の右辺に負の符号が付いているのは,圧縮ひずみを正としているからである.

(4) Darcyの法則と間隙水の速度Darcy(ダルシー)の法則は,3次元座標系では,一般化した形で次のように表される.

{w} = −k {∇}h (9.12)

ここで,(˙)は時間微分を表す.また,{∇}は微分オペレータで,次式で表される.

{∇} =

{∂

∂x

∂y

∂z

}T

(9.13)

{w}:間隙水の見かけの速さ

k:透水係数

h:全水頭

式 (9.12)では kは等方,すなわちどの方向の流れに対しても透水係数の値は変わらないとした.ただし,実際の土では堆積条件の違いなどを反映し,k の値が方向によって違うことも普通である.この場合には,透水係数をテンソルと考えて次のように表す.

{w} = − [k] {∇}h (9.14)

kx,ky,kz をそれぞれ x,y,z 方向への透水係数とすると,[k]は次式となる.

[k] =

kx 0 0

0 ky 0

0 0 kz

(9.15)

9.1.2 釣合式有効応力解析では,土粒子と間隙水が別々に挙動するため,すべての挙動を別々に扱う必要がある.すなわち,二つの種類の釣合式が必要となる.ここでは,二相系材料全体の釣合式と間隙水の釣合式の二つを用いる.

(1) 全体の釣合式土と水の混合体を一体のものとして考える.土と水の混合体全体の釣合式は結局,次のようになる.

[L]T {σ} − ρ {b}+ ρ {u}+ ρf {w} = {0} (9.16)

ここで,{b} は物体力を生じさせる加速度(符号は作用方向とは反対 =慣性力)の意味で,実際の物体力はこれに質量密度を掛けたものである.しかし,この違いは基礎式の理解を混乱させるものではないと考えられるので,以後 {b} を物体力ということにする.また,左辺

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9.1 液状化解析の基礎式 289

第9章

液状化解析手法

第 3項は,考えている微小要素全体が土粒子と同じ加速度で動いているとした項,第 4項はそれに対する間隙水の動きを土粒子の動きからみて補正するための項である.

(2) 間隙水に関する釣合式と Darcyの法則図 9.1に示す,単位体積の微小要素に作用する x方向の力を参照すると,間隙水に作用する力に関する釣合式は次のようになる.

{∇}p+ {R}+ ρf{U} − ρf{b} = {0} (9.17)

ここで,{U}は間隙水の絶対変位,{R} は間隙水が土粒子中を流れることによる抵抗力で,次のように表される.

{R} = ρfg [k]−1 {w}

また,{U}と土粒子の変位 {u}および間隙水の見かけの相対変位 {w}とは次の関係にある.

{U} = {u}+ {w}n

(9.18)

ここで,nは間隙率である.

図 9.1 単位体積の微小水要素に作用する x 方向の力

これらの式を式 (9.18)に代入すると,間隙水の釣合式として次式が得られる.

{∇} p+ ρfg [k]−1 {w}+ ρf {u}+

ρfn

{w} − ρf {b} = {0} (9.19)

上式を {w}について解くと次式となる.

{w} = − [k]

ρfg

({∇} p+ ρf {u}+

ρfn

{w} − ρf {b})

(9.20)

上式は,すでに式 (9.12)に示した Darcyの法則そのものである.すなわち,全水頭 hは次式で表される.

h =p

ρfg− {x}T {b}

g+

{x}T

g

({u}+ 1

n{w}

)(9.21)

ここで,{x}は位置ベクトルで {∇}{x}T {b} = {b} という関係を使っている.式 (9.21)の右辺第 1項は圧力水頭,第 2項は位置水頭である.また,第 3項は運動エネルギーによる水頭で,多くの浸透の問題では考えられていない項である.

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第III

液状化の数値解析

290 第 9 章 液状化解析手法

9.1.3 連続の式(質量保存の式)土と間隙水の混合体に間隙水の出入りがあると,これに伴って体積変化が生じる.連続の式とは,このような間隙水の出入りと体積変化の関係を述べたもので,質量保存の式とよばれることもある.土骨格の体積変化を生じさせる要因は,間隙水の流入・流出,水圧の変化による間隙水の体積変化の二つである.単位時間に単位体積に流入した間隙水と流出した間隙水の体積の差(減少量)は,{∇}T {w}である.一方,単位時間あたりの間隙水の体積変化(減少)は,式 (9.8)より次式となる.

εwv =p

Kw(9.22)

間隙水の体積は混合体の体積の n倍であるので,間隙水の体積変化の,混合体全体の体積変化(減少)への影響は np/Kw となる.これら二つの効果により生じた土と間隙水の混合体全体の体積変化(減少)は,次式となる.

εw = {I}T {ε} (9.23)

流れ出した間隙水による体積変化(減少)と,水圧の変化による間隙水の体積変化(減少)の和が,混合体全体の微小要素の体積変化(減少)に等しいというのが連続の式で,結局次のようになる.

{I}T {ε} = {∇}T {w}+ n

Kwp (9.24)

水の構成則である式 (9.8)は式 (9.24)を作る過程で考慮したので,式 (9.24)右辺の第 2項は,ひずみでなく圧力となっている

9.1.4 混合体に関する基礎方程式(1) u-w-p形式これまでの基礎式をまとめると,次のようになる.

1⃝有効応力の定義式

{σ′} = {σ} − {I}p (9.3)

2⃝土骨格の構成則

{dσ′} = [D]{dε} (9.6)

3⃝ひずみ –変位関係式

{ε} − [L]{u} (9.9)

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9.1 液状化解析の基礎式 291

第9章

液状化解析手法

4⃝全体の釣合式

[L]T {σ} − ρ{b}+ ρ{u}+ ρf{w} = {0} (9.16)

5⃝間隙水の釣合式

{∇}p+ ρfg[k]−1{w}+ ρf{u}+

ρfn{w} − ρf{b} = {0} (9.19)

6⃝連続の式

{I}T {ε} = {∇}T {w}+ n

Kwp (9.24)

これらの式では,u,w,pが独立変数として用いられており,u-w-p形式とよばれる.通常の弾性論に加え,σ′,p,wが未知数として加わり(未知数の数は応力 6,過剰間隙水圧 1,変位 3),対応して 1⃝, 5⃝, 4⃝(式の数は 6,1,3)が加わったことになっている.水を圧縮性,すなわちKw = ∞とすると,式 (9.24)を pについて解き,これを式 (9.19)

に代入することにより,基礎式より pを消去し,未知数の数を減らすことができる.このようにした基礎式は u-w形式とよばれる.圧密解析でよく用いられる仮定,Kw = ∞とすると間隙水圧は式 (9.19)の 1箇所にしか現れないので,これを消去することはできない.u-w-p,u-w形式は Biotの式を運動方程式まで考慮して作られた厳密な式である.

(2) u-U-p形式よく用いられる厳密解のもう一つの方法は,土骨格と間隙水の変位を未知数とする形式である.式 (9.18)を間隙水の相対変位について解くと,次式となる.

{w} = n({U} − {u}) (9.25)

これを,式 (9.16),(9.19),(9.24)に代入すると,それぞれ次式を得る.1⃝全体の釣合式

[L]T {σ} − ρ{b}+ (ρ− nρf ){u}+ nρf{U} = {0} (9.26)

2⃝間隙水に関する釣合式

{∇}p+ ρfgk−1n({U} − {u}) + ρf{U} − ρf{b} = {0} (9.27)

3⃝連続の式

n{∇}T {U} = (1− n){I}T {ε} − n

Kwp (9.28)

ただし,このままでは使いにくいので,式 (9.26)にDarcyの法則を組み込む.すなわち,式(9.26)から式 (9.27)の n倍を引き,土骨格のみに対する運動方程式(釣合式)を作成する.

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第III

液状化の数値解析

292 第 9 章 液状化解析手法

(ρ− nρf ){u} − ρfgk−1n2({U} − {u})− n{∇}p+ [L]T {σ} = (ρ− nρf ){b} (9.29)

ここで,

{σ} = {σ′}+ {I}p

の関係を用いると,式 (9.29)は次のように書ける([L]T {I} = {∇}の関係を用いている).

(ρ−nρf ){u}−ρfgk−1n2({U}−{u})+(1−n){∇}p+[L]T {σ′} = (ρ−nρf ){b}

(9.30)

式 (9.27),(9.29),(9.30)の組み合わせも厳密解であり,間隙水の相対変位 wの代わりに絶対変位 U が現れたので,この形式を u-U -p形式とよぶ.u-w形式と同じく,これより pを消去することが可能で,その場合,u-U 形式とよばれる.

(3) u-p形式(1),(2)で示した厳密な式は,未知数の数が多く,解くに際して計算量が多くなる.そのような意味で,u-w-p形式や u-U -p形式の基礎方程式を直接解いた解析コードを筆者は知らない.u-w形式や u-U 形式はやはり厳密な式ではあるが,基礎式を作る段階で間隙水圧の項を消去したので,解析上必要とされる間隙水圧の値は,方程式を解いただけでは求められず,別に求める必要がある.また,未知数の数は間隙水圧の部分がなくなっただけであり,あまり減ったとはいえない.ここでは,従来二相系の問題の一つである,圧密解析で用いられてきた定式化となじみがよく,かつ,ダムや河川,海洋などを扱うときの水の部分とのなじみがよい近似解法を示す.第 1の近似は,間隙水は骨格の間を,間隙水の土骨格に対する相対加速度 w が土骨格の加速度に比べて無視できる程度に遅くしか流れないとするものである.w = 0とおくと,式(9.16),(9.19)はそれぞれ次のように書ける.

[L]T {σ} − ρ{b}+ ρ{u} = {0} (9.31)

{∇}p+ ρfg[k]−1{w}+ ρf{u} − ρf{b} = {0} (9.32)

式 (9.32)を wについて解くと,次のようになる.

{w} =[k]

ρfg(−{∇}p− ρf{u}+ ρf{b}) (9.33)

これを式 (9.24)に代入すると次式が得られる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p− ρf{u}+ ρf{b}) = {I}T {ε} − n

Kwp (9.34)

式 (9.31),(9.34) が w を無視した場合の基礎方程式である.ここでは,u と p が未知数となっていることから,u-p形式とよばれ,連続の式と間隙水の釣合式が合わせて一つの式で表現された.すなわち wの項がなくなり,これに伴って式の数が三つ減っている.通常の液

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9.1 液状化解析の基礎式 293

第9章

液状化解析手法

状化解析の範囲では,この近似は十分な精度で成立する.これに加え,式 (9.34)の ρf{u}も無視されることもある(その物理的な意味は式 (9.96)

のところで示す).この項を無視できると,加速度項は全体の釣合式に現れるのみとなる.Zienkiewiczは数値計算を行い17),その結果,「この項を省略すべきだというところまでは勧められないが,透水係数が小さい場合にはこの項はあまり重要ではない」と,やや微妙な表現ではあるが,無視してもかまわないとの結論を示している.すると,式 (9.34)は次のようになる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p+ ρf{b}) = {I}T {ε} − n

Kwp (9.35)

式 (9.31)と式 (9.35)が基礎方程式の一つの組み合わせであり,これも u-p形式である.

(4) 圧密の式u-p形式の近似では,wを uに対して無視できるとした.さらに一歩踏み込んで,加速度そのものが小さい場合にはすべての加速度項を無視することも可能である.このような仮定は地震時には成立しないことは明らかであるが,地震後の過剰間隙水圧の消散過程ではかなり妥当なものとなる.w,uを無視すると,基礎方程式は次のようになる.

[L]T {σ} − ρ{b} = {0} (9.36)

{∇}T =[k]

ρfg(−{∇}p+ ρf{b}) = {I}T {ε} − np

Kw(9.37)

上式は,いわゆる圧密の式である.式 (9.35)と式 (9.37)は同じ式であり,u-p形式で ρf{u}の項を無視した場合には,間隙水に関する部分は圧密解析の部分と同じ式が使えるので,便利である.なお,圧密解析では,Kw を無限大と考えて np/Kw の項を無視するのが普通である.この場合には,式 (9.37)は次のようになる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p+ ρf{b}) = {I}T {ε} (9.38)

式 (9.36)と式 (9.38)が一般に使われる圧密解析の基礎方程式である.

(5) 浸透の式これまでの基礎式では,土粒子と間隙水の挙動は相互作用をしており,したがって基礎方程式も連成していた.以下では,間隙水に関する項を分離した基礎方程式を紹介する.いずれの場合でも土と間隙水の混合体の全体としての釣合式は変わらない.この中には有効応力表示すればわかるように間隙水に関する項が含まれているので,土骨格の挙動はいずれにしろ間隙水の挙動の影響を受ける.しかし,ある仮定をおくことによって,間隙水の挙動を土骨格の挙動から分離する.すなわち相互作用は生じなくなる.連成項が生じるのは,Darcyの法則により土骨格が間隙水の流れを拘束する,間隙水圧の変化に伴い土粒子の体積変化が生じる(連続の式)の二つが原因である.

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第III

液状化の数値解析

294 第 9 章 液状化解析手法

ここでは,間隙水圧の変化により土粒子の体積変化は生じないと考え,そのうち後者の部分を無視する.なお,この条件は,定常状態ではつねに成立する.すると,式 (9.34)は,次のようになる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p− ρf{u}+ ρf{b}) = − n

Kwp (9.39)

上式はまだ連成しているが,先に述べたように ρf{u}の項を無視すれば,連成項はなくなる.また,圧密解析で行ったのと同様に,加速度の値が小さいとすればやはり連成項はなくなる.すなわち,準静的な場合には,間隙水に関する支配方程式は次式となり,連成項はなくなる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p+ ρf{b}) = − n

Kwp (9.40)

これが,非定常浸透に関する支配方程式である.さらに,定常状態では,水圧の時間変動もないので,右辺は 0となり,次式が得られる.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}p+ ρf{b}) = 0 (9.41)

これは,定常浸透流に関する支配方程式である.物体力の時間変動がなく,加速度も無視していることを考慮し,式 (9.21)を式 (9.40),(9.41)に代入すると,それぞれ次式を得る.

{∇}T [k]{∇}h =nρfg

Kwh (9.42)

{∇}T [k]{∇}h = 0 (9.43)

これらは,土質力学でよく用いられる浸透流の式である.

(6) 過剰間隙水圧過剰間隙水圧は間隙水圧の静水圧からの変化量であり,次式で定義される.

pd = p− ps (9.44)

ここで,pd は過剰間隙水圧,ps は浸透方程式の解(静水圧)である.ps が式 (9.41)の解であることを考慮し,式 (9.44)を式 (9.34)に代入すると,次式を得る.

{∇}T [k]

ρfg(−{∇}pd − ρf{u}) = {I}T {ε} − n

Kwp (9.45)

すなわち,形式的には,過剰間隙水圧による基礎方程式と全水圧による基礎方程式は,静的な力である物体力の項があるかないかだけの差となる.なお,psが変化するときには,過剰間隙水圧の計算には式 (9.41)を解きながら計算を進める必要がある.しかし,実務では単に初期の間隙水圧からの変化分を過剰間隙水圧とよぶのが一般的である(9.7.2項参照).

(7) 非排水条件非排水条件とは読んで字のごとく,間隙水が排水しない,すなわち間隙水の移動がないと

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9.1 液状化解析の基礎式 295

第9章

液状化解析手法

いう条件である.材料試験法の一つとしてこの条件による実験は多く行われてきた.実際的な問題で非排水条件が成立するのは,現象が非常に速く起こるときである.このような場合の例として,圧密解析に先立ち荷重が加わったときの間隙水圧を求める問題がある.この場合には荷重が瞬時に加わるため,間隙水圧が消散する時間的余裕がないと考えられる.もう一つの例が液状化解析の場合である.地震の継続時間は高々数十秒のオーダーであり,このように短時間では間隙水の移動量はそれほど多くないかもしれないので,非排水を仮定されることも多い.また,圧密解析では,初期に加わる荷重の載荷に要する時間は短いとして,非排水状態が仮定される.非排水条件とは,間隙水は土と同じ挙動をするというのが条件である.これを式で表すと,次のようになる.

w = 0 (9.46)

とすれば,wは当然 0である.すなわち,非排水条件下では,混合体の厳密な基礎式と,u-p形式による近似式とは同じ結果となる.ところで,u-p形式では,wに関する項を消去したので,式 (9.46)の条件は直接には使うことができないようにみえる.しかし,式 (9.46)に代わる条件式 (9.24)で w = 0とおけば次式が得られる.

{I}T {ε} − n

Kwp = 0 (9.47)

この条件を使って非排水条件下の基礎式を導く.u-w-p形式の式から出発する.式 (9.16)

は,次のようになる.

[L]T {σ} − ρ {b}+ ρ {u} = {0} (9.48)

次に,式 (9.47)の時間に関する微分は,速度の項がないので増分に置き換えることができる.

dp =Kw

n{I}T {dε} (9.49)

また,有効応力の定義式 (9.3)を増分形で表すと次のようになる.

{dσ′} = {dσ} − {I}dp (9.50)

上式に構成則 (9.6),および式 (9.49)を代入すると次式となる.

{dσ} = [D] {dε}+ {I} Kw

n{I}T {dε} =

[D]{dε} (9.51)

ここで,Dは非排水条件下の接線剛性マトリックスで,次式で表される.[D]= [D] + {I} Kw

n{I}T (9.52)

式 (9.9),(9.48),(9.51)が,非排水条件時の基礎方程式である.これらの式には間隙水圧が現れていない.すなわち,非排水件を仮定することで変数の数を減らすことができたわけであ

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第III

液状化の数値解析

296 第 9 章 液状化解析手法

る.このため,変位と間隙水圧の連成項もなくなり,扱いやすい式になっている.なお,[D]

が弾性マトリックスであれば,[D]は弾性マトリックスの体積弾性係数K を(K +Kw/n)に置き換えた式である.式 (9.52)より,非排水条件下では水の体積弾性係数Kw を無限大とすることができないことが明らかになった.また,無限大の代わりに非常に大きい値を用いることは,将来連立方程式を解く際の係数マトリックスの性状を悪くするので危険である.有限要素法の定式化では,別の方法により非排水条件でかつ水の体積弾性係数を無限大とすることも可能である.これについては後で述べる.

9.2 有限要素法への定式化

ここでは,これまでに導いた基礎方程式の有限要素法定式化を行う.まず,最初に圧密解析でよく用いられ,Biotの式のもとの形に最も近い u-p形式の定式化の例を紹介し,その後,他の定式化を紹介する.

9.2.1 u-p形式{u}を節点変位とする.なお,以後,オーバーバーのついた諸量は節点における値を表しているとする.領域 v内の変位 {u}を補間関数(interpolation function)[N ]を用い,

{u} = [N ] {u} (9.53)

のように補間する.補間関数 [N ]は,FEM解析では,変位関数(displacement function;補間が変位に関して行われるときだけ)とよばれたり,形状関数(shape function)とよばれたりもする.要素全体の釣合式 (9.31)に関する残差を最小にするように重み付き積分を行うと,次のようになる.∫

v

[N ]T([L]

T {σ} − ρ {b}+ ρ {u})dV = {0} (9.54)

ここで,重み関数として,補間関数と同じものを選んでいる.なお,dV は領域 v に関する積分を表している.式 (9.54)の積分は,境界を含む要素全体について行わなければならない.式 (9.54)の第 1

項に Gaussの定理(部分積分)を用いると次のようになる.∫v

[N ]T[L]

T {σ} dV =

∫s

[N ]T[n]

T {σ}dS −∫v

([L] [N ])T {σ}dV

=

∫s

[N ]T {T}dS −

∫v

([L] [N ])T {σ} dV (9.55)

ここで,[n]は,法線の方向余弦マトリックス(各列が方向余弦ベクトル {n}で構成されるマトリックス),

[T ] = − [n]T {σ} (9.56)

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371

索  引

欧 文

Bingham 流体 126

Biot の式 11,285

B 値 94

Christian 298

CRR, cyclic resistance ratio

201

CSR, cyclic stress ratio 200

DA 88

DESRA 32,208,253

DHP モデル 243

Eulerian 151

FL 123,164

K0 58,89,170,339

large mass 法 319

MSF 102,179,204

N 値 63

P 波 121,317,322,338

Ramberg-Osgood モデル 238

Sandhu 298

SHAKE 166,194,198,208

SPT 63,201,204

SRI 330

S 波 59,317,338

あ 行

圧縮 61

圧縮指数 257

一軸圧縮試験 59

一面せん断試験 54,59

浮き上がり 19,149,225

永久変位 21,74,82

液状化安全率 164

液状化強度 67,164,184,194,250,259

液状化強度試験 87,107,180

液状化に対する抵抗率 123,164

液状化に伴う流動 21,138,345

液状化ひずみ 78,82,84,96,123,236

エネルギー効率 109

鉛直アレー 24,41,108

応力 45,52,286

応力解放 346

応力経路 57,116

応力制御 95

応力履歴 92

オンライン実験 129

か 行

過圧密 109

解析基盤 317

過剰間隙水圧 9,83,112,248,341

過剰間隙水圧比 362

片振幅 88

間隙水圧 50,286

間隙水圧計 30

間隙比 10,66,129,132,277間隙率 289

換算 N 値 99,104,174,187,202

完全液状化 72,73,115

関連流動則 264,267

基準化 N 値 187

基準ひずみ 237,240,243,246

強度定数 50,86

距離減衰 208

駆動力 75,108,123

繰返し非排水試験 87

クロネッカー 262,286

形状関数 296

限界 N 値 9,197

限界間隙比 6,89

限界ひずみ 222

工学的基盤 24,32,194,317

工学ひずみ 46,60,286

剛基盤 317

抗砂時計 331

拘束圧 47,262

さ 行

再液状化 73

サイクリックモビリティ 31,34,73,114

再構成試料 117

最小間隙比 130

最大せん断応力 53,60

細粒分含有率 67,104,143,161,171,183,197

砂質土 57,79,161,340

三軸試験 10,48,59,72,88,105,169

軸応力 48

軸差応力 60,89

軸ひずみ 60

自重解析 347

地震応答解析 84,203

地震基盤 25

次数低減積分 329

自然間隙比 6

湿潤単位体積重量 125

斜面補正 206

主応力 53,266,276

ジョイント要素 271

初期液状化 72,73,87

初期せん断 206

伸張 61

浸透流 4,124

スカラー 45

ステージ 81

ステージテスト 81

砂時計不安定 329

砂時計モード 329,333

正規圧密 109

静止土圧係数 89

セメンテーション 117

全応力 11,49,84

全応力解析 194

選択的次数低減積分 329,333

せん断応力 10,45,52,123,146,164

せん断弾性係数 45

せん断ひずみ 45,60,87,149,179,202

全ひずみモデル 236

双曲線モデル 237

相対密度 64,66,109,127,147

相当応力 262

相当ひずみ 262

側方流動 21,74

塑性指数 5,57,93

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372 索  引

た 行

体積弾性係数 47,50,252

体積ひずみ 47,51,94,127,248,262

体積ロッキング 328

大ひずみ 78,85

ダイレイタンシー 49,52,111

ダッシュポット 317,320

単位体積重量 19,318

単純せん断試験 61

単純せん断変形 59

弾性基盤 253,317

弾塑性モデル 236

地下逸散減衰 317

中空ねじり試験 61

中ひずみ 78

直応力 52

土骨格 49

テンソル 45

テンソルひずみ 46,60

凍結 117

な 行

内部摩擦角 50,56

二次液状化 7,135

二重双曲線モデル 243

二相系の式 11,285

粘性係数 124,126

年代効果 207

粘着力 50

粘土 56

粘土分含有率 163

は 行

背圧 59

破壊規準 54

破壊線 54

破壊ひずみ 78

ビオの式 285

非関連流動則 264

微小ひずみ 80

ひずみ 62,73,83,286

ひずみ依存性 81

ひずみ速度 125

非塑性 5,112,161

引張応力 54

非排水条件 51,279,294,315,347

標準貫入試験 63,98,201

不完全液状化 73

部分液状化 72,115

噴砂 15

平面ひずみ 48,54

ベクトル 45

変位関数 296

偏差応力 262,268

偏差ひずみ 262

変相角 114,118

変相線 114

ポアソン比 328,333,339

ボイリング 7

膨潤係数 48,252

膨潤指数 257

ま 行

マグニチュード補正 204

水膜 131,273

メンブレン 94

モール・クーロン 50,54,57,89,266

モール円 46,52,55,60,61,86

や 行

有効応力 5,11,49,87,139,290

有効応力解析 194

有効応力の原理 50

ら 行

流砂 3

粒状体 52

流動 11,22,114

両振幅 88

累積損傷度 187,258

レーダーチャート 355

Page 36: 「液状化現象」 サンプルページiv 目 次 第I部 液状化の理解 1 第1 章 液状化研究の歴史 2 1.1 液状化研究の始まり 3 1.2 1964 年以前の研究

著 者 略 歴吉田 望(よしだ・のぞむ)1949 年生まれ1972 年 京都大学工学部建築学第 2 学科卒業1977 年 京都大学大学院工学研究科建築学専攻 博士課程 単位取得退学1979 年 佐藤工業株式会社入社1985 年 京都大学工学博士(筋かい材の弾塑性性状に関する研究)1985 年  Post Doctoral Fellow, University of British Columbia1993 年  Visiting Scholar, University of British Columbia1995 年 京都大学防災研究所 非常勤講師2002 年 応用地質株式会社入社2005 年 東北学院大学工学部 教授2017 年 関東学院大学総合研究推進機構 教授2017 年 東北学院大学 名誉教授,客員教授2020 年 関東学院大学防災・減災・復興学研究所 客員研究員

専 門 地震地盤工学,耐震構造著 書 (単著)地盤の地震応答解析,鹿島出版会,2010,Yoshida, N.: Seismic

ground response analysis, Springer, 2014(共著・分担執筆) 液状化対策の調査・設計から施工まで,土質工学会,1993,Earthquake Motion and Ground Conditions, Ar-chitectural Institute of Japan, 1993,入門・建物と地盤との動的相互作用,日本建築学会,1996,Remedial measures against soilliquefaction, Balkema, 1998,地震荷重—内陸直下地震による強震動と建築物の応答,日本建築学会,2000,建築物の減衰,日本建築学会,2000,知っておきたい地盤の被害〈現象,メカニズムと対策〉,地盤工学会,2003,液状化対策工法,地盤工学・実務シリーズ 18,地盤工学会,2004,斜面の安定・変形解析入門〈基礎から実例まで〉,地盤工学会,2006,地盤の動的解析〈基礎理論から応用まで〉,地盤工学・基礎理論シリーズ 2,地盤工学会,2007,Design of foundations in seis-mic areas: principles and applications, National InformationCenter of Earthquake Engineering, India, 2007,他,多数

 編集担当 加藤義之(森北出版) 編集責任 富井 晃(森北出版) 組  版 藤原印刷 印  刷   同   製  本 ブックアート

液状化現象———メカニズムから数値解析まで——— c⃝吉田 望 2020

2020 年 8 月 26 日 第 1 版第 1 刷発行 【本書の無断転載を禁ず】

著  者 吉田 望発 行 者 森北博巳発 行 所 森北出版株式会社

東京都千代田区富士見 1-4-11(〒 102-0071)電話 03-3265-8341 / FAX 03-3264-8709https://www.morikita.co.jp/日本書籍出版協会・自然科学書協会 会員

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