北海道大 特集 目指して社会実装を · 2017-03-28 · vol. 20172 strategy for making...

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Vol. 2017 2 Strategy for Making Innovation 02 05 11

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Vo l .

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2Strategy for M

aking In

novation

理の

社会実装を

目指して

研究者と企業をつなぐ

ことわり

■特集

北極域研究センター・・・02

■未来創出に挑む、

 北海道大学の研究者たち・・・・・・・・05

■産学・地域協働を支える

 北海道大学の施設とシステム・・・11

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01

 北海道大学は「実学の重視」を四つの基本理念の一つに掲げています。しかし、これまでの

産学連携は、大学と企業の研究者が個人レベルで研究を行い、事業化というより研究のため

の小規模連携研究が大半で、事業化に向けた取り組みが進まない状況でした。さらには、

企業等が持つ社会ニーズを生かした新しい研究を生み出すこともできませんでした。

 北海道大学は、平成27年4月、産学・地域協働推進機構を新設し、産業界や地域と組織

的に協働することによって、大学における研究成果をいち早く社会に実装し、還元されること

を最優先にした産学協働システムを構築し、推進することとしました。このため、従来の共同

研究・受託研究に加え、イコールパートナーシップのもと社会実装を目指した組織型協働

研究制度を創設しました。また、学内の世界最先端の機器や特殊施設の共有などによって、

いろいろな形で企業の方 と々協働を推進します。

 本学では、毎年1,000件規模の新しい研究テーマが生まれます。その中から、将来のランド

マークとなる研究が育っています。本学が近未来戦略150に掲げる「世界の課題解決に

貢献する大学」へと生まれ変わるために、さまざまな研究において、レベルよりクオリティを

変えていきます。この変革のためには、産業界と地域との協働が必須です。今までと違う

北海道大学を、ぜひ皆様のパートナーとしてご活用いただけると幸いです。

産学・地域協働推進機構の四つの柱産学・地域協働推進機構は、以下の四つの柱をテーマに、研究から社会実装へのステージアップを推進します。

Hiro sh i Su e t omi

川端 和重産学・地域協働推進機構長

(理事・副学長)

「理の社会実装」に向けて

ことわり

 企業は国際的な競争力のある事業を開発するために、先端研究を行っている大学と協働する

姿勢を強めています。また、地方自治体等は地方創生のために、大学との協働を期待しています。

 本学は平成27年4月に、産学協働、地域協働のワンストップ窓口として、産学・地域協働

推進機構(以下、産地機構)を発足しました。

 産地機構は、企業と大学の経営層がしっかりと目標を共有し、双方のリソースを十分に活

用した大型共同研究を核にした組織型協働を推進しています。そのために、新たなIPポリシー

の制定や先端的な研究施設、設備の提供、スタッフによるフォローを行っています。この組織

型協働の典型が産業創出講座等であり、多くの企業が学内に研究所(室)を設置し、企業

の研究者が本学の研究者と事業化を目指した大型共同研究に取り組んでいます。

 また、地方自治体等からの要望は部局横断的なものが多く、部局間の調整を行っています。

勿論、産地機構は従来型の共同研究や受託研究、寄附講座等の相談にもワンストップ窓口

として対応しています。産学連携に関して何かご不明の点があれば、ご遠慮なく産地機構に

ご相談ください。

■産地機構の業務内容、本学の研究シーズ及びアクセス等は、下記をご参照ください。

http://www.mcip.hokudai.ac.jp/cms/cgi-bin/index.pl

末富 弘北海道大学産学・地域協働推進機構 特任教授

組織型協働による事業化を目指して

Kazu sh i g e Kawaba ta

企業の方向けワンストップ窓口(お問合せフォームあります)http://www.mcip.hokudai.ac.jp/

北海道大学 産学・地域協働推進機構〒001-0021札幌市北区北21条西11丁目 北キャンパス総合研究棟3号館2FTEL 011-706-9561 FAX 011-706-9550

お問 合 せ

1 産学協働

大学と企業が組織対組織で信頼関係に基づいて付き合うための関係構築の窓口を作ります。具体的には、学内に企業等が共同研究拠点(産業創出部門)を設置し、本学研究者とともに大学資産を有効に活用して事業化を進めます。

2 地域協働

文系部局を中心に展開している、地域課題解決のための取り組みについて情報を集約し、地域と公共自治体、北大が組織として連携できるように支援を行います。

3 人材育成

アントレプレナーシップを有し、プランを持った人材を発掘し、学外の企業メンターおよびキャピタル等とのコーディネートを行うことで大学発ベンチャーを積極的にに創出します。

4 資産活用

特許等の知的財産のみならず、研究者のノウハウやニーズ、大学のブランド名等の無形資産、大学にある先端的な施設や機器の有形資産を積極的に活用し、イノベーションを起こします。

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02

北極域を知ること自分との関わりを理解すること協働の道を探し、踏み出すこと

北海道大学 北極域研究センター

Hokkaido University Arctic Research Center (ARC-HU)

 北極圏(北緯66度33分以北)とその周辺域を北極域と呼び

ます。北極域は地球温暖化の影響をもっとも顕著に受ける地域の

一つと言われています。実際に北極域の夏の海氷面積は、人工

衛星による観測が始まった1980年代に比べて半分程度にまで

減少しています。こういった現象は、北極域の気候や生態系に

影響を及ぼすだけではなく、水や大気の循環を通じて地球規模

の変異を起こす可能性があります。また、北極域の温暖化は生物

の分布にも影響し、狩猟や漁業を営む人々の生活にも大きな

変化をもたらしています。

 一方で、北極域の温暖化に伴う環境変化は天然ガスやレア

アースなど天然資源の新たな開発機会を生み出します。海氷面積

の減少は、船舶が北極域を航行できる期間を長くし、アジアと

北欧を結ぶ最短航路としての利用価値を高めます。北極域の環境

変動は、新たな利権を生み出す側面も持っているのです。したが

って、北極域は環境問題にとどまらず、政治や経済面でも数多く

の問題に直面している地域と言えます。

 北極域の環境保全を前提とした持続的な活用は、いまや北極を

取り巻く国々だけの課題ではなく、地球規模の課題となっています。

その課題解決のためには、国際協力のもと、自然科学、人文社会

科学、実学、国際政策などの専門家が連携し、環境変化の正しい

把握・予測や人間活動の影響評価に取り組むことが必要です。

 北極域研究センターは、課題解決のための先端的研究を行う

とともに、最新の調査結果を国際会議、国内外の自治体・企業、

さらには住民の方々へ提供し、協働しながら北極域の保全と持

続的活用を目指します。また、国立極地研究所や海洋研究開発

機構とも協力し、日本における北極域研究のナショナルセンター

として活動していきます。地球の未来のために、分野を越えて連携

し、北極を見つめ続けます。

北極域研究センター特集

Photo: Fyodor Yakovlev

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 北極海航路は、ロシア北極海沿岸のノバヤ・ゼムリャ島を西端、ベーリング海峡を東端とする約4,260kmの海路(図)。温暖化等の影響による海氷の減少に伴い、日本やアジアと欧州を結ぶ最短の海上輸送ルートとしての利用拡大に世界中から関心が集まっている。2050年には夏の北極海から海氷が無くなる可能性が指摘されており、海運の拡大や天然資源開発にとどまらず、北欧諸国とのビジネスの機会が広がることが期待されている。大塚教授は、北極海航路の安全で持続的な利用、環境や経済、人々の暮らし等への影響評価、北海道における北極海航路活用などを主題として研究を進めている。 「北極海航路は21世紀に人類が手に入れた地球上のフロンティア。その新しい利用、新しいアクティビティを生み出すために今は種まきをしている段階です。北極域研究センターはまだ始まったばかりですが、様々な分野の研究者、企業の方や自治体と連携し、早く具体的な形になる成果をあげたいと考えています」。大塚教授は、産業界・自治体との交流にも積極的だ。2017年3月に、企業向け公開セミナー「北極海航路をめぐる最新研究」を東京で開催するなど、様々なセミナーやシンポジウム、北海道経済界の勉強会等で情報交換をしている。

1981年、本学工学部卒業。建設会社、港湾コンサルタント会社での勤務を経て2016年より現職。会社勤務時代の2001年に本学工学研究科博士過程終了。2003年より公益社団法人土木学会海洋開発委員会委員兼幹事。2009年よりPort and Ocean Engineering Under Arctic Conditions (POAC) International Committee Member。2014年より日本海洋政策学会理事。

港湾コンサルタント会社で港の計画・設計等を行う傍ら、氷海域・北極域研究に長年尽力してきた大塚教授。海外の漁村振興プロジェクトに携わるなどの豊富な経験・知識を生かし、現在はアジアと北欧を結ぶ最短ルートとして注目される「北極海航路」利用のビジネスモデル作成のために多角的な視点で研究を行っている。

地球上の新たなフロンティア「北極海航路」のシナリオを描く

◆ 北極からビジネスをつくる

 FMI国際拠点に入居している企業等とともに、2050年に北極がどうなっているかを考える「北極のエリアデザイン」というプロジェクトを設立。工学、経済、環境、水産、宇宙、国際法、民俗学、社会学・・・などの研究者が集い、イノベーティブなアイディア、北海道の地域活性につながること、そのために研究すべきテーマなどを話し合っている。航路だけではない北極の産業利用や、環境・人への影響の可能性を探り、未来のシナリオづくりをはじめている。「北海道大学はあらゆる分野の専門家がいて、自治体や企業との距離も近く、北極域のように様々な課題を抱えたプロジェクトを遂行しやすい環境です。北極域研究センターには、産学連携のプロフェッショナルも所属しており、その人を介して様々な企業とのつながりも出来つつあります。」

◆ 北極から地域の未来をつくる

 北極域研究にどのように市民を巻き込んでいけるのかも、今後の課題のひとつ。大塚教授は、市民向けのアウトリーチにも積極的に取り組んでいきたいと考えている。2016年12月には第92回サイエンス・カフェ札幌「極北に針路をとれ~北極海航路が拓く新時代~」に登壇。北極域に関心を寄せる市民ら約60名と語り合った。他大学や企業・自治体関係者等も対象として、北極域研究に関する人材の育成も行う北極域研究センター。「北極をフィールドに環境・社会・産業などを学び、様々な分野で活躍できる人材を育てていきたいです。若い人達と一緒に仕事ができるのを楽しみにしています」。北大から多くの若者が、新たな海へ船出していく日も近い。

◆ 北極から次世代をつくる

北極域研究センター 教授、工学博士

Nat suh iko Ot suka

大塚 夏彦船舶海洋工学、海上物流

写真:北大CoSTEPより提供サイエンス・カフェ札幌の様子。

北極域研究センター特集

03

keyword北極圏:北緯66度33分以北の地域

北極域:北極圏とその周辺地域

N S R:Northern Sea Route北極海航路。北東航路のうち、ベーリング海峡とノバヤ・ゼムリャ島の間を指す。

S C R:Suez Canal Routeスエズ運河航路。北極を通る航路に対して、「南回りルート」などとよばれる。

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海外の研究機関や本学低温科学研究所等を経て2015年12月に北極域研究センターに着任したポドリスキ助教。氷河が急に亀裂を生じる際に発生する「氷河地震」について研究している。地震学の観測手法を生かして氷河の内部を探る「Cryoseismology(氷河地震学)」という新しい分野を開拓中。現在は、低温科学研究所や海外の研究チームと協力し、グリーンランド北西部にあるボードイン氷河の末端に計測器を設置して観測を行っている。地球温暖化等に影響を及ぼすといわれている氷河変動のメカニズム解明を目指す。

地震学の手法を活用して 氷河変動のメカニズムを解き明かす

北極域研究センター助教、理学博士

Evg eny Podo l s k i yエヴゲニ・ポドリスキCryoseismology、氷河地震学

 地球上の氷河の約10%を占めるグリーンランド氷床は、近年、 急速に縮小しており、海面の上昇や、海洋循環、生態系への影響が懸念されている。「グリーンランド氷床は海の近くで氷が失われているため、私達は海に流入するボードイン氷河の末端に近づき、氷河と海の境界で観測を続けています」。これまでの氷河研究は、衛星データなどを利用した上空からの画像解析によるものがほとんど。氷河の上に繊細な計測器を設置する観測は、困難で危険を伴う。「まだ誰もやっていないこと、解明していないことへのチャレンジは意義があります。また、美しく広大な自然環境での研究は、私の若い頃からの夢でもありました」。ボードイン氷河の観測からこれまで、海の潮汐と連動して発生する氷河地震をグリーンランドで初めて発見するなど、様々な成果をあげてきた。また、寒冷地でも利用可能な計測器の開発を目指す企業や、氷った衛星上での観測を検討しているNASA(アメリカ航空宇宙局)などからも関心を集め、研究交流を始めている。「北極域研究センターは雪氷や海洋、宇宙、人文社会学など様々な専門家がネットワークをつくり、研究・教育・産学連携に取り組んでいます。まだ始まったばかりですが、

大変興味深く、私自身勉強になっています。」ポドリスキ助教は、グリーンランド氷河で得られた知見が、南極やパタゴニアなど世界中の氷河・氷床の変動メカニズム解明や、様々な分野に役立つことを信じて日々研究に取り組んでいる。

◆総合博物館 北極域研究センター展示室

2016年7月に耐震改修を経てリニューアルオープンした総合博物館の北極域研究センター展示室では、ホッキョクグマの剥製がお出迎え。あらゆる分野にまたがる北極域研究の詳細がパネル等で紹介されています。また、総合博物館では北極域に関連するイベントも多数開催しています。札幌にお越しの際にはぜひお立ち寄りください。

多彩な分野に広がる北極域研究の世界はこちらでもご覧いただけます

グリーンランドのボードイン氷河。観測にはヘリコプターで向かう。中央上部の小さな機影がヘリコプター。

北海道大学 北極域研究センター http://www.arc.hokudai.ac.jp/

04

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 社会に役立つ研究をしたい。野口教授は、大学に入る前から、

実学的な志向を持っていた。「工学というものは、少なくとも出口

を見据えた研究をしなければならない。研究の成果が現場に

届き、社会ニーズと結びつき、社会実装化していく。そうしたストー

リーを念頭に、常に研究をしてきました」。

 野口教授が、ロボット農機の研究に本格的に取り組み始め

たのは、本学で助手を務めていた時代。ロボット農機を開発し、

現場に投入することで、大切な産業でありながら、担い手不足

や高齢化など、深刻な問題を抱えている農業のパラダイムシフト

を起こせるのではないかと考えた。

 ロボット農機第1号を開発したのは、1991年。大学院生と

ともに廃材から集めた部品で製作し、自前の位置計測システム

を搭載。無人で農地を走るだけのシンプルな構造だった。

 翌年、国内でロボット農機の研究をリードしていた農研機構

生物系特定産業技術研究支援センターの交流研究員となり、

耕うんロボットの開発に参画。実際に畑でトラクタを運転し、

机上と現場の違いを体感した。1997

年から4年間、米国イリノイ大学では

GPSを活用した自動走行の知見を深

めるとともに、大学と民間企業の共同

研究が盛んな様子に触発された。学外

でのこの2つのキャリア、そして、GPSの

精度の飛躍的な向上が、野口教授の

研究を大きく後押しした。

 農地にロボットを。その思いから四半

世紀。野口教授が指揮を執る本学大学

院農学研究院「ビークルロボティクス研

究室」では、北海道初のロボットトラクタ

を開発。2018年には、大手農機メーカー

がユーザーインターフェースを高め、

商品化する予定だ。市場に投入される

ロボットトラクタは、パソコンからの指令

で作業する仕組みで、作業中もタブレット

型端末で速度などを変更できる。位置

や姿勢を計測するセンサに加え、障害

物を検知するセンサも搭載。運転中、人

が近づくと警告音を出して即座に停止

する安全システムも導入される。「研究

者がコンセプトを立案し、企業がカタチ

にする。そうしたプロセスにおいて、本学

は研究室から歩いてすぐのところに農

場があり、プログラムの動作を実地で確

認できることは、大きなメリットでした」。

 野口教授にとって、ロボット農機は、

単純作業を無人でできるようになった

段階。「生育状況を見ながら農薬を適

切に撒くなど、ロボット農機がより賢く

なることで、農家の収入が上がり、ひい

ては地域が豊かになるサポートをする。地域を巻き込むような

技術となり、活用されなければなりません」。そうした考え方は、

無線通信システムを使って1人が複数のロボットトラクタを管理

できる協調システムの開発にも繋がった。

 今後は、生産者や学内外に多くの協力を得て、気象や栽培

環境などの地域情報、ベテラン農家の栽培履歴、土壌・生育

状況などトラクタの作業情報を収集、集積したビッグデータと、

ロボット農機を融合させる「スマート農業」の実現を目指す。

「スマート農業」によって、生産者に時間の余裕が生まれれば、

収益の高い作物の生産、販売や六次化への取り組みに力を注ぐ

こともできる。「無人ロボットを人手代わりにするのではなく、これ

を使って生産者や地域がどのように活性化していけるかを考え

てもらえたら」。

 研究室から社会を眺め、社会の一員として自らの研究を検証

する。青年時代から変わらない野口教授のスタンスが、北海道

ひいては日本の農業シーンを進化させていく。

05

大学院農学研究院 基盤研究部門 生物環境工学分野 教授、

内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

「次世代農林水産業創造技術」プログラムディレクター、

農学博士

Nobor u Noguch i野口 伸農業環境工学農業情報工学

1985年、本学農学部卒業。90年、本学大学院農学研究科農業工学専攻博士課程修了。本学農学研究科助教授

などを経て、2004年より教授。この間、農研機構生物系特定産業技術研究支援センター交流研究員、米国イリノイ

大学農業工学科客員教授。2016年から内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業

創造技術」プログラムディレクター。

農業と地域の未来をみつめ「スマート農業」の実現へビークルロボット※(以下、ロボット農機)の国際的な第一人者である野口教授。ロボット農機は、次世代農業において、生産者の収益向上、地域の活性化を促すキーテクノロジーと位置付けられている。次に目指すのは、ロボット農機と農業情報を融合させた「スマート農業」の実現。学内外の協力を得ながら、技術の社会実装化を進めていく。※ビークルロボット:車両系ロボット農機の総称。

未来創出に挑む、北海道大学の研究者たち

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大学院歯学研究科 口腔健康科学講座 生体材料工学教室 教授、

博士(歯学)

Ya suh i ro Yo sh ida吉田 靖弘保存治療系歯学補綴系歯学

 国民病ともいえる歯周病やインプラント周囲炎は、周りの骨を

溶かすことが問題となっている。しかし、従来から用いられている

歯科用人工骨は、顆粒状で操作性が悪く、しかも体内で吸収され

骨に置き換わるまで数年かかることから、治療には不向きだった。

 科学技術振興機構(JST)は、2012年、岡山大学に「リン酸化

プルランを用いた世界初の多目的接着性人工骨の開発」を委託。

当時岡山大学に在籍していた吉田教授が、そのプロジェクト

リーダーを務めた。

 このプロジェクトには、医療用プルランを独占供給する企業が

協力していた。吉田教授は、企業の担当者らと意見交換を重ね、

歯質接着理論を基に、リン酸化プルランを分子設計。骨や歯に

対し強固に吸着し、体内で吸収され組織に置き換わる新しい

材料を生み出した。これに骨の類似成分であるリン酸カルシウム

を混合し、接着力や圧縮強度、生体吸収・骨置換速度をコント

ロールできるペースト状人工骨を開発した。

 開発のベースには、吉田教授が研究者として独り立ちして初めて手

がけた研究がある。生体硬組織(歯や骨)と材料の界面をナノレベル

で分析し、世界で初めて両者の化学的結合を実測したのだ。「この過

程で、どのような分子が歯や骨に付くかという理論を会得しました」。

 従来の理論を基に新しい材料を作り、

それを世界に発信し、広く使われれば、研

究者冥利に尽きる。常 そ々う考えていた吉

田教授は、人工骨の開発中も、実用化まで

にクリアしなければならない課題を想定

し、解決策を模索していた。人に使うもの

は、効果だけでなく、安全性、安定性が求

められる。しかし、安全性、安定性の証明

には、相当な時間とコストがかかる。この壁

を前に頓挫した事例は、数えきれない。

 「産学連携は、Win-Winの関係があっ

てこそ。ゴールに到着するまでの道筋を、

研究者自身も勉強しなければなりませ

ん」。人工骨を作る際、リン酸化プルランの

滅菌が必要になる。大きな問題はヒアルロ

ン酸をはじめ体内埋植可能な吸収性材料

は、ほとんどがガンマ線滅菌で変性してし

まうことだ。しかし、吉田教授は製品設計

の自由度を増すため、あえてガンマ線滅菌

に耐えうるリン酸化プルランを合成すると

いう難題に取り組んだ。すでに歯の神経を

保護する材料として薬事の許可を得てお

り、製造準備に入っている。しかし、歯に使

う材料はわずかであるため、リン酸化プル

ランの使用量が少なく、製造コストが下が

らない。そこで吉田教授は用途の拡大を

企業に提案した。「リン酸化プルランは歯

や骨に接着する唯一の体内埋植可能な

吸収性材料で、薬の徐放を制御する機能

もあります。歯の詰め物や人工骨をはじめ、薬剤を組織に運ぶドラッ

グデリバリーシステムなど様 な々展開が可能です」。

 研究者でありながら、マーケティング的な視点と発想を持ち

合わせ、企業人と課題を共有し、共に解決していこうとする。古

い研究者像にはない柔軟さ、大胆さも、多分野の企業が吉田

教授に関心を寄せる理由といえる。今後、人工骨は、骨粗しょう

症による骨折治療など、整形外科領域の治療にも応用が期待

されている。医療技術の開発が我が国の政策として進められて

いく中、吉田教授への注目もさらに高まりそうだ。

 本学はスーパーグローバル大学創成支援に採択され、学内外

だけでなく国内外の交流も一層盛んになっている。「著名なプロ

フェッサーや各国の留学生を通して、我々が開発した材料が

世界に発信されるチャンスだと感じています」。

 リン酸化プルランを軸にした開発は、プロジェクト参画メンバー

らが出資したベンチャー企業によって製造・販売が引き継が

れる。ひとつの出口が見えてきた今、吉田教授の次の一手は

何か。「新たに高機能な材料を作りたい。そして、その材料が

完成したら、本プロジェクトで培ったノウハウを活用して、学外

の方 と々迅速な実用化を目指します」。

1990年、広島大学歯学部卒業。95年、同大学歯学部歯科理工学講座助手。96年、ルーヴァン・カトリック大学

(ベルギー王国)留学。2002年、岡山大学大学院医歯学総合研究科生体材料学分野助教授、07年准教授。14年、

本学大学院歯学研究科生体材料工学教室教授。同年、William J.Gies Award(IADR/AADR)受賞。

歯科から医科へ切れ目のない実用化戦略科学技術振興機構(JST)が委託した「リン酸化プルラン※を用いた世界初の多目的接着性人工骨の開発」のプロジェクトリーダーを務めた吉田教授。この人工骨は、高い接着力、圧縮強度の最適化、生体吸収性・骨置換速度の最適化を実現。歯科領域を起点に、外科領域への応用も期待されている。※リン酸化プルラン/天然多糖類プルラン(グルコースのみからなる多糖類の一種で、食品として多用されている)のリン酸化物。

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 「研究って、シンプルなんです。実際の世界では、教科書に書か

れていることとは全然違うことが起こります。それはなぜなのか。

私はその解明をしたくて、研究を続けているんです」。村上教授

が2012年に発表し、後に宇宙実験へと発展する研究も、“なぜ”

から出発した。

 中枢神経系である脳や脊髄の血管は、血液脳関門と呼ばれる

機構を形成し、細菌やウイルスなどが侵入するのを防いでいる。

しかし、実際は中枢神経系も細菌やウイルスなどに感染し、がん

や難病を発症する。教科書とは違うことが起こっていることに

“なぜ”と思った村上教授は、細菌やウイルスなどが中枢神経

系に侵入するゲートがあると仮説を立てた。

 ゲートの部位と形成メカニズムは、多発性硬化症の病原T細胞

を移入したマウスの実験で突き止めた。第5腰髄の背側で、村上

教授が2008年に発見した炎症アンプという炎症誘導の根本機

構が活性化。それによって、血管にゲートが形成されていたので

ある。世界初の画期的な発見であったが、新たな疑問が生じた。

「なぜ、その部位だけにゲートができるんだろう」。

 当時在籍していた大阪大学で、スポ

ーツ医学の研究者から重要な情報を

得た。ゲートが形成された第5腰髄の

背側は、感覚神経でヒラメ筋とつながっ

ていること。そして、ヒラメ筋は最大の坑

重力筋であるため、ゲートと重力は関連

している可能性があること。それらは、

村上教授が次の研究ステージに進む

ヒントとなった。

 「重力刺激によるヒラメ筋の応答が

第5腰髄の背側に伝わり、その近くの

血管で炎症アンプを活性化させている

のではないか。私はそう考えたんです」

と村上教授。実証するために、多発性

硬化症の病原T細胞を移入したマウス

をしっぽから吊るし、ヒラメ筋への重力

刺激をなくした状態で実験を行った。

すると、第5腰髄の背側で炎症アンプ

は活性化せず、多発性硬化症の発症

も抑制された。一連の実験から、重力

刺激がヒラメ筋から第5腰髄の背側に

伝わり、炎症アンプが活性化すること

で、細菌やウイルスなどが中枢神経系

に侵入する血管のゲートが形成される

という結論に至った。「ゲートウェイ反

射」と名付けられたこの現象。人為的

にゲートの形成を調整することで、中枢

神経系のがんや難病の予防・治療に

つながると期待されている。

 「ゲートウェイ反射」の研究は、2016

年、JAXAの「『きぼう』利用フィジビリ

ティスタディテーマ」に採択された。宇宙は重力刺激がないため、

第5腰髄の背側に中枢神経系へのゲートは形成されない。その

とき、脳を含む臓器の機能、それぞれの連携機構はどうなるの

か。重力以外の刺激で、ほかの部位にゲートが形成される可能

性もある。また、無重力での実験データは、重力刺激の調整に

よる予防法・治療法の開発に役立つことから、筋力低下による

認知機能障害などへの応用に発展する可能性もある。病気モ

デルによる宇宙実験は、世界初。健康と重力の関係に迫る“重

力免疫学”の歴史的な一歩である。

 村上教授は、「ゲートウェイ反射」の研究を、ストレスなどが

健康に与える影響を解明する新しい学問体系“心理免疫学”

にもリンクさせたいと考えている。 また、新たな創薬研究に取り

組みたいという意欲も強い。「研究は、目の前の“なぜ”を解明

すること、その連続です。ゴールの見えない旅をしながら、木を

一本ずつ見ている感じですね」。

 病気のメカニズムを解明し、新たな予防法・治療法を開発

する研究の旅は、宇宙もひとつの通過点であるようだ。

世界初。宇宙実験で病気と重力の関係を解明する

遺伝子病制御研究所 所長、

大学院医学研究科 分子神経免疫学分野 教授、博士(医学)

Masaak i Murakami村上 正晃基礎医学 / 免疫学実験病理学

1989年、本学獣医学部卒業。93年、大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。その後、本学免疫科学研究所

助手、日本学術振興会海外特別研究員、米国コロラド大学客員准教授を経て、2002年より大阪大学大学院

医学系研究科助教授、大学院生命機能研究科准教授を歴任。14年に本学へ戻り、16年より現職。

なぜ病気になるのか、どうすれば予防・治療できるのか。その問いに挑み続けてきた村上教授は、2012年、世界で初めて、重力が炎症を引き起こすメカニズムを発表。2016年、その研究を発展させた実験テーマが宇宙航空研究開発機構(JAXA)に採択され、2018年には病気と重力の関係を解明する世界初の宇宙実験が実施される予定だ。

未来創出に挑む、北海道大学の研究者たち

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08

 肥満は万病の元といわれて久しい。また、内臓脂肪、体脂肪

など、脂肪への関心も高まっている。「UCP1というタンパクが

体内で活性化すると、脂を燃やし、熱に変えます。生活習慣病と

深い因果関係がある内臓脂肪も減らします。十数年前、UCP1

を活性化する食品成分はないものかと、他の先生と一緒に研

究を始めました。その過程で、フコキサンチンの特性を発見した

のです」。

 この研究では数多くの食品成分を調べた。しかし、決定的な

ものがなかなか出てこなかった。終盤、フコキサンチンを調べた

宮下教授は、その化学構造に着目した。バターの黄色い成分

など、UCP1を活性化させる他の物質と構造が似ていたのだ。

そこで、フコキサンチンを含む褐藻の一種・ワカメをラットに投

与する実験を開始。初回、粉末状のワカメではうまくいかなか

ったが、ワカメから抽出したフコキサンチンを投与すると、ラット

の内臓脂肪にUCP1が発現した。

 「脂肪には白色脂肪と褐色脂肪があり、UCP1は本来、褐色

脂肪だけに現れます。それが白色脂肪である内臓脂肪に現れた。

世界初の現象でした」。宮下教授がこの

結果を発表すると、欧米では大きな話題

となり、CNNなどのメディアは海を渡って

取材にやって来た。その後、脂肪のメカ

ニズムの研究者は、白色脂肪が褐色脂

肪化することを示す論文を発表。数年後、

ロシアでは、夕食後、約95 k g の白人

女性が2.4mgのフコキサンチンを摂取

する実験を実施。4週間後に体重が1割

弱減り、体脂肪も同程度減少したと報告

された。

 フコキサンチンは、筋肉の代謝も活発

化させ、その際に糖をすごく使うことも

わかっている。糖も活発に代謝してくれる

特性から、肥満や内臓脂肪が深く関わって

いるⅡ型糖尿病の予防にも役立つとの期待

も高まっている。健康志向にフィットする

フコキサンチンを摂取しやすい形にしよう

と、宮下教授は、函館市の企業らが参画

する「函館マリンバイオクラスター」事業

でサプリメントの商品化をリードした。

フコキサンチンの弱点は、分解を受け

やすく、取扱いが難しい点。連携企業との

共同開発で、フコキサンチン抽出物を

粉末化し、室温で1年間の安定性を維持

できる製法を確立した。

 フコキサンチンの研究は、内外の大学、

研究機関、企業などでも進んでいる。

「いろいろな研究者が疑って調べたり、

企業が可能性を検証したり。そのような

蓄積があってこそ、体系は確立されます」。

しかし、宮下教授には、気がかりなこともある。フコキサンチンを

抽出するための褐藻の供給方法だ。幸運なことに、藻類は地球上

で最も繁栄している種だが、天然資源のために乱獲すると枯渇

し、海の砂漠化、魚の減少を招く。「私は主に函館沿岸で獲れる

アカモク、昆布などを使っています。地域の一次産業をサポート

する意味でも、資源の持続的生産や保護ができるモデルを作ら

なければと考え、三陸沿岸域の取り組みを参考にするなど、検証

を重ねています」。

 近年は、ある企業との間で、植物プランクトンの陸上での

効率的な培養法の研究も進めている。企業と連携することで、

新たな視点を獲得でき、それが研究を広げ、深めていく。また、

本学COI『食と健康の達人』拠点に海藻の油を作ってもらい、

うまみ成分や風味成分の抽出と分析なども始めている。「ナッツ

やオリーブ、アマニの油などと同じように、食卓で食べてもらえる

油を作れないかと。おいしくて、できれば、体にこんな風に良い

機能があると謳えるものにしたい。私の個人的な趣味も兼ねた

楽しい研究です」。

欧米メディアも注目した、フコキサンチンの研究成果

大学院水産科学研究院 海洋応用生命科学部門 生物資源化学分野 教授、

農学博士

Kazuo Miya sh i t a宮下 和夫食品科学水産化学

1979年、東北大学農学部食糧化学科卒業。85年、同専攻博士課程修了後、本学水産学部水産化学科助手。

その後、本学水産学部助教授、本学大学院水産科学研究科教授を経て、05年より現職。この間、米国農務省北部

研究所に客員研究員として勤務。公益社団法人日本油化学会会長。

褐藻に含まれる赤い色素、フコキサンチンが脂肪を燃やす。宮下教授がそのメカニズムを世界で初めて突き止め、発表すると、肥満に悩む欧米で大々的に報じられた。内外でこの分野に挑む研究者、企業が増加する中、2013年、宮下教授は函館市の産学官グループを率いてサプリメントを商品化。この領域のフロントランナーである。

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 「電気のないセネガルの農村に、太陽光発電を利用した揚水ポンプを設置したいのだが、現地の事情を把握するために専門家のご協力を得たい」。北海道内のある中小企業から、池見助教は要請を受けた。現地の低所得者の生活改善を目的としたその事業は、セネガルの農村での活動経験もある池見助教にとって、非常に関心の高いものであった。現在は、現地事情に即したコンサルティング、現地住民とのコミュニケーションのコーディネート、経済効果の評価などを行っている。 住民組織論を専門とする池見助教は、現地住民との信頼関係の構築を重視する。優れた技術を導入しようとしても、住民の理解なしでは成功しない。「誰に最初に話をするかが大切です。村長か、自治体か、住民組織か。何が良い方法かはその都度違いますが、快く受け入れてもらえるコミュニケーションは不可欠です」。

また、現地のニーズとのマッチングも深く検討。地域特有のストーリーを事業企画に盛り込む、あるいは、企業の技術を本当に必要とする地域を特定する。それらも専門領域だ。 池見助教は、本学工学部の船水尚之教授を中心とする「資源回収型サニテーションモデル開発研究」にも参加。工学、農学、保健学、国際政治学など多彩な分野の研究者と連携し、ブルキナファソにコンポストトイレを導入する活動などに尽力していた。また、「北海道大学アフリカ研究会」の一員としても、アフリカ諸国の研究機関との国際共同研究などを進め、全学に在籍するアフリカからの留学生とも交流を深めている。 教育・研究を続けながら、道内企業とアフリカをつなぐ役割も積極的に担っている池見助教。いつか、教え子が海を渡り、アフリカで起業してくれたらという願いもあるそうだ。

大学院経済学研究科 助教、博士(経済学)

Mayu Ik emi池見 真由アフリカ学/経済学

大学院理学研究院助教、博士(科学)

Hiroyuk i Yo sh ida吉田 紘行電子物性物理学

アフリカと北海道の架け橋となりソーシャルビジネスを推進青年海外協力隊(セネガル)、国際協力銀行(南アフリカ)、本学ルサカオフィス(ザンビア)。アフリカ各国での活動経験が豊富な池見助教は、2015年に本学経済学研究科に着任。道内企業と連携しながらセネガルの農村に揚水ポンプを設置する事業に携わるなど、ソーシャルビジネスの推進に情熱を注いでいる。

 通常の金属では、電子はその中を自由に動き回ることができる。しかし電子の密度が高い物質の場合、電子同士が反発しあうクーロン力の影響が強くなり、個々の電子は自由に振る舞えなくなる。「強相関電子系」と呼ばれるこれらの物質の研究は、世界中で盛んに行われており、吉田助教もその魅力に心惹かれた一人だ。「通常ではあり得ない現象が起こるのが、強相関電子系のおもしろさ。超伝導も、その現象の一つなんですよ」。 超伝導体には、電気抵抗がゼロで、内部に磁束が侵入しないという特性があり、リニアモーターカーや医療用MRIなどに応用されている。しかし室温で超伝導を示す物質は、多くの研究者が100年以上挑み続けてきた現在も発見されていない。「これが見つかれば、この世界は一変するでしょう。古くは青銅の発見など、様々な新物質の開発とともに文明が発展してきたよう

に。もちろん私も、物質をつくる者として、超伝導の分野でブレイクスルーを起こしたいと思っています」。 現在、世界最高の転移温度は約マイナス70℃で、既存のアプローチではその更新が頭打ちになっている。そこで吉田助教は新たな手法にも取り組んでいるそうだが、“物質づくり”にコツはあるのだろうか。「スタンダードな方法では、新しいものはなかなか生まれません。直感力やセンスも必要でしょう。そしてやはり、忍耐強くトライ・アンド・エラーを繰り返すことです」。 そうして価値ある物質と出会えたときの喜びは格別だという吉田助教は、物質のみならず、企業との出会いも求めている。「たとえば、電子材料メーカーさんなどのニーズに合わせて物質をつくることは可能です。ぜひタッグを組んで研究してみたいと思っています」。

めざすは室温超伝導世界が一変するような物質を探索中慶應義塾大学から東大大学院へ進み、日本学術振興会の特別研究員などを経て、2014年から本学で研究・指導を行っている吉田助教。「超伝導」に関わるものなど、「物理と化学を用いて新しい物質をつくりだす」という多様で先進的な研究に取り組み、学内外から強い期待を寄せられている若手研究者だ。

未来創出に挑む、北海道大学の研究者たち

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大学院工学研究院准教授、博士(理学)

Ya suh id e Inokuma猪熊 泰英反応有機化学

北方生物圏フィールド科学センター助教、博士(農学)

Tomoh i ro Mi tan i三谷 朋弘畜産学

 「天然に勝る分子を自分の手でつくることこそ、有機化学者の醍醐味です」。そう語る猪熊准教授が今まさにつくろうとしている「カルボニルのひも」は、ポリケチドの生合成過程で生まれるポリケトン鎖(カルボニル基がひも状に結びついた化合物)から発想された。「誤解を恐れずに言えば、ポリケチドは分子の世界におけるiPS細胞のような存在。iPS細胞があらゆる細胞へ分化するように、ポリケトン鎖もフラボノイドやカテキンなど多彩な構造を持つポリケチドに姿を変えます」。猪熊准教授は天然のポリケトン鎖の構造をアレンジし、人間が七変化を自在に操れる分子を生み出そうとしているのだ。 きっかけは、東大時代に取り組んだ「結晶スポンジ法」だった。これは、分子構造を決定する単結晶X線構造解析の対象物を大きく広げる手法で、『ネイチャー』誌に論文が掲載されると、

世界各国の数百に上る企業から問い合わせが殺到。この手法で各企業とともに多様な分子構造を解き明かすなか、ポリケチドと運命的に出会ったのだ。「ポリケトン鎖はすぐに姿を変えるので構造解析が厄介である一方、その捉えどころのなさにワクワクし、自分でもつくってみたくなったんです」。 猪熊准教授はなぜ、この化合物を科学的な正式名称ではなく「カルボニルのひも」と呼ぶのか。「これは極小世界における『ひも』で、これでかごを編んで何かを入れたり、ロープにして何かを引っ張ったりなど、アイディア次第で様々な用途がありそうだということを、学生や企業の方にわかりやすく提示したかったからです」。 初期段階の生成に成功した猪熊准教授は、対話の相手を広く求め、応用の可能性を探っていきたいという。果たしてこのひもは、どんな未来を手繰り寄せるのだろうか。

七変化する「カルボニルのひも」はどんな未来を手繰り寄せるのか東大大学院講師を経て、2016年、本学に着任した猪熊准教授は、若手有機化学者の注目株。東大では藤田誠教授の下、結晶化しない分子のX線構造解析を可能にする「結晶スポンジ法」の確立に尽力。本学着任を機に、同研究を端緒とした画期的な化合物「カルボニルのひも」の生成に取り組んでいる。

 乳牛の飼料は、粗飼料と濃厚飼料に大別される。前者は生草や干し草、サイレージなどの繊維質が豊富な飼料で、後者は穀物に大豆の油粕など、乳量増加につながる栄養分を多く含んだ飼料だ。北海道の酪農では現在、両者半々の給与が主流だが、三谷助教はそこに問題を感じている。濃厚飼料は9割以上を輸入に頼らざるを得ず、調達面での不安がつきまとうからだ。「北海道の広い土地を活用し、自前の粗飼料を主体にした持続性のある酪農をするべきで、それが私の研究の根本的なテーマです」。 三谷助教は道内を巡って約200戸の酪農家から生乳サンプルを集め、飼料と乳成分の関係を解き明かしてきた。「思っていた以上にエサの影響が強く出ました」。そして現在、次の段階として、成分と味わいを紐づける官能的評価に着手している。「味なら

甘みやコク、香りにも草っぽさなど多くの要素があります」。 では、「おいしい牛乳」の定義は可能なのだろうか。「現状では先ほど言った各要素のバランスがよく、酸化臭などの異常な風味がないという言い方になるでしょう。でも、それでは味気ないですよね」と、自称“牛乳ソムリエ”の目が輝いた。「フランスのAOCというワインの認証制度は有名ですが、乳製品にもAOCがあって、産地、製法、味を保証しています。北海道でも『この地域で搾られた、こんな味の牛乳』という多様性があったら、おもしろいと思いませんか」。 地場で収穫した飼料の比率を高めれば、必然的に各地で特徴的な味わいの牛乳が生まれる。そこに付加価値をもたせ、嗜好品のようにも楽しめる牛乳の新たなステージへ。三谷助教は今、酪農家や乳製品メーカーなど、多くのパートナーを求めている。

フランスワインのAOCのように、産地別の「おいしい牛乳」を求めて京都に生まれ、大学入学と同時に北海道へ。以来約20年、本学で畜産の研究を進めてきた三谷助教。乳牛に与える飼料と牛乳の味との関係を追求している。土・草・家畜の循環を基盤とした、持続性の高い酪農をめざして。それは北海道から「おいしい牛乳」にパラダイムシフトを起こす道のりでもある。

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地域のために産学でできること

株式会社日立製作所

研究開発グループ 基礎研究センタ

シニアプロジェクトマネージャ

日立北大ラボ長

Masano r i Yo sh ino

吉野 正則

 COI(センターオブイノベーション)プログラムは、文部科学省によるCO I STREAM(革新的イノベーション創出プログラム)事業に基づき科学技術振興機構が実施しています。COI STREAMのコンセプトは、「10年後、どのように『人が変わる』のか、『社会が変わる』のか、その目指すべき社会像を見据えたビジョン主導型の研究開発プログラム」で、既存概念を打破し、革新的なイノベーションのプラットフォームの整備を目的として

います。北海道大学は、同事業のビジョンの一つである「少子高齢化先進国として持続生の確保」を実現するため、イコールパートナーシップによる「一つ屋根」の下、自治体・筑波大学・北里大学・企業が集まった『食と健康の達人』拠点です。みんなで集まり、考え、「プレママから子育て、高齢者、病後も健康で笑顔あふれる幸せ生活」をEmpathy(共感)で創生する「暮らしの社会イノベーション」の場として活動を展開しています。

 2014年から、日立製作所は北海道大学と一緒に新しいプロジェクト、COI-T(センターオブイノベーション・トライアル。2015年COI STREAMに昇格)を推進しています。北大COIでは、北大が「食と健康の達人拠点」となり、健康で笑顔のあふれる生活を実現していこうというスローガンを掲げて、リアルな

結びのコミュニティを各地域に作る試みを展開しています。このために大学や企業ができることは何か、社会のニーズは何かということを産学連携で考えています。これまでの産学連携では、企業が大学にある何かを使って、商品化・サービス化するという取組みが一般的でした。しかし、商品やサービスのもとになる種を産学で一緒に探すという考え方に変わりつつあります。2016年、日立製作所は「フード&メディカルイノベーション国際拠点(FMI国際拠点)」に日立北大ラボを開設しました。FMI国際拠点では、複数の企業が集まり、それぞれがやりたいことを研究し、他社や地域との交流を行っています。企業研究者にとって、このようなオープンイノベーションの場は大きな魅力です。大学も企業も変わっていかなければなりません。自分たちが変わることができる場を北大COIやFMI国際拠点を通じて作っていきたいと考えています。

産学・地域協働を支える北海道大学の施設とシステム

 FMI国際拠点は、「食」と「健康・医療」分野の先進的な研究の融合を図りながら、産官学と市民が「一つ屋根の下」に集う「未来社会の創造拠点」となることを目指して運営をしています。FM Iの大きな特徴は、社会実装という目的を持った企業の研究施設と共に、市民も利用できる空間が用意されていることです。FMI国際拠点はCOIプログラムの実践拠点でもあります。現在、FMI国際拠点に多くの企業が入居し研究活動を展開しています。市民も自由に参加でき、国際拠点として、目指すビジョンの実現とイノベーションの創出に向けて取り組んでいます。

エントランスホール

FMI外観 フューチャールーム 交流スペース DEN

多目的ホール

オープンカフェ

ディスカッションプラザ

「医食同源」をイノベートする。 F M I Food & Medical Innovation

Empathyで創生する北大COI『食と健康の達人』拠点 C O I c e n t e r o f i n n o v a t i o n

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博士の社会活躍推進を目的に若手研究者と企業が交流するための登録制Webシステムです。研究者は自らの専門性やアピールポイント、企業は企業研究や求める人物像を発信し、Web上で相互にコミュニケーションを行うことができます。

産業界と大学院生をつなげます人材育成本部

企業約15、6社、若手博士研究者(DC、PD)約30~40名が一堂に会し、Face to Faceの直接的な情報交換を行います。参加企業は自社の新事業、新規研究テーマ、博士人材への思いなどメッセージをショートトーク等により若手博士研究者へ発信し、若手博士研究者も自らの人となりや研究スキルをポスターで発表、企業担当者にアピール、密度の高いマッチングを担います。ここからインターンシップや実際の就職につながった例は数知れません。

 2008年4月、北海道大学にNittoの北海道研究所を設立してから17年度で丸10年となります。15年春には、「フード&メディカルイノベーション国際拠点」竣工とともに移転することができました。現在は、核酸医薬とドラッグデリバリーを技術の中心に置いて、北海道大学に開設した連携講座と共に難易性疾患治療薬の研究開発に取り組んでいます。 昨年秋には、実用化に向けて加速するため、肝硬変の開発製剤を米国大手製薬メーカーにライセンスアウトする選択をしました。連携講座と進めている次の難治性疾患治療薬への関心も高まっています。連携講座とNittoのお互いの強みを活かす産学連携の形と、そこで垣根なく熱く議論するヒトとヒトとの関係が、社会実装に繋がる新しい技術を生み出す原動力となると大きな期待を寄せています。 産学・地域協働を支える北海道大学には、あらゆる分野で最先端の研究が拡がっています。企業にとっては、まだ踏み込めていない「知」に接する醍醐味があります。この機会を最大限生かして、北海道大学とNittoらしいイノベーションの創出へのチャレンジを続けていきたいと思っています。 2018年に100周年を迎えるNittoは、「Innovation for Customers」をブランドスローガンに、70を超える業界に13,500以上の製品をお届けすることを通じて様々な社会と繋がっています。「誰のためのイノベーションか」、「誰が喜ぶのか、誰を喜ばせたいのか」を何度も振り返ることで壁にぶつかっても諦めずにイノベーションを創造する強い思いに繋げています。 IT技術の進歩で世界中の人々が一瞬にして繋がる世界がすでに実現していますが、北海道大学の持つ多様性、そこに集う人々の多様性、地域特有の多様性というエネルギーを現場で体感できる贅沢は何物にも代えがたいと感じています。この様々なエネルギーを、イノベーションへの思いのもと産学の場で結実させ、その成果が社会実装されることが、社会、大学、企業にとって重要であると考えています。

藤岡 誠二Se i j i Fu j i oka

日東電工株式会社執行役員

メディカル事業部長

核酸医薬事業統括部長

イノベーション創出へのチャレンジ

企 業 の 視 点

Hi-System 赤い糸会&緑の会

Hi-Systemへは人材育成本部ホームページよりアクセス

http://www2.synfoster.hokudai.ac.jp/

Hi-Systemログインページへ

左バナーより

・イベントのお知らせ

・企業情報や就職情報の閲覧

・博士研究者から企業への自己PRを発信

・博士に対する企業の期待を聞く

・博士の力を企業にアピールする

・Face to Faceの濃密なマッチング

博士研究者の社会活躍をサポートするWebサイト

北海道大学人材育成本部は、社会で活躍できる若手博士研究者・女性研究者を育成、支援する組織です。産業界と北大の大学院生をつなげるための様々な事業を展開しています。企業の皆様もまずはぜひHi-Systemにご登録ください。

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 平成28年1月にグローバルファシリティセンターが設置され、全学的な装置予約システムの整備、装置リユース・リサイクルフローの確立、サポート体制の強化、産学・地域連携等を進めています。 オープンファシリティ事業では平成27年度の年間利用者延べ人数は2.5万人(うち学外利用者数1.3千人)に上り、登録台数は153台に至っています(平成28年12月)。また、機器分析受託事業においては年間1万件程度(うち学外1千件)の依頼を受けており、独自の自立経営フローを確立しています。

 「設備市場事業」では流通機器に価格を設定することで機器の流通を促進する仕組みを整備しています。競争的研究費改革と連携し、出品者側に金銭的および研究スペースの確保といったインセンティブを与えるとともに、購入者側にも研究費の節約・効率的な研究環境の整備による研究時間の確保というメリットを与え、機器所有者への意識改革を進める仕組みを整備しました。(平成30年度までは学内限定)

 「試作ソリューション事業」では大学の工作系技術職員の高いスキルと大学ならではのノウハウを共用化し、学外からの研究用試作品の作成依頼を大学が受注することで、対価を受け取るスキームを整備し、平成28年6月に日本軽金属株式会社と協働で開始しました。

 「人材育成事業」では技術支援人材や留学生を含む学生の育成について複数のプログラムを実施しています。 始まったばかりの事業ですが、GFCが主催するシンポジウムや学外の展示会を通じ、今後は学内外へ浸透させ、着実に実績を上げていきます。

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産学・地域協働を支える北海道大学の施設とシステム

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 北大リサーチ&ビジネスパーク(北大北キャンパスエリア)内にある3つの研究棟(創成科学研究棟、北キャンパス総合研究棟3号館および6号館)には、大小様々なレンタルラボスペース「オープンラボラトリー」が設置されています。OAフロアの居室仕様、ウェットタイプのラボ仕様、動物飼育・実験が出来る施設など多彩な分野の研究開発に対応可能です。北海道大学の研究者と共同研究する企業の方も入居できます。 北大リサーチ&ビジネスパークには様々な研究機関が集積しており、産学・地域協働推進機構や創成研究機構 研究支援室などのサポート組織、食堂・売店などの福利厚生も充実しています。また、オープンファシリティの最先端装置が利用できます。

設備。環境。立地。共同研究に最適です。企業の方も利用できます!

LEDとは

札幌・北海道の皆様と一緒に北海道大学の教育・研究・キャンパスの新たな魅力をつくり世界に伝えていくためのボトムアップ型の広報チームです。創基150周年を迎える2026年を見据えて、もっと愛され、応援される、地元の北海道大学になることを目指します。北海道大学の教職員や学生だけではなく、地域の皆様にも参加していただける様々な仕組みをつくっていきます。あなたも一緒に札幌と北海道を盛り上げましょう。

〒001-0021 札幌市北区北21条西10丁目 北海道大学 創成研究機構 研究支援室TEL:011-706-9274 https://www.cris.hokudai.ac.jp/cris/led/

LED:戦略的広報による地域連携促進チーム

Team f o r Lo ca l Engag emen t and Deve l opmen t v i a St ra t e g i c Pub l i c i t y

o f Hokka ido Un iv e r s i t y

競争的資金

産学連携

創成科学研究棟

2,300円/月・㎡

3,000円/月・㎡

利用料金3号館

2,200円/月・㎡

3,000円/月・㎡

6号館

3,400円/月・㎡

3,400円/月・㎡

北海道大

学と地

域をつなぐ活動を照ら

します!

広報・アウト

リーチ支援/資金獲得支

援/組織

間の調整窓口

企業

財団

NPO 法人

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北海道大学の人々

創成科学研究棟 北キャンパス総合研究棟3号館  北キャンパス総合研究棟6号館

テラシタイ企業様(てらし隊?!)募集中

お問合せ先

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多彩な分野に対応できるオープンラボラトリー

キャンパス内に構える研究拠点

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〒001-0021 札幌市北区北21条西10丁目 TEL 011-706-9274 FAX 011-706-9275http://kkyoka.oeic.hokudai.ac.jp/

北海道大学

大学力強化推進本部 研究広報タスクフォース

理(ことわり)の社会実装を目指して

S t r a t e g y f o r M a k i n g I n n o v a t i o n

《表紙写真》グリーンランド北部にあるカナック村にて。夏になり海を覆っていた氷が融けて、10か月ぶりに入港する輸送船を待ち遠しく見守る村人達。(撮影:低温科学研究所 准教授 杉山 慎)