国土技術政策総合研究所資料 no.714 土木研究所資料 no ·...

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平成 25 年 3 月 国土技術政策総合研究所資料 No.714 TECHNICAL NOTE of National Institute for Land and Infrastructure Management, No.714 and Public Works Research Institute, No.4254 Ma r c h 2013 道路環境影響評価の技術手法 (平成 24 年度版) 国土交通省 国土技術政策総合研究独立行政法人 土木研究所 National Institute for Land and Infrastructure Management Ministr y of Land, Infrastructure, Trans p ort and Tourism, Ja pan Environment Impact Assessment Technique for Road Project Edition of FY 2012 Incor porated Administrative Agency Public Works Research Institut e ISSN 1346-732 8 国総研資料第 714 ISSN 0 386-587 8 土木研究所資料第 4254 平成 25 3 No.4254

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  • 平成25年3月

    国土技術政策総合研究所資料 No.714

    TECHNICAL NOTE of National Institute for Land and Infrastructure Management, No.714

    and Public Works Research Institute, No.4254

    March 2013

    道路環境影響評価の技術手法 (平成 24 年度版)

    国土交通省 国土技術政策総合研究所

    独立行政法人 土木研究所 National Institute for Land and Infrastructure Management Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, Japan

    Environment Impact Assessment Technique for Road Project (Edition of FY 2012)

    Incorporated Administrative Agency Public Works Research Institute

    I S S N 1 3 4 6 - 7 3 2 8国総研資料第 714 号I S S N 0 3 8 6 - 5 8 7 8土木研究所資料第4254号

    平 成 2 5 年 3 月

    土 木 研 究 所 資 料 No.4254

  • 国土技術政策総合研究所資料 第 714 号 Technical Note of NILIM No.714

    土 木 研 究 所 資 料 第 4254 号 Technical Note of PWRI No.4254

    2013 年 3 月 * March* 2013

    道路環境影響評価の技術手法

    (平成 24 年度版)

    国土技術政策総合研究所 環境研究部 道路環境研究室

    緑化生態研究室

    独立行政法人土木研究所 地質・地盤研究グループ

    地質チーム

    土質・振動チーム

    施工技術チーム

    Environment Impact Assessment Technique for Road Project

    (Editon of FY 2012)

    Environment Department, NILIM

    Road Environment Division

    Landscape and Ecology Division

    Geology and Geotechnical Research Group, PWRI

    Geology Research Team

    Soil Mechanics and Dynamics Research Team

    Construction Technology Research Team

    概要

    本資料は、道路事業において環境影響評価を行う場合の一般的な技術手法を示したものであ

    る。事業特性の把握、地域特性の把握、調査、予測、環境保全措置の検討及び評価を行う場合の

    具体的手法を示し、その内容に解説を加えた。

    平成 24 年度版においては、「道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調

    査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に

    関する指針等を定める省令」 (平成 10 年建設省令第 10 号、 改正:平成 25 年国土交通省令第

    号)の改正及び最新の科学的知見を反映した改定を行った。

    キーワード:環境影響評価技術、道路事業、平成 24 年度版

    Synopsis

    This document introduces general technological method for performing environment impact

    assessments of road project. The document introduces specific method used to clarify project

    characteristics and clarify regional characteristics induct surveys, make prediction, study

    environmental conservation measures, and perform assessment. The document presents to

    commentaries on its contents.

    In the edition in FY 2012, the document in revised based on revision of ministerial order for

    Environment impact assessment of road project and latest knowledge on each assessment item.

    Key Words:Planning Stage Consideration, EIA, Road Project, FY 2012 Edition

  • 目 次

    (「国総研資料」は国土技術政策総合研究所資料第第714号、「土研資料」は土木研究所資料第4254号)

    執筆者一覧

    はじめに(本資料の使い方と構成)

    序.平成24年度版の改定の経緯(国総研資料)

    Ⅰ 配慮書段階の手法

    1.計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通)(国総研資料)

    Ⅱ EIA(方法書以降の手続に係る環境影響評価)の手法

    2.大気質

    2.1 自動車の走行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質(国総研資料)

    2.2 自動車の走行に係る一酸化炭素及び二酸化硫黄(国総研資料)

    2.3 建設機械の稼働に係る粉じん等(国総研資料)

    2.4 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る粉じん等(国総研資料)

    2.5 建設機械の稼働に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質(国総研資料)

    2.6 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質(国総研資料)

    3.強風による風害

    3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害 (国総研資料)

    4.騒 音

    4.1 自動車の走行に係る騒音(国総研資料)

    4.2 建設機械の稼働に係る騒音(国総研資料)

    4.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る騒音 (国総研資料)

    5.低周波音

    5.1 自動車の走行に係る低周波音(国総研資料)

    6.振 動

    6.1 自動車の走行に係る振動(国総研資料)

    6.2 建設機械の稼働に係る振動(国総研資料)

    6.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る振動(国総研資料)

    7.水 質

    7.1 休憩所の供用に係る水の濁り及び水の汚れ(国総研資料)

  • 7.2 休憩所の供用に係る水の富栄養化(国総研資料)

    7.3 水底の掘削等に係る水の濁り(国総研資料)

    7.4 切土工等、工事施工ヤードの設置、及び工事用道路等の設置に係る水の濁り(国総研資料)

    8.底 質

    8.1 汚染底質の掘削等に係る底質(土研資料)

    9.地形及び地質

    9.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る地形及び地質(土研資料)

    9.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る地形及び地質(土研資料)

    10.地 盤

    10.1掘割構造物、トンネル構造物の設置に係る地盤(土研資料)

    10.2掘削工事、トンネル工事の実施に係る地盤(土研資料)

    11.土 壌

    11.1汚染土壌の掘削等に係る土壌(土研資料)

    12.日照阻害

    12.1 道路(嵩上式)の存在に係る日照阻害(国総研資料)

    13.動物、植物、生態系

    13.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る「動物」、「植物」、「生態系」(国総研資料)

    13.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る「動物」、「植物」、「生態系」(国総研資料)

    13.3 建設機械の稼働に係る動物(国総研資料)

    14.景 観

    14.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る景観(国総研資料)

    14.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る景観(国総研資料)

    15.人と自然との触れ合いの活動の場

    15.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    (国総研資料)

    15.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    (国総研資料)

    15.3 自動車の走行に係る人と自然との触れ合いの活動の場(国総研資料)

    16.廃棄物等

    16.1 切土工等又は既存の工作物の除去に係る廃棄物等(土研資料)

  • 執筆者一覧

    序.平成 24 年度版の改定の経緯 国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 井上隆司

    室 長 角湯克典 前 室 長 曽根真理

    Ⅰ 配慮書段階の手法

    1.計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通) 国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 井上隆司

    研 究 官 山本裕一郎 室 長 角湯克典 前 室 長 曽根真理

    Ⅱ EIA(方法書以降の手続に係る環境影響評価)の手法

    2.大気質

    2.1 自動車の走行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 土肥 学 研 究 官 神田太朗 室 長 角湯克典

    2.2 自動車の走行に係る一酸化炭素及び二酸化硫黄

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 土肥 学 研 究 官 神田太朗 室 長 角湯克典

    2.3 建設機械の稼働に係る粉じん等

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 吉永弘志 室 長 角湯克典

    2.4 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る粉じん等

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 吉永弘志 室 長 角湯克典

    2.5 建設機械の稼働に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    2.6 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    3.強風による風害

    3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 土肥 学 研 究 官 神田太朗

  • 4.騒 音

    4.1 自動車の走行に係る騒音

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    4.2 建設機械の稼働に係る騒音

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 吉永弘志 室 長 角湯克典

    4.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る騒音

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    5.低周波音

    5.1 自動車の走行に係る低周波音

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    6.振 動

    6.1 自動車の走行に係る振動

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    6.2 建設機械の稼働に係る振動

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 主任研究官 吉永弘志 室 長 角湯克典

    6.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る振動

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 吉永弘志

    7.水 質

    7.1 休憩所の供用に係る水の濁り及び水の汚れ

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎

    7.2 休憩所の供用に係る水の富栄養化

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎

    7.3 水底の掘削等に係る水の濁り

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎

  • 7.4 切土工等、工事施工ヤードの設置、及び工事用道路等の設置に係る水の濁り

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎

    8.底 質

    8.1 汚染底質の掘削等に係る底質

    独立行政法人土木研究所地質・地盤研究グループ 地質チーム 主任研究員 品川俊介 特命事項担当(地質リスク) 阿南修司 9.地形及び地質

    9.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る地形及び地質

    9.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る地形及び地質

    独立行政法人土木研究所地質・地盤研究グループ 地質チーム 主任研究員 品川俊介 上席研究員 佐々木靖人

    10.地盤

    10.1 掘割構造物、トンネル構造物の設置に係る地盤

    10.2 掘削工事、トンネル工事の実施に係る地盤

    独立行政法人土木研究所地質・地盤研究グループ 土質・振動チーム 上席研究員 佐々木哲也

    11.土壌

    11.1 汚染土壌の掘削等に係る土壌

    独立行政法人土木研究所地質・地盤研究グループ 地質チーム 主任研究員 品川俊介 特命事項担当(地質リスク) 阿南修司

    12.日照阻害

    12.1 道路(嵩上式)の存在に係る日照阻害

    国土技術政策総合研究所環境研究部 道路環境研究室 室 長 角湯克典 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎

    13.動物、植物、生態系

    13.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る「動物」、「植物」、「生態系」

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 研 究 官 上野裕介 前 室 長 松江正彦 前 研 究 官 園田陽一

    道路環境研究室 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎 室 長 角湯克典 前 室 長 曽根真理

  • 13.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る「動物」、「植物」、「生態系」

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 研 究 官 上野裕介 前 室 長 松江正彦 前 研 究 官 園田陽一

    道路環境研究室 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎 室 長 角湯克典 前 室 長 曽根真理

    13.3 建設機械の稼働に係る動物

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 研 究 官 上野裕介 前 室 長 松江正彦 前 研 究 官 園田陽一

    道路環境研究室 主任研究官 井上隆司 研 究 官 山本裕一郎 室 長 角湯克典 前 室 長 曽根真理

    14.景 観

    14.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る景観

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 主任研究官 小栗ひとみ 室 長 栗原正夫

    14.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る景観

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 主任研究官 小栗ひとみ

    15.人と自然との触れ合いの活動の場

    15.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 主任研究官 小栗ひとみ

    15.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 主任研究官 小栗ひとみ

    15.3 自動車の走行に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    国土技術政策総合研究所環境研究部 緑化生態研究室 室 長 栗原正夫 主任研究官 小栗ひとみ

    16.廃棄物等

    16.1 切土工等又は既存の工作物の除去に係る廃棄物等

    独立行政法人土木研究所地質・地盤研究グループ 施工チーム 上席研究員 宮武裕昭 前上席研究員 小橋秀俊

  • はじめに(本資料の使い方と構成)

    道路事業の環境影響評価は、

    ・「環境影響評価法」(平成 9 年法律第 81 号、最終改正:平成 23 年法律第 27 号)

    ・「道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うた

    めの手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成 10

    年建設省令第 10 号、最終改正:平成 25 年国土交通省令第 28 号)

    ・「道路事業に関する環境影響評価の実施について」(平成 11 年建設省道環発第 20 号、最終改正:

    平成 25 年国道環発第 39 号国土交通省道路局長)

    等に基づいて行うこととされている。

    「道路環境影響評価の技術手法」は、上記の規定に則り、以下に示す項目等について道路事業の環境

    影響評価を行う場合の一般的な手法とその解説を、現在得られる最新の科学的知見に基づいてとりまと

    めたものであり、事業者が実務の上で広く活用していただくことを考えている。

    ただし、これらの手法等はあくまで一例であり、実際には各事業者が対象道路事業毎にこれらの手法

    等を参考としつつ、適切な手法等を選択することが望ましい。

    1)配慮書段階の計画段階配慮事項

    1.計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通) 2)EIA*(方法書以降の手続に係る環境影響評価)の参考項目

    全ての参考項目について記載している。なお、参考手法より簡略な手法及び参考手法より詳細な

    手法についても、現在の知見により考えられる手法を記載している。 2.大気質

    2.1 自動車の走行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 2.3 建設機械の稼働に係る粉じん等 2.4 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る粉じん等

    4.騒音

    4.1 自動車の走行に係る騒音 4.2 建設機械の稼働に係る騒音 4.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る騒音

    6.振動 6.1 自動車の走行に係る振動 6.2 建設機械の稼働に係る振動 6.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る振動

    7.水質 7.1 休憩所の供用に係る水の濁り及び水の汚れ

    9.地形及び地質 9.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る地形及び地質 9.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る地形及び地質

    12.日照阻害 12.1 道路(嵩上式)の存在に係る日照阻害

    13.動物、植物、生態系 13.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る「動物」、「植物」、「生態系」 13.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る「動物」、「植物」、「生態系」

  • 14.景観 14.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る景観

    15.人と自然との触れ合いの活動の場 15.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    16.廃棄物等 16.1 切土工等又は既存の工作物の除去に係る廃棄物等

    3)EIA*の参考項目以外の項目

    参考項目以外の項目について、現在の科学的知見に基づき、一般的な手法等の示し得るものを記

    載している。 2.大気質

    2.2 自動車の走行に係る一酸化炭素及び二酸化硫黄 2.5 建設機械の稼働に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 2.6 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質

    3.強風による風害 3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害

    5.低周波音 5.1 自動車の走行に係る低周波音

    7.水質 7.2 休憩所の供用に係る水の富栄養化 7.3 水底の掘削等に係る水の濁り 7.4 切土工等、工事施工ヤードの設置、及び工事用道路等の設置に係る水の濁り

    8.底質 8.1 汚染底質の掘削等に係る底質

    9.地形及び地質 道路(地下式)の存在に係る地形及び地質(9.1 に含む)

    10.地盤 10.1 掘割構造物、トンネル構造物の設置に係る地盤 10.2 掘削工事、トンネル工事の実施に係る地盤

    11.土壌 11.1 汚染土壌の掘削等に係る土壌

    12.日照阻害 換気塔等の大規模施設の設置に係る日照阻害(12.1 に含む)

    13.動物、植物、生態系 道路(地下式)の存在に係る「動物」、「植物」、「生態系」(13.1 に含む) 13.3 建設機械の稼働に係る動物

    14.景観 14.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る景観

    15.人と自然との触れ合いの活動の場 15.2 工事施工ヤードの設置、工事用道路等の設置に係る人と自然との触れ合いの活動の場 15.3 人と自然との触れ合いの活動の場:自動車の走行に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    * Environmental Impact Assessment の略。直訳すると「環境影響評価」だが、通常は方法書以降の手続に係る環境影

    響評価を指す。

  • 今般の改定は、「道路環境影響評価の技術手法」を全面改定するものである。改定前後の対応関係を

    以下に示す。 項目等 改定前 改定後

    Ⅰ配慮書段階の

    手法

    1.計画段階配慮事項(全ての環境要素・影響要因に共

    通) (新規) 国総研資料第 714 号 1.

    EIA(方法書以降の手続に係る環境影響評価)の手法

    2.大気

    2.1 自動車の走行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 国総研資料第 383 号 国総研資料第 714 号 2.1

    2.2 自動車の走行に係る一酸化炭素及び二酸化硫黄 国総研資料第 384 号 国総研資料第 714 号 2.2

    2.3 建設機械の稼働に係る粉じん等 土研資料第 4053 号 国総研資料第 714 号 2.3

    2.4 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る粉じん等 土研資料第 4054 号 国総研資料第 714 号 2.4

    2.5 建設機械の稼働に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 土研資料第 4055 号 国総研資料第 714 号 2.5

    2.6 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る二酸化

    窒素及び浮遊粒子状物質 土研資料第 4056 号 国総研資料第 714 号 2.6

    3.強風

    による

    風害

    3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害

    国総研資料第 385 号 国総研資料第 714 号 3.1

    4.騒音 4.1 自動車の走行に係る騒音 国総研資料第 617 号 国総研資料第 714 号 4.1

    4.2 建設機械の稼働に係る騒音 土研資料第 4112 号 国総研資料第 714 号 4.2

    4.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る騒音 土研資料第 4058 号 国総研資料第 714 号 4.3

    5.低周

    波音

    5.1 自動車の走行に係る低周波音 国総研資料第 387 号 国総研資料第 714 号 5.1

    6.振動 6.1 自動車の走行に係る振動 土研資料第 4059 号 国総研資料第 714 号 6.1

    6.2 建設機械の稼働に係る振動 土研資料第 4060 号 国総研資料第 714 号 6.2

    6.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る振動 土研資料第 4061 号 国総研資料第 714 号 6.3

    7.水質 7.1 休憩所の供用に係る水の濁り及び水の汚れ 国総研資料第 388 号 国総研資料第 714 号 7.1

    7.2 休憩所の供用に係る水の富栄養化 国総研資料第 389 号 国総研資料第 714 号 7.2

    7.3 水底の掘削等に係る水の濁り 国総研資料第 390 号 国総研資料第 714 号 7.3

    7.4 切土工等、工事施工ヤードの設置、及び工事用道路等の

    設置に係る水の濁り 国総研資料第 534 号 国総研資料第 714 号 7.4

    8.底質 8.1 汚染底質の掘削等に係る底質 国総研資料第 391 号 土研資料第 4254 号 8.1

    9.地形

    及び地

    9.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る地形及

    び地質 土研資料第 4062 号

    土研資料第 4254 号 9.1

    9.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る地

    形及び地質 土研資料第 4254 号 9.2

    10.地盤 10.1 掘割構造物、トンネル構造物の設置に係る地盤 土研資料第 4063 号

    土研資料第 4254 号 10.1

    10.2 掘割工事、トンネル工事の実施に係る地盤 土研資料第 4254 号 10.2

    11.土壌 11.1 汚染土壌の掘削等に係る土壌 土研資料第 4064 号 土研資料第 4254 号 11.1

    12.日照

    阻害

    12.1 道路(嵩上式)の存在に係る日照阻害 国総研資料第 392 号 国総研資料第714号 12.1

    13.動

    物、植

    物、生

    態系

    13.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る「動

    物」、「植物」、「生態系」 国総研資料第 393 号 国総研資料第714号 13.1

    13.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る

    「動物」、「植物」、「生態系」 国総研資料第 394 号 国総研資料第714号 13.2

    13.3 建設機械の稼働に係る動物 国総研資料第 395 号 国総研資料第714号 13.3

    14.景観 14.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る景観 国総研資料第 396 号 国総研資料第714号 14.1

    14.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る

    景観 国総研資料第 397 号 国総研資料第714号 14.2

    15.人と

    自然と

    の触れ

    合いの

    活動の

    15.1 道路(地表式又は掘割式、嵩上式)の存在に係る人と自

    然との触れ合いの活動の場 国総研資料第 398 号 国総研資料第714号 15.1

    15.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る

    人と自然との触れ合いの活動の場 国総研資料第 399 号 国総研資料第714号 15.2

    15.3 自動車の走行に係る人と自然との触れ合いの活動の場 国総研資料第 400 号 国総研資料第714号 15.3

    16.廃棄

    物等

    16.1 切土工等又は既存の工作物の除去に係る廃棄物等 土研資料第 4065 号 土研資料第 4254 号 16.1

    国総研資料・・国土技術政策総合研究所資料 土研資料・・土木研究所資料

  • 本資料の構成は以下のとおりである。

    : 「道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合

    理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針

    等を定める省令」の第二十三条別表第二の内容を示す。

    なお、本資料において単に「省令」という場合はこの省令を指す。

    : 「道路事業に関する環境影響評価の実施について(道路局長通達)」

    なお、本資料において「技術指針通達」という場合はこの通達を指す。

    : 各評価項目の調査、予測及び評価のための具体的な技術手法を示す。

    で囲まれた部分

    【解説】 : の内容の詳細な解説。 の内容の全般的な解説や、下線を施

    した部分に関する根拠、データ、留意事項等を含んだ詳細な解説を記した。

    なお、本資料における式番号は、 内では省令の式番号と一致させている。また、

    内では(●.○)、【解説】では(解説●.○)と表記し、各々連番としている(●は章を示す)。

    で囲まれた部分

    で囲まれた部分

  • 平成27年4月22日道路環境研究室

    正誤表

    訂正箇所 (誤) (正)

    国総研資料第 714 号道路環境影響評価の技術手法(平成24年度版)の「はじめに(本資料の使い方と構成)」における正誤表を以下に示します。訂正してお詫び申し上げます。

    訂正箇所 (誤) (正)

    4頁目

    備考備考 が抜けていたため、追加しました。

  • - 序-1 -

    序. 平成 24 年度版の改定の経緯 序 .1 「道路環境影響評価の技術手法」の概要 序 .1.1 環境影響評価制度における技術手法の位置付け

    環境影響評価(アセス)には、制度的根拠により、環境影響評価法(以下、法)に

    基づく「法アセス」、各都道府県・政令市等のアセス条例等(以下、条例)に基づく「条

    例アセス」がある。法アセスでは、法第 11 条・第 12 条により、項目の選定、調査・予測・評価手法の選定、環境保全措置の検討を行う上での指針が、主務省令で定めら

    れている。さらに、主務省令第 21 条・第 23 条により、同別表第一・第二には、選定にあたって参考とすべき「参考項目」「参考手法」が定められている。なお、条例にも

    各々同様の規定が存在する。 道路事業者が、それらの規定を遵守しつつ、最新の科学的知見を反映させて過誤無

    くアセスを実施するためには、単独で一から検討するのは負担が大きすぎることから、

    全国の道路事業のアセスの実施状況を踏まえた一般的な手法を具体的に解説した手引

    き書を参照することにより、省力化・客観化が図られる。「道路環境影響評価の技術手

    法」(以下、技術手法)は、その手引き書として作成されたものである。 技術手法は、法的位置付けの無い参考資料ではあるものの、これまでの全ての道路

    事業の法アセスのほぼ全ての項目で、技術手法に掲載の手法が選定され実施されてい

    る。 序 .1.2 技術手法の作成と改定

    技術手法は、前述のように、アセスの一般的な手法について、全国の道路事業のア

    セスの実施状況を踏まえつつ、利用者である地方整備局等の意見を反映しながら、各

    環境分野の学識経験者によるご議論を経て、国総研及び独法土研が序.1に示した項

    目ごとに作成しているものである。 平成 12 年の初版以降、表 序 -1 のとおり作成・改定されている。 なお、従来は「改訂」と称することもあったが、欠点を直すとの意味の「改訂」 1)

    より、決まりを改め定めるとの意味の「改定」 2)と称することが適切である。

    表 序 -1 技術手法の作成・改定の経緯 年月 技術手法 背景

    平成 12 年 10 月 初版作成 アセス法施行 平成 15 年 9 月 「工事中騒音」改定 最新の科学的知見の反映 平成 16 年 4 月 「走行騒音」等改定 〃 平成 19 年 6 月 全面改定 主務省令改正 平成 20 年 9 月 「工事中騒音」改定 最新の科学的知見の反映 平成 21 年 6 月 「工事中濁水」追加 地整からの要望 平成 23 年 3 月 「走行騒音」改定 最新の科学的知見の反映 平成 25 年 3 月 全面改定 改正アセス法施行

  • - 序-2 -

    序 .2 技術手法改定の主要点と検討体制

    序 .2.1 改定の主要点 1)環境影響評価法の改正

    平成 9 年 6 月に成立した当初の環境影響評価法(平成 11 年 6 月施行)では、附則 7 条において、施行後 10 年で見直しを行う旨が規定された。これに基づき、環境省の環境影響評価制度総合研究会(平成 20 年 6 月~平成 21 年 7 月)、中央環境審議会総合政策部会環境影響評価制度専門委員会(平成 21 年 9 月~平成 22 年 1 月)が設置され、議論がなされた。その結果、平成 22 年 2 月に中央環境審議会答申が出され、環境影響評価法改正案が平成 22 年 3 月に閣議決定、翌平成 23 年 4 月に成立・公布された。

    主要な改正点の一点目は、事業の早期段階における環境配慮を図るため、「計画段

    階配慮事項についての検討(以下、配慮書段階の検討)」及び計画段階環境配慮書の

    手続(中環審答申等における、いわゆるSEA)を新たに義務化したことである。道路事

    業としては、概略ルート・構造の検討における環境面の配慮が法で規定されること

    となるものであり、その具体的な手法を技術手法にて解説する必要がある。そこで、

    「1.計画段階配慮事項」を新設するとともに、EIAの全項目に「配慮書段階の

    検討」の結果を反映させる旨の記述を追記することとした。 主要な改正点の二点目は、環境影響評価後の環境配慮の充実に資するため、事後

    調査等の報告を新たに義務化したことである。事後調査は、動物・植物・生態系に

    ついて実施されるものがほとんどで、その手法は現場ごとに委ねられおり、実施期

    間やコスト等の課題も指摘されている 3)。そこで、「動物・植物・生態系(13.1~3)」で事後調査手法を新たに解説することとした。

    なお、その他の改正点である、電子縦覧、方法書説明会の義務化等は、手続の追

    加であり、技術手法での対応は必要無い。

    2)科学的知見の進展、制度改正(環境影響評価法以外)による記述の見直し 大気質について、予測に用いる NOx・PM 等自動車排出係数の更新等、新たな科

    学的知見が得られたことから、「大気質(2.1、2.2、2.6)」に反映させることとした。 建設機械の稼働について、施工データの蓄積による予測式のパラメータ等が新た

    に得られた工種があることから、「大気質(2.3)」「騒音(4.2)」「振動(6.2)」に反映させることとした。

    土壌汚染対策について、土壌汚染対策法の改正(H22)や関連する自然由来の重金属等の対応マニュアルの整備等がなされたことから、「底質(8.1)」「土壌(11.1)」に反映させることとした。

    景観について、国土交通省における計画から事業完了後まで一貫した景観配慮の

    取組(景観アセスメント)が進められていることから、「景観(14.1)」において整合を図ることとした。

    その他、各項目において、引用文献の時点修正等を含めた見直しを行い、反映さ

    せることとした。

  • - 序-3 -

    以上の改定の主要点を、表 序 -2 に示す。また、法改正後の手続と技術手法との関係を、図 序 -1 に示す。

    表 序 -2 技術手法改定の主要点

    項目 制度改正・科学的知見の反映 全項目共通の修正計画段階配慮事項 (全影響要因・環境要素共通 )

    アセス法改正 (配慮書手続の義務化 )に伴い、「配慮書段階の検討」の手法を新設

    EIA

    大気質 〔供用後・運搬〕排出係数の更新

    「配慮書段階の検

    討」の結果の反映 (ティアリング)

    〔建設機械〕工種の追加 騒音、振動 底質、土壌 自然由来の重金属の取扱い

    動物、植物、生態系 アセス法改正 (事後調査等報告の義務化 )に伴う、事後調査手法の具体化

    景観 「景観アセスメント」との整合 上記以外 -

    図 序 -1 法改正後の手続と技術手法との関係(太字は新規・追加)

  • - 序-4 -

    序 .2.2 検討体制 1)道路環境影響評価の技術手法改定検討委員会

    技術手法の作成・改定にあたっては、多岐に渡る環境要素について、第三者の専

    門家の立場からご助言・ご了解をいただく必要があることから、各環境要素の学識

    経験者等の専門家によって構成される「道路環境影響評価の技術手法改定検討委員

    会」を設置した。 委員会は、検討開始の平成 24 年 3 月、及び検討が概ね終了した平成 24 年 9 月の、

    計 2 回開催した。第 1 回委員会において、各委員はご担当される環境要素にご了解下さり、その後、国総研・独法土研の各担当者と個別に検討を行った。

    委員名簿を表 序 -3 に示す。

    表 序 -3 道路環境影響評価の技術手法改定検討委員会 委員名簿 委員 所属・役職 ご担当 備考 (委員会名は略称 )

    屋井 鉄雄 (委員長 )

    東工大大学院総合理工学研

    究科教授 総括 中環審アセス制度専門委員会

    委員、基本的事項等検討委員会

    (環境省 )委員

    岡本 眞一 東京情報大学総合情報学部教授

    大気質 (伝播 ) 技術手法大気質予測手法検討委員会 (国総研 )委員

    後藤 雄一 (独 )交通安全環境技術研究所環境研究領域長

    大気質 (発生 ) 交政審自動車燃費基準小委員会委員、中環審自動車排出ガス

    専門委員会委員

    坂本 慎一 東大生産技術研究所准教授 騒音 道路交通騒音調査研究委員会(日本音響学会 )委員長

    勝見 武 京大大学院地球環境学堂教授

    底質、土壌、廃棄

    物 自然由来重金属等対応マニュ

    アル検討委員会 (独法土研 )委員

    日置 佳之 鳥取大農学部教授 計画段階配慮事項 (自然環境 )

    SEA における自然環境配慮グループ討議 (国総研 )座長

    葉山 嘉一 日大生物資源科学部准教授 動物、植物、生態系

    自然環境の事後調査グループ討

    議 (国総研 )座長、猛禽類配慮手法グループ討議 (国総研 )座長

    福井 恒明 東大工学部特任准教授 (~H24.3)、法政大学デザイン工学部准教授 (H24.4~ )

    景観 公共事業における景観創出に関する研究委員会 (国総研 )座長

    寺部慎太郎 東京理科大理工学部准教授 計画段階配慮事項 (構想段階 PI)

    道路事業 SEA 検討委員会 (国総研 )委員長

  • - 序-5 -

    2)全国道路環境担当者連絡調整会議 国土交通省本省、地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局、高速道路会社・

    公社、国総研及び独法土研の道路環境担当者は、道路環境に関する検討・情報共有

    等を行うため、「全国道路環境担当者連絡調整会議」を設置している。 技術手法の改定の検討については、平成 24 年 6 月及び 7 月に会議を開催し、改

    定案の説明及び意見照会を行い、その後の検討に反映させた。 平成 24 年度のメンバーを表 序 -4 に示す。

    表 序 -4 平成 24 年度全国道路環境担当者連絡調整会議メンバー

    氏 名 所属機関 部 署 役 職 杉本 昌彦

    国土交通省

    道 路 局 環 境 安 全

    課 道路環境調査室 課長補佐

    原 秀一 環境対策係長 山下 尚

    総 合 政 策 局 公 共

    事業企画調整課

    環境・リサイクル企画室 課長補佐 小島 久邦 施工安全企画室 安全技術係長 吉田 真人 環境・リサイクル企画室 環境技術係長 曽根 真理*1 角湯 克典*2

    国 土 技 術 政 策 総

    合研究所 環境研究部 道路環境研究室

    室 長

    吉永 弘志 主任研究官 井上 隆司 主任研究官 土肥 学 主任研究官 栗原 正夫

    緑化生態研究室 室 長 小栗ひとみ 主任研究官 藤野 健一

    独 立 行 政 法 人 土

    木研究所

    技術推進本部 先端技術チーム 主席研究員 杉谷 康弘 主任研究員 小橋 秀俊*3 藪 雅行*4 宮武 裕昭*5 地質・地盤研究グ

    ループ

    施工技術チーム 上席研究員

    佐々木哲也 土質・振動チーム 上席研究員 佐々木靖人 地質チーム 上席研究員 渡辺 博志 材 料 資 源 研 究 グ

    ループ 基礎材料チーム 上席研究員

    西崎 到 新材料チーム 上席研究員 久保 和幸 道路技術研究グループ 舗装チーム 上席研究員 樺澤 卓美 北海道開発局 建設部 道路計画課 開発専門官 菅 太 東北地方整備局 道路部 道路計画第一課 課長補佐 近藤 進*6 五十嵐一夫*7 関東地方整備局 道路部 計画調整課 建設専門官

    渡辺 隆幸 北陸地方整備局 道路部 道路計画課 建設専門官 服部 一宏 中部地方整備局 道路部 計画調整課 課長補佐 平井 義博

    近畿地方整備局 道路部 計画調整課 課長補佐 吉村 英二 課長補佐 高木 繁 中国地方整備局 道路部 道路計画課 建設専門官 江川 昌克 四国地方整備局 道路部 道路計画課 建設専門官 今田 一典 九州地方整備局 道路部 道路計画第一課 建設専門官 堀 康雄 沖縄総合事務局 開発建設部 道路建設課 道路計画調整官柴田 等 名 古 屋 高 速 道 路

    公社 技術部 環境対策課 課長補佐

    長船 寿一 (株 )高速道路総合技術研究所

    交通環境研究部 環境研究室 室長

    吉田 均 首都高速道路 (株 ) 計画・環境部 環境グループ 課長代理 石橋 照久 阪神高速道路 (株 ) 環境景観室 環境推進課 課長代理 *1:~6/30 *2:7/1~ *3:~8/9 *4:8/10~8/31 *5:9/1~ *6:~9/30 *7:10/1~

  • - 序-6 -

    3)道路環境影響評価の技術手法つくば検討会 国総研・独法土研の技術手法の各担当は、平成 24 年 2 月~9 月に計 4 回の会合を

    開き、分担や作業方針等について議論・情報共有を行った。 名簿を表 序 -5 に示す。

    表 序 -5 道路環境影響評価の技術手法つくば検討会メンバー

    氏 名 所属機関 部 署 役 職 主な担当 曽根 真理*1 角湯 克典*2

    国 土 技 術

    政 策 総 合

    研究所 環境研究部

    道路環境研究室

    室 長 総括

    井上 隆司 主任研究官 総括、計画段階配慮事項 山本 裕一郎 研究官 計画段階配慮事項、動物・

    植物・生態系 (事後調査 ) 土肥 学 主任研究官 大気質 (供用後 ) 神田 太朗 研究官 吉永 弘志 主任研究官 大気質 、騒音 、振動 (建設

    機械 ) 松江 正彦*3 栗原 正夫*4

    緑化生態研究室

    室 長 動物・植物・生態系

    園田 陽一*3 上野 裕介*4 研究官

    小栗ひとみ 主任研究官 景観、人触れ 阿南 修司

    独 立 行 政

    法 人 土 木

    研究所

    地質・地盤

    研究グルー

    特命事項 上席研究員 底質、土壌 佐々木靖人 地質チーム 上席研究員 地形地質 品川 俊介 主任研究員 底質、地形地質、土壌 佐々木哲也 土質・振動チー

    ム 上席研究員

    地盤、土壌 石原 雅規 主任研究員稲垣 由紀子 研究員 小橋 秀俊*5 藪 雅行*6 宮武 裕昭*7

    施工技術チーム 上席研究員 廃棄物等

    *1:~6/30 *2:7/1~ *3:~3/31 *4:4/1~ *5:~8/9 *6:8/10~8/31 *7:9/1~

    なお、本節で述べた、改定の主要点と、改定検討委員会の各委員、国総研・独法土

    研の各担当による検討体制の詳細(一覧)を、表 序 -6 に示す。

  • - 序-7 -

    表 序-6「道路環境影響評価の技術手法」の主な改正点、検討体制(1/2)

    項目(国総研・土研資料) (斜体字は参考項目以外の項目)

    主な改正点、担当者*1 技術手法改定検討委員会

    ご担当委員 科学的知見の進展、制度改正等による記述の見直し 左記以外の修正

    (引用文献の時点修正等)

    「配慮書段階の検討」の結果の

    EIAへの反映(ティアリング)

    序.「道路環境影響評価の技術手法」(平成 24 年度版)の改定の経緯 - (総括・とりまとめ) 道路環境 角湯〔曽根〕、井上

    委員長

    屋井鉄雄(東工大大学院総合理工学研究科

    教授)

    「配慮書段階

    の検討」

    1.計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通)

    [新設]

    構想段階(PI)における運用

    道路環境 井上、山本

    緑化生態 栗原、上野 〔松江、園田〕

    - - 寺部慎太郎(東京理科大理工学部准教授)

    構想段階の自然環境配慮の充実

    - - 日置佳之(鳥取大農学部教授) 参考資料 動物・植物・生態系の配慮手法 [新設]

    EIA

    - 「配慮書段階の検討」の結果のEIAへの反映 (ティアリング)

    道路環境 井上、山本 - (以下のとおり、各項目に記述を追加。)

    日置佳之

    寺部慎太郎

    2. 大気質

    2.1 自動車の走行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質

    排出係数の変更 道路環境 土肥、神田

    「事業特性・地域特性の把握」に記述を追加(全項目)

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加

    岡本眞一(東京情報大総合情報学部教授)

    後藤雄一((独)交通安全環境研究所環境研

    究領域長)

    2.2 自動車の走行に係る一酸化炭素及び二酸化硫黄 -

    2.3 建設機械の稼働に係る粉じん等 降下ばいじん量のデータの追加

    道路環境 吉永

    道路環境 吉永

    2.4 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る粉じん等 - - -

    2.5 建設機械の稼働に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 - - -

    2.6 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る二酸化窒素及び浮遊粒子状物質 排出係数の変更 道路環境 土肥、神田 -

    3. 強風によ る風害

    3.1 換気塔等の大規模施設の設置に係る強風による風害 - - 道路環境 土肥、神田 -

    4. 騒 音

    4.1 自動車の走行に係る騒音 - -

    道路環境 吉永

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加

    4.2 建設機械の稼働に係る騒音 音源データの追加

    道路環境 吉永

    - 坂本慎一(東大生研准教授)

    4.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る騒音

    ASJ-RTN Model2008 の適用

    5.

    低周波音 5.1 自動車の走行に係る低周波音 - - -

    6.

    振 動

    6.1 自動車の走行に係る振動 - - -

    6.2 建設機械の稼働に係る振動 振動発生量のデータの追加 道路環境 吉永 - 坂本慎一

    6.3 資材及び機械の運搬に用いる車両の運行に係る振動 - - -

    *1:平成 24 年 9月現在。〔 〕内の名前は前任者。

  • - 序-8 -

    表 序-6「道路環境影響評価の技術手法」の主な改正点、検討体制(2/2)

    項目(国総研・土研資料) (斜体字は参考項目以外の項目)

    主な改正点、担当者*1 技術手法改定検討委員会

    ご担当委員 科学的知見の進展、制度改正等による記述の見直し 左記以外の修正 (引用文献の時点修正等)

    「配慮書段階の検討」の結果の

    EIAへの反映(ティアリング)

    EIA

    7.

    水 質

    7.1 休憩所の供用に係る水の濁り及び水の汚れ

    - - 道路環境 井上、山本

    「事業特性・地域特性の把握」に記述を追加(全項目)

    - 7.2 休憩所の供用に係る水の富栄養化 7.3 水底の掘削等に係る水の濁り 7.4 切土工等、工事施工ヤードの設置、及び工事

    用道路等の設置に係る水の濁り 8.

    底 質 8.1 汚染底質の掘削等に係る底質 自然由来の有害物質の取り

    扱い(搬出土砂) 地質・地盤グループ 阿南、品川 - 勝見 武(京大大学院地球環境学堂教授)

    9.

    地形及び

    地質

    9.1 道路の存在に係る地形及び地質 - -

    地質チーム 佐々木(靖人)、

    品川

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加

    9.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る地形及び地質

    10.

    地 盤

    10.1 掘割構造物、トンネル構造物の設置に係る地盤 - -

    土質・振動チーム 佐々木(哲

    也)、石原、稲垣 -

    10.2 掘割工事、トンネル工事の実施に係る地盤

    11.

    土 壌 11.1 汚染土壌の掘削等に係る土壌

    自然由来の有害物質の取り

    扱い

    地質・地盤グループ 阿南、

    品川 土質・振動チーム 佐々木(哲

    也)、石原、稲垣

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加 勝見 武

    廃棄物混じり土への対応 施工技術チーム 宮武 〔小橋、藪〕

    12.

    日照阻害 12.1 道路の存在に係る日照阻害 - - 道路環境 井上、山本 -

    13.

    動物、

    植物、

    生態系

    13.1 道路の存在に係る「動物」、「植物」、「生態系」

    事後調査手法の具体化 道路環境 井上、山本 緑化生態 栗原、上野 〔松江、園田〕 緑化生態 栗原〔松江〕

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加

    葉山嘉一(日大生物資源科学部准教授)

    13.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る「動物」、「植物」、「生態系」 -

    13.3 建設機械の稼働に係る動物 -

    参考資料、事例集 - 道路横断施設等の手引き

    緑化生態 栗原、上野 〔松江、園田〕

    14.

    景 観

    14.1 道路の存在に係る景観 景観アセスの取組との整合 緑化生態 小栗

    緑化生態 小栗

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加

    福井恒明(法政大デザイン工学部准教授

    (H24.4~)、東大工学部特任准教授(~

    H24.3))

    14.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の設置に係る景観 - - -

    15.

    人と自然

    との触れ

    合いの活

    動の場

    15.1 道路の存在に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    - -

    「手法選定」「環境保

    全措置の検討」等に

    記述を追加 15.2 工事施工ヤードの設置及び工事用道路等の

    設置に係る人と自然との触れ合いの活動の場

    15.3 自動車の走行に係る人と自然との触れ合いの活動の場 -

    16.

    廃棄物等 16.1 切土工等又は既存の工作物の除去に係る廃

    棄物等 - -

    施工技術チーム 宮武 〔小橋、藪〕 (建設汚泥再生利用マニュアル等

    の引用)

    - 勝見 武

    *1:平成 24 年 9月現在。〔 〕内の名前は前任者。

  • 序 .2.3 改定作業の経緯 序 .2.2 の検討体制により実施した検討・改定作業を、表 序 -7 に示す

    表 序 -7 改定作業の経緯

    日付 作業内容

    平成24年 2/29(水) 3/14(水 )

    5/11(金 )

    6/13(水 )

    6/21(木 )

    7/24(火 )

    9/4(火 )

    9/20(木 )

    平成25年

    3月 4月~

    つくば検討会

    ・検討体制を確認、各項目の改定方針を集約

    第1回改定検討委員会 ・検討体制、各項目の改定方針を説明、ご審議

    つくば検討会(H24第1回) ・計画段階配慮事項、及びEIAの全項目共通部分の改定素案を説明、照

    各項目の改定案を作成。ご担当委員に説明、ご検討

    つくば検討会(H24第2回) ・各項目の改定案を集約

    本省説明

    全国道路環境担当者連絡調整会議(H24第1回) ・地整等に改定案を説明、意見照会

    全国道路環境担当者連絡調整会議(H24第2回) ・地整等の意見を集約

    改定案(修正)を作成

    ご担当委員に説明、ご検討

    本省説明

    つくば検討会(H24第3回) ・各項目の改定案(修正)を集約

    第2回改定検討委員会

    最終稿を執筆

    刊行

    適用開始

    - 序-9 -

  • - 1-1 -

    Ⅰ 配慮書段階の手法

    1. 計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通)

    本資料は、「道路環境影響評価の技術手法」のうち、「1.計画段階配慮事項(全ての影響要

    因・環境要素に共通)」を策定したものである。策定にあたっては、環境影響評価法及び主務省令*の改正を反映させた。

    なお、本資料で示す手法等はあくまで一例であり、実際には各事業者が対象道路事業毎にこれ

    らの手法等を参考としつつ、適切な手法等を選択することが望ましい。

    * 「道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手

    法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」 (平成10年建設省令第10

    号、最終改正:平成25年国土交通省令第28号)

    策定の経緯(道路環境影響評価の技術手法 1.計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通))

    改定等の時期 資料番号 執筆等担当者 策定の理由等

    平成25年3月 国土技術政策 総合研究所資 料第714号

    国土交通省国土技術政策総合 研究所環境研究部 道路環境研究室

    初版 環境影響評価法の改正 主務省令の改正

    主任研究官 研 究 官 室 長 前 室 長

    井上隆司 山本裕一郎角湯克典 曽根真理

  • - 1-2 -

    「1. 計画段階配慮事項(全ての影響要因・環境要素に共通)」の概要

    (1)「計画段階配慮事項についての検討」の法制化

    中環審答申(平成 22 年 2 月 22 日)において、事業の早期段階での環境配慮(SEA)

    を、住民や地方公共団体の関与を得ながらEIA(従来からの方法書以降の手続に係る環

    境影響評価)より概略的な手法で実施する制度として、法制化するとされた。

    これにより環境影響評価法が改正(平成 23 年 4 月 27 日公布)され、第3条の2に基づ

    き、第1種事業においては、「計画の立案の段階において、当該事業が実施されるべき区域」

    等「を決定するに当たっては」、「当該事業に係る環境の保全のために配慮すべき事項(計

    画段階配慮事項)についての検討」を行わなければならないとされている。

    以下、「計画段階配慮事項についての検討」を、「配慮書段階の検討」という。

    (2) 道路事業における「配慮書段階の検討」

    道路事業において、「配慮書段階の検討」とは、概略ルート・構造の検討(構想段階の

    検討)における、環境面に関する検討である。これを、環境影響評価法及び主務省令の規

    定に従い、事業特性・地域特性の把握、計画段階配慮事項(EIAの「項目」に相当)の

    選定、及び調査・予測・評価の結果として、とりまとめるものである。本技術手法も、そ

    れに従った構成としている。

    道路事業における「配慮書段階の検討」の目的は、概略ルート・構造の検討において、

    事業計画の熟度や検討スケールに応じた環境配慮を適切に実施することであり、それによ

    りその後のEIAの円滑・効率的な実施に資するものである。手法としては、構想段階の

    時点での既存資料の活用を原則とし、概略ルート・構造の複数案の設定や比較評価におい

    て環境影響に配慮すべき対象(検討対象)を抽出して、それらと概略ルート・構造の複数

    案との位置関係から環境影響の程度を評価し(EIAより簡易な手法)、回避(又は十分に

    低減)されない環境影響はEIAで詳細に検討すべきものとする。以上の結果を、複数案

    ごと・計画段階配慮事項ごとに整理する。

    「配慮書段階の検討」の結果については、環境影響評価法第3条の3に基づく計画段階

    環境配慮書(以下、配慮書)を作成する。

    (3)「配慮書段階の検討」の適用の考え方

    構想段階の計画策定プロセスでは、経済面・社会面・環境面等様々な観点から検討を行

    い、総合的な判断により概略計画を決定する。「配慮書段階の検討」は、そのうちの環境面

    に関する検討として従来より行っているものである。

    なお、構想段階の計画策定プロセスと「配慮書段階の検討」との関係・位置付け、環境

    影響評価法第3条の4~第3条の6に基づく手続(配慮書の公表・送付、大臣意見に係る

    手続等)の実施、及び第3条の7に努力義務として規定されている意見聴取については、

    構想段階の計画策定プロセスに関するガイドライン等を参照されたい。

  • - 1-3 -

    1.4~1.6 を、複数案ごと、選定事項(選定された計画段階配慮事項)ごとに実施。

    図-1.1 「計画段階配慮事項」の調査、予測及び評価の流れ

    太枠内 を、本技術手法で解説。

    *1、*2 及び意見聴取は、経済・社会・環境等の様々な観点を考慮して実施すべきものである。

    1.1 事業特性の把握

    1)対象道路事業の事業実施想定

    区域の位置

    2)対象道路事業の規模(延長)

    3)その他(主たる構造等)(計

    画の熟度に応じて把握する)

    1.2 地域特性の把握

    1)自然的状況

    水象、土壌、地形地質、動植物等

    2)社会的状況

    地域の計画、土地利用、交通、住

    宅、法令による地域指定等

    1.3 計画段階配慮事項の選定

    概略ルート・構造の検討において、供用後について重大な環境影響を

    受けるおそれがある(環境影響に配慮すべき対象(検討対象)が存在す

    る)を、計画段階配慮事項として選定する。

    1.5 予測の手法 環境の状況の変化を定量的又は定性的に把握する。

    具体的内容としては、以下のような、検討対象と事業実施想定区域との位置関係、又は事業実施想定区域における検討対象の回避・改変の程度を把握する。 ・大気質・騒音:概略ルートと集落・市街地との離隔距離(郊外・農村)、

    地下区間の延長(市街地内)等 ・動物・植物:重要な種・種群の生息地・生育地の回避・改変の状況 ・生態系:生態系の保全上重要で、まとまって存在する自然環境の回避・

    改変の状況

    1.6 評価の手法

    ・環境影響の程度(具体的には、検討対象の回避又は検討対象への影響

    の低減)を、一覧表等に整理。

    ・上記で回避(又は十分に低減されない)環境影響は、当該案が概略計

    画に決定した暁には、EIA等でさらに詳細に検討する必要があるも

    のとして整理。

    1.4 調査の手法 原則として既存資料を収集・分析する。必要に応じ、専門家等からの

    知見の収集等を行う。 具体的内容としては、以下のような、検討対象の位置や、複数案ごと

    の事業の内容を把握する。 ・大気質・騒音:集落・市街地の位置(郊外・農村)、地下区間(市街地

    内)等 ・動物・植物:重要な種・種群の生息地・生育地(既存資料で把握でき

    る範囲) ・生態系:生態系の保全上重要で、まとまって存在する自然環境(同上)

    環境影響評価法第3条の3

    ~6に基づき、以下の手続を

    実施。

    (1)配慮書の作成、公表

    (2)環境大臣・主務大臣意見

    の形成 (参考)方法書以降に反映・活用する配慮内容の整理

    決定した概略計画(又はその案)の検討経緯について、EIAで活用

    できるよう整理しておく

    ・収集した情報を整理。

    ・選定事項ごとに、どのように環境影響の回避・低減が図られたか、E

    IA等でさらに詳細に検討すべき内容は何か、整理。

    ルート・構造に関する複数案を設定*1

    配慮書を踏まえ、主務大臣意

    見を勘案し、概略ルート・構

    造(概略計画)を決定。*2

  • - 1-4 -

    1.1 事業特性の把握

    事業特性については、「配慮書段階の検討」を行うのに必要と認める範囲内*1で、概略

    ルート・構造の複数案における以下の内容を把握する。

    1)対象道路事業の事業実施想定区域*2の位置

    2)対象道路事業の規模(延長)

    3)その他、対象道路事業に関する事項で、計画の熟度に応じて把握が可能なもの

    主たる道路構造(盛土、切土、トンネル、橋若しくは高架、その他の構造の別)

    【解 説】

    「配慮書段階の検討」を行う段階とは、上記の1)及び2)を把握する段階であると規

    定されており(主務省令第1条)、事業特性においても把握することが必須である(主務省

    令第4条)。その他の3)は、概略ルート・構造の複数案の計画の熟度に応じて把握する。

    *1「『配慮書段階の検討』を行うのに必要と認める範囲内」

    「配慮書段階の検討」においては、概略ルート・構造の複数案の設定や比較評価にお

    いて環境影響に配慮すべき対象(検討対象)を抽出して、それらと概略ルート・構造の

    複数案との位置関係を把握し、環境影響の程度を評価する。その検討に必要と考えられ

    る情報を把握する。

    *2「事業実施想定区域」

    概略ルート・構造の複数案における、事業の実施が想定される区域である。

  • - 1-5 -

    1.2 地域特性の把握

    地域特性については、「配慮書段階の検討」を行うのに必要と認める範囲内*1で、以下

    に掲げる内容を、対象道路事業実施想定区域及びその周囲において入手可能な最新の文献*2その他の資料(出版物等であって、事業者が一般に入手可能な資料。以下、「既存資料」

    という。)に基づき把握する。

    1)自然的状況

    (1) 気象、大気質、騒音、振動その他の大気に係る環境の状況

    大気質、騒音に関する環境基準の確保の状況*3

    (2) 水象、水質、水底の底質その他の水に係る環境の状況*4

    河川、湖沼及び海域の分布の状況

    (3) 土壌及び地盤の状況

    土壌の区分及び分布状況

    (4) 地形及び地質の状況

    ①地形の状況

    地形の区分及び分布状況

    ②地質の状況

    地質の区分及び分布状況

    (5) 動植物の生息又は生育、植生及び生態系の状況

    ①動植物の生息又は生育の状況

    主な動物相及び植物相

    ②動物の重要な種及び注目すべき生息地の状況

    環境の保全を目的として法令等(社会的状況において把握するものとする)に基

    づき抽出される学術上又は希少性等の観点から重要な種*5(以下、「重要な種」と

    いう)並びに学術上若しくは希少性の観点から重要である生息地又は地域の象徴で

    あることその他の理由から注目すべき生息地*6(以下、「注目すべき生息地」とい

    う)の状況

    ③植物の重要な種及び群落の状況

    環境の保全を目的として法令等に基づき抽出される学術上又は希少性等の観点

    から重要な種及び群落*7(以下、「重要な種・群落」という)の状況

    ④植生の状況

    現存植生の状況

    ⑤生態系の状況

    地形、水系、植生等から類型化される自然環境の各区分*8における主な動物相、

    植物相の状況*9並びに生息・生育基盤の状況*10

    (6) 景観、触れ合い活動の場の状況

    ①主要な眺望点*11及び景観資源*12の分布及び概況

    ②主要な眺望景観*13の概況

    ③主要な触れ合い活動の場*14の分布

    (7) その他、自然的状況に関して必要な事項

  • - 1-6 -

    2)社会的状況

    (1) 地域における計画・戦略・目標等*15

    地方公共団体が策定した環境に関する計画や総合的な計画等における、地域での環

    境についての関心事項

    (2) 土地利用の状況

    土地利用の現況、土地利用計画の状況、有害物質に係る土地利用*16

    (3) 交通の状況

    主要な道路の位置、交通量等の状況

    (4) 住宅の配置の概況、及び学校・病院その他の環境の保全についての配慮が特に必

    要な施設の配置の状況

    ①集落の状況*17、住宅の配置の概況、将来の住宅地の面整備計画の状況*17

    ②学校、病院、幼稚園、児童福祉法に基づく児童福祉施設(保育所等)、老人ホー

    ム、図書館等の配置の状況

    (5) 環境の保全を目的として法令等により指定された地域その他の対象及び当該対

    象に係る規制の内容その他の状況

    ①都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)第八条第1項第一号の規定により定めら

    れた用途地域*18

    ②環境基本法(平成5年法律第 91 号)第十七条の規定により策定された公害防止

    計画の策定の状況(策定の時期、計画の時期、計画の目標値等)

    ③大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第五条の二第1項の規定により定められ

    た指定地域

    ④自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削

    減等に関する特別措置法(平成4年法律第70号)第六条第1項及び第八条第1項

    の規定により定められた窒素酸化物対策地域及び粒子状物質対策地域

    ⑤幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和 55 年法律第 34 号)第五条第一項の規

    定により指定された沿道整備道路

    ⑥環境基本法(平成 5 年法律第 91 号)第十六条第一項の規定により定められた騒

    音に係る環境基準の類型の指定状況

    ⑦騒音規制法(昭和 43 年法律第 98 号)第三条第一項及び第十七条第一項に基づく

    指定地域内における自動車騒音の限度、地域指定状況、区域の区分、時間の区分

    の状況

    ⑧土壌汚染対策法(平成 14 年法律第 53 号)第六条の規定により指定された区域

    ⑨世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約第十一条二の世界遺産一覧

    表に記載された文化遺産及び自然遺産の区域

    ⑩絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第 75 号)

    第三十六条第1項の規定により指定された生息地等保護区の区域

    ⑪特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第二条一の規定によ

    り指定された湿地の区域

    ⑫文化財保護法(昭和 25 年法律第 214 号)第百九条第1項の規定により指定され

    た名勝(庭園、公園、橋梁及び築堤にあっては、周囲の自然的環境と一体をなし

  • - 1-7 -

    ていると判断されるものに限る。)又は天然記念物(動物又は植物の種を単位と

    して指定されている場合における当該種及び標本を除く。)又は同法第百三十四

    条第 1 項の規定により指定された重要文化的景観

    ⑬自然公園法(昭和 32 年法律第 161 号)第五条第1項の規定により指定された国

    立公園、同条第2項の規定により指定された国定公園又は同法第七十二条の規定

    により指定された都道府県立自然公園の区域

    ⑭自然環境保全法(昭和 47 年法律第 85 号)第十四条第1項の規定により指定され

    た原生自然環境保全地域、同法第二十二条第1項の規定により指定された自然環

    境保全地域又は同法第四十五条第1項の規定により指定された都道府県立自然

    環境保全地域

    ⑮首都圏近郊緑地保全法(昭和 41 年法律第 101 号)第三条第1項の規定により指

    定された近郊緑地保全区域

    ⑯瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和 48 年法律第 110 号)第十二条の七の規定によ

    り指定された自然海浜保全地区

    ⑰近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和 42 年法律第 103 号)第五条第1項

    の規定により指定された近郊緑地保全区域

    ⑱都市緑地法(昭和 48 年法律第 72 号)第五条第1項の規定により指定された緑地

    保全地域又は同法第十二条第1項の規定により指定された特別緑地保全地区の

    区域

    ⑲都市緑地法(昭和 48 年法律第 72 号)第四条第1項により市町村が定める緑地の

    保全及び緑地の推進に関する基本計画(「緑の基本計画」)

    ⑳鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成 14 年法律第 88 号)第二十八条

    第 1 項の規定により指定された鳥獣保護区の区域

    ㉑都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)第八条第1項第七号の規定により定めら

    れた風致地区の区域

    ㉒景観法(平成 16 年法律第 110 号)第八条第 1 項により景観行政団体が定める良

    好な景観の形成に関する計画(景観計画)

    ㉓地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成 20 年法律第 40 号)

    第五条第 1 項の規定により市町村が定める歴史的風致の維持及び向上に関する計

    画(「歴史的風致維持向上計画」)

    ㉔その他の環境の保全を目的として法令等に規定する区域等の状況

    ・「保護林の再編・拡充について」(平成元年4月 11 日付け元林野経第 25 号林

    野庁長官通達)により指定された保護林の区域

    ・地方公共団体の条例等、自然環境の保全を目的に指定された区域

    【解 説】

    *1「『配慮書段階の検討』を行うのに必要と認める範囲内」

    「配慮書段階の検討」においては、概略ルート・構造の複数案の設定や比較評価にお

    いて環境影響に配慮すべき対象(検討対象)を抽出して、それらと概略ルート・構造の

    複数案との位置関係を把握し、環境影響の程度を評価する。その検討に必要と考えられ

    る情報を把握する。

  • - 1-8 -

    *2「入手可能な最新の文献」

    地域特性の項目と資料の例について、以下を参照。

    ・2.1.2(大気質(供用後)の「地域特性の把握」)の表 2.1.1

    ・4.1.2(騒音(供用後)の「地域特性の把握」)の表 4.1.1

    ・13.1.2(動物・植物・生態系(供用後)の「地域特性の把握」)の表 13.1.1

    *3「大気質、騒音に関する環境基準の確保の状況」

    環境基準を毎年超過しているかどうか等、環境影響についての検討が必要か否かを判

    断するために状況を把握する。なお、濃度・騒音値やそれらの環境基準との確保の状況

    等の網羅的な把握は、EIAで必要に応じ行うものである。

    *4「水象、水質、水底の底質その他の水に係る環境の状況」

    水質、底質は、休憩所供用や水底掘削等に係るものであり、EIAで必要に応じ

    把握するものである。

    *5「学術上又は希少性等の観点から重要な種」

    *6「学術上若しくは希少性の観点から重要である生息地又は地域の象徴であることその他

    の理由から注目すべき生息地」

    *7「学術上又は希少性等の観点から重要な種及び群落」

    *8「地形、水系、植生等から類型化される自然環境の各区分」

    *9「主な動物相、植物相の状況」

    *10「生息・生育基盤の状況」

    13.1.2(動物・植物・生態系(供用後)の「地域特性の把握」)のそれぞれ*4、*5、*6、

    *7、*8、*9 を参照。「配慮書段階の検討」においては、既存資料による概略的な把握で良

    い。

    なお、*8 について、地域を特徴づける生態系の注目種の抽出は、EIAで必要に応じ

    行うものである。

    *11「主要な眺望点」

    *12「景観資源」

    *13「主要な眺望景観」

    14.1.2(景観(供用後)の「地域特性の把握」)のそれぞれ*4、*5、*6 を参照。

    *14「主要な触れ合い活動の場」

    15.1.2(人と自然との触れ合い活動の場(供用後)の「地域特性の把握」)の*3 及び

    *4 を参照。

    *15「地域における計画・戦略・目標等」

    都道府県・市町村が策定する、生物多様性地域戦略、環境基本計画、総合計画、都市

    計画マスタープラン等において、地域で重要と考えられている環境(動植物種やその生

    息・生育地、緑地、水源地、景勝地等)が記述されている場合がある。これらは検討対

  • - 1-9 -

    象の抽出において重要である。

    *16「有害物質に係る土地利用」

    11.1.2(土壌の「地域特性の把握」)の*3 を参照。

    *17「集落の状況」、「将来の住宅地の面整備計画の状況」

    *18「用途地域」

    2.1.2(大気質(供用後)の「地域特性の把握」)のそれぞれ*2、*3 を参照。

  • - 1-10 -

    1.3 計画段階配慮事項の選定

    1)影響要因

    供用後とする。工事中の影響は、対象としない。*1

    2)環境要素

    事業特性及び地域特性を踏まえ、重大な影響を受けるおそれのある環境要素*2を選定

    する。

    なお、選定にあたっては、必要に応じ学識経験者等の助言を受け、客観性・妥当性を

    確保する。

    【解 説】

    ここで選定する計画段階配慮事項(EIAの「項目」に相当)は、構想段階における評

    価項目の一部である。

    *1 「工事中の影響は、対象としない」

    構想段階においては、工事中の影響を検討するための、建設機械の稼働や工事施工ヤ

    ードの設置等に関する計画まで決まるような熟度に無いため、対象としない。

    *2 「重大な影響を受けるおそれのある環境要素」

    選定の考え方を、表―1.1 に示す。

    なお、選定された計画段階配慮事項(選定事項)においては、概略ルート・構造の複

    数案の設定や比較評価において環境影響に配慮すべき対象(検討対象)を抽出して、そ

    れらと概略ルート・構造の複数案との位置関係を把握し、環境影響の程度を評価するも

    のである。

    選定事項は、EIAで選定する項目より少なくて済む(5程度以下)ことが一般的と

    考えられる。一方、配慮書段階で選定事項とされた環境要素であっても、環境影響の恐

    れが無いことが明らかとなり、EIAでは項目として選定しないこともあり得る。

    表-1.1 計画段階配慮事項の選定の考え方

    選定の考え方 備考

    大気質 事業実施想定区域及びその周囲に住居等の保全対象が

    存在する以下のような場合で、重大な環境影響を受ける

    おそれがある場合に、選定する。

    ・事業実施想定区域及びその周囲が市街地の場合

    ・事業実施想定区域及びその周囲が郊外・農村部で集落

    等が存在する場合 等

    計画段階配慮事項

    に選定することが

    一般的と考えられ

    る。 騒音

    動物 事業実施想定区域及びその周囲に、動植物の、学術上又

    は希少性等注)の観点から重要な種・種群が生息・生育

    する可能性があり、重大な環境影響を受けるおそれがあ

    る場合に、選定する。

    植物

    生態系

  • - 1-11 -

    土壌 事業実施想定区域及びその周囲に有害物質に係る土地

    利用(1.2 地域特性の*16 を参照)が存在する可能性があり、

    重大な環境影響を受けるおそれがある場合に、選定す

    る。

    計画段階配慮事項

    に、必要に応じて選

    定する場合がある

    と考えられる。

    地形及び地

    質(地下水)

    事業実施想定区域及びその周囲に重要な箇所(名勝等)

    が存在し、重大な環境影響を受けるおそれがある場合

    に、選定する。 景観

    人 と 自 然 と

    の 触 れ 合 い

    活動の場

    その他

    注)動物・植物・生態系の欄の「等」は、地域における重要視(注目、愛着、観光資源等)の観点を

    指す。

  • - 1-12 -

    1.4 調査の手法

    1)調査すべき情報

    選定した計画段階配慮事項(選定事項)に関する、環境要素の状況、自然的状況又は

    社会的状況に関する情報*1を調査する。なお、EIAと同程度の調査ではなく、概略ル

    ート・構造の検討において必要な情報を調査すれば良い。

    2)調査の基本的な手法

    「1.1 事業特性」及び「1.2 地域特性」として把握した既存資料から抽出する。

    なお、必要に応じ、専門家等からの知見の収集等を行う*2。

    3)調査地域

    道路事業実施想定区域及びその周囲とする。

    【解 説】

    *1 「選定した計画段階配慮事項(選定事項)に関する、環境要素の状況、自然的状況又は

    社会的状況に関する情報」

    以下を把握する。

    (a) 概略ルート・構造の複数案の設定や比較評価において環境影響に配慮すべき対象

    (検討対象)の位置

    (b) (a)と概略ルート・構造の複数案との位置関係を把握するために必要な、複数案ご

    との事業の内容

    より具体的内容としては、以下のとおり。

    ①大気質、騒音等(生活環境系の環境要素)については、

    ・集落・市街地等の位置(郊外や農村の場合)

    ・複数案の概略ルートの地下区間(市街地内の場合)

    ②動物、植物、生態系(自然環境系の環境要素)については、

    ・動物、植物:学術上又は希少性等の観点から重要な種・群落の生息地・生育地

    ・生態系:生態系の保全上重要であって、まとまって存在する自然環境

    「配慮書段階の検討」においては、これらの調査を既存資料から可能な範囲で行い、後述の専門家

    等のヒアリングで補完する程度で良い。EIAと同程度の現地調査を広範囲に行っても、多大なコス

    トを要するばかりではなく、事業実施時点までに状況が変化してしまい活用できない可能性が高い。

    なお、動物、植物において、既存資料による重要な種・群落の生息地・生育地に関する情報が少な

    い場合は、それらの生息地・生育地として機能している可能性が高い自然環境(繁殖地、餌場、ねぐ

    らとなっている樹林、湿地等)を植生図等から推定する方法等も有効であると考えられる。

    *2「必要に応じ、専門家等からの知見の収集等を行う」

    例えば、既存資料による情報には、場所によって詳細度の濃淡が生じることがある。

    詳細度の低い場所について、当該分野の学識経験者へのヒアリングや補足的な現地調査

    等の情報収集により、検討対象の抽出や概略ルート・構造の検討が効率良く実施できる

    ようになる場合が考えられる。

    特に、動植物については、当該生物種に詳しい学識経験者や地元関係者へのヒアリン

    グ、地方公共団体(環境部局、博物館)への照会等が有効な場合がある。

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    1.5 予測の手法

    1)予測の基本的な手法

    複数案ごと、選定事項ごとに、環境の状況の変化*1を定量的又は定性的に把握する。

    2)予測地域

    調査地域と同じとする。

    3)予測対象時期等

    供用開始後定常状態になる時期及び影響が最大になるおそれのある時期等とする。

    【解 説】

    *1「環境の状況の変化」

    概略ルート・構造の複数案の設定や比較評価において環境影響に配慮すべき対象(検

    討対象)と概略ルート・構造の複数案との位置関係について、以下を整理する。

    (a) 検討対象と事業実施想定区域との位置関係

    (b) 事業実施想定区域における検討対象の改変の程度

    より具体的内容としては、次のとおり。

    ①大気質、騒音(生活環境系の環境要素)においては、以下を把握する。なお、環境影

    響の程度が明らかな場合等は、定量的な距離等の把握は必ずしも必要無い。

    ・複数案の概略ルートと集落・市街地等との離隔距離(郊外や農村の場合)

    ・複数案の概略ルートの地下区�