医師臨床研修制度の見直しについて(2020年度研修より適用予定)...

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・基礎研究の国際競争力の低下 医師臨床研修制度の見直しについて(2020年度研修より適用予定) ~医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告(概要)~ 医師臨床研修制度は、医師の基本的な診療能力の習得のため、平成16年度に努力義務から必修化され、概ね5年毎に見直しを行ってきた。 今回は、①卒前卒後の一貫した医師養成、②到達目標、③臨床研修病院の在り方、④地域医療の安定的確保等について見直し。 今後、臨床研修制度が研修医、患者、医療制度等に与えた影響を評価し、卒前・卒後教育の連続性の観点から制度の在り方の検討が必要(1)医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標・方略・評価を作成 (2)今後、臨床研修制度について、医学部の共用試験、医学教育モデル・コ ア・カリキュラム、国家試験と同時期に検討 (1)目標、方略、評価に分けて整理・簡素化 (2)目標を「医師としての基本的な価値観(プロフェッショナリズム)」、「資質・能 力」、「基本的診療業務」に整理し、入院、外来、救急、地域医療の基本 的な診療能力を担保 (3)方略は、内科、救急、地域医療に加え、外科、小児科、産婦人科、精神 科を必修化し、一般外来の研修を含むことを追加 (4)評価は、モデル・コア・カリキュラムとの連続性を考慮しつつ、標準化 (1)指導・管理体制等についての訪問調査の見直し 改善の見られない病院は指定取消の対象課題の見られる基幹型病院は訪問調査の対象(2)プログラム責任者養成講習会の受講義務化 (3)第三者評価を強く推奨し、次回以降義務化を前提に検討 (1)大都市圏の募集定員を圧縮し、それ以外の募集定員を確保 臨床研修病院の募集定員倍率を2025年度に1.05倍まで圧縮 医学部入学定員による募集定員の算定には上限を設ける 地理的条件等の加算を増加 (2)地域枠等の一部について、一般のマッチングとは分けて選考 (3)国が一定の基準等を示した上で、臨床研修病院の指定・募集定員設定を 都道府県が行う (1)中断・未修了の対応は継続 (2)大学病院に基礎研究医養成枠を設置 ・卒前と卒後の医師養成過程が整合的であることが必要 ・現行の到達目標は、目標、方略、評価が不明確 ・基本的診療能力や臨床推論の更なる習得 ・評価方法の標準化が必要 1. 卒前・卒後の一貫した医師養成について 5 .その他 2 .到達目標・方略・評価について ・臨床研修病院の更なる質の向上 ・地域医療の確保に対する更なる対応が必要 ・都道府県の実情に応じた対応が必要 4 .地域医療の安定的確保について 3 . 臨床研修病院の在り方について 1

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・基礎研究の国際競争力の低下

~医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告(概要)~医師臨床研修制度の見直しについて(2020年度研修より適用予定)

~医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告(概要)~○ 医師臨床研修制度は、医師の基本的な診療能力の習得のため、平成16年度に努力義務から必修化され、概ね5年毎に見直しを行ってきた。○ 今回は、①卒前卒後の一貫した医師養成、②到達目標、③臨床研修病院の在り方、④地域医療の安定的確保等について見直し。○ 今後、臨床研修制度が研修医、患者、医療制度等に与えた影響を評価し、卒前・卒後教育の連続性の観点から制度の在り方の検討が必要。

(1)医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標・方略・評価を作成(2)今後、臨床研修制度について、医学部の共用試験、医学教育モデル・コ

ア・カリキュラム、国家試験と同時期に検討

(1)目標、方略、評価に分けて整理・簡素化(2)目標を「医師としての基本的な価値観(プロフェッショナリズム)」、「資質・能

力」、「基本的診療業務」に整理し、入院、外来、救急、地域医療の基本的な診療能力を担保

(3)方略は、内科、救急、地域医療に加え、外科、小児科、産婦人科、精神科を必修化し、一般外来の研修を含むことを追加

(4)評価は、モデル・コア・カリキュラムとの連続性を考慮しつつ、標準化

(1)指導・管理体制等についての訪問調査の見直し改善の見られない病院は指定取消の対象へ課題の見られる基幹型病院は訪問調査の対象へ

(2)プログラム責任者養成講習会の受講義務化(3)第三者評価を強く推奨し、次回以降義務化を前提に検討

(1)大都市圏の募集定員を圧縮し、それ以外の募集定員を確保臨床研修病院の募集定員倍率を2025年度に1.05倍まで圧縮医学部入学定員による募集定員の算定には上限を設ける地理的条件等の加算を増加

(2)地域枠等の一部について、一般のマッチングとは分けて選考(3)国が一定の基準等を示した上で、臨床研修病院の指定・募集定員設定を

都道府県が行う

(1)中断・未修了の対応は継続(2)大学病院に基礎研究医養成枠を設置

・卒前と卒後の医師養成過程が整合的であることが必要

・現行の到達目標は、目標、方略、評価が不明確・基本的診療能力や臨床推論の更なる習得・評価方法の標準化が必要

1. 卒前・卒後の一貫した医師養成について

5 .その他

2 .到達目標・方略・評価について

・臨床研修病院の更なる質の向上

・地域医療の確保に対する更なる対応が必要・都道府県の実情に応じた対応が必要

4 .地域医療の安定的確保について

3 . 臨床研修病院の在り方について

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医道審議会医師分科会医師臨床研修部会

報告書

-医師臨床研修制度の見直しについて-

平成 30 年 3 月 30 日

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目次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1 卒前卒後の一貫した医師養成について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2 到達目標・方略・評価について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

(1)臨床研修の到達目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

(2)方略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

(3)評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

3 臨床研修病院の在り方について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(1)必要な症例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(2)指導・管理体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

(3)基幹型臨床研修病院等の在り方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

(4)第三者評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

4 地域医療の安定的確保について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

(1)募集定員の設定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

(2)地域枠への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

(3)都道府県の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

5 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

(1)中断・未修了・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

(2)研究医養成との関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

別添1:医道審議会医師分科会医師臨床研修部会委員名簿・・・・・・・・・・・・・16

別添2:医師臨床研修部会 審議経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

別添3:臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

別添4:臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

審議経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

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はじめに

○ 現在の医師臨床研修制度は、平成12(2000)年の医師法の一部改正により平成16(2004)

年度から導入され、「医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にか

かわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において

頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けるこ

とのできるものでなければならない(厚生労働省令)」との基本理念の下、従来の努力

義務から必修化する形で開始された。

○ 平成 21(2009)年には、必修化後の状況における関係者の意見を踏まえ、研修プログ

ラムの弾力化、基幹型臨床研修病院(以下「基幹型病院」という。)の指定基準の強化、

研修医の募集定員の見直し等が行われ、平成 22(2010)年度研修から適用されている。

○ 平成 25(2013)年には、研修希望者に対する募集定員の倍率の縮小、都道府県が上限

の範囲内で各病院の募集定員を調整できる枠の追加等が行われ、平成 27(2015)年度研

修から適用されており、まもなく必修化後 15 年になろうとしている。

○ 2020 年度研修からの適用を見込んでいる今回の制度の見直しについては、前回の制度

見直しにおいて、その施行後5年以内に見直しを行うこととなっていたこと等を踏まえ、

臨床研修の実施状況や診療能力の修得状況等を把握し、到達目標や評価の在り方につい

ての検討をすることを目的として設置された「医師臨床研修制度の到達目標・評価に関

するワーキンググループ」及び医道審議会医師分科会医師臨床研修部会において、関係

者からのヒアリング、研修医に対するアンケート調査等を参考に議論を重ね、取りまと

めたところである。

1 卒前・卒後の一貫した医師養成について

○ 医師の養成については、文部科学省が設置した連絡調整委員会により策定された医学

教育モデル・コア・カリキュラムを通じて学修目標が示されている卒前の医学教育と、

厚生労働省により研修の到達目標が示されている臨床研修、日本専門医機構が準備を進

めている専門医制度などの一連の医師養成の過程において、教育目標及び内容、医師と

して目指す姿が整合していくことや、総合的な診療能力が修得されることが重要である。

○ 一方、これまで、医学部における共用試験、国家試験、臨床研修、専門研修及び生涯

教育等については、検討する実施主体や改訂年度が異なっており、整合的な医師養成の

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仕組みの構築について十分な議論がされてこなかったといった指摘がある。そのため、

質の高い卒前の臨床実習および卒後の臨床研修の実現に向けた、シームレスな医師養成

を更に推進していくために、臨床研修制度のあり方については、卒前教育や、新専門医

制度の動向を踏まえ、卒前と卒後の医師養成過程が整合的なものとなるよう検討してい

く必要がある。

○ したがって、医師臨床研修制度のあり方については、どのような医師を育成すべきか

を踏まえた上で、卒前教育における診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)

の充実や大学間の取組内容の標準化等の状況、新専門医制度の状況を踏まえつつ、卒前

教育、国家試験、専門研修、生涯教育との整合性・連続性の観点から、総合的に検討を

続けていくべきである。

○ これらを踏まえ、今回の医師臨床研修制度の見直しにおいては、幅広い診療能力を身

に付けた医師の養成に向けて、臨床研修の到達目標・方略・評価については、医学教育

モデル・コア・カリキュラム等と整合的なものとなるように検討すべきである。加えて、

今後の検討においても、卒前・卒後の整合的な医師養成の構築について十分な議論を行

うために、医師臨床研修制度について、医学部の共用試験、医学教育モデル・コア・カ

リキュラム、国家試験と同時期に検討を行う等、必要な対応を行うべきである。

2 到達目標・方略・評価について

○ 平成 25(2013)年 12 月にとりまとめられた医師臨床研修部会報告書においては、臨

床研修の到達目標について、次の点が指摘されている。

① 急速な高齢化等による人口動態や疾病構造の変化、卒前教育や新たな専門医の仕組

み等の医師養成全体の動向等に配慮すべきである。

② 入院医療から外来医療への移行をはじめとした医療提供体制の変化等について、適

切に踏まえるべきである。

③ 「経験すべき症状・病態・疾患」等については、当該項目を「経験する」ことが基

本となっているが、診療能力の評価をさらに重視すべきである。

④ 項目が細分化されており、何らかの簡素化が必要である。

○ また、現行の臨床研修の到達目標は、行動目標と経験目標から構成されているが、そ

の内容について必ずしも目標、方略、評価に分けられていないといった指摘がある。ま

た、経験目標の一部については、単に当該項目を「経験する」のではなく、診療能力の

評価をさらに重視すべきであるとの指摘や、評価方法の標準化が必要である等の指摘を

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踏まえ、新たな臨床研修の到達目標については、「目標」とそれを達成するための「方

略」、及びその「評価」に分けて整理を行う。

(1)臨床研修の到達目標

○ 医師は、病める人の尊厳を守り、医療の提供と公衆衛生の向上に寄与する職業の重大

性を深く認識し、医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)及び医師とし

ての使命の遂行に必要な資質・能力を身に付けていなくてはならない。そのため、医師

としての基盤形成の段階にある研修医は、基本的価値観を自らのものとし、基本的診療

業務ができるレベルの資質・能力を修得することを到達目標の基本方針とする。

○ 上記を踏まえ、新たな到達目標は、「医師としての基本的な価値観(プロフェッショ

ナリズム)」、医師として到達すべき「資質・能力」、および、医師としての「基本的診

療業務」を主たる構成要素とする。その上で、臨床研修の基本理念1を踏まえ、具体的

な項目としては、臨床研修修了後にどの専門領域に進んでも必要となる医師としての能

力とする。また、①で指摘があるとおり、医師養成全体の動向に配慮して、各養成過程

との連続性を考慮する必要があることから、卒前教育のモデル・コア・カリキュラム等

との連続性を考慮した臨床研修修了時に求められる修得の程度を、標準化した研修医評

価票に示す。

○ 到達目標の項目の設定に当たっては、①で指摘のある人口動態や疾病構造の変化、②

で指摘のある医療提供体制の変化に関連し、例えば、医療の社会性に係る項目(医療保

険、公費負担医療の理解等)、地域医療に係る項目(在宅医療、介護、地域包括ケア等)、

予防医療に係る項目、外来診療に係る項目等について充実させる。さらに、近年の政策

の動きや最新の知見、例えば、最近取りまとめられた薬剤耐性菌(AMR)アクション

プランや、検討がなされているゲノム医療等についても、それらの事項が包含された項

目の到達目標への組込みを行う。

○ 現行の到達目標にて経験目標の一部とされている「経験すべき診察法・検査・手技」

については、④の指摘を踏まえ、診療能力を評価する際の評価の枠組みに組み込む。

○ 「基本的診療業務」については、臨床研修修了時に医師としての一般的な診療ができ

ることを担保するため、一般外来診療、病棟診療、初期救急対応、地域医療の各項目に

おいて、コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、単独で診療ができることを

1 臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医

療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対

応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない。

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目標とする。

(2)方略

(2-1)経験すべき症候と経験すべき疾病・病態

○ 現行の到達目標にて経験目標の一部とされている「経験すべき症状・病態・疾患」に

ついては、④の指摘を踏まえ、簡素化の観点から必要な項目を検討し、臨床研修医が到

達すべき能力を修得するための方略として位置づける。その際には、臨床推論の能力の

修得、症候からの診断的アプローチに重点をおくことが重要であることや、頻度の高い

疾病や緊急を要する疾病の診療能力を修得する観点から、「経験すべき症候」と「経験

すべき疾病・病態」として整理する。

○ 「経験すべき症候」と「経験すべき疾病・病態」の項目については、②の指摘や④の指

摘、臨床研修医にとっては臨床推論の能力の修得が特に重要であるとの指摘を踏まえ、

現在のA疾患(入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを提

出)、B疾患(外来診療又は受け持ち入院患者(合併症含む。)で自ら経験)の分類につ

いては廃止し、新たな「経験すべき症候」と「経験すべき疾病・病態」については、項

目を簡素化するとともに、すべて経験することとする。

○ 現状、「経験すべき症状・病態・疾患」について提出することとされているレポートに

ついては、日常業務において作成する病歴要約等で確認を行うことし、その質を確保す

るため、病歴、身体所見、検査所見、アセスメント、プラン(診断、治療方針、教育)、

考察等を含むこととする。

(2-2) 臨床研修を行う分野・診療科(必修診療科等)

○ 臨床研修を行う分野・診療科については、平成 22(2010)年度の臨床研修制度の見直

しにおいて、将来のキャリア等に関わらず多くの診療科での短期間の研修が一律に行わ

れることで、専門医等の多様なキャリアパスへの円滑な接続の妨げとなる場合があるこ

とから、研修医の将来のキャリア等への円滑な接続が図られ、各病院の個性や工夫を活

かした特色ある研修が可能となるよう、研修プログラムの弾力化2が行われた。

○ 一方、外科や小児科、産婦人科、精神科を含む複数の診療科をローテートすることで、

研修医の基本的な診療能力に一定の向上が見られたことや、新たな到達目標において、

診療技能と患者ケア、チーム医療の実践、コミュニケーション能力等が含まれること、

新たな経験すべき症候・疾病において、成長発達の障害、妊娠・出産、統合失調症等、

2 必修の診療科は内科(6か月以上)、救急(3か月以上)とし、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精

神科を新たに選択必修と位置づけ、この中から各研修医が2診療科を選択することとした。

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幅広い分野の項目が含まれること等を踏まえ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷

又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けるために、内科、外科、

小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療を必修分野とする。また、②の指摘や、診

断のついていない症例に対して臨床推論を的確に行う能力の重要性、外来での研修を充

実すべきとの意見を踏まえ、一般外来における研修を方略に位置づける。

その際、研修医の将来のキャリア等への円滑な接続が妨げられないよう、選択研修に

ついては十分な期間を取ることとする。また、柔軟な研修が可能となるよう、研修期間

については従来の月単位から週単位とする。

○ 現行の到達目標にて経験目標の一部とされている「特定の医療現場の経験」について

も、臨床研修を行う分野との整理を行った上で、必要な事項を方略として位置づける。

また、従来、「地域保健」とされていた選択研修については、地域医療との混同を防ぎ、

その趣旨を明確化するため、「保健・医療行政」とし、国際機関、行政機関、矯正施設、

産業保健等での研修も可能であることを明確化する。 (2-3)研修期間

○ 「研修期間」については、臨床研修の基本理念や、到達目標の達成、必修診療科の見

直し等を踏まえれば、引き続き現行の2年以上で差し支えないと考えられる。

○ 基幹型病院の在り方については、平成 25(2013)年 12 月にとりまとめられた臨床研

修部会報告書において、「到達目標の多くの部分を研修可能な環境と研修医及び研修プ

ログラムについての全体的な管理・責任を有する病院であるべきである」とされており、

現状では、基幹型病院での研修期間については、地域医療との関係等に配慮しつつ、「8

月以上」とした上で、全体の研修期間の半分以上に該当する「1年以上」を目指すこと

が望ましいとされている。

一方、現在1年未満の研修を行っている基幹型病院は6%に過ぎないことも踏まえ、

協力型臨床研修病院(以下「協力型病院」という。)又は臨床研修協力施設と共同して

臨床研修を行う場合にあっては、原則として、1年以上は基幹型病院で研修を行うこ

ととする。ただし、地域医療や保健・医療行政は原則として基幹型病院で行わないこ

とや、一定期間のみ基幹型相当の協力型病院において研修を行った場合などは、必ず

しも基幹型病院の役割を果たしていないとはいえないことから、これらの期間は 12 週

を上限として、基幹型病院で研修を行ったものとみなす等の配慮が必要と考えられる。

なお、この場合でも基幹型病院での研修期間は、共同して臨床研修を行うそれぞれの

協力型病院での研修期間を超えるものとする。

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(3)評価

○ 平成 25(2013)年 12 月にとりまとめられた医師臨床研修部会報告書においては、臨

床研修の到達目標について、以下の点が指摘されている。

各臨床研修病院において採用している臨床研修医の評価方法は様々であるため、

何らかの標準化が必要である。

・ 明確な評価基準がないため、「十分できる」等の評価であっても、実際にはその

程度には大きなばらつきがある。

・ 適切な評価としては、目標によって異なり、例えば、実際の診療現場の観察を通

した評価や他職種からの評価(360 度評価)等が挙げられる。また、研修を通して

学習成果や振り返り等を蓄積するポートフォリオによる評価を導入している病院

もある。

・ 評価方法の標準化については、評価の重要な部分を全国的に揃えることによって、

研修の質の保証やデータの収集に役立つのはないかとの指摘がある。

・ 一方、大学病院・臨床研修病院の規模や特色等、個々の実情を考慮し、全国にお

いて実施可能な評価方法となるよう配慮すべきであるとの意見がある。

(3-1)研修医評価票

○ これらの指摘・意見を踏まえ、臨床研修の到達目標の項目毎に、臨床研修医に求めら

れる修得の程度を示すとともに、評価方法を提示し、標準化を行う。具体的には、各分

野・診療科のローテーション終了時に、医師および医師以外の医療従事者が、国が示す

研修医評価票を用いて、到達目標の達成度を評価し、研修管理委員会で保管する。 (3-2)研修評価方法

○ 到達目標の達成度については、少なくとも年2回、プログラム責任者・研修管理委員

会委員による形成的評価(フィードバック)を行う。2年間の研修修了時に、研修管理

委員会において臨床研修の目標の達成度判定票を用いて、到達目標達成の可否について

評価する。原則として、修了判定については、すべての到達目標について達成している

ことが必要であるが、身体障害により達成が困難な項目がある等のやむを得ない理由が

ある場合には、総合的に判断して修了判定を行うべきである。

○ 総括的評価としての修了判定については、現在、研修実施期間の評価、臨床研修の目

標の達成度の評価、および臨床医としての適性の評価の3点で行うこととされており、

このうち、臨床研修の目標の達成度の評価については、上記の達成度判定票を用いて行

うこととする。

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○ なお、これらの評価については、研修医および評価者等の負担軽減や、次回の制度の

見直しに向けて、今回の制度の見直しが研修の質の確保につながったかどうかを評価し

やすくする観点から、電子媒体にてインターネットを活用して実施するシステム化を図

るべきである。また、システム化に当たっては、卒前と臨床研修、専門研修等の卒後の

医師養成過程が一層整合的なものとなるよう、卒前の臨床実習等も含めた形で検討すべ

きである。

以上の考え方を踏まえて、取りまとめられた新たな到達目標、方略及び評価は、別添の

とおりである。

3 臨床研修病院の在り方について

(1)必要な症例

○ 平成 25(2013)年 12 月にとりまとめられた医師臨床研修部会報告書においては、臨

床研修の到達目標について、以下の点が指摘されている。

・ 到達目標の達成に向け必要な症例を確保するため、症例数について何らかの基準

は必要であると考えられるが、「年間入院患者数 3,000 人以上」の要件が絶対的な

基準であるとはいい難いとの指摘がある。

・ 現在、研修医を受け入れている研修病院に対する訪問調査の結果をみると、年間

入院患者数 3,000 人未満の病院であっても適切な研修が行われている場合がある

こと等から、入院患者数のみで評価するのではなく、訪問調査による評価等も必要

であるとの指摘もある。

・ 年間入院患者数が 3,000 人以上の研修病院であっても、研修の質の確保の観点か

ら、指導・管理体制等については、適切に評価されるべきであるとの指摘がある。

○ これらの点を踏まえ、研修の質の確保の観点から、当面、「年間入院患者数 3,000 人

以上」の要件は維持しつつ、当該基準に満たない研修病院についても、良質な研修が見

込める場合には、訪問調査により評価する等の対応が考えられる、との結論を得た。ま

た、当該基準に満たない病院の新規指定の申請については、到達目標の大部分は研修が

可能であり、年間入院患者 3,000 人をあまりに下回らない等、良質な研修が見込める場

合に、訪問調査により評価することが望ましい、とされた。

○ 訪問調査においては、書類等による確認、研修医へのインタビュー等を行い、「研修

を行うのに十分な症例や研修にふさわしい環境が整備されているか」等の5項目につい

て、臨床研修病院として適当であるか否かという視点から調査を実施しているが、これ

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までに実施された2回目以降の訪問調査結果を見ると、特に臨床研修病院の指導・管理

体制に関する事項について、悪化や変化なしとなる項目が5割を超える状況となってい

る。

○ このため、訪問調査の対象となる基幹型病院における研修の質の向上を図るため、基

幹型病院の訪問調査に係る指定取消等について、以下の見直しを行う。

・ 現状、総合評価において三段階(A、B、C)となっている評価を四段階(A、

B+、B-、C)とし、B-と評価された病院については次回の調査において、続

けてB-と評価された場合、原則、指定取消の対象とする。

・ 訪問調査時に調査の対象となる項目を常時公表する。

・ 医師臨床研修部会で訪問調査結果に対する意見を聴取し、その結果を基幹型病院

にフィードバックする。

(2)指導・管理体制

○ 現在、基幹型病院の指定基準として、研修管理委員会を設置していること、プログラ

ム責任者を適切に配置していること、適切な指導体制を有していること(研修医5人に

対して指導医が1人以上)が定められている。

○ プログラム責任者の要件としては、7年以上の臨床経験を有すること、プライマリ・

ケアの指導方法等に関する講習会(指導医講習会)を受講していること等となっており、

また、研修プログラムの実施を管理し、適切な指導体制の確保に資するための講習会(プ

ログラム責任者養成講習会)を受講していることが望ましい、とされている。

○ 平成 25(2013)年 12 月にとりまとめられた医師臨床研修部会報告書においては、プ

ログラム責任者について、プログラム責任者養成講習会の受講を促進し、将来的に受講

を必須の方向とする等、その育成を強化すべきとされており、また、プログラム責任者

アンケートによると、

・ 実際にプログラム責任者の約9割が同講習会を受講していること。

・ 同講習会の効果として、医師臨床研修制度について理解が進んだ等の回答が多い

こと。

・ 同講習会を受講していない理由として、指定基準では受講が義務ではないことが

一定割合挙げられていること。

が認められるため、円滑かつ効果的な臨床研修を推進する等の観点から、経過措置を講

じた上で、同講習会の受講を必須とする。

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○ 経過措置については、平成 31(2019)年度以前にプログラム責任者となった者につ

いては、2020 年度から 2022 年度までの3年間は同講習会の受講を猶予する旨の措置を

講じることとする。

○ また、プログラム責任者養成講習会については、さらなる質の向上を図る観点から、

よりきめ細かい開催指針等を定めることとする。この際、開催場所、開催頻度、講習内

容等について検討を加えることとする。

○ 2(3)の評価については、今回、新たに行われるものであることから、円滑に評価

が実施されるように、2020 年度までの間に、国立保健医療科学院のホームページ上に

公開されている「新医師臨床研修制度における指導ガイドライン」を見直すとともに、

評価を行う指導医等に対して講習会等が行われることが望ましい。

(3)基幹型臨床研修病院等の在り方

○ 基幹型病院の在り方については、「年間入院患者数 3,000 人以上」の要件も含め、今

後検討する必要があるが、まずは、年間入院患者数が 3,000 人以上の基幹型病院のうち

指導・管理体制等に課題があると考えられる※基幹型病院については、訪問調査と同様

の仕組みを取り入れるべきである。この課題の確認に当たっては、国と都道府県が連携

して対応すべきである。

※ 書面調査の結果、2年以上にわたり基幹型病院の指定の基準(救急医療を提供し

ていること、臨床病理検討会(CPC)を適切に開催していること、医療に関する安

全管理のための体制を確保していること等)を満たしていない疑いのある場合

○ 臨床研修を行うために適切な研修医の数について、現在の規定では、病床数や年

間入院患者数に対して多すぎる場合があるのではないかといった意見があり、今後、

今回の見直しの影響を踏まえつつ、病床数や年間入院患者数の要件も含め検討すべ

きである。

○ また、現在、新たに基幹型病院を指定する際は、協力型病院として研修医に対して臨

床研修を行った実績として、具体的には研修医に対して研修医1人当たりの研修期間に

かかわらず合計で2年間の臨床研修を行ったことに相当する実績があることを求めて

いる。これは、例えば研修医1人当たりの研修期間が1か月程度であっても認められる

基準であり、基幹型病院に求められる実績としては不十分という意見もあるため、協力

型病院として研修医に対して臨床研修を行った実績については、例えば、

・研修医1人当たりの研修期間が8週以上となることを必須とするとともに、

・複数の必修分野を担当することが望ましい

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こととしつつ、これらを含め、総合的に判断すべきである。

○ 協力型病院の在り方についても、新たな臨床研修の到達目標、方略及び評価を踏まえ

て、その要件を今後検討する必要がある。

(4)第三者評価

○ 年間入院患者数が 3,000 人以上の基幹型病院であっても、研修の質の確保の観点から、

指導・管理体制等については、第三者から適切に評価されるべきであり、この観点から、

基幹型病院については、年間入院患者数にかかわらず第三者からの評価を受けることを

強く推奨する。

○ なお、第三者評価を受けていない理由として、臨床研修プログラム責任者アンケート

においては、義務ではないことが最も多くあげられているが、現時点において、第三者

評価を受けている病院の割合は基幹型病院の約4割弱にとどまっていること等を踏ま

え、今後の普及状況や第三者評価を行う実施機関の運用状況等に基づき、次回以降の見

直しの際に、第三者評価を義務化することを前提とした検討を行うべきである。この際

には、第三者評価の認定基準の整理を行い、特定の実施機関に限定することがないよう

にするとともに受審する病院の負担等についても考慮すべきである。

4 地域医療の安定的確保について

(1)募集定員の設定

○ 臨床研修病院の募集定員については、

・ 人口当たり医師数が多く研修医採用率も高い大都市圏の都府県がある一方、医師

数が少なく研修医採用率も少ない県がある。

・ 募集定員倍率を 2020 年度以降も1.1倍に維持した場合、大都市圏の都府県と

それ以外の道県の採用実績の割合はほぼ横ばいの見込みである。

・ 一方、定員倍率の極端な圧縮は、①採用実績数の減少、②病院間の競争の低下、

③アンマッチ率の増加、を引き起こす懸念がある。

という状況が見られる。

○ 2025 年度に募集定員倍率を1.05倍にした場合の推計においても、前年度採用者

数の保障を行うこととすれば、全都道府県で、募集定員上限が平成 29(2017)年度の

採用実績を上回るよう設定される。

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○ これらを踏まえて、地域医療の確保の観点から臨床研修医の都市部への集中を更に抑

制していくために、前年度採用者数の保障を行った上で、臨床研修病院の募集定員倍率

を 2025 年度に1.05倍となるよう更に圧縮させることとする。

○ また、都道府県別の募集定員上限の計算式について、医学部入学定員で按分している

都府県では、人口分布で按分した場合の定員に比べて必要以上の定員増となることがあ

り、その結果、募集定員上限よりも実際の募集定員を削減させている県や、研修医の採

用率が低い県がある。

○ このため、都道府県別の募集定員上限の計算式について、

・ 医学部入学定員による募集定員の算定に当たっては一定の上限を設けること

・ 医師が少ない地域等へ配慮する観点から、地理的条件等の加算を増加させること

とし、全体として、大都市圏の都府県の募集定員を圧縮し、それ以外の道県の募集定員

を確保することとする。

(2)地域枠への対応

○ 研修医に対するアンケートの結果を見ると、出身地や大学所在地と異なる都道府県で

臨床研修を行うと、出身地や大学所在地への定着率が大きく低下する傾向が見られる。

○ また、現行では地域枠学生も、一般枠学生と同様、マッチングに参加して臨床研修を

行う病院を決定しているため、現行のマッチングの仕組みでは、地域枠の医師が、診療

義務が課せられた地域で勤務できない可能性がある。

〇 なお、自治医科大学と防衛医科大学校の学生は、マッチングに参加せず、研修を行う

病院を個別に調整して決定している。

○ このような状況を踏まえ、研修医が、臨床研修修了後に出身地や出身大学の都道府県

に定着することを促し、地域枠の医師が診療義務を課せられた地域で適切に勤務できる

よう、地域枠や地元出身者等に対する臨床研修の選考については、地域枠の一定割合を

上限としつつ、一般のマッチングとは分けて実施することとする。

○ なお、この場合、臨床研修病院毎の選考枠については、地域医療対策協議会の意見を

聴いた上で個別に判断する。

○ また、地域枠だけを特別扱いすると適正な競争が行われないなどの意見があったこと

から、当面、上記の一般のマッチングとは分けて実施する選考の都道府県ごとの募集定

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員の合計は、当該都道府県において臨床研修期間中に従事要件が課されている者の2割

以内とするとともに、当該選考は地域医療を 12 週以上行うなど地域医療に従事するこ

とを重視する研修医を対象としたプログラムを設ける病院のみで行うこととし、当該病

院ごとの当該選考の募集定員は病院全体の募集定員の2割又は5名の少ない方以下と

する。

○ アンマッチとなるかどうかについては、希望順位登録の方法が大きく影響すると考え

られるので、医師臨床研修マッチングの参加者に対して、希望順位登録の方法の改善を

促すこととする。

○ 地域枠の学生について、地域医療への従事要件等が課されているにもかかわらず、従

事要件等に反している例があるのではないかとの指摘があった。基本的には、従事要件

等を遵守することが医師には求められるものであり、地域枠の学生が従事要件等に違反

することに、少なくとも臨床研修病院が加担することがないようにすべきである。この

ため、以下のように臨床研修病院等が適切な対応をとる仕組みとする。

・ 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者について、厚生労働省を経

由して、臨床研修病院に情報提供する。

・ 各臨床研修病院は、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希

望順位登録を行わない。

・ 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者について、採用先医療機関

を調べた上で、従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認し、毎年4月

末日までに厚生労働省に提出する。

・ 臨床研修病院が、従事要件等に反する研修医を採用している場合、制度から逸脱

した程度に応じて、当該病院に対して必要な対応を行う。

また、従事要件等に違反した地域枠の学生については、厳しい対応が必要との意

見があったため、速やかにその実態を把握すべきである。

(3)都道府県の役割

○ 地域の医療提供体制の確保に大きな影響を及ぼす臨床研修病院の指定・募集定員設定

に対し、地域医療に責任を有する都道府県の関与が限定的である。

○ 地域の病院の研修体制の構築状況や医師の勤務状況、医師養成体制と地域定着の関係

等の実情については、都道府県がより実態を把握している。

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○ 具体的には、現行では、国が主に過去の受入実績等による設定を行っているため、地

域の必要数と募集定員数にかい離がある場合があり、地域の実情をより把握している都

道府県が必要数に応じた募集定員を設定することで、地域で必要なマッチ者数を確保す

ることが可能になると考えられる。

○ このため、都道府県が管内の臨床研修病院の指定・募集定員設定に主体的に関わり、

格差是正を進めていくために、国が一定の基準等を示した上で、地域医療対策協議会の

意見を聴き、大学病院を含めた臨床研修病院の指定・募集定員設定を都道府県が行うと

いった仕組みを構築すべきである。

○ この場合、研修の質の確保等の観点から、国が臨床研修病院の指定・募集定員設定の

状況を把握し、必要な対応を行うべきである。

5 その他

(1)中断・未修了

○ 中断者の割合が増加せず、再開者が一定程度増加していることから、引き続き、適切

な進路指導、同一の病院での研修再開等の柔軟な対応、各地方厚生局における研修医か

らの相談の受け付け等の中断者に対する配慮を続けることとする。

○ 臨床研修の修了基準については、到達目標の見直しの影響を踏まえる必要があること

から、現行の「研修実施期間の評価」、「臨床研修の目標の達成度の評価」及び「臨床医

としての適性の評価」を継続することとする。

(2)研究医養成との関係

○ 基礎医学系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合は、近年増加傾向

にあるものの、ほぼ横ばいであり、その割合を高める必要がある。また、基礎医学論文

数については、諸外国(主に途上国)において基礎研究への取組が強化され、日米欧を

急速に追い上げてきているなど、我が国の国際競争力は相対的に低下傾向にあると考え

られる。

○ 一方、基礎医学に従事する予定の医師であっても、診療(健康診断等を含む。)を行

う場合は、臨床研修を修了する義務がある。また、臨床研修病院の募集定員については、

基礎医学に従事する予定の医師も含めて設定されている。

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○ このため、優れた基礎医学研究医を養成するため、基礎医学に意欲があり、基礎医学

系の大学院に入学する医師を対象に、臨床研修と基礎医学を両立するための基礎医育

成・研修コースを大学病院に設置することが望ましい。この基礎医育成・研修コースに

ついては、募集定員を一般の募集定員とは別枠とし、選考を一般のマッチングとは分け

て実施することとする。

○ また、基礎医育成・研修コースについては、基準を満たす大学病院に設置することと

するが、この基準としては、

・ 基礎医学系の大学院(研究)と臨床研修を両立できる環境がある

・ 選択研修時に基礎医学の研修を行うことができる

・ 研究医となった際のキャリア支援体制が確保されている

・ 修了者に魅力あるキャリアパスを提示している

・ 論文指導を行う環境がある

・ 学会発表の機会がある

・ 研究費などの予算措置がある

・ 一定の基礎医学論文数がある

・ 臨床研究中核病院である

などを求めることとする。なお、募集定員は原則1名までとするが、大学ごとに研究環

境が異なることを踏まえ、定員数については、基準に応じて0名から5名までとすべき

である。

○ この場合、大学病院毎の研究医選考枠については、地域医療対策協議会の意見を聴い

た上で個別に判断する。

○ なお、この基礎医育成・研修コースに関しては、

・ 選択研修の全期間を基礎医学の研修に充てるようなこともできてしまうので、ど

うやってこのコースの研修医の到達目標が達成されることを担保するのか。

・ 次回の見直しの際にこのコースの研修医の到達目標の達成度を示すべきではない

か。

との意見があったため、例えば、選択研修の半分以上の期間を基礎医学の研修に充てる

ような場合については、研修医の到達目標が確実に達成されるよう研修管理委員会で定

期的に確認を行うとともに、次回見直しに向けて研修医の到達目標の達成度を追跡調査

することとする。

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おわりに ○ 今後、本報告書をもとに、制度の一層の向上が図られることを期待したい。

○ あわせて、引き続き、医師臨床研修制度の在り方については、基本理念に照らし、関

係の状況を十分に踏まえつつ、必要な検討を行っていく必要があり、今回の制度見直し

の施行後5年以内に所要の見直しを行うことが求められる。また、この際には医師臨床

研修制度が研修医、患者、医療制度等に与えた影響を評価すべきである。

○ 検討に際しては、どのような医師を育成すべきかを踏まえた上で、卒前教育、国家試

験、専門研修、生涯教育との連続性の観点を十分に考慮すべきである。

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(別添1)

医道審議会医師分科会医師臨床研修部会委員名簿

氏 名 所属・役職

相原あいはら

道子み ち こ

横浜市立大学附属病院長

新井あ ら い

一はじめ

順天堂大学学長

岡村おかむら

吉よし

隆たか

金丸かねまる

吉よし

昌まさ

神野か ん の

正博まさひろ

和歌山県立医科大学理事長・学長

美郷町地域包括医療局総院長

社会医療法人財団董仙会理事長

○ 桐きり

野の

髙たか

明あき

東京大学名誉教授

河こう

野の

陽よう

一いち

独立行政法人労働者健康福祉機構千葉労災病院長

清水し み ず

貴子た か こ

社会福祉法人聖隷福祉事業団顧問

中なか

島しま

豊とよ

爾じ

岡山県精神科医療センター理事長

羽鳥は と り

裕ゆたか

公益社団法人日本医師会常任理事

○印は部会長

(五十音順)

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(別添2)

医師臨床研修部会 審議経過

平成 26 年 11 月 5 日

○臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループについて

平成 27 年 12 月 24 日

○医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループでの検討

状況について

平成 28 年 11 月 24 日

○医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するWGからの中間報告

平成 29 年 2 月 15 日

○医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するWGからの中間報告

平成 29 年 3 月 23 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標について

平成 29 年 9 月 27 日

○地域における医師の確保・定着を進めるための臨床研修の在り方について

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・方略・評価について

平成 29 年 11 月 15 日

○地域における医師の確保・定着を進めるための方策について

○臨床研修病院の指定基準の見直しについて

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・方略・評価について

平成 30 年 1 月 25 日

○臨床研修の中断・未修了について

○医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループからの報告

○医師臨床研修部会報告書(素案)について

平成 30 年 3 月 7 日

○医師臨床研修部会報告書(案)について

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(別添3)

臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ委員名簿

氏 名 所属・役職

伊野い の

美幸み ゆ き

聖マリアンナ医科大学医学部医学教育文化部門教授

大滝おおたき

純司じゅんじ

北海道大学大学院医学研究科医学教育推進センター教授

片岡かたおか

仁ひと

美み

金丸かねまる

吉よし

昌まさ

神野か ん の

正博まさひろ

岡山大学大学院医歯薬総合研究科地域医療人材育成講座教授

美郷町地域包括医療局総院長

社会医療法人財団董仙会理事長

清水し み ず

貴子た か こ

社会福祉法人聖隷福祉事業団顧問

高橋たかはし

弘明ひろあき

岩手県立中央病院医療研修部長

田中た な か

雄二郎ゆ う じ ろ う

全国医学部長病院長会議 卒後臨床研修検討WG委員

東京医科歯科大学理事

中なか

島しま

豊とよ

爾じ

岡山県精神科医療センター理事長

羽鳥は と り

裕ゆたか

公益社団法人日本医師会常任理事

伴ばん

信のぶ

太郎た ろ う

愛知医科大学医学教育センター長

○福井

ふ く い

次つぐ

矢や

聖路加国際病院長

古谷

ふるたに

伸之のぶゆき

東京慈恵会医科大学内科准教授

前野

ま え の

哲てつ

博ひろ

筑波大学医学医療系臨床医学域教授

○印は座長

(五十音順)

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(別添4)

臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

審議経過

平成 26 年 8 月 20 日

○到達目標・評価の在り方に関する論点について

平成 27 年 2 月 13 日

○到達目標とその評価に関する研究の中間報告について

○臨床研修修了者アンケート調査について

平成 27 年 7 月 2 日

○到達目標とその評価に関する研究の報告について

平成 27 年 8 月 19 日

○関係団体等からのヒアリング

・日本内科学会 認定医制度審議会前会長(現顧問) 渡辺 毅 氏

・日本救急医学会 教育・研修統括委員会委員長 森村 尚登 氏

・日本外科学会 理事長 國土 典宏 氏

・日本麻酔科学会 副理事長・教育委員長 稲田 英一 氏

平成 27 年 9 月 10 日

○関係団体等からのヒアリング

・日本小児科学会 生涯教育・専門医育成委員会委員長 鈴木 康之 氏

・日本産科婦人科学会 理事長 藤井 知行 氏

・精神科七者懇談会 精神科卒後研修問題委員会委員長 小島 卓也 氏

精神科卒後研修問題委員会委員 米田 博 氏

平成 27 年 10 月 14 日

○関係団体等からのヒアリング

・日本専門医機構 理事長 池田 康夫 氏

・日本医師会 常任理事 小森 貴 氏

・卒後臨床研修評価機構 専務理事 岩﨑 榮 氏

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平成 27 年 10 月 28 日

○関係団体等からのヒアリング

・四病院団体協議会(全日本病院協会 副会長) 神野 正博 氏

・全国医学部長病院長会議(東京医科歯科大学理事) 田中 雄二郎 氏

・研修医に対する教育と評価の取組等について

聖マリアンナ医科大学臨床研修病院群における取組

東京慈恵会医科大学附属柏病院における取組

平成 27 年 12 月 2 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 28 年 2 月 19 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 28 年 4 月 28 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 28 年 9 月 7 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 28 年 12 月 14 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 29 年 2 月 22 日

※文部科学省モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会との合同開催

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 29 年 6 月 26 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 29 年 9 月 21 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

平成 29 年 10 月 25 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

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平成 29 年 12 月 7 日

○医師臨床研修制度の新たな到達目標・評価の在り方について

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1

(別添)

臨床研修の到達目標、方略及び評価

臨床研修の基本理念(医師法第一六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令)

臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、

医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる

負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるもの

でなければならない。

-到達目標-

Ⅰ 到達目標

医師は、病める人の尊厳を守り、医療の提供と公衆衛生の向上に寄与する職業の重大性

を深く認識し、医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)及び医師としての

使命の遂行に必要な資質・能力を身に付けなくてはならない。医師としての基盤形成の段

階にある研修医は、基本的価値観を自らのものとし、基本的診療業務ができるレベルの資

質・能力を修得する。

A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)

1.社会的使命と公衆衛生への寄与

社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、限りある資源や社会の変遷に配慮した

公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。

2.利他的な態度

患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先し、患者の価値観や自己決定権を尊重

する。

3.人間性の尊重

患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの心を持って

接する。

4.自らを高める姿勢

自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。

B. 資質・能力

1.医学・医療における倫理性

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2

診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。

① 人間の尊厳を守り、生命の不可侵性を尊重する。

② 患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。

③ 倫理的ジレンマを認識し、相互尊重に基づき対応する。

④ 利益相反を認識し、管理方針に準拠して対応する。

⑤ 診療、研究、教育の透明性を確保し、不正行為の防止に努める。

2.医学知識と問題対応能力

最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題について、

科学的根拠に経験を加味して解決を図る。

① 頻度の高い症候について、適切な臨床推論のプロセスを経て、鑑別診断と初期対応

を行う。

② 患者情報を収集し、最新の医学的知見に基づいて、患者の意向や生活の質に配慮し

た臨床決断を行う。

③ 保健・医療・福祉の各側面に配慮した診療計画を立案し、実行する。

3.診療技能と患者ケア

臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え・意向に配慮した診療を行う。

① 患者の健康状態に関する情報を、心理・社会的側面を含めて、効果的かつ安全に収

集する。

② 患者の状態に合わせた、最適な治療を安全に実施する。

③ 診療内容とその根拠に関する医療記録や文書を、適切かつ遅滞なく作成する。

4.コミュニケーション能力

患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者や家族と良好な関係性を築く。

① 適切な言葉遣い、礼儀正しい態度、身だしなみで患者や家族に接する。

② 患者や家族にとって必要な情報を整理し、分かりやすい言葉で説明して、患者の主

体的な意思決定を支援する。

③ 患者や家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握する。

5.チーム医療の実践

医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。

① 医療を提供する組織やチームの目的、チームの各構成員の役割を理解する。

② チームの各構成員と情報を共有し、連携を図る。

6.医療の質と安全の管理

患者にとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。

① 医療の質と患者安全の重要性を理解し、それらの評価・改善に努める。

② 日常業務の一環として、報告・連絡・相談を実践する。

③ 医療事故等の予防と事後の対応を行う。

④ 医療従事者の健康管理(予防接種や針刺し事故への対応を含む。)を理解し、自らの

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3

健康管理に努める。

7.社会における医療の実践

医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社

会と国際社会に貢献する。

① 保健医療に関する法規・制度の目的と仕組みを理解する。

② 医療費の患者負担に配慮しつつ、健康保険、公費負担医療を適切に活用する。

③ 地域の健康問題やニーズを把握し、必要な対策を提案する。

④ 予防医療・保健・健康増進に努める。

⑤ 地域包括ケアシステムを理解し、その推進に貢献する。

⑥ 災害や感染症パンデミックなどの非日常的な医療需要に備える。

8.科学的探究

医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学及び医療

の発展に寄与する。

① 医療上の疑問点を研究課題に変換する。

② 科学的研究方法を理解し、活用する。

③ 臨床研究や治験の意義を理解し、協力する。

9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢

医療の質の向上のために省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進

の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。

① 急速に変化・発展する医学知識・技術の吸収に努める。

② 同僚、後輩、医師以外の医療職と互いに教え、学びあう。

③ 国内外の政策や医学及び医療の最新動向(薬剤耐性菌やゲノム医療等を含む。)を把

握する。

C. 基本的診療業務

コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、以下の各領域において、単独で診療

ができる。

1.一般外来診療

頻度の高い症候・病態について、適切な臨床推論プロセスを経て診断・治療を行い、

主な慢性疾患については継続診療ができる。

2.病棟診療

急性期の患者を含む入院患者について、入院診療計画を作成し、患者の一般的・全身

的な診療とケアを行い、地域連携に配慮した退院調整ができる。

3.初期救急対応

緊急性の高い病態を有する患者の状態や緊急度を速やかに把握・診断し、必要時には

応急処置や院内外の専門部門と連携ができる。

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4

4.地域医療

地域医療の特性及び地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保健・福祉

に関わる種々の施設や組織と連携できる。

Ⅱ 実務研修の方略

研修期間

研修期間は原則として2年間以上とする。

協力型臨床研修病院又は臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、

原則として、1年以上は基幹型臨床研修病院で研修を行う。なお、地域医療等における研

修期間を、12週を上限として、基幹型臨床研修病院で研修を行ったものとみなすことがで

きる。

臨床研修を行う分野・診療科

① 内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療を必修分野とする。また、

一般外来での研修を含めること。

② 原則として、内科 24 週以上、救急 12 週以上、外科、小児科、産婦人科、精神科及び

地域医療それぞれ4週以上の研修を行う。なお、外科、小児科、産婦人科、精神科及び

地域医療については、8週以上の研修を行うことが望ましい。

③ 原則として、各分野は一定のまとまった期間に研修(ブロック研修)を行うことを基

本とする。ただし、救急については、4週以上のまとまった期間に研修を行った上で、

週1回の研修を通年で実施するなど特定の期間一定の頻度により行う研修(並行研修)

を行うことも可能である。なお、特定の必修分野を研修中に、救急の並行研修を行う場

合、その日数は当該特定の必修分野の研修期間に含めないこととする。

④ 内科については、入院患者の一般的・全身的な診療とケア、及び一般診療で頻繁に関

わる症候や内科的疾患に対応するために、幅広い内科的疾患に対する診療を行う病棟研

修を含むこと。

⑤ 外科については、一般診療において頻繁に関わる外科的疾患への対応、基本的な外科

手技の習得、周術期の全身管理などに対応するために、幅広い外科的疾患に対する診療

を行う病棟研修を含むこと。

⑥ 小児科については、小児の心理・社会的側面に配慮しつつ、新生児期から思春期まで

の各発達段階に応じた総合的な診療を行うために、幅広い小児科疾患に対する診療を行

う病棟研修を含むこと。

⑦ 産婦人科については、妊娠・出産、産科疾患や婦人科疾患、思春期や更年期における

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5

医学的対応などを含む一般診療において頻繁に遭遇する女性の健康問題への対応等を習

得するために、幅広い産婦人科領域に対する診療を行う病棟研修を含むこと。

⑧ 精神科については、精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に

対応するために、精神科専門外来又は精神科リエゾンチームでの研修を含むこと。なお、

急性期入院患者の診療を行うことが望ましい。

⑨ 救急については、頻度の高い症候と疾患、緊急性の高い病態に対する初期救急対応の

研修を含むこと。また、麻酔科における研修期間を、4週を上限として、救急の研修期

間とすることができる。麻酔科を研修する場合には、気管挿管を含む気道管理及び呼吸

管理、急性期の輸液・輸血療法、並びに血行動態管理法についての研修を含むこと。

⑩ 一般外来での研修については、ブロック研修又は並行研修により、4週以上の研修を

行うこと。なお、受入状況に配慮しつつ、8週以上の研修を行うことが望ましい。また、

症候・病態について適切な臨床推論プロセスを経て解決に導き、頻度の高い慢性疾患の

継続診療を行うために、特定の症候や疾病に偏ることなく、原則として初診患者の診療

及び慢性疾患患者の継続診療を含む研修を行うこと。例えば、総合診療、一般内科、一

般外科、小児科、地域医療等における研修が想定され、特定の症候や疾病のみを診察す

る専門外来や、慢性疾患患者の継続診療を行わない救急外来、予防接種や健診・検診な

どの特定の診療のみを目的とした外来は含まれない。一般外来研修においては、他の必

修分野等との同時研修を行うことも可能である。

⑪ 地域医療については、原則として、2年次に行うこと。また、へき地・離島の医療機

関、許可病床数が 200 床未満の病院又は診療所を適宜選択して研修を行うこと。さらに

研修内容としては以下に留意すること。

1)一般外来での研修と在宅医療の研修を含めること。ただし、地域医療以外で在宅医

療の研修を行う場合に限り、必ずしも在宅医療の研修を行う必要はない。

2)病棟研修を行う場合は慢性期・回復期病棟での研修を含めること。

3)医療・介護・保健・福祉に係わる種々の施設や組織との連携を含む、地域包括ケア

の実際について学ぶ機会を十分に含めること。

⑫ 選択研修として、保健・医療行政の研修を行う場合、研修施設としては、保健所、介

護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、検診・健診の実施施設、国際

機関、行政機関、矯正施設、産業保健等が考えられる。

⑬ 全研修期間を通じて、感染対策(院内感染や性感染症等)、予防医療(予防接種等)、

虐待への対応、社会復帰支援、緩和ケア、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、

臨床病理検討会(CPC)等、基本的な診療において必要な分野・領域等に関する研修

を含むこと。また、診療領域・職種横断的なチーム(感染制御、緩和ケア、栄養サポー

ト、認知症ケア、退院支援等)の活動に参加することや、児童・思春期精神科領域(発

達障害等)、薬剤耐性菌、ゲノム医療等、社会的要請の強い分野・領域等に関する研修

を含むことが望ましい。

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6

経験すべき症候

外来又は病棟において、下記の症候を呈する患者について、病歴、身体所見、簡単な検

査所見に基づく臨床推論と、病態を考慮した初期対応を行う。

ショック、体重減少・るい痩、発疹、黄疸、発熱、もの忘れ、頭痛、めまい、意識障害・

失神、けいれん発作、視力障害、胸痛、心停止、呼吸困難、吐血・喀血、下血・血便、嘔

気・嘔吐、腹痛、便通異常(下痢・便秘)、熱傷・外傷、腰・背部痛、関節痛、運動麻痺・

筋力低下、排尿障害(尿失禁・排尿困難)、興奮・せん妄、抑うつ、成長・発達の障害、

妊娠・出産、終末期の症候(29 症候)

経験すべき疾病・病態

外来又は病棟において、下記の疾病・病態を有する患者の診療にあたる。

脳血管障害、認知症、急性冠症候群、心不全、大動脈瘤、高血圧、肺癌、肺炎、急性上

気道炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性胃腸炎、胃癌、消化性潰瘍、肝炎・

肝硬変、胆石症、大腸癌、腎盂腎炎、尿路結石、腎不全、高エネルギー外傷・骨折、糖

尿病、脂質異常症、うつ病、統合失調症、依存症(ニコチン・アルコール・薬物・病的

賭博)(26疾病・病態)

※ 経験すべき症候及び経験すべき疾病・病態の研修を行ったことの確認は、日常業務

において作成する病歴要約に基づくこととし、病歴、身体所見、検査所見、アセスメ

ント、プラン(診断、治療、教育)、考察等を含むこと。

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7

Ⅲ 到達目標の達成度評価

研修医が到達目標を達成しているかどうかは、各分野・診療科のローテーション終了時

に、医師及び医師以外の医療職が別添の研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを用いて評価し、評価票

は研修管理委員会で保管する。医師以外の医療職には、看護師を含むことが望ましい。

上記評価の結果を踏まえて、少なくとも年2回、プログラム責任者・研修管理委員会委

員が、研修医に対して形成的評価(フィードバック)を行う。

2年間の研修終了時に、研修管理委員会において、研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを勘案して

作成される「臨床研修の目標の達成度判定票」を用いて、到達目標の達成状況について評

価する。

研修医評価票

Ⅰ.「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」に関する評価

A-1.社会的使命と公衆衛生への寄与

A-2.利他的な態度

A-3.人間性の尊重

A-4.自らを高める姿勢

Ⅱ.「B. 資質・能力」に関する評価

B-1.医学・医療における倫理性

B-2.医学知識と問題対応能力

B-3.診療技能と患者ケア

B-4.コミュニケーション能力

B-5.チーム医療の実践

B-6.医療の質と安全の管理

B-7.社会における医療の実践

B-8.科学的探究

B-9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢

Ⅲ.「C. 基本的診療業務」に関する評価

C-1.一般外来診療

C-2.病棟診療

C-3.初期救急対応

C-4.地域医療

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研修医評価票 Ⅰ

「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」に関する評価

研修医名

研修分野・診療科

観察者 氏名 区分 □医師 □医師以外(職種名 )

観察期間 年 月 日 ~ 年 月 日

記載日 年 月 日

レベル1

期待を

大きく

下回る

レベル2

期待を

下回る

レベル3

期待

通り

レベル4

期待を

大きく

上回る

観察

機会

なし

A-1. 社会的使命と公衆衛生への寄与

社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、限りある資源や社会の

変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。

□ □ □ □ □

A-2. 利他的な態度

患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先し、患者の価値観や自

己決定権を尊重する。

□ □ □ □ □

A-3. 人間性の尊重

患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いや

りの心を持って接する。

□ □ □ □ □

A-4. 自らを高める姿勢

自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。 □ □ □ □ □

※「期待」とは、「研修修了時に期待される状態」とする。 印象に残るエピソードがあれば記述して下さい。特に、「期待を大きく下回る」とした場合は必ず記入をお願いします。

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1

研修医評価票 Ⅱ

「B. 資質・能力」に関する評価

研修医名:

研修分野・診療科:

観察者 氏名 区分 □医師 □医師以外(職種名 )

観察期間 年 月 日 ~ 年 月 日

記載日 年 月 日

レベルの説明

レベル1

レベル2

レベル3

レベル4

臨床研修の開始時点で 期待されるレベル (モデル・コア・カリキュラム相当)

臨床研修の中間時点で 期待されるレベル

臨床研修の終了時点で 期待されるレベル

(到達目標相当)

上級医として 期待されるレベル

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2

1. 医学・医療における倫理性:

診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3

研修終了時で期待されるレベル

レベル4

■医学・医療の歴史的な流れ、臨

床倫理や生と死に係る倫理的問

題、各種倫理に関する規範を概説

できる。

■患者の基本的権利、自己決定権

の意義、患者の価値観、インフォ

ームドコンセントとインフォー

ムドアセントなどの意義と必要

性を説明できる。

■患者のプライバシーに配慮し、

守秘義務の重要性を理解した上

で適切な取り扱いができる。

人間の尊厳と生命の不可侵

性に関して尊重の念を示

す。

人間の尊厳を守り、生命の不

可侵性を尊重する。

モデルとなる行動を他者に

示す。

患者のプライバシーに最低

限配慮し、守秘義務を果た

す。

患者のプライバシーに配慮

し、守秘義務を果たす。

モデルとなる行動を他者に

示す。

倫理的ジレンマの存在を認

識する。

倫理的ジレンマを認識し、相

互尊重に基づき対応する。

倫理的ジレンマを認識し、

相互尊重に基づいて多面的

に判断し、対応する。

利益相反の存在を認識す

る。

利益相反を認識し、管理方針

に準拠して対応する。

モデルとなる行動を他者に

示す。

診療、研究、教育に必要な

透明性確保と不正行為の防

止を認識する。

診療、研究、教育の透明性を

確保し、不正行為の防止に努

める。

モデルとなる行動を他者に

示す。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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3

2. 医学知識と問題対応能力:

最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題について、科

学的根拠に経験を加味して解決を図る。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■必要な課題を発見し、重要

性・必要性に照らし、順位付

けをし、解決にあたり、他の

学習者や教員と協力してより

良い具体的な方法を見出すこ

とができる。適切な自己評価

と改善のための方策を立てる

ことができる。

■講義、教科書、検索情報な

どを統合し、自らの考えを示

すことができる。

頻度の高い症候について、

基本的な鑑別診断を挙げ、

初期対応を計画する。

頻度の高い症候について、適

切な臨床推論のプロセスを

経て、鑑別診断と初期対応を

行う。

主な症候について、十分な鑑

別診断と初期対応をする。

基本的な情報を収集し、医

学的知見に基づいて臨床決

断を検討する。

患者情報を収集し、最新の医

学的知見に基づいて、患者の

意向や生活の質に配慮した

臨床決断を行う。

患者に関する詳細な情報を収

集し、最新の医学的知見と患

者の意向や生活の質への配慮

を統合した臨床決断をする。

保健・医療・福祉の各側面

に配慮した診療計画を立案

する。

保健・医療・福祉の各側面に

配慮した診療計画を立案し、

実行する。

保健・医療・福祉の各側面に

配慮した診療計画を立案し、

患者背景、多職種連携も勘案

して実行する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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4

3. 診療技能と患者ケア:

臨床技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え・意向に配慮した診療を行う。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■必要最低限の病歴を聴取

し、網羅的に系統立てて、身

体診察を行うことができる。

■基本的な臨床技能を理解

し、適切な態度で診断治療を

行うことができる。

■問題志向型医療記録形式で

診療録を作成し、必要に応じ

て医療文書を作成できる。

■緊急を要する病態、慢性疾

患、に関して説明ができる。

必要最低限の患者の健康

状態に関する情報を心

理・社会的側面を含めて、

安全に収集する。

患者の健康状態に関する情

報を、心理・社会的側面を含

めて、効果的かつ安全に収集

する。

複雑な症例において、患者の健

康に関する情報を心理・社会的

側面を含めて、効果的かつ安全

に収集する。

基本的な疾患の最適な治

療を安全に実施する。

患者の状態に合わせた、最適

な治療を安全に実施する。

複雑な疾患の最適な治療を患

者の状態に合わせて安全に実

施する。

最低限必要な情報を含ん

だ診療内容とその根拠に

関する医療記録や文書

を、適切に作成する。

診療内容とその根拠に関す

る医療記録や文書を、適切か

つ遅滞なく作成する。

必要かつ十分な診療内容とそ

の根拠に関する医療記録や文

書を、適切かつ遅滞なく作成で

き、記載の模範を示せる。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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5

4. コミュニケーション能力:

患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者や家族と良好な関係性を築く。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■コミュニケーションの方法

と技能、及ぼす影響を概説で

きる。

■良好な人間関係を築くこと

ができ、患者・家族に共感で

きる。

■患者・家族の苦痛に配慮し、

分かりやすい言葉で心理的社

会的課題を把握し、整理でき

る。

■患者の要望への対処の仕方

を説明できる。

最低限の言葉遣い、態度、

身だしなみで患者や家族に

接する。

適切な言葉遣い、礼儀正し

い態度、身だしなみで患者

や家族に接する。

適切な言葉遣い、礼儀正しい態

度、身だしなみで、状況や患者

家族の思いに合わせた態度で

患者や家族に接する。

患者や家族にとって必要最

低限の情報を整理し、説明

できる。指導医とともに患

者の主体的な意思決定を支

援する。

患者や家族にとって必要な

情報を整理し、分かりやす

い言葉で説明して、患者の

主体的な意思決定を支援す

る。

患者や家族にとって必要かつ

十分な情報を適切に整理し、分

かりやすい言葉で説明し、医学

的判断を加味した上で患者の

主体的な意思決定を支援する。

患者や家族の主要なニーズ

を把握する。

患者や家族のニーズを身

体・心理・社会的側面から

把握する。

患者や家族のニーズを身体・心

理・社会的側面から把握し、統

合する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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5. チーム医療の実践:

医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■チーム医療の意義を説明で

き、(学生として)チームの一

員として診療に参加できる。

■自分の限界を認識し、他の

医療従事者の援助を求めるこ

とができる。

■チーム医療における医師の

役割を説明できる。

単純な事例において、医療

を提供する組織やチームの

目的等を理解する。

医療を提供する組織やチ

ームの目的、チームの各構

成員の役割を理解する。

複雑な事例において、医療を

提供する組織やチームの目的

とチームの目的等を理解した

うえで実践する。

単純な事例において、チー

ムの各構成員と情報を共有

し、連携を図る。

チームの各構成員と情報

を共有し、連携を図る。

チームの各構成員と情報を積

極的に共有し、連携して最善

のチーム医療を実践する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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6. 医療の質と安全の管理:

患者にとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■医療事故の防止において個

人の注意、組織的なリスク管理

の重要性を説明できる

■医療現場における報告・連

絡・相談の重要性、医療文書の

改ざんの違法性を説明できる

■医療安全管理体制の在り方、

医療関連感染症の原因と防止

に関して概説できる

医療の質と患者安全の重要

性を理解する。

医療の質と患者安全の重要

性を理解し、それらの評

価・改善に努める。

医療の質と患者安全につい

て、日常的に認識・評価し、

改善を提言する。

日常業務において、適切な

頻度で報告、連絡、相談が

できる。

日常業務の一環として、報

告・連絡・相談を実践する。

報告・連絡・相談を実践す

るとともに、報告・連絡・

相談に対応する。

一般的な医療事故等の予防

と事後対応の必要性を理解

する。

医療事故等の予防と事後の

対応を行う。

非典型的な医療事故等を個

別に分析し、予防と事後対

応を行う。

医療従事者の健康管理と自

らの健康管理の必要性を理

解する。

医療従事者の健康管理(予

防接種や針刺し事故への対

応を含む。)を理解し、自

らの健康管理に努める。

自らの健康管理、他の医療

従事者の健康管理に努め

る。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

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7. 社会における医療の実践:

医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社

会と国際社会に貢献する。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■離島・へき地を含む地域社会

における医療の状況、医師偏在

の現状を概説できる。

■医療計画及び地域医療構想、

地域包括ケア、地域保健などを

説明できる。

■災害医療を説明できる

■(学生として)地域医療に積

極的に参加・貢献する

保健医療に関する法規・制

度を理解する。

保健医療に関する法規・制

度の目的と仕組みを理解す

る。

保健医療に関する法規・制

度の目的と仕組みを理解

し、実臨床に適用する。

健康保険、公費負担医療の

制度を理解する。

医療費の患者負担に配慮し

つつ、健康保険、公費負担

医療を適切に活用する。

健康保険、公費負担医療の

適用の可否を判断し、適切

に活用する。

地域の健康問題やニーズを

把握する重要性を理解す

る。

地域の健康問題やニーズを

把握し、必要な対策を提案

する。

地域の健康問題やニーズを

把握し、必要な対策を提

案・実行する。

予防医療・保健・健康増進

の必要性を理解する。

予防医療・保健・健康増進

に努める。

予防医療・保健・健康増進

について具体的な改善案な

どを提示する。

地域包括ケアシステムを理

解する。

地域包括ケアシステムを理

解し、その推進に貢献する。

地域包括ケアシステムを理

解し、その推進に積極的に

参画する。

災害や感染症パンデミック

などの非日常的な医療需要

が起こりうることを理解す

る。

災害や感染症パンデミック

などの非日常的な医療需要

に備える。

災害や感染症パンデミック

などの非日常的な医療需要

を想定し、組織的な対応を

主導する実際に対応する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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9

8. 科学的探究:

医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学及び医療

の発展に寄与する。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■研究は医学・医療の発展や患

者の利益の増進のために行わ

れることを説明できる。

■生命科学の講義、実習、患者

や疾患の分析から得られた情

報や知識を基に疾患の理解・診

断・治療の深化につなげること

ができる。

医療上の疑問点を認識す

る。

医療上の疑問点を研究課題

に変換する。

医療上の疑問点を研究課題

に変換し、研究計画を立案

する。

科学的研究方法を理解す

る。

科学的研究方法を理解し、

活用する。

科学的研究方法を目的に合

わせて活用実践する。

臨床研究や治験の意義を理

解する。

臨床研究や治験の意義を理

解し、協力する。

臨床研究や治験の意義を理

解し、実臨床で協力・実施

する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

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9. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢:

医療の質の向上のために省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成

にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。

レベル1 モデル・コア・カリキュラム

レベル2

レベル3 研修終了時に期待されるレベル

レベル4

■生涯学習の重要性を説明で

き、継続的学習に必要な情報を

収集できる。

急速に変化・発展する医学

知識・技術の吸収の必要性

を認識する。

急速に変化・発展する医学

知識・技術の吸収に努める。

急速に変化・発展する医学

知識・技術の吸収のために、

常に自己省察し、自己研鑽

のために努力する。

同僚、後輩、医師以外の医

療職から学ぶ姿勢を維持す

る。

同僚、後輩、医師以外の医

療職と互いに教え、学びあ

う。

同僚、後輩、医師以外の医

療職と共に研鑽しながら、

後進を育成する。

国内外の政策や医学及び医

療の最新動向(薬剤耐性菌

やゲノム医療等を含む。)の

重要性を認識する。

国内外の政策や医学及び医

療の最新動向(薬剤耐性菌

やゲノム医療等を含む。)を

把握する。

国内外の政策や医学及び医

療の最新動向(薬剤耐性菌

やゲノム医療等を含む。)を

把握し、実臨床に活用する。

□ □ □ □ □ □ □

□ 観察する機会が無かった

コメント:

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研修医評価票 Ⅲ

「C. 基本的診療業務」に関する評価

研修医名

研修分野・診療科

観察者 氏名 区分 □医師 □医師以外(職種名 )

観察期間 年 月 日 ~ 年 月 日

記載日 年 月 日

レベル

レベル1

指導医の

直接の監

督の下で

できる

レベル2

指導医が

すぐに対

応できる

状況下で

できる

レベル3

ほぼ単独

でできる

レベル4

後進を指

導できる

観察

機会

なし

C-1. 一般外来診療

頻度の高い症候・病態について、適切な臨床推論プロセスを経て診断・

治療を行い、主な慢性疾患については継続診療ができる。 □ □ □ □ □

C-2. 病棟診療

急性期の患者を含む入院患者について、入院診療計画を作成し、患者の

一般的・全身的な診療とケアを行い、地域連携に配慮した退院調整がで

きる。

□ □ □ □ □

C-3. 初期救急対応

緊急性の高い病態を有する患者の状態や緊急度を速やかに把握・診断

し、必要時には応急処置や院内外の専門部門と連携ができる。 □ □ □ □ □

C-4. 地域医療

地域医療の特性及び地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介

護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携できる。 □ □ □ □ □

印象に残るエピソードがあれば記述して下さい。

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臨床研修の目標の達成度判定票

研修医氏名:

臨床研修の目標の達成状況 □既達 □未達

(臨床研修の目標の達成に必要となる条件等)

年 月 日

○○プログラム・プログラム責任者

A.医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)

到達目標 達成状況:

既達/未達 備 考

1.社会的使命と公衆衛生への寄与 □既 □未

2.利他的な態度 □既 □未

3.人間性の尊重 □既 □未

4.自らを高める姿勢 □既 □未

B.資質・能力

到達目標 既達/未達 備 考

1.医学・医療における倫理性 □既 □未

2.医学知識と問題対応能力 □既 □未

3.診療技能と患者ケア □既 □未

4.コミュニケーション能力 □既 □未

5.チーム医療の実践 □既 □未

6.医療の質と安全の管理 □既 □未

7.社会における医療の実践 □既 □未

8.科学的探究 □既 □未

9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢 □既 □未

C.基本的診療業務

到達目標 既達/未達 備 考

1.一般外来診療 □既 □未

2.病棟診療 □既 □未

3.初期救急対応 □既 □未

4.地域医療 □既 □未

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参考資料

医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告書

※ 本参考資料は、報告書の理解に役立つよう、報告書に記載されているデータ等についてまとめたものである。

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目次※報告書の構成に沿い、報告書に記載されているデータ等についてまとめたものである。

報告書の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

1 卒前・卒後の一貫した医師養成について・・・・・・・・・・・・・・・ 9

2 到達目標・方略・評価について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18(1)臨床研修の到達目標(2)方略(3)評価

3 臨床研修病院の在り方について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25(1)必要な症例(2)指導・管理体制(3)基幹型臨床研修病院等の在り方(4)第三者評価

4 地域医療の安定的確保について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32(1)募集定員の設定(2)地域枠への対応(3)都道府県の役割

5 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52(1)中断・未修了(2)研究医養成との関係

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・基礎研究の国際競争力の低下

~医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告(概要)~医師臨床研修制度の見直しについて(2020年度研修より適用予定)

~医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告(概要)~○ 医師臨床研修制度は、医師の基本的な診療能力の習得のため、平成16年度に努力義務から必修化され、概ね5年毎に見直しを行ってきた。○ 今回は、①卒前卒後の一貫した医師養成、②到達目標、③臨床研修病院の在り方、④地域医療の安定的確保等について見直し。○ 今後、臨床研修制度が研修医、患者、医療制度等に与えた影響を評価し、卒前・卒後教育の連続性の観点から制度の在り方の検討が必要。

(1)医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合的な到達目標・方略・評価を作成(2)今後、臨床研修制度について、医学部の共用試験、医学教育モデル・コ

ア・カリキュラム、国家試験と同時期に検討

(1)目標、方略、評価に分けて整理・簡素化(2)目標を「医師としての基本的な価値観(プロフェッショナリズム)」、「資質・能

力」、「基本的診療業務」に整理し、入院、外来、救急、地域医療の基本的な診療能力を担保

(3)方略は、内科、救急、地域医療に加え、外科、小児科、産婦人科、精神科を必修化し、一般外来の研修を含むことを追加

(4)評価は、モデル・コア・カリキュラムとの連続性を考慮しつつ、標準化

(1)指導・管理体制等についての訪問調査の見直し改善の見られない病院は指定取消の対象へ課題の見られる基幹型病院は訪問調査の対象へ

(2)プログラム責任者養成講習会の受講義務化(3)第三者評価を強く推奨し、次回以降義務化を前提に検討

(1)大都市圏の募集定員を圧縮し、それ以外の募集定員を確保臨床研修病院の募集定員倍率を2025年度に1.05倍まで圧縮医学部入学定員による募集定員の算定には上限を設ける地理的条件等の加算を増加

(2)地域枠等の一部について、一般のマッチングとは分けて選考(3)国が一定の基準等を示した上で、臨床研修病院の指定・募集定員設定を

都道府県が行う

(1)中断・未修了の対応は継続(2)大学病院に基礎研究医養成枠を設置

・卒前と卒後の医師養成過程が整合的であることが必要

・現行の到達目標は、目標、方略、評価が不明確・基本的診療能力や臨床推論の更なる習得・評価方法の標準化が必要

1. 卒前・卒後の一貫した医師養成について

5 .その他

2 .到達目標・方略・評価について

・臨床研修病院の更なる質の向上

・地域医療の確保に対する更なる対応が必要・都道府県の実情に応じた対応が必要

4 .地域医療の安定的確保について

3 . 臨床研修病院の在り方について

1

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はじめに

2

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1.医学教育と臨床研修○ 法に基づく臨床研修(医師法第十六条の二)

診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学部を置く大学に附属する病院又は

厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。

18才 22才

法に基づく

臨床研修

医学部(6年) 大学病院・臨床研修病院

専門教育

26才

医師国家試験合格

(一回目医籍登録)

臨床研修修了後の研修等 ・・準備教育

共用試験

臨床前医学教育診療参加型臨床実習

年 齢

2年

24才

入学試験

高等学校3年

専門医資格取得

臨床研修修了

知識・技能の評価

生涯教育

2.臨床研修の基本理念(医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令)

臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び

医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対

応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない。

臨床研修制度の概要

(二回目医籍登録)

3

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○ 昭和23年 インターン制度を開始(国家試験の受験資格を得るために必要な課程)

(当時の問題点)インターン生の身分・処遇が不明確、指導体制が不十分

○ 昭和43年 臨床研修制度創設(医師免許取得後2年以上の努力義務)

○ 平成16年度 新制度の施行(医師法改正)<臨床研修の必修化>

【指摘された問題点】1.専門医志向のストレート研修中心で、プライマリ・ケアの基本的な診療能力の修得が不十分2.受入病院の指導体制が不十分3.処遇の確保が不十分で、アルバイトによる生計維持4.限られた範囲(出身大学等)での研修

臨床研修制度に関する経緯 ①

4

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○ 平成16年度 新制度の施行(医師法改正)<臨床研修の必修化>

制度の見直しを検討(平成20年9月~)

○ 平成22年度 臨床研修制度の見直し(1)研修プログラムの弾力化(7科目必修から3科目必修+2科目選択必修へ)

(2)基幹型臨床研修病院の指定基準の強化(年間入院患者数3,000人以上の設定)

(3)研修医の募集定員の見直し(都道府県別の上限の設定等)

○ 平成27年度 臨床研修制度の見直し(1)研修希望者に対する募集定員の倍率を縮小(平成27年度1.2倍から平成32年度の1.1倍へ)

(2)都道府県が、上限の範囲内で各病院の定員を調整できる枠を追加 等

【指摘された問題点】1.専門医等のキャリアパスへの円滑な接続が妨げられる2.受入病院の指導体制等に格差が生じている3.大学病院の医師派遣機能が低下し、地域における医師不足問題が顕在化4.募集定員が研修希望者の1.3倍を超える規模まで拡大し、研修医が都市部に集中

臨床研修制度に関する経緯 ②

5

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氏名 所属・役職

伊野 美幸 聖マリアンナ医科大学医学部医学教育文化部門教授

大滝 純司 北海道大学大学院医学研究科医学教育推進センター教授

片岡 仁美 岡山大学大学院医歯薬総合研究科地域医療人材育成講座教授

金丸 吉昌 美郷町地域包括医療局総院長

神野 正博 社会医療法人財団董仙会理事長

羽鳥 裕 日本医師会常任理事

清水 貴子 社会福祉法人聖隷福祉事業団顧問

高橋 弘明 岩手県立中央病院医療研修部長

田中 雄二郎 全国医学部長病院長会議 卒後臨床研修検討WG委員東京医科歯科大学理事

中島 豊爾 岡山県精神科医療センター理事長

伴 信太郎 愛知医科大学医学教育センター長

福井 次矢 聖路加国際病院長

古谷 伸之 東京慈恵会医科大学内科准教授

前野 哲博 筑波大医学医療系臨床医学域教授

(五十音順、敬称略、◎座長)

構成員

医師臨床研修の実施状況や診療能力の修得状況等を把握し、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会における臨床研修制度の次回の見直しに向けて、到達目標や評価の在り方についての検討をすることを目的に、本ワーキンググループを開催する。(医政局長が主催)

趣旨

6

医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ

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平成26年8月20日○第1回ワーキンググループ・到達目標・評価の在り方に関する論点について

平成27年2月13日○第2回ワーキンググループ・到達目標とその評価に関する研究※の中間報告について・臨床研修修了者アンケート調査について

平成27年7月2日○第3回ワーキンググループ・到達目標とその評価の在り方に関する研究の報告について

平成27年8月19日○第4回ワーキンググループ・関係団体等からのヒアリング

一般社団法人日本内科学会、一般社団法人日本救急医学会、一般社団法人日本外科学会、公益社団法人日本麻酔科学会

平成27年9月10日○第5回ワーキンググループ・関係団体等からのヒアリング

公益社団法人日本小児科学会、公益社団法人日本産科婦人科学会、精神科七者懇談会

平成27年10月14日○第6回ワーキンググループ・関係団体等からのヒアリング

一般社団法人日本専門医機構、公益社団法人日本医師会、特定非営利活動法人卒後臨床研修評価機構

平成27年10月28日○第7回ワーキンググループ・関係団体等からのヒアリング

四病院団体協議会、一般社団法人全国医学部長病院長会議研修医に対する教育と評価の取組等について

・聖マリアンナ医科大学臨床研修病院群における取組・東京慈恵会医科大学附属柏病院における取組

平成27年12月2日○第8回ワーキンググループ・新たな到達目標・評価の在り方について

平成28年2月19日○第9回ワーキンググループ・新たな到達目標・評価の在り方について

平成28年4月28日○第10回ワーキンググループ・新たな到達目標・評価の在り方について

平成28年9月7日○第11回ワーキンググループ・新たな到達目標・評価の在り方について

平成28年12月14日○第12回ワーキンググループの開催・新たな到達目標・評価の在り方について

平成29年2月22日○第13回ワーキンググループ(文部科学省と合同開催)の開催・新たな到達目標・評価の在り方について

平成29年3月23日医師臨床研修部会開催 ※方略・評価については、引き続き検討・新たな到達目標について

平成29年6月26日○第14回ワーキンググループの開催・新たな到達目標・方略・評価の在り方について

平成29年9月21日○第15回ワーキンググループの開催・新たな到達目標・方略・評価の在り方について

平成29年10月25日○第16回ワーキンググループの開催・新たな到達目標・方略・評価の在り方について

平成29年12月7日○第17回ワーキンググループの開催・新たな到達目標・方略・評価の在り方について 7※平成26年度厚生労働科学研究 「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」(研究代表者:福井次矢)

ワーキンググループの開催状況

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氏 名 所属・役職

相原 道子 横浜市立大学附属病院長

新井 一 順天堂大学学長

岡村 吉隆 和歌山県立医科大学理事長・学長

金丸 吉昌 美郷町地域包括医療局総院長

神野 正博 社会医療法人財団董仙会理事長

◎ 桐野 髙明 東京大学名誉教授

河野 陽一 独立行政法人労働者健康福祉機構千葉労災病院長

清水 貴子 社会福祉法人聖隷福祉事業団顧問

中島 豊爾 岡山県精神科医療センター理事長

羽鳥 裕 公益社団法人日本医師会常任理事

委員名簿(○印は部会長(五十音順))

8

平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度

5回 3回 3回 10回 3回 2回 4回 5回

最近の開催状況(平成22年度~)

臨床研修病院の指定又は指定の取消に関すること。

所掌事務(医道審議会運営規程より抜粋)

○ 医師法(抜粋)第十六条の二 診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院に

おいて、臨床研修を受けなければならない。2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定した病院が臨床研修を行うについて不適当であると認めるに至つたときは、その指定を取り消すこと

ができる。3 厚生労働大臣は、第一項の指定又は前項の指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

医道審議会医師分科会医師臨床研修部会について

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1 卒前・卒後の一貫した医師養成について

9

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高等学校準備教育

臨床前医学教育

専門教育診療参加型臨床実習

法に基づく

臨床研修 臨床研修修了後の研修等・・

医学部(6年) 大学病院・臨床研修病院

入学試験

医師国家試験合格

臨床研修修了

専門医資格取得

2年

大学院

学位取得

○平成12年の医師法改正(臨床研修必修化)以降の、大学による医学教育改革の自主的な取組

・ 平成13年:「医学教育モデル・コア・カリキュラム」策定・ 平成17年:診療参加型臨床実習開始前に備えるべき知識と、

技能・態度を評価する「共用試験」を正式実施(CATO)(合格者には認定証(student doctor)を発行(AJMC))

・ 平成26年:診療参加型臨床実習のための医学生の「医行為」の水準策定(AJMC)

○進行中の更なる取組

・ ~平成32年:臨床実習後の技能・態度を評価する「Post CC OSCE」の正式実施に向けて全大学でのトライアル実施(CATO)

・ ~平成35年:「国際水準の医学教育の認証」を目指した組織(JACME)による全大学の受審

共用試験

知識

(CBT)

技能・態度(OSCE)

生涯教育

医師養成のための卒前・卒後教育の流れ

10

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医学教育モデル・コア・カリキュラムの構成

A 医師として求められる基本的な資質・能力

B 社会と医学・医療

C 医学一般

D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療

E 全身に及ぶ生理的変化、病態、診断、治療

F 診療の基本

G 臨床実習 ※参考例:診療参加型臨床実習実施ガイドライン

11

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○ 学生が卒業時までに身に付けておくべき、必須の実践的診療能力(知識・技能・態度)を、「ねらい」と「学修目標」として明確化○ 学生の学修時間数の3分の2程度を目安としたもの○ 「医師として求められる基本的な資質と能力」として、ミニマム・エッセンスである項目を記載

各大学の特色ある独自のカリキュラム○ 各大学が教育理念に基づいて実施する独自の教育内容(教養教育や、学生が自主的に選択できるプログラムを含む)○ 学生の学修時間数の3分の1程度

B 社会と医学・医療

集団に対する医療 法医学と関連法規 医療に関連のある社会科学領域 医学研究と倫理

C 医学一般

D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療

E 全身に及ぶ生理的変化、病態、診断治療

人の行動と心理

個体の反応

生命現象の科学 個体の構成と機能

病因と病態

早期臨床体験実習 症候・病態からのアプローチ 基本的診療知識 基本的診療技能

多様なニーズに対応できる医師の養成

プロフェッショナリズム 医療の質と安全の管理

診療技能と患者ケア コミュニケーション能力

医学知識と問題対応能力

チーム医療の実践

社会における医療の実践

科学的探究 生涯にわたって共に学ぶ姿勢

POST

CC

OSCE

(技能・態度)

F 診療の基本 地域医療臨床実習

医師国家試験

(知識)

A 医師として求められる基本的な資質・能力

G臨床実習

診療参加型臨床実習開始前の「共用試験」

CBT(知識)・OSCE(技能・態度)

12

医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版) 概要

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G-4 診療科臨床実習G-4-1) 必ず経験すべき診療科G-4-1)-(1) 内科ねらい:

①将来、内科医にならない場合にも必要な内科領域の診療能力について学ぶ。

②内科医のイメージを獲得する。G-4-1)-(2) 外科ねらい:

①将来、外科医にならない場合にも必要な外科領域の診療能力について学ぶ。

②外科医のイメージを獲得する。G-4-1)-(3) 小児科ねらい:

①将来、小児科医にならない場合にも必要な小児科領域の診療能力について学ぶ。

②小児科医のイメージを獲得する。G-4-1)-(4) 産婦人科ねらい:

①将来、産婦人科医にならない場合にも必要な産婦人科領域の診療能力について学ぶ。

②産婦人科医のイメージを獲得する。

○医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版) 「G 臨床実習」抜粋

G-4-1)-(5) 精神科ねらい:

①将来、精神科医にならない場合にも必要な精神科領域の診療能力について学ぶ。

②精神科医のイメージを獲得する。G-4-1)-(6) 総合診療科ねらい:

①どの科の医師になっても求められる総合診療能力について学ぶ。

②総合診療医のイメージを獲得する。G-4-1)-(7) 救急科ねらい:

①どの科の医師になっても求められる救急診療能力について学ぶ。

②救急科医のイメージを獲得する。

G-4-3) 地域医療実習ねらい:

地域社会で求められる保健・医療・福祉・介護等の活動を通して地域医療と地域包括ケアシステムを一体的に構築することの必要性・重要性を学ぶ。

G-4-4) シミュレーション教育ねらい:

医療安全の観点から臨床現場を想定した環境でシミュレーションによるトレーニングを積むことで、実際の臨床現場で対処できるようになる。

「必ず経験すべき診療科」として、以下の7診療科を提示< 内科 外科 小児科 産婦人科 精神科 総合診療科 救急科 >

13

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共用試験実施の概要(H17年12月から正式実施)

モニター

CBT実施小委員会等公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO) 試験実施本部

OSCE実施小委員会等

CBT実施会場例1ブロック60分/6ブロック/合計320設問ブロック内でランダム出題

各大学サーバー

事前調査・チェック練習セット実施セット等モニター派遣

端末/受験生

出題

試験終了後回収

医学系81・歯学系29大学CBT実施責任者

実施データ回収

成績返却全国成績解析結果

医学系81・歯学系29大学OSCE実施責任者

事前調査、講習会等学習評価項目課題(シナリオ)評価法、評価表モニター・評価者派遣

実施体制準備OSCE実施・評価

評価成績報告

CBT

各大学の基準に基づいた評価を学生に通知

各大学の基準に基づいた評価を学生に通知

モニター・認定外部評価者・内部評価者の参画

学生はステーションを順に回り、態度と基本的診療能力の評価を受ける。

医療面接・身体

診察・救命救急・手技

など

模擬患者

医療面接・基本的診察および検査能力

医学系 歯学系

学生 学生

CATOセンターサーバー

学生

OSCE

全国成績解析結果

学生

CBTモニター、OSCEモニター・認定外部評価者はCATOが全試験に派遣

Student Doctor認定証の発行(AJMC)

病院実習(診療参加型臨床実習)に参加

共用試験合格

2016共用試験受験実績医学 本試験 9,198人

再試験 703人歯学 本試験 2,394人

再試験 563人

14

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背景

医道審議会医師分科会の審議結果

○ 上記の報告書を踏まえ、平成29年4月の医道審議会医師分科会における審議を経て、第112回(平成30年)医師国家試験は以下の変更を行う。

<出題数について>・ 出題数は、500題から400題に減じる。(「医学総論」および「医学各論」から「一般問題」として100題減じる。「必修問題」および

「臨床実地問題」の出題数は現状維持とする。)

<試験日数について>・ 出題数の減少に伴い、試験日数は3日間から2日間に変更する。<配点について>・ 必修問題以外の一般問題と臨床実地問題は、ともに1問1点で採点を行う。<合格基準について>

・ 必修問題以外の一般問題と臨床実地問題は、これまで各々で合格基準を設定していたものを、一般問題と臨床実地問題の得点の合計について合格基準を設定する。

第112回(平成30年)医師国家試験における変更点について

○ 平成26年度医師国家試験改善検討部会報告書において、第112回(平成30年)より、これまでの医師国家試験の「医学総論」および「医学各論」から「一般問題」として100題程度減らすことが可能であるとされた。

<理由>① 共用試験CBT※の出題内容と医師国家試験の出題内容に重複がある② 平成27年度より、全ての医学部において、共用試験CBT※の合格基準が統一化

総出題数500題→400題

一般問題 臨床実地問題

必修問題 50題 50題

医学総論200題→100題 200題

医学各論

※:医療系大学間共用試験実施評価機構により臨床実習開始前に実施されている共用試験のうち、コンピュータを活用した知識の評価(Computer Based Testing)のこと。 15

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総合的な診療能力を持つ医師のシームレスな養成

18才 22才

専門教育

26才

医師国家試験合格

(一回目医籍登録)

準備教育

共用試験

(CBT・

OSCE)

臨床前医学教育診療参加型臨床実習

年 齢

2年

24才

入学試験

専門医資格取得等

臨床研修修了

(二回目医籍登録)

知識・技能の評価

生涯教育③医学生の共用試験(CBT)の

位置づけの整理

法に基づく

臨床研修

医学部(6年) 大学病院・ 臨床研修病院

専門教育臨床研修修了後の研修等 ・・

準備教育

臨床前医学教育診療参加型臨床実習

これまで

改革案

CBT:位置付け不明確

臨床実習:医学生が何をどこまでやるか不明確

必修は内科、救急、地域医療のみ

基本的な診療能力の修得が遅れる

臨床実習の充実、臨床研修での外科等の必修化を通じ、基本的な診療能力の修得が早期に可能

臨床研修修了後の研修等 ・・

①医学生が行うことができる医行為を整理し、初期実習の充実

法に基づく

臨床研修

②基本的な診療能力を身に付けるため、外科、産婦人科、小児科、精神科を必修化

16

⑤出題傾向として「臨床実地問題」により重点をおく

④「Post CC OSCE」の正式実施

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位置づけ又は実施根拠

検討を行う場近年の

改訂年度

今後の改訂年度(予定)

CBT・OSCE

大学間で構築した、臨床実習開始前の学生の評価システム(国家試験ではない)

公益社団法人 「医療系大学間共用試験実施評価機構」(第3者機関) H27 -

モデル・コア・カリキュラム

医学教育において、全ての医学生が履修すべき必要不可欠な教育内容を提示したガイドライン

「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会」

「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会」(文部科学省)

H22 H28

医師国家試験

医師法第9条および第10条

医道審議会医師分科会「国家試験改善検討部会」「国家試験出題基準改定部会」(厚生労働省)

H24(H24)

H29(H29)

臨床研修

医師法16条2 医道審議会医師分科会「医師臨床研修部会」(厚生労働省)

H21(H22)

H25(H27) (H32)

医師の卒前・卒後教育に関する今後の改訂時期(案)

卒前

卒後

※( )は施行年度

○ 卒前・卒後教育を検討する実施主体、改訂年度が異っていることから、今後、同時改訂を目指す方向で検討。

同時改訂(案)

17

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2 到達目標・方略・評価について

18

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① 行動目標と経験目標から構成されているが、その内容について必ずしも目標、方略、評価に分けられていない

② 人口動態や疾病構造の変化、医師養成全体の動向等に配慮すべき

③ 入院医療から外来医療への移行をはじめとした医療提供体制の変化等について、適切に踏まえるべき

④ 「経験すべき症状・病態・疾患」等については、当該項目を「経験する」ことが基本となっているが、診療能力の評価をさらに重視すべき

また、評価方法が様々であるため評価方法の標準化が必要

⑤ 項目が細分化されており、簡素化が必要

臨床研修の到達目標、方略及び評価の見直しのポイント

臨床研修の到達目標、方略及び評価の見直しのポイント現行の研修の到達目標についての指摘

5.項目の簡素化

2.卒前教育との整合性

4.評価方法の標準化

1.到達目標の項目の整理

3.研修項目の充実

○ 到達目標、方略、評価について、卒前教育のモデル・コア・カリキュラム等との連続性を考慮

到達目標、方略、評価を整合的に設定

○ 「経験すべき症候」と「経験すべき疾病・病態」を簡素化「経験すべき症候」 52項目 → 29項目「経験すべき疾患・病態」 88項目(7割以上) → 26項目A疾患(入院症例レポートが必修)、B疾患(外来、入院での経験が必修)を廃止し、上記項目を全て経験することとしたレポート作成を廃止し、日常業務で作成する病歴要約で確認

○ 評価の標準化のため、評価票及び評価方法を提示○ 臨床研修の到達目標の項目毎に、臨床研修医に求められ

る修得の程度を提示(マイルストーン)

○ 一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療を必修化

○ 臨床推論や外来での研修を充実させるため、一般外来における研修を方略に位置づけた

○ 新たな臨床研修の到達目標については、「目標」とそれを達成するための「方略」、及びその「評価」に分けて整理

19

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必修診療科の見直し(イメージ)

20

H16年度~H21年度(7科目必修)

H22年度~H31年度(3科目必修)

2年目

内科6月

外科3月

救急3月(含麻酔科)

選択科目8月

地域保健・医療

精神科

産婦人科

小児科

1年目

選択科目約12月程度(選択必修の研修期間等による)

地域医療1月

内科6月

救急3月

外科麻酔科小児科産婦人科精神科

1年目 2年目

H32年度~(7科目必修)(案)

2年目

各1月

選択必修

内科24週

外科

4週

救急12週<4週まで麻酔科可>

選択科目48週

地域医療4週

精神科

4週

産婦人科4週

小児科

4週

1年目

2科目

臨床研修病院

※外科、小児科、産婦人科、精神科、地域医療は8週以上が望ましい

必修

※一般外来 4週以上を含む(8週以上が望ましい)

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臨床研修の到達目標(卒後)医学教育モデル・コア・カリキュラム(卒前)

臨床研修到達目標と医学教育モデル・コア・カリキュラムの関係について

医師としての基本的価値観

(プロフェッショナリズム)

1 社会的使命と公衆衛生への寄与

2 利他的な態度

3 人間性の尊重

4 自らを高める姿勢

資質・能力

1 医学・医療における倫理性

2 医学知識と問題対応能力

3 診療技能と患者ケア

4 コミュニケーション能力

5 チーム医療の実践

6 医療の質と安全の管理

7 社会における医療の実践

8 科学的探求

9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢

医師として求められる基本的な資質・能力

1 プロフェッショナリズム

2 医学知識と問題対応能力

3 診療技能と患者ケア

4 コミュニケーション能力

5 チーム医療の実践

6 医療の質と安全の管理

7 社会における医療の実践

8 科学的探求

9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢 21

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臨床研修の方略(卒後)医学教育モデル・コア・カリキュラム(卒前)

臨床研修到達目標と医学教育モデル・コア・カリキュラムの関係について(診療科)

臨床実習で必ず経験すべき診療科

1 内科

2 外科

3 小児科

4 産婦人科

5 精神科

6 救急科

7 地域医療実習

8 総合診療科

9 シミュレーション教育※

22

臨床研修における必修診療領域

1 内科

2 外科

3 小児科

4 産婦人科

5 精神科

6 救急科

7 地域医療

総合診療科でも可

※医療安全の観点から臨床現場を想定した環境でシミュレーションによるトレーニングを積むことで、実際の臨床現場で対処できるようになることを目的としている。

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臨床研修到達目標と医学教育モデル・コア・カリキュラムの関係について(評価)

23

1. 医学・医療における倫理性:

診療、研究、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。

レベル1モデル・コア・カリキュラム

(卒前レベル)

レベル2 レベル3臨床研修の到達目標

(臨床研修終了時で期待されるレベル)

レベル4

■医学・医療の歴史的な流れ、臨床倫理や生と死に係る倫理的問題、各種倫理に関する規範を概説できる。

■患者の基本的権利、自己決定権の意義、患者の価値観、インフォームドコンセントとインフォームドアセントなどの意義と必要性を説明できる。

■患者のプライバシーに配慮し、守秘義務の重要性を理解した上で適切な取り扱いができる。

人間の尊厳と生命の不可侵性に関して尊重の念を示す。

人間の尊厳を守り、生命の不可侵性を尊重する。

モデルとなる行動を他者に示す。

患者のプライバシーに最低限配慮し、守秘義務を果たす。

患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。

モデルとなる行動を他者に示す。

倫理的ジレンマの存在を認識する。

倫理的ジレンマを認識し、相互尊重に基づき対応する。

倫理的ジレンマを認識し、相互尊重に基づいて多面的に判断し、対応する。

利益相反の存在を認識する。 利益相反を認識し、管理方針に準拠して対応する。

モデルとなる行動を他者に示す。

診療、研究、教育に必要な透明性確保と不正行為の防止を認識する。

診療、研究、教育の透明性を確保し、不正行為の防止に努める。

モデルとなる行動を他者に示す。

臨床研修における研修医評価票の例

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<研修医評価票>Ⅰ.「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」に関する評価Ⅱ.「B. 資質・能力」に関する評価Ⅲ.「C. 基本的診療業務」に関する評価<臨床研修の目標の達成度判定票>→ 2年間の研修終了時に、研修管理委員会において、研修医評価票Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを勘案して作成(総括的評価)

※ 原則として、修了判定については、すべての到達目標について達成していることが必要であるが、身体障害により達成が困難な項目がある等のやむを得ない理由がある場合には、総合的に判断して修了判定を行う。

医師は、病める人の尊厳を守り、医療の提供と公衆衛生の向上に寄与する職業の重大性を深く認識し、医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)及び医師としての使命の遂行に必要な資質・能力を身に付けなくてはならない。医師としての基盤形成の段階にある研修医は、基本的価値観を自らのものとし、基本的診療業務ができるレベルの資質・能力を修得する。

臨床研修の到達目標、方略及び評価(抜粋)

A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)

1.社会的使命と公衆衛生への寄与2.利他的な態度3.人間性の尊重4.自らを高める姿勢

各分野・診療科のローテーション終了時に、医師及び医師以外の医療職(看護師を含むことが望ましい)が評価少なくとも年2回、プログラム責任者・研修管理委員会委員が、研修医に対して形成的評価(フィードバック)を行う

一般外来(4 週以上)での研修を含める(他の必修分野等との同時研修を行うことも可能)

地域医療は、へき地・離島の医療機関、許可病床数が200床未満の病院又は診療所で行い、一般外来での研修と在宅医療の研修を含める※地域医療以外で在宅医療の研修を行う場合に限り、必ずしも在宅医療の研修を行う必要はない※病棟研修を行う場合は慢性期・回復期病棟での研修を含めること

全研修期間を通じて、以下の研修を含むこと感染対策、予防医療、虐待への対応、社会復帰支援、緩和ケア、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、臨床病理検討会(CPC)等

以下の研修を含むことが望ましい診療領域・職種横断的なチーム(感染制御、緩和ケア等)に参加、児童・思春期精神科領域(発達障害等)、薬剤耐性菌、ゲノム医療 等

29項目(ショック、体重減少・るい痩、発疹、黄疸、発熱、もの忘れ、頭痛 等)

26項目(脳血管障害、認知症、急性冠症候群、心不全、大動脈瘤、高血圧、肺癌、肺炎 等)

B. 資質・能力1.医学・医療における倫理性2.医学知識と問題対応能力3.診療技能と患者ケア4.コミュニケーション能力5.チーム医療の実践

C. 基本的診療業務(コンサルテーションや医療連携が可能な状況下で、

以下の各領域において、単独で診療ができる)1.一般外来診療2.病棟診療3.初期救急対応4.地域医療

※外科、小児科、産婦人科、精神科、地域医療、及び一般外来については、8週以上の研修が望ましい※麻酔科における研修期間を、4週を上限として、救急の研修期間とすることができる

※日常業務において作成する病歴要約で確認(病歴、身体所見、検査所見、アセスメント、プラン(診断、治療、教育)、考察等を含む)

内科(24週以上)外科(4週以上)小児科(4週以上)産婦人科(4週以上)精神科(4週以上)救急(12週以上)地域医療(4週以上)を必修

Ⅰ 到達目標

Ⅱ 実務研修の方略

Ⅲ 到達目標の達成度評価

経験すべき症候 経験すべき疾患・病態

6.医療の質と安全の管理7.社会における医療の実践8.科学的探究9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢

24

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3 臨床研修病院の在り方について

25

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基幹型臨床研修病院の訪問調査に係る改善状況

38%変化なし

23%悪化

21%改善

18%高評価

を維持

研修を行うのに十分な症例や研修にふさわしい

環境が整備されているか

○ 現在、入院患者数が年間3,000人未満の基幹型臨床研修病院については、個別の訪問調査等により、適切な指導体制が確保され、かつ、研修医が基本的な診療能力を修得することができると認められる場合に限り、基幹型臨床研修病院として指定を継続又は指定の可否を判断することとされている。

○ 訪問調査においては、書類等による確認、研修医へのインタビュー等を行い、以下の5つの項目について基幹型臨床研修病院として適当であるか否かという視点から調査を実施している。

○ これまでの2回目以降の訪問調査結果を見ると、特に臨床研修病院の指導・管理体制に関する事項について、悪化や変化なしとなる項目が5割を超える状況となっている。

38%変化なし

21%悪化

28%改善

13%高評価を

維持

研修医の診療内容や説明について、指導医等から

適切な助言・指導が行われているか

28%変化なし

23%悪化

13%改善

36%高評価を維持

研修が組織的・計画的に行われ、管理体制が

適切に確立されているか

36%変化なし

23%悪化

13%改善

28%高評価を

維持

患者・家族や他の医療従事者と十分なコミュニケー

ションをとり、良好な関係を築いているか

26%変化なし

15%悪化

33%改善

26%高評価を維持

患者の問題を把握し、検査や治療の計画の全体像を把握して

診療にあたり、臨床上の疑問を解決するための自己学習の

習慣が身についているか 2回目以降の訪問調査回数n=39 について集計

<現状の評価方法>○各項目は、3段階(A,B,C)で評価。○総合評価については、以下のとおり評価。

全項目がA評価の場合:A(→4年以内再調査)一つの項目でもC評価の場合:C(→指定取消)上記以外の場合:B(→2年以内再調査) 26

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プログラム責任者養成講習会の受講の有無

3

<講習会の効果(複数回答可)> <講習会を受講していない理由(複数回答可)>

87.2%

91.2%

10.1%

8.0%

2.8%

0.8%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

大学病院

(n=109)

臨床研修病院

(n=634)

有 無 無回答

83.2%

53.7%

81.1%

69.5%

56.8%

61.1%

52.6%

57.9%

34.7%

2.1%

83.6%

47.2%

73.7%

68.5%

43.9%

43.9%

43.1%

52.8%

24.7%

0.9%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

医師臨床研修制度について、理解が進んだ

臨床研修における安全管理について、理解が

進んだ

研修医の評価の手順と方法について、理解が

進んだ

研修医の修了認定までのプロセスについて、

理解が進んだ

研修の中断のプロセスについて、理解が進ん

プログラム責任者としての資質・能力が向上し

指導医の指導状況の把握方法について、理解

が進んだ

研修医や指導医のストレスの把握及び対応に

ついて、理解が進んだ

望ましい地域医療研修のあり方について、理

解が進んだ

無回答

大学病院(n=95) 臨床研修病院(n=578)

36.4%

18.2%

9.1%

0.0%

36.4%

9.1%

0.0%

18.2%

0.0%

27.5%

43.1%

7.8%

2.0%

35.3%

15.7%

7.8%

19.6%

2.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

過去に申し込んだが、受講者多数等により受

講できなかったため

指定基準では受講が望ましいとされているが、

義務ではないため

指定基準の存在を知らなかったため

講習会の存在を知らなかったため

開催日が平日で、業務と重なるため

近隣で講習会が開かれていないため

費用が掛かるため

その他

無回答

大学病院(n=11) 臨床研修病院(n=51)

出典:平成29年プログラム責任者アンケート

27

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プログラム責任者養成講習会実施要綱

28

1 目的 : 円滑かつ効果的な臨床研修を推進し、研修医の臨床研修目標達成を支援するために、研修プログラムの実施を管理し、研修医に対する助言、指導及びその他の援助並びに指導医に対する支援を適切に行う能力を修得するとともに、臨床研修を行う病院、施設における適切な指導体制の確保に資することを目的とするものである。

2 実施主体 : 臨床研修協議会

3 実施場所 : 臨床研修協議会の決定による

4 受講資格 : 臨床研修病院または公私立医科大学附属病院に勤務する医師で、次の各号に該当する者(1)プログラム責任者として、現にプログラムの立案、作成に携わっている者、又は今後携わる予定のある

者(2)プライマリケアの指導方法等に関する講習会を修了している者

5 受講者数 : 原則として1か所1回あたり50人程度とする。

6 講習内容 : 次に掲げる項目のいくつかがテーマとして含まれていること。・研修プログラムの策定、点検・臨床研修の到達目標の達成評価・指導医の指導状況の把握・臨床研修における安全管理・労働関係法規

7 講習会の実施に当たり留意すべき事項(1)講習期間中、専門に利用できる教室が確保できること。(2)グループワークをするための部屋(演習室)が確保できることが望ましいこと。(3)必要な図書を有する図書室を利用できること。(4)教室等は、採光、換気等が適当であり、学習環境についての配慮がなされていること。

8 講師講師については、講習科目を教授できる大学教授又はこれと同等の知識及び経験を有する者とする。

9 その他(1)国は、予算の範囲内で別に定める基準により、補助を行うものとする。(2)講習を修了した者には修了証書を交付するものとする。

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指導医講習会 開催指針の改正

指導医講習会のさらなる質の向上を図るため、開催指針を一部改正し、平成27年度から適用

「医師の臨床研修に係る指導医講習会の開催指針について」 (平成26年12月10日一部改正 医政局長通知)

指導医講習会におけるテーマ

次に掲げる項目のいくつかがテーマとして含まれていること。

① 新たな医師臨床研修制度② プライマリ・ケアの基本的診療能力

⑩ 研修プログラムの立案(研修目標、研修方略及び 研修評価の実施計画の作成)

③ 医療の社会性④ 患者と医師との関係⑤ 医療面接⑦ 医療安全管理⑧ 地域保健・医療

⑨ 指導医の在り方

⑥ 根拠に基づいた医療(EBM)

⑪ 研修医、指導医及び研修プログラムの評価

⑫ その他臨床研修に必要な事項

次の①~④に掲げる項目について必ず含むこととし、必要に応じ、⑤及び⑥に掲げる項目を加えること。

①医師臨床研修制度の理念と概要(プライマリ・ケアの基本的診療能力を身につけることの重要性を含む)

②医師臨床研修の到達目標と修了基準

③研修プログラムの立案(研修目標、研修方略及び研修評価の実施計画の作成)

(テーマの例)医療の社会性 患者と医師との関係 医療面接医療安全管理 院内感染対策救急医療(頻度の高い救急疾患の初期治療等)地域医療(地域の特性に即した医療や病診連携等)地域保健(保健所等の役割や健康増進への理解等)多職種協働(チーム医療)

④指導医の在り方

(指導医が身につけるべき指導方法及び内容の例)フィードバック技法 コーチング メンタリングメンタルケア プロフェッショナリズム根拠に基づいた医療(Evidence-based Medicine:EBM)キャリアパス支援 出産育児等の支援体制

⑤指導医及び研修プログラムの評価

⑥その他臨床研修に必要な項目 29

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3.1%

65.6%

4.7%

1.6%

12.5%

6.3%

23.4%

28.1%

3.1%

3.4%

64.4%

7.3%

6.3%

7.9%

3.7%

21.2%

16.8%

2.1%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

受けていないが、既に第三者評価を申し込んで

いる

指定基準では努めることとされているが、義務

ではないため

指定基準の存在を知らなかったため

第三者評価の存在を知らなかったため

評価日が平日で、業務と重なり対応できないた

近隣で第三者評価を行う機関がないため

費用が掛かるため

その他

無回答

大学病院(n=64) 臨床研修病院(n=382)

出典:平成29年プログラム責任者アンケート

第三者による評価及び評価結果の公表の有無

<評価結果を公表していない理由(複数回答可)> <評価を受けていない理由(複数回答可)>

32.1%

32.6%

6.4%

5.7%

58.7%

60.3%

2.8%

1.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

大学病院

(n=109)

臨床研修病院

(n=634)

評価結果を公表している 評価結果は未公表 評価を受けていない 無回答

42.9%

28.6%

0.0%

0.0%

0.0%

28.6%

0.0%

41.7%

44.4%

11.1%

2.8%

8.3%

11.1%

0.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

今後公表する予定である

指定基準では努めることとされているが、義務

ではないため

指定基準の存在を知らなかったため

公表手段がないため

結果が公表に適さないため

その他

無回答

大学病院(n=7) 臨床研修病院(n=36) 30

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臨床研修病院の在り方について

○前回の見直しの際に、当面、年間入院患者数が3,000人以上の基準を満たせない研修病院については、良質な研修が見込める場合には、訪問調査により評価する等とされている

○これまでに実施された2回目以降の訪問調査結果を見ると、特に臨床研修病院の指導・管理体制に関する事項について、悪化や変化なしとなる項目が5割を超える状況

31

課題 対応

○前回の見直しの際に、プログラム責任者について、将来的に受講を必須の方向とする等、その育成を強化すべきとされている

○プログラム責任者アンケートによると、実際にプログラム責任者の約9割がプログラム責任者養成講習会を受講していること等が認められる

○年間入院患者数が3,000人以上の基幹型病院については、訪問調査の対象とならない

○協力型病院として臨床研修を行った実績として、研修医1人当たりの研修期間にかかわらず合計で2年間の実績があれば良いとされている

○年間入院患者数が3,000人以上の基幹型病院であっても、第三者から適切に評価されるべき

○訪問調査の対象となる基幹型病院における研修の質の向上を図るため、基幹型病院の訪問調査に係る指定取消等について、以下の見直しを行う・現状、三段階(A、B、C)となっている評価を四段階(A、B

+、B-、C)とし、B-と評価された病院については次回の調査において、続けてB-と評価された場合、原則、指定取消の対象・訪問調査時に調査の対象となる項目を常時公表・審議会での意見聴取結果を基幹型病院にフィードバック

○経過措置を講じた上で、プログラム責任者養成講習会の受講を必須とする

○年間入院患者数が3,000人以上の基幹型病院のうち指導・管理体制等に課題があると考えられる病院については、訪問調査と同様の仕組みを取り入れる

○協力型病院として研修医に対して臨床研修を行った実績については、研修医1人当たりの研修期間が8週以上となることを必須、複数の必修分野を担当することが望ましい、としつつこれらを含め、総合的に判断

○基幹型病院については、年間入院患者数にかかわらず第三者からの評価を受けることを強く推奨

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4 地域医療の安定的確保について

32

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全国の臨床研修募集定員数

全国の臨床研修希望者数= 臨床研修医の募集定員倍率

(平成27年度 約1.2倍)

・ 研修医の募集定員には、全国の定数管理や地域別の偏在調整が行われず・ 全国の募集定員の総数が研修希望者の1.3倍を超える規模まで拡大

平成22年度

臨床研修必修化

・ 都道府県の募集定員について上限設定

平成27年度 ・ 平成27年度の約1.2倍から、平成32年度の約1.1倍まで縮小させる

研修医の募集定員・研修希望者数の推移

臨床研修医の募集定員倍率

○ 臨床研修の必修化後、研修医の募集定員が研修希望者の1.3倍を超える規模まで拡大し、研修医が都市部に集中する傾向が続いた。平成22年度の研修から都道府県別の募集定員上限を設定し、平成27年度には1.22倍まで縮小。今後、平成32年度の約1.1倍まで縮小させる。

33

11,030 11,276 11,370 11,461 11,722 11,44810,699 10,900 10,755 10,739 10,703

11,222 11,272 11,390

8,443 8,720 8,802 8,759 8,702 8,572 8,597 8,729 8,655 8,679 8,7179,206

9,637 9,826

700080009000

100001100012000

H16' H17' H18' H19' H20' H21' H22' H23' H24' H25' H26' H27' H28' H29' H30' H31' H32'

募集定員

破線(-----)は試算

研修希望者1.22倍 1.17倍 1.16倍

1.23倍

1.1倍1.12倍1.14倍1.35倍 1.25倍

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○ 研修医採用実績における、大都市部(6都府県)とその他の道県との相対比率

・大都市部のある6都府県(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡)の比率は減少傾向にあり、

・その他の道県の比率は増加傾向にある。

○ 人口当たり医師数と研修医採用率※との関係

・人口当たり医師数が多く研修医採用率も高い4都府県の平均採用率が90%である一方、医師数が少なく研

修医採用率も少ない4県の平均採用率は50%で研修医の確保に困難を抱える。

※ 研修医採用率=採用実績/募集定員

研修医の採用実績<6都府県とその他の道県、医師数と採用率>

34

青森県

岩手県

福島県

群馬県

東京都

新潟県

京都府

大阪府福岡県

熊本県

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

100 150 200 250 300 350

都道府県別の人口対医師数

と研修医採用率

<都道府県間格差>平均採用率

87%

平均採用率55%

(人口10万人当たり医師数)

(%)

平成29年7月13日公表

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

55.0%

60.0%

65.0%

H15' H16' H17' H18' H19' H20' H21' H22' H23' H24’ H25’ H26’ H27’ H28’ H29’

6都府県

その他の道県

都市部とその他の道県との相対比率

都道府県別の上限設定後

H15' H16' H17' H18' H19' H20' H21' H22' H23' H24’ H25’ H26’ H27’ H28’ H29’

6都府県 51.3% 47.8% 48.9% 48.8% 48.1% 47.7% 48.6% 47.8% 47.5% 46.7% 45.5% 44.4% 43.6% 42.6% 41.8%その他の

道県 48.7% 52.2% 51.1% 51.2% 51.9% 52.3% 51.4% 52.2% 52.5% 53.3% 54.5% 55.6% 56.4% 57.4% 58.2%

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H15' H16' H17' H18' H19' H20' H21' H22' H23' H24’ H25’ H26’ H27’ H28’ H29’ H32’ H37’

6都府県 51.3% 47.8% 48.9% 48.8% 48.1% 47.7% 48.6% 47.8% 47.5% 46.7% 45.5% 44.4% 43.6% 42.6% 41.8% 40.8% 40.7%

その他の道県 48.7% 52.2% 51.1% 51.2% 51.9% 52.3% 51.4% 52.2% 52.5% 53.3% 54.5% 55.6% 56.4% 57.4% 58.2% 59.2% 59.3%

41.8%40.8% 40.7%

58.2%59.2%

59.3%

35%

40%

45%

50%

55%

60%

65%

6都府県 その他の道県

定員倍率を1.1倍に維持した場合の今後の採用実績の割合(推計)

35

○募集定員倍率を平成32年以降も1.1倍に維持した場合、採用実績の割合はほぼ横ばいの見込み。○大都市部のある6都府県(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡) とそれ以外の採用実績の比率は、人口割

合の比率と差がある。○一方、定員倍率の極端な圧縮は、①採用実績数の減少、②病院間の競争の低下、③アンマッチ率の増加、

を引き起こす懸念がある。

6都府県の人口割合36.7%

6都府県以外の人口割合63.3%

都道府県上限設定(H22’)

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600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500東

神奈

大阪

埼玉

愛知

北海

千葉

兵庫

福岡

静岡

京都

茨城

新潟

宮城

広島

鹿児

岡山

長崎

長野

栃木

福島

岐阜

群馬

沖縄

三重

熊本

愛媛

青森

岩手

山口

滋賀

大分

奈良

山形

石川

宮崎

秋田

富山

香川

和歌

山梨

福井

島根

徳島

高知

佐賀

鳥取

0

100

200

300

400

500

600

700

東京

神奈

大阪

埼玉

愛知

北海

千葉

兵庫

福岡

静岡

京都

茨城

新潟

宮城

広島

鹿児

岡山

長崎

長野

栃木

福島

岐阜

群馬

沖縄

三重

熊本

愛媛

青森

岩手

山口

滋賀

大分

奈良

山形

石川

宮崎

秋田

富山

香川

和歌

山梨

福井

島根

徳島

高知

佐賀

鳥取

30年度定員上限

37年度定員上限

29年度採用者

募集定員倍率を圧縮した場合の推計(イメージ)

平成37年度に定員倍率を1.05倍にした場合(前年度採用者数の保障がある場合)

(医師養成数の評価を人口按分の1.2倍を限度とし、地理的条件等の加算を拡充)

○全都道府県で、募集定員上限が平成29年度の採用実績を上回るよう設定されている。

36

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600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500東

神奈

大阪

愛知

埼玉

北海

千葉

福岡

兵庫

静岡

京都

岡山

栃木

石川

広島

茨城

新潟

鹿児

宮城

長崎

沖縄

長野

岐阜

福島

群馬

三重

熊本

青森

岩手

秋田

山形

山梨

島根

愛媛

奈良

山口

滋賀

和歌

高知

徳島

大分

富山

福井

香川

宮崎

鳥取

佐賀

医学部入学定員で按分している都県の採用率(平成28年度)

0

100

200

300

400

500

600

700

東京

神奈

大阪

愛知

埼玉

北海

千葉

福岡

兵庫

静岡

京都

岡山

栃木

石川

広島

茨城

新潟

鹿児

宮城

長崎

沖縄

長野

岐阜

福島

群馬

三重

熊本

青森

岩手

秋田

山形

山梨

島根

愛媛

奈良

山口

滋賀

和歌

高知

徳島

大分

富山

福井

香川

宮崎

鳥取

佐賀

募集定員上限

採用実績

37

医学部入学定員で按分している都県

人口割合で按分している都県

○ 医学部入学定員で按分している都県において、募集定員に対する採用率

が低いところがみられる。

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医学部入学定員で按分している都県の採用状況等

医学部入

学定員

28都府県

人口

19道府県

上限設定(人口 or 医学部入学定員)

1.5倍~

15都県

(53.6%)1.2倍~

6県

(21.4%)

1.0倍~

7府県

(25.0%)

医学部入学定員で計算した場合の定員/人口割合で計算した場合の定員

17県

(81.0%)

4都県

(19.0%)

定員を減少している県

定員を活用している県

定員配布状況※平成30年度

※平成30年度定員上限 ※平成30年度定員上限

採用率(採用実績 / 定員上限)※平成29年度

38

○ 都道府県別定員の上限の設定にあたり、医学部入学定員の割合を採用している都府県においては、人口割

合で計算した場合の定員に比べ、1.2倍以上の定員増となる場合が約4分の3ある。

○ その結果、募集定員上限よりも実際の募集定員を削減させている県や、研修医の採用率の低い県が存在。

約6割が医学部入学定員の割合で按分

①約4分の3が人口割合で計算した場合の1.2倍以上の定員増

②約8割が募集定員上限よりも実際の募集定員を削減

③約8割が研修医の採用率が70%未満

n=47n=28 n=21

n=21

9県

(42.8%)

9県

(42.8%)

3都県

(14.3%)

50%~60%

60%~70%

70%~

40%~60%60%~70%70%~

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③地理的条件等の加算

都道府県別の募集定員上限

都道府県別の基礎数

都道府県の調整枠

全国の研修医総数 ×

全国の研修医総数 ×

(a) 面積当たり医師数(100㎢当たり医師数)(b) 離島の人口(c) 高齢化率(65歳以上の割合)(d) 人口当たり医師数

都道府県の人口

日本の総人口

医学部入学定員

全国の医学部入学定員

②医師養成状況

①人口分布

多い方の割合で按分

研修医総数を①と②の

都道府県別の募集定員上限の計算方法のイメージ

39(2)医師不足地域等へ配慮する観点から、地理

的条件等の加算を増加させる

(1)医師養成状況による募集定員の増加については一定の上限を加える

平成29年10月25日第13回医師需給分科会資料より抜粋(一部改変)

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出典:臨床研修修了者アンケート調査(平成27・28年)厚生労働省調べ

○ 初期臨床研修を出身大学と同じ都道府県で実施した場合、臨床研修修了後、大学と同じ都道府県で勤務する割合が高い(85%)。一方、初期臨床研修を出身大学と異なる都道府県で実施した場合、研修修了後、大学と異なる都道府県で勤務する割合が高い(84%)。

※1 出身地又は大学が海外の場合及び当該項目について無回答の場合は除外。※2 出身地:高校等を卒業する前までに過ごした期間が最も長い都道府県。※3 A県は任意の都道府県。B県はA県以外の都道府県。

40

大学が所在する都道府県で臨床研修を行ったときの定着割合

臨床研修修了後に勤務する都道府県

A県 A県以外

大学 臨床研修 人数 割合 人数 割合

A県 A県 5164 85% 938 15%

A県 B県 905 16% 4677 84%

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出典:臨床研修修了者アンケート調査(平成27・28年)厚生労働省調べ

○ 出身地の大学に進学し、その後、同じ都道府県で臨床研修を行った場合、臨床研修終了後、出身地の都道府県で勤務する割合が最も高い(90%)。出身地以外の大学に進学した場合であっても、臨床研修を出身地と同じ都道府県で実施した場合、臨床研修修了後、出身地の都道府県で勤務する割合は高い(79%)。

○ 出身地の大学に進学しても、臨床研修を別の都道府県で行うと、臨床研修終了後、出身地で勤務する割合は低い(36%)。

※1 出身地又は大学が海外の場合及び当該項目について無回答の場合は除外。※2 出身地:高校等を卒業する前までに過ごした期間が最も長い都道府県。※3 A県は任意の都道府県。B県、C県はA県以外の都道府県。(C県はB県と一致する場合も含む)

出身都道府県で臨床研修を行ったときの定着割合

臨床研修修了後に勤務する都道府県

A県 A県以外

出身地 大学 臨床研修 人数 割合 人数 割合

A県 A県 A県 2776 90% 304 10%

A県 A県 B県 321 36% 567 64%

A県 B県 A県 2001 79% 543 21%

A県 B県 C県 474 9% 4578 91%

臨床研修修了後に勤務する都道府県

A県 A県以外

出身地 大学 臨床研修 人数 割合 人数 割合

B県 A県 A県 2347 79% 617 21%

<参考>

41

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地域枠とマッチング

マッチング(現行)

学生 マッチング結果 進路

太郎指定された研修病院にマッチ

・マッチしたC病院へ

花子指定された研修病院にアンマッチ

・2次募集等

県内病院

マッチ

全てアンマッチ

地域枠 太郎

地域枠 花子

※自治医科大学、防衛医科大学校が対象

(マッチング前に病院を決定)

県内病院

B病院

A大学病院

C病院

B病院

A大学病院

C病院

42

○ 現行では、地域枠や地元出身者とそれ以外の者が同時にマッチングを実施するため、地域枠の医師が、診療義務が課せられた地域での希望病院にマッチできない可能性がある。

○ 現行では地域枠学生も、マッチングに参加して臨床研修を行う病院を決定。(一般枠学生と同様の扱い)※例外:自治医科大学と防衛医科大学校

・マッチングに参加せず、研修を行う病院を個別に調整して決定

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地域密着型臨床研修病院(仮称)における地域枠等限定選考(イメージ)

B病院A大学病院 C病院

43

都道府県

D病院

厚生労働省

意見

申請

指定

指定基準

地域密着型臨床研修病院(仮称)

マッチング枠

募集定員の2割又は5名の少ない方以下

募集定員のうち地域枠等限定枠以外(地域枠等限定枠の残余を含む)

・地域医療に配慮した研修プログラム(例えば、地域医療の研修期間が6月以上となるもの)を設けていること等

地域枠等限定枠【対象】地域枠等(平成29年度約800人)のうち希望する者

地域医療対策協議会

地域枠等限定枠の上限は、臨床研修期間中に従

事要件等が課されている者(地域枠等)の2割

例 地域枠等15名の場合、上限3名

【構成員】次に掲げる者の管理者等○ 特定機能病院○ 地域医療支援病院○ 公的医療機関○ 臨床研修病院○ 大学○ 社会医療法人 等

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地域枠等限定選考に関するスケジュール(イメージ)

44

時 期 都道府県・協議会地域密着型病院

(仮称)他の臨床研修病院

研修希望者(地域枠)

研修希望者(地域枠以外)

3月地域密着型病院(仮称)申請

4月地域密着型病院(仮称)指定

5月地域枠等限定

選考(希望する場合は)地域枠等限定応募

6月 参加登録開始(~8月)

9月 希望順位登録開始(~10月)

10月マッチング組み合わせ結果発表

仮契約

~翌年3月(募集定員に空きがあれば)二次募集

採用(採用されていなければ)応募

翌年4月 臨床研修開始

○ 都道府県が指定する地域密着型病院(仮称)において、マッチングの前に募集定員の一部に限り、地域枠等限定選考を実施

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45

臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について

地域医療への貢献等を目的とした医学部入学定員増等により、いわゆる地域枠の学生等が増加してくるため、基幹型臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際、その地域医療への従事要件等に配慮することについては、「医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」(平成15年6月12日付け医政発第0612004号)において定めているところである。本年3月23日に開催された医道審議会医師分科会医師臨床研修部会において、地域枠の学生に係る従事要件等への

配慮について、より適正を図る観点から、臨床研修制度における地域枠医師への対応が議論(別紙)されたことを受け、医師臨床研修マッチング参加規約が改正されたところであり、臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について、下記のとおり取りまとめたので、貴局管内の臨床研修病院に対し周知願いたい。

1 臨床研修病院は、医師臨床研修マッチングの希望順位登録前に研修希望者の臨床研修期間中の地域医療への従事要件等(以下「従事要件等」という。)を必ず確認すること。

2 従事要件等が課されている研修希望者は、選考過程において臨床研修病院にその旨を申し出るものであること。3 臨床研修病院は、研修希望者に従事要件等が課されている場合、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認した上で医師臨床研修マッチングの希望順位登録を行うこと。なお、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希望順位登録を行わないこと。

4 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者の氏名、大学名及び従事要件等を記載したリストを作成し、厚生労働省を経由して、臨床研修病院に情報提供すること。なお、臨床研修病院は、当該リストを研修希望者の従事要件等の確認のためにのみ使用するものとし、当該目的

以外に使用し又は第三者に提供してはならない。5 臨床研修病院は、研修希望者の従事要件等に関して、該当する都道府県に照会することができること。

なお、臨床研修病院は、当該照会により得た情報を研修希望者の従事要件等の確認のためにのみ使用するものとし、当該目的以外に使用し又は第三者に提供してはならない。

6 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者について、採用先医療機関を調べた上で、従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認すること。

(平成29年7月31日付医政医発0731第1号厚生労働省医政局医事課長通知)

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○ 社会保障制度改革国民会議報告書~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~(平成25年8月6日 社会保障制度改革国民会議)

第2部 社会保障4分野の改革Ⅱ 医療・介護分野の改革

2 医療・介護サービスの提供体制改革(2)都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行

今般の国民会議の議論を通じて、医療の在り方を地域ごとに考えていく必要性が改めて確認された。このため、本年6 月の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針」にも示されたとおり、地域ごとの実情に応じた医療提供体制を再構築することが求められる。

このような状況の下、医療計画の策定者である都道府県が、これまで以上に地域の医療提供体制に係る責任を積極的かつ主体的に果たすことができるよう、マンパワーの確保を含む都道府県の権限・役割の拡大が具体的に検討されて然るべきである。また、医療提供体制の整備については、医療保険の各保険者等の関係者の意見も聞きながら、進めていくことが望ましい。

(参考)

46

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臨床研修病院の指定・定員設定に係る現行の規定

医師法(抄)第十六条の二 診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院

又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定した病院が臨床研修を行うについて不適当であると認めるに

至つたときは、その指定を取り消すことができる。3 厚生労働大臣は、第一項の指定又は前項の指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、医道審議会

の意見を聴かなければならない。4 (略)

医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について(抄)第二 臨床研修省令の内容及び具体的な運用基準

22 地域における研修医の募集定員の調整地域における臨床研修病院群の形成を促進し、地域医療を安定的に確保するため、都道府県は、管轄

する地域における各病院の研修医の募集定員について、各病院の研修医の受入実績、地域の実情等を勘案して、以下の方法により必要な調整を行うことができること。(以下略)

47

○ 現行の医師法上、臨床研修病院の指定は厚生労働大臣が行うことが法定されている。

○ 現行の通知上、都道府県は、管轄する地域における各病院の研修医の募集定員について、必要な調整を行うことができることとされている。

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国及び地方公共団体の責務に係る現行の規定

医療法(抄)第一条の二 医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の

医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

第一条の三 国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。

48

○ 現行の医療法上、国及び地方公共団体は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない、こととされている。

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医道審議会意見

都道府県知事

地域医療対策協議会

○ 都道府県が格差是正を進めていくために、国が一定の基準等を示した上で、地域医療対策協議会の意見を聴き、臨床研修病院の指定を都道府県が行う仕組みを構築すべき。

臨床研修にかかる都道府県知事の権限について(臨床研修病院の指定)

知周知

臨床研修病院の指定

医療機関申請

指定

②地域医療対策協議会の意見を反映

臨床研修病院

臨床研修病院の指定

厚生労働大臣の権限

都道府県

権限移譲

大学、医師会、公的病院、民間病院 等

意見

①国が指定基準を定める・年間入院患者数、指導医数、救急医療の提供、安全管理体制、患者の病歴に関する情報の適切な管理、患者からの相談に応じる体制 等 49

<メリット>・地域医療に責任を有する都道府県が深く関与・地域の実態を把握している都道府県によりきめ細かい対応が可能・都道府県が目指す医療提供体制の構築が可能<デメリット>・臨床研修の質のバラつきが出る、有力な医療機関の意向が強く反映、特定の医療機関等が優遇などのおそれがある

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医道審議会意見

○ 都道府県が格差是正を進めていくために、国が一定の基準等を示した上で、地域医療対策協議会の意見を聴き、臨床研修病院の募集定員設定を都道府県が行う仕組みを構築すべき。

臨床研修にかかる都道府県知事の権限について(募集定員)

臨床研修病院の募集定員

都道府県知事

周知

①国が基本的な定員の分配方法を設定・都道府県ごとの定員(募集定員上限)・都道府県内の定員の基本的な考え方

地域医療対策協議会

臨床研修病院

意見

②地域医療対策協議会の意見を反映

大学、医師会、公的病院、民間病院 等

定員設定

事前通知

臨床研修病院の定員の設定

厚生労働大臣の権限

都道府県

権限移譲

確認

50

<メリット>・地域医療に責任を有する都道府県が深く関与・地域の実態を把握している都道府県によりきめ細かい対応が可能・都道府県が目指す医療提供体制の構築が可能<デメリット>・臨床研修の質のバラつきが出る、有力な医療機関の意向が強く反映、特定の医療機関等が優遇などのおそれがある

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○ これまで、国が臨床研修病院ごとの定員を定めていたが、今後、国は都道府県ごとの定員を定め、都道府県が病院ごとの定員を定めることにより、地方の研修医が増加する等のメリットがある。※ 都道府県が定員を定める際、あらかじめ厚生労働省に情報提供する仕組みを法定。※ 公私にかかわらず地域医療への配慮がなされるよう、都道府県が定員を定める際は地対協の意見を聴くことを法定化。

臨床研修病院の募集定員設定について

都道府県間の定員調整

募集定員枠の全国的な圧縮(募集定員倍率の圧縮)→定員充足している都市部の研修医数が減少

地域の定員数が増加

58.2%

41.8%

平成29年度

その他の

道県6都府県

研修医の採用数の変化(実績)

16年度 1.31倍↓

29年度 1.16倍↓

37年度 1.05倍

募集定員倍率(実績と予定)

①募集定員倍率の圧縮

※6都府県:東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県

②定員算定方法の変更

従来

①都道府県人口 又は ②医学部定員数 をベース→②医学部定員数の多い都府県(東京等)が有利

今後

医学部定員数をベースとした臨床研修医定員を圧縮→圧縮分を地域に加算

都市部(②医学部定員数ベース) 都市部以外

地域加算

従来 今後 今後従来

定員 2マッチ者数 1

国による募集定員の設定(現行) 都道府県による募集定員の設定

A病院 (都市部)定員 20マッチ者数 17

B病院 (地方部)定員 2マッチ者数 2

県内病院(例)

A病院 (都市部)定員 17(↓)マッチ者数 17

B病院(地方部)定員 5(↑)マッチ者数 4(↑)

県内病院(例)

都道府県内の定員調整

実情にあった定員数の設定

地域の定員数が増加

地域の研修医が増加

地域で働きたい医学生がマッチできない

52.2%47.8%

平成16年度

51

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5 その他

52

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注1)研修医採用実績は、各年度における4月現在の採用実績注2)中断者数は、地方厚生局に報告があった人数。(同一人物が2回以上中断している場合でも1人としている。)

中断の現状

(厚生労働省調べ) 53

○臨床研修の中断とは、研修管理委員会から中断の勧告又は研修医から中断の申出を受け、管理者が中断を認める場合をいう。

○平成27年から平成29年(7月まで)中に、研修医の1.2%が研修の中断を経験している。(平成18~21年度は平均1.3%)

大学病院 臨床研修病院 合計

研修医採用実績

A中断者数

B

B/A研修医

採用実績

A中断者数

B

B/A研修医

採用実績

A中断者数

B

B/A

平成27年度 3,436 52 1.5% 4,808 76 1.6% 8,244 128 1.6%

平成28年度 3,495 51 1.5% 5,127 76 1.5% 8,622 127 1.5%

平成29年 (7月まで)

3,432 9 0.3% 5,057 30 0.6% 8,489 39 0.5%

計 10,363 112 1.1% 14,992 182 1.2% 25,355 294 1.2%

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研修開始年度

大学病院 臨床研修病院 合計

研修医受入実績

A中断者数

BB/A

研修医受入実績

A中断者数

BB/A

研修医受入実績

A中断者数

BB/A

平成18年度 3,451人 40人 1.2% 4,266人 71人 1.7% 7,717人 111人 1.4%

平成19年度 3,423人 40人 1.2% 4,137人 48人 1.2% 7,560人 88人 1.2%

平成20年度 3,591人 35人 1.0% 4,144人 53人 1.3% 7,735人 88人 1.1%

平成21年度 3,575人 52人 1.5% 4,069人 53人 1.3% 7,644人 105人 1.4%

計 14,040人 167人 1.2% 16,616人 225人 1.4% 30,656人 392人 1.3%

注1)研修医受入実績は、各年度における4月現在の受入実績注2)中断者数は、研修医が研修を中断した旨、研修病院から地方厚生局に報告があった人数。(同一人物が2回

以上中断している場合でも1人としている。)

中断の状況(18~21年度) (参考)

○研修医の1.3%(平成18~21年度の平均)が研修の中断を経験している。

(厚生労働省調べ) 54

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中断理由 中断件数 再開件数 割合

病気療養 109 81 74.3%

研修内容への不満 12 11 91.7%

妊娠・出産・育児 27 24 88.9%

家族等の介護 7 5 71.4%

研修体制の不備 1 0 0%

その他 142 112 78.9%

計 298 233 78.1%

※中断件数は、研修医が研修を中断した旨、研修病院から地方厚生局に報告があった件数。(同一人物が2回以上中断している場合は、それぞれ件数をカウントしている。)

○中断した研修(平成27年~29年7月まで)は、8割近くが再開している。

○理由別では、「研修内容の不満」からの研修再開が最も高い割合だ、他の理由でも高い割合を維持し、多くが研修を再開している。

55

中断者の再開状況(27~29年7月)

74.3%

91.7%

88.9%

71.4%

0.0%

78.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

病気療養

研修内容への不満

妊娠・出産・育児

家族等の介護

研修体制の不備

その他

(厚生労働省調べ)

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中断理由 中断件数 再開件数 再開率

病気療養 205件 122件 60%

研修内容への不満 39件 33件 85%

妊娠・出産・育児 34件 24件 71%

家族等の介護 27件 20件 74%

研修体制の不備 7件 6件 86%

その他 117件 63件 54%

計 429件 268件 62%

※中断件数は、研修医が研修を中断した旨、研修病院から地方厚生局に報告があった件数。(同一人物が2回以上中断している場合は、それぞれ件数をカウントしている。)

60%

85%

71%

74%

86%

53%

62%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

病気療養

研修内容への不満

妊娠・出産・育児

家族等の介護

研修体制の不備

その他

合計

履修計画提出件数/中断件数

○中断した研修は、62% (平成18~21年度の平均)の割合で再開している。理由別で見ると「病気療養」を理由に中断した研修が再開する割合が低い。

56

中断者の再開状況(18-21年度) (参考)

(厚生労働省調べ)

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臨床研修の未修了者の状況

研修修了年度

大学病院 臨床研修病院 合計

研修医受入実績

A

未修了者数B

B/A研修医

受入実績

A

未修了者数B

B/A研修医

受入実績

A

未修了者数B

B/A

平成27年度 3,291 40 1.2% 4,383 20 0.5% 7,674 60 0.8%

平成28年度 3,334 40 1.2% 4,458 23 0.5% 7,792 63 0.8%

計 6,625 80 1.2% 8,841 43 0.5% 15,466 123 0.8%

○臨床研修の修了基準として、「研修実施期間の評価」、「臨床研修の目標の達成度の評価」及び「臨床医としての適性の評価」の3つがある。

○研修管理委員会は、各評価項目に基づき研修医の評価をし、管理者に対して研修医の評価を報告しなければならない。

注1)研修医受入実績は、研修開始年度における4月現在の受入実績

注2)未修了者数は、地方厚生局に報告があった人数

(厚生労働省調べ) 57

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研修開始年度

大学病院 臨床研修病院 合計

研修医受入実績

未修了者数 発生率研修医

受入実績未修了者数 発生率

研修医受入実績

未修了者数 発生率

平成18年度 3,451人 74人 2.1% 4,266人 28人 0.7% 7,717人 102人 1.3%

平成19年度 3,423人 41人 1.2% 4,137人 29人 0.7% 7,560人 70人 0.9%

平成20年度 3,591人 39人 1.1% 4,144人 34人 0.8% 7,735人 73人 0.9%

平成21年度 3,575人 37人 1.0% 4,069人 21人 0.5% 7,644人 58人 0.8%

計 14,040人 191人 1.4% 16,616人 112人 0.7% 30,656人 303人 1.0%

注1)研修医受入実績は、各年度における4月現在の受入実績

注2)未修了者数は、未修了者に対する履修計画について、研修病院から地方厚生局に報告があった人数。(同一人物が2回以上未修了となっている場合でも1人としている。)

58

18-21臨床研修の修了基準について(18-21年度)(参考)

(厚生労働省調べ)

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中断者に対する配慮について

○臨床研修を再開する病院においては、臨床研修中断証の内容を考慮した臨床研修を行うこと。

○各地方厚生局では、臨床研修を長期にわたり休止又は中止する場合の手続きに関する問い合わせや研修医からの相談を受け付け、適宜情報提供等を行っている。

※平成28年7月1日一部改正 平成15年6月12日医政発第0612004号厚生労働省医政局長通知抜粋

※平成27年2月24日医政医発0224第1号厚生労働省医政局医事課長通知抜粋

○基幹型臨床研修病院の管理者は、責任をもって、受け入れた研修医についてあらかじめ定められた研修期間内に臨床研修が修了できるよう努めなければならない。また、臨床研修中断証を交付するような場合においても、管理者は当該研修医に対し、適切な進路指導を行うものであること。

○臨床研修の中断の検討を行う際には、管理者及び研修管理委員会は当該研修医及びプログラム責任者や他の研修指導関係者と十分話し合い、当該研修医の臨床研修に関する正確な情報を十分に把握するものであること。また、臨床研修を再開する場所(同一の病院で研修を再開予定か、病院を変更して研修を再開予定か。)について併せて検討すること。

59

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臨床研修の修了基準について

1、研修期間の評価

・休止の理由:傷病、妊娠、出産、育児、その他の正当な理由

・休止期間の上限:2年を通じて90日以内

2、到達目標の達成度の評価

・到達目標:行動目標、経験目標を達成すること

→個々の到達目標については、医療安全

を確保し、かつ、患者に不安を与えずに行うことができる場合に当該項目を達成。

・必修項目:すべての必修項目を達成すること

3、臨床医としての適性の評価※

・安心・安全な医療の提供ができない場合(一般常識を逸脱する、就業規則を遵守できない場合、患者に被害を及ぼす恐れがある場合等)・法令・規則が遵守できない場合

了※臨床医としての適性の評価は、著しい場合を除いて、複数の病院の研修を経た上で判定

3要件全て達成修

1要件でも不適当と認められた場合

60

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医学系大学院における基礎系(MD)の割合

・基礎系(MD)の割合は、増加基調にあるものの、ほぼ横ばいであり、その割合を高めることが必要

390 397 404 304 355 385

269 453 676 680 589 498

1,777

2,449 3,015

2,681 2,912 3,020

230

250

263

298 351 401

14.6%

11.2%

9.3%7.7% 8.4% 8.9%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

20.0%

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

H5 H10 H15 H20 H25 H28

臨床系 臨床系(MD) 基礎系 基礎系(MD) 大学院進学者における基礎系(MD)の割合

(出典)文部科学省調べ

基礎研究医養成に関する状況(H5~28年)

61

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基礎医学分野における国際競争力の低下・基礎医学論文数は、中国が大幅に増加、インド、韓国、ブラジルが10年間で倍以上の伸びを示しているなか、日

本は低調

国名 2005 2014 増加率

中国 5,758 35,472 616%

インド 2,980 7,279 244%

韓国 3,427 7,433 217%

ブラジル 3,594 6,948 193%

オーストラリア 4,509 8,073 179%

スペイン 5,037 8,022 159%

イタリア 7,238 10,216 141%

カナダ 7,608 10,633 140%

ドイツ 13,082 17,529 134%

英国 13,841 17,894 129%

米国 59,597 72,923 122%

フランス 9,562 11,361 119%

日本 14,803 14,277 96%

【各国の基礎医学論文数増加率】 【基礎医学論文数の推移】

(出典)トムソン ロイター Web of Scienceに基づくInCites 2016年6月抽出データにより、鈴鹿医療科学大学長 豊田長康氏作成

「医療分野研究開発推進計画」(抜粋) (平成26年7月22日健康・医療戦略推進本部決定)

・医療の研究開発を持続的に進めるためには、基礎研究を強化し、画期的なシーズが常に産み出されることが必要である。

「死因究明等推進計画」(抜粋)(平成26年6月13日閣議決定)

2 法医学に係る教育及び研究の拠点の整備・死因究明等に係る分野を志す者を増加させることや、魅力あるキャリアパスの形成を促すことを含めて、引き続き、取組の継続・拡大に努めていく。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1,991 1,995 2,000 2,005 2010 2014

米国(1/2)

中国

英国

ドイツ

日本

フランス

カナダ

イタリア

オーストラリア

スペイン

韓国

インド

ブラジル

基礎医学分野に係る状況

62

文部科学省作成資料

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臨床研修修了後の医籍登録と医師法等における規定との関係について

• 臨床研修を修了していない者が診療に従事した場合、医師法第16条の2第1項又は歯科医師法第16条の2第1項の規定に違反し、行政指導や戒告等の処分の対象になりうること。

• なお、この「診療」には、医療機関で医業を行う場合のほか、健診又は検診の場において医業を行う場合も含まれるものであること。

• 医療法第7条の規定により、医師法第16条の4第1項等の規定による登録を受けていない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならないこと。

• 医療法第10条の規定により、医師法第16条の4第1項等の規定による登録を受けていない者は、病院又は診療所の管理者になることができないこと。

63臨床研修を修了した者であることの確認等について(平成26年5月28日 医政発0528第2号)(参考1)医師法等における規定との関係(1)~(3)

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③地理的条件等の加算

都道府県別の募集定員上限

都道府県別の基礎数

都道府県の調整枠

※全国の研修医総数 ×

全国の研修医総数 ×

(a) 面積当たり医師数(100㎢当たり医師数)(b) 離島の人口(c) 高齢化率(65歳以上の割合)(d) 人口当たり医師数

都道府県の人口

日本の総人口

医学部入学定員

全国の医学部入学定員

②医師養成状況

①人口分布

多いほうの割合で按分

研修医総数を①と②の

※ 都道府県の調整枠は、全国の募集定員上限※1と都道府県別基礎数の合計との差を各県の採用実績で按分※1 全国の募集定員上限=研修希望者数×募集定員倍率※2(H28:1.18倍)

※2 募集定員倍率は、平成32年度までに約1.1倍まで縮小

都道府県別の募集定員上限

64

臨床研修病院の募集定員については、基礎医学に従事する予定の医師も含め設定

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基礎医学研究により意欲のある学生

基礎医育成・研修コース(仮称)のイメージ

申請

許可

基礎医育成・研修コース

基礎枠限定選考(5月頃)

募集定員全体

マッチング枠

マッチング(9~10月)

一大学につき原則1名※

※基準に応じて0~5名

・基礎系の大学院(研究)と臨床研修を両立できる環境がある・選択研修時に基礎医学の研修を行うことができる・研究医となった際のキャリア支援体制が確保されている・修了者に魅力あるキャリアパスを提示している・論文指導を行う環境がある・学会発表の機会がある・研究費などの予算措置がある・一定の基礎医学論文数がある・臨床研究中核病院である など

初期研修※+基礎研究

臨床研修

初期研修

対象者:基礎医学に意欲があり、基礎系の大学院※に入学する者(MD-PhDコースを含む)※解剖学、生理学、生化学、薬理学、病理学、法医学、微生物学、寄生虫学、免疫学、衛生学・公衆

衛生学、その他の基礎医学・生物学 等

○ 基礎医学系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合が低下

○ 基礎医学論文数は、国際的にみて日本は低調であり、基礎研究分野の国際競争力は相対的に低下傾向。○ 基礎医学研究を行う医師であっても、診療(健康診断等を含む)を行う場合は、臨床研修を修了する義務がある。○ 臨床研修病院の募集定員については、基礎医学に従事する予定の医師も含め設定されている。

現状と課題

○ 基礎医学に従事する医師を対象に、臨床研修と基礎研究を両立するための基礎医育成・研修コースの設置○ 基礎医育成・研修コースの定員については、一般のマッチング枠・募集定員とは別枠で設置

臨床業務等により意欲のある学生

対応案

大学病院

大学院入学

行政機関

基準(例)

※到達目標を満たすことが条件 65

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平成28年度 ワーキンググループ

臨床研修部会 ・ 到達目標のとりまとめ

平成29年度 ワーキンググループ ・ 到達目標と関連する方略・評価案の提示

臨床研修部会 ・ 到達目標・方略・評価のとりまとめ

・ 制度見直しの報告書のとりまとめ

平成30年度 ・ プログラムの見直し等

平成31年度 ・ マッチング

平成32年度 制度見直し後の臨床研修の開始

66

見直しに向けてのスケジュール (予定)

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出典:厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000200876.html

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000201187.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000200863.pdf

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/0000200865.pdf