「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・...

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「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・教育訓練のあり方について 経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 資料

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Page 1: 「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・ …...(出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』 2 仕事の受注に向けたフリーランスの取組(複数回答)

「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・教育訓練のあり方について

経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室

資料 5

Page 2: 「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・ …...(出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』 2 仕事の受注に向けたフリーランスの取組(複数回答)

1.雇用関係によらない働き手における 人材育成・教育訓練に関する実態

1

Page 3: 「雇用関係によらない働き手」における 人材育成・ …...(出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』 2 仕事の受注に向けたフリーランスの取組(複数回答)

2 (出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』

仕事の受注に向けたフリーランスの取組(複数回答)

中小企業庁「2016年度小規模企業白書」によれば、仕事の受注に向けた取組みとして「技術・技能の向上」が56.2%挙げられており、自身のスキル形成を重要視していることが分かる。

仕事の受注に向けたフリーランスの取組(売上げ高の傾向別)(複数回答)

スキルアップ・教育訓練の必要性に関する働き手の意識

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3 (出典):中小企業庁(2016年)「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編 (注) フリーランスに、受注回数の多い企業規模(直近1年間)について1位から3位を回答してもらった中で、1位に回答されたものを年収別に見ている。

中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」によれば、「フリーランスのまま、事業(売上げ・顧客)を拡大することを望む」フリーランスが4割弱を占める。

また、フリーランスの年収別の受注状況を見ると、年収が上がるにつれ、発注事業者の規模・割合共に大きくなることが分かる。 売上げ拡大のためには、技術・技能の向上に向けた取組等を行いつつ、事業者としての競争力や信頼感を高めていくことが必要と考えられる。

フリーランス自身の今後の働き方の見通し(複数回答)

フリーランスの取引状況から見たスキルアップの必要性

仕事の発注者の企業規模(フリーランスの年収別)

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フリーランスとして働くうえで、今後、受けたい支援・相談(必要と回答した者のうちの割合)

働き手の支援ニーズについて 中小企業庁「2016年度小規模企業白書」によれば、フリーランスとして働く上で、支援が必要と回答した者のうち、「専門知識の習得・向上のための研修・訓練の機会の提供」が必要と回答したのは約20%。

支援ニーズとしては、「新規受注先の開拓方法に関する相談」に次いで、2番目に大きいニーズ。

N=491

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

新規受注先の開拓方法に関する相

専門知識の習得・向上のための研

修・訓練の機会の提供

契約や業務上のトラブルに関する

対応相談

資金調達(運転資金・事業資金・設

備資金等全般)に関する相談

公的な補助・支援等を受けるため

の相談や手続き支援

その他

(出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』

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(出典):佐野他(2012)「個人請負就業者の「労働者性」と就業選択」 ※「労働者性」の定義は、①仕事の諾否の自由の有無、②時間的・場所的拘束性、③業務遂行に対する具体的指揮監督 の有無、④通常予定されている

以外の業務へ の従事、⑤労務提供の代替性の有無、⑥報酬の支払方法の6項目をアンケート調査により点数化し、定義。 5

取引先企業(仕事を請け負っている企業)からの教育訓練機会の提供の有無

16.9

6.7 6.7 1.5 2.9 0.3

76.7

17.9 10.9

6.9 2.9 4.0

0.0

68.2

22.1 18.4

13.8

3.1 5.5 0.3

61.3

19.0 12.0 9.2

2.4 4.1 0.2

69.0

0.010.020.030.040.050.060.070.080.090.0

業務委託を結ぶ際に商品やサービス

等について説明

社内外の講習会等への参加の機会

社員向け勉強会への参加の機会

公的資格等取得のための講座受講や

通信講座への援助

自己啓発への時間的もしくは金銭的

援助

その他

特にない

(%) 取引先から提供された教育訓練の内容(複数回答) 労働者性低(0~2点)

労働者性中(3点)

労働者性高(4~7点)

全体

N=944

「個人請負就業者の『労働者性』と就業選択」 という研究によれば、個人請負就業者の能力開発機会について見ると、取引先からOff-JT を受ける機会は小さい傾向があるとされる。

※企業ヒアリングによると、業務委託した商品のクオリティ担保のために個人請負就業者向けのセミナーを実施するケース等はある

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男女、職業上の地位・雇用形態別 職業訓練・自己啓発をした割合

• 総務省「平成24年就業構造基本調査」によれば、職業訓練・自己啓発をした割合をみると、正規の職員・従業員に比べて、自営業主等は、職業訓練・自己啓発をした割合が低くなっている。

人材育成・教育訓練の実態①

25.4

18.5

38.4

46.6

22.7 25.2 25.2

32.9 32.3

12.5

27.7

50.1

23.4 26.9

29.7

42.2

0

10

20

30

40

50

60

自営業主

家族従業者

会社などの役員

正規の職員・従業員

パート

アルバイト

労働者派遣事業所の派遣社員

契約社員

(%) 男性 女性

※自営業主の定義は、個人経営の商店主,工場主,農業主,開業医,弁護士,著述家,家政婦など自分で事業を営んでいる者 出典)総務省「平成24年就業構造基本調査」より作成

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7

0

100

200

300

400

500

600

学校教育(学校まで)

学校教育(大学)

学校教育(専門学校等そ

の他)

自分で身に付けた(独学

で身に付けた)

自分で身に付けた(趣味

として身に付けた)

他者(経営者、フリーラ

ンス等)から学んだ

その他

中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」によれば、フリーランスが“スキルをどのように身に着けたか”の問いについては、学校教育ではなく、「独学で身に付けた」と回答した者が半数以上。

フリーランスの多くは、自主的な取組を通じて、能力開発の機会を確保していると見られる。

人材育成・教育訓練の実態②

n=1265 (回答者800人)

(回答数)

フリーランスとして必要となる知識・技能をどのように身を着けたか(複数回答)

フリーランスとして必要な知識の取得については、個人の主体性を持ったスキルアップが大部分を占める

フリーランスへのスキル形成支援については、個人の主体的なスキル形成支援となることが必要

(出典):中小企業庁(2016年)「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」

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小規模事業者の役員・ 正社員、個人事業主

41.5%

中小企業の役員・正社員 24.8%

大企業の役員・ 正社員 12.5%

パート・アルバイト、 契約社員・派遣社員

10.2%

公務員・団体職員 1.9%

教員 0.7%

学生(新卒) 1.4%

学生(新卒を除く) 0.3%

その他 6.8%

(n=1,300)

会社の役員、正社員、 個人事業主(78.8%)

「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」によれば、 フリーランスが営む事業として多い職種は、「デザイナー」、「システムコンサルタント・ソフトウェア」、「著述家」等となっている。フリーランスになる前職としては、会社の役員・正社員や個人事業主であったとする者が全体の約8割を占める。

デザイナー 20.7%

システムコンサルタント、ソフトウェア作成

者 17.7%

著述家(小説家、脚本家、評論家、 コピーライター

など) 12.1%

翻訳家 8.1%

建築技術者、土木・測量技術者

7.1%

記者、編集者 6.1%

個人教師(音楽、舞踊、スポーツ、学習指導、茶道・生花・書道など) 5.0%

マンガ家、アニメーター、イラストレーター

など 4.4%

経営コンサル タント 4.4%

写真家、映像 撮影者3.5%

音楽家、舞踏家、 俳優、演出家、 演芸家 3.1%

その他 7.9%

(n=776)

フリーランスが事業を営んでいる職種

(出典):中小企業庁(2016)「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」 (注)図1:1.アンケートの設問において、職種を「その他」と回答した回答数(524)を除き、職種が判明している回答数を集計している。 2.本図の「その他」は上記1.による集計数のうち、回答率が3%未満であるものを括っているが、その内訳は以下のとおりである(括弧内は回答数)。あんまマッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整体師(22)、美容サービス従事者(着付、エステティシャン、ネイリストなど)(14)、通訳(6)、ハウスクリーニング職(6)、塗装工、ペンキ画工(4)、大工(4)、植木職・造園師(2)、型枠大工(1)、とび職(1)、畳職(1) 図2: 中小企業の役員・正社員は、小規模事業者の役員・正社員を除く。

フリーランスになる前の職業

8

(参 考)フリーランスが事業を営んでいる職種

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22.2 18.3

10.6 8.7

6.0 4.6 4.6 4.3 4.3 3.9 3.2 3.2 6.2

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

システムコンサルタント、

ソフトウェア作成者

デザイナー

著述家(

小説家、脚本家、評論家、

コピーライターなど)

建築技術者、土木・測量技術者

経営コンサルタント

記者、編集者

写真家、映像撮影者

翻訳家

個人教師(

音楽、舞踊、スポーツ、

学習指導、茶道・生花・書道など)

音楽家、舞踏家、俳優、演出家、

演芸家

マンガ家、アニメーター、

イラストレーターなど

あんまマッサージ、指圧師、

はり師、きゅう師、柔道整体師

その他

男性

(%)

27.4

18.4 16.0

9.9 7.5 7.1 5.7

8.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

デザイナー

翻訳家

著述家(

小説家、脚本家、評論家、

コピーライターなど)

記者、編集者

マンガ家、アニメーター、

イラストレーターなど

個人教師(

音楽、舞踊、スポーツ、

学習指導、茶道・生花・書道など)

システムコンサルタント、

ソフトウェア作成者

その他

(参 考)フリーランスが事業を営んでいる職種(男女別)

(n=564)

女性

(%)

(n=212)

(出典):中小企業庁(2016)『2016年度小規模企業白書』

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「日本のクラウドソーシング環境に関する調査」によれば、受注者側は発注者から「サービスの品質」が重要視されていると認識。また、「平成20年度サービスイノベーション創出支援事業」によると、企業間の業務プロセスアウトソーシングにおいても、今後の業界・政府の取り組むべきこととして“間接業務の標準やスキル標準の策定”が高い割合で挙げられている。

● 日本クラウドソーシング検定協会がヒューマンアカデミーと提携し「WEBライティング技能検定講座」の販売を開始 ※ ヒューマンアカデミーが運営する通信講座サイト「たのまな」より申し込み可能

WEBライティング技能検定試験

基礎編:主に社会人としてのマナーやクラウドソーシングという働き方への理解があるかどうかを問う 実践編:クラウドソーシングを介して行うライティング全般に対して、十分にライティング能力があるかを問う

(出典):中小企業庁(2015)「日本のクラウドソーシング環境に関する調査」

BPO(業務プロセスアウトソーシング)ベンダー企業が考える 今後、政府や業界で取り組むべきだと思うこと(回答3つまで)

クラウドソーシング市場において、 受注者が考える発注者から求められている事項

(出典):経済産業省(2009年)「平成20年度サービスイノベーション創出支援事業 (サービス産業能力評価システム構築支援事業)」

スキルアップの「見える化」について

資格標準の民間企業の取組み例

「WEBライティング技能検定」は月1回のWEB上で行う検定試験(試験時間は90分、6,000円(税込)の試験料)

→ (IT企業を中心とした14社が社員教育用教材として導入)

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2.雇用関係によらない働き方が活用 できる人材育成・教育訓練例

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民間事業者(デジタルハリウッド株式会社)

参考URL:digital hollywood Studio デザインの仕事をもっと身近に!―http://school.dhw.co.jp/p/freelance/

• フリーランス向けにWebデザインのスキルを学ぶコースを設置。 • 在学中からバナー広告制作の仕事を受注できる実践的なトレーニングを提供。 • コース修了後も、安定的にWEBデザインの仕事を供給する支援を実施。

フリーランス向け受講コース特徴 ●個別学習⇒ 現役Webデザイナーが平日22時、土日20時まで常駐 ●制作案件⇒ バナー広告を中心に一案件5千円から4万円の制作案件を在学中から手掛ける ●制作環境⇒ フリーランス業務に必要なPCセットを限定価格で購入可能 フリーランス向け受講コース概要 ●「おこづかい・副業フリーランスパック」 ・受講スタイル:個別学習 ・受講期間 : 3ヶ月 ・学習内容 : Adobe Illustrator, Adobe Photoshop, バナー制作実践 ・料 金 : 入学金3万円、授業料20万円、設備教材費5万円(すべて税抜価格) ●「Webデザイナー専攻 フリーランス スタートアップパック」 ・受講スタイル: 個別学習およびクラス受講 ・受講期間 : 6ヶ月 ・学習内容 : Adobe Illustrator, Adobe Photoshop, HTML/HTML5, CSS/CSS3, jQuery,

jQuery mobile, javascript, バナー制作実践 ・料 金 : 入学金5万円、授業料38万円、設備教材費5万円(すべて税抜価格)

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プラットフォーマーによる支援(株式会社PE-BANK) フリーのITエンジニアが、自分だけでは対応しにくい業務を補完する企業。 (元々の母体は、中小企業等協同組合法の組合。) ■会員の平均年収 700万円 ■契約中のエンジニア数 2,900名

主な業務 ●営業代行 一つの仕事が完了したら、すぐに次の仕事へ取りかかれるように営業代行を実施。 空白期間の発生を防止するとともに、本業に専念可能とする。 ●事務代行 フリーランスであれば、必ず発生する事務手続き(請求書作成、郵送、入金確認など)を実施。 ●確定申告サポート(※活用多い) フリーランスにとって煩雑な申告や納税関連の手続きを支援(説明会、必要書類の作成指導、税

務相談)。ハードルが高く感じる青色申告もサポート。 ●福利厚生 独自の共済会制度を運用、提供(共済、医療保険、休業補償など) ●スキルアップ支援 ・資格取得支援(受験料の1/2を補助。合格すれば残りの1/2を補助) ・セミナー参加支援(受講料の1/2を補助) ・意欲的なフリーランスによる独自の勉強会・研究会の開催支援

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● 市内事業者、企業のクラウドソーシングの活用を 推進するため、クラウドソーシン グ発注体験企 業を募集し、実際に業務を発注する際、1社あたり 30万円を上限として発注金額を助成。

※ また、クラウドソーシングの活用法について 説明する企業向けセミナーを実施。

〈 2015年度実績〉41社に業務の発注体験を活用、 延べ65社がクラウドソーシング活用セミナーに参加 14

自治体主体の在宅ワーカー訓練プログラム例(秋田県湯沢市) 企業の人材確保・働き手の就業機会において課題を抱えている自治体は、独自にICTを活用した「新しい

働き方」(在宅就労)推進事業に取り組んでいる。

秋田県湯沢市では、2015~2016年度パソナテックに委託し、在宅就労(クラウドソーシング)推進事業を展開。域内の企業・人材がICTが活用した働き方を促進することで、新たな人材確保手法・就業機会を創出し、経済活性化を期待。(以下、代表的な事業取組)

Ⅰ 在宅ワーカー育成事業

Ⅱ クラウドソーシング普及・啓発事業

● クラウドソーシングサービス上で業務を受けるために必要な知識の訓練(基礎訓練、 実務訓練)を実施 ● 2016年度は上記の訓練以外にも、訓練参加者及び修了生を対象により多くの報酬が 得られるようなスキルアップ支援を行う。 〈講座例〉セキュリティ・コンプライアンス/ビジネスマナー/画像編集・加工/ホウレンソウ/タイムマネジメント/ 〈受講期間〉●● 〈受講対象〉●● 〈 2015年度実績〉28名が在宅ワーカー育成プログラムに参加

湯沢市クラウドソーシング導入支援事業HP(http://yuzawa-cs.sakura.ne.jp/)

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国における教育支援(公的職業訓練講座等)について 雇用関係がない働き手に対する国の主要な能力開発支援としては、「職業訓練」と「教育訓練給

付」であり、更に雇用保険の受給対象者以外を省くと、「職業訓練〈求職者支援訓練〉」のみ。

ただし、「求職者支援制度」とは、雇用保険を受給できない早期の就職を目指す求職者のための制度であり、フリーランスのような雇用関係によらない働き手への支援制度ではない。

【雇用保険加入対象】 1週間の所定労働時間が20時間以上であること 31日以上の雇用見込みがあること

→ 受給のためは、一定期間の保険料の支払いと、就職(雇用)の意志が必要

雇用関係有り 雇用関係無し

雇用保険 受給対象

雇用保険 受給対象外

教育訓練給付(一般教育訓練給付・専門実践教育訓練給付)

職業訓練 〈求職者支援訓練〉

職業訓練〈公共職業訓練(在職者向け・離職者向け)〉

雇用保険二事業(ex.キャリア形成促進助成金) ※企業によるOff-JT、OJT実施支援

※ 雇用保険加入対象外の労働者 (1週間の所定労働時間が20時間未満のパート等)

国による主要な教育訓練支援 【支援要件】 1 ハローワークに求職の申込みをしていること 2 雇用保険被者や雇用保険非受給者ではないこと 3労働の意思と能力があること 4 職業訓練などの支援の必要性をハローワークが 認めること

●基礎コース -職種・業種横断的な訓練 (基礎的能力を習得する訓練) ●実践コース -介護、IT、医療事務等の分野の訓練 (基礎的能力から実践的能力まで一括して習得する訓練) (Ex.マナー・パソコン講座・医療事務)

●受講料無料(テキスト代は自己負担) ●受講手当:月額10万円(一定要件を満たす必要) (要件例) ① 月収入が8万円以下であること ② 世帯(※)の月収入が25万円以下であること ③ 世帯の金融資産が300万円以下であること 等

求職者支援訓練

雇用保険料加入対象&受給要件 【求職者支援訓練 実践コース 講座例】 スマートフォンアプリ・WEB開発科 プログラミングの概念、知識、技術を習得した上で、 さらに今後ニーズの拡大が見込まれるスマートフォン アプリの開発の手法、構築スキルを学ぶ グラフィック実践クリエート科 DTPを実践的に作業できるように必要な技能と 知識(印刷物、広告に関する知識)を習得する訓練

15 現在の国の主要な教育訓練支援は「雇用」に関連したものである必要

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3.海外(アメリカ・イギリス)の事例

16

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• 「Freelancing in America 2016」によれば、アメリカではフリーランスの半数以上が過去6ヶ月以内に教育訓練を受講。フリーランス以外の層よりも多い割合で訓練を受講している。

米国における状況①

13% 20%

26%

31%

9%

10% 17%

18% 17%

13% 18%

8%

フリーランサー ノンフリーランサー

直近スキル開発に関連する教育訓練をいつ受講したか

1週間以内

1か月以内

半年以内

1年以内

1年以上前

全くない

52% 半年以内の 参加

39% 半年以内の 参加

n=6,002

出所:Freelancing in America 2016― Upwork Global Inc. and Freelancers Union (https://www.upwork.com/press/2016/10/06/freelancing-in-america-2016/) 17

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• 「Freelancing in America 2016」によれば、ノンフリーランスは職務要件のために受講する者が多い一方、フリーランスは仕事の獲得を目的とした教育訓練受講が多い。

44%

38% 38%

34% 35%

27%

56%

21%

より高いスキルが要求される仕事の獲得 収入の増加 仕事で求められるため プロフェッショナルのネットワーク構築

教育訓練に参加した理由 フリーランサー ノンフリーランサー

n=5,008

ノンフリーランスは、仕事で求められるため教育訓練に参加する割合が高い

米国における状況②

出所:Freelancing in America 2016― Upwork Global Inc. and Freelancers Union (https://www.upwork.com/press/2016/10/06/freelancing-in-america-2016/) 18

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海外(英・米)の例—民間企業が実施する有料スクール(1) 英国および米国では、主に以下のような事例がみられる。

包括的分野を網羅—Lynda.com(LinkedInが2015年に買収) 各産業・分野に特化―メディア、ファッションといった分野が見受けられる 包括的な分野を網羅

事例(1)―Lynda.com Lynda.comは、米国カリフォルニア州に1995年に設立された企業で、月額メンバーシップ制のオンライン講座を提供する。2015年4月に、SNS企業LinkedInが買収。なお、LinkedInは、ビジネス上の情報交換を目的とし、個人や企業が履歴書にも似たプロフィールを作成して繋がり合うことから、プラットフォーマー的な機能も兼ね備えているといえる。 月額20ドルか30ドルの会費を払ってLynda.comのメンバーになると、5,200件以上のオンライン講座に自由にアクセス可能で、30ドルのメンバーシップを購入すれば、専門家による講座のビデオ視聴のみでなく、講義で使用されたファイルをダウンロードしてプログラミングなどのスキルを練習したりすることで、自分の技能の伸びを計ることもできる。また、各講座の修了時にはLynda.comより承認が発行され、メンバーは自分のLinkedInプロフィールで公表することができる。

(出典):https://www.lynda.com/; https://www.lynda.com/articles/lynda-com-certifications-now-available-linkedin-profile LinkedInプロフィールに掲載されている認証の発行元ランキング:https://addtoprofile.linkedin.com/cert/ranking

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海外(英・米)の例—民間企業が実施する有料スクール(2) Ⅱ 各産業・分野に特化 事例(2)―School of Motion、FreelanceU <モーションデザイン>

School of Motionは、自身もモーションデザイナーとして、被用者、フリーランス、経営者を経験したJoey Korenman氏が設立した、モーションデザインに関するオンライン講座を提供する米国企業。 モーションデザイン技術を教える講義・講座に加え、フリーランスを対象とした講座の「FreelanceU」では、仕事を得るために誰に会うべきか、どうやってアプローチするか、どうやって自分を信用してもらうかなど、受注を獲得するためのノウハウを提供するとしている。

約80ドルの受講料に、4時間の講義ビデオの他、ソフトウェアツール、Eメールテンプレート、クライアント管理用ツールなどが含まれる。

(出典):http://www.schoolofmotion.com/products/freelanceu/

事例(3)―Academy of Freelance Makeup(AOFM) <ファッション・メークアップ>

ロンドンを本拠地とするメークアップ専門学校。パリ、とニューヨークにグループ学校を持つ。フリーランスとして活躍する現役メークアップアーティストが協力して運営している学校。 ファッション、ブライダル、写真撮影などの分野でフリーランスとしてプロとなることをめざす受講者を対象に、フルタイムとパートタイムのコースを提供するに加え、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ミラノで開催されるファッションウィークでの職場訓練機会も提供。 更に、充実したアフターケアプログラム を特徴としており、卒業生に仕事の斡旋・紹介や生涯学習のサービスを提供することを売りにしている。

(出典):https://www.aofmakeup.com/why-aofm/about-us/; https://www.aofmakeup.com/aftercare/

アフターケアの一環として実施される講義の様子。

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海外(英・米)の例—プラットフォーマーによるスキルアップメニュー 英国および米国では、主にエディターなど、比較的成熟したセクターにおいて、以下のような事例がみられる。

Ⅰ プラットフォーマーが提供するもの 事例(1)―Soho Editors <映像ポストプロダクション> Soho Editorsは、映像の撮影後の編集作業(ポストプロダクション)に従事する技術者(エディター、グラフィックデザイナー、アニメーター、オーディオミキサーなど)と使用者を繋ぐエージェンシー企業。

フリーランス技術者達に対して、編集やグラフィック、アニメーション、効果、プリント、デザイン、ウェブなどの44分野で、ロンドンとマンチェスターに置くトレーニングセンターでの実地講座を通した教育・訓練を提供している。

Adobe、Apple、Avid、Autodesk、Blackmagic Design、The Foundry、Maxonといった47社のソフトウェアメーカーの認証も受け、最新の技術に沿った内容を提供しているのが強み。講座は、1日250ポンド程度から受講可能で、3日間コースが多い。受講料支払には、個人のフリーランスでもアクセスしやすいように、分割払いや予約割引のオプションを用意している。

(出典):https://sohoeditors.com/about-pages/what-we-do-for-our-clients; https://sohoeditors.com/search/training

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海外(英・米)の例—業界団体によるスキルアップメニュー Ⅱ 業界団体が提供するもの

事例(2)― <出版・通信> Editorial Freelancers Association(EFA) EFAは、出版社Grove Pressにおける労使紛争を発端に1970年代に設立された、フリーランス編集者・ライターの業界団体。現役フリーランスが運営し、米国および世界各地に点在するメンバー同士の情報交換の場や使用者の紹介などを提供する。 編集・出版に携わるフリーランス向けに、教育訓練プログラムをウェビナーとオンライン講座の形で提供する。会員・非会員問わず受講できるが、会員は割引受講料が適用される。 Society for Editors and Proofreaders(SfEP) SfEPは、主に英国の編集者・校正者をメンバーとして抱える、1988年設立の業界団体。メンバーには、フリーランスも被用者も含まれる。使用者向けに、メンバーが提供するサービス一覧を提供するほか、メンバー向けには教育・訓練および認証サービスを提供する。教育・訓練は実地ワークショップ形式とオンライン形式の両方で提供し、受講料は会員種別で変わる。

<クリエイティブメディア> SSCは、映画、テレビ、ラジオ、ファッション、アニメーション、ゲーム、映像効果、テキスタイル、出版、広告、マーケティングコミュニケーション、舞台芸術の業界が参加し、業界の生産性向上をめざし、国際的にも競争力を高めることを目標とする非営利団体。 クリエイティブ業界でプロ(フリーランス)として働く人向けに、ウェブページ「Creative Skillset」を運営。パートナーである大学や関連企業と協力し、オンライン講座を無料で提供している。主な分野には、「ウェブ用動画作成」「ブランドストーリーの語り方」「ヴィジュアルエフェクト」「アニメーション応用」「商用写真撮影」「著作権・他事業者との協力」などを含む。 また、同サイト内から「Freelance Toolkit」 というページを提供し、特にフリーランス向けとして、フリーランスとして働く上での注意事項を動画もまじえて解説している。技術的な鍛錬をもちろん、仕事のネットワークを広げていく方法や税金や健康管理も扱っている。

(出典):http://www.sfep.org.uk/training

(出典):http://www.the-efa.org/eve/catalog.php

事例(3)―Creative Industries' Sector Skills Council (SSC)

(出典):http://creativeskillset.org/

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海外(英・米)の例—業界団体の基金によるスキルアップメニュー(英国)

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イギリスでは、フリーランスの活用が多いTV業界で独自に、業界の発展を目的とした職業訓練用の基金を設立。(BBC、チャンネル4、独立テレビ協会等の協力)

会員企業から会費を原資に、様々なTV産業に関係する教育訓練サービス(編集技術、著作権法、カメラワーク、ドラマのストーリー作成手法 等)を実施。

会員企業の従業員・フリーランスはディスカウント料金(ex. £250 → £95)で受講することが可能。 ※ 非会員企業所属の従業員も受講は可能

受講可能な講座

(参考)ITFのHP画面

会費について:会費は企業の売上額によって設定 ex.売上高250万ポンド以下の場合、1千ポンド

会員企業例

会員企業の優遇措置について: 講座料金のディスカウント、必要な訓練の無料コンサル 企業のニーズに合ったオーダーメイドの講座作成 等

・業界団体の協力(講師派遣)のもと、講座を運営。 ・フリーランス向けには、キャリア形成や就業 機会についてのアドバイスも行う。

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海外(英・米)の例—公的な職業訓練(米国) 米国においては、連邦中小企業庁(Small Business Administration:SBA)が、中小企業経営者・自営業者を含む市民を対象に、オンライン講座やブログ等を通して情報提供している。

※ ただし、連邦制の米国において、州境をまたがない商業活動は各州政府の管轄となるため、州レベル・地方自 治体レベルでも各種取り組みが行われている点にも注意されたい。 <SBA Learning Center> SBAウェブサイトを通して、中小企業向けに財務から事業の立ち上げ、マーケティング、経営、政府公共事業の契約などについての動画コースを提供。フリーランスを含む小規模事業者向けのトレーニング61コースを動画で提供している。

<フリーランスに向けた情報発信> 以下ブログ記事を通して、フリーランス向けに、連邦法および州法・自治体条例下での税金や許認可、契約など注意事項についての説明と関連ページのリンクを提供している(商業活動の登録・許可取得については、各州政府ウェブサイトへのリンク一覧を掲載)。

(出典):https://www.sba.gov/tools/sba-learning-center/search/training; https://www.sba.gov/blogs/starting-freelance-business-how-take-care-legal-tax-and-contractual-paperwork

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海外(英・米)の例—公的な職業訓練(英国) 英国においては、政府ウェブサイトに自営業者向けの情報提供がみられるが、フリーランスを特別に対象としたもの

は、本調査では見受けられなかった。 英国の国営放送局である、British Broadcasting Corporation (BBC) は、自社が利用するフリーランスに対しても、教育・訓練を義務付けている。

<GOV.UK> 英国政府ウェブサイト「GOV.UK」の中にBusiness and self-employedというページを設け、フリーランスが関係する様々な制度や規制、注意事項について説明。 ※特にトレーニングコースとして構成されていない。

(出典):https://www.gov.uk/browse/business; http://www.bbc.co.uk/corporate2/freelancers/freelancer-training; http://www.bbc.co.uk/academy/page/courses

<BBC Academy> BBCが自社スタッフ向け提供するオンライン研修プログラム。品質保持のために、フリーランスに対しても職種に応じたコースの受講を義務付けている(安全・データ保護は全員必修)。 コースの内容は、ジャーナリズム、制作、技術などの分野で、技術的なことはもちろんのこと、安全や法的コンプライアンス、受注の仕方、経歴書の書き方なども教えている。 前述のCreative Skillsetとも連携しており、放送業界全体の技術向上もめざしている 。

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4.人材育成・教育訓練をめぐる論点の例

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フリーランスなど「雇用関係によらない働き手」がさらなるキャリアアップに繋がるスキ ルの向上を図っていく上で、例えば下記のような課題について検討することは有益ではな いか。 ● 雇用関係によらない働き手のキャリア・スキル意識 ー フリーランスなど雇用関係によらない働き手は、どのようなキャリア・スキル意識を持っているか。 ● 人材育成・教育訓練の提供主体・内容 ー 現状の人材育成・教育訓練の講座メニューは、働き手のスキル向上のニーズに対応した内容となっているか。 ー どのような主体が人材育成・教育訓練の提供者として機能すべきか (プラットフォーマー、プロフェッショナル組織、民間研修事業者、大学等教育機関、公的訓練機関等)。 ● 人材育成・教育訓練に係るコスト ー フリーランスなど雇用関係によらない働き手の人材育成・教育訓練に係るコストは誰が負担すべきか。 (現状は原則自己負担である中、働き手のスキル向上を図る観点から負担シェアリングは考えられるか)。 ー 働き手の平均所得等を考慮した際、現状の人材育成・教育訓練講座が、働き手にとって活用可能なものか。 ● スキル向上の「見える化」・市場価値との連動 ー スキル向上の「見える化」、評価はどのようにして図るべきか。 ー 見える化されたスキルを働き手の市場価値と連動させるための仕組みはどのような形があり得るか(人材育成や 教育訓練の受講実績を受注数及び額の増に繋げるための仕組み作り)。 等

人材育成・教育訓練に関する課題