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12
2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要 平成30年4月 中小企業庁調査室

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2018年版中小企業白書・小規模企業白書

概要

平成30年4月

中小企業庁調査室

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2018年版 中小企業白書・小規模企業白書の特色

• 2018年版白書では、アンケート調査結果に併せて、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例を豊富に紹介(昨年の倍以上となる113の事例を紹介)。

• 以下の10ポイントを中心に、中小企業・小規模事業者に生産性向上に向けたヒントを提供することを目指す実践的な白書とした。

1

(現状分析)

1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。

2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。

(中小企業白書・テーマ別分析)

3.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。

4.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。

5.IT導入のきっかけとして重要となるのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手。

6.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。

7.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。

8.事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加し、生産性向上に寄与。

今後はマッチング強化が課題。

(小規模企業白書・テーマ別分析)

9.小規模事業者では、経営者に業務が集中。IT導入等による経営者の業務効率化が急務。

10.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、支援機関の役割が重要。

2018年版白書 10のポイント

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▲ 35

▲ 30

▲ 25

▲ 20

▲ 15

▲ 10

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

三大都市圏の平均 三大都市圏以外の平均(DI、%p)

1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大。

• 中小企業の経常利益は過去最高水準。景況感も改善傾向にあり、都市と地域間のばらつきも縮小。

• 他方、依然として大企業との生産性格差は拡大。中小企業の生産性向上が急務。

2

企業規模別の経常利益図1

図2

図3

地域別の中小企業の業況判断

図1、図3:「法人企業統計調査年報」(注)ここでいう大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1億円未満の企業とする。図2:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(注)1.景況調査の業況判断DIは、前期に比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた

企業の割合(%)を引いたもの。2.三大都市圏の平均は、東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)、大阪圏(大阪・京都・兵庫・奈良)、名古屋圏(愛知・岐阜・三重)の都道府県毎の業況判断DIを、三大都市圏以外の平均は上記の三大都市圏以外の都道府県の業況判断DIを、それぞれ各県の回答企業数で加重平均したもの。

企業規模別労働生産性の推移

999

1,320

1,080

1,327

501

549

521 558

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

大企業 製造業 大企業 非製造業

中小企業 製造業 中小企業 非製造業(万円)

(年度)

大企業 製造業+321万円(+32.1%)

大企業 非製造業+247万円(+22.9%)

中小企業 非製造業+37万円(+7.1%)

中小企業 製造業+48万円(+9.6%)

図1

0

10

20

30

40

50

1980 85 90 95 2000 05 10 16

大企業 中小企業(兆円)

(年度)

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2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善。

• 下請Gメンによる下請企業ヒアリングでは、全体の約25%(※)の企業で具体的な改善を確認。※具体的な改善があった事例を集計した割合であり、残りの75%において不適切な取引が存在しているわけではない。

• 引き続き、未来志向型の取引慣行の実現に向けて、下請中小企業と親事業者の適正な取引を普及定着させ、賃上げできる環境の整備を図るための取組を推進。

3

図3 取引適正化に向けた取組(世耕プラン)

①業種横断的なルールの明確化・厳格な運用・「不適正な原価低減活動」や「金型の保管コストの押しつけ」等の違反行為事例を、66事例から141事例に大幅に追加。

・親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行として、「生産性向上等への協力」等を追加。

・親事業者のうち大企業は、下請代金の支払いを可能な限り現金で行う等、率先して取り組む。

②業種別の自主行動計画の策定等・下請ガイドライン策定業種のうち、まずは自動車等の業種に対して、サプライチェーン全体での「取引適正化」と「付加価値向上」に向けた自主的な行動計画の策定と着実な実行を要請し、フォローアップ。平成29年3月末現在、8業種21団体が策定。

③下請Gメンによる下請企業ヒアリング調査・新たに下請Gメンを配置し、年間2,000件以上、下請中小企業へのヒアリングを実施し、適正取引に向けた取組に生かす。

図1

図2 交易条件指数の推移

▲ 70

▲ 60

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

07 09 11 13 15 17

大企業 全産業 中小企業 全産業

(年)

(交易条件指数、%p)

下請企業ヒアリングによる下請取引の改善状況

図1:中小企業庁「下請企業ヒアリング」により作成。図2:日本銀行「全国企業経済短期観測調査」(注)図2の交易条件指数とは、販売価格DIから仕入価格DIを差し引いた値。

販売価格DI(仕入価格DI)は、3か月前と比較して販売価格(仕入価格)が「上がった」と答えた企業の割合(%)から「下がった」と答えた企業の割合(%)を差し引いた値(%p)。

※交易条件指数=販売価格DIー仕入価格DI

改善状況

支払条件 300件以上で改善。「100%現金払い」となった事例も多数。

原価低減要請 100件以上で改善。「要請が無くなった」との事例も。

型管理 100件程度で、「金型保管コストの合理化に元請が協力」などの事例。

平成29年12月21日付報道発表資料(対象:2,040社)をもとに作成。

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3.IT導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。

4

• 設備投資やIT導入などの生産性向上に向けた取組は、業務プロセスの見直しと併せて実施することで一層の効果が期待される。業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。

【事例】有限会社朋友(千葉県流山市)

業務の徹底的な見える化を行った上で、IT導入を進めたことで生産性を向上させている企業

【企業概要】千葉県流山市のプラスチック製品製造事業者。(従業員17名、資本金300万円。)

【具体的取組】中小企業診断士と二人三脚で徹底した業務の見える化を行ったところ、金型の交換作業等がボトルネックとなり稼働率を低下させ、収益力を低下させていることが判明。⇒設備にセンサーを設置し、クラウドを通じて、設備の稼働状況を収集・分析するITシステムを構築。

⇒社長のリーダーシップのもと、同システムを活用しながら稼働率向上に向けて、PDCAを回していった。

【効果】稼働率は約20%向上。結果、利益率は3.9倍に。

【コスト】 IT導入コスト約110万円。(うちものづくり補助金により

79万円の補助)システム開発期間約1.5か月

図1業務見直しの実施有無別に見た、他の生産性向上策により労働生産性が向上した企業の割合

51.8 51.7 49.5

51.6 50.7

34.1 31.9

29.6

36.0

31.7

0

10

20

30

40

50

60

省力化投資

を実施

新規投資・増産投資

を実施

IT導入

を実施

多能工化

を実施

アウトソーシング

を実施

業務見直し実施企業 業務見直し未実施企業

(%)

資料:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)(注) 1.「省力化投資」及び「新規投資・増産投資」を実施した企業とは、直近3年間で「積極的投資」または「消極的投資」を行った企業

を指す。2.IT導入を実施した企業とは、アンケート上において「企業全体での総合評価」として、「ITを導入した」と回答した企業を指す。3.「多能工化」及び「アウトソーシング」を実施した企業とは、人手の過不足状況について「大いに不足」または「やや不足」と回答した企業であって、かつ「労働人材が不足」または「労働人材・中核人材とも不足」と回答した企業を集計対象としている。

4. 「業務見直し実施企業」とは、「業務の見える化」、「不要業務・重複業務の見直し・業務の簡素化」、「業務の標準化・マニュアル化」、「業務の細分化・業務分担の見直し」について一つ以上実施している者としている。

金型交換作業の様子

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59.0

41.7

33.6

26.2

36.7

44.4

14.7

21.6

22.0

0% 100%

取り組んでおり、3年前に比べて積極

化している(n=1,174)

取り組んでいるが、3年前に比べて積

極化はしていない(n=1,848)

取り組んでいない(n=1,117)

向上した 変わらない 低下した

5

業種別に見た、多能工化・兼任化の取組状況図1

図1~2:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査 」(2017年12月)図2:(注) 1.3年前と比べた労働生産性について、「わからない」と回答した者は除いて集計している。

2.労働生産性について、「かなり向上」及び「やや向上」の回答を「向上した」とし、「やや低下」及び「かなり低下」の回答を「低下した」として集計している。

【事例】株式会社環境技研(群馬県高崎市)

従業員のスキルマップ作成を契機に多能工化を行い、全体の業務を平準化したことで、生産性を向上させている企業

【企業概要】群馬県高崎市の環境アセスメント調査等を行う会社。(従業員82名、資本金5,000万円。)

【具体的取組】受注案件に偏りが生じると、特定の調査・検査を行う担当に業務が集中。⇒従業員のスキルを一覧化(スキルマップ)し見える化。⇒スキルに応じて柔軟に他部門に割り当てることが可能に。

【効果】年間の一人当たり平均労働時間が、1,500時間から

1,400時間に減少。

【コスト】取組に慣れるまでの当初4か月間は、残業時間が増加。

スキルマップ(イメージ図)

多能工化・兼任化の取組状況別に見た、3年前と比べた労働生産性

図2

42.5

26.5

23.2

22.9

21.2

18.5

29.1

45.6

43.3

42.3

43.4

41.4

51.1

36.4

11.9

30.3

34.5

33.7

37.4

30.4

34.4

0% 100%

製造業

(n=1,147)

サービス業

(n=786)

情報通信業

(n=168)

建設業

(n=590)

運輸業

(n=449)

卸売業・小売業

(n=703)

その他

(n=151)

取り組んでおり、3年前に比べて積極化している 取り組んでいるが、3年前に比べて積極化はしていない 取り組んでいない

• 人手不足状況下で、多くの業種で多能工化・兼任化の取組が進展しているが、卸売業・小売業、サービス業等の非製造業において製造業並の積極的な取組が必要。

4.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。

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5.IT導入のきっかけとして重要になるのは、地元のITベンダーなど身近な相談相手。

• 中小企業のITに関する相談相手は、地元のITメーカー・販売会社等が多く、こうした主体がIT導入を働きかけていくことが重要。

6

社外におけるITに関する相談相手

0

10

20

30

40

50

地元のIT

メーカ・

販売会社

公認会計士・

税理士

地元以外のIT

メーカ・

販売会社

金融機関

社労士

IT

コンサルタント・IT

コーディネータ

商工会議所・

商工会

市や区役所等の公的機関

特に相談者はいない

トップ層 (n=474) ミドル層 (n=1,920) ボトム層 (n=1,324)

図1

図1:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)(注)1.ここで、トップ層とはIT導入により期待した効果が得られている層、ミドル層とはIT導入によりある程度の効果が得られている層、

ボトム層とはIT導入の効果が得られていない層又はITを導入していない層としている。2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

【事例】有限会社アイグラン (東京都八王子市)

地元のIT販売会社と長期的な関係を構築し、着実にIT化を進展させた企業

【企業概要】東京都八王子市のパン小売製造事業者。従業員70名、資本金300万円。

【具体的取組】ITに精通した社員はいないが、長いつきあいのある地元のIT販売会社からIT補助金活用の提案を受け、クラウド給与・就業管理を導入。⇒各店舗毎に紙で管理していた出勤データをクラウド上で管理し、給与計算を自動化。

【効果】毎月の事務が7人日から3人日に削減した。

【コスト】クラウド給与・就業管理とサポートサービスで約180万円(IT導入補助金を活用)

代表取締役 岩田利夫同社店舗

(%)

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50.6

29.8

44.9

64.2

4.4

6.0

0% 100%

大企業

中小企業

連携している 連携していない わからない

6.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。

• IT導入の効果を高める上では、複数の業務領域間でデータ連携を図ることが重要。• さらに、企業間でデータ連携を行うことで一層の生産性向上が期待できる。

7

図1 連携している業務領域の数と労働生産性

39.5 47.6 50.5

55.3 60.6

0

20

40

60

80

業務領域間の

機能連携無し

(n=1,850)

2領域

(n=462)

3領域

(n=424)

4領域

(n=266)

5領域

(n=160)

(労働生産性が向上した企業の割合、%)

[業務領域の区分:財務会計/人事労務/顧客管理/在庫管理/受発注]

図2 「攻めのIT」の実施に向けた企業間連携の状況

7,122

4,051

0

2,000

4,000

6,000

8,000

連携している 連携していない

(万円/人)企業間連携の有無

企業間連携の有無別生産性(一人当たり売上高)

図1:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「人手不足対応に向けた生産性向上の取組に関する調査」(2017年12月)図2:経済産業省「情報処理実態基本調査」再編加工。(注)1.「攻めのIT」とはコスト削減だけでなく売上や付加価値拡大を実現するためのIT活用をいう。

2「連携している」は、「同業種の企業」、「業界を超えて他業種の企業」、「グループ企業」の少なくとも1つと連携している企業である。

【事例】株式会社今野製作所(東京都足立区)

同業他社との共同受注・生産管理システムを構築し、企業間データ連携を行うことで、付加価値向上を図る企業

【企業概要】東京都足立区の板金加工事業者。(従業員36名、資本金3,020万円。)

【具体的な取組】自社内のクラウド活用で成果を上げていた同社は、得意分野の異なる同業他社2社との共同受注を立案。

⇒共同受注案件の生産進捗や引き合い状況をクラウド上で3社間で共有するITシステムを構築。

⇒顧客向けのポータルサイトも設置。

【効果】共同受注した案件は、年間15件(引き合いは30件)

【コスト】ランニングコストは月額1.5~3万円程度。(自社でのアプリ開発は別途必要。)

今野浩好社長

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8

• 中小企業の設備投資は、緩やかな増加傾向。

• 足下では設備老朽化等を背景とした維持・更新投資が中心だが、生産性向上につながる前向きな投資をより一層促進していく必要。

7.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。

図1:財務省「法人企業統計調査季報」図2:内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」 (注)2017年度の上位5項目を抜粋している。

【事例】株式会社コイワイ(宮城工場)

ロボット導入等により人手不足に対応しつつ、生産性を高めた工場

【企業概要】神奈川県の非鉄金属業。宮城工場は金属鋳造が主。(従業員140人、資本金2,000万円。)

【具体的取組】金属鋳造は危険な重労働であり、震災の影響もあって、求人難に。⇒特に危険な大型部品の鋳造工程にロボットを導入。⇒女性が使いやすい電動式ハンドリフトを導入。

【効果】ロボット導入で生産性は2.3倍。不良率は10%低減。パートと派遣のうち、女性が過半数を占めるまで増加。

【コスト】ロボット投資額は約5,000万円。(うち、ものづくり補助金による補助額は3,000万円)

電動式のハンドリフトの購入費用は82万円。 ロボット導入前 ロボット導入後

中小企業の設備投資目的図2

中小企業の設備投資図1

2.9

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(兆円・後方4四半期平均)

(年期)

45.852.7

46.7

33.328.6

53.646.1

41.8

30.122.9

57.4

46.543.2

28.1 25.8

0

10

20

30

40

50

60

70

維持更新 生産(販売)能力の拡

製(商)品・サービスの質

的向上

省力化合理化 情報化への対応

2007年度 2012年度 2017年度

(%)

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• 事業承継等を背景に、中小企業のM&A件数は増加基調。買い手側の企業にとっても、シナジーを発揮し、生産性を高める契機となりうる。

• M&Aの相手先を見つけたきっかけとしては、金融機関等の第三者からの紹介が多く、マッチング強化が今後の課題。

8.事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加し、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題。

図1:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工 (注)ここでいう企業再編行動とは、「事業譲受」、「吸収合併」、「買収による子会社増」をいう。図2:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「成長に向けた企業間連携等に関する調査」(2017年11月)(注) 複数回実施している者については、直近のM&Aについて回答している。

M&Aの相手先を見付けたきっかけ図2

第三者から

相手先を

紹介された

42.3相手先から

直接売り

込まれた

30.2

自社で

相手先を

見付けた

27.5

(%)

(n=473)

28.5 26.9

16.6

5.2 4.72.1

0.5

15.5

0

5

10

15

20

25

30

金融機関 他社

(仕入先・

協力会

社)

専門仲介

機関

コンサル

ティング

会社

他社

(販売先・

顧客)

公認会計

士、

税理士

事業引継

支援セン

ター

その他

(%)

(n=193)

M&Aの相手先を紹介された第三者

9

【事例】株式会社HME(三重県桑名市)

M&Aをきっかけに、付加価値向上を図った企業

【企業概要】計測機器等の開発設計・製造を行う企業。従業員100名、資本金1,000万円。

【具体的取組】大企業で継続できなくなった事業や倒産した企業の事業、後継者難の企業の事業で、自社の事業と親和性の高い事業等を3社から取得。

【効果】取得した技術と自社技術とを組み合わせてシナジーを発揮し、新たな計測機器・分析機器等を開発。グループ全体の売上・収益向上につながっている。

【コスト】仲介手数料や相手先の事業評価のための費用を含む、事業取得費用等。

同社が製造する赤外線センサー

服部一彌社長

M&A実施企業と非実施企業の労働生産性図1

90

95

100

105

110

115

06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

2010年度に M&Aを実施した企業

2009~2015年度の間M&Aを一切実施していない企業

(労働生産性2010年度=100)

(年度)

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9.小規模事業者では経営者に業務が集中。IT導入等による経営者の業務効率化が急務。

• 人手不足を背景に、小規模事業者では経営者に業務が集中。業務の見直しやIT利活用等を進めることを通じて、間接業務の業務負担を軽減し、経営者の業務効率化を進めることが急務の課題。

10

53.9

35.0 31.2

25.5 22.7 19.9 18.6 17.1

14.6

8.8

2.9

0

10

20

30

40

50

60

経営者の労

働時間を増

やし対応

パート・アル

バイトなどに

よる対応

従業員の多

能工化や兼

任化

業務プロセ

スの改善や

工夫

業務の外部

へのアウト

ソーシング

従業員の残

業を増やし

対応

賃金、処遇

など労働条

件の改善

女性・シニア

など、多様

な人材の積

極的な採用

IT化、設備

導入による

省力化

他企業との

連携による

経営資源の

補完

その他

(%)(n=2,995)

図1 人手不足への対応

図1~2:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)「小規模事業者等の事業活動に関する調査」(2017年12月)

【事例】松尾農園(長崎県松浦市)

モバイルPOSレジ等を使い業務を効率化し、売上向上につながる取組を行う小規模事業者

【企業概要】業歴67年の種苗店(従業員3名、個人事業者。)3代目の松尾氏が代替わりの際にカフェを開店した。

【具体的取組】経営を多角化したことで業務量が増加。商工会議所の勧めで、クラウド会計とモバイルPOSレジを導入。⇒インターネットバンキングとも連動、経理業務を効率化。

【効果】効率化によって空いた時間を活用し、種苗のネットショップを開始。SNSによるPRが功を奏し、売上向上。

【コスト】クラウド会計は月額900円程度。Airレジのためのタブレット端末等導入費用は合計で17万円。(うち軽減税率対策補助金による補助額は10万円) カフェの店内

65.9

45.6 45.4 41.6

39.1 35.6

23.5 20.6 19.0

13.4

0

10

20

30

40

50

60

70

財務・会計

(記帳)

(n=1,347)

在庫管理

(n=1,422)

給与管理・勤

怠管理

(n=1,189)

商品やサービ

スの製造・生

産(受注、

仕入を含む)

(n=1,721)

商品やサービ

スの販売(営

業、接客、決

済を含む)

(n=2,020)

顧客管理

(n=1,545)

資金調達

(n=1,860)

商品やサービ

スの企画・開

発・設計

(n=1,533)

人事・採用

(n=1,350)

経営計画の

策定

(n=1,729)

(%)間接業務の削減意向が高い

図2 経営者自身の業務時間の削減意向

Page 12: 2018年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要e5%b9… · 2018年版中小企業白書・小規模企業白書の特色 • 2018年版白書では、アンケート調査結果に併せて、生産性向上に取り組む中小企業・

10.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、支援機関の役割が重要。

• 支援機関による伴走型支援や支援機関同士の連携によって、小規模事業者が必要とする施策をスムーズに届けることが可能に。

【事例】福岡県よろず支援拠点

テレビ電話システムによって、遠方の事業者にも専門性の高い相談員による支援を提供しているよろず支援拠点

飲食店経営者やTV制作会社ディレクターなど多様な専門性をもつ相談員を要するよろず支援拠点。

2017年11月から、スカイプ等のテレビ電話システムによる遠隔相談を導入。各地の商工会議所等に窓口を設置し、県内24カ所でテレビ電話相談が可能に。費用もタブレット端末等で約2万円弱と安価。

片道3時間かけて相談にきていた事業者や、これまで利用を躊躇していた事業者が、専門性の高い相談員から気軽に支援を受けられるようになった。

「テレビ電話相談は、お互いの表情がわかるため、電話相談に比べてコミュニケーションの質は劇的に向上する」とチーフコーディネーターの佐野氏は語る。

今後は、博多から遠方の市町村すべてに、テレビ電話相談窓口を設置していく考えだ。

テレビ電話相談の様子

11

【事例】出水商工会議所 (鹿児島県)

商工会議所の支援の下、売上向上を実現した事業者

従業員3名、資本金300万円のパン屋。

売上減少を商工会議所に相談。持続化補助金を活用した看板の入替えを提案され、大きく背の高い看板を設置。

認知度が高まり、売上が年300万円増となった。看板設置費用は約24万円。(うち16万円の補助)

【事例】有限会社パン工房麦穂(鹿児島県出水市)

出水商工会議所は、持続化補助金を採択された事業者による事例発表会を3年連続で開催。地域の事業者が補助金を活用する動機づけになっている。

また、経産省の補助金のみならず厚労省の助成金等も幅広く案内している。

支援