最近の異常気象は地球温暖化のせい? 将来はどうな...
TRANSCRIPT
最近の異常気象は地球温暖化のせい?
将来はどうなる?
「気候変動と脱炭素社会〜地球環境のピンチをまちづくりのチャンスに変える〜」(2020年2⽉15⽇, ⽣駒)
塩竈秀夫国⽴環境研究所地球環境研究センター
⼤気中の⼆酸化炭素濃度が増加
IPCC-AR5-WG1 (2013)
観測された気候変化1901~2012年の気温トレンド世界平均地上気温変化
白抜きはデータが不十分な場所
IPCC (2013) IPCC (2013)
IPCC (2013)
WMO Statement on the state of the global climate in 2018
1850年 2025年
これは⼈間のせいなのか?
⼤気・海洋を3次元の格⼦(数10〜数100km)に分割
各格⼦に⾵,温度等の物理量を定義
大気・海洋の変化を支配している物理法則の方程式を近似して解く
...
+¶
¶-=÷
øö
çèæ +-
ljrj
cos1tana
pva
ufdtdu Fl
=+dtdp
dtdTcv
a Q
100年先の状態
・・・・・・・・・
二酸化炭素増加などのシナリオ
全球気候モデル(GCM)
気候の長期変化に関する要因分析(Detection and Attribution)
世界平均地上気温偏差(℃)
IPCC-AR5-WG1 (2013)
自然起源外部因子実験
歴史実験
これは温暖化のせいですか? イベントアトリビューション(EA)
Shiogama et al. (2014, SOLA)
2013年米国南西部熱波の発生確率
気温偏差(℃)
p 特定の極端気象現象イベントに対する人間活動の寄与を確率的に評価p 世界的に活発化している新しいタイプの研究
平成30年7月の猛暑のEA
最大最小
2018
JRA55, 温暖化あり, 温暖化なし
19781994
平成30年7月の日本上空の気温は、実況でもシミュレーションの平均値でも歴代1位を記録
日本域の対流圏下部の気温の現在までの変化各年7月平均、上空約1500m、平均領域:130~147E、30~43N
温暖化あり (2018)温暖化なし (2018)温暖化あり(1981-2010)
温暖化がなければ、平成30年7月のような異常高温が発生する可能性はほぼ0%
2018年の条件下では19.9%
温暖化がなければ3x10-5%
K 平年だと2.1%
18℃
17℃
16℃
15℃
Imada et al. (2019)
我々はどこへ向かうのか?我々は子供たちをどんな世界に連れていくのか?
温暖化以前に年4回の頻度で発生した「強い雨」が、3℃温暖化時には頻度が何倍になるか?
Fischer and Knutti (2015, Nature CC)
頻度増加頻度減少
3℃温暖化
4℃温暖化時の干ばつ日数の変化
4℃温暖化
Prudhomme et al. (2014, PNAS)
→増加減少← 1976年–2005年平均から何%変化するか
*白塗りは、計算できない場所
気候アナログ
• MRI-AGCM3.2のSRES A1B runs (2075-2099)(約3℃温暖化) Hibino et al. (2015,Climatic Change)
3℃温暖化した世界での東京の気候は、現在のどの場所の気候と似ているか?
パリ協定
「世界共通の⻑期⽬標として、産業⾰命前からの地球平均気温上昇を余裕をもって2℃未満に抑える。また、温暖化リスク低減と温暖化影響を減ずることに⼤きく貢献することを認識し、1.5℃未満に抑えるよう努⼒する」(外務省訳)
これまでに各国が約束した排出削減政策だけでは、2℃/1.5℃目標を達成できない
2019年9月 Climate Action Tracker
温室効果ガス排出量
(GtC
O2e
/年)
年
排出削減策無し4.1-4.8℃
現在の政策3.0-3.4℃
各国の削減目標2.6-2.9℃
2℃目標達成
1.5℃目標達成
野外労働者が熱関連疾患を避けるための労働可能時間減少(%)
1.5℃ 2.0℃
労働可能時間減少率(%) Shiogama, et al. (2019, ERL)
気候変動適応法• 国は5年ごとに気候変動影響評価を⾏い、気候変動適応計画を改定
• ⾃治体も地域気候変動適応センターを設⽴して、地域気候変動適応計画を策定
• 広域協議会を組織。
まとめ
たとえパリ協定の2℃または1.5℃目標を達成したとしても避けられない気候の変化に対しては、影響を低減するための対策(適応策)が必要である。
4℃温暖化1.7℃温暖化
年平均降水量変化
将来の世界の社会経済発展
温室効果ガス等の排出量
温室効果ガス等大気中濃度
気候の変化
人間社会・生態系への影響
• 極端な雨の増加、洪水の増減、干ばつ日数の増加• 台風の強化と高潮の高さ増加• 海氷減少、海面水位上昇、酸性化
気候変化をどの程度避けられるかは、人類が温室効果ガスの排出量をどれだけ削減できるかにかかっている。(緩和策)